説明

家具組立材料セット及び家具

【課題】専用の工具などを必要とせず、種々の用途に使用できる偶数角筒状のかご型家具と、それを容易に組立可能な家具組立材料セットを提供する。
【解決手段】平面形状が偶数角形のガイド手段1と、このガイド手段1における一つおきの辺1aに沿って配置する複数本一組の複数組の第一棒状部材2と、前記ガイド手段1における他の辺1bに沿って配置する複数本一組の複数組の第二棒状部材3を備え、前記第一棒状部材2と第二棒状部材3が前記偶数角形の各頂点1cの位置で重合されて互いに接着されるものである。したがって、第一棒状部材2と第二棒状部材3を、ガイド手段1の辺1a,1bに沿って平面形状が偶数角形をなすように交互に積み重ねながら接着して行くことによって、偶数角筒状のかご型家具を製作することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、収納箱、整理棚、商品陳列棚、TV台、テーブル、スツールなどとして使用可能な偶数角筒状のかご型家具を組み立てることの可能な材料セット及び前記家具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、収納箱や整理棚、商品陳列棚、TV台、テーブル、スツールなどの家具を組み立てるための材料セットなどが広く知られている(例えば下記の特許文献1参照)。しかしながら、これらの家具や家具組立材料セットは、収納箱用材料セットなら収納箱、整理棚用材料セットなら整理棚としての用途の家具しか組み立てることができず、出来上がった家具のサイズも固定的で、しかも各部品の組立構造も複雑であった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−305337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、以上のような点に鑑みてなされたものであって、その技術的課題は、専用の工具などを必要とせず、種々の用途に使用できる偶数角筒状のかご型家具と、それを容易に組立可能な家具組立材料セットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上述した技術的課題を有効に解決するための手段として、請求項1の発明に係る家具組立材料セットは、平面形状が偶数角形のガイド手段と、このガイド手段における一つおきの辺と同じ長さであって前記一つおきの辺に沿って配置する複数本一組の複数組の第一棒状部材と、前記ガイド手段における他の辺と同じ長さであって前記他の辺に沿って配置する複数本一組の複数組の第二棒状部材を備え、前記第一棒状部材と第二棒状部材が前記偶数角形の各頂点位置で重合されて互いに接着されるものである。
【0006】
この家具組立材料セットによれば、平面形状が偶数角形のガイド手段における一つおきの辺に沿って第一段目の複数の第一棒状部材を配置し、これら複数の第一棒状部材の上に架け渡すように、前記ガイド手段における他の辺に沿って第二段目の複数の第二棒状部材を配置し、前記偶数角形の各頂点位置で重合した第一段目の第一棒状部材と第二段目の第二棒状部材を互いに接着し、次に前記第二段目の複数の第二棒状部材の上に架け渡すように、第一段目の第一棒状部材と平行に(前記ガイド手段における一つおきの辺に沿って)第三段目の複数の第一棒状部材を配置し、前記偶数角形の各頂点位置で重合した前記第二段目の第二棒状部材と前記第三段目の第一棒状部材を互いに接着する、といった作業を繰り返すことによって、第一棒状部材と第二棒状部材の積み重ね方向の投影形状が偶数角形をなす角筒状のかご型の家具を製作することができる。
【0007】
請求項2の発明に係る家具組立材料セットは、請求項1に記載された構成において、ガイド手段が偶数角形の底部と、その各辺から前記底部に対して垂直に立ち上がる側板部からなる有底の角筒状をなすものである。
【0008】
請求項3の発明に係る家具組立材料セットは、請求項2に記載された構成において、有底の角筒状のガイド手段が各側板部の上縁から延びて開閉可能な上蓋部を有し、この上蓋部は、前記側板部と同一平面をなすように起立させて、隣接する上蓋部同士を結合することによって偶数角筒状に組立可能となるものである。
【0009】
請求項4の発明に係る家具組立材料セットは、請求項2又は3に記載された構成において、有底の角筒状のガイド手段が所要数の第一棒状部材及び第二棒状部材を梱包可能なパッケージを兼ねるものである。
【0010】
請求項5の発明に係る家具組立材料セットは、請求項1〜4のいずれかに記載された構成において、第一棒状部材及び第二棒状部材が木製の角棒からなり、この角棒は断面が長方形状をなすものであって、接着面と直交する方向の幅が接着面の幅より相対的に小さいものである。
【0011】
請求項6の発明に係る家具組立材料セットは、請求項1〜5のいずれかに記載された構成において、第一棒状部材と第二棒状部材の長さが互いに異なるものである。
【0012】
請求項7の発明に係る家具は、偶数角形の一つおきの辺に沿って配置する複数本一組の複数組の第一棒状部材と、前記偶数角形の他の辺に沿って配置する複数本一組の複数組の第二棒状部材の長手方向両端部同士が、前記偶数角形の各頂点位置で交互に重合されて互いに接着された偶数角筒状のかご型をなすものである。
【発明の効果】
【0013】
請求項1の発明に係る家具組立材料セットによれば、複数の第一棒状部材と複数の第二棒状部材を、ガイド手段に沿って平面形状が偶数角形をなすように交互に積み重ねながら接着して行くことによって、偶数角筒状のかご型家具を製作することができる。そして第一棒状部材及び第二棒状部材を積み重ねる段数によって、用途に応じた種々のサイズの家具を製作することができる。
【0014】
請求項2の発明に係る家具組立材料セットによれば、ガイド手段が偶数角形の有底の角筒状をなすものであるため、第一棒状部材及び第二棒状部材を組み立てる際に、角筒状ガイド手段の側板部の内側面及び隅部によって第一棒状部材及び第二棒状部材の側面及び長手方向両端面が位置決めされるので、偶数角筒状のかご型家具を容易にかつ高精度に組み立てることができる。
【0015】
請求項3の発明に係る家具組立材料セットによれば、請求項2による効果に加え、ガイド手段の上蓋部を起立させた状態で偶数角筒状に結合することによって、ガイド手段の側板部の高さよりも積み重ねの高さが高いかご型家具を、容易にかつ高精度に組み立てることができる。
【0016】
請求項4の発明に係る家具組立材料セットによれば、所要数の第一棒状部材及び第二棒状部材を梱包するパッケージを請求項2又は請求項3における有底の角筒状のガイド手段として利用可能とすることによって、安価に提供することができる。
【0017】
請求項5の発明に係る家具組立材料セットによれば、請求項1〜4による効果に加え、出来上がった偶数角筒状のかご型家具を同じサイズで比較した場合、接着面と直交する方向の幅を接着面の幅より相対的に小さくすることで接着面積及び接着段数が相対的に増大するので、強度を高くすることができる。
【0018】
請求項6の発明に係る家具組立材料セットによれば、請求項1〜5による効果に加え、第一棒状部材及び第二棒状部材で組み立てられる家具の形状やサイズのバリエーションを増やすことができる。
【0019】
請求項7の発明に係る家具によれば、偶数角筒状のかご型をなすため、収納箱、整理棚、スツールなど種々の用途に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明に係る家具組立材料セットの第一形態におけるガイド手段と棒状部材を示す説明図である。
【図2】本発明に係る家具組立材料セットの第一形態による家具の組立において、ガイド手段に第一段目の棒状部材を設置した状態を示す説明図である。
【図3】本発明に係る家具組立材料セットの第一形態による家具の組立において、第一段目の棒状部材上に第二段目の棒状部材を重ねる工程を示す説明図である。
【図4】本発明に係る家具組立材料セットの第一形態による家具の組立において、棒状部材の接着工程を示す要部拡大図である。
【図5】本発明に係る家具組立材料セットの第一形態による家具の組立において、第一段目の棒状部材上に第二段目の棒状部材が接着された状態を示す説明図である。
【図6】本発明に係る家具組立材料セットの第一形態による家具の組立において、第二段目の棒状部材上に第三段目の棒状部材を重ねる工程を示す説明図である。
【図7】本発明に係る家具組立材料セットの第一形態による家具の組立において、第三段目の棒状部材に第四段目の棒状部材を重ねる工程を示す説明図である。
【図8】本発明に係る家具組立材料セットの第一形態による家具の組立において、第六段目まで組み立てられ、第七段目の棒状部材を重ねる工程を示す説明図である。
【図9】本発明に係る家具組立材料セットの第一形態によって組み立てられた家具の一例を示す斜視図である。
【図10】本発明に係る家具組立材料セットの第一形態によって組み立てられた家具を一段のみからなる整理棚に使用した例を示す斜視図である。
【図11】本発明に係る家具組立材料セットの第二形態におけるガイド手段と棒状部材を示す説明図である。
【図12】本発明に係る家具組立材料セットの第二形態によって組み立てられた家具の一例を示す斜視図である。
【図13】本発明に係る家具組立材料セットによって組み立てられた家具の配置例を示す斜視図である。
【図14】本発明に係る家具組立材料セットの第三形態におけるガイド手段と棒状部材を示す説明図である。
【図15】本発明に係る家具組立材料セットの第三形態において、パッケージの梱包を開いた状態を示す斜視図である。
【図16】本発明に係る家具組立材料セットの第三形態による家具の組立において、ガイド手段に第一段目の棒状部材を設置した状態を示す説明図である。
【図17】本発明に係る家具組立材料セットの第三形態による家具の組立において、第一段目の棒状部材上に第二段目の棒状部材が接着された状態を示す説明図である。
【図18】本発明に係る家具組立材料セットの第三形態による家具の組立において、第三段目の棒状部材に第四段目の棒状部材を重ねる工程を示す説明図である。
【図19】本発明に係る家具組立材料セットの第三形態による家具の組立において、ガイド手段の上蓋部を起立させて、偶数角筒状に組み立てた状態を示す説明図である。
【図20】本発明に係る家具組立材料セットの第三形態による家具の組立において、棒状部材をガイド手段の上蓋部以上の高さまで組み立てた状態を示す説明図である。
【図21】本発明に係る家具組立材料セットによって組み立てられた家具を二段形状の整理棚に使用した例を示す斜視図である。
【図22】本発明に係る家具組立材料セットによって組み立てられた家具を二段の整理棚に使用した他の例を示す斜視図である。
【図23】本発明に係る家具組立材料セットによって組み立てられた家具を多段の棚として使用した例を示す斜視図である。
【図24】本発明に係る家具組立材料セットによって組み立てられた家具を多段の棚として使用した他の例を示す斜視図である。
【図25】本発明に係る家具組立材料セットによって組み立てられた家具をスツールとして使用した他の例を示す斜視図である。
【図26】本発明に係る家具組立材料セットによる家具の組立の他の方法を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明に係る家具組立材料セットの好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。まず図1は、本発明に係る家具組立材料セットの第一形態におけるガイド手段と棒状部材を示す説明図、図2〜図8は、本発明に係る家具組立材料セットの第一形態による家具の組立の手順を示す説明図である。
【0022】
第一形態の家具組立材料セットは、図1に示すように、平面形状が正方形の台紙1と、この台紙1における互いに平行な二辺1a,1aに沿って配置する二本一組の複数組(図1では一組のみ示す)の第一棒状部材2と、台紙1における前記二辺1a,1aと直角かつ互いに平行な他の二辺1b,1bに沿って配置する二本一組の複数組(図1では一組のみ示す)の第二棒状部材3と、接着剤4とを備える。なお、正方形の台紙1は、請求項1に記載された偶数角形のガイド手段に相当し、その互いに平行な二辺1a,1aは請求項1に記載された一つおきの辺に相当し、互いに平行な他の二辺1b,1bは請求項1に記載された他の辺に相当するものである。
【0023】
台紙1は、例えば一辺が数十cmの正方形の厚紙からなるものであり、第一棒状部材2及び第二棒状部材3は無垢又は集成材などの木製の角棒からなるものである。第一棒状部材2及び第二棒状部材3の長さは台紙1の一辺(辺1a及び1b)の長さに等しく、その断面形状は長方形をなしている。すなわち第一棒状部材2と第二棒状部材3は同形同大である。これら第一棒状部材2及び第二棒状部材3による家具の組み立ては、以下のような手順で行われる。
【0024】
まず図2に示すように、台紙1の平行な二辺1aに沿って第一段目の二本の第一棒状部材2,2を配置する。詳しくは、各第一棒状部材2は、その長手方向へ延びる面のうち、幅の狭い二面の一方2aを前記辺1aに合わせると共に、幅の広い面2bが上下を向くように台紙1上に設置する。
【0025】
次に図3に示すように、第一段目の二本の第一棒状部材2,2の長手方向両端上に架け渡すように、台紙1における他の二辺1b,1bに沿って第二段目の二本の第二棒状部材3,3を配置する。詳しくは、各第二棒状部材3は、その長手方向へ延びる面のうち、幅の狭い二面の一方3aを前記辺1bに合わせると共に、幅の広い面3bが上下を向くようにする。またこのとき、図4に示すように、第一棒状部材2の上面(面2b)の両端部、又はこれに対向する第二棒状部材3の下面(面3b)の両端部に、予め接着剤4を塗布しておく。なお、その塗布面は、第一棒状部材2の端部と第二棒状部材3の端部との重ね代に相当するものである。
【0026】
このようにすることによって、図5に示すように、正方形の台紙1の各頂点1c上で重合した第一段目の第一棒状部材2,2と第二段目の第二棒状部材3,3の端部同士が、接着剤4の層の経時的な硬化によって互いに接着される。
【0027】
次に図6に示すように、第二段目の二本の第二棒状部材3,3の長手方向両端上に架け渡すように、第一段目の第一棒状部材2,2と平行に、すなわち台紙1の辺1aに沿って、第三段目の二本の第一棒状部材2,2を配置する。詳しくは、第三段目の各第一棒状部材2は、その長手方向へ延びる面のうち、幅の狭い二面の一方2aを前記辺1a又は第一段目の第一棒状部材2の外側面2aに合わせると共に、幅の広い面2bが上下を向くようにする。また、先に説明した図4と同様にして、第二段目の第二棒状部材3の上面の両端部、又はこれに対向する第三段目の第一棒状部材2の下面の両端部に、予め接着剤を塗布しておく。
【0028】
このようにすることによって、図7に示すように、正方形の台紙1の各頂点1c上で重合した第二段目の第二棒状部材3,3と第三段目の第一棒状部材2,2との端部同士が互いに接着される。
【0029】
そして上述のような作業を繰り返すことによって、図8に、第六段目まで組み立てて第七段目の第一棒状部材2,2を重ねる工程を示すように、第一棒状部材2,2と第二棒状部材3,3を順次重ねてその端部同士を接着して行く。
【0030】
そして、第一棒状部材2と第二棒状部材3の接合面間に介在する接着剤が経時的に硬化して接着力を発現することによって、図9に示すように、第一棒状部材2と第二棒状部材3の積み重ね方向の投影形状が正方形の角筒状のかご型の家具10が完成する。なお、不要になった台紙1は紙製であるため、容易に破棄することができる。
【0031】
この家具10はそのまま床面上などに設置することで、本や玩具、小物などの収納箱として使用することができ、角筒状のかご型をなすことから、何が収納されているかわかりやすいものとなっている。
【0032】
先に説明したように、第一棒状部材2及び第二棒状部材3は断面形状が長方形をなしていて、相対的に幅の広い面2b,3b同士で接着されるため、図4に点々を付して示される接着面の面積を比較的大きく取ることができるのに加え、肉厚の小さい方向へ重合されるため、接着段数も多いものとなる。したがって、家具10は、多数の第一棒状部材2からなる簀状壁面10a又は多数の第二棒状部材3からなる簀状壁面10bが上面又は下面となるように(正方形状の開口が水平方向を向くように)設置した状態において、鉛直荷重や水平剪断力が作用したときの第一棒状部材2と第二棒状部材3の接合強度が大きいものとなる。
【0033】
図10は、家具10を一段のみからなる整理棚に、ガラス製の棚板20の支持手段として使用した例を示すものである。この例による整理棚は、二台の家具10を左右に適当に離して並べると共に、正方形状の開口が正面(水平方向)を向くように設置し、その上に棚板20を架設したもので、家具10内の空間S1や、家具10,10間の空間S2も整理・収納空間として利用することができる。
【0034】
次に図11は、本発明に係る家具組立材料セットの第二形態におけるガイド手段と棒状部材を示す説明図である。
【0035】
この第二形態は、第一棒状部材2と第二棒状部材3の長さが互いに異なるものである点で、上述した第一形態と相違するものである。図示の例では、台紙1は、平行な二辺1a,1aが他の平行な二辺1b,1bの1/2の長さで、辺1bは図1に示す第一形態による台紙1の辺1a,1bと同じ長さとなっている。また、したがって第一棒状部材2は第二棒状部材3の1/2の長さで、第二棒状部材3は図1に示す第一形態による第一棒状部材2及び第二棒状部材3と同じ長さとなっている。
【0036】
第二形態においても、その組立手順は第一形態と同様であり、これによって、図12に示すように、第一棒状部材2と第二棒状部材3の積み重ね方向の投影形状が長方形の角筒状のかご型の家具10’が組み立てられる。
【0037】
そして図13に示すように、この第二形態により組み立てられた家具10’は、横長の状態(短い第一棒状部材2が鉛直に立つ状態)で二台重ねた場合、その高さは第一形態により組み立てられた図9の家具10と同じになる。
【0038】
また、組み立てる際に使用するガイド手段として台紙1の代わりに例えば薄い合板などを用いても良く、この場合は図2に示す第一段目の第一棒状部材2,2を配置する工程において、この第一棒状部材2,2の下面をガイド手段としての前記合板に接着剤で接着しても良い。このようにすれば、組み立てられる家具10は有底のかご状とすることができ、図10や、後述の図21〜図25に示す例のように使用する場合、水平剪断力に対する強度も著しく増大することができる。
【0039】
次に図14は、本発明に係る家具組立材料セットの第三形態におけるガイド手段と棒状部材を示す説明図、図15は、第三形態において、パッケージの梱包を開いた状態を示す斜視図、図16〜図20は、第三形態による家具の組立の手順を示す説明図である。
【0040】
第三形態の家具組立材料セットは、図14に示すように、ガイド手段として、平面形状が、一辺が数十cmの正方形をなすように互いに重合した下蓋部からなる底部51と、その各辺から前記底部51に対して垂直に立ち上がる四枚の側板部52を有する有底四角筒状(直方体の箱状)のガイド枠5を用いている点で、上述した第一形態及び第二形態と相違するものである。またこのガイド枠5は、各側板部52の上縁をヒンジとして開閉可能に延びる四枚の上蓋部53を有する。
【0041】
すなわち第三形態の家具組立材料セットは、上述したガイド枠5と、このガイド枠5の底部51における互いに平行な二辺51a(図14では一辺のみ示す)の内法、言い換えればこの辺51aから立ち上がる側板部52の内側面52aに沿って配置する二本一組の複数組(図14では一組のみ示す)の第一棒状部材2と、前記二辺51aと直角かつ互いに平行な他の二辺51b(図14では一辺のみ示す)の内法、言い換えればこの辺51bから立ち上がる側板部52の内側面52bに沿って配置する二本一組の複数組(図14では一組のみ示す)の第二棒状部材3と、接着剤4と、互いに隣接する上蓋部53,53同士を互いに結合するための粘着テープ6を備える。なお、互いに平行な二辺51aは請求項1に記載された一つおきの辺に相当し、互いに平行な他の二辺51bは請求項1に記載された他の辺に相当するものである。
【0042】
ガイド枠5は、例えば図15に示すように、先に説明した図9のかご型の家具10を製作するための所要数の第一棒状部材2及び第二棒状部材3を詰めて梱包可能な段ボール製の直方体状のパッケージからなるものである。
【0043】
第一棒状部材2及び第二棒状部材3は無垢又は集成材などの木製の角棒からなるものであって、その長さはガイド枠5における底部51の一辺(辺51a,51b)の内法の長さ、言い換えれば側板部52の内側面52a,52bの横方向の内法の長さに等しく、その断面形状は長方形をなしている。すなわち第一棒状部材2と第二棒状部材3は同形同大である。これら第一棒状部材2及び第二棒状部材3による家具の組み立ては、以下のような手順で行われる。
【0044】
まず図15に示すように、ガイド枠5を兼ねる段ボール製のパッケージによる梱包を解いてその上蓋部53を開き、中から第一棒状部材2及び第二棒状部材3(この例では第一棒状部材2と第二棒状部材3は同じものである)をすべて取り出し、図16に示すように、空の状態になったガイド枠5の底部51における平行な二辺(側板部52の内側面52a)に沿って第一段目の二本の第一棒状部材2(図16では一本のみ示す)を配置する。詳しくは、各第一棒状部材2は、その長手方向へ延びる面のうち、幅の狭い二面の一方を前記辺(内側面52a)に合わせると共に、幅の広い面2bが上下を向くように、ガイド枠5の底部51上に設置する。このとき、第一棒状部材2の長手方向両端は、互いに直角をなして隣接する側板部52,52間の隅部52cによって位置決めされることになる。
【0045】
次に図17に示すように、第一段目の二本の第一棒状部材2の長手方向両端上に架け渡すように、ガイド枠5の底部51における平行な他の二辺51b(側板部52の内側面52b)に沿って第二段目の二本の第二棒状部材3(図17では一本のみ示す)を配置する。詳しくは、各第二棒状部材3は、その長手方向へ延びる面のうち、幅の狭い二面の一方を前記辺51b(内側面52b)に合わせると共に、幅の広い面3bが上下を向くようにする。そしてこの場合も、第二棒状部材3の長手方向両端は、ガイド枠5の隅部52cによって位置決めされることになる。
【0046】
またこのとき、先に説明した図4に示すように、第一棒状部材2の上面(面2b)の両端部、又はこれに対向する第二棒状部材3の下面(面3b)の両端部に、予め接着剤4を塗布しておく。なお、その塗布面は、第一棒状部材2の端部と第二棒状部材3の端部との重ね代に相当するものである。そしてこのようにすることによって、ガイド枠5の正方形の底部51の各頂点51c(図14参照)上で重合した第一段目の第一棒状部材2と第二段目の第二棒状部材3の端部同士が、接着剤4の層の経時的な硬化によって互いに接着される。
【0047】
そして上述のような作業を繰り返すことによって、図18に、第三段目まで組み立てて第四段目の第二棒状部材3,3を重ねる工程を示すように、第一棒状部材2,2と第二棒状部材3,3を順次重ねてその端部同士を接着して行く。
【0048】
また、第一棒状部材2,2と第二棒状部材3,3の組立高さがガイド枠5の側板部52の高さhを超える場合には、図19に示すように、ガイド枠5の四枚の上蓋部53を、各側板部52と同一平面をなすように起立させると共に、互いに隣接する上蓋部53,53同士を、粘着テープ6を介して互いに結合することによって、ガイド枠5の高さをhに延長することができる。
【0049】
したがって、第一棒状部材2,2又は第二棒状部材3,3を既設の棒状部材の長手方向両端上に架け渡すように配置する際に、その側面をガイド枠5の上蓋部53の内側面53a又は53bに合わせると共に、互いに直角をなして隣接する前記内側面53a,53bの間の隅部53cによって長手方向両端が位置決めすることができる。図20は、第一棒状部材2及び第二棒状部材3を、上蓋部53の起立高さより高い位置まで組み立てた状態を示している。
【0050】
そして上述した一連の作業では、第一棒状部材2及び第二棒状部材3の組立高さが低いうちは、図16〜図18のように上蓋部53を外側へ開いた状態にしておくことで、ガイド枠5は底の浅い箱状となるため、ガイド枠5内への第一及び第二棒状部材2,3の位置決め設置作業を容易に行うことができ、組立高さがガイド枠5の側板部52の高さhを超えてからは、図19及び図20に示すように、ガイド枠5の上蓋部53を、起立させて互いに結合することによって、組立高さがガイド枠5の側板部52の高さhより高いかご型の家具を容易に、かつ高精度に組み立てることができるのである。
【0051】
なお、組み立てが完了したら、ガイド枠5を除去すれば、先に説明した図9のようなかご型の家具10(第一棒状部材2と第二棒状部材3の長さが異なる場合は、図12のような家具10’)を取り出すことができる。また、ガイド枠5は段ボール製であるため、除去後は資源ごみとしてリサイクルに供することができる。
【0052】
そしてこの第三の形態についても、ガイド枠5をその平面形状が長方形状をなすものとして、第一棒状部材2と第二棒状部材3の長さをガイド枠5の底部における互いに平行な二辺と他の二辺の長さに対応するものとすれば、先に第二の形態で説明した図12のように、第一棒状部材2と第二棒状部材3の積み重ね方向の投影形状が長方形の角筒状のかご型の家具10’を組み立てることができる。
【0053】
図21及び図22は、図9の家具10と図12の家具10’を二段構造の整理棚に用いた例を示すものである。このうち図21に示す整理棚は、左右に適当に離して並べると共に正方形状の開口が正面(水平方向)を向くように設置した二台の家具10の上に第一段目の棚板20を架設し、この棚板20の上に、家具10’を横長にした状態で左右に適当に離して並べると共に長方形状の開口が正面(水平方向)を向くように設置し、その上に第二段目の棚板20を架設したものである。また、図22に示す整理棚は、第一段目の棚板20の上に、第二形態により組み立てられた家具10’を縦長にした状態で左右に適当に離して並べると共に長方形状の開口が正面(水平方向)を向くように設置し、その上に第二段目の棚板20を架設したものである。
【0054】
そして図21及び図22に例示した整理棚の場合も図10の例と同様、家具10内及び家具10’内の空間や、家具10,10間及び家具10’,10’の空間も整理・収納空間として利用することができる。
【0055】
図23は、図9の家具10と図12の家具10’をそれぞれ縦に二台ずつ重ねて、多段の棚として利用した例を示すものである。また図24は、図9の家具10と図12の家具10’を階段状になるように組み合わせて設置したものである。このように、種々の組み合わせが可能である。
【0056】
さらに図25は、図9の家具10をスツールとして利用した例を示すもので、参照符号30はクッションである。先に説明したように、組み立てられた家具10は、第一棒状部材2と第二棒状部材3の接着面積が大きく、接着段数も多くできるので、鉛直荷重や水平剪断力に対して高い強度を確保することができ、したがって図25のようにスツールとして利用することも可能である。
【0057】
また、先に説明した図2〜図4に示すような方法、あるいは図17に示すような方法で、図26に示すように、第一棒状部材2,2と第二棒状部材3,3からなる正方形の枠状物を複数個組み立て、所要の接着強度が発現されたら、これを重ねて接着することによっても、図9に示す家具10あるいは図12に示す家具10’を高精度に製作することができる。
【0058】
なお、上述した各実施の形態では、台紙1あるいはガイド枠5(ガイド手段)の平面形状が正方形又は長方形をなし、四角筒状のかご型に組み立てるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばガイド手段の平面形状が六角形をなし、第一棒状部材2及び第二棒状部材3をそれぞれ三本一組として六角筒状のかご型に組み立てるものなども実施可能である。
【符号の説明】
【0059】
1 台紙(ガイド手段)
1a,1b,51a,51b 辺
1c,51c 頂点
2 第一棒状部材
3 第二棒状部材
4 接着剤
5 ガイド枠(ガイド手段)
51 底部
52 側板部
52c 隅部
53 上蓋部
6 粘着テープ(結合手段)
10,10’ 家具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
平面形状が偶数角形のガイド手段と、このガイド手段における一つおきの辺と同じ長さであって前記一つおきの辺に沿って配置する複数本一組の複数組の第一棒状部材と、前記ガイド手段における他の辺と同じ長さであって前記他の辺に沿って配置する複数本一組の複数組の第二棒状部材を備え、前記第一棒状部材と第二棒状部材が前記偶数角形の各頂点位置で重合されて互いに接着されることを特徴とする家具組立材料セット。
【請求項2】
ガイド手段が偶数角形の底部と、その各辺から前記底部に対して垂直に立ち上がる側板部からなる有底の角筒状をなすことを特徴とする請求項1に記載の家具組立材料セット。
【請求項3】
有底の角筒状のガイド手段が各側板部の上縁から延びて開閉可能な上蓋部を有し、この上蓋部は、前記側板部と同一平面をなすように起立させて、隣接する上蓋部同士を結合することによって偶数角筒状に組立可能となることを特徴とする請求項2に記載の家具組立材料セット。
【請求項4】
有底の角筒状のガイド手段が所要数の第一棒状部材及び第二棒状部材を梱包可能なパッケージを兼ねることを特徴とする請求項2又は3に記載の家具組立材料セット。
【請求項5】
第一棒状部材及び第二棒状部材が木製の角棒からなり、この角棒は断面が長方形状をなすものであって、接着面と直交する方向の幅が接着面の幅より相対的に小さいことを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の家具組立材料セット。
【請求項6】
第一棒状部材と第二棒状部材の長さが互いに異なることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の家具組立材料セット。
【請求項7】
偶数角形の一つおきの辺に沿って配置する複数本一組の複数組の第一棒状部材と、前記偶数角形の他の辺に沿って配置する複数本一組の複数組の第二棒状部材の長手方向両端部同士が、前記偶数角形の各頂点位置で交互に重合されて互いに接着された偶数角筒状のかご型をなすことを特徴とする家具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【公開番号】特開2012−130525(P2012−130525A)
【公開日】平成24年7月12日(2012.7.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−285295(P2010−285295)
【出願日】平成22年12月22日(2010.12.22)
【出願人】(500297971)株式会社センプレデザイン (3)
【Fターム(参考)】