説明

実質的に三角形の断面を有するポリトリメチレンテレフタレート中実コア耐フィブリル化性フィラメント、そのフィラメントを製造するための紡糸口金、およびそれより製造されたカーペット

第1の態様において、本発明は、実質的に等しい長さの3つの凸状辺を有する中実コアで耐フィブリル化性の合成ポリマーフィラメントに関する。辺から実質的に丸みを帯びた頂点は、フィラメントの軸から距離「a」を中心としている。それぞれの丸みを帯びた頂点は、長さ「b」に実質的に等しい半径を有する。各頂点は、長さ(a+b)に実質的に等しい半径を有する外接円上にあり、各辺の中点は、長さ「c」に実質的に等しい半径を有する内接円上にある。本発明のフィラメントは、10<「dpf」<35の範囲内のフィラメント1本当たりのデニール数を有し;距離「a」は、0.00025インチ(6マイクロメートル)<「a」<0.004インチ(102マイクロメートル)の範囲内にあり;距離「b」は、0.00008インチ(2マイクロメートル)<「b」<0.001インチ(24マイクロメートル)の範囲内にあり;距離「c」は、0.0003インチ(8マイクロメートル)<「c」<0.0025インチ(64マイクロメートル)の範囲内にあり;変形比(「MR」)は、約1.1<「MR」<約2.0の範囲内にある。
さらに別の一態様においては、本発明は、中実コアで耐フィブリル化性の合成ポリマーフィラメントを形成するための、複数のオリフィスが内部に形成された紡糸口金板に関する。各オリフィスは、中心および3つの辺を有し、各辺は第1および第2の端点を末端とし、それらの間に中点を有する。辺は、円形または直線状のいずれかの端部輪郭によって接続された凹形または直線状のいずれであってもよい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年12月18日に出願され本発明の譲受人に譲渡された特許文献1の一部継続出願である。
【0002】
本発明は、ポリトリメチレンテレフタレート中実コアで耐フィブリル化性の合成フィラメント、そのフィラメントを.製造するための紡糸口金、およびそれより製造されたカーペットに関する。
【背景技術】
【0003】
合成ポリマーフィラメントから製造されたタフテッドカーペットがそのテクスチャーを有する外観、すなわち「新しさ」を維持する能力は経時により低下する傾向にある。この外観の劣化の原因の1つは、「フィブリル化」として知られており、これは、使用することによってカーペットのフィラメントがほつれることによって生じる。
【0004】
種々の工業標準試験方法、たとえば、テトラポッド・ウォーカー(tetrapod walker)試験(ASTM D5251)、ヘキサポッド・ウォーカー(hexapod walker)試験(ASTM D5252)、Vettermanドラム試験(ASTM D5417)、チェアキャスター(chair castor)試験、およびPhillipsロールチェア(roll chair)試験が、テクスチャー保持の測定のために利用可能である。カーペットサンプルは、あらかじめ設定されたサイクル数でこれらの試験を行った後、主観的なスケールで等級分けされる。
【0005】
たとえば、2.0の変形比と26.5度のアーム角度とを有するトリローバル断面を有する石油系ポリトリメチレンテレフタレート繊維を使用して製造したカーペットに対して試験を行うと、Phillipsロールチェア試験で20,000サイクル後に顕著なフィブリル化による損傷を示す。このような試験の後で摩耗したカーペットから抜き取られた損傷したトリローバルフィラメントは激しい変形を示す。典型的な変形形態の1つは、もとのトリローバルフィラメントの隣接するローブが互いに向かって湾曲し、その結果細長い圧縮された断面を有するフィラメントが得られることで示される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】米国特許出願第12/338,412号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
以上のことを考慮すれば、本質的にフィブリル化に対する抵抗性がより高い断面を有するフィラメントが製造され、それによって、上述の促進摩耗試験中に優れたテクスチャー保持を示し、使用中に優れた耐久性を示すことが可能になることが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の態様において、本発明は、実質的に等しい長さの3つの凸状辺を有する中実コアで耐フィブリル化性の合成ポリマーフィラメントに関する。各辺は、フィラメントの軸から距離「a」だけ離れたそれぞれの曲率円上を中心とする実質的に丸みを帯びた頂点を介して隣接する辺と接している。それぞれの丸みを帯びた頂点は、長さ「b」に実質的に等しい半径を有する。
【0009】
各頂点は、長さ(a+b)に実質的に等しい半径を有する外接円上にあり、各辺の中点は、長さ「c」実質的に等しい半径を有する内接円上にある。外接円の半径(a+b)対内接円の半径(c)の比によって定義される変形比(MR)を有するフィラメントにおいて:
このフィラメントは、10<「dpf」<35の範囲内のフィラメント1本当たりのデニール数(「dpf」)を有し;
距離「a」は、0.00025インチ(6マイクロメートル)<「a」<0.004インチ(102マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「b」は、0.00008インチ(2マイクロメートル)<「b」<0.001インチ(24マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「c」は、0.0003インチ(8マイクロメートル)<「c」<0.0025インチ(64マイクロメートル)の範囲内にあり;
変形比(「MR」)は、約1.1<「MR」<約2.0の範囲内にある。
【0010】
特に、
本発明のフィラメントは、12<「dpf」<32の範囲内のフィラメント1本当たりのデニール数(「dpf」)を有し;
距離「a」は、0.00035インチ(9マイクロメートル)<「a」<0.003インチ(76マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「b」は、0.00010インチ(3マイクロメートル)<「b」<0.00095インチ(25マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「c」は、0.0005インチ(10マイクロメートル)<「c」<0.002インチ(51マイクロメートル)の範囲内にあり;
変形比(「MR」)は、約1.1<「MR」<約2.0の範囲内にある。
【0011】
好ましくは、合成ポリマーは、実質的にポリトリメチレンテレフタレートであり、より好ましくは、ポリトリメチレンテレフタレートは、生物的に生成された1,3プロパンジオールを有する。あるいは、ポリトリメチレンテレフタレートは、再生可能資源の経路に由来してもよい。合成ポリマーは、着色することができ、および/またはその中に艶消し剤を有することができる。
【0012】
本発明のフィラメントは、1.5グラム/デニールを超えるテナシティを有する。
【0013】
別の一態様においては、本発明は、前述のフィラメントから製造したカーペットに関する。
【0014】
さらに別の一態様においては、本発明は、中実コアで耐フィブリル化性の合成ポリマーフィラメントを形成するための複数のオリフィスを内部に有する紡糸口金板に関する。各オリフィスは、中心および3つの辺を有し、各辺は第1および第2の端点で終了し、それらの間に中点を有する。
【0015】
本発明のこの態様による紡糸口金の第1の実施形態においては、1つの辺の第1の端点は、寸法「C」に等しい半径を有する円形の端部輪郭によって、隣接する辺の第2の端点に接続される。各端部輪郭の中心点は、オリフィスの中心からあらかじめ設定された距離「D」に配置される。
【0016】
この実施形態によると:
距離「C」は、0.0015インチ(38マイクロメートル)<「C」<0.0040インチ(102マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「D」は、0.0150インチ(381マイクロメートル)<「D」<0.0300インチ(762マイクロメートル)の範囲内にあり;
特に:
距離「C」は、0.0020インチ(51マイクロメートル)<「C」<0.0035インチ(89マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「D」は、0.0175インチ(445マイクロメートル)<「D」<0.0280インチ(711マイクロメートル)の範囲内にある。
【0017】
本発明のこの態様による紡糸口金の別の一実施形態においては、1つの辺の第1の端点を隣接する辺の第2の端点に接続する端部輪郭は、頂点で交差する少なくとも2つの直線状縁端部によって画定される。
【0018】
各辺の第1の端点は、中心点から延びる基準半径と交差する基準線によって、隣接する辺の第2の端点とは間隔を開けている。基準線と基準半径との間の交点は、オリフィスの中心から基準半径に沿って距離「G」にある。基準線は、あらかじめ設定された長さ「2F」を有する。頂点と、基準線および基準半径の交点との間隔は、寸法「E」である。
【0019】
この実施形態によると:
距離「E」は、0.0025インチ(64マイクロメートル)<「E」<0.0150インチ(381マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「F」は、0.0015インチ(38マイクロメートル)<「F」<0.0040インチ(102マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「G」は、0.0150インチ(381マイクロメートル)<「G」<0.0300インチ(762マイクロメートル)の範囲内にあり;
特に:
距離「E」は、0.0030インチ(76マイクロメートル)<「E」<0.0100インチ(254マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「F」は、0.0020インチ(51マイクロメートル)<「F」<0.0035インチ(89マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「G」は、0.0175インチ(445マイクロメートル)<「G」<0.0280インチ(711マイクロメートル)の範囲内にある。
【0020】
端部輪郭がとる形状とは無関係に、オリフィス各辺は実質的に凹状または実質的に直線状のいずれであってもよい。
【0021】
オリフィスが実質的にくぼんだ辺を有する場合、各辺は、寸法「B」の半径を有する基準円上にある。基準円の中心は、オリフィスの中心点から出発し辺中点を通過する基準半径上に位置する。基準円の中心は、オリフィスの中心軸からの基準半径に沿ってあらかじめ設定された距離「A」に配置される。
【0022】
それぞれの円形の端部輪郭の最外点は、オリフィスの中心を中心とする半径「(C+D)」(前述の定義の通り)の外接円上にある。各辺の中点は、半径「H」を有する内接円上にある。[くぼんだ辺を有するオリフィスの場合、半径「H」は値(A−B)に等しい]。
【0023】
オリフィスは、外接円半径(C+D)の、内接円の半径「(A−B)」に対する比によって定義される変形比(「MR」)を有し、したがって
「MR」=(C+D)/「(A−B)」であり、ここで
距離「A」は、0.0300インチ(762マイクロメートル)<「A」<0.0900インチ(2286マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「B」は、0.0200インチ(508マイクロメートル)<「B」<0.0800インチ(2032マイクロメートル)の範囲内にあり;
比(A/B)は、約1.0<(A/B)<約1.6の範囲内にあり;
変形比(「MR」)は、約1.5<「MR」<約4.5の範囲内にある。
特に:
距離「A」は、0.0300インチ(762マイクロメートル)<「A」<0.0700インチ(2032マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「B」は、0.0200インチ(508マイクロメートル)<「B」<0.0800インチ(1778マイクロメートル)の範囲内にあり;
比(A/B)は、約1.1<(A/B)<約1.5の範囲内にあり;
変形比(「MR」)は、約1.8<「MR」<約3.5の範囲内にある。
【0024】
オリフィスが、円形の端部輪郭とともに実質的に直線状の辺を有する場合、この場合も、各端部輪郭上の最外点は、オリフィスの中心を中心とする半径「(C+D)」(前述の定義の通り)の外接円上にあり、一方、各辺の中点は、オリフィスの中心を中心とする半径「H」の内接円上にある。
【0025】
直線状の辺と円形の端部輪郭を有するオリフィスの場合、距離「H」(すなわち、内接円の半径)は:
0.0090インチ(229マイクロメートル)<「H」<0.0190インチ(483マイクロメートル)の範囲内にあり;
より好ましくは:
0.0108インチ(274マイクロメートル)<「H」<0.0175インチ(445マイクロメートル)の範囲内にある。
【0026】
実質的に直線状の辺を有するこのようなオリフィスの変形比(「MR」)も、外接円の半径(C+D)の、内接円の半径「H」に対する比によって定義され、したがって
「MR」=(C+D)/「H」である。
【0027】
変形比(「MR」)は約1.6<「MR」<約2.5の範囲内にあり;特に、変形比(「MR」)は約1.7<「MR」<約2.3の範囲内にある。
【0028】
直線状の辺と直線状の端部輪郭とを有するオリフィスの場合、距離「H」(すなわち、内接円の半径)は:
0.0088インチ(224マイクロメートル)<「H」<0.0185インチ(470マイクロメートル)の範囲内にあり
より好ましくは:
0.0105インチ(267マイクロメートル)<「H」<0.0170インチ(432マイクロメートル)の範囲内にある。
【0029】
直線状の辺と直線状の端部輪郭とを有するオリフィスの変形比(「MR」)も、外接円の半径(E+G)の、内接円の半径「H」に対する比によって定義され、したがって
「MR」=(E+G)/「H」である。
【0030】
変形比(「MR」)は、約1.6<「MR」<約2.5の範囲内にあり、特に、変形比(「MR」)は約1.7<「MR」<約2.3の範囲内にある。
【0031】
本出願の一部を形成している添付の図面と関連させた以下の詳細な説明から、本発明をより十分に理解できるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】フィラメントの長手方向軸に対して垂直な面における本発明によるフィラメントの端面図である。
【図2A】本発明によるフィラメントを製造するために、その間を通過して形成されるフィラメント形成オリフィスを有する紡糸口金板の第1の実施形態の端面図であり、この図はフィラメント形成オリフィスの中心軸に対して垂直な面における図であり、このオリフィスは、丸みを帯びた端部輪郭領域およびくぼんだ辺を有する。
【図2B】図2Aの図と類似の端面図であり、本発明によるフィラメントを製造するための紡糸口金板の別の一実施形態を示しており、フィラメント形成オリフィスは、丸みを帯びた端部輪郭領域と直線状の辺とを有する。
【図3A】端部輪郭領域のそれぞれが少なくとも2つの直線状縁端部を有することを除けば、オリフィスがくぼんだ辺を有するという点で、図2Aに示されるものに概して類似した紡糸口金板の別の一実施形態の端面図である。
【図3B】端部輪郭領域のそれぞれが少なくとも2つの直線状縁端部を含むことを除けば、オリフィスが直線状の辺を有するという点で図2Bに示すものと概して類似した紡糸口金板の別の一実施形態の端面図である。
【図4】本発明によるフィラメントを紡糸するための、図2A、2B、2C、3A、または3Bに示されるような紡糸口金板を使用する紡糸設備の定型化された概略図である。
【図5】本発明のフィラメントを使用して製造したカーペットの定型化された概略図である。
【図6A】本発明のフィラメントを試験するために使用される回転ボールミル試験室の定型化された概略側断面図である。
【図6B】本発明のフィラメントを試験する場合の、ボールミル試験の操作を示す概略端面図である。
【図7】図7Aは、図6Aの回転ボールミル試験室を使用したフィブリル化試験の前の比較例のトリローバル断面フィラメントを示す写真である。図7Bは、図6Aの回転ボールミル試験室を使用したフィブリル化試験の後の比較例のトリローバル断面フィラメントを示す写真である。
【図8】図8Aは、図6Aの回転ボールミル試験室を使用したフィブリル化試験の前の比較例の円形断面フィラメントを示す写真である。図8Bは、図6Aの回転ボールミル試験室を使用したフィブリル化試験の後の比較例の円形断面フィラメントを示す写真である。
【図9】図9Aは、図6Aの回転ボールミル試験室を使用したフィブリル化試験の前の本発明によるフィラメントを示す写真である。図9Bは、図6Aの回転ボールミル試験室を使用したフィブリル化試験の後の本発明によるフィラメントを示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下の詳細な説明全体にわたって、すべての図面中の類似の参照番号は類似の要素を参照している。
【0034】
図1は、本発明の一態様による中実コアで耐フィブリル化性の合成ポリマーフィラメント10の、フィラメントの中心長手方向軸10Aに対して実質的に垂直な面での断面図である。
【0035】
フィラメント10は、好ましくはポリトリメチレンテレフタレートポリマー材料から製造される。より好ましくは、1,3プロパンジオールが生物学的に生成されるポリトリメチレンテレフタレートポリマー材料であるが、石油経路から誘導される1,3プロパンジオールを生物に基づく1,3プロパンジオールと併用することもできることも理解されたい。
【0036】
ポリマー材料は、着色添加剤またはTiO2などのつや消し剤で着色された溶液で着色することができる。あるいは、ポリマー材料は、後で染色するため、着色しなくてもよい。ポリマー材料は、UV安定剤、酸化防止剤、および/またはその他の性能を改善する添加剤(リン含有化合物および/または窒素含有化合物などの難燃剤);強化剤;および/または核形成防止剤などを含有することができる。
【0037】
フィラメントは、ポリエステル、ナイロン、ポリプロピレン、およびそれらのブレンドなどの別のポリマー材料から製造することもできる。
【0038】
図1から分かるように、フィラメント10は、その軸に対して垂直な断面において、3つの辺を有する。これらの辺12、12、12は、長さが実質的に等しい。各辺12、12、12は、それらに沿った中点12M、12M、12Mにおいて全体的に凸状の形態である。各辺12、12、12は、半径12R、12R、12Rを有するそれぞれの曲率円上にある。各曲率円は、それぞれの中心点12C、12C、12Cを中心としている。中心点12C、12C、12Cのそれぞれは、フィラメント10の軸10Aから延びるそれぞれの基準半径上にある。
【0039】
それぞれの辺12、12、12は、それぞれ実質的に丸みを帯びた頂点14、14、14を介して隣接した辺と出会う。各頂点14、14、14の丸みを帯びた輪郭は、それぞれの中心点16、16、16を中心とする曲率円上にある。頂点14、14、14の曲率円の半径は、参照符号「b」で示されている。曲率16、16、16のそれぞれの中心自体は、フィラメントの中心軸10Aからあらかじめ設定された距離「a」だけ間隔を開けている。説明を明確にするために曲率(16)の中心のみが示されている
【0040】
フィラメント10の各頂点14、14、14の最外点は、長さ(a+b)実質的に等しい直径を有する外接円24上にある。それぞれの辺12、12、12の中点12M、12M、12Mは、フィラメント10の中心軸10A上に中心を有する内接円26上にある。内接円26の半径は長さ「c」に実質的に等しい。したがって、フィラメント10は、外接円の半径(a+b)の、内接円の半径(c)に対する比によって定義される変形比(「MR」)を示し、したがってMR=(a+b)/cである。
【0041】
トリローバル断面を有するフィラメントの数学モデル化によって、ローブおよび辺は、圧縮荷重、曲げ荷重、および/またはねじれ荷重下で破壊されやすいことが示されている。フィラメントに対して作用するこれらの応力の影響によって、摩耗中にフィラメントのフィブリル化および対応するテクスチャーの劣化が生じる。
【0042】
分析によって、フィラメントの端部輪郭領域に最大曲げ応力が加わり、一方、最大ねじれ力および圧縮力は、フィラメントの辺に沿って実質的に中心的に加わることも示された。たとえば、2つの隣接するフィラメントの間の接触点における圧縮応力(「σ」)は、フィラメントが互いに平行である場合には、フィラメント直径「d」の平方根に反比例することが分かり、
すなわち、σ=d−1/2である。
【0043】
フィラメントが互いに垂直である場合、圧縮応力(「σ」)はフィラメント直径の2/3乗に反比例し、すなわち、σ=d−2/3である。
【0044】
開発してきたように、本発明により開示される繊維の形状によって、これらの応力レベルが低下し、その結果、改善されたフィブリル化抵抗特性を有するフィラメントが得られると考えられる。本発明によるフィラメントは、種々の荷重条件下で円形断面およびトリローバル断面の欠点を克服すると考えられる。
【0045】
特に、より堅牢な端部輪郭およびより堅牢なフィラメント頂点領域を有するフィラメントを形成することで、フィラメントに加わる曲げ応力の影響が抑制されることが分かった。頂点14、14、14の曲率円の半径を大きく維持すると、頂点における応力レベルは、トリローバル断面のローブにおいて生じるレベルよりも低くなる。
【0046】
同様に、円形断面を有するフィラメントとは対照的に、より平坦で、よりくぼみが小さい辺を有するフィラメントを構成することで、使用によって生じる力が加わっても、形状をより維持することができるフィラメントが得られる。同じ断面積を有する円形フィラメントの直径よりも大きな半径12R、12R、12Rを有するフィラメントは、円形フィラメントよりも圧縮接触応力が実質的に減少する。
【0047】
したがって、本発明によるフィラメントは、以下に示すような種々の寸法パラメーター、およびそれらの間の特定の関係を示す:
フィラメントは、10<「dpf」<35の範囲内のフィラメント1本当たりのデニール数(「dpf」)を有し;
距離「a」は、0.0003インチ(6マイクロメートル)<「a」<0.004インチ(102マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「b」は、0.00008インチ(2マイクロメートル)<「b」<0.0001インチ(24マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「c」は、0.0003インチ(8マイクロメートル)<「c」<0.0025インチ(64マイクロメートル)の範囲内にあり;
変形比(「MR」)は、約1.1<「MR」<約2.0の範囲内にある。
【0048】
より好ましい場合の1つにおいては:
フィラメントは、12<「dpf」<32の範囲内のフィラメント1本当たりのデニール数(「dpf」)を有し;
距離「a」は、0.00035インチ(9マイクロメートル)<「a」<0.003インチ(76マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「b」は、0.00010インチ(3マイクロメートル)<「b」<0.00095インチ(25マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「c」は、0.0005インチ(10マイクロメートル)<「c」<0.002インチ(51マイクロメートル)の範囲内にあり;
変形比(「MR」)は、約1.1<「MR」<約2.0の範囲内にある。
【0049】
好ましくは、フィラメントは1.5グラム/デニールを超えるテナシティを有する。
【0050】
別の一態様においては、本発明は、中実コアで耐フィブリル化性の合成ポリマーフィラメントを形成するための紡糸口金板100に関する。板100は、中を通過させるために設けられた複数のフィラメント形成オリフィス102を有する比較的大きな部材である。各オリフィスは中心102Aを有する。板100は、ステンレス鋼などの材料から製造することができる。ステンレス鋼の好適なグレードとしては、440C、316、17−4 PH、430、またはCarpenter 20があげられる。選択される鋼のグレードは、内部欠陥を有するべきではない。典型的には、オリフィスは、レーザー切断または放電機械加工などの機械加工技術を使用して板100の中に形成される。
【0051】
紡糸口金板100の表面の一部およびその中に形成されたオリフィス102の1つの拡大図を、図2A、2B、3A、および3Bに示す。これらの図のそれぞれは、本発明の種々の実施形態による1つのオリフィス102の種々の異なる構成の1つを示している。
【0052】
一般に、本発明のこの態様の各実施形態に関して、フィラメント形成オリフィス102は、実質的に等しい長さの3つの辺112、112、112を有する1つの開口部である。各辺の中点112M、112M、112Mは、オリフィスの中心点102Aを中心とする半径「H」の内接円113上にある。それぞれの辺112、112、112は、ローマ数字I、IIで図面中にそれぞれ示される第1および第2の端点が末端となる。
【0053】
任意の1つの辺の第1の端点Iは、端部輪郭114、114’によって、隣接する辺の第2の端点IIに接続される。図2A、2Bおよび図3Aおよび3Bの実施形態のそれぞれにおける端部輪郭114、114’は、異なる形態をとっている。
【0054】
図2Aおよび2Bに示される実施形態においては、端部輪郭114は、中心点116を中心とする寸法「C」の半径を有する円の形態をとっている。各中心点116は、オリフィスの中心102Aから延びる基準半径120に沿ってあらかじめ設定された距離「D」だけ間隔を開けている。各円形端部輪郭114の最外点は、オリフィスの中心102Aを中心とする半径「(C+D)」の外接円121上にある。任意の1つの辺の第1の端点Iと、隣接する辺の第2の端点IIとは、円形端部輪郭の弦122によって互いに間隔を開けている。各端点I、IIは、円形端部輪郭114の接点を画定している。
【0055】
オリフィスの変形比(「MR」)は、オリフィスの外接円半径の、オリフィスの内接円の半径に対する比として定義される。
【0056】
図2Aおよび2Bに示される本発明のこの実施形態の好ましい実施の1つにおいては:
距離「C」は、0.0015インチ(38マイクロメートル)<「C」<0.0040インチ(102マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「D」は、0.0150インチ(381マイクロメートル)<「D」<0.0300インチ(762マイクロメートル)の範囲内にある。
【0057】
より好ましい場合の1つにおいては:
距離「C」は、0.0020インチ(51マイクロメートル)<「C」<0.0035インチ(89マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「D」は、0.0175インチ(445マイクロメートル)<「D」<0.0280インチ(711マイクロメートル)の範囲内にある。
【0058】
あるいは、図3Aおよび3Bに示される実施形態においては、各端部輪郭114’は、少なくとも2つの直線状縁端部126A、126Bによって画定される。端部輪郭114’を画定するために、あらゆる好都合な数の直線状縁端部セグメントを使用することができる。これらの実施形態において、任意の1つの辺の第1の端点Iと隣接する辺の第2の端点IIとは、長さ「2F」を有する基準線128によって互いに間隔を開けている。各基準線128は、基準半径120上のあらかじめ設定された距離「G」にある。輪郭114’の直線状縁端部126A、126Bは、これも基準半径120上にある頂点130において互いに交差している。頂点130は、基準線128から距離「E」だけ間隔を開けている。
【0059】
各端部輪郭114’の頂点130は、オリフィスの中心102Aを中心とする外接円121上にある。これらの図中、外接円121は半径「(G+E)」を有する。
【0060】
図3Aおよび3Bに示される本発明のこの実施形態によると:
距離「E」は、0.0025インチ(64マイクロメートル)<「E」<0.0150インチ(381マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「F」は、0.0015インチ(38マイクロメートル)<「F」<0.0040インチ(102マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「G」は、0.0150インチ(381マイクロメートル)<「G」<0.0300インチ(762マイクロメートル)の範囲内にある。
【0061】
より好ましくは:
距離「E」は、0.0030インチ(76マイクロメートル)<「E」<0.0100インチ(254マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「F」は、0.0020インチ(51マイクロメートル)<「F」<0.0035インチ(89マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「G」は、0.0175インチ(445マイクロメートル)<「G」<0.0280インチ(711マイクロメートル)の範囲内にある。
【0062】
図2Aおよび3Aに示されるようなオリフィス102も、辺112によって形成される形態において、図2Bおよび3Bに示されるようなオリフィス102とは異なる。
【0063】
図2Aおよび3Aの実施形態において、辺112、112、112は、概してくぼんだ形状であり、曲率112C、112C、112Cのそれぞれの中心を中心とする曲率円に沿って存在する。曲率112C、112C、112Cのそれぞれの中心は、オリフィスの中心軸102Aから半径方向に延びる基準線134上に位置する。曲率円の半径は、参照符号「B」によって示される寸法を有する。曲率112C、112C、112Cのそれぞれの中心は、中心軸102Aからあらかじめ設定された距離「A」に位置する。内接円113の半径「H」は(A−B)に等しいことに留意されたい。
【0064】
図2Aおよび3Aに示されるようなくぼんだ辺を有するオリフィスの場合、以下のさらなる寸法の制約が適用される:
距離「A」は、0.0300インチ(762マイクロメートル)<「A」<0.0900インチ(2286マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「B」は、0.0200インチ(508マイクロメートル)<「B」<0.0800インチ(2032マイクロメートル)の範囲内にあり;
比(A/B)は、約1.0<(A/B)<約1.6;
変形比(「MR」)は、約1.5<「MR」<約4.5の範囲内にある。
【0065】
より好ましくは:
距離「A」は、0.0300インチ(762マイクロメートル)<「A」<0.0800インチ(2032マイクロメートル)の範囲内にあり;
距離「B」は、0.0200インチ(508マイクロメートル)<「B」<0.0700インチ(1778マイクロメートル)の範囲内にあり;
比(A/B)は、約1.1<(A/B)<約1.5の範囲内にあり;
変形比(「MR」)は、約1.8<「MR」<約3.5の範囲内にある。
【0066】
くぼんだ辺を有するオリフィスの場合(図2Aおよび3A)変形比(「MR」)は、約2.0<「MR」<約4.0の範囲内にある。より好ましくは、変形比(「MR」)は、約2.2<「MR」<約3.5の範囲内にある。
【0067】
オリフィスの辺の曲率円の半径が増加すると、非常に大きな半径において辺が直線に近づくまで、辺の輪郭は平坦になる。
【0068】
直線状の辺および円形の端部輪郭を有するオリフィスの場合(図2B)、距離「H」(すなわち、内接円の半径)は、0.0090インチ(229マイクロメートル)<「H」<0.0190インチ(483マイクロメートル)の範囲内にある。変形比(「MR」)は、約1.6<「MR」<約2.5の範囲内にある。より好ましくは、距離「H」は、0.0108インチ(274マイクロメートル)<「H」<0.0175インチ(445マイクロメートル)の範囲内にあり、変形比(「MR」)は、約1.7<「MR」<約2.3の範囲内にある。
【0069】
直線状のおよび直線状の端部輪郭を有するオリフィスの場合(図3B)、距離「H」(すなわち、内接円の半径)は、0.0088インチ(224マイクロメートル)<「H」<0.0185インチ(470マイクロメートル)の範囲内にある。変形比(「MR」)は、約1.6<「MR」<約2.5の範囲内にある。より好ましくは、距離「H」は、0.0105インチ(267マイクロメートル)<「H」<0.0170インチ(432マイクロメートル)の範囲内にあり、変形比(「MR」)は、約1.7<「MR」<約2.3の範囲内にある。
【0070】
図4は、本発明の嵩高加工された連続フィラメントを製造するための、参照符号200で全体的に示される紡糸設備の定型化された概略図である。本発明により成形された複数のオリフィス102を有する紡糸口金板100を含む紡糸パックアセンブリ202にポンプによってポリマー溶融物が通される。紡糸パックアセンブリ202は、濾過材を含むこともできる。
【0071】
ポリマーが紡糸口金板100から押し出され、フィラメントが供給ロール206によって引っ張られて冷却チムニー204に通されると、所望の形状のフィラメント10が得られる。供給ロール206の手前に配置された仕上げロール208によって、下流で処理可能にするための仕上げ剤がフィラメント10に塗布される。供給ロール206は室温に維持されるか、または延伸プロセス中に効率的に延伸し分子を配向させるために、ポリマーのガラス転移温度よりも高温に維持される。延伸比の大きさにより、供給ロール206よりも速い速度にあらかじめ設定されて動く延伸ロール210は、延伸された繊維をアニールするために、ガラス転移温度より高温でポリマーの融点よりも低温に加熱される。この時点で、フィラメントは、レットダウンロール212を介してワインダー212によって集められるか、またはさらなる処理が続けられる。別の設備においては、加熱された1組の予備延伸ロールを、仕上げ剤塗布器208と供給ロール206との間に使用することができる。この設備によって、好適な温度および張力履歴をフィラメントに付与するためのさらなる適応性が得られ、ロールの組206および210の間での延伸が最適化される。
【0072】
不規則な3次元曲線の捲縮をフィラメントに付与するために、熱風または蒸気を使用するバルキングジェット220が使用される。この結果得られる嵩高フィラメントは、孔のあいた表面を有する回転ドラム224上に置かれる。真空ポンプを使用して空気を抜き取ることによってゼロ張力下で、フィラメントが冷却される。冷却を促進するために、ドラム224上のフィラメント上に水をさらに噴霧することができる。フィラメントをガラス転移温度より低温まで冷却した後、フィラメントをドラム224から取り外す。希望するなら、工場加工のためのさらなる仕上げ剤を仕上げロール226によって塗布することができる。フィラメント束は、引張ロール232とレットダウンロール234との間に配置されたインターレースジェット230によって周期的に絡み合わされ、ワインダー236によって集められる。
【0073】
図5は、本発明のフィラメント10から製造された糸302がタフティングされた、参照符号300によって全体的に示されているカーペットの定型化された概略図である。図示される実施形態においては、糸302は、撚られヒートセットされた2本のフィラメントから形成される。あるいは、糸空気交絡フィラメント10によって形成することもできるし、糸は、撚ったり交絡したりすることなく直接タフティングすることもできる。
【0074】
一次基布304に糸がタフティングされてパイルタフト306が形成される。パイルタフト306は、図5に示されるレベルループの形態を取ることができる。あるいは、パイルタフトは、マルチレベルループ、ベルベル、プラッシュ、サクソニー、フリーズ、または剪毛された形態であってよい。
【0075】
カーペット300は、接着剤310を使用して一次基布304に二次基布308を接着することによって完成する。
【0076】
本発明のフィラメントの可能性のあるその他の最終用途としては、旅行鞄、ハンドバッグ、自動車用布地が挙げられる。
【0077】
図6Aは、本発明のフィラメント10を試験するために使用される回転ボールミル試験室400の即断面における定型化された概略図である。図6Bは、本発明のフィラメントを試験するときのボールミル試験の操作を示す概略端面図である。
【0078】
試験室400は、一体型底部404によって一方の端部で閉じられた円筒形バレル402を含む。バレル402の反対側の端部は蓋406を収容する。蓋406は、ボルト408によってバレル402のリムに固定される。底部404および蓋406の両方には、軸方向に配列した一連の取り付け開口部410が内部に形成されている。
【0079】
バレル402の内部には、蓋406の中央に設けられた開口部412から入ることができる。開口部412は、取り外し可能なハッチ416によって閉じられる。ハッチ416は、ねじ418によって蓋406に固定される。
【0080】
試験室を準備するために、取り付け開口部410を使用して、試験用のフィラメント10の束を底部404と蓋406との間に通す。試験用フィラメントは、底部404および蓋406の表面にテープによって好都合に固定することができる。あらゆる好都合な数のボールベアリング420(図6B)を開口部412から室内に入れ、ハッチ416を固定する9ミリメートル(9mm)のステンレス鋼ボールベアリングを使用することができる。
【0081】
試験室400を使用したフィラメント試験の動力学を図6Bに示している。試験室400は、E.R.Advanced Ceramicsの一部門であるU.S.Stoneware,East Palatine,Ohioによって製造された装置などの回転ミル装置の2つの従動バー424A、424Bの上に配置される。バー424が方向428に回転すると、ベアリング420が、バレル内部にわたって軸方向に通されたフィラメント10上に衝突する。試験は、100rpmの公称回転速度においてあらゆる好都合な時間の間行うことができるが、約30〜約120rpmの範囲内の他の速度を好適に使用することができる。
【0082】
試験室400を使用して試験したフィラメントの繊維断面の画像は、フィラメントのフィブリル化による損傷が、テクスチャー保持の測定に使用される種々の工業規格試験方法のいずれかを行ったカーペットのフィラメントに対して生じたフィブリル化による損傷と類似していることを示している。フィブリル化による損傷の類似性から、室400を使用して試験したフィラメントの耐フィブリル化性に関する結論は信頼できる。
【実施例】
【0083】
実施例1(比較例) 図4に示されるような紡糸設備を使用して、固有粘度が1.02であり水分が50ppm未満であるバイオベースのポリトリメチレンテレフタレートポリマーから、トリローバル断面フィラメントに適した17孔紡糸口金を使用して紡糸した。28−mm Warner & Pfleidererツイン押出機の下流バレル、移送ライン、ポンプ、パック、およびダイの温度設定点は、268〜270℃の範囲内であった。紡糸処理量は60グラム/分であった。溶融フィラメントをチムニー中で冷却し、このチムニー中では、室内空気をフィラメントに吹きつけ、紡糸口金面からの距離の関数として21〜30フィート/分の範囲内の気流速度を使用し、紡糸口金付近でより高速となる分布のある冷却を使用した。60℃および表面速度600メートル/分の1組の供給ロールによって、フィラメントを冷却ゾーンから引き出した。供給ロールの直前で、フィラメントに潤滑剤をコーティングした。コーティングしたフィラメントは、延伸比3で延伸し、160℃に加熱された表面速度1800メートル/分の1組のロールによってアニールした。次にフィラメントを巻き取った。
【0084】
製造したフィラメントは以下の性質を有した:
フィラメント1本当たりのデニール数=約18
MR=2.1
アーム角度=22°
製造時の糸のテナシティは2.02g/デニールであった。
【0085】
260本のフィラメントを、約20gの張力下で糸束を実質的に全くねじることなく、前述の回転ボールミル試験室400に取り付けた。100個の9mmステンレス鋼ボールベアリングを試験室に入れた。試験は100rpmで16時間行った。
【0086】
Hardyプレートおよび光学顕微鏡を使用して、16時間の試験の前後の糸束の断面画像を撮影し、それぞれ図7Aおよび7Bに示している。
【0087】
実施例2(比較例) 図4に示されるような紡糸設備を使用して、固有粘度が1.02であり水分が50ppm未満であるバイオベースのポリトリメチレンテレフタレートポリマーから、円形断面フィラメントに適した34孔紡糸口金を使用して紡糸した。28−mm Warner & Pfleidererツイン押出機の下流バレル、移送ライン、ポンプ、パック、およびダイの温度設定点は、268〜270℃の範囲内であった。紡糸処理量は88.1グラム/分であった。溶融フィラメントをチムニー中で冷却し、このチムニー中では、室内空気をフィラメントに吹きつけ、紡糸口金面からの距離の関数として21〜30フィート/分の範囲内の気流速度を使用し、紡糸口金付近でより高速となる分布のある冷却を使用した。60℃および表面速度415メートル/分の1組の供給ロールによって、フィラメントを冷却ゾーンから引き出した。供給ロールの直前で、フィラメントに潤滑剤をコーティングした。コーティングしたフィラメントは、延伸比3.25で延伸し、160℃に加熱された表面速度1350メートル/分の1組のロールによってアニールした。次にフィラメントを巻き取った。フィラメント1本当たりのデニール数は約18であった。製造時の糸のテナシティは2.75g/デニールであった。
【0088】
272本のフィラメントを、約20gの張力下で糸束を実質的に全くねじることなく、前述の回転ボールミル試験室400に取り付けた。100個の9mmステンレス鋼ボールベアリングを装置中に入れた。試験は100rpmで16時間行った。Hardyプレートおよび光学顕微鏡を使用して、16時間の試験の前後の糸束の断面画像を撮影し、それぞれ図8Aおよび8Bに示している。
【0089】
実施例3 図4に示されるような紡糸設備を使用して、固有粘度が1.02であり水分が50ppm未満であるバイオベースのポリトリメチレンテレフタレートポリマーから、以下の寸法を有する本発明の10孔紡糸口金(図3A)を使用して紡糸した:
A=0.066インチ、
B=0.0554インチ、
F=0.0028インチ、
G=0.0225インチ、
E=0.0047インチ、
A/B=1.19、
2F/G=0.249、
E/D=0.21、
変形比MR=2.6。
【0090】
28−mm Warner & Pfleidererツイン押出機の下流バレル、移送ライン、ポンプ、パック、およびダイの温度設定点は、268〜270℃の範囲内であった。紡糸処理量は30グラム/分であった。溶融フィラメントをチムニー中で冷却し、このチムニー中では、室内空気をフィラメントに吹きつけ、紡糸口金面からの距離の関数として21〜30フィート/分の範囲内の気流速度を使用し、紡糸口金付近でより高速となる分布のある冷却を使用した。60℃および表面速度500メートル/分の1組の供給ロールによって、フィラメントを冷却ゾーンから引き出した。供給ロールの直前で、フィラメントに潤滑剤をコーティングした。コーティングしたフィラメントは、延伸比3で延伸し、160℃に加熱された表面速度1500メートル/分の1組のロールによってアニールした。次にフィラメントを巻き取った。
【0091】
製造したフィラメントは以下の性質を有した:
フィラメント1本当たりのデニール数=約18
a=0.00083インチ
b=0.00025インチ
c=0.00077インチ
MR=1.406
製造時の糸のテナシティは1.99g/デニールであった。
【0092】
260本のフィラメントを、約20gの張力下で糸束を実質的に全くねじることなく、前述の回転ボールミル試験室400に取り付けた。100個の9mmステンレス鋼ボールベアリングを装置中に入れた。試験は100rpmで16時間行った。Hardyプレートおよび光学顕微鏡を使用して、16時間の試験の前後の糸束の断面画像を撮影し、それぞれ図9Aおよび9Bに示している。
【0093】
本発明によるフィラメントの断面の耐フィブリル化挙動は、図9Bの画像を、図7Bおよび8Bに示される比較例の画像と比較することで容易に分かる。図7Aおよび7Bを比較すると、ローブが曲がり切断されていることで示される過度のフィブリル化が容易に分かる。同様に、図8Aおよび8Bから分かるように、円形断面を有するフィラメントは過度に変形している。対照的に、図9Aに示されるボールミル試験前の製造時のフィラメントと比較すると、図9Bに見られる変形は非常にわずかである。
【0094】
実施例4(比較例) 図4に示されるような紡糸設備を使用して、固有粘度が1.02であり水分が50ppm未満であるバイオベースのポリトリメチレンテレフタレートポリマーから、トリローバル断面用の68孔紡糸口金を使用して紡糸した。
【0095】
一軸スクリュー押出機の下流バレル、移送ライン、ポンプ、パック、およびダイの温度設定点は、230〜260℃の範囲内であった。紡糸処理量は466.7グラム/分であった。溶融フィラメントをチムニー中で冷却し、このチムニー中では、16℃の空気をフィラメントに吹きつけた。38℃および表面速度1900メートル/分の1組の供給ロールによって、フィラメントを冷却ゾーンから引き出した。供給ロールの直前で、フィラメントに潤滑剤をコーティングした。コーティングしたフィラメントは、50℃において表面速度1920メートル/分の1組のロールによって延伸比1.01で予備延伸した。次に、165℃に加熱され表面速度3800メートル/分で動く別の1組の延伸ロールによって、フィラメントを延伸比1.98で延伸しアニールした。ジェット空気温度225℃でスタファー−ジェットバルカー(stuffer−jet bulker)を使用してフィラメントを嵩高化し、交絡させ、3170メートル/分で巻き取った。
【0096】
製造したフィラメントは以下の性質を有した:
フィラメント1本当たりのデニール数=約19.5
MR=1.85のトリローバル断面
製造時の糸のテナシティは2.2g/デニールであった。
【0097】
両端を4.75回/インチで撚り、ヒートセットして撚糸構造を安定化させた後、タフティングおよび仕上げを行い、約24オンス/平方ヤードの坪量を有する10番ゲージでパイル高さ0.22インチのカーペットを製造した。摩耗試験を行ったカーペットは以下の評価を得た:
Hexapod(ASTM D5252)
4000サイクル後に4.0、および12000サイクル後に2.3
Vettermanドラム(ASTM D5417)
5000サイクル後に4.7、および22000サイクル後に2.8。
【0098】
実施例5 図2Bに示されるような紡糸設備を使用して、固有粘度が1.02であり水分が50ppm未満であるバイオベースのポリトリメチレンテレフタレートポリマーから、以下の寸法を有する本発明の70孔紡糸口金(図2B)を使用して紡糸した:
C=0.0028インチ、
D=0.0222インチ、
H=0.0139インチ、
変形比MR=1.8
【0099】
一軸スクリュー押出機の下流バレル、移送ライン、ポンプ、パック、およびダイの温度設定点は、245〜260℃の範囲内であった。紡糸処理量は385グラム/分であった。溶融フィラメントをチムニー中で冷却し、このチムニー中では、17℃の空気をフィラメントに吹きつけた。50℃および表面速度1180メートル/分の1組の供給ロールによって、フィラメントを冷却ゾーンから引き出した。供給ロールの直前で、フィラメントに潤滑剤をコーティングした。コーティングしたフィラメントは、55℃において表面速度1190メートル/分の1組のロールによって延伸比1.008で予備延伸した。次に、160℃に加熱され表面速度3000メートル/分で動く別の1組の延伸ロールによって、フィラメントを延伸比2.52で延伸しアニールした。ジェット空気温度205℃でスタファー−ジェットバルカー(stuffer−jet bulker)を使用してフィラメントを嵩高化し、交絡させ、2435メートル/分で巻き取った。
【0100】
製造したフィラメントは以下の性質を有した:
フィラメント1本当たりのデニール数=約20
a=0.00085インチ
b=0.00029インチ
c=0.00091インチ
MR=1.41
【0101】
製造時の糸のテナシティは2.20g/デニールであった。両端を4.75回/インチで撚り、ヒートセットして撚糸構造を安定化させた後、タフティングおよび仕上げを行い、約24オンス/平方ヤードの坪量を有する10番ゲージでパイル高さ0.22インチのカーペットを製造した。摩耗試験を行ったカーペットは以下の評価を得た:
Hexapod(ASTM D5252)
4000サイクル後に4.5、および12000サイクル後に3.7
Vettermanドラム(ASTM D5417)
5000サイクル後に4.5、および22000サイクル後に3.5。
【0102】
実施例6 図2Bに示されるような紡糸設備を使用して、固有粘度が1.02であり水分が50ppm未満であるバイオベースのポリトリメチレンテレフタレートポリマーから、以下の寸法を有する本発明の70孔紡糸口金(図2A)を使用して紡糸した:
A=0.0759インチ、
B=0.0637インチ、
C=0.0032インチ、
D=0.0222インチ、
変形比MR=2.4
【0103】
一軸スクリュー押出機の下流バレル、移送ライン、ポンプ、パック、およびダイの温度設定点は、245〜260℃の範囲内であった。紡糸処理量は385グラム/分であった。溶融フィラメントをチムニー中で冷却し、このチムニー中では、17℃の空気をフィラメントに吹きつけた。50℃および表面速度1180メートル/分の1組の供給ロールによって、フィラメントを冷却ゾーンから引き出した。供給ロールの直前で、フィラメントに潤滑剤をコーティングした。コーティングしたフィラメントは、55℃において表面速度1190メートル/分の1組のロールによって延伸比1.008で予備延伸した。次に、160℃に加熱され表面速度3000メートル/分で動く別の1組の延伸ロールによって、フィラメントを延伸比2.52で延伸しアニールした。ジェット空気温度205℃でスタファー−ジェットバルカー(stuffer−jet bulker)を使用してフィラメントを嵩高化し、交絡させ、2435メートル/分で巻き取った。
【0104】
製造したフィラメントは以下の性質を有した:
フィラメント1本当たりのデニール数=約20
a=0.00087インチ
b=0.00033インチ
c=0.00084インチ
MR=1.43
製造時の糸のテナシティは1.95g/デニールであった。
【0105】
両端を4.75回/インチで撚り、ヒートセットして撚糸構造を安定化させた後、タフティングおよび仕上げを行い、約24オンス/平方ヤードの坪量を有する10番ゲージでパイル高さ0.22インチのカーペットを製造した。摩耗試験を行ったカーペットは以下の評価を得た:
Hexapod(ASTM D5252)
4000サイクル後に4.5、および12000サイクル後に3.7
Vettermanドラム(ASTM D5417)
5000サイクル後に4.5、および22000サイクル後に3.8。
【0106】
本発明の実施例5および6のカーペットの摩耗性能を、実施例4に記載の典型的に使用されるトリローバル断面と比較することによって、本発明によるフィラメントの断面の耐フィブリル化挙動をさらに例示する。Hexapod試験およびVettermanドラム試験の両方で、本発明により作製したカーペットの優れた長期性能(それぞれ12000サイクルおよび22000サイクル)が示された。以下の表1に示されるように、12000サイクルおよび22000サイクルの試験の時点での本発明の実施例5および6のHexapod試験およびVettermanドラム試験の両方での値の間の「差」は、同じ12000サイクルおよび22000サイクルの試験の時点における実施例4(比較例)の「差」よりも大きかった。これらのデータは、実施例5および6が実施例4よりも耐フィブリル化性が優れていることを示している。
【0107】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
中を通って伸びる長手方向軸と、長手方向軸に対して直角をなす平面に3つの辺を持つ断面とを有する中実コアで耐フィブリル化性の合成ポリマーフィラメントであって、
辺は、長さが実質的に等しく、形が凸状であり、各辺は、それに沿って中点を有し、各中点は、フィラメントの中心軸に中心を有する内接円上にあり、内接円は長さ「c」に実質的に等しい半径を有し、
各辺は、それぞれの曲率円に中心を有する実質的に丸みを帯びた頂点を通って隣接する辺と接しており、各曲率円は長さ「b」に実質的に等しい半径を有し、各曲率円は、フィラメントの軸から距離「a」だけ間隔を開けており、フィラメントの各頂点は、長さ(a+b)に実質的に等しい半径を有する外接円上にあり、
ここでフィラメントは、外接円の半径(a+b)の、内接円の半径(c)に対する比によって定義される変形比(MR)を有し、
フィラメントは、10<「dpf」<35の範囲のフィラメント当たりのデニール数(「dpf」)を有し;
距離「a」は、0.00025インチ(6マイクロメートル)<「a」<0.004インチ(102マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「b」は、0.00008インチ(2マイクロメートル)<「b」<0.0010インチ(24マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「c」は、0.0003インチ(8マイクロメートル)<「c」<0.0025インチ(64マイクロメートル)の範囲にあり;そして
変形比(「MR」)が、約1.1<「MR」<約2.0の範囲にある、上記フィラメント。
【請求項2】
フィラメントが1.5グラム/デニールを超えるテナシティを有する、請求項1に記載のフィラメント。
【請求項3】
フィラメントが、12<「dpf」<32の範囲のフィラメント当たりのデニール数(「dpf」)を有し;
距離「a」が、0.00035インチ(9マイクロメートル)<「a」<0.003インチ(76マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「b」は、0.00010インチ(3マイクロメートル)<「b」<0.00095インチ(25マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「c」が、0.0005インチ(10マイクロメートル)<「c」<0.002インチ(51マイクロメートル)の範囲にあり;
変形比(「MR」)が、約1.1<「MR」<約2.0の範囲にある、請求項1に記載のフィラメント。
【請求項4】
合成ポリマーがポリトリメチレンテレフタレートである、請求項1に記載のフィラメント。
【請求項5】
ポリトリメチレンテレフタレートがその中につや消し剤を有する、請求項4に記載のフィラメント。
【請求項6】
ポリトリメチレンテレフタレートが着色される、請求項4に記載のフィラメント。
【請求項7】
ポリトリメチレンテレフタレートが、生物学的に生産される1,3プロパンジオールを有する、請求項4に記載のフィラメント。
【請求項8】
合成ポリマーが、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリプロピレン、またはそれらのブレンドである、請求項1に記載のフィラメント。
【請求項9】
ポリトリメチレンテレフタレートがその中に難燃剤を有する、請求項4に記載のフィラメント。
【請求項10】
基布および基布に取り付けられた複数のタフトとを有するカーペットであって、
各タフトが、中を通って伸びる長手方向軸と、長手方向軸に対して直角をなす平面に3つの辺を持つ断面とを有する中実コアで耐フィブリル化性の合成ポリマーフィラメントを有し、
辺は、長さが実質的に等しく、形が凸状であり、各辺は、それに沿って中点を有し、各中点は、フィラメントの中心軸に中心を有する内接円上にあり、内接円は長さ「c」に実質的に等しい半径を有し、
各辺は、それぞれの曲率円に中心を有する実質的に丸みを帯びた頂点を通って隣接する辺と接しており、各曲率円は長さ「b」に実質的に等しい半径を有し、各曲率円は、フィラメントの軸から距離「a」だけ間隔を開けており、フィラメントの各頂点は、長さ(a+b)に実質的に等しい半径を有する外接円上にあり、
ここでフィラメントは、外接円の半径(a+b)の、内接円の半径(c)に対する比によって定義される変形比(MR)を有し、
フィラメントは、10<「dpf」<35の範囲のフィラメント当たりのデニール数(「dpf」)を有し;
距離「a」は、0.00025インチ(6マイクロメートル)<「a」<0.004インチ(102マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「b」は、0.00008インチ(2マイクロメートル)<「b」<0.001インチ(24マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「c」は、0.0003インチ(8マイクロメートル)<「c」<0.0025インチ(64マイクロメートル)の範囲にあり;そして
変形比(「MR」)は、約1.1<「MR」<約2.0の範囲にある、上記カーペット。
【請求項11】
フィラメントが1.5グラム/デニールを超えるテナシティを有する、請求項10に記載のカーペット。
【請求項12】
フィラメントが、12<「dpf」<32の範囲のフィラメント当たりのデニール数(「dpf」)を有し;
距離「a」が、0.00035インチ(9マイクロメートル)<「a」<0.003インチ(76マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「b」が、0.00010インチ(3マイクロメートル)<「b」<0.00095インチ(25マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「c」は、0.0005インチ(10マイクロメートル)<「c」<0.002インチ(51マイクロメートル)の範囲にあり;
変形比(「MR」)が、約1.1<「MR」<約2.0の範囲にある、請求項10に記載のカーペット。
【請求項13】
合成ポリマーがポリトリメチレンテレフタレートである、請求項10に記載のカーペット。
【請求項14】
ポリトリメチレンテレフタレートがその中につや消し剤を有する、請求項13に記載のカーペット。
【請求項15】
ポリトリメチレンテレフタレートが着色される、請求項13に記載のフィラメント。
【請求項16】
ポリトリメチレンテレフタレートが、生物学的に生産される1,3プロパンジオールを有する、請求項10に記載のカーペット。
【請求項17】
合成ポリマーが、ポリエチレンテレフタレート、ナイロン、ポリプロピレン、またはそれらのブレンドである、請求項10に記載のカーペット。
【請求項18】
ポリトリメチレンテレフタレートがその中に難燃剤を有する、請求項13に記載のカーペット。
【請求項19】
中を通って伸びる長手方向軸と、長手方向軸に対して直角をなす平面に3つの辺を持つ断面とを有する中実コアで耐フィブリル化性の合成ポリマーフィラメントを成形するための紡糸口金板であって、
紡糸口金板は、内部に複数のオリフィスが形成されており、各オリフィスは中心および3つの辺を有し、各辺は第1および第2の端点を末端とし、各辺は第1および第2の端点の間の中点を有し、
1つの辺の第1の端点は、円形端部輪郭によって、隣接する辺の第2の端点に連結され、円形端部輪郭は、オリフィスの中心から出る半径の線上にある中心点から測定して寸法「C」に等しい距離を有し、各端部輪郭の中心点は、オリフィスの中心から所定の距離「D」に配置され、
各辺の第1の端点は、隣接する辺の端点の間に画成される弦に沿って、隣接する辺の第2の端点から間隔を開けており、
各円形端部輪郭上の点は、オリフィスの中心に中心を有する半径「(C+D)」の外接円上にあり、各辺の中点は、オリフィスの中心に中心を有する半径「H」の内接円上にあり、
ここで距離「C」は、0.0015インチ(38マイクロメートル)<「C」<0.0040インチ(102マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「D」は、0.0150インチ(381マイクロメートル)<「D」<0.0300インチ(762マイクロメートル)の範囲にある、上記紡糸口金板。
【請求項20】
距離「C」が、0.0020インチ(51マイクロメートル)<「C」<0.0035インチ(89マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「D」が、0.0175インチ(445マイクロメートル)<「D」<0.0280インチ(711マイクロメートル)の範囲にある、請求項19に記載の紡糸口金板。
【請求項21】
各辺の各端点が、円形端部輪郭の接点となる、請求項19に記載の紡糸口金板。
【請求項22】
各オリフィスの各辺は実質的にくぼんでおり、各辺は、オリフィスの中心点から出て辺の中点を通過する基準半径上に位置する中心を有する基準円上にあり、
基準円の中心は、オリフィスの中心軸から基準半径に沿って所定の距離「A」で配置され、基準円が寸法「B」の半径を有し、
オリフィスは、外接円の半径(C+D)の、内接円の半径(A−B)に対する比によって定義される変形比(MR)を有し、したがって
「MR」=(C+D)/「H」であり、
ここで距離「A」は、0.0300インチ(762マイクロメートル)<「A」<0.0900インチ(2286マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「B」は、0.0200インチ(508マイクロメートル)<「B」<0.0700インチ(2032マイクロメートル)の範囲にあり;
比(A/B)は、約1.0<(A/B)<約1.6の範囲にあり;
変形比(「MR」)は、約1.5<「MR」<約4.5の範囲にある、請求項19に記載の紡糸口金板。
【請求項23】
距離「A」が、0.0300インチ(762マイクロメートル)<「A」<0.0800インチ(2032マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「B」が、0.0200インチ(508マイクロメートル)<「B」<0.0800インチ(1778マイクロメートル)の範囲にあり;
比(A/B)が、約1.1<(A/B)<約1.5の範囲にあり;
変形比(「MR」)が、約1.8<「MR」<約3.5の範囲にある、請求項22に記載の紡糸口金板。
【請求項24】
各オリフィスの各辺が実質的に直線状であり、
各円形端部輪郭の点が、オリフィスの中心に中心を有する半径「(C+D)」の外接円上にあり、
各辺の中点が、オリフィスの中心に中心を有する半径「H」の内接円上にあり、
距離「H」が、0.0090インチ(229マイクロメートル)<「H」<0.0190インチ(483マイクロメートル)の範囲にあり、
オリフィスは、外接円の半径(C+D)の、内接円の半径「H」に対する比によって定義される変形比(「MR」)を有し、したがって
「MR」=(C+D)/「H」であり、
ここで変形比(「MR」)が、約1.6<「MR」<約2.5の範にある、請求項19に記載の紡糸口金板。
【請求項25】
距離「H」(すなわち、内接円の半径)が、0.0108インチ(274マイクロメートル)<「H」<0.0175インチ(445マイクロメートル)の範囲にあり、
変形比(「MR」)が、約1.7<「MR」<約2.3の範囲にある、請求項24に記載の紡糸口金板。
【請求項26】
中を通って伸びる長手方向軸と、長手方向軸に対して直角をなす平面に3つの辺を持つ断面とを有する中実コアで耐フィブリル化性の合成ポリマーフィラメントを成形するための紡糸口金板であって、
紡糸口金板は、内部に複数のオリフィスが形成されており、各オリフィスは中心および3つの辺を有し、各辺は第1および第2の端点を末端とし、各辺は第1および第2の端点の間の中点を有し、
各辺の第1の端点は、隣接する辺の端点の間に画成される基準線によって、隣接する辺の第2の端点から間隔を開けており、基準線は、中心点から出る基準半径と交差しており、基準線と基準半径との間の交点は、オリフィスの中心から基準半径に沿って距離「G」にあり、基準線は所定の長さ「2F」を有し、
1つの辺の第1の端点は、少なくとも2つの直線状縁端部を有する端部輪郭によって隣接する辺の第2の端点に連結され、直線状縁端部は頂点において交差し、頂点は、基準線と基準半径との交点から寸法「E」だけ間隔を開けており、
ここで距離「E」は、0.0025インチ(64マイクロメートル)<「E」<0.0150インチ(381マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「F」は、0.0015インチ(38マイクロメートル)<「F」<0.0040インチ(102マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「G」は、0.0150インチ(381マイクロメートル)<「G」<0.0300インチ(762マイクロメートル)の範囲にある、紡糸口金板。
【請求項27】
距離「E」が、0.0030インチ(76マイクロメートル)<「E」<0.0100インチ(254マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「F」が、0.0020インチ(51マイクロメートル)<「F」<0.0035インチ(89マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「G」が、0.0175インチ(445マイクロメートル)<「G」<0.0280インチ(711マイクロメートル)の範囲にある、請求項26に記載の紡糸口金板。
【請求項28】
各オリフィスの各辺が実質的にくぼんでおり、各辺は、オリフィスの中心点から出て辺の中点を通過する基準半径上に位置する中心を有する基準円上にあり、
基準円の中心が、オリフィスの中心軸から基準半径に沿って所定の距離「A」で配置され、基準円が寸法「B」の半径を有し、
オリフィスは、外接円の半径(E+G)の内接円の半径「(E+G)」に対する比によって定義される変形比(「MR」)を有し、したがって
「MR」=(C+D)/「(A−B)」であり、
ここで距離「A」は、0.0300インチ(762マイクロメートル)<「A」<0.0900インチ(2286マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「B」は、0.0200インチ(508マイクロメートル)<「B」<0.0800インチ(2032マイクロメートル)の範囲にあり;
比(A/B)は、約1.0<(A/B)<約1.6の範囲にあり;
変形比(「MR」)は、約1.5<「MR」<約4.5の範囲にある、請求項26に記載の紡糸口金板。
【請求項29】
距離「A」が、0.0300インチ(762マイクロメートル)<「A」<0.0800インチ(2032マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「B」が、0.0200インチ(508マイクロメートル)<「B」<0.0800インチ(1778マイクロメートル)の範囲にあり;
比(A/B)が、約1.1<(A/B)<約1.5の範囲にあり;
変形比(「MR」)が約1.8<「MR」<約3.5の範囲にある、請求項28に記載の紡糸口金板。
【請求項30】
各オリフィスの各辺が実質的に直線状であり、
各端部輪郭の頂点が、オリフィスの中心に中心を有する半径「(G+E)」の外接円上にあり、
各辺の中点が、オリフィスの中心に中心を有する半径「H」の内接円上にあり、
各辺の中点が、オリフィスの中心に中心を有する半径「H」の内接円上にあり、
ここで距離「H」は、0.0088インチ(224マイクロメートル)<「H」<0.0185インチ(470マイクロメートル)の範囲にあり、
オリフィスは、外接円の半径(G+E)の、内接円の半径「H」に対する比として定義される変形比(「MR」)を有し、したがって
「MR」=(G+E)/「H」であり、
ここで変形比(「MR」)は、約1.6<「MR」<約2.5の範囲にある、請求項26に記載の紡糸口金板。
【請求項31】
距離「H」(すなわち、内接円の半径)が、0.0105インチ(267マイクロメートル)<「H」<0.0170インチ(432マイクロメートル)の範囲にあり、
変形比(「MR」)が、約1.7<「MR」<約2.3の範囲にある、請求項30に記載の紡糸口金板。
【請求項32】
中を通って伸びる長手方向軸と、長手方向軸に対して直角をなす平面に3つの辺を持つ断面とを有する中実コアで耐フィブリル化性の合成ポリマーフィラメントで、
辺は、長さが実質的に等しく、形が凸状であり、各辺は、それに沿って中点を有し、各中点は、フィラメントの中心軸に中心を有する内接円上にあり、内接円は長さ「c」に実質的に等しい半径を有し、
各辺は、それぞれの曲率円に中心を有する実質的に丸みを帯びた頂点を通って隣接する辺と接しており、各曲率円は長さ「b」に実質的に等しい半径を有し、各曲率円は、フィラメントの軸から距離「a」だけ間隔を開けており、フィラメントの各頂点は、長さ(a+b)に実質的に等しい半径を有する外接円上にあり、
ここでフィラメントは、外接円の半径(a+b)の、内接円の半径(c)に対する比によって定義される変形比(MR)を有し、
フィラメントは、10<「dpf」<35の範囲のフィラメント当たりのデニール数(「dpf」)を有し;
距離「a」は、0.00025インチ(6マイクロメートル)<「a」<0.004インチ(102マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「b」は、0.00008インチ(2マイクロメートル)<「b」<0.0010インチ(24マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「c」は、0.0003インチ(8マイクロメートル)<「c」<0.0025インチ(64マイクロメートル)の範囲にあり;
変形比(「MR」)が、約1.1<「MR」<約2.0の範囲にあるポリマーフィラメントの製造方法であって:
a)溶融合成ポリマーを、複数のオリフィスを有する紡糸口金板を通してポンプで送り出して、フィラメントを形成するステップと;
b)フィラメントを冷却するステップと;
c)フィラメントに仕上げ剤を塗布するステップと;
d)フィラメントの延伸およびアニーリングを行うステップと;および
e)フィラメントをバルキー出しして、ランダムな3次元の曲線の捲縮をフィラメントに付与するステップとを含む、方法
【請求項33】
紡糸口金板の各オリフィスが中心および3つの辺を有し、各辺は第1および第2の端点を末端とし、各辺は第1および第2の端点の間の中点を有し、
1つの辺の第1の端点は、円形端部輪郭によって、隣接する辺の第2の端点に連結され、円形端部輪郭は、オリフィスの中心から出る半径の線上にある中心点から測定して寸法「C」に等しい距離を有し、各端部輪郭の中心点は、オリフィスの中心から所定の距離「D」に配置され、
各辺の第1の端点は、隣接する辺の端点の間に画定される弦に沿って、隣接する辺の第2の端点から間隔を開けており、
各円形端部輪郭上の点は、オリフィスの中心に中心を有する半径「(C+D)」の外接円上にあり、各辺の中点は、オリフィスの中心に中心を有する半径「H」の内接円上にあり、
ここで距離「C」は、0.0015インチ(38マイクロメートル)<「C」<0.0040インチ(102マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「D」は、0.0150インチ(381マイクロメートル)<「D」<0.0300インチ(762マイクロメートル)の範囲にある、請求項32に記載の方法。
【請求項34】
紡糸口金板の各オリフィスは中心および3つの辺を有し、各辺は第1および第2の端点を末端とし、各辺は第1および第2の端点の間の中点を有し、
各辺の第1の端点は、隣接する辺の端点の間に画定される基準線によって、隣接する辺の第2の端点から間隔を開けており、基準線は、中心点から出る基準半径と交差しており、基準線と基準半径との間の交点は、オリフィスの中心から基準半径に沿って距離「G」にあり、基準線は所定の長さ「2F」を有し、
1つの辺の第1の端点は、少なくとも2つの直線状縁端部を有する端部輪郭によって隣接する辺の第2の端点に連結され、直線状縁端部は頂点において交差し、頂点は、基準線と基準半径との交点から寸法「E」だけ間隔を開けており、
ここで距離「E」は、0.0025インチ(64マイクロメートル)<「E」<0.0150インチ(381マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「F」は、0.0015インチ(38マイクロメートル)<「F」<0.0040インチ(102マイクロメートル)の範囲にあり;
距離「G」は、0.0150インチ(381マイクロメートル)<「G」<0.0300インチ(762マイクロメートル)の範囲にある、請求項32に記載の方法。
【請求項35】
合成ポリマーがポリトリメチレンテレフタレートである、請求項32に記載の方法。
【請求項36】
ポリトリメチレンテレフタレートが、生物学的に生成される1,3プロパンジオールを有する、請求項32に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公表番号】特表2012−512972(P2012−512972A)
【公表日】平成24年6月7日(2012.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−542319(P2011−542319)
【出願日】平成21年12月15日(2009.12.15)
【国際出願番号】PCT/US2009/067982
【国際公開番号】WO2010/071775
【国際公開日】平成22年6月24日(2010.6.24)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】