説明

完全脱硫およびオレフィン飽和を伴う燃料ガス処理の構造および方法

精油所オフガスが、プラントにおいて2つの処理工程で処理される。最初に、重質メルカプタンおよびC5+炭化水素を除去するために、オフガスが洗浄塔でリーンオイルを用いてスクラビングされ、その後、オレフィン炭化水素の飽和と硫黄化合物の削減のために、水素化処理反応器が使用される。最も好ましくは、水素化処理反応器出口の分離器からのリーンオイルが反応器供給物と混合されることによって水素化処理反応器を蒸発冷却させる構造において、再循環リーンオイルが水素化処理反応器の温度制御のために使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2007年8月9日に出願された出願番号第60/955004号の同時継続中の我々の米国仮特許出願の優先権を主張する。
【0002】
本発明の分野は、ガス処理および水素化処理であり、特に、クリーンな燃焼ガスを生成するための精油所オフガスからの硫黄汚染物質の除去およびオレフィン炭化水素の飽和に関するガス処理および水素化処理である。
【背景技術】
【0003】
従来の多数のガス処理構造において、様々なガス流からCO、HS、およびメルカプタンや有機硫黄などの他の硫黄汚染物質が日常的に除去されている。残念なことに、これらの構造の大部分は、酸性ガスや硫黄汚染物質をある程度は除去するが、非常に多くの汚染物質を含んだオフガスの処理、特に、重質炭化水素、酸素化合物(例えば、一酸化炭素や二酸化硫黄)、窒素化合物(例えば、シアン化物やアンモニウム化合物)、不飽和炭化水素(例えば、オレフィン、ジエン)、メルカプタンおよび他の有機硫黄化合物(例えば、メチルメルカプタン、エチルメルカプタン、ブチルメルカプタン、硫化カルボニル、ジメチルジスルフィド、二硫化炭素、プロパンチオール、チオフェンなど)を多量に含んだ精油所オフガスの処理には相対的に効果が上がっていない。したがって、そのような知られている構造で処理されたガスは、受け入れがたい濃度の硫黄汚染物質(例えば、50ppmv超)をなおも含有していることが頻繁であり、そのために、現在の環境規制を満たしていない。加えて、接触分解装置および他の供給源からのオフガスは、大量の不飽和オレフィン化合物を含んでおり、燃料ガスとして使用された場合には、これらの化合物が燃焼装置への汚れ沈着や望ましくない排ガスの発生を引き起こすことが多い。
【0004】
アミンや苛性アルカリなどの化学溶媒は、重質メルカプタンや有機硫黄(例えば、プロピルメルカプタンやDMDS)を除去するのに効果的ではない場合が多い。物理溶媒は、これらの汚染物質を吸着することができるが、過剰量の炭化水素を同時に吸着する傾向があり、その後に硫黄プラントなどの下流の処理装置に問題を発生させる。また、多くの不飽和オレフィン炭化水素(例えば、プロピルジエン、ブタジエン)は、重合して処理装置に汚れを沈着させる傾向のある反応性成分である。さらに、酸性ガス中の重質の炭化水素やメルカプタンが比較的高濃度である場合には、硫黄プラントの運転に不安定さをもたらし、一般的に分解用クラウス反応炉に高い火炎温度を要求する傾向があり、それは、硫黄プラントの寿命を大幅に短縮させることになる。
【0005】
汚染物質の不十分な除去に付随する問題の少なくとも一部を解決するため、様々な前処理および後処理方法が採用されている。残念なことに、そのような方法の大部分は、比較的効果が薄くコスト高の傾向があり、固定床吸着剤によって汚染物質が除去される場合には、使用済みの吸着剤の処理問題をさらに引き起こす場合がある。前処理方法および/または後処理方法を使用した場合でも、そのような処理設備で生成された酸性ガスの品質はよくないことが多く、処理済みのガスは、望ましくない硫黄成分、オレフィン炭化水素成分、および芳香族炭化水素成分をまだ大量に含むため、燃料ガス仕様を満たすことができず、したがって、燃料ガスとして利用することができない。
【0006】
さらに別の知られているプロセスでは、特に、メルカプタンがHS、オレフィン炭化水素、芳香族炭化水素(例えば、エチレン、プロピレン、プロピルジエン、ブテン、ブタジエン、ベンゼン、トルエン、重質オレフィン)に触媒転換される水素化処理操作が、他の望ましくない化合物と反応しやすく、これら化合物が、決まって熱交換器や反応器への汚れ沈着を招き、設備の運転停止を引き起こすことが多い。さらには、燃料ガス中の残留オレフィン炭化水素も、転換、燃焼または発電プロセスにおいて、望ましくない副作用や排ガスを発生させる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
様々なガス処理方法や構造が当該技術分野で知られているが、それらの全てもしくはほぼ全てが、特に供給ガスが比較的高濃度の酸性ガス、オレフィン炭化水素、芳香族炭化水素、重質メルカプタンおよび/または有機硫黄汚染物質を含む場合に、1つ以上の欠点に悩まされることになる。
【0008】
本発明は、望ましくないほど多量の硫黄化合物やオレフィンを含む様々な燃料ガス(例えば、燃料ガスは、合成ガス、埋立てごみのガス、または精油所オフガスである)を処理する構造および方法を対象とする。具体的には、ガスは、最初にリーンオイル流で、一般的には、水素化処理されたリーンオイル流と非水素化処理リーンオイル流でスクラビングされて、リッチオイル流と放散処理されたガスが生成され、放散処理されたガスは、その後水素化処理される。水素化処理後、水素化処理されたガスからリーンオイルが分離され、リーンオイルは、その蒸発によって水素化処理反応器内の温度を制御するのに有効な量で水素化処理反応器に再循環される。
【0009】
特に好ましい態様では、分離器からのガス相がさらにCOS加水分解処理を受けて、加水分解されたガスが生成され、下流側の分離器でこのガスから硫化水素含有ガス相が除去される。下流側の分離器は、好ましくはさらなるリーンオイル分を生成し、そのリーンオイル分の少なくとも一部は、再循環リーンオイル流と合流させることができる。最も一般的には、硫化水素除去装置が、(例えば、アミン溶媒を用いて)硫化水素含有ガス相から硫化水素を除去する。さらに別の好ましい態様では、リーンオイルおよび水素化処理されたリーンオイルが、リーンオイルスクラビング装置にそれぞれ別々の位置で供給される。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の主題の一態様において、燃料ガスの処理方法は、C5+成分を除去するとともにリッチオイルとスクラビングされた燃料ガスとを形成するように、リーンオイルスクラビング装置で燃料ガスをスクラビングする工程と、水素化処理反応器向け供給物を形成するように、再循環リーンオイルとスクラビングされた燃料ガスを合流させる別の工程とを含むことになる。さらに別の工程では、水素化処理反応器向け供給物が、水素と混合および水素化処理され、水素化処理されたガス排出物が、ガス相と再循環リーンオイルとに分離される。一般的に、そのような方法は、再循環リーンオイルを、水素化処理反応器のある位置または上流に、水素化処理反応器の温度を再循環リーンオイルの蒸発冷却によって所定の値に維持するのに有効な量で再循環させる工程をさらに含む。
【0011】
本発明の様々な目的、特徴、態様および利点は、以下の本発明の好ましい実施形態の詳細な説明からより明らかになる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明の主題に係るガス処理プラントの例示の概略的構造である。
【図2】図1のプラントの特定の流れに関して算出された熱収支および物質収支を表す表である。
【図3】本発明の主題に係るガス処理プラントの別の例示の概略的構造である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
本発明は、(一般に燃料ガスとして使用される)精油所オフガスが2つの処理工程で処理される構造および方法を対象とする。最も一般的には、オフガスが、第1の工程で、最初に洗浄塔で1つ以上のリーンオイル流(例えば、水素化処理されたリーンオイル流および/または非水素化処理リーンオイル流)を用いてスクラビングされて、重質メルカプタンとC5+炭化水素を除去する。第2の工程では、その後、再循環リーンオイルが水素化処理反応器の温度制御のために使用されるとともに再循環リーンオイルが水素化処理生成物から得られるプロセスの構造において、スクラビングされたガスが、水素化処理されて、オレフィン炭化水素と芳香族炭化水素を飽和させるとともに、硫黄化合物を減少させる。したがって、クリーンな燃料ガスが生成され、発電プラントおよび/または蒸気ボイラに供給されることができる。本発明の主題の好ましい態様では、リーンオイルが、水素化処理反応器出口の分離器から、水素化処理反応器を蒸発冷却させる水素化処理反応器向け供給物との混合を経て再循環される。それにより、水素化処理反応器内の反応温度が制御され、有利には望ましくない副生成物(例えば、ガムや炭素堆積物)の形成を最小限に抑えることができる。
【0014】
最も望ましくは、水素化処理反応器温度の100°F以下の上昇、好ましくは75°F以下の上昇、最も好ましくは50°F以下の上昇があると、水素化処理反応器の温度が約490°Fから約550°Fに維持されるように水素化処理反応器へのリーンオイル供給量を制御することによって(例えば、温度センサ、制御弁および関連する制御論理を用いて、あるいは所定量のリーンオイルを用いて)、反応器内の蒸発による温度制御が実現される。その結果、ジエン化合物の水素との望ましくない副反応が最小限に抑制され、あるいは完全に回避され、連続運転状態が延長される。必要な場合や有利な場合には、水素化処理反応器が、反応器出口の残留COSを加水分解してさらに処理されたガスを形成するCOS加水分解反応器に流体接続されてもよい。
【0015】
燃料ガス水素化処理プロセスの例示の構造が図1に示されており、図2の表1は、対応する算出された熱収支および物質収支を示している。約100°Fの温度と約100から約420psigの圧力を有する、汚染物質を含有した精油所供給ガス流1が、塔51で、精油所リーンオイル流3(例えば、硫黄含有量0.1重量%未満)と水素化処理されたリーンオイル流2(通常は硫黄減損済み、例えば、50ppm未満)を用いてスクラビングされ、C5+成分が減損された頂部蒸気流5と、好ましくは精油所に再循環されるC5+成分が濃縮された底部流4が生成される。流れ5は、水素流6と混合されて流れ7を形成する。最も一般的には、水素化処理反応器出口の所定の残留水素濃度を測定して、一般的には約10%に維持し、さもなければ、完全なオレフィン飽和反応と炭化水素のコーキングの最小限化のための必要に応じて維持することによって、水素補給量が制御される。その後、二相混合流7は、再循環リーンオイル流8と混合されて流れ9を形成する。
【0016】
再循環リーンオイル流8は、好ましくは、炭素数10から13の炭化水素オイルである。例えば、別の視点から見れば、リーンオイルは、複合硫黄汚染物質(例えば、メルカプタンと有機硫黄)を選択的に吸収するように、炭化水素リーンオイル(例えば、45から95のAPI比重と、2から12.0psiaのRVP(リード蒸気圧)を特徴とするナフサ)を備えることができる。したがって、適切なリーンオイルは、未水素化処理の原料ナフサと、水素化処理されたナフサ、または、酸素、COおよび/またはCOを含む他の化合物よりも複合硫黄汚染物質に親和性を有するディーゼル炭化水素を含むことができる。これにより、一般的なリーンオイルは、精油所や炭化水素処理装置由来のナフサやディーゼル油を含んでおり、45から95のAPI比重と、2から11.0psiaのRVP(リード蒸気圧)を特徴とする。
【0017】
再循環オイルの流量と組成は、必要に応じて、冷却用再循環オイルの顕熱と蒸発潜熱を用いて水素化処理反応器温度の上昇を約50°Fに維持するように調節される。本明細書において、数値とともに使用される「約」とは、その数値の絶対値より20%低い値から始まり、その数値の絶対値より20%高い値までの範囲を両端の値を含めて指す。例えば、「約100°F」とは80°Fから120°Fの範囲を指し、「約100psig」とは80psigから120psigの範囲を指す。
【0018】
ガスオイル混合流9は、供給物排出物間熱交換器52と、高圧蒸気30を使った蒸気ヒータ53で加熱され、流れ11を形成する。高圧蒸気が利用できない場合、電気ヒータや燃料焚きヒータなどの他の熱源を使用することもできる。水素化処理反応器入口温度は、熱交換器とヒータによって、水素化処理反応器内のオレフィン飽和と完全硫黄転換の所望の温度の必要に応じて(例えば、約480°Fから550°Fに)調節される。当業者であれば容易に理解できるように、水素化処理反応器54は、二相混合物の均一な分布を保証するように、適切な反応器内部構造と、ディストリビュータと、液注入クエンチを含む。さらに、本明細書に提示された教示に関連して、あらゆる知られている適切な触媒が使用可能であることが理解されるべきである。例えば、コバルト−モリブデン系またはニッケル−モリブデン系触媒を使用して、ともに高発熱反応であるオレフィン飽和反応と脱硫反応を促進させることができる。反応温度が未制御の場合、極高温が暴走反応を引き起こして、一般的に炭素堆積物やガムの形成に至る副反応を発生させることになる。熱交換器や反応器の汚れ沈着を引き起こすガム形成を回避するため、水素化処理反応器の温度上昇が、流れ11中のリーンオイル分を蒸発させることによって、100°F未満、より好ましくは75°F未満、最も好ましくは50°F未満に維持される。好ましくは、オイル再循環率は、流れ9、11、12が約1%から50%の液体、より一般的には約3%から40%の液体、最も一般的には約5%から30%の液体を含むように制御される。そのような液体含有量は、液体が温度制御に使用されるのみならず、あらゆる反応副生成物を洗い落として装置の汚れ沈着による運転停止を回避するためにも採用可能であるので、特に好ましい。その後、反応器排出物12は、供給ガス9と熱交換されて排出物流13を形成し、排出物流13は、分離器55で分離されて蒸気流16と液流15を形成する。
【0019】
その後、液流15は、オイル再循環のためにポンプ57によって圧送され、蒸気流16は、COS加水分解反応器56で処理される。反応器56では、COSが、加水分解反応COS+HO←→HS+COによって硫化水素に転換される。加水分解反応は、発熱性であり、一般に、COS含有量の少なくとも約95%超を転換することができる。COS加水分解反応器の排出物17は、周囲空気冷却器31で冷却されて流れ18を形成し、流れ18は、分離器58で分離されて、HS含有炭化水素流19と、フラッシュ後のリーンオイル流20を生成する。リーンオイルのうちの少量部分である流れ21は、オイル再循環量を維持するためにパージされ、主要部分は、ポンプ59によって再循環されて流れ22を形成する。必要に応じて、リーンオイル補給流23が追加されて、オイル在庫を補充する流れ24が形成される。処理されたガス流19は硫化水素除去装置60に供給され、硫化水素除去装置60では、リーンアミン溶媒流25を使用してクリーン燃料ガス流27が形成される。リッチアミン流26が従来の方法で処理および再生されて、リーンアミン流25が形成される。必要があれば、代わりの硫化水素除去装置が使用されてもよく、適切な装置としては、膜および/または溶媒を基にした分離器、固相吸着などが挙げられる。
【0020】
したがって、別の視点から見れば、汚染物質含有燃料ガスからC5+炭化水素と硫黄化合物を除去するプラントおよび方法は、少なくとも1種類のリーンオイル、より少なくとも好ましくは2種類のリーンオイルで燃料ガスを処理することを含んでおり、第1のリーンオイルは精油所処理装置から供給され、第2のリーンオイルは水素化処理反応器から供給および再循環されることが理解されるべきである。そのような構造では、第1のリーンオイルは大量のC5+炭化水素の除去に使用され、第2のリーンオイルは低硫黄仕様を満たすように供給ガスを洗浄するために使用される。必要があれば、COS加水分解段階が追加されて、通常、そこで形成された硫化水素を吸収する下流側アミン吸収器によって、望ましくない硫黄化合物をさらに削減することができる。
【0021】
あるいは、図3に示すように、上流側での処理と汚染物質除去が使用されてもよく、1種類または2種類の吸収器が、1つ以上のリーンオイル流を用いて硫黄化合物の大部分を除去するように構成される。最も好ましくは、吸収器の上流で、従来の硫化水素除去装置において硫化水素が除去される。
【0022】
この場合、供給ガス圧縮機170が燃料ガス1を圧縮し、燃料ガス1は、その後、硫化水素除去装置90に送られて流れ91を形成する。吸収器74は、吸収器54の下流に配置されている。中間冷却器76が、吸収熱を除去することによって上流側吸収器54からの処理済みガスを冷却し、それにより下流側吸収器74内の硫黄吸収効率を高めるようにするとさらに好ましい。この構造では、最初の吸収器からの頂部蒸気流9が(通常は未水素化処理の)リーンオイル流8と混合され、熱交換器76で約90°F以下まで冷却される。そのようにして形成された二相混合流77は、下流側吸収器74の底部にフラッシュされる。下流側吸収器からのメルカプタン濃縮半リーンオイル78(通常は、水素化処理されたリーンオイルと非水素化処理リーンオイルとの混合物)は、ポンプ75によって圧送されて流れ79を形成し、流れ79は、さらなる硫黄吸収のために上流側吸収器54に供給される。上流側吸収器54の底部流10は、減圧されて流れ13を形成し、流れ13は、その後、蒸留塔57に供給される。蒸留塔57は軽質の塔頂蒸気7を発生させ、塔頂蒸気7は流れ1との合流を経て燃料ガスに再循環される。蒸留塔57からの複合硫黄に富むリーンオイルからなる塔底生成物14は、精油所64(一般的には、水素化処理反応器を含み、リーンオイルと水素化処理されたリーンオイルをプロセスに供給する)に(冷却器70での冷却後)再循環され、精油所64は、リーンオイル流8と炭化水素生成物流18を生成する。
【0023】
下流側吸収器74からの処理済みガス流80は、再循環リーンオイル流100と混合されて混合流101を形成し、供給物排出物間熱交換器153で熱交換されて流れ102を形成する。第2のヒータ154が、一般に高圧蒸気を使用して、二相混合物を約450°Fまで加熱して流れ103を形成するために使用される。既に述べたように、水素化処理反応器151内では、オレフィン炭化水素がパラフィン炭化水素に転換され、硫黄汚染物質(主としてメルカプタン)が硫化水素に転換される。一般に、コバルト−モリブデン系またはニッケル−モリブデン系触媒が使用されて、ともに高発熱反応であるオレフィン飽和反応と脱硫反応が促進される。
【0024】
水素化処理反応器の温度上昇は、流れ103中のリーンオイル分の少なくとも一部を蒸発させることによって、好ましくは50°F未満から100°Fの温度上昇に制御される。その後、反応器排出物104が反応器供給ガス101と熱交換されて排出物流105を形成し、排出物流105がCOS加水分解反応器152でさらに処理される。反応器152では、水素化処理反応器で形成されたCOSが硫化水素に再転換される。COS加水分解反応器の排出物106は、周囲空気冷却器156で冷却されて流れ107を形成する。これにより、気化したリーンオイルが、再凝縮され、分離器157で分離されて、硫化水素含有炭化水素流108とリーンオイル流109が生成される。リーンオイルの一部は除去され(流れ111、例えば、リーンオイル組成制御用)、残りの部分はポンプ159によって水素化処理反応器の前部に再循環される。リーンオイル流112が、必要に応じて装置に補給され、残りの部分と合流されて再循環リーンオイル流100を形成する。処理されたガス流108は、一般に、アミン溶媒、膜装置、または固相吸着を用いて硫化水素除去装置158で処理され、クリーンなガス流110を形成する。さらに適した構造、方法および考慮は、参照により本明細書に組み込まれる同時係属中の本願発明者らの国際出願PCT/US07/17054(2007年7月30日出願)に開示されている。
【0025】
このように、様々なガスからの硫黄含有汚染物質の除去の具体的な実施形態および適用例がここまで開示されてきた。しかしながら、既に記述されたもの以外の多くの更なる変形が本明細書における発明の概念から逸脱することなく行い得ることは、当業者にとって明らかである。したがって、本発明の主題は、添付の特許請求の範囲の精神に包含される場合を除いて限定されるべきではない。また、明細書および特許請求の範囲を解釈するにあたり、全ての用語は文脈と一致して可能な限り最も広義に解釈されるべきである。特に、「備える」および「備えている」という用語は、非排他的に要素、構成要素または工程を指し、したがって、参照された要素、構成要素または工程が存在し、あるいは利用され、あるいは明示的には参照されていない他の要素、構成要素または工程と組み合わせることができることを示すと解釈されるべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
燃料ガスからのC5+成分の除去を可能にするとともに、リッチオイルとスクラビングされた燃料ガスの生成を可能にするよう構成されたリーンオイルスクラビング装置と、
下流でスクラビング装置に流体接続され、スクラビングされた燃料ガスと再循環リーンオイルとの混合物を水素化処理して水素化処理されたガス排出物の形成を可能にするよう構成された水素化処理反応器と、
下流で水素化処理反応器に流体接続され、水素化処理されたガス排出物を受け入れるよう構成されるとともに、ガス相と再循環リーンオイルを形成するよう構成された分離器と、
分離器に流体接続され、再循環リーンオイルの水素化処理反応器へのある位置までの再循環を、水素化処理反応器の温度を再循環リーンオイルの蒸発によって所定の値に維持するのに有効な量で可能にするよう構成された再循環導管とを備えている、燃料ガス処理プラント。
【請求項2】
分離器に流体接続され、ガス相から加水分解されたガス相を生成するよう構成されたCOS加水分解装置と、COS加水分解装置に接続され、加水分解されたガス相を受け入れるとともに、加水分解されたガス相からの別のさらなるリーンオイルと硫化水素含有ガス相の生成を可能にするよう構成された第2の分離器とをさらに備えている、請求項1に記載のプラント。
【請求項3】
さらなるリーンオイルの少なくとも一部を再循環リーンオイルと合流させるよう構成された導管をさらに備えている、請求項2に記載のプラント。
【請求項4】
第2の分離器に流体接続され、硫化水素含有ガス相からのオレフィンと硫黄減損燃料ガスの生成を可能にするよう構成された硫化水素除去装置をさらに備えている、請求項2に記載のプラント。
【請求項5】
硫化水素除去装置がアミン装置を備える、請求項4に記載のプラント。
【請求項6】
リーンオイルスクラビング装置が、リーンオイルと水素化処理されたリーンオイルをそれぞれ別々の位置で受け入れるよう構成された、請求項1に記載のプラント。
【請求項7】
ヒータと熱交換器とをさらに備えており、熱交換器が、水素化処理されたガス排出物の熱量を利用して、スクラビングされた燃料ガスの加熱を可能にするよう構成された、請求項1に記載のプラント。
【請求項8】
燃料ガスが、合成ガス、埋立てごみのガス、または精油所オフガスである、請求項1に記載のプラント。
【請求項9】
C5+成分を除去するとともにリッチオイルとスクラビングされた燃料ガスとを形成するように、リーンオイルスクラビング装置で燃料ガスをスクラビングする工程と、
水素化処理されたガス排出物を形成するように、再循環リーンオイルとスクラビングされた燃料ガスを合流させる工程と、
水素化処理されたガス排出物をガス相と再循環リーンオイルとに分離する工程と、
再循環リーンオイルを、水素化処理反応器のある位置または上流に、水素化処理反応器の温度を再循環リーンオイルの蒸発によって所定の値に維持するのに有効な量で再循環させる工程とを備えている、燃料ガスの処理方法。
【請求項10】
加水分解されたガス相を生成するようにCOS加水分解装置でガス相を加水分解するとともに、さらなるリーンオイルと硫化水素含有ガス相を生成するように、加水分解されたガス相を第2の分離器で分離する工程をさらに備えている、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
さらなるリーンオイルの少なくとも一部を再循環リーンオイルと合流させる工程をさらに備えている、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
硫化水素含有ガス相から硫化水素を除去することによって、オレフィンと硫黄減損燃料ガスを生成する工程をさらに備えている、請求項10に記載の方法。
【請求項13】
硫化水素を除去する工程が、アミン溶媒を用いて行われる、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
リーンオイルスクラビング装置が、リーンオイルと水素化処理されたリーンオイルをそれぞれ別々の位置で受け入れるよう構成された、請求項9に記載の方法。
【請求項15】
スクラビングされた燃料ガスが、水素化処理されたガス排出物の熱量を利用して、熱交換器で加熱される、請求項9に記載の方法。
【請求項16】
燃料ガスが、合成ガス、埋立てごみのガス、または精油所オフガスである、請求項9に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公表番号】特表2010−535887(P2010−535887A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519902(P2010−519902)
【出願日】平成20年2月14日(2008.2.14)
【国際出願番号】PCT/US2008/001971
【国際公開番号】WO2009/020473
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(506354434)フルオー・テクノロジーズ・コーポレイシヨン (35)
【Fターム(参考)】