説明

室内用空気浄化及び殺菌装置

本発明は室内空気をアーク放電によって励起して汚染物質及び悪臭を分解して殺菌処理し、磁場を印加して励起状態を維持し、アーク活性分子と汚染物質の間の接触時間を延長することによって空気浄化及び殺菌効率を向上させ、アーク放電で発生する騒音を騒音器で低減し、オゾン及び静電気をオゾン除去用フィルター及び静電気除去用金属フィルターでそれぞれ除去することで室内空気の浄化及び殺菌に非常に適するように構成される室内用空気浄化及び殺菌装置に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は汚染された室内空気をアーク放電によって励起して汚染物質及び悪臭を分解し、且つ殺菌処理する装置に関し、具体的には、室内空気をアーク放電によって励起して汚染物質及び悪臭を分解して殺菌処理し、磁場を印加して励起状態を維持し、アーク活性分子と汚染物質の間の接触時間を延長することによって空気浄化及び殺菌効率が大幅に向上され、アーク放電で発生する騒音を騒音器で低減し、オゾン及び静電気をオゾン除去用フィルター及び静電気除去用金属フィルターでそれぞれ除去することで室内空気の浄化及び殺菌に非常に適するように構成される室内用空気浄化及び殺菌装置に関する。
【背景技術】
【0002】
1970年代以後、各種産業分野においてエネルギーを節減し、エネルギーの効率を高めるための努力の一環として密閉型構造及びエネルギー節減型構造に建築される建物が増加した。また、2008年から始まった高油価、世界経済の沈滞、気候変化協約による炭素排出抑制及び排出量取引制度の施行によって建物の密閉化及びエネルギーの消費を低減するための多様な方法が積極的に施行されている。これによって建物の内部の室内空気の質が悪化される現象がさらに急速に促進されている。
【0003】
室内環境の問題は人間活動によって発生する各種汚染物質が室内に放出されて室内環境を汚染させる現象、即ち、室内汚染による問題であると言える。
【0004】
室内空気の中には物理的、化学的及び生物学的に多様な汚染物質が存在する。このような汚染物質は外部空気の流入、タバコの煙、ラジエーター、オーブン、炊事道具、セメント、洗浄剤、建築材料、ペイントなどのような複合的な排出源に起因するので、その排出量も汚染物質によって相当な偏差を現わすことと知られている。
【0005】
例えば、韓国ソウル市内に位置したデパートの室内空気の質を測定及び分析した結果、炭酸ガス(CO)779PPM、二酸化窒素(NO)40PPM、ホルムアルデヒド(HCHO)0.16PPB、総浮遊粉塵(TSP)0.023ug/mで、微生物は真菌類297CFu/m、総細菌1622CFu/mの高い数値に現われた。また、産業界工場の事務室ではプロセスガスが流入されてアンモニア(NH)、硫化水素(HS)、ベンゼン(C)などのような各種悪臭性有害物質が流入されて健康障害を誘発することと調査された。
【0006】
このような室内汚染を解決するために、従来には複数のフィルター群が形成された空気清浄機で主に微細粉塵を除去する方法を使用したが、近来には微細粉塵除去フィルターの他にカーボンなどが担持された脱臭フィルター、銀ナノカーボンなどが担持された抗菌フィルターなどを採択した空気清浄機で脱臭、殺菌を行うことができるが、室内で使用する空気清浄機の構造的特性によってフィルター類にカーボン及び銀ナノカーボンを十分担持することができなくて、脱臭及び細菌殺菌に対する効果が充分でなく、これらフィルター類を周期的に取り替えなければならない問題点がある。
【0007】
空気中の悪臭を除去する一般的な方法は、産業界で主に使われる方法として、洗浄水噴霧の洗浄塔、充電されたカーボン層を通過させて悪臭を除去する吸着塔、焼却処理法などが実施されているが、このような装置は固有の特性によって室内空気浄化用に使用することができるほどに小型化することが事実上不可能である。また、洗浄塔は親水性物質の悪臭除去のみに効果があり、吸着塔は吸着剤であるカーボンを周期的に取り替えなければならなく、焼却処理法は都市ガス(LNG)を燃焼させなければならない問題点があって室内空気浄化用として採択することが非常に困難である。
【0008】
また、汚染空気中の細菌を殺菌する方法として、オゾンが水に溶解されて製造されたオゾン水を汚染空気に噴霧して細菌を殺菌する装置が開示されているが、オゾン発生器、オゾン溶解器、排オゾン処理器などが含まれなければならないため、装置が複雑で高価になり、特に排気されるオゾンが適切に処理されない場合には、室内に放出されたオゾンが在室者の呼吸器系統に損傷を与え、オゾンが大気に放出されると光化学スモッグを形成して大気環境を汚染させる虞がある。
【0009】
前記のようにオゾンを利用して空気を浄化する装置または方法に対して、韓国登録実用新案公報第0434060号(考案の名称:オゾン水、プラズマ、触媒を利用した高効率悪臭除去装置及びその方法)では、オゾン水槽に悪臭を除去するためにオゾンポンプでポンピングして噴射ノズルで噴射して空気を浄化し、デミスターで水分を除去した後排出させるように構成される悪臭除去装置及びその方法が開示されているが、このような悪臭除去装置は、浄化容器の内部で上昇する空気にオゾン水を噴射して浄化する構成で、浄化容器が大型化されることが不可避で小型化することが困難であるため産業用のみに使われており、家庭やその他の室内用途としては適用することができない問題点がある。
【0010】
また、韓国公開特許公報第2008−96973号(発明の名称:オゾン霧噴射装置)ではオゾンを水と一緒に空気の中に噴射することで空気浄化性能を得るオゾン霧噴射装置が開示されているが、このようなオゾン霧噴射装置は直接大気中にオゾンを噴射する方式で、室内湿度を高め、オゾンが水に溶解されるのではなく、オゾンと水がそれぞれ噴射されるので湿度が高い室内では使うことができなく、周辺の人や物、装置などに直接水分を噴射するため、使用に負担を感じるだけでなく、直接噴射されるオゾンによる有害性を発生させる問題点がある。
【0011】
また、韓国登録実用新案公報第0428872号(考案の名称:オゾン水製造装置を具備した室内殺菌及び空気殺菌浄化器)では、食品材料や各種器具をオゾン水で殺菌する際に、オゾン水を連続的に供給しながらオゾン水の含有濃度と含有時間が充分持続できるようにし、室内の所望の所に移動設置して室内の空気を浄化する一方、室内全体を消毒することができるオゾン水製造装置を具備した室内殺菌消毒及び空気殺菌浄化器が開示されているが、このような室内殺菌消毒及び空気殺菌浄化器は、オゾンガスを室内空気に直接排出する方式であるため、前記排出されたオゾンガスが人に被害を与える虞が大きいという問題点がある。
【0012】
このような問題点を解決して室内用途として使うために、相互離間された複数の電極で発生するアーク放電を利用して室内空気を浄化する小型装置に対する研究開発が行われている。
【0013】
韓国公開特許公報第2005−102600号(発明の名称:プラズマ脱臭殺菌器)では複数の電極で発生するスライディングアークプラズマ、及び光触媒フィルターで発生するプラズマ酸化イオンによって各種揮発性有機化合物、臭い及び細菌など有害物質を含有した汚染空気をリアルタイムで酸化分解するプラズマ脱臭殺菌器が開示されている。このようなプラズマ脱臭殺菌器は、理論上ではアーク放電によるスライディングアークプラズマ、及び光触媒フィルターで発生するプラズマ酸化イオンによって汚染物質を除去することができるが、実際には、アーク放電によって発生する汚染空気の励起状態が極めて短時間に終わるため汚染空気に含有された有害物質の酸化分解効率が非常に不足であり、アーク放電の時発生する電磁波を遮蔽する手段及びオゾンを除去する手段が具備されなくて電磁波とオゾンが人の体に深刻な悪影響を及ぼすため室内空気の浄化に使うことが適しない。
【0014】
また、韓国公開特許公報第2008−4018号(発明の名称:畜舎用空気浄化装置及びこれに適用されるオゾン発生器のアムモニウム塩除去装置)では、アーク放電によってオゾンを発生する一対の電極板及び酸化作用を誘発する酸化触媒層が含まれたオゾン発生手段が具備され、前記オゾン発生手段で発生するオゾンによって畜舎の悪臭、有害ガスを酸化させて除去する畜舎用空気浄化装置が開示されている。このような空気浄化装置は、アーク放電によって発生する汚染空気の励起状態が極めて短時間に終了されるため、汚染空気に含有された有害物質の酸化分解効率が非常に不足で、アーク放電の時発生する電磁波を遮蔽する手段及び騒音を低減する手段が具備されなくて電磁波と騒音が人の体に有害であるだけでなく、アーク放電の時発生するオゾンが大気中に排出されるため環境に悪影響を与える。
【0015】
また、韓国登録特許公報第10−0840935号(発明の名称:プラズマとバイオフィルターハイブリッド濾過装置)では、プラズマ反応部に水と有害ガスを同時に供給してプラズマ有害ガス分解性能を向上させ、この流体ノズル噴射及びプラズマ放電を通じて微細な水粒子と酸素をバイオ濾過部に均一に供給して微生物の有害ガス浄化機能を向上させるプラズマとバイオフィルターハイブリッド濾過装置が開示されている。このようなプラズマとバイオフィルターハイブリッド濾過装置もアーク放電によって発生する汚染空気の励起状態が極めて短時間に終わるため汚染空気に含有された有害物質の酸化分解効率が非常に不足で、アーク放電の時発生する電磁波を遮蔽する手段、オゾンを除去する手段、及び騒音を低減する手段が具備されなくて、電磁波、オゾン、騒音が人の体に深刻な悪影響を及ぼすため、室内空気の浄化に使うには適しない。
【0016】
結論的に、従来のアーク放電を利用して室内空気を浄化する小型装置は、実際にアーク放電によって発生する汚染空気の励起状態が極めて短時間に終わるため、汚染空気に含有された有害物質の酸化分解効率が非常に不足で、アーク放電の時発生する電磁波を遮蔽する手段、オゾンを除去する手段、及び騒音を低減する手段が具備されなくて、電磁波、オゾン、騒音が人の体に深刻な悪影響を及ぼすため、室内空気の浄化に使うには適しないという問題点がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明は前記のような従来技術の問題点を解決するために創出されたもので、本発明の目的は、汚染された室内空気をアーク放電によって励起して汚染物質及び悪臭を分解して殺菌処理し、磁場を印加して励起状態を維持してアーク活性分子と汚染物質の間の接触時間を延長することによって空気浄化及び殺菌効率が大幅に向上され、アーク放電で発生する騒音を騒音器で低減し、オゾン及び静電気をオゾン除去用フィルター及び静電気除去用金属フィルターでそれぞれ除去することで室内空気の浄化及び殺菌に非常に適するように構成される室内用空気浄化及び殺菌装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
前記のような課題を達するために、本発明では、ハウジングの一側に形成される吸気管と;前記吸気管に形成される粉塵除去用前処理フィルターと;前記粉塵除去用前処理フィルターに隣接して形成されるエアポンプまたは空気吸入用ファンと;前記エアポンプまたは空気吸入用ファンによって吸入された汚染気体を励起するようにアーク放電器が形成され、前記アーク放電器を収容する放電支持管の内周面に二酸化チタン触媒層が形成され、外周面に電磁波遮蔽層が形成されるアーク放電部と;前記アーク放電部で移送された気体に磁場を印加して励起状態を維持するように誘導コイルが形成され、前記誘導コイルを収容する誘導コイル支持管の内周面に磁性層が形成され、外周面が永久磁石で包容される磁場処理部と;前記磁場処理部に連結されて内周面に吸音材が形成されるかまたは複数の騒音低減用バッフルが形成される騒音器と;前記騒音器と連結された排気管に内在され、多孔性担体にMnO、CuO、ゼオライトからなる群から少なくとも一つ以上のオゾン分解触媒が担持されてなるオゾン除去用フィルターと;前記オゾン除去用フィルターに隣接して形成され、銅またはステンレススチール材質からなって接地される静電気除去用金属フィルターと;を含む室内用空気浄化及び殺菌装置が提供される。
【発明の効果】
【0019】
本発明による室内用空気浄化及び殺菌装置は、アーク放電によって空気を励起して汚染物質及び悪臭を分解して病源菌を殺菌処理し、励起された空気に磁場を印加して励起状態を維持することによって空気浄化及び殺菌効率が大幅に向上される効果を有する。
【0020】
また、本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置は、アーク放電の時発生する騒音を騒音器で低減し、オゾンをオゾン除去用フィルターで除去し、静電気を静電気除去用金属フィルターで除去することによって人が居住する室内空気の浄化及び殺菌に非常に適するという特性を有している。
【0021】
本発明の特徴及び利点は添付図面に基づいた以下の詳細な説明によってさらに明らかになる。これに先だって、本明細書及び特許請求の範囲に用いられた用語や単語は通常的で且つ辞書的な意味に解釈されてはならず、発明者が自分の発明を最も最善の方法で説明するために用語の概念を適切に定義することができるという原則に即して本発明の技術的思想に符合する意味と概念に解釈すべきである。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置の全体システムの構成図である。
【図2】本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置のアーク放電部の断面図である。
【図3】本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置の磁場処理部の断面図である。
【図4】本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置の騒音器の第1例示図である。
【図5】本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置の騒音器の第2例示図である。
【図6】本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置の騒音器の静電気除去用金属フィルターの例示図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明は汚染された室内空気である汚染気体をアーク放電によって励起して汚染物質及び悪臭を分解して殺菌処理し、磁場を印加して励起状態を維持し、アーク活性分子と汚染物質の間の接触時間を延長して浄化効率を向上させ、アーク放電で発生する騒音、オゾン、静電気を除去または低減することで室内空気の浄化及び殺菌に非常に適する特性を有する室内用空気浄化及び殺菌装置を提供することを技術思想としている。
【0024】
図面と実施形態を参照して本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置について詳細に説明する。
【0025】
図1は本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置に含まれる全体システムの構成を示し、図2は本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置のアーク放電部の断面を示し、図3は本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置の磁場処理部の断面を示し、図4は本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置の騒音器の一実施形態を例示し、図5は本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置の騒音器の他の実施形態を例示し、図6は本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置の騒音器の静電気除去用金属フィルターを例示した。
【0026】
図1〜6によれば、本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置はハウジングの一側に形成される吸気管が含まれる。
【0027】
室内用空気浄化及び殺菌装置の主要構成要素を包容するように所定体積のハウジングが形成され、前記ハウジングの一側に汚染気体が吸入される吸気管110が形成される。前記吸気管110に吸気された汚染気体がアーク放電によって励起されて汚染物質及び悪臭が分解されて殺菌処理され、前記励起された状態の空気に磁場が印加されて励起状態が維持され、アーク活性分子と汚染物質の間の接触時間が延長されるので浄化効率が向上される。
【0028】
また、吸気管110に吸入される汚染空気を計測して、含有された汚染物質の種類及び含量を測定する汚染感知センサー610が形成され、前記汚染感知センサー610に連結される制御部600が室内用空気浄化及び殺菌装置の内部に形成される。前記吸気管110に形成された汚染感知センサー610で測定された汚染物質の測定結果に基づいて、制御部600でアーク放電部のアーク放電器210、及び磁場処理部の誘導コイル310の作動が最適な状態になるように適切に制御することによって空気浄化及び殺菌効率を向上させ、同時に、アーク放電器210及び誘導コイル310の不必要な作動を抑制して、エネルギーの消費を低減するように構成される。
【0029】
また、本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置は前記吸気管に形成される粉塵除去用前処理フィルターが含まれる。
【0030】
室内空気中には物理的、化学的及び生物学的に多様な汚染物質が存在し、このような汚染物質の中には粉塵が含まれている。粉塵が含有された汚染気体が吸気管110に吸入されると、前記汚染気体の粉塵がアーク放電を妨害して汚染気体が充分励起されないだけでなく、粉塵によって電極が損傷される現象が発生する問題がある。
【0031】
このような問題を解決するために、本発明では、吸気管110の入口または内部に汚染気体を濾過して粉塵を分離する粉塵除去用前処理フィルター120が形成される。吸気管110に装着された粉塵除去用前処理フィルター120によって汚染気体が濾過されて粉塵が分離除去され、前記のように、粉塵が分離された状態である汚染気体がアーク放電部200に移送されてアーク放電によって励起されるので、粉塵による電極損傷や放電効率の低下が発生しない。
【0032】
また、本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置は、前記粉塵除去用前処理フィルターに隣接して形成されるエアポンプまたは空気吸入用ファンが含まれる。
【0033】
吸気管110の内部で粉塵除去用前処理フィルター120と隣接した位置に室内空気を吸入してアーク放電部200に移送するエアポンプ130または空気吸入用ファンが形成される。前記のように、吸気管110の内部に装着されたエアポンプ130または空気吸入用ファンは、空気浄化及び殺菌システムで汚染気体を吸い込み、前記空気浄化及び殺菌システムで浄化及び殺菌処理された空気を再び室内に排出するのに必要な圧力を提供するように構成される。
【0034】
また、本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置は、前記エアポンプまたは空気吸入用ファンによって吸入された汚染気体を励起するようにアーク放電器が形成され、前記アーク放電器を収容する放電支持管の内周面に二酸化チタン触媒層が形成され、外周面に電磁波遮蔽層が形成されるアーク放電部が含まれる。
【0035】
吸気管110に連結されてエアポンプ130または空気吸入用ファンによって移送された汚染気体に高電圧を印加して高エネルギー状態に励起させ、同時に、二酸化チタン触媒によって酸化処理することによって前記汚染気体に含有された汚染物質を分解して細菌を殺菌処理するアーク放電部200が形成される。
【0036】
このようなアーク放電部200は複数のアーク放電電極からなって汚染気体を励起するようにアーク放電してアーク放電帯を形成するアーク放電器210、及び前記アーク放電器210を包容する金属材質の放電支持管220からなり、前記放電支持管220の内周面には汚染物質に対して強い酸化機能を有する二酸化チタン触媒がコーティングされて、二酸化チタン触媒層221が形成され、放電支持管220の外周面には既に公知にされた電磁波遮蔽材からなる電磁波遮蔽層222が形成される構造を構成する。
【0037】
アーク放電部の放電支持管220に内装されたアーク放電器210は複数のアーク放電電極からなって、高電圧が印加されたアーク放電器210のアーク放電電極とアーク放電電極の間で放電されながら高エネルギー電子が生成され、前記生成された高エネルギー電子が収束されてアーク放電電極とアーク放電電極の間でアーク放電帯が形成される。
【0038】
アーク放電部200に流入された汚染気体は、アーク放電器210のアーク放電電極とアーク放電電極の間のアーク放電帯を通過しながら高エネルギー電子によって励起状態に転換されて、汚染気体中の汚染物質が分解されて細菌が殺菌される。具体的に、アーク放電器210のアーク放電電極でアークが放電されて生成される高エネルギー電子によって汚染気体で酸化力が非常に強い活性酸素、活性窒素、水素原子、CHラジカル、OHラジカルなどのアーク活性分子が発生され、前記アーク活性分子が汚染気体の汚染物質と直接接触しながら前記汚染物質を1次酸化させて人の体に無害な化合物に変換させる。
【0039】
しかし、前記のように、アーク放電器210のアーク放電で発生されるアーク活性分子が汚染気体の汚染物質と直接接触しながら前記汚染物質を酸化させて人の体に無害な化合物に変換させる過程で、必ず強い可視光線と紫外線、人の体に有害な電磁波、85〜88デシベルの騒音、オゾン及び静電気が発生される。このような可視光線と紫外線、電磁波、騒音、オゾン及び静電気を大幅に低減または除去しないと室内用途の空気浄化及び殺菌装置として使うことが非常に困難である。
【0040】
したがって、アーク放電器210のアーク放電で発生される可視光線と紫外線を汚染気体の汚染物質を2次酸化するのに再利用することによって、前記汚染物質を人の体に無害な化合物に変換させる機能を有する二酸化チタン触媒層221がアーク放電部200に形成される。具体的に、アーク放電部200でアーク放電器210を収容する放電支持管220の内周面に可視光線と紫外線による酸化作用が卓越な二酸化チタン触媒をコーティングして所定厚さの二酸化チタン触媒層221を形成する。前記のように、放電支持管220の内周面に形成される二酸化チタン触媒層221はアーク放電器210のアーク放電で発生する可視光線と紫外線によって酸化機能が活性化され、二酸化チタン触媒層221の活性化された酸化機能によって汚染気体の汚染物質が2次酸化されて人の体に無害な化合物に変換される。
【0041】
また、アーク放電器210のアーク放電で発生される電磁波は汚染気体に含有された汚染物質の分解をある程度促進する機能を有しているが、人の体には非常に有害である問題がある。したがって、アーク放電器210のアーク放電で発生される電磁波を遮蔽するように前記アーク放電器210を収容する放電支持管220の外周面に電磁波遮蔽材からなる電磁波遮蔽層222が形成される。電子機器で発生する電磁波を遮蔽する電磁波遮蔽材は、伝導性材質からなって電磁波を反射する機能を有する反射型電磁波遮蔽材または半導性材質からなって電磁波を吸収する機能を有する吸収型電磁波遮蔽材に分けられ、本発明では電磁波を反射する機能を有する反射型電磁波遮蔽材が用いられて、放電支持管220の外周面に電磁波を反射する電磁波遮蔽層222を形成することが、アーク放電器210のアーク放電で発生される電磁波を反射してアーク放電部200の外部に流出されることを遮断し、同時に、前記反射された電磁波が汚染物質の分解を促進することができるという面で好ましい。
【0042】
具体的に、アーク放電部の放電支持管200の外周面に電磁波反射及び遮蔽機能が優れ、且つ柔軟性を有する伝導性カーボン、及びカーボン繊維不織布からなる群から一つ以上選択される反射型電磁波遮蔽材が包容されて所定厚さの電磁波遮蔽層222が構成される。放電支持管200の外周面に形成された電磁波遮蔽層222はアーク放電器210のアーク放電で発生される電磁波を反射してアーク放電部200の外部に流出されることを遮断することで人の体に悪影響を与えることを防止し、同時に、前記反射された電磁波がアーク放電部200の内部で汚染物質が分解されることを促進することによって汚染物質の除去効率を向上させる。
【0043】
その他にも、アーク放電器210のアーク放電で発生される85〜88デシベルの騒音は後述する騒音器400で大幅に低減され、オゾンは後述するオゾン除去用フィルター510で分解されて除去され、静電気は後述する静電気除去用金属フィルター520によって接地されて除去されるので、騒音、オゾン、静電気が室内居住者に影響を与えなくなる。
【0044】
また、本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置は、前記アーク放電部で移送された気体に磁場を印加して励起状態を維持するように誘導コイルが形成され、前記誘導コイルを収容する誘導コイル支持管の内周面に磁性層が形成され、外周面が永久磁石で包容される磁場処理部が含まれる。
【0045】
アーク放電器210のアーク放電電極で発生される高エネルギー電子によって汚染気体を励起状態に転換して汚染物質を分解して細菌を殺菌する効果を有しているが、実際には、アークによって発生するアーク活性分子が非常にランダムに活動するため、アーク活性分子と汚染物質の間の接触時間が短くて接触効率が低下されるだけでなく、アーク活性分子の寿命が短くて汚染物質をまともに分解するほどに励起状態が充分持続されないため、人の体に影響を与えない程度に汚染気体を十分に浄化して殺菌する効果を期待することが困難である。
【0046】
しかし、アーク放電によって生成されたアーク活性分子に磁場を印加すると、前記アーク活性分子の寿命が大きく延長され、それによってアーク活性分子を含む汚染気体の励起状態をそれだけ持続することができる特性を有している。
【0047】
前記のような特性を利用して、本発明ではアーク放電部200でアーク放電によって励起された汚染気体の励起状態を延長し、前記のように励起状態が延長された汚染気体を整列して特定方向に誘導することによって、汚染気体に含まれたアーク活性分子と汚染物質の間の接触時間を延長し、接触効率を向上させるように磁場を印加する磁場処理部300が形成される。
【0048】
このような磁場処理部300は、励起状態の汚染気体に磁場を印加して電気双極子モーメントによって特定方向に進行させる誘導コイル310、及び前記誘導コイル310を包容する磁場が通る金属材質の誘導コイル支持管320からなり、前記誘導コイル支持管320の内周面には磁性体粉末がコーティングされて磁性層321が形成され、前記誘導コイル支持管320の外周面は永久磁石322で包容される構造を構成する。
【0049】
磁場処理部の誘導コイル支持管320に内装される誘導コイル310はアーク放電部200でアーク放電によって励起された汚染気体にソレノイド磁場を印加してアーク活性分子の寿命を延長させることによって励起状態が持続するように支援し、同時に、前記励起状態である汚染気体を整列して、双極子モーメントによって特定方向に進行させて汚染気体に含まれたアーク活性分子と汚染物質の間の接触時間を延長させる。
【0050】
また、誘導コイル支持管320の内周面に形成された磁性層321及び外周面に形成された永久磁石322が励起状態である汚染気体に磁場を印加して前記汚染気体に含有されたアーク活性分子の寿命を大きく延長し、それによってアーク活性分子を含む汚染気体の励起状態をそれだけ持続することができるように支援する。
【0051】
前記のように、誘導コイル310で印加されるソレノイド磁場によって励起状態である汚染気体が整列され、双極子モーメントによって特定方向に進行されて汚染気体に含まれたアーク活性分子と汚染物質の間の接触時間が延長され、誘導コイル支持管320の磁性層321及び永久磁石322で印加される磁場によって汚染気体に含有されたアーク活性分子の寿命が大きく延長され、それによってアーク活性分子を含む汚染気体の励起状態がそれだけ持続することによって、汚染気体を十分浄化して、殺菌する効果を提供する。
【0052】
また、本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置は、前記磁場処理部に連結されて騒音器配管410の内周面に吸音材が形成されるかまたは複数の騒音低減用バッフルが形成される騒音器が含まれる。
【0053】
アーク放電器210でアーク放電する時、85〜88デシベルの騒音が発生され、このような騒音が室内居住者の不快感を誘発することから、アーク放電器210でアーク放電する時発生する騒音を大幅に低減しない場合室内用途の空気浄化及び殺菌装置として使うことが非常に困難である。
【0054】
これによって、本発明では磁場処理部300と連結されて、アーク放電器210でアーク放電する時発生する騒音を吸収または緩和して低減する騒音器400が形成される。
【0055】
具体的に、磁場処理部300と連結された騒音器配管410の内部面に吸音材420が形成されるかまたは複数の騒音低減用バッフル430が形成されて騒音器400が構成される。このような騒音器400はアーク放電器210でアーク放電する時発生する騒音を吸音材420で吸収して低減するか、または複数の騒音低減用バッフル430によって緩和して低減するように構成される。
【0056】
また、本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置は、前記騒音器と連結された排気管に内在されて多孔性担体にMnO、CuO、ゼオライトからなる群から少なくとも一つ以上のオゾン分解触媒が担持されてなるオゾン除去用フィルターが含まれる。
【0057】
アーク放電器210でアーク放電する時アーク放電帯でオゾンが発生する。このようなオゾンが室内居住者の健康に深刻な悪影響を与えるため、アーク放電器210でアーク放電する時発生するオゾンを除去しないと室内用途の空気浄化及び殺菌装置として使うことが非常に困難である。
【0058】
これによって、本発明では騒音器400と連結される浄化及び殺菌処理された空気を排気する排気管500が形成され、前記排気管500の内部に浄化及び殺菌処理された空気からオゾンを分解して除去するオゾン除去用フィルター510が形成される。
【0059】
具体的に、騒音器400と連結された排気管500の内部に、空気が透過することができる多孔性担体を基材にし、前記多孔性担体にオゾン分解機能が優れたMnO、CuO、ゼオライトからなる群から少なくとも一つ以上のオゾン分解触媒が担持されてなるオゾン除去用フィルターが形成される。前記のように、排気管500に内在されたオゾン除去用フィルター510はアーク放電器210でアーク放電する時発生するオゾンを分解するように構成される。
【0060】
また、本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置は、前記オゾン除去用フィルターに隣接して形成され、銅またはステンレススチール材質からなって接地される静電気除去用金属フィルターが含まれる。
【0061】
アーク放電器210でアーク放電する時アーク放電帯で静電気が発生する。このような静電気が室内居住者の健康に悪影響を与えるため、アーク放電器210でアーク放電する時発生する静電気を除去しないと室内用途の空気浄化及び殺菌装置として用いることが非常に困難である。
【0062】
これによって、本発明では騒音器400と連結された排気管500の内部でオゾン除去用フィルター510と隣接した位置に、浄化及び殺菌処理された空気から静電気を収去して接地して除去する静電気除去用金属フィルター520が形成される。
【0063】
具体的に、騒音器400と連結された排気管500の内部に、銅またはステンレススチール材質からなって接地される静電気除去用金属フィルター520が形成される。排気管500に内在された静電気除去用金属フィルター520が浄化及び殺菌処理された空気に含まれた静電気を収去して接地して除去する。
【0064】
空気を透過すると同時に、前記空気に含まれた静電気を収去して接地して除去するように、銅ワイヤまたはステンレススチールワイヤが2次元構造の網形態に構成される静電気除去用金属フィルター520を利用することができるが、本発明では銅ワイヤまたはステンレススチールワイヤが3次元構造に配列されるかまたは3次元構造で練れられて構成される静電気除去用金属フィルター520を利用することが、前記静電気除去用金属フィルター520と浄化及び殺菌処理された空気の間の接触面積及び接触時間が大幅に増加されて静電気除去効果を大きく向上させることができるという面で好ましい。
【0065】
前記のように、静電気除去用金属フィルター520によって静電気が除去された状態である空気が排気管500を通じて室内に排出される。
【0066】
本発明による室内用空気浄化及び殺菌装置は、室内空気をアーク放電によって励起して汚染物質及び悪臭を分解して殺菌処理し、磁場を印加して励起状態を維持し、アーク活性分子と汚染物質の間の接触時間を延長することによって空気浄化及び殺菌効率が大幅に向上される。
【0067】
また、本発明の室内用空気浄化及び殺菌装置は、アーク放電する時発生する騒音を騒音器で低減し、オゾンをオゾン除去用フィルターで除去し、静電気を静電気除去用金属フィルターで除去することによって人が居住する室内空気の浄化及び殺菌に非常に適する。
【0068】
以上で、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は前述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲で請求する本発明の要旨を逸脱することなく、当該発明が属する分野で通常の知識を有する者であれば誰でも変形可能である。
【符号の説明】
【0069】
110 吸気管
120 粉塵除去用前処理フィルター
130 エアポンプ
200 アーク放電部
210 アーク放電器
220 放電支持管
221 二酸化チタン触媒層
222 電磁波遮蔽層
300 磁場処理部
310 誘導コイル
320 誘導コイル支持管
321 磁性層
322 永久磁石
400 騒音器
410 騒音器配管
420 吸音材
430 騒音低減用バッフル
500 排気管
510 オゾン除去用フィルター
520 静電気除去用金属フィルター
600 制御部
610 汚染感知センサー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングの一側に形成される吸気管と;
前記吸気管に形成される粉塵除去用前処理フィルターと;
前記粉塵除去用前処理フィルターに隣接して形成されるエアポンプと;
前記エアポンプによって吸入された汚染気体を励起するようにアーク放電器が形成され、前記アーク放電器を収容する放電支持管の内周面に二酸化チタン(TiO)触媒層が形成され、外周面に電磁波遮蔽層が形成されるアーク放電部と;
前記アーク放電部で移送された気体に磁場を印加して励起状態を維持するように誘導コイルが形成され、前記誘導コイルを収容する誘導コイル支持管の内周面に磁性層が形成されて、外周面が永久磁石に包容される磁場処理部と;
前記磁場処理部に連結されて内周面に吸音材が形成されるかまたは複数の騒音低減用バッフルが形成される騒音器と;
前記騒音器と連結された排気管に内在され、多孔性担体にMnO、CuO、ゼオライトからなる群から少なくとも一つ以上のオゾン分解触媒が担持されてなるオゾン除去用フィルターと;
前記オゾン除去用フィルターに隣接して形成され、銅またはステンレススチール材質からなって接地される静電気除去用金属フィルターと;を含む室内用空気浄化及び殺菌装置。
【請求項2】
前記アーク放電部の放電支持管の外周面に伝導性カーボン、及びカーボン繊維不織布からなる群から一つ以上選択される反射型電磁波遮蔽材が包容されて電磁波遮蔽層が構成されることを特徴とする請求項1に記載の室内用空気浄化及び殺菌装置。
【請求項3】
前記排気管に内在される静電気除去用金属フィルターは銅ワイヤまたはステンレススチールワイヤが3次元構造に配列されるかまたは3次元構造に練れられて構成されることを特徴とする請求項1に記載の室内用空気浄化及び殺菌装置。
【請求項4】
前記吸気管で汚染気体の汚染物質を測定するように形成される汚染感知センサーと;
前記汚染感知センサーで測定された汚染物質の測定結果に基づいて、アーク放電部のアーク放電器、及び磁場処理部の誘導コイルの作動を制御するように構成される制御部と;がさらに含まれることを特徴とする請求項1に記載の室内用空気浄化及び殺菌装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2013−508012(P2013−508012A)
【公表日】平成25年3月7日(2013.3.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−534103(P2012−534103)
【出願日】平成22年10月11日(2010.10.11)
【国際出願番号】PCT/KR2010/006924
【国際公開番号】WO2011/046325
【国際公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【出願人】(512099792)
【Fターム(参考)】