室内音環境評価システム
【目的】高い精度で室内の音圧レベルの評価、明瞭度の評価を行うとともに、建物の形状、パーティション等の配置、内装材の材質、騒音源の配置等の各段階で種々の建築条件を変更することにより騒音値および明瞭度の変化をシミュレーションにより評価する。
【構成】建物形状、パーティションおよび騒音源のデータを入力する手段と、これらのデータに基づいて室内の多数の受音点における音圧レベルおよび明瞭度を演算する手段と、前記多数の受音点における音圧レベル分布図および明瞭度分布図を作成する手段とを備える。
【構成】建物形状、パーティションおよび騒音源のデータを入力する手段と、これらのデータに基づいて室内の多数の受音点における音圧レベルおよび明瞭度を演算する手段と、前記多数の受音点における音圧レベル分布図および明瞭度分布図を作成する手段とを備える。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オフィスビル等の建築設計において、人間の感性を基礎とした最適な室内音環境を的確・迅速に評価することができる室内音環境評価システムに関する。
【0002】
【従来の技術】建築物に対する発注者の要求は、近年の急速なOA化の進展、情報化の進行、快適指向等に伴い、高度化・多様化し、オフィス室内の音環境についても改善が求められている。例えば、執務室においては、空調機等の建築設備やOA機器から発生する施設騒音や窓等の開口部から侵入する外部騒音に対して、騒音源の配置やパーティションの設置、天井や壁の遮音・吸音性能を検討し、室内の静寂性を確保する必要がある。また、執務室内に打合わせコーナーがある場合には、パーティション等の配置により、執務室スペースでの打合わせコーナーからの話声の明瞭度(聞き取り易さ)を下げ、プライバシーとコミュニケーションとを両立させる必要がある。また、エントランスホール等において複数の打合わせコーナーがある場合には、水流音や小鳥のさえずり等の人にやさしいBGMでマスキング効果を作り、隣接する打合わせコーナーから聞こえる会話等の明瞭度を下げ会話の妨害を緩和する必要がある。
【0003】従来、オフィス内の音環境を評価する場合には以下の2通りの方法がある。一つの方法は、音源から観測点に音が直接伝搬する直接音に、音源から天井、壁等で反射して観測点に伝播する反射音を拡散音として加えて音圧レベルを計算する方法であり、他の方法は、直接音にN次までの反射音を加えて音圧レベルを計算する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の方法のうち前者の方法は、室の構成部材の材質による吸音、反射の影響は得られるが、天井に段差があるとか壁に出っ張りがあるとか等の室の形状による反射音や、パーティション等の障害物の影響を含まないので、実際の影響と異なってしまうという問題を有している。また、後者の方法においては、前記問題は解消されるものの計算が煩雑で手間と時間がかかりCADに適用するには不向きであるという問題を有している。
【0005】さらに、前述のとおり音環境の質を評価する場合には明瞭度を評価する必要がある。この場合、明瞭度の計算手法自体は周知であるが、建物形状、パーティションおよび騒音源を変更した場合に、室内における明瞭度の変化をシミュレーションにより評価する方法は確立されていない。
【0006】本発明は、上記従来の問題を解決するものであって、一つの目的は、室の形状やパーティションの影響を、直接音と1次反射音および2次反射音以降に相当する拡散音としてとらえ、煩雑な計算を要することなく高精度で音圧レベルを評価することであり、本発明の他の目的は、建物形状、パーティションおよび騒音源を変更した場合に、高精度で室内における騒音値および明瞭度の変化をシミュレーションにより評価することができ、人間の感性を基礎とした最適な音環境を的確・迅速に評価することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】そのために本発明の室内音環境評価システムは、建物形状、パーティションおよび騒音源のデータを入力する手段と、これらのデータに基づいて室内の多数の受音点における音圧レベルおよび明瞭度を演算する手段と、前記多数の受音点における音圧レベル分布図および明瞭度分布図を作成する手段とを備えることを特徴とする。前記音圧レベルの演算は、音源からの直接音の計算、1次反射音の計算、障害物の影響の計算および2次反射音以降の拡散音の計算を行った後、これらの計算値を合成するものであり、前記明瞭度の演算は、複数の周波数帯域毎に会話レベルの補正および暗騒音レベルの補正を行った後、マスキングレベルを求め、各周波数帯域毎に、暗騒音レベルとマスキングレベルのいずれか大きい方の値と、会話レベルとのレベル差を求め、該レベル差に聴取条件によって変化する係数を乗じ合計するものである。
【0008】
【作用】本発明においては、室内の特定の位置での暗騒音のもとで、特定の1点の人声音源からの話し手の声の明瞭度の分布を作成するとともに、室内の任意の点においてその位置での暗騒音のもとで一定の対話距離からの話し手の声の明瞭度の分布を作成することにより、種々の条件を変更することにより騒音値および明瞭度の変化をシミュレーションにより評価する。
【0009】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は本発明の室内音環境評価システムの1実施例を示す構成図である。入力部1においては、建物形状データ3、パーティションデータ4、騒音源データ5が入力され、これらのデータに基づいて演算出力部2において、音圧レベル(騒音)分布図(6)、明瞭度分布図(7)、周波数特性による騒音チェック図(8)、残響時間グラフ9が演算、出力される。
【0010】建物形状データ3については、建築平面、建築断面、壁や天井の内装材の材料等について入力され、パーティションデータ4については、位置、高さ、材質等が入力され、騒音源データ5については、空調機器、OA機器、人声、暗騒音(外部騒音をベースにする)等の騒音の種類、騒音源の位置、音圧レベルが入力される。
【0011】図2は騒音分布図作成の処理の流れを示す図である。先ず、ステップS1で室内をメッシュ状に分割して多数の受音点を設定する。この受音点は、室の広さに応じて音圧レベル分布図を作成することができる数だけ設定する。ステップS2では、空調機器、OA機器、人声、暗騒音等の騒音の種類、騒音源の位置、音圧レベル等の音源データが点音源として入力される。ステップS3では、反射面データとして、壁、柱、パーティション等の垂直反射板および天井等の水平反射板の位置、高さ、材質等が入力される。ステップS4では障害物データとして、壁、柱、パーティション等のデータが入力される。次にステップS5からS7において、直接音の計算、反射面の影響の計算、障害物の影響の計算が行われ、この計算は音源の数だけ行われる。ステップS8で拡散音の計算を行った後、各計算値を合成する。以上の計算を受音点および音源の数だけ繰り返して計算してステップS10で騒音分布図が作成される。騒音分布図は周波数帯域毎(例えば、中心周波数が250Hz、500Hz、1kHz、2kHz、4kHzの5バンド)に計算される。
【0012】次に、前記ステップS5、S6、S7における騒音計算について詳述する。音の伝搬は、本来波動として捉えられるが、音の回折や干渉といった波動性を考慮した騒音の伝搬予測を行うには膨大な計算時間が必要になる。そこで、騒音伝搬予測計算は、音源から受音点までの音の伝搬経路を何本かの線(音線)に置き換え、反射や回折の状況を幾何学的にモデル化する簡便な方法を用いる。本発明では、このような幾何学的手法を応用して以下のように騒音伝搬予測計算を行っている。
【0013】最も単純なモデルとして、図3(A)に示すように音源S(無指向性点音源と仮定)と受音点Rの間に、音の伝搬を妨げるような障害物がない直接音の場合、直接音の伝搬経路は、一本の音線でモデル化できる。この場合、直接音のエネルギーは逆2乗則に従い音圧は伝搬距離の2乗に反比例して減衰するから、受音点Rでの音圧レベルは単純な距離減衰式SPL=PWL+10 log(Q/4πr2 )
で計算できる。ただし、SPL(dB)は音源Sからの距離rの受音点Rの音圧レベル、PWL(dB)は音源Sのパワーレベル、Qは指向性係数である。
【0014】図3(B)に示すように、音源Sからの音が壁または天井等の反射面10に反射して受音点Rに到達する1次反射音の場合には、反射面10に対して対称に擬受音点R′を作成し、SPL=PWL+10 log[Q(1−α)/4πr2 ]
で計算できる。ただし、r=r1+r2(音源と擬受音点間の距離)、αは壁または天井の吸音率である。
【0015】図3(C)に示すように、音源Sと受音点Rとの間にパーティション11がある場合には回折による減衰量ΔPを求める。減衰量ΔPと行路差δ=(r1+r2)−rとの関係は図に示すように予め求めておく。図3(D)に示すように、音源Sと受音点Rとの間に平面視で壁12がある場合には回折による減衰量ΔPを同様に求める。
【0016】図4(A)は、音源Sからの音がパーティション等の垂直反射面11に反射して受音点Rに到達する場合で音源Sと反射面11との間に障害物13がある場合を示し、先ず、図3(B)に従って反射音を求めた後、図3(C)に従って反射音の回折による減衰量を求める。図4(B)は、音源Sからの音がパーティション等の垂直反射面11に反射して受音点Rに到達する場合で反射面11と受音点Rの間に障害物13がある場合を示し、受音点Rと障害物13について反射面11に対称な擬受音点R′と擬障害物13′を作成し、前記と同様に求める。図4(C)は、音源Sからの音が天井等の水平反射面10に反射して受音点Rに到達する場合で音源Sまたは受音点Rと反射面10との間に障害物13がある場合を示し、この場合には回折計算を行わず減衰量を一定値(例えば5dB)とする。
【0017】図2のステップS8における拡散音は下記の式により計算する。ここで拡散音とは、1次反射音を除いた2次反射以降の反射音の合成値であり周波数帯域毎に計算する。
【0018】拡散音(減衰分)=10×log10[4×(1−αAVE)2/SαAVE]
ここでαAVEは室の平均吸音率、Sは室の表面積である。
【0019】以上のようにして室の音圧レベルを計算した後、次に室の明瞭度分布図を作成する。図5は明瞭度分布図作成の処理の流れを示す図である。先ず、ステップS1で図2の騒音計算で設定した受音点を設定する。次にステップS2で会話レベルの補正を行う。この補正は、音源がスピーカ使用(会話レベルの各周波数帯域の音圧レベルの中で最高値が85dB以上のときスピーカ使用とみなす)で、かつ残響時間が1秒以上のとき、図6R>6に示す補正値をマイナスするものである。次にステップS3で暗騒音レベルの補正を行う。この補正は、暗騒音レベルの各周波数帯域に図7に示す値を加えたものを感覚レベルとし、この感覚レベルが80dBを越えるとき、図8に示す補正値をマイナスするものである。
【0020】次にステップS4でBGM等のマスキングレベルを求める。これを図9により説明すると、先ず、暗騒音レベルの最大値dBMAXを求め、このdBMAXから3dB減じたレベルと暗騒音レベルとの交点P1を求める(交点が2つ以上求まるときは周波数が高い方の交点を優先する。次に交点P1から57dB減じた点P2を求め、そこから低周波数方向へ−10(dB/1バンド)傾斜の直線Aを求める。次に、P1から高周波数方向に図10に示す該当周波数を加算した位置まで水平な線分Bを求める。次に、線分Bの終点から下方に向かって図11に示す傾斜の直線Cを求め、図で点線に示すマスキングレベルを得ることができる。
【0021】次に、ステップS5で、5つの各周波数帯域で、暗騒音レベルとマスキングレベルのいずれか大きい方の値と、会話レベルとのレベル差ΔLを求める。但し、レベル差ΔLが30dB以上のときは30dBに、レベル差ΔLが0dB以下のときは0dBに固定する。
【0022】次に、ステップS6で明瞭度AIを求める。これは、図12に示すように、ステップS5で求めた各周波数帯域毎のレベル差ΔLに聴取条件によって変化する係数kを乗じ合計したものである。この明瞭度AIは、会話の周波数特性と騒音のレベル及びスペクトルから会話の聞き取り易さを予測する指標であり、0〜1の値をとり、図13に示すように、感覚的な聞き取り易さが表される。以上の計算を受音点の数だけ繰り返して計算してステップS7で、図14に示すように、明瞭度分布図が作成される。
【0023】図14は、講堂、会議室等において、特定の位置での暗騒音のもとで、特定の1点の人声音源Sからの話し手の声の明瞭度の分布を示しているが、事務室、ホール等のように、発声者が複数で且つ発声者位置が特定できない場合には、次のようにして明瞭度分布を求める。
【0024】先ず、会話レベルの計算は、会話レベル(dB)=10×log(10Ld/10+10Lr1/10+10Ls/10)
ここで、Ldは直接音、Lr1は1回反射音レベル、Lsは2次以降の拡散音成分の音圧レベルである。
【0025】直接音の求め方は、任意の一点R(計算点メッシュの1点目としている)を計算点として、その点から対話距離r(例えば2m)離れた位置に人声音源Sを設定し、計算点Rと人声音源S間の直接音を障害物を無視して計算する。なお、計算点Rと人声音源S間の距離rは常に一定で又障害物を考慮していないため、計算結果はどの点を計算点としても同一となる。1次反射音レベルの計算は、計算点メッシュの各点を計算点Rとし、又、人声音源Sを計算点Rと同位置として通常通り反射音計算を行う。なお、実際には計算点Rを中心に半径rの円弧上の全ての位置に音源位置を想定できるため、各音源位置についての計算を行い平均した値とするのが正確ではあるが、計算量が膨大になるため、前記方法で求めた値を1回反射音レベルの近似値としている。2次以降の拡散音成分の音圧レベルについては、前記した方法と同一である。図15は、室内の任意の点においてその位置での暗騒音のもとで一定の対話距離からの話し手の声の明瞭度の分布を示している。
【0026】図16は残響時間の計算の流れを示す図である。ステップS1〜S3で、室の総吸音力、家具の吸音力を求め、空席時の残響時間を求める。ステップS4で室の状態を判定し、在席の場合には、ステップS5、S6で人体の吸音力を加算し、在席時の残響時間を求め、以上の処理を周波数帯域毎に計算する。下式は残響時間Tの計算式である。
【0027】T=0.16V/[−S・loge(1−αAVE)+4mV]
ここで、Vは室容積、Sは室表面積、αAVEは平均吸音率、mは空気の吸収による減衰率であり、平均吸音率αAVEは、
【0028】
【数1】
【0029】ここで、anは室を構成する面数、αAVEiは各面の吸音率、siは各面の面積、bnは在室者及び家具(椅子)の総数、biは在室者及び家具(椅子)の吸音力を示している。こうして求めた残響時間は、残響時間が1秒以上の場合、会話レベルに応じて図6に示した補正値を差し引く。これは、大部屋で大音響で残響が多いと会話音が邪魔されて聞きにくくなるための補正である。
【0030】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明によれば、室の形状やパーティションの影響を、直接音と1次反射音および2次反射音以降に相当する拡散音としてとらえ、煩雑な計算を要することなく音圧レベルを高精度で評価することができる。また、建物形状、パーティションおよび騒音源を変更した場合に、高い精度で室内における騒音値および明瞭度の変化をシミュレーションにより評価することができ、人間の感性を基礎とした最適な音環境を的確・迅速に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の室内音環境評価システムの1実施例を示す構成図である。
【図2】本発明における騒音分布図作成の処理の流れを示す図である。
【図3】図2の騒音解析を説明するための図である。
【図4】図2の騒音解析を説明するための図である。
【図5】本発明における明瞭度分布図作成の処理の流れを示す図である。
【図6】図5の会話レベルの補正を示す図である。
【図7】図5の暗騒音レベルの補正を示す図である。
【図8】図5の暗騒音レベルの補正を示す図である。
【図9】図5のマスキングレベルの求め方を説明するための図である。
【図10】図5のマスキングレベルの求め方を説明するための図である。
【図11】図5のマスキングレベルの求め方を説明するための図である。
【図12】図5の明瞭度の求め方を説明するための図である。
【図13】明瞭度を説明するための図である。
【図14】明瞭度分布図の例を示す図である。
【図15】明瞭度分布図の例を示す図である。
【図16】残響時間の計算の流れを示す図である。
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、オフィスビル等の建築設計において、人間の感性を基礎とした最適な室内音環境を的確・迅速に評価することができる室内音環境評価システムに関する。
【0002】
【従来の技術】建築物に対する発注者の要求は、近年の急速なOA化の進展、情報化の進行、快適指向等に伴い、高度化・多様化し、オフィス室内の音環境についても改善が求められている。例えば、執務室においては、空調機等の建築設備やOA機器から発生する施設騒音や窓等の開口部から侵入する外部騒音に対して、騒音源の配置やパーティションの設置、天井や壁の遮音・吸音性能を検討し、室内の静寂性を確保する必要がある。また、執務室内に打合わせコーナーがある場合には、パーティション等の配置により、執務室スペースでの打合わせコーナーからの話声の明瞭度(聞き取り易さ)を下げ、プライバシーとコミュニケーションとを両立させる必要がある。また、エントランスホール等において複数の打合わせコーナーがある場合には、水流音や小鳥のさえずり等の人にやさしいBGMでマスキング効果を作り、隣接する打合わせコーナーから聞こえる会話等の明瞭度を下げ会話の妨害を緩和する必要がある。
【0003】従来、オフィス内の音環境を評価する場合には以下の2通りの方法がある。一つの方法は、音源から観測点に音が直接伝搬する直接音に、音源から天井、壁等で反射して観測点に伝播する反射音を拡散音として加えて音圧レベルを計算する方法であり、他の方法は、直接音にN次までの反射音を加えて音圧レベルを計算する方法である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の方法のうち前者の方法は、室の構成部材の材質による吸音、反射の影響は得られるが、天井に段差があるとか壁に出っ張りがあるとか等の室の形状による反射音や、パーティション等の障害物の影響を含まないので、実際の影響と異なってしまうという問題を有している。また、後者の方法においては、前記問題は解消されるものの計算が煩雑で手間と時間がかかりCADに適用するには不向きであるという問題を有している。
【0005】さらに、前述のとおり音環境の質を評価する場合には明瞭度を評価する必要がある。この場合、明瞭度の計算手法自体は周知であるが、建物形状、パーティションおよび騒音源を変更した場合に、室内における明瞭度の変化をシミュレーションにより評価する方法は確立されていない。
【0006】本発明は、上記従来の問題を解決するものであって、一つの目的は、室の形状やパーティションの影響を、直接音と1次反射音および2次反射音以降に相当する拡散音としてとらえ、煩雑な計算を要することなく高精度で音圧レベルを評価することであり、本発明の他の目的は、建物形状、パーティションおよび騒音源を変更した場合に、高精度で室内における騒音値および明瞭度の変化をシミュレーションにより評価することができ、人間の感性を基礎とした最適な音環境を的確・迅速に評価することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】そのために本発明の室内音環境評価システムは、建物形状、パーティションおよび騒音源のデータを入力する手段と、これらのデータに基づいて室内の多数の受音点における音圧レベルおよび明瞭度を演算する手段と、前記多数の受音点における音圧レベル分布図および明瞭度分布図を作成する手段とを備えることを特徴とする。前記音圧レベルの演算は、音源からの直接音の計算、1次反射音の計算、障害物の影響の計算および2次反射音以降の拡散音の計算を行った後、これらの計算値を合成するものであり、前記明瞭度の演算は、複数の周波数帯域毎に会話レベルの補正および暗騒音レベルの補正を行った後、マスキングレベルを求め、各周波数帯域毎に、暗騒音レベルとマスキングレベルのいずれか大きい方の値と、会話レベルとのレベル差を求め、該レベル差に聴取条件によって変化する係数を乗じ合計するものである。
【0008】
【作用】本発明においては、室内の特定の位置での暗騒音のもとで、特定の1点の人声音源からの話し手の声の明瞭度の分布を作成するとともに、室内の任意の点においてその位置での暗騒音のもとで一定の対話距離からの話し手の声の明瞭度の分布を作成することにより、種々の条件を変更することにより騒音値および明瞭度の変化をシミュレーションにより評価する。
【0009】
【実施例】以下、図面を参照して本発明の実施例を説明する。図1は本発明の室内音環境評価システムの1実施例を示す構成図である。入力部1においては、建物形状データ3、パーティションデータ4、騒音源データ5が入力され、これらのデータに基づいて演算出力部2において、音圧レベル(騒音)分布図(6)、明瞭度分布図(7)、周波数特性による騒音チェック図(8)、残響時間グラフ9が演算、出力される。
【0010】建物形状データ3については、建築平面、建築断面、壁や天井の内装材の材料等について入力され、パーティションデータ4については、位置、高さ、材質等が入力され、騒音源データ5については、空調機器、OA機器、人声、暗騒音(外部騒音をベースにする)等の騒音の種類、騒音源の位置、音圧レベルが入力される。
【0011】図2は騒音分布図作成の処理の流れを示す図である。先ず、ステップS1で室内をメッシュ状に分割して多数の受音点を設定する。この受音点は、室の広さに応じて音圧レベル分布図を作成することができる数だけ設定する。ステップS2では、空調機器、OA機器、人声、暗騒音等の騒音の種類、騒音源の位置、音圧レベル等の音源データが点音源として入力される。ステップS3では、反射面データとして、壁、柱、パーティション等の垂直反射板および天井等の水平反射板の位置、高さ、材質等が入力される。ステップS4では障害物データとして、壁、柱、パーティション等のデータが入力される。次にステップS5からS7において、直接音の計算、反射面の影響の計算、障害物の影響の計算が行われ、この計算は音源の数だけ行われる。ステップS8で拡散音の計算を行った後、各計算値を合成する。以上の計算を受音点および音源の数だけ繰り返して計算してステップS10で騒音分布図が作成される。騒音分布図は周波数帯域毎(例えば、中心周波数が250Hz、500Hz、1kHz、2kHz、4kHzの5バンド)に計算される。
【0012】次に、前記ステップS5、S6、S7における騒音計算について詳述する。音の伝搬は、本来波動として捉えられるが、音の回折や干渉といった波動性を考慮した騒音の伝搬予測を行うには膨大な計算時間が必要になる。そこで、騒音伝搬予測計算は、音源から受音点までの音の伝搬経路を何本かの線(音線)に置き換え、反射や回折の状況を幾何学的にモデル化する簡便な方法を用いる。本発明では、このような幾何学的手法を応用して以下のように騒音伝搬予測計算を行っている。
【0013】最も単純なモデルとして、図3(A)に示すように音源S(無指向性点音源と仮定)と受音点Rの間に、音の伝搬を妨げるような障害物がない直接音の場合、直接音の伝搬経路は、一本の音線でモデル化できる。この場合、直接音のエネルギーは逆2乗則に従い音圧は伝搬距離の2乗に反比例して減衰するから、受音点Rでの音圧レベルは単純な距離減衰式SPL=PWL+10 log(Q/4πr2 )
で計算できる。ただし、SPL(dB)は音源Sからの距離rの受音点Rの音圧レベル、PWL(dB)は音源Sのパワーレベル、Qは指向性係数である。
【0014】図3(B)に示すように、音源Sからの音が壁または天井等の反射面10に反射して受音点Rに到達する1次反射音の場合には、反射面10に対して対称に擬受音点R′を作成し、SPL=PWL+10 log[Q(1−α)/4πr2 ]
で計算できる。ただし、r=r1+r2(音源と擬受音点間の距離)、αは壁または天井の吸音率である。
【0015】図3(C)に示すように、音源Sと受音点Rとの間にパーティション11がある場合には回折による減衰量ΔPを求める。減衰量ΔPと行路差δ=(r1+r2)−rとの関係は図に示すように予め求めておく。図3(D)に示すように、音源Sと受音点Rとの間に平面視で壁12がある場合には回折による減衰量ΔPを同様に求める。
【0016】図4(A)は、音源Sからの音がパーティション等の垂直反射面11に反射して受音点Rに到達する場合で音源Sと反射面11との間に障害物13がある場合を示し、先ず、図3(B)に従って反射音を求めた後、図3(C)に従って反射音の回折による減衰量を求める。図4(B)は、音源Sからの音がパーティション等の垂直反射面11に反射して受音点Rに到達する場合で反射面11と受音点Rの間に障害物13がある場合を示し、受音点Rと障害物13について反射面11に対称な擬受音点R′と擬障害物13′を作成し、前記と同様に求める。図4(C)は、音源Sからの音が天井等の水平反射面10に反射して受音点Rに到達する場合で音源Sまたは受音点Rと反射面10との間に障害物13がある場合を示し、この場合には回折計算を行わず減衰量を一定値(例えば5dB)とする。
【0017】図2のステップS8における拡散音は下記の式により計算する。ここで拡散音とは、1次反射音を除いた2次反射以降の反射音の合成値であり周波数帯域毎に計算する。
【0018】拡散音(減衰分)=10×log10[4×(1−αAVE)2/SαAVE]
ここでαAVEは室の平均吸音率、Sは室の表面積である。
【0019】以上のようにして室の音圧レベルを計算した後、次に室の明瞭度分布図を作成する。図5は明瞭度分布図作成の処理の流れを示す図である。先ず、ステップS1で図2の騒音計算で設定した受音点を設定する。次にステップS2で会話レベルの補正を行う。この補正は、音源がスピーカ使用(会話レベルの各周波数帯域の音圧レベルの中で最高値が85dB以上のときスピーカ使用とみなす)で、かつ残響時間が1秒以上のとき、図6R>6に示す補正値をマイナスするものである。次にステップS3で暗騒音レベルの補正を行う。この補正は、暗騒音レベルの各周波数帯域に図7に示す値を加えたものを感覚レベルとし、この感覚レベルが80dBを越えるとき、図8に示す補正値をマイナスするものである。
【0020】次にステップS4でBGM等のマスキングレベルを求める。これを図9により説明すると、先ず、暗騒音レベルの最大値dBMAXを求め、このdBMAXから3dB減じたレベルと暗騒音レベルとの交点P1を求める(交点が2つ以上求まるときは周波数が高い方の交点を優先する。次に交点P1から57dB減じた点P2を求め、そこから低周波数方向へ−10(dB/1バンド)傾斜の直線Aを求める。次に、P1から高周波数方向に図10に示す該当周波数を加算した位置まで水平な線分Bを求める。次に、線分Bの終点から下方に向かって図11に示す傾斜の直線Cを求め、図で点線に示すマスキングレベルを得ることができる。
【0021】次に、ステップS5で、5つの各周波数帯域で、暗騒音レベルとマスキングレベルのいずれか大きい方の値と、会話レベルとのレベル差ΔLを求める。但し、レベル差ΔLが30dB以上のときは30dBに、レベル差ΔLが0dB以下のときは0dBに固定する。
【0022】次に、ステップS6で明瞭度AIを求める。これは、図12に示すように、ステップS5で求めた各周波数帯域毎のレベル差ΔLに聴取条件によって変化する係数kを乗じ合計したものである。この明瞭度AIは、会話の周波数特性と騒音のレベル及びスペクトルから会話の聞き取り易さを予測する指標であり、0〜1の値をとり、図13に示すように、感覚的な聞き取り易さが表される。以上の計算を受音点の数だけ繰り返して計算してステップS7で、図14に示すように、明瞭度分布図が作成される。
【0023】図14は、講堂、会議室等において、特定の位置での暗騒音のもとで、特定の1点の人声音源Sからの話し手の声の明瞭度の分布を示しているが、事務室、ホール等のように、発声者が複数で且つ発声者位置が特定できない場合には、次のようにして明瞭度分布を求める。
【0024】先ず、会話レベルの計算は、会話レベル(dB)=10×log(10Ld/10+10Lr1/10+10Ls/10)
ここで、Ldは直接音、Lr1は1回反射音レベル、Lsは2次以降の拡散音成分の音圧レベルである。
【0025】直接音の求め方は、任意の一点R(計算点メッシュの1点目としている)を計算点として、その点から対話距離r(例えば2m)離れた位置に人声音源Sを設定し、計算点Rと人声音源S間の直接音を障害物を無視して計算する。なお、計算点Rと人声音源S間の距離rは常に一定で又障害物を考慮していないため、計算結果はどの点を計算点としても同一となる。1次反射音レベルの計算は、計算点メッシュの各点を計算点Rとし、又、人声音源Sを計算点Rと同位置として通常通り反射音計算を行う。なお、実際には計算点Rを中心に半径rの円弧上の全ての位置に音源位置を想定できるため、各音源位置についての計算を行い平均した値とするのが正確ではあるが、計算量が膨大になるため、前記方法で求めた値を1回反射音レベルの近似値としている。2次以降の拡散音成分の音圧レベルについては、前記した方法と同一である。図15は、室内の任意の点においてその位置での暗騒音のもとで一定の対話距離からの話し手の声の明瞭度の分布を示している。
【0026】図16は残響時間の計算の流れを示す図である。ステップS1〜S3で、室の総吸音力、家具の吸音力を求め、空席時の残響時間を求める。ステップS4で室の状態を判定し、在席の場合には、ステップS5、S6で人体の吸音力を加算し、在席時の残響時間を求め、以上の処理を周波数帯域毎に計算する。下式は残響時間Tの計算式である。
【0027】T=0.16V/[−S・loge(1−αAVE)+4mV]
ここで、Vは室容積、Sは室表面積、αAVEは平均吸音率、mは空気の吸収による減衰率であり、平均吸音率αAVEは、
【0028】
【数1】
【0029】ここで、anは室を構成する面数、αAVEiは各面の吸音率、siは各面の面積、bnは在室者及び家具(椅子)の総数、biは在室者及び家具(椅子)の吸音力を示している。こうして求めた残響時間は、残響時間が1秒以上の場合、会話レベルに応じて図6に示した補正値を差し引く。これは、大部屋で大音響で残響が多いと会話音が邪魔されて聞きにくくなるための補正である。
【0030】
【発明の効果】以上の説明から明らかなように本発明によれば、室の形状やパーティションの影響を、直接音と1次反射音および2次反射音以降に相当する拡散音としてとらえ、煩雑な計算を要することなく音圧レベルを高精度で評価することができる。また、建物形状、パーティションおよび騒音源を変更した場合に、高い精度で室内における騒音値および明瞭度の変化をシミュレーションにより評価することができ、人間の感性を基礎とした最適な音環境を的確・迅速に評価することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の室内音環境評価システムの1実施例を示す構成図である。
【図2】本発明における騒音分布図作成の処理の流れを示す図である。
【図3】図2の騒音解析を説明するための図である。
【図4】図2の騒音解析を説明するための図である。
【図5】本発明における明瞭度分布図作成の処理の流れを示す図である。
【図6】図5の会話レベルの補正を示す図である。
【図7】図5の暗騒音レベルの補正を示す図である。
【図8】図5の暗騒音レベルの補正を示す図である。
【図9】図5のマスキングレベルの求め方を説明するための図である。
【図10】図5のマスキングレベルの求め方を説明するための図である。
【図11】図5のマスキングレベルの求め方を説明するための図である。
【図12】図5の明瞭度の求め方を説明するための図である。
【図13】明瞭度を説明するための図である。
【図14】明瞭度分布図の例を示す図である。
【図15】明瞭度分布図の例を示す図である。
【図16】残響時間の計算の流れを示す図である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】建物形状、パーティションおよび騒音源のデータを入力する手段と、これらのデータに基づいて室内の多数の受音点における音圧レベルおよび明瞭度を演算する手段と、前記多数の受音点における音圧レベル分布図および明瞭度分布図を作成する手段とを備えることを特徴とする室内音環境評価システム。
【請求項2】前記音圧レベルの演算は、音源からの直接音の計算、1次反射音の計算、障害物の影響の計算および2次反射音以降の拡散音の計算を行った後、これらの計算値を合成することを特徴とする請求項1に記載の室内音環境評価システム。
【請求項3】音源からの音が反射面に反射して受音点に到達する1次反射音の場合には、反射面に対して対称に擬受音点を作成し音圧レベルを計算することを特徴とする請求項2に記載の室内音環境評価システム。
【請求項4】音源と受音点との間に障害物がある場合には回折による減衰量を求めることを特徴とする請求項2に記載の室内音環境評価システム。
【請求項5】音源からの音が垂直反射面に反射して受音点に到達する場合で音源と反射面との間に障害物がある場合には、反射音の音圧レベルを求めた後、反射音の回折による減衰量を求めることを特徴とする請求項2に記載の室内音環境評価システム。
【請求項6】音源からの音が垂直反射面に反射して受音点に到達する場合で反射面と受音点の間に障害物がある場合には、受音点と障害物について反射面に対称な擬受音点と擬障害物を作成し、反射音の音圧レベルを求めた後、反射音の回折による減衰量を求めることを特徴とする請求項2に記載の室内音環境評価システム。
【請求項7】音源からの音が水平反射面に反射して受音点Rに到達する場合で音源または受音点と反射面との間に障害物がある場合には、減衰量を一定値とすることを特徴とする請求項2に記載の室内音環境評価システム。
【請求項8】前記明瞭度の演算は、複数の周波数帯域毎に会話レベルの補正および暗騒音レベルの補正を行った後、マスキングレベルを求め、各周波数帯域毎に、暗騒音レベルとマスキングレベルのいずれか大きい方の値と、会話レベルとのレベル差を求め、該レベル差に聴取条件によって変化する係数を乗じ合計することを特徴とする請求項1に記載の室内音環境評価システム。
【請求項9】前記明瞭度分布図は、室内の特定の位置での暗騒音のもとで、特定の1点の人声音源からの話し手の声の明瞭度の分布であることを特徴とする請求項8に記載の室内音環境評価システム。
【請求項10】前記明瞭度分布図は、室内の任意の点においてその位置での暗騒音のもとで一定の対話距離からの話し手の声の明瞭度の分布であることを特徴とする請求項8に記載の室内音環境評価システム。
【請求項1】建物形状、パーティションおよび騒音源のデータを入力する手段と、これらのデータに基づいて室内の多数の受音点における音圧レベルおよび明瞭度を演算する手段と、前記多数の受音点における音圧レベル分布図および明瞭度分布図を作成する手段とを備えることを特徴とする室内音環境評価システム。
【請求項2】前記音圧レベルの演算は、音源からの直接音の計算、1次反射音の計算、障害物の影響の計算および2次反射音以降の拡散音の計算を行った後、これらの計算値を合成することを特徴とする請求項1に記載の室内音環境評価システム。
【請求項3】音源からの音が反射面に反射して受音点に到達する1次反射音の場合には、反射面に対して対称に擬受音点を作成し音圧レベルを計算することを特徴とする請求項2に記載の室内音環境評価システム。
【請求項4】音源と受音点との間に障害物がある場合には回折による減衰量を求めることを特徴とする請求項2に記載の室内音環境評価システム。
【請求項5】音源からの音が垂直反射面に反射して受音点に到達する場合で音源と反射面との間に障害物がある場合には、反射音の音圧レベルを求めた後、反射音の回折による減衰量を求めることを特徴とする請求項2に記載の室内音環境評価システム。
【請求項6】音源からの音が垂直反射面に反射して受音点に到達する場合で反射面と受音点の間に障害物がある場合には、受音点と障害物について反射面に対称な擬受音点と擬障害物を作成し、反射音の音圧レベルを求めた後、反射音の回折による減衰量を求めることを特徴とする請求項2に記載の室内音環境評価システム。
【請求項7】音源からの音が水平反射面に反射して受音点Rに到達する場合で音源または受音点と反射面との間に障害物がある場合には、減衰量を一定値とすることを特徴とする請求項2に記載の室内音環境評価システム。
【請求項8】前記明瞭度の演算は、複数の周波数帯域毎に会話レベルの補正および暗騒音レベルの補正を行った後、マスキングレベルを求め、各周波数帯域毎に、暗騒音レベルとマスキングレベルのいずれか大きい方の値と、会話レベルとのレベル差を求め、該レベル差に聴取条件によって変化する係数を乗じ合計することを特徴とする請求項1に記載の室内音環境評価システム。
【請求項9】前記明瞭度分布図は、室内の特定の位置での暗騒音のもとで、特定の1点の人声音源からの話し手の声の明瞭度の分布であることを特徴とする請求項8に記載の室内音環境評価システム。
【請求項10】前記明瞭度分布図は、室内の任意の点においてその位置での暗騒音のもとで一定の対話距離からの話し手の声の明瞭度の分布であることを特徴とする請求項8に記載の室内音環境評価システム。
【図1】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図10】
【図11】
【図3】
【図4】
【図9】
【図12】
【図13】
【図14】
【図5】
【図15】
【図16】
【図6】
【図7】
【図8】
【図2】
【図10】
【図11】
【図3】
【図4】
【図9】
【図12】
【図13】
【図14】
【図5】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開平7−28481
【公開日】平成7年(1995)1月31日
【国際特許分類】
【出願番号】特願平5−171537
【出願日】平成5年(1993)7月12日
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
【公開日】平成7年(1995)1月31日
【国際特許分類】
【出願日】平成5年(1993)7月12日
【出願人】(000002299)清水建設株式会社 (2,433)
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