説明

定着装置

【課題】チップ部の向きを特定することで、小型化を図ることができる定着装置を提供することを目的とする。
【解決手段】定着装置100は、筒状の定着フィルム110と、発熱体(ハロゲンランプ120)と、ニップ板130と、反射板140と、バックアップ部材(加圧ローラ150)を備える。発熱体は、ガラス管121内にガス(ハロゲンガス123)と熱源(フィラメント122)を封入したヒータであり、ガラス管121には、ガスの封入時に形成されるチップ部124がガラス管121の表面から径方向外側に突出するように設けられる。そして、ニップ板130とヒータが対向する対向方向におけるチップ部124を含んだガラス管121の断面形状の大きさL1が、対向方向と直交する方向における断面形状の大きさL2よりも小さくなるように、チップ部124が所定の向きを向いて配置される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シートに転写された現像剤像を熱定着する定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式の画像形成装置に用いられる定着装置として、定着フィルムと、ヒータと、定着フィルムを介して加圧ローラとの間にニップ部を形成する加熱板(ニップ板)と、ヒータからの輻射熱をニップ板に反射する反射板とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−47769号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ヒータとしてガラス管内にガスと熱源を封入したヒータ(ハロゲンヒータ等)を用いる場合には、そのガラス管にはガスの封入時に形成されるチップ部がガラス管の表面から径方向外側に突出するように形成される。そして、このようにガラス管の表面から突出するチップ部の向きは、反射板およびニップ板の位置や大きさに影響を及ぼすので、定着装置の小型化を図る上で非常に重要な要素となっていた。
【0005】
そこで、本発明は、チップ部の向きを特定することで、小型化を図ることができる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決する本発明は、記録シートに転写された現像剤像を熱定着する定着装置であって、筒状の定着フィルムと、前記定着フィルムの内側に配置された発熱体と、前記定着フィルムの内面に摺接するように配置されたニップ板と、前記発熱体からの輻射熱を前記ニップ板に向けて反射する反射板と、前記ニップ板との間で前記定着フィルムを挟むことで前記定着フィルムとの間にニップ部を形成するバックアップ部材とを備え、前記発熱体は、ガラス管内にガスと熱源を封入したヒータであり、前記ガラス管には、前記ガスの封入時に形成されるチップ部がガラス管の表面から径方向外側に突出するように設けられ、前記ニップ板と前記ヒータが対向する対向方向における前記チップ部を含んだ前記ガラス管の断面形状の大きさが、前記対向方向と直交する方向における前記断面形状の大きさよりも小さくなるように、前記チップ部が所定の向きを向いて配置されていることを特徴とする。
【0007】
本発明によれば、ニップ板とヒータが対向する対向方向におけるチップ部を含んだガラス管の断面形状の大きさが、対向方向と直交する方向における断面形状の大きさよりも小さくなるように、チップ部が所定の向きに向けられているので、対向方向において反射板とニップ板をヒータのガラス管の表面に近づけることができ、この方向に定着装置を小型化することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、対向方向において反射板とニップ板をヒータのガラス管の表面に近づけることができるので、定着装置の小型化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態に係る定着装置を備えたレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る定着装置の概略構成を示す図である。
【図3】ハロゲンランプ、ニップ板、反射板およびステイの斜視図である。
【図4】ニップ板、反射板およびステイを搬送方向から見た図である。
【図5】チップ部を斜めに傾けた形態を示す図(a)と、チップ部を後方に向けた形態を示す図(b)と、ハロゲンランプを2つ設けた形態を示す図(c)である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の実施形態に係る定着装置100を備えたレーザプリンタ1(画像形成装置)の概略構成について説明した後、定着装置100の詳細な構成について説明する。
【0011】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、記録シートの一例としての用紙Pを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙P上にトナー像(現像剤像)を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙P上のトナー像を熱定着する定着装置100とを主に備えている。
【0012】
なお、以下の説明において、方向は、レーザプリンタを使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0013】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、用紙Pを収容する給紙トレイ31と、用紙Pの前側を持ち上げる用紙押圧板32と、給紙ローラ33と、給紙パット34と、紙粉取りローラ35,36と、レジストローラ37とを主に備えている。給紙トレイ31内の用紙Pは、用紙押圧板32によって給紙ローラ33に寄せられ、給紙ローラ33と給紙パット34によって1枚ずつ分離され、紙粉取りローラ35,36およびレジストローラ37を通ってプロセスカートリッジ5に向けて搬送される。
【0014】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、レーザ発光部(図示せず)と、回転駆動するポリゴンミラー41と、レンズ42,43と、反射鏡44,45,46とを主に備えている。露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、ポリゴンミラー41、レンズ42、反射鏡44,45、レンズ43、反射鏡46の順に反射または通過して、感光体ドラム61の表面で高速走査される。
【0015】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とから構成されている。
【0016】
ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナー(現像剤)を収容するトナー収容部74とを主に備えている。
【0017】
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0018】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Pが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙P上に転写される。
【0019】
定着装置100は、プロセスカートリッジ5の後方に設けられている。用紙P上に転写されたトナー像(トナー)は、定着装置100を通過することで用紙P上に熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、搬送ローラ23,24によって排紙トレイ22上に排出される。
【0020】
<定着装置の詳細構成>
図2に示すように、定着装置100は、定着フィルム110と、発熱体の一例としてのハロゲンランプ120と、ニップ板130と、反射板140と、バックアップ部材の一例としての加圧ローラ150と、ステイ160とを主に備えている。
【0021】
なお、以下の説明においては、用紙Pの搬送方向(略前後方向)を単に「搬送方向」といい、用紙Pの幅方向(略左右方向)を単に「幅方向」という。また、ニップ板130とハロゲンランプ120が対向する対向方向(略上下方向)を単に「対向方向」という。
【0022】
定着フィルム110は、耐熱性と可撓性を有する無端状(筒状)のフィルムであり、その幅方向両端部が図示しないガイド部材により回転が案内されている。
【0023】
ハロゲンランプ120は、ニップ板130および定着フィルム110を加熱することで用紙P上のトナーを加熱する発熱体であり、定着フィルム110の内側において定着フィルム110およびニップ板130の内面から所定の間隔をあけて配置されている。このハロゲンランプ120は、ガラス管121と、ガラス管121内に設けられる熱源の一例としてのフィラメント122と、ガラス管121内に封入されるガスの一例としてのハロゲンガス123とを備えて構成されている。
【0024】
ガラス管121には、ハロゲンガス123の封入時に形成されるチップ部124がガラス管121の表面から径方向外側に突出するように設けられている。そして、このチップ部124は、上下方向(前記対向方向)におけるチップ部124を含んだガラス管121の断面形状の大きさL1が、前後方向(対向方向と直交する方向)における断面形状の大きさL2よりも小さくなるように、前方(搬送方向の上流側)を向いて配置されている。
【0025】
これにより、反射板140やステイ160の上壁141A,166を低い位置(ガラス管121に近づけた位置)まで下げることができるので、定着装置100を上下方向に小型化することが可能となっている。また、チップ部124を前方に向けることで、ニップ板130のうちニップ部N1よりも前側部分(端部131B)を前方に延ばすことができるので、この前方に延びた部分が定着フィルム110と摺接して、定着フィルム110をニップ部N1に入る前に事前に加熱(プレヒート)することが可能となっている。
【0026】
ここで、ニップ部N1は、ニップ板130(詳しくは定着フィルム110)と加圧ローラ150との間で用紙Pを挟む部分であり、定着フィルム110の熱を用紙Pへ伝達させる部分である。そして、ニップ部N1の中央部は、ニップ部N1をハロゲンランプ120で効率良く加熱するために、ガラス管121の中心と加圧ローラ150の中心とを結んだ線上に位置するようになっている。そのため、本実施形態のようにチップ部124を前方に向けると、ニップ板130のうちニップ部N1よりも前側部分を前方に延ばすことになり、前述したプレヒートを実行可能となっている。
【0027】
ニップ板130は、加圧ローラ150の押圧力を受けるとともに、ハロゲンランプ120からの輻射熱を定着フィルム110を介して用紙P上のトナーに伝達する板状の部材であり、筒状の定着フィルム110の内面に摺接するように配置されている。
【0028】
このニップ板130は、後述するスチール製のステイ160より熱伝導率が大きい、例えば、アルミニウム板などを断面視略U形状に折り曲げることで形成されている。より詳細に、ニップ板130は、断面視において、搬送方向に沿うように延びるベース部131と、上に向けて折り曲げられた折曲部132とを主に有している。
【0029】
ベース部131は、搬送方向における中央部131Aが両端部131Bより加圧ローラ150側(下方)に向けて凸となるように屈曲形成されている。また、両端部131Bのうち中央部131Aよりも前側の端部131Bは、後側の端部131Bよりも前後方向に長く形成されており、これにより前述したプレヒートを実行可能となっている。なお、ベース部131の内面(上面)には、黒色の塗装を施したり、熱吸収部材を設けたりしてもよい。これによれば、ハロゲンランプ120からの輻射熱を効率良く吸収することができる。
【0030】
図3に示すように、ニップ板130は、ベース部131の右端部から平板状に延びる挿入部133と、ベース部131の左端部に形成された係合部134とをさらに有している。係合部134は、側面視U形状に形成されており、上に向けて折り曲げて形成された側壁部134Aには係合孔134Bが設けられている。
【0031】
図2に示すように、反射板140は、ハロゲンランプ120からの輻射熱(主に前後方向や上方向に向けて放射された輻射熱)をニップ板130(ベース部131の内面)に向けて反射する部材であり、定着フィルム110の内側においてハロゲンランプ120を取り囲むように、ハロゲンランプ120から所定の間隔をあけて配置されている。
【0032】
このような反射板140によってハロゲンランプ120からの輻射熱をニップ板130に集めることで、ハロゲンランプ120からの輻射熱を効率良く利用することができ、ニップ板130および定着フィルム110を速やかに加熱することができる。
【0033】
反射板140は、赤外線および遠赤外線の反射率が大きい、例えば、アルミニウム板などを断面視略U形状に湾曲させて形成されている。より詳細に、反射板140は、湾曲形状(断面視略U形状)をなす反射部141と、反射部141の両端部から搬送方向に沿って延びるフランジ部142とを主に有している。なお、熱反射率を高めるため、反射板140は、鏡面仕上げを施したアルミニウム板などを用いて形成してもよい。
【0034】
図3に示すように、反射板140の幅方向両端部にはフランジ状の係止部143が合計4つ形成されている(3つのみ図示)。係止部143は、フランジ部142より上方に位置し、図4に示すように、ニップ板130、反射板140およびステイ160が組み立てられたときに、後述するステイ160の複数の接触部163を挟む(幅方向において最も外側の接触部163Aと隣接する)ように配置される。
【0035】
これにより、定着装置100が駆動したときの振動などで反射板140が左右に動こうとしても、係止部143が接触部163Aに当接することで、反射板140の幅方向の位置が規制される。その結果、反射板140の幅方向における位置ずれを抑制することができる。
【0036】
図2に示すように、加圧ローラ150は、ニップ板130との間で定着フィルム110を挟むことで定着フィルム110との間にニップ部N1を形成する部材であり、ニップ板130の下方に配置されている。より詳細に、加圧ローラ150は、定着フィルム110を介してニップ板130を押圧することで定着フィルム110との間にニップ部N1を形成している。
【0037】
この加圧ローラ150は、本体筐体2内に設けられた図示しないモータから駆動力が伝達されて回転駆動するように構成されており、回転駆動することで定着フィルム110(または用紙P)との摩擦力により定着フィルム110を従動回転させる。
【0038】
トナー像が転写された用紙Pは、加圧ローラ150と加熱された定着フィルム110の間(ニップ部N1)を搬送されることでトナー像(トナー)が熱定着されることとなる。
【0039】
ステイ160は、搬送方向におけるニップ板130(ベース部131)の両端部131Bを支持することでニップ板130の剛性を確保する部材であり、反射板140(反射部141)の外面形状に沿った形状(断面視略U形状)を有して反射板140を覆うように配置されている。このようなステイ160は、比較的剛性が大きい、例えば、鋼板などを断面視略U形状に折り曲げることで形成されている。
【0040】
ステイ160の前壁161および後壁162の下端には、図3に示すように、略櫛歯状をなすように形成された複数の接触部163が設けられている。
【0041】
また、ステイ160の前壁161および後壁162の右端部には、下方に向けて延び、さらに左方へ向けて延びる略L形状の係止部165が設けられている。さらに、ステイ160の左端には、上壁166から左方に向けて延び、側面視略U形状に折り曲げられた保持部167が設けられている。保持部167の各側壁部167Aの内面には、内側に向けて突出する係合ボス167B(一方のみ図示)が設けられている。
【0042】
図2および図3に示すように、ステイ160の前壁161および後壁162の内面の幅方向両端部には、内側に向けて突出する当接ボス168が合計4つ設けられている。この当接ボス168は、搬送方向において反射板140(反射部141)に当接する。これにより、定着装置100が駆動したときの振動などで反射板140が前後に動こうとしても、当接ボス168に当接することで、反射板140の搬送方向の位置が規制される。その結果、反射板140の搬送方向における位置ずれを抑制することができる。
【0043】
以上説明したステイ160に、反射板140およびニップ板130を組み付ける場合、まず、ステイ160に反射板140を嵌め込むようにして取り付ける。ステイ160の前壁161および後壁162の内面には当接ボス168が設けられているので、この当接ボス168が反射板140に当接することで、反射板140はステイ160に仮保持される。
【0044】
その後、図4に示すように、ニップ板130の挿入部133をステイ160の係止部165の間に挿入してベース部131(両端部131B)を各係止部165に係合させ、次いで、ニップ板130の係合部134(係合孔134B)とステイ160の保持部167(係合ボス167B)とを係合させる。
【0045】
これにより、ニップ板130は、ベース部131の両端部131Bが係止部165に支持され、係合部134が保持部167に保持されることで、ステイ160に保持される。また、反射板140は、フランジ部142がニップ板130とステイ160に挟まれた状態で、ステイ160に保持される。
【0046】
なお、図示は省略するが、ニップ板130および反射板140を保持するステイ160と、ハロゲンランプ120は、定着フィルム110の回転を案内するガイド部材に保持されている。そして、このガイド部材が定着装置100の図示しない筐体に固定されることで、定着フィルム110、ハロゲンランプ120、ニップ板130、反射板140およびステイ160が定着装置100の筐体に保持されている。
【0047】
本実施形態において、反射板140は、図2に示すように、フランジ部142がニップ板130とステイ160とに挟まれた状態で支持されている。これにより、定着装置100が駆動したときの振動などで反射板140が上下に動こうとしても、フランジ部142がニップ板130とステイ160とに挟まれていることで、反射板140の上下方向の位置が規制される。その結果、反射板140の上下方向における位置ずれを抑制することができ、ニップ板130に対する反射板140の位置を固定することができる。
【0048】
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
上下方向におけるチップ部124を含んだガラス管121の断面形状の大きさL1が、前後方向における断面形状の大きさL2よりも小さくなるように、チップ部124を前方に向けたので、上下方向において反射板140(上壁141A)とニップ板130をハロゲンランプ120のガラス管121の表面に近づけることができる。そのため、ステイ160の上壁166の位置も低い位置に下げることができるので、上下方向に定着装置100を小型化することができる。
【0049】
チップ部124を前方に向けることで、ニップ板130のうちニップ部N1よりも前側部分を前方に延ばすことができるので、この前方に延びた部分によって定着フィルム110をプレヒートすることができ、熱定着性を向上させることができる。
【0050】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されるものではない。具体的な構成については、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更が可能である。
【0051】
前記実施形態では、チップ部124の向きを前向き(搬送方向の上流側)としたが、ガラス管121の断面形状の上下方向の大きさL1が前後方向の大きさL2よりも小さくなる条件を満たす所定の向きであれば、どのような向きでもよい。例えば、図5(a)に示すように、L1<L2の関係が満たされる程度に、チップ部124を前斜め上方に向くように傾けてもよいし、図5(b)に示すように、チップ部124を後向き(搬送方向の下流側)にしてもよい。
【0052】
また、図5(c)に示すように、ハロゲンランプ120を上下方向(対向方向)に2つ並べて配設してもよい。これによれば、2つのハロゲンランプ120によって、ニップ板130をより迅速に加熱することができる。
【0053】
なお、この形態では、上方(対向方向の一方)に配置されるハロゲンランプ120のチップ部124を後方(搬送方向の下流側)に向けるとともに、下方(対向方向の他方)に配置されるハロゲンランプ120のチップ部124を前方(搬送方向の上流側)に向けるのが望ましい。これによれば、上下方向で2つのハロゲンランプ120のガラス管121同士が並ぶ構造に比べ、2つのハロゲンランプ120を上下方向に近付けることができるので、定着装置200を大型化させることなく2つのハロゲンランプ120によって加熱性能(定着性能)を向上させることができる。
【0054】
前記実施形態では、ステイ160を設けたが、これに限定されず、ステイを設けない構成としてもよい。
前記実施形態では、発熱体としてハロゲンランプ120(ハロゲンヒータ)を例示したが、これに限定されず、例えば、赤外線ヒータやカーボンヒータなどであってもよい。
【0055】
前記実施形態では、バックアップ部材として加圧ローラ150を例示したが、これに限定されず、例えば、ベルト状の加圧部材などであってもよい。また、前記実施形態では、加圧ローラ150(バックアップ部材)がニップ板130を押圧することでニップ部N1を形成する構成を例示したが、これに限定されず、ニップ板がバックアップ部材を押圧することでニップ部を形成する構成としてもよい。
【0056】
前記実施形態では、記録シートとして、普通紙やはがきなどの用紙Pを例示したが、これに限定されず、例えば、OHPシートなどであってもよい。
【0057】
前記実施形態では、本発明の定着装置を備えた画像形成装置として、レーザプリンタ1を例示したが、これに限定されず、例えば、LEDによって露光を行うLEDプリンタであってもよいし、プリンタ以外の複写機や複合機などであってもよい。また、前記実施形態では、モノクロ画像を形成する画像形成装置を例示したが、これに限定されず、カラー画像を形成する画像形成装置であってもよい。
【符号の説明】
【0058】
100 定着装置
110 定着フィルム
120 ハロゲンランプ
121 ガラス管
122 フィラメント
123 ハロゲンガス
124 チップ部
130 ニップ板
150 加圧ローラ
160 ステイ
N1 ニップ部
P 用紙


【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートに転写された現像剤像を熱定着する定着装置であって、
筒状の定着フィルムと、
前記定着フィルムの内側に配置された発熱体と、
前記定着フィルムの内面に摺接するように配置されたニップ板と、
前記発熱体からの輻射熱を前記ニップ板に向けて反射する反射板と、
前記ニップ板との間で前記定着フィルムを挟むことで前記定着フィルムとの間にニップ部を形成するバックアップ部材とを備え、
前記発熱体は、ガラス管内にガスと熱源を封入したヒータであり、
前記ガラス管には、前記ガスの封入時に形成されるチップ部がガラス管の表面から径方向外側に突出するように設けられ、
前記ニップ板と前記ヒータが対向する対向方向における前記チップ部を含んだ前記ガラス管の断面形状の大きさが、前記対向方向と直交する方向における前記断面形状の大きさよりも小さくなるように、前記チップ部が所定の向きを向いて配置されていることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記チップ部は、記録シートの搬送方向の上流側に向けられていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記チップ部は、記録シートの搬送方向の下流側に向けられていることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項4】
前記ヒータを前記対向方向に2つ並べて配設したことを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項5】
前記対向方向の一方に配置されるヒータのチップ部を記録シートの搬送方向の一方側に向けるとともに、前記対向方向の他方に配置されるヒータのチップ部を前記搬送方向の他方側に向けたことを特徴とする請求項4に記載の定着装置。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate


【公開番号】特開2011−95552(P2011−95552A)
【公開日】平成23年5月12日(2011.5.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−250238(P2009−250238)
【出願日】平成21年10月30日(2009.10.30)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】