説明

室外機冷却装置

【課題】空気調和装置の室外機の冷却を安価に行えるようにする。
【解決手段】空気調和装置の屋外に設置する室外機内の熱交換機をノズルからの噴霧で冷却する室外機冷却装置であって、前記熱交換機から所要寸法離れた外方に第1種ノズルおよび第2種ノズルを含む複数種のノズルを配置し、前記第1種ノズルからの噴霧中の水滴の平均径より前記第2種ノズルからの噴霧中の平均水滴径を小とし、かつ、前記第1種ノズルは少なくとも運転開始時に所要時間噴霧して前記室外機を濡らした後に停止するものである一方、前記第2種ノズルは前記第1種ノズルの噴霧停止後に間欠的に噴霧して前記熱交換機を湿った冷却空気で冷却する構成としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は室外機冷却装置に関し、詳しくは、室内や店舗内等の屋内に設置する空気調和機(所謂、室内用エアコンディショナー)に冷媒循環用の配管を介して連結し、屋外に設置する室外機を夏季等の高気温時に冷却する装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
室外機に備えた熱交換機は、高温時に熱交換効率が低下して冷房能力が低下し、負荷が増大して電力消費量が大きくなるため、室外機を冷却して熱交換効率を改良することが求められている。そのため特開2000−28230号公報で、熱交換機にノズルから水を噴霧して冷却するようにし、かつ、噴霧が熱交換機に付着する前に気化させるためにノズルを室外機から離して配置する冷却装置が提案されている。
【0003】
即ち、ノズルから噴霧された水が熱交換機のフィンに当たると、濡れ、乾き(蒸発)を繰り返し、水道水に含まれるスケール成分(カルシウム、マグネシウム等)がフィンに固着していまい、熱交換機の効率を低下させ、且つ熱交換機の寿命が短くなる。よって、熱交換機に水滴が付着しないようにし、具体的には、噴霧水圧2〜10MPaで水滴3〜60μm(水圧6MPaで20μm)の噴霧を噴射するノズルを室外機から30cm〜1m離反して設置している。これによりノズルから室外機に向かう噴霧は室外機に当たる前に気化させ、室外機の周囲の空気を冷却して室外機を間接的に冷却している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000−28230号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記のように、特許文献1では、ノズルと室外機の距離を30cm〜1mの範囲で離し、且つ、ノズルから噴射される噴霧に含まれる水滴を3〜60μmと微細として、熱交換機に水滴が当たる前に蒸発させているため、室外機の熱交換機やフィンに水滴に含まれるスケールが付着するのを防止または低減することができる。
しかしながら、熱交換機から30cmの近い距離とすると熱交換機の周りの空気の冷却効果は高まるが、水圧を10MPa程度と高圧にする必要がある。そのため、プランジャーポンプが必要となり、イニシャルコストおよびランニングコストがかかり費用対効果の関係で実施に不適となる。一方、水圧を低下して水滴を60μmとすると、離間距離を1mとする必要があり、熱交換機周りの空気の冷却効率は低くなると共に、室外機が大型化し、設置スペースをとる問題がある。
前記のように、ノズルからの噴霧の水滴を微小として熱交換機に全く付着しない設定とした場合、ランニングコストが高くなる問題があると共に、熱交換機の冷却効果が低く、ノズルからの噴霧を常時行う必要があり、よりランニングコストが高くなる問題がある。
【0006】
本発明は、前記問題を解消せんとするもので、高コストをかけることなく室外機の冷却効率を高めることを課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するため、本発明は、空気調和装置の屋外に設置する室外機内の熱交換機をノズルからの噴霧で冷却する室外機冷却装置であって、
前記熱交換機から所要寸法離れた外方に第1種ノズルおよび第2種ノズルを含む複数種のノズルを配置し、
前記第1種ノズルからの噴霧中の水滴の平均径より前記第2種ノズルからの噴霧中の平均水滴径を小とし、かつ、前記第1種ノズルは少なくとも運転開始時に所要時間噴霧して前記室外機を濡らした後に停止するものである一方、前記第2種ノズルは前記第1種ノズルの噴霧停止後に間欠的に噴霧して前記熱交換機を湿った冷却空気で冷却する構成としている室外機冷却装置を提供している。
【0008】
本発明の室外機冷却装置では、運転開始時に、まず、第1種ノズルの噴霧を開始し、該噴霧で熱交換機を湿らせて冷却する。該第1種ノズルからの噴霧で熱交換機の表面を湿らす程度としており、熱交換機に噴霧された水滴で熱交換機の表面が水で濡れて水滴が下方に滴下するような噴霧としていない。
前記第1種ノズルを所要時間継続した後に停止し、次いで、前記第2種ノズルの噴霧を間欠的に行う。第2種ノズルからの噴霧の水滴は第1種ノズルからの噴霧の水滴より小さく、第1種ノズルによる熱交換機の表面の湿りを第2種ノズルからの噴霧で持続できるようにしている。即ち、第2種ノズルからの最初の噴霧は第1種ノズルからの噴霧で熱交換機の表面から蒸発した水分を補充する為になされ、その後の第2種ノズルからの噴霧は、熱交換機表面の湿りを持続させて冷却するために必要最低限の噴霧とするために間欠噴霧としている。これにより、常時噴霧と比較してランニングコストを低下すると共に、熱交換機表面に過剰に水分を付与しないため、熱交換機の表面に水道水に含まれるスケールが付着することも防止または低減することができる。
【0009】
前記室外機のケースに設けられた吸気口を囲む遮光用のカバーを取り付け、該カバーの内部に、前記熱交換機から所要寸法離れた外方に前記複数種のノズルを配置することが好ましい。
【0010】
前記のように、吸気口を遮光用のカバーで覆うことで、吸気口を通して熱交換機が直射日光で照射されて過熱されるのを防止できる。且つ、カバーで日陰にすることにより周辺温度より低温環境とし、吸気口を通して熱交換機に吸気される空気の温度低下を促進できる。該カバーは前記吸気口を囲むコ字形状あるいは底壁を開口した逆L字形状とし、カバーには通気穴を設けることが好ましい。このように、カバーにより熱交換機の過熱防止および吸気温度の降下を図ると共に、前記噴霧による熱交換機自体の冷却との組み合わせで、効率の良い室外機の冷却を行うことができる。
【0011】
前記第1種ノズルへの供給水圧を0.1MPa以上0.5MPa未満とし、該第1種ノズルの噴霧の平均水滴径を40〜90μmとし、
前記第2種ノズルへの供給水圧を1MPa以上2MPa以下とし、該第2種ノズルの噴霧の平均水滴径を20〜40μmの範囲とすることが好ましい。
【0012】
前記のように、第1種ノズルからの噴霧は水圧を低くして水滴を比較的大きくし、第2種ノズルからの噴霧は水圧を高くして水滴を比較的小さくしている。
且つ、第1種ノズルの水圧を0.1MPa以上0.5MPa未満、第2種ノズルの水圧を1MPa以上2MPa以下として前記特許文献1より低くしているため、高圧ポンプの設置を不要にでき、イニシャルコストおよびランニングコストを低下できる。
【0013】
前記熱交換機から10cm〜100cm離れた位置に前記第1種ノズルおよび第2種ノズルを設置し、該第1種ノズルと第2種ノズルからの噴霧により前記熱交換機の周辺の空気を冷却すると共に、湿度を65%RH以上100%RH未満に高めることが好ましい。
【0014】
具体的には、前記第1種ノズルおよび第2種ノズルは前記カバー内に設けた配管に取り付けている。前記第1種ノズルの噴霧方向を前記熱交換機の吸気口に向けた方向とし、熱交換機に直接湿り気を与えている。前記第2種ノズルはカバーの内部の湿度を高めることで、熱交換機の表面に湿り気を帯びさせれば良いため、カバー内部に設置すれば、その配置位置および噴霧方向は特に限定されない。第2種ノズルのカバー内での配置位置は第1種ノズルの後方でもよいし、並列位置でもよい。また、第2種ノズルの噴霧方向は第1種ノズルと同様に熱交換機に向けても良いし、反対方向や斜め方向でも良い。
【0015】
例えば、ケースの吸気口を囲むように配置する断面コ字形状のカバーの上壁の下面前方に第1種ノズルを前記吸気口に向けて傾斜して突設し、該第1種ノズルの後側の上壁と縦壁の隅部に第2種ノズルを傾斜して突設し、且つ、別の第2種ノズルは縦壁と下壁の隅部に上方傾斜して突設している。
あるいは、カバーの上壁と縦壁の隅部に第1種ノズルを吸気口に向けて傾斜して突設し、複数の第2種ノズルを下壁の前後に上向きに突設している。
前記第1種ノズルと第2種ノズルの取付個数は、第1種ノズルに対して第2種ノズルの設置個数を倍とする等、第2種ノズルの設置個数を多くするのが好ましい。
【0016】
また、気温が30度以上に達すると前記第1種ノズルの噴霧を開始し、続いて、第2種ノズルの噴霧を開始し、排気温度が外気温と同等となると第2種ノズルの噴霧を停止し、さらに、噴霧継続時間、噴霧停止時間を制御する制御手段を設けることが好ましい。
前記制御手段で第1種ノズルおよび第2種ノズルの噴霧を制御し、熱交換機の排気ロからの排気温度が外気温と同等とすることが好ましい。これにより、室外機からの排気で気温が上昇するのを防止することができ、所謂ヒートアイランド現象の発生を抑制できる。
【0017】
前記第1種ノズルおよび第2種ノズルは金属製または樹脂製のいずれでもよい。ノズルの形状は噴霧する平均水滴径が20〜90μmの微粒化したセミドライフォグとなる形状とすることが好ましい。該ノズルとして、例えば、本出願人の先願である特開2008−104929号公報に開示した一流体ノズル等が好適に用いられる。
該第1種ノズルと第2種ノズルは同一のノズルを用い、供給する水圧を変えることで、噴霧する平均水滴径を相違させ、水滴径、流量、噴霧時間、噴霧方向の組み合わせを調整して、熱交換機全体に最適な液滴径の噴霧を最適な噴霧流量で供給できるようにしている。
【0018】
前記第1種ノズル、第2種ノズルから水道水を噴射し、さらに、第3種ノズルを設置し、該第3種ノズルから前記第2種ノズルの噴霧停止時に薬液を噴霧し、または水道水を浄化処理した純水を熱交換機に噴射し、第1種ノズルや第2種ノズルから噴霧された水滴が熱交換機に付着していても、第3種ノズルから噴霧する水滴で洗い流すようにすることが好ましい。あるいは、該第3種ノズルを貯留した雨水の噴霧用としてもよい。
前記第3種ノズルを設置する場合、該第3種ノズルも第1種ノズルおよび第2種ノズルと同様に前記カバー内に設けた配管に設置することが好ましい。
【発明の効果】
【0019】
前述したように、本発明では、室外機内の熱交換機を冷却するノズルを、室外機から所要寸法離れた外方に配置し、該ノズルからの噴霧で熱交換機の吸気温度を下げると共に熱交換機自体を湿らせ、熱交換機を効率良く冷却している。かつ、ノズルは、噴霧する水滴径を相違させた第1種ノズルと第2種ノズルを用い、運転開始時に水滴の大きな第1種ノズルから噴射して熱交換機を湿らせ、その後、水滴の小さい第2種ノズルからの噴霧を湿りを継続できる程度に間欠的に行っている。このように、熱交換機の表面から水滴が滴下する程の噴霧を行わず、熱交換機の表面を湿らせる程度としていることで、熱交換機表面のスケールの発生を防止できると共に、ランニングコストを低下できる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態の室外機全体の概略図である。
【図2】第1実施形態の室外機に補助装置を付設した状態を示す拡大断面図である。
【図3】第1種ノズルと第2種ノズルの作動のタイムチャートである。
【図4】第1実施形態で使用するノズルの断面図である。
【図5】第2実施形態の一部断面図である。
【図6】(A)〜(C)は第2実施形態の変形例を示す一部断面図である。
【図7】(A)(B)は第2実施形態の他の変形例を示す一部断面図である。
【図8】第3実施形態を示す拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1乃至図4に第1実施形態を示す。
図1に示すように、空気調和装置の室内機(図示せず)と配管を介して接続される室外機1を屋外に設置している。該室外機1はケース2の内部に前記配管と連続させる熱交換機3と、該熱交換機3の背面側にフィン(送風機)4を収容している。よって、熱交換機3の前面側が吸気側となり、該吸気側のケース2に吸気ロ2aを設けると共に、熱交換機3の後部に配置するフィン4の背面側となるケース側面に排気口2bを設けている。
本実施形態では、図1に示すように、室外機1を4個並設しているが、室外機1が1個の場合も適用される。
【0022】
前記ケース2の前面から前記吸気口2aを囲む断面略逆L形状のカバー5を突設している。該カバー5は上壁5a、吸気口2aと対向する正面壁5bと側壁5cを備え、下面開ロとしている。該カバー5は並設した4個の室外機1のカバーとしている。
また、正面壁5bに複数の通気穴5dを設け、各通気穴5dを囲む下面開口の庇5eを設けている。該形状としたカバー5でケース2の吸気口を囲むように取り付けることにより、熱交換機3の吸気側を直射日光から遮断し、熱交換機3自体の過熱を防止し、かつ、吸気口2aから吸い込まれるカバー5内の空気の過熱も防止している。
【0023】
前記カバー5は断熱性を有するポリエチレン等の樹脂材で成形している。カバー5の正面壁5bと熱交換機3の吸気側面3aとの距離は10cm〜100cm、好ましくは20m〜50cmとしている。
【0024】
図1に示すように、カバー5の正面壁5bの内面に沿って水道水の供給管12Aを水平方向に配管し、該供給管12Aに各室外機1毎に垂直方向の分岐配管12Bを分岐させ、該分岐配管12Bに4つのノズル10A、11A、10B、11Bを上下方向に間隔をあけて取り付けている。なお、図2には、便宜的に、供給管12Aおよび分岐配管12Bをカバー5の外部に位置させて記載している。
詳細には、上側にノズル10Aと11Aとを所定寸法をあけて配置し、ノズル10Aの噴霧範囲にノズル11Aの噴霧範囲が重なるように設置している。同様に、下側にノズル10Bと11Bとを所定寸法をあけて配置し、ノズル10Bの噴霧範囲にノズル11Bの噴霧範囲が重なるように設置している。
【0025】
前記上下縦方向に並列する4つのノズル10A〜11Bは図4に示す一流体のスプレーノズルであり、同一形状のノズルとしている。ノズル10A、10Bは第1種ノズルとして同一の供給水圧とすると共に同期制御している。ノズル11A、11Bは第2種ノズルとして同一の供給水圧とすると共に同期制御している。前記第1種ノズルの供給水圧は第2種ノズルの供給水圧より低くし、かつ、噴霧時間は第1種ノズルと第2種ノズルとも間欠とすると共に、第1種ノズルの噴霧直後に第2種ノズルを噴霧している。
【0026】
前記第1種ノズル10(10Aと10B)は分岐配管12B、供給管12Aを介して水道水からなる水源に接続し、供給水圧は0.1MPa以上0.5MPa未満としている。 図2に示すように、第2種ノズル11(11Aと11B)は分岐配管12Bから分岐させてポンプ8を介設した分岐配管12Cに接続し、ポンプ8で供給水圧を1MPa以上2MPa以下に高めて供給している。
また、分岐配管12B、12Cにそれぞれソレノイド式の開閉弁13、14を介設し、該開閉弁13、14を制御盤15で開閉制御している。また、該制御盤15は室外機1の周縁に配置した温度センサ17と接続し、温度センサが気温30℃であることを検知すると、前記ノズルからの噴霧を開始するようにしている。かつ、熱交換機3の表面の濡れの有無を検出する濡れセンサ18と接続している。濡れセンサ18は熱交換機3の表面が湿りを帯びている状態は濡れではないためオフであり、熱交換機の表面が水で濡れている状態に達するとオンする設定としている。
【0027】
前記制御盤15で図3に示すように第1種ノズル10と第2種ノズル11との噴霧を制御している。即ち、排気口の温度が30℃に達すると第1種ノズル10の噴霧を開始してt1時間継続し、t2時間噴霧を停止した後に第2種ノズルをt3時間噴霧する。ついで、t4時間噴霧を停止した後に第2種ノズル11を噴霧する。この間欠的な繰り返しを行うが、濡れセンサ18がオンで濡れが持続していると、第2種ノズル11の噴霧を停止する。これにより、熱交換機3の過剰な濡れを防止している。濡れセンサ18がオフになると、前記t3時間の第2種ノズル11の噴霧とt4時間の噴霧停止を繰り返し行うものとしている。
【0028】
前記第1種ノズル10および第2種ノズル11は、図4に示すように、円筒状の本体20の周壁20aの内面にノズルチップ21を固定している。ノズルチップ21は流入側から噴射側に縮径するテーパ21aの先端は本体20の噴射穴20bと連通させている。
また、ノズルチップ21の固定位置より水流入側には本体20の周壁内面にワーラー22を固定している。該ワーラー22は90度間隔をあけて円弧状に湾曲させた旋回穴22aを設けている。
本体20の流入口20cから流入する水をワーラー22の旋回穴22aに通すことで旋回流れを発生させ、この旋回流れをノズルチップ21の噴射穴21bから本体20の噴射穴20bを通して外部に微細な水滴として噴射している。
【0029】
前記第1種ノズル10の供給水圧を0.1MPa以上0.5MPa未満として、噴霧に含まれる水滴の平均径を40〜90μm、好ましくは60〜80μmとしている。また、第2種ノズル11の供給水圧を1〜2MPaとして、噴霧の平均水滴径を20〜40μm、好ましくは20〜30μmとしている。
【0030】
次に、本装置の作用について説明する。
夏季等において、空気調和装置で屋内を冷房すると、室内機から配管を通して循環してくる冷媒を室外機1の熱交換機3で冷却している。よって、熱交換機3の熱交換作用により、室外機1の排気口2bから加熱された空気が排気され、周辺空気を加熱する。この加熱した周辺空気を室外機1の吸気口2aから室外機1のケース2内に吸引すると、ケース2内に設置している熱交換機3が加熱され、熱交換機の熱交換効率が低下する。かつ、排気される高温空気が所請ヒートアイランド現象の発生要因の一つとなる。
【0031】
本装置では、室外機1の吸気口2aに面した箇所にカバー5を設置し、カバー5で空気の温度上昇を抑制し、吸気温度自体を低下させている。また、カバー5内に第1種ノズル10A、10B、第2種ノズル11A、11Bを配置して、第1種ノズル10A、10Bで熱交換機3の表面に湿りを与えると共に、第2種ノズル11A、11Bの間欠噴霧でカバー5内の湿度を65%RH以上100%RH未満として、熱交換機3の表面の湿りを持続している。このように、吸気口2aから吸い込まれる吸気を冷却し、且つ、熱交換機3の表面を冷たい空気で湿らせることで熱交換機3を冷却し、熱交換機3の熱交換効率を向上させている。
【0032】
詳細には、室外機1の周辺温度が30℃に達すると、制御盤15で第1種ノズル10からの噴霧を開始するためにソレノイド式の開閉弁13を開く。その後、前記図3に示すタイムチャートで第2種ノズル11の間欠噴霧を行う。
周辺温度が30℃未満になると第2種ノズル11からの噴霧を停止する。また、濡れセンサ18で熱交換機3の表面の濡れを検知すると、第2種ノズル11の噴霧を停止する。
【0033】
本実施形態では、第1種ノズル10へ供給する水圧は0.3MPaとし、液量は9.7〜14.6L/時間とし、前記のように平均水滴を40μm〜90μmとしている。また、第2種ノズル11へ供給する水圧は1〜2MPaとし、液量は6〜19.1L/時間とし、平均水滴径は20μm〜40μmとしている。
【0034】
このように、本実施形態では、室外機1内の熱交換機3を冷却するために、運転開始時には第1種ノズルから液滴径が大きな噴霧を行って、カバー5の内部空気の冷却と熱交換機3の表面に湿りを迅速に与える。その後、第2種ノズル11から液滴径の小さい噴霧を行ってカバー5内の湿度を高めて、熱交換機3の表面の湿りを持続させ、かつ、カバー5内の空気が上昇するのを抑制している。このように、吸気温度の低下と熱交換機自体の温度低下の両方を図ることにより、室外機の冷却をランニングコストを安価に保持して効率良く行うことができる。
【0035】
図5に本発明の第2実施形態を示す。
第2実施形態では、ケース2の内部に設けるフィン4はケース2の上部に設け、ケース2の前部に設けた吸気口2aを囲むカバー5は底壁5hを有する断面略コ字形状としているが、底壁5hを上壁5aより長くし、正面壁5bを傾斜させている。カバー5の上壁、底壁、正面壁および側壁のいずれにも通気穴5dを設けている。
【0036】
前記力バー5の内部に水供給用のL形状の配管12を設置し、該配管12の水平上部に第1種ノズル10を吸気口2aに向けて下方傾斜して突設し、該第1種ノズル10の後方に第2種ノズル11Aを吸気口2aに向け下方傾斜して突設し、配管12の垂直下部に第2種ノズル11Bを吸気口2aに向けて上方傾斜して突設している。
他の構成は第1実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0037】
図6(A)〜(C)に第1種ノズルと第2種ノズルの配置位置を相違させた第2実施形態の変形例を示す。
図6(A)の変形例では、第1種ノズル10と第2種ノズル11Aは第2実施形態と同一位置で、第2種ノズル11BをL型の配管12の垂直部の上部に突設している。
図6(B)は第1種ノズル10をL型の配管12の隅部に下向きに傾斜させて取り付け、第2種ノズル11A、11Bをカバー底壁5hの前後位置に上向き突設して並設している。
図6(C)の変形例は第1種ノズル10を配管12の垂直部の中間位置に取り付け、第2種ノズル11A、11Bを第1種ノズル10を上下に挟む位置に取り付けている。
【0038】
図7(A)(B)の変形例は、カバー5の形状を上壁5aより底壁5hを大とし、正面壁5bを傾斜させた略台形状としている。
図7(A)では第1種ノズル10をL型の配管12の上部側で吸気口2aに向けて配置し、第2種ノズル11Aは配管12の垂直部の中間位置で後方の正面壁5bに向けて配置し、11Bは下方位置で正面壁にむけて傾斜した上向きに配置している。
図7(B)では第1種ノズル10を底壁5hの後部側に配置し、第2種ノズル11Aは下向きに配置し、第2種ノズル11Bは底壁5hの前部側で後方に向けて配置している。
【0039】
前記図6(A)〜(C)、図7(A)(B)に示す変形例は、いずれも第1種ノズル10に対して第2種ノズル11A、11Bを1:2の個数で配置している。
【0040】
図8に第3実施形態を示す。
第3実施形態では、カバー5の内部に第1種ノズル10と第2種ノズル11に加えて第3種ノズル30を設置している。該第3種ノズル30は薬液噴霧用ノズルとしている。該薬液噴霧用ノズルは運転停止後に所要時間噴霧する設定とすることが好ましい。
他の構成は第1実施形態と同様であるため、同一符号を付して説明を省略する。
【0041】
なお、第3種ノズルから薬液の噴霧に代えて純水を噴霧してもよい。貯留槽にためた雨水の噴霧用としてもよい。この場合、第3種ノズルを第1種ノズルまたは第2種ノズルの代用として用いると、水道コストの低下を図ることができる。
【符号の説明】
【0042】
1 室外機
2 ケース
2a 吸気口
2b 排気口
3 熱交換機
4 フィン
5 カバー
10(10A、10B) 第1種ノズル
11(11A、11B) 第2種ノズル
15 制御盤
20 ノズルの本体
30 第3種ノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
空気調和装置の屋外に設置する室外機内の熱交換機をノズルからの噴霧で冷却する室外機冷却装置であって、
前記熱交換機から所要寸法離れた外方に第1種ノズルおよび第2種ノズルを含む複数種のノズルを配置し、
前記第1種ノズルからの噴霧中の水滴の平均径より前記第2種ノズルからの噴霧中の平均水滴径を小とし、かつ、前記第1種ノズルは少なくとも運転開始時に所要時間噴霧して前記室外機を濡らした後に停止するものである一方、前記第2種ノズルは前記第1種ノズルの噴霧停止後に間欠的に噴霧して前記熱交換機を湿った冷却空気で冷却する構成としている室外機冷却装置。
【請求項2】
前記室外機のケースに設けられた吸気口を囲む遮光用のカバーを取り付け、該カバーの内部に、前記熱交換機から所要寸法離れた外方に前記第1種ノズルと第2種ノズルを配置している請求項1に記載の室外機冷却装置。
【請求項3】
前記第1種ノズルへの供給水圧を0.1MPa以上0.5MPa未満とし、該第1種ノズルの噴霧の平均水滴径を40〜90μmとし、
前記第2種ノズルへの供給水圧を1MPa以上2MPa以下とし、該第2種ノズルの噴霧の平均水滴径を20〜40μmの範囲としている請求項1または請求項2に記載の室外機冷却装置。
【請求項4】
前記室外機のケース内部には、前記カバーで囲まれた吸気口に面した位置に前記熱交換機を配置すると共に、該熱交換機の背面側にフィンを配置し、該フィンに面した位置に排気口を設け、
前記熱交換機から10cm〜100cm離れた位置に前記第1種ノズルおよび第2種ノズルを取り付け、該第1種ノズルと第2種ノズルからの噴霧により前記熱交換機の周辺の空気を冷却すると共に湿度65%RH以上100%RH未満に高めている請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の室外機冷却装置。
【請求項5】
第3種ノズルを設置し、前記第2種ノズルの噴霧停止後に薬液噴霧用または貯留した雨水の噴霧用としている請求項1乃至請求項4のいずれか1項に記載の室外機冷却装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate


【公開番号】特開2013−15256(P2013−15256A)
【公開日】平成25年1月24日(2013.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−148025(P2011−148025)
【出願日】平成23年7月4日(2011.7.4)
【出願人】(390002118)株式会社いけうち (26)