説明

家具

少なくとも1つの引出しおよび/または扉を備え、その前面カバー(3)に、少なくとも1つの照明具(6)を取り付けられているハンドル要素(4)が設けられている家具(1)が開示されている。制御装置(21,25,26)を用いて切り換えられることのできるこの少なくとも1つの照明具(6)は、引出しまたは扉が閉じられている場合にハンドル要素(4)の領域内で外方に照らす一方で、引出しの内部(5)または扉に隣接した内部が、引出しの開位置で少なくとも1つの照明具(7)を用いて照らされるので、たとえ不十分な光条件下であっても内部を明確に見ることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、少なくとも1つの引出しおよび/または扉を備え、その前面パネルに、制御装置を用いて切り換えられることのできる少なくとも1つの照明手段を有するハンドル要素が設けられており、この少なくとも1つの照明手段は、引出しまたは扉が閉じられている場合にハンドル要素の領域内で外方に照らしている、家具に関する。
【背景技術】
【0002】
独国特許第29914083号は、照明手段を備えたハンドルが引出しの前面パネルに設けられている家具を開示している。これによって、暗い環境においてでもハンドルが見えるようになる、すなわち、これによって取り扱いが簡単になり、さらに視覚的に魅力的な効果をもたらす。しかし、まさに暗い環境において、堆積した物品を含むインテリアは、引出しを開けた後、通常、見えにくくなる。
【0003】
独国特許第102 36 211号は、種々の前部および縁部が照明されるように構成されている台所器具を開示しており、これは、特に視覚的に魅力的な外観を与えることを目的とする。たとえばフラップまたは引出しなどの家具の部品の動きと連動した、使用される照明手段の意図的な切り換えは、独国特許第10236211号には開示されていない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
したがって、本発明の目的は、引出しまたは扉が暗い光条件でさえ取り扱いが簡単な家具を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、請求項1の特徴を有する家具によって達成される。
【0006】
本発明によると、家具に設けられているのは、ハンドル要素の領域にある照明手段と、これを用いて引出しの内部または扉に隣接した内部が、引出しの開位置で少なくとも1つの照明手段によって照らされる少なくとも1つの照明手段との両方である。このことによって、ユーザが容易に引出しまたは家具に格納された物品をつかみ、引出しまたは扉を開けた後で内部をはっきりと見ることができるようになる。
【0007】
好ましくは、内部を照らすための照明手段が、引出しまたは扉が開いている間はスイッチを入れることができ、閉じられている間はスイッチを切ることができる。このことによって、引出しが開いている場合にのみ内部が照らされなければならないので、必要とされるエネルギ量を最小限にまで低減することができるようになる。この場合、ハンドル要素の外側にある照明手段が開位置でスイッチを切られるような方法で、回路が任意選択的に制御されることができる。このことによって、開位置が簡単にはっきりと視認できるようになる。
【0008】
本発明の好ましい一実施形態によると、第1の照明手段がハンドル要素に配置され、第2の照明手段が引出しの内部に配置されている。この場合、照明手段は両方ともハンドル要素に配置されることができ、第1の照明手段は外方を照らし、第2の照明手段は内部を照らすために設けられている。明らかに、内部を照らすための照明手段は、引出しの側壁に、または異なる位置に設けられてもよい。しかし、両方の照明手段がハンドル要素に近接して配置される場合には、配線は最適に簡略化されている。
【0009】
低いエネルギ消費で引出しを良好に照らすために、照明手段は、LEDストリップを備えることができる。
【0010】
好ましくは、制御装置は、それに応じて照明手段を切り換えることができるために、閉位置を検出するためのリミットスイッチを有する。照明手段は、家具に配置されているエネルギ蓄積装置を用いるか、ついで引出しにつながる配線を用いるかのどちらかで、電気的に電力を供給されることができ、滑り接触、ケーブルループ、または他の適当な手段を介して、電気的な電力の供給が行われることが可能である。
【0011】
制御装置はまた、タイミング回路を備えていてもよく、これを用いて、内部を照らすための照明手段が、所定の期間後にスイッチを切られることができる。このことによって、特に、家具に設けられている照明手段を自由に制御することができるようになる。
【0012】
好ましくは、外方に向けられた照明手段は、異なる信号状態または表示の信号を送るために、制御装置を用いて切り換えられることができる。特に、フラップまたは引出しの閉止状態に関する表示手段の情報として、および/または周囲に関する情報のアイテムとして信号を送るべく、照明手段は異なる色で照らすことができる。
【0013】
本発明を、例示的実施形態に基づき、添付の図面を参照しつつ、以下により詳細に記載する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
家具1は、家具本体2と複数の引出しとを備え、上下に配置されている複数の引出しは、家具本体2に移動可能に収容され、ハンドル要素4が固定されている前面パネル3を有する。引出しはハンドル要素4を引き出すことによって開口されることができるので、引出しの内部5が外側から接近できるようになる。本発明を、前面パネル3を有する引出しに基づいて概略的に記載することとするが、ここでは、引出しの代わりに、対応するハンドル要素4を有する回転可能な扉を提供することが当然ながら可能である。したがって、設けられている前面カバーは、フラップ、旋回扉、折たたみ戸、引き戸などの形であってもよい
【0015】
照明ストリップ6が、ハンドル要素4の幅全体にわたって延びており、ハンドル要素4上で外側に向かって設けられている。制御装置(図示せず)を用いて切り換え可能であるさらなる照明ストリップ7がまた、ハンドル要素4上で内部5に向かう側に設けられている。この場合、開いている間、引出しが閉位置にあるかどうかを検出するために、引出しは、スイッチ、たとえばリミットスイッチを起動させることができる。引出しが閉位置から移動することになると、矢印8で象徴的に図示されているように、制御装置が引出しの内部5を照明手段7を用いて照らすことが可能になる。このことによって、引出しが開いた後、内部5が明らかに見えることになり、すなわちこのことは、特に、不十分な光条件での利点となる。
【0016】
図4に示されているように、光ストリップ7もまた、ハンドル要素4の幅全体にわたり延びており、光ストリップ7はLED照明から構成されるストリップを有しており、その結果、内部5の照明が保証される。光を導くためにレンズまたは拡散器が設けられることができるので、光ストリップ7がユーザの目をくらませることはない。
【0017】
図5は、引出しの前面パネル3に固締されているハンドル要素の詳細図である。ハンドル要素4は、スロット11を備えており、この底部には、透過性プラスチック材料の輪郭15に光を放射するLEDストリップ13が配置されている。プラスチック材料要素15は、係止手段12を使用してスロット11に係止されることのできる溝10を有する。LEDストリップ13からの光は、プラスチック材料要素15を通って分配され、このプラスチック材料要素は、不十分な光条件下であっても、外側から明確に見ることができる。
【0018】
反対側には、ハンドル要素4は、さらなるLEDストリップ14が取り付けられているストリップ状の穴16を有する。このLEDストリップ14は、光を導くための透明カバーを備えていてもよい。
【0019】
光ストリップ6および7は、上に接合された金属箔に滑り接触することによって、ケーブルループ、あるいは、引出し3または家具本体2に取り付けられているエネルギ蓄積装置によって、電力を供給されることができる。
【0020】
図示されている例示的実施形態では、ハンドル要素4が反対方向に放射する照明手段6および照明手段7を両側に有するような方法で、ハンドル要素4が前面パネル3に配置されている。たとえば象徴的に部品または他の要素を示す参照機能を有することもできる他のハンドル形状を、引出しに配置することもまた、当然ながら可能である。引出しの内領域において、内部5を照らすために、光ストリップ7がハンドル要素4から離間して配置されることもできる。たとえば、対応する光ストリップは、引出しの対向する側壁に設けられることができる。
【0021】
制御装置はまた、タイマスイッチを有することができるので、光ストリップ6または7は、所定の期間後にスイッチを入れたり切ったりすることができる。さらに、点滅によって、または、異なる色のLEDを用いて、特定の照明効果が達成されることができる。
【0022】
引出しが閉位置にある場合、単に前面パネル3の外側にある照明手段6だけが点灯する。引出しが開けられると、照明手段7がスイッチを入れられるので、引出しの内部5が照らされる。引出しが閉じられると、位置がリミットスイッチを用いて検出されることができ、照明手段7がそれに応じて再びスイッチを切られる。
【0023】
図6は、家具1のための制御装置21の回路図である。照明手段6および7のための制御装置21は、スイッチ20、または、レーザまたは赤外線に基づく距離計を備え、これによって、一方の照明手段6、7が消えて、前面パネル3が移動する間に他方の照明手段6、7が作動し始める。この場合、スイッチ20は、前面パネルの移動によって自動的に、あるいは手動で、切り換えられることが可能である。
【0024】
図7は、照明手段6および7を作動させるための制御装置21が前面パネル3に設けられている回路図である。引出しが閉じられると、外方に向けられた照明手段6および蓄積要素(たとえば充電式バッテリまたは非充電式バッテリ)が、回線を用いて電力を供給される。引出しが開口する間、接触23および24が隔離され、蓄積要素(充電式バッテリまたは非充電式バッテリ)によって内側光7だけがなお、電力を供給される。この場合、接触23および24は、滑り接触またはソケットを備えたプラグとして構成されることができる。
【0025】
図8は、照明手段6および7のための制御装置25を備えた回路図であり、制御装置25は動作センサを備えているので、引出しの作動時には、制御装置25が照明手段6、7を意図的にオン/オフに切り換える。
【0026】
図9は、制御装置26を備えた回路図を提供しており、ハンドル要素の作動/接触で、内側の照明手段7が作動し始め、外側の照明手段6が消えるような方法で、たとえばハンドル要素のセンサなど前面パネル3の外側にあるスイッチ27が設計されている。
【0027】
上述の例に示されている制御装置21、25、26は、光がオン/オフに調光され、照明手段7が定められた時間後に内側でスイッチを切られるような方法で、設計することができる。さらに、制御装置21、25、26は、必要に応じて、引出しの閉位置を検出するために、切り換えスイッチ、距離計、動作センサおよび/または容量性スイッチを有することができる。
【0028】
図10は、本発明のさらなる一実施形態を示しており、ここでは、水平軸を中心として旋回可能なフラップ3’が家具1’としてのキッチンユニットに配置されている。フラップ3’は、LEDストリップ、バックグラウンドの照射またはその他として構成されることのできる照明手段6’が外方を照らしている、突出するハンドルストリップ4’を有する。フラップ3’が開くと、内部5’およびその下の作業台30に設置されている作業領域を照らす照明手段7’もまた、設けられている。
【0029】
使用される照明手段は、照明手段の構成が異なっていてもよく、前面パネルの縁部全体を検出する必要はないので、設計者には創造的自由の余地があり得る。
【0030】
本発明によるハンドル要素は、さらなる接合部のないパネルおよび家具の要素のために使用されることができるだけではなく、冷蔵庫、食器洗い機、ビルトインオーブンなどのためにも使用されることができる。これらもまた、応用分野という意味において、「家具」としてみなされるべきである、というのは、これらは器具としてのその機能に加えて、通常、厨房用家具に一体化されているものであるからである。このタイプの前部の主要な部分または前部の頂部は、たいてい、いかなるスイッチ要素または信号要素をも有していない。
【0031】
さらに、照明手段が異なる色の信号状態を外方に表示することが可能である。その結果、信号状態が、ユーザへのメッセージとして情報線を用いて視認できるようになる。したがって、たとえば、赤色は、ボルト締めにされた引出しまたは扉のために使用されることができ、黄色は、たとえば「フラップまたは冷蔵庫の扉が開いている」など警報メッセージとして使用されることができ、緑色は「食器洗い機が完了した」としてなど、使用することができる。
【0032】
さらに、照明手段は、特に、建築物の閉止システム、家具、冷蔵庫などにおいて、接近許可を表示するために使用されることができ、赤=ロック、緑=許可、などが認可されていないユーザまたは認可されているユーザ用に使用されることができる。
【0033】
さらに、照明手段は、地震のリスクがある領域における地震制限のために、ハンドル要素に状態の表示を出すのに使用されることができる。地震制限の場合に、閉止システムは、フラップ、引出し、または冷蔵庫など装置を自動的にボルト締めにすることができ、そして、ハンドル表示にカラー「赤」を点灯することができる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明による家具の例示的実施形態の斜視図である。
【図2】開いている引出しを備えた家具の詳細な斜視図である。
【図3】図1による家具のハンドル要素の斜視図である。
【図4】図1による家具のハンドル要素の斜視図である。
【図5】図1による家具のハンドル要素の詳細図である。
【図6】家具のための制御装置に関する種々のブロック図である。
【図7】家具のための制御装置に関する種々のブロック図である。
【図8】家具のための制御装置に関する種々のブロック図である。
【図9】家具のための制御装置に関する種々のブロック図である。
【図10】さらなる例示的実施形態の斜視図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの引出しおよび/または扉を備え、前面パネル(3)に、制御装置(21,25,26)を用いて切り換えられる少なくとも1つの照明手段(6)を有するハンドル要素(4)が設けられており、前記少なくとも1つの照明手段(6)が、前記引出しまたは前記扉が閉じられている場合に、前記ハンドル要素(4)の領域内で外方に照らす、家具(1)において、
前記引出しの内部(5)または前記扉に隣接した内部が、前記引出しの開位置にて、少なくとも1つの照明手段(7)を用いて照らされることを特徴とする、家具。
【請求項2】
前記内部(5)を照らすための前記照明手段(7)が、前記引出しまたは前記扉が開いている間はスイッチを入れられることができ、閉じられている間は前記制御装置を用いてスイッチを切られることができることを特徴とする、請求項1に記載の家具。
【請求項3】
前記ハンドル要素(4)の外側にある前記照明手段(6)が、前記開位置でスイッチを切られることを特徴とする、請求項1または2に記載の家具。
【請求項4】
第1の照明手段(6)が前記ハンドル要素(4)に配置され、第2の照明手段(7)が前記引出しまたは前記扉の内部に配置されていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の家具。
【請求項5】
前記第1の照明手段(6)および前記第2の照明手段(7)が両方とも、前記ハンドル要素(4)に配置されていることを特徴とする、請求項4に記載の家具。
【請求項6】
前記照明手段(6,7)が、LEDストリップ(13,14)を備えることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の家具。
【請求項7】
前記制御装置が、前記引出しまたは前記扉の前記閉位置を検出するためのリミットスイッチを有することを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の家具。
【請求項8】
エネルギ蓄積装置が前記照明手段(6、7)に電気的に電力を供給するために設けられていることを特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載の家具。
【請求項9】
前記制御装置がタイミング回路を備えており、前記タイミング回路を用いて、前記内部(5)を照らすための前記照明手段(7)が、所定の期間後にスイッチを切られることを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の家具。
【請求項10】
前記制御装置が、前記引出しの前記閉位置を検出するために、切り換えスイッチ、距離計、動作センサおよび/または容量性スイッチを有することを特徴とする、請求項1〜9のいずれか一項に記載の家具。
【請求項11】
前記扉が、回転可能なフラップ(3’)として構成され、照明手段(7’)が前記フラップ(3’)の下の作業領域のうちの少なくとも一部分を照らすことを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の家具。
【請求項12】
外方に向けられた前記照明手段(6)が、異なる信号状態または表示の信号を送るために、制御装置を用いて切り換えられることができることを特徴とする、請求項1〜11のいずれか一項に記載の家具。
【請求項13】
閉止状態に関する表示手段の情報として、および/または、周囲に関する情報のアイテムとして信号を送るべく、前記外方に向けられた照明手段(6)が異なる色で照らすことができることを特徴とする、請求項1〜12のいずれか一項に記載の家具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2009−535138(P2009−535138A)
【公表日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−508281(P2009−508281)
【出願日】平成19年4月2日(2007.4.2)
【国際出願番号】PCT/EP2007/053173
【国際公開番号】WO2007/128627
【国際公開日】平成19年11月15日(2007.11.15)
【出願人】(508310610)ヘティッヒ ストロースマン ゲーエムベーハー ウント ツェーオー. カーゲー (1)
【Fターム(参考)】