説明

害虫防除エアゾール用組成物

【課題】優れた害虫防除効力を有するエアゾール用組成物を提供すること。
【解決手段】
式(1)


〔式中、Raは水素原子またはメチル基を表し、Rbはメチル基またはメトキシメチル基を表す。〕で示されるエステル化合物、沸点が220℃以上である有機溶剤及び噴射剤を含有し、該有機溶剤の含有割合が組成物全量の10〜30重量%であることを特徴とする害虫防除エアゾール用組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は害虫防除エアゾール用組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート及び噴射剤を含有する害虫防除エアゾール用組成物が害虫防除効力を有することが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−342104号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、優れた害虫防除効力を有するエアゾール用組成物を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記の課題を解決すべく鋭意検討した結果、特定の化合物、沸点範囲及び含有量を特定した有機溶剤並びに噴射剤を含有する害虫防除エアゾール用組成物が優れた害虫防除効力を有することを見出し、本発明に至った。
すなわち本発明は、以下のものである。
〔1〕 式(1)


〔式中、Raは水素原子またはメチル基を表し、Rbはメチル基またはメトキシメチル基を表す。〕
で示される化合物(以下、本化合物と記す。)、沸点が220℃以上である有機溶剤及び噴射剤を含有し、該有機溶剤の含有割合が組成物全量の10〜30重量%であることを特徴とする害虫防除エアゾール用組成物(以下、本発明組成物と記す。)。
〔2〕 式(1)で示される化合物の含有割合が、組成物全量の0.1〜10重量%である〔1〕記載の害虫防除エアゾール用組成物。
〔3〕 有機溶剤がエステル溶剤である〔1〕または〔2〕記載の害虫防除エアゾール用組成物。
〔4〕 有機溶剤が炭素数12〜30のエステル溶剤である〔1〕〜〔3〕いずれかに記載の害虫防除エアゾール用組成物。
〔5〕 有機溶剤が、炭素数12〜30のアルキルカルボン酸アルキルエステル、炭素数12〜30のジカルボン酸ジアルキルエステル及び炭素数12〜30のアセチルクエン酸トリアルキルエステル、炭素数12〜30のクエン酸トリアルキルエステル、炭素数12〜30のフタル酸ジアルキルエステルからなる群より選ばれる1種以上である〔1〕〜〔4〕いずれかに記載の害虫防除エアゾール用組成物。
〔6〕 有機溶剤がフタル酸ジブチル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル及びクエン酸トリエチルからなる群より選ばれる1種以上である〔1〕〜〔5〕いずれかに記載の害虫防除エアゾール用組成物。
〔7〕 害虫が飛翔性害虫である〔1〕〜〔6〕いずれかに記載の害虫防除エアゾール用組成物。
〔8〕 〔1〕〜〔7〕いずれかに記載の害虫防除エアゾール用組成物を含有する害虫防除エアゾール。
〔9〕 〔1〕〜〔7〕いずれかに記載の害虫防除エアゾール用組成物の有効量を、害虫、害虫の通り道及び/または害虫の生息場所に噴霧することを特徴とする害虫の防除方法。
【発明の効果】
【0006】
本発明組成物は優れた害虫防除効力を有する。
【発明を実施するための形態】
【0007】
本化合物としては、具体的には[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(以下、本化合物Aと記す。)、[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−メチルフェニル]メチル=2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(以下、本化合物Bと記す。)、[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=2,2−ジメチル−3−(2−メチル−1−プロペニル)シクロプロパンカルボキシレート(以下、本化合物Cと記す。)が挙げられる。本化合物は、特開平11−222463号公報、特開2000−63329号公報、特開2001−11022号公報に記載される化合物であり、該公報に記載される方法により製造することができる。
本化合物には、シクロプロパン環上に存在する2つの不斉炭素原子及び二重結合に由来する異性体が存在する場合があるが、本発明には活性な異性体を任意の比率で含有するものを使用することができる。
【0008】
本発明組成物に含有される本化合物の含有量は、通常組成物全量の0.1〜10重量%である。
【0009】
本発明組成物は、沸点が220℃以上である有機溶剤を含有する。処理後の残留性の観点から、かかる有機溶剤としては、例えば沸点が220℃以上、好ましくは220〜500℃のエステル系溶剤が挙げられる。
本明細書において、沸点は大気圧下で測定した値である。
上記エステル系溶剤としては、好ましくは、炭素数12〜30のエステル系溶剤が挙げられる。炭素数12〜30のエステル系溶剤としては、例えば炭素数12〜30のカルボン酸アルキルエステルが挙げられ、具体的には、例えば、ミリスチン酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、パルミチン酸イソプロピル等の炭素数12〜30のアルキルカルボン酸アルキルエステル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル等の炭素数12〜30のジカルボン酸ジアルキルエステル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル等の炭素数12〜30のアセチルクエン酸トリアルキルエステル、クエン酸トリエチル等の炭素数12〜30のクエン酸トリアルキルエステル、フタル酸ジブチル、フタル酸ジイソノニル等の炭素数12〜30のフタル酸ジアルキルエステルが挙げられる。
上記エステル系溶剤としては、より好ましくは、炭素数12〜30のアルキルカルボン酸アルキルエステル、炭素数12〜30のジカルボン酸ジアルキルエステル及び炭素数12〜30のアセチルクエン酸トリアルキルエステル、炭素数12〜30のクエン酸トリアルキルエステル、炭素数12〜30のフタル酸ジアルキルエステルが挙げられ、更に好ましくは、炭素数12〜30のアルキルカルボン酸アルキルエステル、炭素数12〜30のジカルボン酸ジアルキルエステル、炭素数12〜30のアセチルクエン酸トリアルキルエステルが挙げられる。
上記エステル系溶剤の具体例として、好ましくは、フタル酸ジブチル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル及びクエン酸トリエチルが挙げられ、より好ましくは、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチルが挙げられる。沸点が220℃以上である有機溶剤としては、例えば、直鎖状飽和炭化水素、分岐鎖状飽和炭化水素、脂環式飽和炭化水素等の飽和炭化水素、芳香族炭化水素が挙げられ、具体的にはアイソパーM(飽和炭化水素、エクソンモービル有限会社製、沸点223〜254℃)、アイソパーV(飽和炭化水素、エクソンモービル有限会社製、沸点273〜310℃)、IPソルベント2835(飽和炭化水素、出光興産株式会社製、沸点277〜353℃)、ノルパー13(飽和炭化水素、エクソンモービル有限会社製、沸点222〜242℃)、ノルパー15(飽和炭化水素、エクソンモービル有限会社製、沸点249〜274℃)、ネオチオゾール(飽和炭化水素、中央化成株式会社製、沸点225〜247℃)、エクソールD110(飽和炭化水素、エクソンモービル有限会社製、沸点249〜267℃)、エクソールD130(飽和炭化水素、エクソンモービル有限会社製、沸点279〜313℃)、アルケンL(芳香族炭化水素、新日本石油株式会社製、沸点285〜309℃)、アルケン200P(芳香族炭化水素、新日本石油株式会社製、沸点321〜390℃)、炭酸エチレン、炭酸プロピレンなどの炭酸アルキリデン類、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテルなどのグリコールエーテルも挙げられる。
沸点が220℃以上である有機溶剤の含有量は、10〜30重量パーセントである。上記有機溶剤は、1種のみ用いてもよいし2種以上用いてもよい。
【0010】
本発明組成物に含有される噴射剤としては、例えば、窒素ガス、圧縮空気、炭酸ガス、液化石油ガス(LPG)及びジメチルエーテルが挙げられる。本発明組成物に含有される噴射剤は、1種のみ用いてもよいし2種以上用いてもよい。
【0011】
本発明組成物には、必要により、他の害虫防除成分、忌避剤、共力剤、安定剤、香料等の1種以上を適宜配合することができる。
他の害虫防除成分としては、例えば、ジクロルボス、フェニトロチオン、テトラクロロビンホス、フェンチオン、クロルピリホス、ダイアジノン等の有機燐化合物、プロポキサー、カルバリル、メトキサジアゾン、フェノブカルブ等のカーバメート化合物、ルフェヌロン、クロルフルアズロン、ヘキサフルムロン、ジフルベンズロン、シロマジン、1−(2,6−ジフルオロベンゾイル)−3−[2−フルオロ−4−(1,1,2,3,3,3−ヘキサフルオロプロポキシ)フェニル]ウレア等のキチン形成阻害物質、ピリプロキシフェン、メトプレン、ハイドロプレン、フェノキシカルブ等の幼若ホルモン様物質、ネオニコチノイド系化合物、N−フェニルピラゾール系化合物が挙げられる。
【0012】
忌避剤としては、例えば、N,N−ジエチル−m−トルアミド、リモネン、リナロール、シトロネラール、メントール、メントン、ヒノキチオール、ゲラニオール、ユーカリプトール、インドキサカルブ、カラン−3,4−ジオール、MGK−R−326、MGK−R−874及びBAY−KBR−3023が挙げられる。
共力剤としては、例えば、5−〔2−(2−ブトキシエトキシ)エトキシメチル〕−6−プロピル−1,3−ベンゾジオキソール、N−(2−エチルヘキシル)ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミド、オクタクロロジプロピルエーテル、チオシアノ酢酸イソボルニル、N−(2−エチルへキシル)−1−イソプロピル−4−メチルビシクロ[2.2.2]オクト−5−エン−2,3−ジカルボキシイミドが挙げられる。
安定剤としては、例えば、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノ−ル等のフェノ−ル系酸化防止剤等が挙げられる。
本発明組成物には、本化合物及び有機溶剤と、必要に応じて適宜配合される他の害虫防除成分、忌避剤、共力剤、安定剤、香料等と、噴霧剤とを混合すること等により調製することができる。
【0013】
本発明の害虫防除エアゾールは、本発明組成物を含有する。該害虫防除エアゾールにおいて、本発明組成物は、通常エアゾール装置内に含有されている。エアゾール装置としては、耐圧容器に収容された内容物を噴射剤の圧力を利用して霧状に噴射する装置が挙げられる。
上記害虫防除エアゾールは、例えば、本化合物及び有機溶剤、並びに、必要に応じて適宜配合される他の害虫防除成分、忌避剤、共力剤、安定剤、香料等をエアゾール容器に充填し、該容器にエアゾールバルブを装着し、噴射剤をステムを通して該容器中に充填し、振とうした後、アクチュエーターを装着することにより製造することができる。エアゾールバルブとしては、特に限定されないが、プッシュダウン式バルブ等が挙げられる。アクチュエーターとしては、例えば、ボタン式、トリガー式のものが挙げられる。
【0014】
本発明の防除方法は、本発明組成物の有効量を、害虫、害虫の通り道及び/または害虫の生息場所に噴霧することにより行われる。具体的には、本発明組成物を含有する害虫防除エアゾールを用いて、害虫、害虫の通り道及び/または害虫の生息場所に本発明組成物を噴霧することにより行われる。実用的には、防除対象となる場所の空間に向けて本発明組成物を噴霧することが望ましい。その際の噴霧量は、本化合物の換算量として通常0.001〜1000mg/m3であり、好ましくは0.001〜100mg/m3であり、より好ましくは0.01〜10mg/m3である。また、平面に噴霧するときは本化合物の換算量として通常0.0001〜1000mg/m2である。本発明組成物を噴霧する空間としては、例えば室内、居間、食堂、クローゼット、押入れ、和ダンス等のタンス、食器棚、トイレ、浴場、物置、倉庫、車内等が挙げられ、さらに野外の開放空間に噴霧することもできる。
【0015】
本発明組成物により防除できる害虫としては、例えば昆虫やダニ等の節足動物が挙げられ、具体的には例えば以下の害虫等が挙げられる。
【0016】
鱗翅目害虫:ニカメイガ、コブノメイガ、ノシメコクガ等のメイガ類、ハスモンヨトウ、アワヨトウ、ヨトウガ等のヨトウ類、モンシロチョウ等のシロチョウ類、コカクモンハマキ等のハマキガ類、シンクイガ類、ハモグリガ類、ドクガ類、ウワバ類、カブラヤガ、タマナヤガ等のアグロティス属害虫(Agrotis spp.)、ヘリコベルパ属害虫(Helicoverpa spp.)、ヘリオティス属害虫(Heliothis spp.)、コナガ、イチモンジセセリ、イガ、コイガ等
【0017】
双翅目害虫:アカイエカ、コガタアカイエカ、ネッタイイエカ等のイエカ類、ネッタイシマカ、ヒトスジシマカ等のヤブカ類、シナハマダラカ、ガンビエハマダラカ(Anopheles gambiae)等のハマダラカ類、ユスリカ類、イエバエ、オオイエバエ、ヒメイエバエ等のイエバエ類、クロバエ類、ニクバエ類、タネバエ、タマネギバエ等のハナバエ類、ミバエ類、ショウジョウバエ類、チョウバエ類、ノミバエ類、アブ類、ブユ類、サシバエ類、ヌカカ類等
【0018】
網翅目害虫:チャバネゴキブリ、クロゴキブリ、ワモンゴキブリ、コワモンゴキブリ、トビイロゴキブリ、コバネゴキブリ等
【0019】
膜翅目害虫:アリ類、ハチ類(フタモンアシナガバチ、トガリフタモンアシナガバチ、セグロアシナガバチ、キアシナガバチ、キボシアシナガバチ、コアシナガバチ、ヤマトアシナガバチ等のアシナガバチ類、オオスズメバチ、キイロスズメバチ、コガタスズメバチ、モンスズメバチ、ヒメスズメバチ、クロスズメバチ、シダクロスズメバチ、キオビホオナガスズメバチ等のスズメバチ類、アリガタバチ類、クマバチ、ベッコウバチ、ジガバチ、ドロバチ等)
【0020】
隠翅目害虫:イヌノミ、ネコノミ、ヒトノミ等
【0021】
シラミ目害虫:ヒトジラミ、ケジラミ、アタマジラミ、コロモジラミ等
【0022】
等翅目害虫:ヤマトシロアリ、イエシロアリ等
【0023】
半翅目害虫:ヒメトビウンカ、トビイロウンカ、セジロウンカ等のウンカ類、ツマグロヨコバイ、タイワンツマグロヨコバイ等のヨコバイ類、アブラムシ類、カメムシ類、コナジラミ類、カイガラムシ類、グンバイムシ類、キジラミ類、トコジラミ類等
【0024】
鞘翅目害虫:ヒメカツオブシムシ、ヒメマルカツオブシムシ、ウエスタンコーンルートワーム、サザンコーンルートワーム等のコーンルートワーム類、ドウガネブイブイ、ヒメコガネ等のコガネムシ類、コクゾウムシ、イネミズゾウムシ、ワタミゾウムシ、アズキゾウムシ等のゾウムシ類、チャイロコメノゴミムシダマシ、コクヌストモドキ等のゴミムシダマシ類、イネドロオイムシ、キスジノミハムシ、ウリハムシ等のハムシ類、シバンムシ類、ニジュウヤホシテントウ等のエピラクナ属(Epilachna spp.)、ヒラタキクイムシ類、ナガシンクイムシ類、カミキリムシ類、アオバアリガタハネカクシ等
【0025】
総翅目害虫:ミナミキイロアザミウマ、ミカンキイロアザミウマ、ハナアザミウマ等
【0026】
直翅目害虫:ケラ、バッタ等
【0027】
ダニ類:コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ等のヒョウヒダニ類、ケナガコナダニ、ムギコナダニ等のコナダニ類、チリニクダニ、イエニクダニ、サナアシニクダニ等のニクダニ類、クワガタツメダニ、フトツメダニ等のツメダニ類、ホコリダニ類、マルニクダニ類、イエササラダニ類、ナミハダニ、カンザワハダニ、ミカンハダニ、リンゴハダニ等のハダニ類、フタトゲチマダニ等のマダニ類。
【0028】
本発明組成物は、特に、いわゆる飛翔性害虫、例えば双翅目害虫に分類される蚊類、ハエ類や、膜翅目害虫に分類されるハチ類などの防除に有効である。
【実施例】
【0029】
以下、本発明を製造例及び試験例等の実施例によりさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの例のみに限定されるものではない。
【0030】
まず、本発明組成物を含有するエアゾールの製造例を示す。なお、部は重量部を表す。
【0031】
製造例1
本化合物A 4.3部及びフタル酸ジブチル 10.0部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)85.7部を充填して本発明組成物 100部を含有するエアゾール1を得る。
【0032】
製造例2
本化合物A 4.3部及びフタル酸ジブチル 30.0部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)65.7部を充填して本発明組成物 100部を含有するエアゾール2を得る。
【0033】
製造例3、4
フタル酸ジブチルに代えてミリスチン酸イソプロピルを用いる以外は製造例1,2と同様の操作を行うことによりエアゾール3,4を得る。
【0034】
製造例5,6
フタル酸ジブチルに代えてアジピン酸ジイソプロピルを用いる以外は製造例1,2と同様の操作を行うことによりエアゾール5,6を得る。
【0035】
製造例7,8
フタル酸ジブチルに代えてアジピン酸ジオクチルを用いる以外は製造例1,2と同様の操作を行うことによりエアゾール7,8を得る。
【0036】
製造例9,10
フタル酸ジブチルに代えてアジピン酸ジイソノニルを用いる以外は製造例1,2と同様の操作を行うことによりエアゾール9,10を得る。
【0037】
製造例11,12
フタル酸ジブチルに代えてアジピン酸ジイソデシルを用いる以外は製造例1,2と同様の操作を行うことによりエアゾール11,12を得る。
【0038】
製造例13,14
フタル酸ジブチルに代えてアセチルクエン酸トリエチルを用いる以外は製造例1,2と同様の操作を行うことによりエアゾール13,14を得る。
【0039】
製造例15,16
フタル酸ジブチルに代えてアセチルクエン酸トリブチルを用いる以外は製造例1,2と同様の操作を行うことによりエアゾール15,16を得る。
【0040】
製造例17,18
フタル酸ジブチルに代えてクエン酸トリエチルを用いる以外は製造例1,2と同様の操作を行うことによりエアゾール17,18を得る。
【0041】
製造例19,20
フタル酸ジブチルに代えてアイソパーM(エクソンモービル有限会社製)を用いる以外は製造例1,2と同様の操作を行うことによりエアゾール19,20を得る。
【0042】
製造例21,22
フタル酸ジブチルに代えてノルパー13(エクソンモービル有限会社製)を用いる以外は製造例1,2と同様の操作を行うことによりエアゾール21,22を得る。
【0043】
製造例23,24
フタル酸ジブチルに代えてエクソールD110(エクソンモービル有限会社製)を用いる以外は製造例1,2と同様の操作を行うことによりエアゾール23,24を得る。
【0044】
製造例25,26
フタル酸ジブチルに代えてアルケンL(新日本石油株式会社製)を用いる以外は製造例1,2と同様の操作を行うことによりエアゾール25,26を得る。
【0045】
製造例27,28
フタル酸ジブチルに代えて炭酸プロピレンを用いる以外は製造例1,2と同様の操作を行うことによりエアゾール27,28を得る。
【0046】
製造例29,30
フタル酸ジブチルに代えてジエチレングリコールモノブチルエーテルを用いる以外は製造例1,2と同様の操作を行うことによりエアゾール29,30を得る。
【0047】
製造例31
本化合物A 4.3部及びミリスチン酸イソプロピル 13.6部をエアゾール缶(製品名AE180WON、東洋製罐株式会社製)に入れ、缶にバルブ部分(孔径が0.33mmのステムを備えたプッシュダウン式のバルブ、日本プリシジョンバルブ株式会社製)を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)82.1部を充填して本発明組成物 100部を含有するエアゾール31を得た。
【0048】
製造例32
ミリスチン酸イソプロピルに代えて炭酸プロピレンを用いる以外は製造例31と同様の操作を行うことによりエアゾール32を得た。
【0049】
製造例33
本化合物A 1.2部及びフタル酸ジブチル 30.0部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)68.8部を充填して本発明組成物 100部を含有するエアゾール33を得た。
【0050】
製造例34
フタル酸ジブチルに代えてミリスチン酸イソプロピルを用いる以外は製造例33と同様の操作を行うことによりエアゾール34を得た。
【0051】
製造例35
本化合物A 1.2部及びミリスチン酸イソプロピル 10.0部をエアゾール缶に入れ、缶にバルブ部分を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)88.8部を充填して本発明組成物 100部を含有するエアゾール35を得た。
【0052】
製造例36〜70
本化合物Aに代えて本化合物Bを用いる以外は製造例1〜35と同様の操作を行うことによりエアゾール36〜70を得る。
【0053】
製造例71〜105
本化合物Aに代えて本化合物Cを用いる以外は製造例1〜35と同様の操作を行うことによりエアゾール71〜105を得る。
【0054】
製造例106
本化合物A 4.3部及びミリスチン酸イソプロピル 27.2部をエアゾール缶(製品名AE180WON、東洋製罐株式会社製)に入れ、缶にバルブ部分(孔径が0.33mmのステムを備えたプッシュダウン式のバルブ、日本プリシジョンバルブ株式会社製)を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)68.5部を充填して本発明組成物 100部を含有するエアゾール106を得た。
【0055】
参考製造例1
本化合物A 4.3部及びエタノール 17.4部をエアゾール缶(製品名AE180WON、東洋製罐株式会社製)に入れ、缶にバルブ部分(孔径が0.33mmのステムを備えたプッシュダウン式のバルブ、日本プリシジョンバルブ株式会社製)を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)77.8部を充填して本発明組成物 100部を含有する参考エアゾール1を得た。
【0056】
参考製造例2
本化合物A 4.3部及びミリスチン酸イソプロピル 6.8部をエアゾール缶(製品名AE180WON、東洋製罐株式会社製)に入れ、缶にバルブ部分(孔径が0.33mmのステムを備えたプッシュダウン式のバルブ、日本プリシジョンバルブ株式会社製)を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)88.9部を充填して本発明組成物 100部を含有する参考エアゾール2を得た。
【0057】
参考製造例3
本化合物A 4.3部及びミリスチン酸イソプロピル 54.4部をエアゾール缶(製品名AE180WON、東洋製罐株式会社製)に入れ、缶にバルブ部分(孔径が0.33mmのステムを備えたプッシュダウン式のバルブ、日本プリシジョンバルブ株式会社製)を取付け、該バルブ部分を通じて噴射剤(液化石油ガス)41.3部を充填して本発明組成物 100部を含有する参考エアゾール3を得た。
【0058】
次に、本発明組成物および本発明組成物を含有するエアゾールが優れた害虫防除効力を有することを試験例に示す。
なお、以下の試験例においては、本化合物Aとして[2,3,5,6−テトラフルオロ−4−(メトキシメチル)フェニル]メチル=(1R)−トランス−2,2−ジメチル−3−(1−プロペニル(E/Z=1/8))シクロプロパンカルボキシレートを使用した。また、以下の試験例において、全てのエアゾールに噴口径0.41mmのボタン式アクチュエーターを装着した。
【0059】
試験例1
3.0m×4.0m×2.3mの直方体の試験用チャンバー(28m3)に、エアゾール31を用いて、約0.11gとなる量の本発明組成物を、チャンバーの入口から部屋中央に向かって1回噴霧し、チャンバー内を密閉した。噴霧8時間後にアカイエカ(Culex pipiens pallens)雌成虫約100頭をチャンバー内に放った。放虫後2,3,5,7,10および15分後にノックダウンしたアカイエカの数をカウントし、得られたデータからKT50(供試虫の50%がノックダウンするのに要する時間)を求めた。さらに同様の試験を、エアゾール106、参考エアゾール1、2及び3についても行なった。
結果を表1に示す。
【0060】
【表1】

【0061】
試験例2
製造例5、9、15及び17の方法に沿って、エアゾール5、9、15及び17を作製した。なお、各エアゾールにおいて、製造例31と同じエアゾール缶およびバルブを用い、噴口径0.41mmのボタン式アクチュエーターを装着した。
一辺 70cmの立方体のチャンバーに、エアゾール5を用いて、約20mgとなる量の本発明組成物を、該チャンバーの手前側面の中央部に設けられた小窓からチャンバー中央に向かって1回噴霧し、チャンバー内を密閉した。噴霧14時間後にアカイエカ(Culex pipiens pallens)雌成虫約20頭をチャンバー内に放った。放虫後2,3,5,7,10および15分後にノックダウンしたアカイエカの数をカウントし、得られたデータからKT50(供試虫の50%がノックダウンするのに要する時間)を求めた。さらに同様の試験を、エアゾール9、15及び17についても行なった。
結果を表2に示す。


【産業上の利用可能性】
【0062】
本発明組成物は、優れた害虫防除効力を有する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)



〔式中、Raは水素原子またはメチル基を表し、Rbはメチル基またはメトキシメチル基を表す。〕
で示される化合物、沸点が220℃以上である有機溶剤及び噴射剤を含有し、該有機溶剤の含有割合が組成物全量の10〜30重量%であることを特徴とする害虫防除エアゾール用組成物。
【請求項2】
式(1)で示される化合物の含有割合が、組成物全量の0.1〜10重量%である請求項1記載の害虫防除エアゾール用組成物。
【請求項3】
有機溶剤がエステル溶剤である請求項1または2記載の害虫防除エアゾール用組成物。
【請求項4】
有機溶剤が炭素数12〜30のエステル溶剤である請求項1〜3いずれか一項記載の害虫防除エアゾール用組成物。
【請求項5】
有機溶剤が、炭素数12〜30のアルキルカルボン酸アルキルエステル、炭素数12〜30のジカルボン酸ジアルキルエステル及び炭素数12〜30のアセチルクエン酸トリアルキルエステル、炭素数12〜30のクエン酸トリアルキルエステル、炭素数12〜30のフタル酸ジアルキルエステルからなる群より選ばれる1種以上である請求項1〜4いずれかに記載の害虫防除エアゾール用組成物。
【請求項6】
有機溶剤がフタル酸ジブチル、ミリスチン酸イソプロピル、アジピン酸ジイソプロピル、アジピン酸ジオクチル、アジピン酸ジイソノニル、アジピン酸ジイソデシル、アセチルクエン酸トリエチル、アセチルクエン酸トリブチル及びクエン酸トリエチルからなる群より選ばれる1種以上である請求項1〜5いずれかに記載の害虫防除エアゾール用組成物。
【請求項7】
害虫が飛翔性害虫である請求項1〜6いずれかに記載の害虫防除エアゾール用組成物。
【請求項8】
請求項1〜7いずれかに記載の害虫防除エアゾール用組成物を含有する害虫防除エアゾール。
【請求項9】
請求項1〜7いずれかに記載の害虫防除エアゾール用組成物の有効量を、害虫、害虫の通り道及び/または害虫の生息場所に噴霧することを特徴とする害虫の防除方法。

【公開番号】特開2012−82192(P2012−82192A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−202875(P2011−202875)
【出願日】平成23年9月16日(2011.9.16)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】