定着装置
【課題】ニップ幅を略均一にすることができる定着装置を提供することを目的とする。
【解決手段】定着装置は、可撓性の筒状部材内に配置されるニップ部材(ニップ板130)と、ニップ部材との間で筒状部材を挟んでニップ部を形成するバックアップ部材(加圧ローラ150)と、ニップ部材のバックアップ部材とは反対側に配置される第1部材(カバー部材300)と、第1部材とニップ部材との間に配置される第2部材(ステイ160)と、第1部材の記録シートの幅方向における両端部を、バックアップ部材に向けて付勢することで、第1部材および第2部材を介してニップ部材をバックアップ部材側に押圧する付勢部材と、を備える。そして、第1部材と第2部材との間には、付勢部材から第1部材に加わった付勢力を第2部材の幅方向における中央部に伝達する伝達部材(第1突起311)が設けられている。
【解決手段】定着装置は、可撓性の筒状部材内に配置されるニップ部材(ニップ板130)と、ニップ部材との間で筒状部材を挟んでニップ部を形成するバックアップ部材(加圧ローラ150)と、ニップ部材のバックアップ部材とは反対側に配置される第1部材(カバー部材300)と、第1部材とニップ部材との間に配置される第2部材(ステイ160)と、第1部材の記録シートの幅方向における両端部を、バックアップ部材に向けて付勢することで、第1部材および第2部材を介してニップ部材をバックアップ部材側に押圧する付勢部材と、を備える。そして、第1部材と第2部材との間には、付勢部材から第1部材に加わった付勢力を第2部材の幅方向における中央部に伝達する伝達部材(第1突起311)が設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シートに現像剤像を熱定着するための定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、定着装置として、可撓性の筒状部材と、筒状部材の内部に配置されたニップ部材と、ニップ部材との間で筒状部材を挟んでニップ部を形成する加圧ローラと、ニップ部材を加圧ローラの反対側から支持する剛性の高いステイと、を有するものが知られている(特許文献1参照)。この技術では、付勢部材によって、ステイの両端部(筒状部材の軸方向における両端部)が加圧ローラに向けて付勢されることで、ニップ部材が筒状部材を介して加圧ローラに圧接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−137933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、付勢部材によってステイの両端部を付勢するので、付勢力が作用する点よりも少し内側の点が支点となって、ステイの中央部が加圧ローラから離れるように撓んでしまうことがある。一方、加圧ローラも、当該加圧ローラの両端を支持する筐体から反力を受けることで、反力が作用する点(加圧ローラの両端)よりも少し内側の点が支点となって、加圧ローラの中央部がステイから離れるように撓んでしまうことがある。
【0005】
そして、このように各中央部が撓むと、ニップ部の幅が、中央部では小さく、両端部では大きくなってしまうので、ニップ部を通過する記録シートが正常に搬送されなかったり、定着品質が低下するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、ニップ幅を略均一にすることができる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、記録シートに現像剤像を熱定着するための定着装置であって、可撓性の筒状部材と、前記筒状部材の内部に配置されるニップ部材と、前記ニップ部材との間で前記筒状部材を挟んでニップ部を形成するバックアップ部材とを備える。
また、定着装置は、前記筒状部材の内部に配置され、前記ニップ部材の前記バックアップ部材とは反対側に配置される第1部材と、前記第1部材と前記ニップ部材との間に配置される第2部材と、前記第1部材の前記記録シートの幅方向における両端部を、前記バックアップ部材に向けて付勢することで、前記第1部材および第2部材を介して前記ニップ部材を前記バックアップ部材側に押圧する付勢部材と、を備える。
そして、前記第1部材と前記第2部材との間には、前記付勢部材から前記第1部材に加わった付勢力を前記第2部材の前記幅方向における中央部に伝達する伝達部材が設けられている。
【0008】
この構成によれば、第1部材の両端部に加わった付勢力が伝達部材によって第2部材の中央部に集中的に伝達されるので、第2部材およびニップ部材をバックアップ部材が撓む方向と同じ方向に撓ませることができ、ニップ部の幅を略均一にすることができる。
【0009】
また、前記した構成において、前記伝達部材は、前記第1部材および前記第2部材の一方の部材に他方の部材へ向けて突出する第1突起であるのが望ましい。
【0010】
これによれば、伝達部材を突起とすることで、例えば第1部材と第2部材とに面接触するような伝達部材と比べ、第1部材と第2部材の接触面積を小さくすることができるので、第1部材と第2部材の接触部分による熱伝導量を低減することができ、ニップ部材の加熱速度を上げることができる。
【0011】
また、前記した構成において、前記一方の部材の前記幅方向両端側には、前記他方の部材へ向けて突出する第2突起が設けられ、前記第1突起は、前記第2突起よりも前記他方の部材側へ突出しているのが望ましい。
【0012】
これによれば、第2部材が変形しすぎるのを第2突起で抑えることができるので、第2部材とともに変形するニップ部材を適正な形状に変形させることができる。
【0013】
また、前記した構成において、前記第1突起は、前記記録シートの搬送方向に間隔を空けて複数設けられているのが望ましい。
【0014】
これによれば、第2部材の中央部を搬送方向でバランスよく押すことができるので、第2部材およびニップ部材を適正な形状に変形させることができる。
【0015】
また、前記した構成において、前記第2突起は、前記記録シートの搬送方向に間隔を空けて複数設けられているのが望ましい。
【0016】
これによれば、第2部材の両端側の変形を搬送方向でバランスよく規制することができるので、第2部材およびニップ部材を適正な形状に変形させることができる。
【0017】
また、前記した構成において、前記第1突起は、前記記録シートの搬送方向に沿う長尺状に形成されていてもよい。
【0018】
これによっても、第2部材の中央部を搬送方向でバランスよく押すことができるので、第2部材およびニップ部材を適正な形状に変形させることができる。
【0019】
また、前記した構成において、前記第2突起は、前記記録シートの搬送方向に沿う長尺状に形成されていてもよい。
【0020】
これによっても、第2部材の両端側の変形を搬送方向でバランスよく規制することができるので、第2部材およびニップ部材を適正な形状に変形させることができる。
【0021】
また、前記した構成において、前記第1突起は、前記一方の部材に捩じ込まれて進退可能な螺合部材の先端部で構成されていてもよい。
【0022】
これによれば、螺合部材の捩じ込み量を調整することで、第1突起の高さを簡単に調整することができる。
【0023】
また、前記した構成において、前記第1部材と前記第2部材が、螺合部材によって共締めされていてもよい。
【0024】
これによれば、第1部材と第2部材の位置関係を一定に保つことができる。
【0025】
また、前記した構成において、前記第1部材および前記第2部材は、前記ニップ部材側に開放されたU字形状となるように構成され、前記第1部材は、前記第2部材に被さるように配置され、当該第2部材を前記記録シートの搬送方向で挟み込んでいるのが望ましい。
【0026】
これによれば、第1部材と第2部材の記録シートの搬送方向における位置関係を一定に保つことができる。
【0027】
また、前記した構成において、前記第1部材のうち前記搬送方向で対向する一対の第1壁、または、前記第2部材のうち前記搬送方向で対向する一対の第2壁には、前記搬送方向に突出する第3突起が設けられ、前記第1部材と前記第2部材が前記第3突起において接触しているのが望ましい。
【0028】
これによれば、記録シートの搬送方向の位置決めを第3突起で行うので、面で当てて位置決めを行うものに比べ、位置精度を向上させることができる。また、接触部分が突起となることで第1部材と第2部材の接触面積を小さくすることができるので、第1部材と第2部材の接触部分による熱伝導量を低減することができ、ニップ部材の加熱速度を上げることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、第2部材およびニップ部材をバックアップ部材が撓む方向と同じ方向に撓ませることができるので、ニップ幅を略均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る定着装置を備えたレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る定着装置の概略構成を示す図である。
【図3】加熱ユニットを分解して示す分解斜視図である。
【図4】カバー部材を示す斜視図である。
【図5】ガイド部材を上側から見た斜視図(a)と、ステイを組み付けたガイド部材を下側から見た斜視図(b)および下面図(c)である。
【図6】定着装置を簡略化するとともに分解して示す分解斜視図である。
【図7】カバー部材でステイを押圧したときの各部材の状態を簡略的に示す図(a),(b)である。
【図8】第1突起および第2突起を長尺状に形成した形態を示す下面図である。
【図9】第1突起をネジの先端部で構成した形態を簡略的に示す図である。
【図10】カバー部材とステイをネジで共締めした形態を簡略的に示す図である。
【図11】第1突起および第2突起をステイに形成した形態を簡略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の実施形態に係る定着装置100を備えたレーザプリンタ1(画像形成装置)の概略構成について説明した後、定着装置100の詳細な構成について説明する。
【0032】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、記録シートの一例としての用紙Pを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙P上にトナー像(現像剤像)を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙P上のトナー像を熱定着する定着装置100とを主に備えている。
【0033】
なお、以下の説明において、方向は、レーザプリンタを使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0034】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、用紙Pを収容する給紙トレイ31と、用紙Pの前側を持ち上げる用紙押圧板32と、給紙ローラ33と、給紙パット34と、紙粉取りローラ35,36と、レジストローラ37とを主に備えている。給紙トレイ31内の用紙Pは、用紙押圧板32によって給紙ローラ33に寄せられ、給紙ローラ33と給紙パット34によって1枚ずつ分離され、紙粉取りローラ35,36およびレジストローラ37を通ってプロセスカートリッジ5に向けて搬送される。
【0035】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、レーザ発光部(図示せず)と、回転駆動するポリゴンミラー41と、レンズ42,43と、反射鏡44,45,46とを主に備えている。露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、ポリゴンミラー41、レンズ42、反射鏡44,45、レンズ43、反射鏡46の順に反射または通過して、感光体ドラム61の表面で高速走査される。
【0036】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とから構成されている。
【0037】
ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナーを収容するトナー収容部74とを主に備えている。
【0038】
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0039】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Pが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙P上に転写される。
【0040】
定着装置100は、プロセスカートリッジ5の後方に設けられている。用紙P上に転写されたトナー像は、定着装置100を通過することで用紙P上に熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、搬送ローラ23,24によって排紙トレイ22に排出される。
【0041】
<定着装置の詳細構成>
図2に示すように、定着装置100は、筒状部材の一例としての定着ベルト110と、加熱ユニット200と、バックアップ部材の一例としての加圧ローラ150と、ガイド部材170(図5参照)と、第1部材の一例としてのカバー部材300とを主に備えている。
【0042】
定着ベルト110は、耐熱性と可撓性を有する無端状(筒状)のフィルムであり、その両端部がガイド部材170(図5参照)により回転が案内されている。
【0043】
加熱ユニット200は、定着ベルト110の内部に配置され、主に、ハロゲンランプ120と、ニップ部材の一例としてのニップ板130と、反射板140と、第2部材の一例としてのステイ160とを備えている。
【0044】
ハロゲンランプ120は、ニップ板130および定着ベルト110を加熱することで用紙P上のトナーを加熱する公知の発熱体であり、定着ベルト110の内側において定着ベルト110およびニップ板130の内面から所定の間隔をあけて配置されている。
【0045】
ニップ板130は、ハロゲンランプ120からの輻射熱を受ける板状の部材であり、筒状の定着ベルト110の内面に摺接するように配置されている。そして、このニップ板130は、ハロゲンランプ120から受けた輻射熱を定着ベルト110を介して用紙P上のトナーに伝達する。
【0046】
このニップ板130は、後述するスチール製のステイ160より熱伝導率が大きい、例えば、アルミニウム板などを断面視略U形状に折り曲げることで形成されている。より詳細に、ニップ板130は、断面視において、前後方向(用紙Pの搬送方向)に沿うように延びるベース部131と、上方に向けて折り曲げられた折曲部132とを有している。
【0047】
なお、ベース部131の内面(上面)には、黒色の塗装を施したり、熱吸収部材を設けたりしてもよい。これによれば、ハロゲンランプ120からの輻射熱を効率良く吸収することができる。
【0048】
図3に示すように、ニップ板130のベース部131の左端部には、上方に開口した側面視U形状の係合部134が形成されている。係合部134のうち上方に折り曲げられた一対の側壁部134Aには、係合孔134Bが設けられている。
【0049】
図2に示すように、反射板140は、ハロゲンランプ120からの輻射熱(主に前後方向や上方向に向けて放射された輻射熱)をニップ板130に向けて反射する部材であり、定着ベルト110の内側においてハロゲンランプ120を取り囲むように、ハロゲンランプ120から所定の間隔をあけて配置されている。
【0050】
このような反射板140によってハロゲンランプ120からの輻射熱をニップ板130に集めることで、ハロゲンランプ120からの輻射熱を効率良く利用することができ、ニップ板130および定着ベルト110を速やかに加熱することができる。
【0051】
反射板140は、赤外線および遠赤外線の反射率が大きい、例えば、アルミニウム板などを断面視略U形状に湾曲させて形成されている。より詳細に、反射板140は、湾曲形状(断面視略U形状)をなす反射部141と、反射部141の両端部から前後方向外側に沿って延びるフランジ部142とを主に有している。なお、熱反射率を高めるため、反射板140は、鏡面仕上げを施したアルミニウム板などを用いて形成してもよい。
【0052】
図3に示すように、反射板140の左右方向(用紙Pの幅方向)の両端部にはフランジ状の係止部143が合計4つ形成されている(3つのみ図示)。係止部143は、フランジ部142より上方に位置し、ニップ板130、反射板140およびステイ160が組み立てられたときに、後述するステイ160の複数の接触部163を左右方向で挟むように配置される。これにより、ステイ160に対する反射板140の左右方向における位置ずれを抑制することが可能となっている。
【0053】
図2に示すように、加圧ローラ150は、弾性変形可能な部材であり、ニップ板130の下方に配置されている。そして、この加圧ローラ150は、弾性変形した状態でニップ板130との間で定着ベルト110を挟むことで定着ベルト110との間にニップ部を形成している。
【0054】
この加圧ローラ150は、本体筐体2内に設けられた図示しないモータから駆動力が伝達されて回転駆動するように構成されており、回転駆動することで定着ベルト110(または用紙P)との摩擦力により定着ベルト110を従動回転させる。
【0055】
トナー像が転写された用紙Pは、加圧ローラ150と加熱された定着ベルト110の間を搬送されることでトナー像が熱定着されることとなる。
【0056】
ステイ160は、カバー部材300とニップ板130との間に配置され、前後方向におけるニップ板130(ベース部131)の両端部を反射板140のフランジ部142を介して支持することでニップ板130の剛性を確保する部材である。ステイ160は、反射板140(反射部141)の外面形状に沿った形状(ニップ板130側に開放されたU字形状)を有して反射板140を覆うように配置されている。このようなステイ160は、比較的剛性が大きい、例えば、鋼板などを断面視略U形状に折り曲げることで形成されている。
【0057】
ステイ160のうち用紙Pの搬送方向で対向する一対の第2壁の一例としての前壁161および後壁162の下端には、図3に示すように、略櫛歯状をなすように形成された複数の接触部163が設けられている。
【0058】
また、ステイ160の前壁161および後壁162の右端部には、下方に向けて延び、さらに左方へ向けて延びる略L形状の係止部165が設けられている。これにより、各係止部165によって、ニップ板130の右端部が支持される。
【0059】
さらに、ステイ160の左端には、下方に開口した側面視略U形状の保持部167が設けられている。保持部167の各側壁部167Aの内面には、内側に向けて突出する係合ボス167B(一方のみ図示)が設けられている。そして、各係合ボス167Bがニップ板130の各係合孔134Bに係合することで、ニップ板130の左端部の係合部134がステイ160の保持部167によって保持される。
【0060】
図2および図3に示すように、ステイ160の前壁161および後壁162の内面の左右方向両端部には、内側に向けて突出する当接ボス168が合計4つ設けられている。この当接ボス168は、前後方向において反射板140(反射部141)に当接する。これにより、ステイ160によって反射板140が保持される。
【0061】
そして、ニップ板130および反射板140を保持するステイ160は、図4に示すカバー部材300によって保持され、このカバー部材300が、図5(a)に示すガイド部材170に固定されている。なお、カバー部材300については、後で詳述する。
【0062】
また、前述したハロゲンランプ120もガイド部材170に固定されている。すなわち、ガイド部材170は、ニップ板130、反射板140、ステイ160、カバー部材300およびハロゲンランプ120を一体的に支持している。
【0063】
ガイド部材170は、樹脂などの絶縁性の材料で形成され、定着ベルト110の両端側に1つずつ配置されて、主に定着ベルト110の端面の位置を規制している。具体的に、ガイド部材170は、定着ベルト110の左右方向への移動を規制する規制面171と、定着ベルト110の径方向内側への変形を抑えるための抑制部172と、カバー部材300の両端部を保持するための保持凹部173とを主に備えている。
【0064】
抑制部172は、規制面171から左右方向内側に突出するリブであり、開口を下に向けたC字状に形成されている。そして、この抑制部172は、定着ベルト110内に入り込むことで径方向内側への変形を抑えている。また、抑制部172の下側を向いた開口は、カバー部材300を保持凹部173に挿入させるための逃げ部となっている。
【0065】
保持凹部173は、下方に開口するとともに左右方向内側に開口する溝であり、図5(b),(c)に示すように、当該保持凹部173を形成する壁のうち前後方向で対向する一対の側壁174でカバー部材300を挟み込むように保持している。以上のように、ガイド部材170でカバー部材300が支持されることで、ニップ板130、反射板140およびステイ160がカバー部材300を介してガイド部材170に一体的に支持される。
【0066】
また、ガイド部材170の左右方向外側には、ハロゲンランプ120を固定するための固定部175が左右方向外側に突出するように形成されている。固定部175に固定されたハロゲンランプ120の端子は、レーザプリンタ1の本体筐体2の図示しない電源とフレキシブルな配線を介して電気的に接続されている。このように構成されるガイド部材170は、図6に示すように、カバー部材300やニップ板130等を支持した状態で、筐体180に上下に移動可能に支持されている。
【0067】
筐体180は、左右一対の側壁181と、側壁181の下部を連結する下壁182とを備えており、各側壁181には、ガイド部材170を上下に移動可能に支持する一対の支持部183が形成されている。また、筐体180の各側壁181には、加圧ローラ150が回転可能に支持されるとともに、付勢部材の一例としてのコイルバネ400と、揺動アーム410とが設けられている。
【0068】
コイルバネ400は、揺動アーム410、ガイド部材170およびカバー部材300等を介してニップ板130を加圧ローラ150へ向けて付勢させる引張りバネであり、一端が筐体180に固定されるとともに、他端が揺動アーム410の先端部411に固定されている。このコイルバネ400の付勢力によって、ニップ板130が定着ベルト110を介して加圧ローラ150に圧接されている。
【0069】
揺動アーム410は、筐体180に対して揺動可能(移動可能)に設けられており、揺動する先端部411と回転中心となる基端部412との間の中間部で、ガイド部材170を下方に押圧することで、当該ガイド部材170を介してカバー部材300の左右方向の両端部(延出部340)を下方に押圧するように構成されている。
【0070】
カバー部材300は、図4および図2に示すように、下方(ニップ板130側)に開放されたU字形状に形成された金属製の部材であり、定着ベルト110の内部において、ニップ板130の上側(加圧ローラ150とは反対側)に配置されている。具体的に、カバー部材300は、ステイ160と同等以上の剛性となっており、上壁部310と、一対の第1壁の一例としての前壁部320および後壁部330とを有している。
【0071】
上壁部310は、左右方向に延びる長尺の板状に形成されており、その左右方向中央部には、コイルバネ400からカバー部材300の両端部に加わった付勢力をステイ160の左右方向中央部に伝達する伝達部材の一例としての第1突起311が、下方(ステイ160側)に向けて突出するように形成されている。これにより、図7(a),(b)に示すように、カバー部材300の両端部に加わった付勢力が第1突起311によってステイ160の中央部に集中的に伝達されるので、ステイ160および当該ステイ160に支持されたニップ板130を加圧ローラ150が撓む方向と同じ方向に撓ませることができ、ニップ部の幅を略均一にすることが可能となっている。
【0072】
ここで、加圧ローラ150は、その両端にコイルバネ400の付勢力に起因した力が筐体180から上方に向けて加わることで、その力が加わる点よりも少し内側の点(ニップ板130との接触点)を支点として中央部が下方に凹むように撓む。また、ニップ板130は、ステイ160で支持されることで、ステイ160とともに変形するようになっている。そのため、前述したように、ステイ160およびニップ板130が加圧ローラ150が撓む方向と同じ方向に撓むようになっている。
【0073】
また、図4および図2に示すように、第1突起311は、前後方向に間隔を空けて2つ(複数)設けられている。これにより、ステイ160の中央部を前後方向でバランスよく押すことができるので、ステイ160や当該ステイ160に支持されるニップ板130を適正な形状に変形させることが可能となっている。
【0074】
特に、本実施形態では、2つの第1突起311は、上壁部310の前後方向中央部に対して対称になる位置に設けられている。そのため、ステイ160の中央部を前後方向でよりバランスよく押圧することが可能となっている。
【0075】
さらに、第1突起311は、カバー部材300の上壁部310に一体に形成されている。これにより、例えばコイルバネ400からの付勢力をステイ160の左右方向中央部に伝達する伝達部材をカバー部材300とは別部材とする構造に比べ、部品点数を少なくすることが可能となっている。
【0076】
また、第1突起311、すなわちカバー部材300の一部がステイ160に接触することにより、カバー部材300とステイ160の接触面積を小さくすることができるので、ステイ160からカバー部材300へ熱が逃げるのを抑えることができ、ニップ板130の加熱速度を上げることが可能となっている。
【0077】
特に、本実施形態では、第1突起311の先端が半球状に形成されている。これにより、第1突起311とステイ160とが点接触するので、ステイ160からカバー部材300へ伝わる熱量をより低減することが可能となっている。
【0078】
また、上壁部310の左右方向両端側には、下方(ステイ160側)へ向けて突出する第2突起312が設けられている。この第2突起312は、第1突起311よりも低くなるように形成されている。
【0079】
これにより、図7(a),(b)に示すように、第1突起311による押圧によってステイ160が変形しすぎるのを左右の第2突起312で抑えることができるので、ステイ160およびニップ板130を適正な形状に変形させることが可能となっている。
【0080】
また、図4および図2に示すように、左右の第2突起312は、前述した第1突起311と同様に、それぞれ前後方向に間隔を空けて2つ(複数)設けられている。具体的には、前後に並ぶ2つの第2突起312は、上壁部310の前後方向中央部に対して対称になる位置に設けられている。
【0081】
これにより、ステイ160の両端側の変形を前後方向でバランスよく規制することができるので、ステイ160およびニップ板130を適正な形状に変形させることが可能となっている。
【0082】
さらに、第2突起312は、前述した第1突起311と同様に、カバー部材300の上壁部310に一体に形成されるとともに、先端が半球状となってステイ160と点接触している。これにより、第2突起312によっても、前述した第1突起311と同様の効果(部品点数の削減およびニップ板130の加熱速度の向上)を奏するようになっている。
【0083】
前壁部320および後壁部330は、前後方向で対向するように、上壁部310の前後端から下方に向けて延びるように形成されている。そして、前壁部320および後壁部330の左右方向の両端側には、前後方向内側に向けて突出する第3突起323,333が合計4つ形成されている。
【0084】
そして、カバー部材300は、ステイ160に被さるように配置され、当該ステイ160に接触する各第3突起323,333によってステイ160を前後方向で挟み込んでいる。これにより、カバー部材300でステイ160を保持することが可能となっている。
【0085】
また、各第3突起323,333、すなわちカバー部材300の一部がステイ160に接触するので、例えば前壁部320および後壁部330の面でステイ160を挟み込むことで前後方向の位置決めを行うものに比べ、位置精度を向上させることが可能となっている。さらに、各第3突起323,333、すなわちカバー部材300の一部がステイ160に接触することで、カバー部材300とステイ160の接触面積を小さくすることができるので、カバー部材300とステイ160の接触部分による熱伝導量を低減することができ、ニップ板130の加熱速度を上げることが可能となっている。
【0086】
また、本実施形態では、各第3突起323,333の先端が半球状に形成されている。これにより、各第3突起323,333とステイ160とが点接触するので、熱伝導量をより低減することが可能となっている。
【0087】
また、前壁部320および後壁部330の下端は、ニップ板130から離れるように形成されている。これにより、ニップ板130の熱がカバー部材300に逃げるのを防止することが可能となっている。
【0088】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0089】
前記実施形態では、第1突起311および左右の第2突起312を前後方向に間隔を空くように2つ設けたが、本発明はこれに限定されず、前後方向に間隔を空けて3つ以上設けてもよい。また、図8に示すように、第1突起313および第2突起314を、前後方向に沿う長尺状に形成してもよい。
【0090】
この場合であっても、長尺状の第1突起313によってステイ160の中央部を搬送方向でバランスよく押すことができるとともに、長尺状の第2突起314によってステイ160の両端側の変形を搬送方向でバランスよく規制することができるので、前記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0091】
前記実施形態では、カバー部材300に第1突起311を一体に形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、カバー部材300に捩じ込まれて進退可能な螺合部材の一例としてのネジ500の先端部510(カバー部材300とステイ160の間に位置する部分)で第1突起を構成してもよい。
【0092】
これによれば、ネジ500の捩じ込み量を調整することで、第1突起の高さを簡単に調整することができるので、ステイ160の変形を簡単に微調整することができる。なお、第2突起も同様に、ネジの先端部で構成してもよい。また、螺合部材としては、ネジ500に限定されず、例えばボルトなどであってもよい。
【0093】
また、図10に示すように、カバー部材300とステイ160を、ネジ500によって共締めしてもよい。これによれば、カバー部材300とステイ160の位置関係を一定に保つことができる。
【0094】
なお、図10に示す形態では、ネジ500のうちカバー部材300とステイ160の間の部分が伝達部材に相当し、当該部分で付勢力の伝達が行われるが、本発明はこれに限定されず、伝達部材とは別に設けた螺合部材でカバー部材とステイを共締めしてもよい。例えば、前記実施形態におけるカバー部材300とステイ160を、図7(b)に示す状態で共締めしてもよい。
【0095】
前記実施形態では、第1突起311、第2突起312および第3突起323,333をカバー部材300(第1部材)に形成したが、本発明はこれに限定されず、図11に示すように、ステイ160(第2部材)に第1突起610、第2突起620および第3突起630を設けてもよい。
【0096】
前記実施形態では、第1突起311と第2突起312を設けたが、本発明はこれに限定されず、第2突起312は必ずしも設けなくてもよい。この場合であっても、第1突起311で中央部が押圧されて変形するステイ160の形状(曲率)は、当該ステイ160の材質と長さと断面形状とだけで略決まるので、所望の形状にすることができる。ただし、第2突起312を設けた方が、より確実にステイ160を所望の形状にすることができる。
【0097】
前記実施形態では、ニップ部材の一例としてニップ板130を例示したが、本発明はこれに限定されず、板状でない厚めの部材を採用してもよい。
【0098】
前記実施形態では、付勢部材の一例としてのコイルバネ400を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、板バネや線バネなどであってもよい。また、前記実施形態では、付勢部材(コイルバネ400)を揺動アーム410と定着装置100の筐体180との間に設けたが、本発明はこれに限定されず、例えば揺動アームと装置本体との間に設けてもよい。
【0099】
前記実施形態では、記録シートの一例として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Pを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
【0100】
前記実施形態では、バックアップ部材として加圧ローラ150を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ベルト状の加圧部材などであってもよい。
【符号の説明】
【0101】
100 定着装置
110 定着ベルト
130 ニップ板
150 加圧ローラ
160 ステイ
300 カバー部材
311 第1突起
340 延出部
400 コイルバネ
P 用紙
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録シートに現像剤像を熱定着するための定着装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、定着装置として、可撓性の筒状部材と、筒状部材の内部に配置されたニップ部材と、ニップ部材との間で筒状部材を挟んでニップ部を形成する加圧ローラと、ニップ部材を加圧ローラの反対側から支持する剛性の高いステイと、を有するものが知られている(特許文献1参照)。この技術では、付勢部材によって、ステイの両端部(筒状部材の軸方向における両端部)が加圧ローラに向けて付勢されることで、ニップ部材が筒状部材を介して加圧ローラに圧接されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2011−137933号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来技術では、付勢部材によってステイの両端部を付勢するので、付勢力が作用する点よりも少し内側の点が支点となって、ステイの中央部が加圧ローラから離れるように撓んでしまうことがある。一方、加圧ローラも、当該加圧ローラの両端を支持する筐体から反力を受けることで、反力が作用する点(加圧ローラの両端)よりも少し内側の点が支点となって、加圧ローラの中央部がステイから離れるように撓んでしまうことがある。
【0005】
そして、このように各中央部が撓むと、ニップ部の幅が、中央部では小さく、両端部では大きくなってしまうので、ニップ部を通過する記録シートが正常に搬送されなかったり、定着品質が低下するという問題があった。
【0006】
そこで、本発明は、ニップ幅を略均一にすることができる定着装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決する本発明は、記録シートに現像剤像を熱定着するための定着装置であって、可撓性の筒状部材と、前記筒状部材の内部に配置されるニップ部材と、前記ニップ部材との間で前記筒状部材を挟んでニップ部を形成するバックアップ部材とを備える。
また、定着装置は、前記筒状部材の内部に配置され、前記ニップ部材の前記バックアップ部材とは反対側に配置される第1部材と、前記第1部材と前記ニップ部材との間に配置される第2部材と、前記第1部材の前記記録シートの幅方向における両端部を、前記バックアップ部材に向けて付勢することで、前記第1部材および第2部材を介して前記ニップ部材を前記バックアップ部材側に押圧する付勢部材と、を備える。
そして、前記第1部材と前記第2部材との間には、前記付勢部材から前記第1部材に加わった付勢力を前記第2部材の前記幅方向における中央部に伝達する伝達部材が設けられている。
【0008】
この構成によれば、第1部材の両端部に加わった付勢力が伝達部材によって第2部材の中央部に集中的に伝達されるので、第2部材およびニップ部材をバックアップ部材が撓む方向と同じ方向に撓ませることができ、ニップ部の幅を略均一にすることができる。
【0009】
また、前記した構成において、前記伝達部材は、前記第1部材および前記第2部材の一方の部材に他方の部材へ向けて突出する第1突起であるのが望ましい。
【0010】
これによれば、伝達部材を突起とすることで、例えば第1部材と第2部材とに面接触するような伝達部材と比べ、第1部材と第2部材の接触面積を小さくすることができるので、第1部材と第2部材の接触部分による熱伝導量を低減することができ、ニップ部材の加熱速度を上げることができる。
【0011】
また、前記した構成において、前記一方の部材の前記幅方向両端側には、前記他方の部材へ向けて突出する第2突起が設けられ、前記第1突起は、前記第2突起よりも前記他方の部材側へ突出しているのが望ましい。
【0012】
これによれば、第2部材が変形しすぎるのを第2突起で抑えることができるので、第2部材とともに変形するニップ部材を適正な形状に変形させることができる。
【0013】
また、前記した構成において、前記第1突起は、前記記録シートの搬送方向に間隔を空けて複数設けられているのが望ましい。
【0014】
これによれば、第2部材の中央部を搬送方向でバランスよく押すことができるので、第2部材およびニップ部材を適正な形状に変形させることができる。
【0015】
また、前記した構成において、前記第2突起は、前記記録シートの搬送方向に間隔を空けて複数設けられているのが望ましい。
【0016】
これによれば、第2部材の両端側の変形を搬送方向でバランスよく規制することができるので、第2部材およびニップ部材を適正な形状に変形させることができる。
【0017】
また、前記した構成において、前記第1突起は、前記記録シートの搬送方向に沿う長尺状に形成されていてもよい。
【0018】
これによっても、第2部材の中央部を搬送方向でバランスよく押すことができるので、第2部材およびニップ部材を適正な形状に変形させることができる。
【0019】
また、前記した構成において、前記第2突起は、前記記録シートの搬送方向に沿う長尺状に形成されていてもよい。
【0020】
これによっても、第2部材の両端側の変形を搬送方向でバランスよく規制することができるので、第2部材およびニップ部材を適正な形状に変形させることができる。
【0021】
また、前記した構成において、前記第1突起は、前記一方の部材に捩じ込まれて進退可能な螺合部材の先端部で構成されていてもよい。
【0022】
これによれば、螺合部材の捩じ込み量を調整することで、第1突起の高さを簡単に調整することができる。
【0023】
また、前記した構成において、前記第1部材と前記第2部材が、螺合部材によって共締めされていてもよい。
【0024】
これによれば、第1部材と第2部材の位置関係を一定に保つことができる。
【0025】
また、前記した構成において、前記第1部材および前記第2部材は、前記ニップ部材側に開放されたU字形状となるように構成され、前記第1部材は、前記第2部材に被さるように配置され、当該第2部材を前記記録シートの搬送方向で挟み込んでいるのが望ましい。
【0026】
これによれば、第1部材と第2部材の記録シートの搬送方向における位置関係を一定に保つことができる。
【0027】
また、前記した構成において、前記第1部材のうち前記搬送方向で対向する一対の第1壁、または、前記第2部材のうち前記搬送方向で対向する一対の第2壁には、前記搬送方向に突出する第3突起が設けられ、前記第1部材と前記第2部材が前記第3突起において接触しているのが望ましい。
【0028】
これによれば、記録シートの搬送方向の位置決めを第3突起で行うので、面で当てて位置決めを行うものに比べ、位置精度を向上させることができる。また、接触部分が突起となることで第1部材と第2部材の接触面積を小さくすることができるので、第1部材と第2部材の接触部分による熱伝導量を低減することができ、ニップ部材の加熱速度を上げることができる。
【発明の効果】
【0029】
本発明によれば、第2部材およびニップ部材をバックアップ部材が撓む方向と同じ方向に撓ませることができるので、ニップ幅を略均一にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0030】
【図1】本発明の実施形態に係る定着装置を備えたレーザプリンタの概略構成を示す図である。
【図2】本発明の実施形態に係る定着装置の概略構成を示す図である。
【図3】加熱ユニットを分解して示す分解斜視図である。
【図4】カバー部材を示す斜視図である。
【図5】ガイド部材を上側から見た斜視図(a)と、ステイを組み付けたガイド部材を下側から見た斜視図(b)および下面図(c)である。
【図6】定着装置を簡略化するとともに分解して示す分解斜視図である。
【図7】カバー部材でステイを押圧したときの各部材の状態を簡略的に示す図(a),(b)である。
【図8】第1突起および第2突起を長尺状に形成した形態を示す下面図である。
【図9】第1突起をネジの先端部で構成した形態を簡略的に示す図である。
【図10】カバー部材とステイをネジで共締めした形態を簡略的に示す図である。
【図11】第1突起および第2突起をステイに形成した形態を簡略的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0031】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。なお、以下の説明では、まず、本発明の実施形態に係る定着装置100を備えたレーザプリンタ1(画像形成装置)の概略構成について説明した後、定着装置100の詳細な構成について説明する。
【0032】
<レーザプリンタの概略構成>
図1に示すように、レーザプリンタ1は、本体筐体2内に、記録シートの一例としての用紙Pを供給する給紙部3と、露光装置4と、用紙P上にトナー像(現像剤像)を転写するプロセスカートリッジ5と、用紙P上のトナー像を熱定着する定着装置100とを主に備えている。
【0033】
なお、以下の説明において、方向は、レーザプリンタを使用するユーザを基準にした方向で説明する。すなわち、図1における右側を「前」、左側を「後」とし、手前側を「左」、奥側を「右」とする。また、図1における上下方向を「上下」とする。
【0034】
給紙部3は、本体筐体2内の下部に設けられ、用紙Pを収容する給紙トレイ31と、用紙Pの前側を持ち上げる用紙押圧板32と、給紙ローラ33と、給紙パット34と、紙粉取りローラ35,36と、レジストローラ37とを主に備えている。給紙トレイ31内の用紙Pは、用紙押圧板32によって給紙ローラ33に寄せられ、給紙ローラ33と給紙パット34によって1枚ずつ分離され、紙粉取りローラ35,36およびレジストローラ37を通ってプロセスカートリッジ5に向けて搬送される。
【0035】
露光装置4は、本体筐体2内の上部に配置され、レーザ発光部(図示せず)と、回転駆動するポリゴンミラー41と、レンズ42,43と、反射鏡44,45,46とを主に備えている。露光装置4では、レーザ発光部から出射される画像データに基づくレーザ光(鎖線参照)が、ポリゴンミラー41、レンズ42、反射鏡44,45、レンズ43、反射鏡46の順に反射または通過して、感光体ドラム61の表面で高速走査される。
【0036】
プロセスカートリッジ5は、露光装置4の下方に配置され、本体筐体2に設けられたフロントカバー21を開いたときにできる開口から本体筐体2に対して着脱可能に装着される構成となっている。このプロセスカートリッジ5は、ドラムユニット6と、現像ユニット7とから構成されている。
【0037】
ドラムユニット6は、感光体ドラム61と、帯電器62と、転写ローラ63とを主に備えている。また、現像ユニット7は、ドラムユニット6に対して着脱可能に装着される構成となっており、現像ローラ71と、供給ローラ72と、層厚規制ブレード73と、トナーを収容するトナー収容部74とを主に備えている。
【0038】
プロセスカートリッジ5では、感光体ドラム61の表面が、帯電器62により一様に帯電された後、露光装置4からのレーザ光の高速走査によって露光されることで、感光体ドラム61上に画像データに基づく静電潜像が形成される。また、トナー収容部74内のトナーは、供給ローラ72を介して現像ローラ71に供給され、現像ローラ71と層厚規制ブレード73の間に進入して一定厚さの薄層として現像ローラ71上に担持される。
【0039】
現像ローラ71上に担持されたトナーは、現像ローラ71から感光体ドラム61上に形成された静電潜像に供給される。これにより、静電潜像が可視像化され、感光体ドラム61上にトナー像が形成される。その後、感光体ドラム61と転写ローラ63の間を用紙Pが搬送されることで感光体ドラム61上のトナー像が用紙P上に転写される。
【0040】
定着装置100は、プロセスカートリッジ5の後方に設けられている。用紙P上に転写されたトナー像は、定着装置100を通過することで用紙P上に熱定着される。トナー像が熱定着された用紙Pは、搬送ローラ23,24によって排紙トレイ22に排出される。
【0041】
<定着装置の詳細構成>
図2に示すように、定着装置100は、筒状部材の一例としての定着ベルト110と、加熱ユニット200と、バックアップ部材の一例としての加圧ローラ150と、ガイド部材170(図5参照)と、第1部材の一例としてのカバー部材300とを主に備えている。
【0042】
定着ベルト110は、耐熱性と可撓性を有する無端状(筒状)のフィルムであり、その両端部がガイド部材170(図5参照)により回転が案内されている。
【0043】
加熱ユニット200は、定着ベルト110の内部に配置され、主に、ハロゲンランプ120と、ニップ部材の一例としてのニップ板130と、反射板140と、第2部材の一例としてのステイ160とを備えている。
【0044】
ハロゲンランプ120は、ニップ板130および定着ベルト110を加熱することで用紙P上のトナーを加熱する公知の発熱体であり、定着ベルト110の内側において定着ベルト110およびニップ板130の内面から所定の間隔をあけて配置されている。
【0045】
ニップ板130は、ハロゲンランプ120からの輻射熱を受ける板状の部材であり、筒状の定着ベルト110の内面に摺接するように配置されている。そして、このニップ板130は、ハロゲンランプ120から受けた輻射熱を定着ベルト110を介して用紙P上のトナーに伝達する。
【0046】
このニップ板130は、後述するスチール製のステイ160より熱伝導率が大きい、例えば、アルミニウム板などを断面視略U形状に折り曲げることで形成されている。より詳細に、ニップ板130は、断面視において、前後方向(用紙Pの搬送方向)に沿うように延びるベース部131と、上方に向けて折り曲げられた折曲部132とを有している。
【0047】
なお、ベース部131の内面(上面)には、黒色の塗装を施したり、熱吸収部材を設けたりしてもよい。これによれば、ハロゲンランプ120からの輻射熱を効率良く吸収することができる。
【0048】
図3に示すように、ニップ板130のベース部131の左端部には、上方に開口した側面視U形状の係合部134が形成されている。係合部134のうち上方に折り曲げられた一対の側壁部134Aには、係合孔134Bが設けられている。
【0049】
図2に示すように、反射板140は、ハロゲンランプ120からの輻射熱(主に前後方向や上方向に向けて放射された輻射熱)をニップ板130に向けて反射する部材であり、定着ベルト110の内側においてハロゲンランプ120を取り囲むように、ハロゲンランプ120から所定の間隔をあけて配置されている。
【0050】
このような反射板140によってハロゲンランプ120からの輻射熱をニップ板130に集めることで、ハロゲンランプ120からの輻射熱を効率良く利用することができ、ニップ板130および定着ベルト110を速やかに加熱することができる。
【0051】
反射板140は、赤外線および遠赤外線の反射率が大きい、例えば、アルミニウム板などを断面視略U形状に湾曲させて形成されている。より詳細に、反射板140は、湾曲形状(断面視略U形状)をなす反射部141と、反射部141の両端部から前後方向外側に沿って延びるフランジ部142とを主に有している。なお、熱反射率を高めるため、反射板140は、鏡面仕上げを施したアルミニウム板などを用いて形成してもよい。
【0052】
図3に示すように、反射板140の左右方向(用紙Pの幅方向)の両端部にはフランジ状の係止部143が合計4つ形成されている(3つのみ図示)。係止部143は、フランジ部142より上方に位置し、ニップ板130、反射板140およびステイ160が組み立てられたときに、後述するステイ160の複数の接触部163を左右方向で挟むように配置される。これにより、ステイ160に対する反射板140の左右方向における位置ずれを抑制することが可能となっている。
【0053】
図2に示すように、加圧ローラ150は、弾性変形可能な部材であり、ニップ板130の下方に配置されている。そして、この加圧ローラ150は、弾性変形した状態でニップ板130との間で定着ベルト110を挟むことで定着ベルト110との間にニップ部を形成している。
【0054】
この加圧ローラ150は、本体筐体2内に設けられた図示しないモータから駆動力が伝達されて回転駆動するように構成されており、回転駆動することで定着ベルト110(または用紙P)との摩擦力により定着ベルト110を従動回転させる。
【0055】
トナー像が転写された用紙Pは、加圧ローラ150と加熱された定着ベルト110の間を搬送されることでトナー像が熱定着されることとなる。
【0056】
ステイ160は、カバー部材300とニップ板130との間に配置され、前後方向におけるニップ板130(ベース部131)の両端部を反射板140のフランジ部142を介して支持することでニップ板130の剛性を確保する部材である。ステイ160は、反射板140(反射部141)の外面形状に沿った形状(ニップ板130側に開放されたU字形状)を有して反射板140を覆うように配置されている。このようなステイ160は、比較的剛性が大きい、例えば、鋼板などを断面視略U形状に折り曲げることで形成されている。
【0057】
ステイ160のうち用紙Pの搬送方向で対向する一対の第2壁の一例としての前壁161および後壁162の下端には、図3に示すように、略櫛歯状をなすように形成された複数の接触部163が設けられている。
【0058】
また、ステイ160の前壁161および後壁162の右端部には、下方に向けて延び、さらに左方へ向けて延びる略L形状の係止部165が設けられている。これにより、各係止部165によって、ニップ板130の右端部が支持される。
【0059】
さらに、ステイ160の左端には、下方に開口した側面視略U形状の保持部167が設けられている。保持部167の各側壁部167Aの内面には、内側に向けて突出する係合ボス167B(一方のみ図示)が設けられている。そして、各係合ボス167Bがニップ板130の各係合孔134Bに係合することで、ニップ板130の左端部の係合部134がステイ160の保持部167によって保持される。
【0060】
図2および図3に示すように、ステイ160の前壁161および後壁162の内面の左右方向両端部には、内側に向けて突出する当接ボス168が合計4つ設けられている。この当接ボス168は、前後方向において反射板140(反射部141)に当接する。これにより、ステイ160によって反射板140が保持される。
【0061】
そして、ニップ板130および反射板140を保持するステイ160は、図4に示すカバー部材300によって保持され、このカバー部材300が、図5(a)に示すガイド部材170に固定されている。なお、カバー部材300については、後で詳述する。
【0062】
また、前述したハロゲンランプ120もガイド部材170に固定されている。すなわち、ガイド部材170は、ニップ板130、反射板140、ステイ160、カバー部材300およびハロゲンランプ120を一体的に支持している。
【0063】
ガイド部材170は、樹脂などの絶縁性の材料で形成され、定着ベルト110の両端側に1つずつ配置されて、主に定着ベルト110の端面の位置を規制している。具体的に、ガイド部材170は、定着ベルト110の左右方向への移動を規制する規制面171と、定着ベルト110の径方向内側への変形を抑えるための抑制部172と、カバー部材300の両端部を保持するための保持凹部173とを主に備えている。
【0064】
抑制部172は、規制面171から左右方向内側に突出するリブであり、開口を下に向けたC字状に形成されている。そして、この抑制部172は、定着ベルト110内に入り込むことで径方向内側への変形を抑えている。また、抑制部172の下側を向いた開口は、カバー部材300を保持凹部173に挿入させるための逃げ部となっている。
【0065】
保持凹部173は、下方に開口するとともに左右方向内側に開口する溝であり、図5(b),(c)に示すように、当該保持凹部173を形成する壁のうち前後方向で対向する一対の側壁174でカバー部材300を挟み込むように保持している。以上のように、ガイド部材170でカバー部材300が支持されることで、ニップ板130、反射板140およびステイ160がカバー部材300を介してガイド部材170に一体的に支持される。
【0066】
また、ガイド部材170の左右方向外側には、ハロゲンランプ120を固定するための固定部175が左右方向外側に突出するように形成されている。固定部175に固定されたハロゲンランプ120の端子は、レーザプリンタ1の本体筐体2の図示しない電源とフレキシブルな配線を介して電気的に接続されている。このように構成されるガイド部材170は、図6に示すように、カバー部材300やニップ板130等を支持した状態で、筐体180に上下に移動可能に支持されている。
【0067】
筐体180は、左右一対の側壁181と、側壁181の下部を連結する下壁182とを備えており、各側壁181には、ガイド部材170を上下に移動可能に支持する一対の支持部183が形成されている。また、筐体180の各側壁181には、加圧ローラ150が回転可能に支持されるとともに、付勢部材の一例としてのコイルバネ400と、揺動アーム410とが設けられている。
【0068】
コイルバネ400は、揺動アーム410、ガイド部材170およびカバー部材300等を介してニップ板130を加圧ローラ150へ向けて付勢させる引張りバネであり、一端が筐体180に固定されるとともに、他端が揺動アーム410の先端部411に固定されている。このコイルバネ400の付勢力によって、ニップ板130が定着ベルト110を介して加圧ローラ150に圧接されている。
【0069】
揺動アーム410は、筐体180に対して揺動可能(移動可能)に設けられており、揺動する先端部411と回転中心となる基端部412との間の中間部で、ガイド部材170を下方に押圧することで、当該ガイド部材170を介してカバー部材300の左右方向の両端部(延出部340)を下方に押圧するように構成されている。
【0070】
カバー部材300は、図4および図2に示すように、下方(ニップ板130側)に開放されたU字形状に形成された金属製の部材であり、定着ベルト110の内部において、ニップ板130の上側(加圧ローラ150とは反対側)に配置されている。具体的に、カバー部材300は、ステイ160と同等以上の剛性となっており、上壁部310と、一対の第1壁の一例としての前壁部320および後壁部330とを有している。
【0071】
上壁部310は、左右方向に延びる長尺の板状に形成されており、その左右方向中央部には、コイルバネ400からカバー部材300の両端部に加わった付勢力をステイ160の左右方向中央部に伝達する伝達部材の一例としての第1突起311が、下方(ステイ160側)に向けて突出するように形成されている。これにより、図7(a),(b)に示すように、カバー部材300の両端部に加わった付勢力が第1突起311によってステイ160の中央部に集中的に伝達されるので、ステイ160および当該ステイ160に支持されたニップ板130を加圧ローラ150が撓む方向と同じ方向に撓ませることができ、ニップ部の幅を略均一にすることが可能となっている。
【0072】
ここで、加圧ローラ150は、その両端にコイルバネ400の付勢力に起因した力が筐体180から上方に向けて加わることで、その力が加わる点よりも少し内側の点(ニップ板130との接触点)を支点として中央部が下方に凹むように撓む。また、ニップ板130は、ステイ160で支持されることで、ステイ160とともに変形するようになっている。そのため、前述したように、ステイ160およびニップ板130が加圧ローラ150が撓む方向と同じ方向に撓むようになっている。
【0073】
また、図4および図2に示すように、第1突起311は、前後方向に間隔を空けて2つ(複数)設けられている。これにより、ステイ160の中央部を前後方向でバランスよく押すことができるので、ステイ160や当該ステイ160に支持されるニップ板130を適正な形状に変形させることが可能となっている。
【0074】
特に、本実施形態では、2つの第1突起311は、上壁部310の前後方向中央部に対して対称になる位置に設けられている。そのため、ステイ160の中央部を前後方向でよりバランスよく押圧することが可能となっている。
【0075】
さらに、第1突起311は、カバー部材300の上壁部310に一体に形成されている。これにより、例えばコイルバネ400からの付勢力をステイ160の左右方向中央部に伝達する伝達部材をカバー部材300とは別部材とする構造に比べ、部品点数を少なくすることが可能となっている。
【0076】
また、第1突起311、すなわちカバー部材300の一部がステイ160に接触することにより、カバー部材300とステイ160の接触面積を小さくすることができるので、ステイ160からカバー部材300へ熱が逃げるのを抑えることができ、ニップ板130の加熱速度を上げることが可能となっている。
【0077】
特に、本実施形態では、第1突起311の先端が半球状に形成されている。これにより、第1突起311とステイ160とが点接触するので、ステイ160からカバー部材300へ伝わる熱量をより低減することが可能となっている。
【0078】
また、上壁部310の左右方向両端側には、下方(ステイ160側)へ向けて突出する第2突起312が設けられている。この第2突起312は、第1突起311よりも低くなるように形成されている。
【0079】
これにより、図7(a),(b)に示すように、第1突起311による押圧によってステイ160が変形しすぎるのを左右の第2突起312で抑えることができるので、ステイ160およびニップ板130を適正な形状に変形させることが可能となっている。
【0080】
また、図4および図2に示すように、左右の第2突起312は、前述した第1突起311と同様に、それぞれ前後方向に間隔を空けて2つ(複数)設けられている。具体的には、前後に並ぶ2つの第2突起312は、上壁部310の前後方向中央部に対して対称になる位置に設けられている。
【0081】
これにより、ステイ160の両端側の変形を前後方向でバランスよく規制することができるので、ステイ160およびニップ板130を適正な形状に変形させることが可能となっている。
【0082】
さらに、第2突起312は、前述した第1突起311と同様に、カバー部材300の上壁部310に一体に形成されるとともに、先端が半球状となってステイ160と点接触している。これにより、第2突起312によっても、前述した第1突起311と同様の効果(部品点数の削減およびニップ板130の加熱速度の向上)を奏するようになっている。
【0083】
前壁部320および後壁部330は、前後方向で対向するように、上壁部310の前後端から下方に向けて延びるように形成されている。そして、前壁部320および後壁部330の左右方向の両端側には、前後方向内側に向けて突出する第3突起323,333が合計4つ形成されている。
【0084】
そして、カバー部材300は、ステイ160に被さるように配置され、当該ステイ160に接触する各第3突起323,333によってステイ160を前後方向で挟み込んでいる。これにより、カバー部材300でステイ160を保持することが可能となっている。
【0085】
また、各第3突起323,333、すなわちカバー部材300の一部がステイ160に接触するので、例えば前壁部320および後壁部330の面でステイ160を挟み込むことで前後方向の位置決めを行うものに比べ、位置精度を向上させることが可能となっている。さらに、各第3突起323,333、すなわちカバー部材300の一部がステイ160に接触することで、カバー部材300とステイ160の接触面積を小さくすることができるので、カバー部材300とステイ160の接触部分による熱伝導量を低減することができ、ニップ板130の加熱速度を上げることが可能となっている。
【0086】
また、本実施形態では、各第3突起323,333の先端が半球状に形成されている。これにより、各第3突起323,333とステイ160とが点接触するので、熱伝導量をより低減することが可能となっている。
【0087】
また、前壁部320および後壁部330の下端は、ニップ板130から離れるように形成されている。これにより、ニップ板130の熱がカバー部材300に逃げるのを防止することが可能となっている。
【0088】
なお、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように様々な形態で利用できる。以下の説明においては、前記実施形態と略同様の構造となる部材には同一の符号を付し、その説明は省略する。
【0089】
前記実施形態では、第1突起311および左右の第2突起312を前後方向に間隔を空くように2つ設けたが、本発明はこれに限定されず、前後方向に間隔を空けて3つ以上設けてもよい。また、図8に示すように、第1突起313および第2突起314を、前後方向に沿う長尺状に形成してもよい。
【0090】
この場合であっても、長尺状の第1突起313によってステイ160の中央部を搬送方向でバランスよく押すことができるとともに、長尺状の第2突起314によってステイ160の両端側の変形を搬送方向でバランスよく規制することができるので、前記実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0091】
前記実施形態では、カバー部材300に第1突起311を一体に形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、図9に示すように、カバー部材300に捩じ込まれて進退可能な螺合部材の一例としてのネジ500の先端部510(カバー部材300とステイ160の間に位置する部分)で第1突起を構成してもよい。
【0092】
これによれば、ネジ500の捩じ込み量を調整することで、第1突起の高さを簡単に調整することができるので、ステイ160の変形を簡単に微調整することができる。なお、第2突起も同様に、ネジの先端部で構成してもよい。また、螺合部材としては、ネジ500に限定されず、例えばボルトなどであってもよい。
【0093】
また、図10に示すように、カバー部材300とステイ160を、ネジ500によって共締めしてもよい。これによれば、カバー部材300とステイ160の位置関係を一定に保つことができる。
【0094】
なお、図10に示す形態では、ネジ500のうちカバー部材300とステイ160の間の部分が伝達部材に相当し、当該部分で付勢力の伝達が行われるが、本発明はこれに限定されず、伝達部材とは別に設けた螺合部材でカバー部材とステイを共締めしてもよい。例えば、前記実施形態におけるカバー部材300とステイ160を、図7(b)に示す状態で共締めしてもよい。
【0095】
前記実施形態では、第1突起311、第2突起312および第3突起323,333をカバー部材300(第1部材)に形成したが、本発明はこれに限定されず、図11に示すように、ステイ160(第2部材)に第1突起610、第2突起620および第3突起630を設けてもよい。
【0096】
前記実施形態では、第1突起311と第2突起312を設けたが、本発明はこれに限定されず、第2突起312は必ずしも設けなくてもよい。この場合であっても、第1突起311で中央部が押圧されて変形するステイ160の形状(曲率)は、当該ステイ160の材質と長さと断面形状とだけで略決まるので、所望の形状にすることができる。ただし、第2突起312を設けた方が、より確実にステイ160を所望の形状にすることができる。
【0097】
前記実施形態では、ニップ部材の一例としてニップ板130を例示したが、本発明はこれに限定されず、板状でない厚めの部材を採用してもよい。
【0098】
前記実施形態では、付勢部材の一例としてのコイルバネ400を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、板バネや線バネなどであってもよい。また、前記実施形態では、付勢部材(コイルバネ400)を揺動アーム410と定着装置100の筐体180との間に設けたが、本発明はこれに限定されず、例えば揺動アームと装置本体との間に設けてもよい。
【0099】
前記実施形態では、記録シートの一例として、厚紙、はがき、薄紙などの用紙Pを採用したが、本発明はこれに限定されず、例えばOHPシートであってもよい。
【0100】
前記実施形態では、バックアップ部材として加圧ローラ150を例示したが、本発明はこれに限定されず、例えば、ベルト状の加圧部材などであってもよい。
【符号の説明】
【0101】
100 定着装置
110 定着ベルト
130 ニップ板
150 加圧ローラ
160 ステイ
300 カバー部材
311 第1突起
340 延出部
400 コイルバネ
P 用紙
【特許請求の範囲】
【請求項1】
記録シートに現像剤像を熱定着するための定着装置であって、
可撓性の筒状部材と、
前記筒状部材の内部に配置されるニップ部材と、
前記ニップ部材との間で前記筒状部材を挟んでニップ部を形成するバックアップ部材と、
前記筒状部材の内部に配置され、前記ニップ部材の前記バックアップ部材とは反対側に配置される第1部材と、
前記第1部材と前記ニップ部材との間に配置される第2部材と、
前記第1部材の前記記録シートの幅方向における両端部を、前記バックアップ部材に向けて付勢することで、前記第1部材および第2部材を介して前記ニップ部材を前記バックアップ部材側に押圧する付勢部材と、を備え、
前記第1部材と前記第2部材との間には、前記付勢部材から前記第1部材に加わった付勢力を前記第2部材の前記幅方向における中央部に伝達する伝達部材が設けられていることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記伝達部材は、前記第1部材および前記第2部材の一方の部材に他方の部材へ向けて突出する第1突起であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記一方の部材の前記幅方向両端側には、前記他方の部材へ向けて突出する第2突起が設けられ、
前記第1突起は、前記第2突起よりも前記他方の部材側へ突出していることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記第1突起は、前記記録シートの搬送方向に間隔を空けて複数設けられていることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記第2突起は、前記記録シートの搬送方向に間隔を空けて複数設けられていることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記第1突起は、前記記録シートの搬送方向に沿う長尺状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項7】
前記第2突起は、前記記録シートの搬送方向に沿う長尺状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
【請求項8】
前記第1突起は、前記一方の部材に捩じ込まれて進退可能な螺合部材の先端部で構成されていることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項9】
前記第1部材と前記第2部材が、螺合部材によって共締めされていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項10】
前記第1部材および前記第2部材は、前記ニップ部材側に開放されたU字形状となるように構成され、
前記第1部材は、前記第2部材に被さるように配置され、当該第2部材を前記記録シートの搬送方向で挟み込んでいることを特徴とする請求項2〜請求項8のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項11】
前記第1部材のうち前記搬送方向で対向する一対の第1壁、または、前記第2部材のうち前記搬送方向で対向する一対の第2壁には、前記搬送方向に突出する第3突起が設けられ、
前記第1部材と前記第2部材が前記第3突起において接触していることを特徴とする請求項10に記載の定着装置。
【請求項1】
記録シートに現像剤像を熱定着するための定着装置であって、
可撓性の筒状部材と、
前記筒状部材の内部に配置されるニップ部材と、
前記ニップ部材との間で前記筒状部材を挟んでニップ部を形成するバックアップ部材と、
前記筒状部材の内部に配置され、前記ニップ部材の前記バックアップ部材とは反対側に配置される第1部材と、
前記第1部材と前記ニップ部材との間に配置される第2部材と、
前記第1部材の前記記録シートの幅方向における両端部を、前記バックアップ部材に向けて付勢することで、前記第1部材および第2部材を介して前記ニップ部材を前記バックアップ部材側に押圧する付勢部材と、を備え、
前記第1部材と前記第2部材との間には、前記付勢部材から前記第1部材に加わった付勢力を前記第2部材の前記幅方向における中央部に伝達する伝達部材が設けられていることを特徴とする定着装置。
【請求項2】
前記伝達部材は、前記第1部材および前記第2部材の一方の部材に他方の部材へ向けて突出する第1突起であることを特徴とする請求項1に記載の定着装置。
【請求項3】
前記一方の部材の前記幅方向両端側には、前記他方の部材へ向けて突出する第2突起が設けられ、
前記第1突起は、前記第2突起よりも前記他方の部材側へ突出していることを特徴とする請求項2に記載の定着装置。
【請求項4】
前記第1突起は、前記記録シートの搬送方向に間隔を空けて複数設けられていることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項5】
前記第2突起は、前記記録シートの搬送方向に間隔を空けて複数設けられていることを特徴とする請求項4に記載の定着装置。
【請求項6】
前記第1突起は、前記記録シートの搬送方向に沿う長尺状に形成されていることを特徴とする請求項3に記載の定着装置。
【請求項7】
前記第2突起は、前記記録シートの搬送方向に沿う長尺状に形成されていることを特徴とする請求項6に記載の定着装置。
【請求項8】
前記第1突起は、前記一方の部材に捩じ込まれて進退可能な螺合部材の先端部で構成されていることを特徴とする請求項2〜請求項5のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項9】
前記第1部材と前記第2部材が、螺合部材によって共締めされていることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項10】
前記第1部材および前記第2部材は、前記ニップ部材側に開放されたU字形状となるように構成され、
前記第1部材は、前記第2部材に被さるように配置され、当該第2部材を前記記録シートの搬送方向で挟み込んでいることを特徴とする請求項2〜請求項8のいずれか1項に記載の定着装置。
【請求項11】
前記第1部材のうち前記搬送方向で対向する一対の第1壁、または、前記第2部材のうち前記搬送方向で対向する一対の第2壁には、前記搬送方向に突出する第3突起が設けられ、
前記第1部材と前記第2部材が前記第3突起において接触していることを特徴とする請求項10に記載の定着装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−73198(P2013−73198A)
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−214270(P2011−214270)
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月22日(2013.4.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月29日(2011.9.29)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】
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