説明

家庭用薄葉紙収納容器

【課題】取出口からの取り出し易さを向上させるとともに、1枚ずつ取り出すことを容易にした家庭用薄葉紙収納容器を提供する。
【解決手段】家庭用薄葉紙Pが積層された薄葉紙積層体200を内側の収納空間部40に収納する容器本体1を備える家庭用薄葉紙収納容器100であって、容器本体1の上面部10には、収納空間部40から家庭用薄葉紙Pを取り出す取出口11が形成されるとともに、取出口11の周縁部から収納空間部40に向かって突出した突出部12a、12bが形成され、容器本体1の底部30には、薄葉紙積層体200を上向きに付勢する付勢部材31、32が備えられ、付勢部材31、32により上向きに付勢された薄葉紙積層体200により突出部12a、12bが押圧された場合でも、薄葉紙積層体200と取出口11との距離が所定の間隔に保たれている

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用薄葉紙を収納する家庭用薄葉紙収納容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ティシューやウェットティシューなどの家庭用薄葉紙が積層された薄葉紙積層体を内部に収納する家庭用薄葉紙収納容器が知られている。一般に、このような家庭用薄葉紙収納容器は、上面に家庭用薄葉紙の取出口を備え、家庭用薄葉紙は、使用される際に取出口から一枚ずつ引き出されるようになっている。
【0003】
上記の家庭用薄葉紙収納容器では、家庭用薄葉紙の残量が少なくなった場合に取出口と次の家庭用薄葉紙との間の距離が長くなるため、家庭用薄葉紙を取出口から取り出した際に次の家庭用薄葉紙の先端部が取出口から内部に落ち込む等、取り出し時に不具合が発生することがあった。
【0004】
そこで、取出口からの取り出し易さを向上させたものとして、例えば、容器本体の底部に薄葉紙積層体の中央部を上方側に向けて付勢する部材を設けるとともに、容器本体の上部に薄葉紙積層体の両端部を下方側に向けて付勢する部材を設けることで、家庭用薄葉紙の残量が少なくなった場合でも家庭用薄葉紙を取出口付近に保持させる技術が開示されている(特許文献1参照)。
また、容器本体の側面部及び底部に家庭用薄葉紙を取出口側に向けて付勢する部材を設けることで、家庭用薄葉紙の残量が少なくなった場合でも家庭用薄葉紙を取出口付近に保持させる技術が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011−11805号公報
【特許文献2】特開2011−16575号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上記特許文献1及び特許文献2記載の技術は、いずれも薄葉紙積層体の中央部を上方側(取出口側)に向けて付勢するものであり、薄葉紙積層体の中央部が付勢された結果、薄葉紙積層体の家庭用薄葉紙の枚数が比較的多い場合には、取出口と次の家庭用薄葉紙との間の距離が短くなりすぎるため、家庭用薄葉紙を取り出す際に複数枚の家庭用薄葉紙を摘まみ易い状況が生じてしまい、家庭用薄葉紙を1枚ずつ取り出すことが困難であった。
【0007】
本発明は、薄葉紙積層体の家庭用薄葉紙の枚数に関係なく、取出口からの取り出し易さを一定に保つことができる家庭用薄葉紙収納容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、上記目的を達成するためになされたものであり、家庭用薄葉紙が積層された薄葉紙積層体を内側の収納空間部に収納する容器本体を備える家庭用薄葉紙収納容器であって、
前記容器本体の上面部には、前記収納空間部から前記家庭用薄葉紙を取り出す取出口が形成されるとともに、前記取出口の周縁部から前記収納空間部に向かって突出した突出部が形成され、
前記容器本体の底部には、前記薄葉紙積層体を上向きに付勢する付勢部材が備えられ、
前記付勢部材により上向きに付勢された前記薄葉紙積層体により前記突出部が押圧された場合でも、前記薄葉紙積層体と前記取出口との距離が所定の間隔に保たれていることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、前記付勢部材は、
前記薄葉紙積層体の対向する両端部を上向きに付勢することを特徴とする。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、前記付勢部材は、
上向きに付勢力を有する伸縮可能な空気溜めと、一端が底部に固着され、他端が空気溜めの先端に固着された板状部材と、を備えることを特徴とする。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3のいずれか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器において、前記付勢部材は、
前記突出部と対向する位置に備えられることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、家庭用薄葉紙の残量に関係なく、取出口と、収納空間部内の一番上の家庭用薄葉紙との距離を一定にすることができるため、家庭用薄葉紙が取出口から内部に落ち込むことがなく、家庭用薄葉紙を容易に1枚ずつ取り出すことができることとなって、薄葉紙積層体の家庭用薄葉紙の枚数に関係なく、取出口からの取り出し易さを一定に保つことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の家庭用薄葉紙収納容器を示す斜視図である。
【図2】図1の家庭用薄葉紙収納容器のII−II線における断面図である。
【図3】容器本体の底部に設けられた付勢部材が下方に撓んでいる様子について示した図である。
【図4】収納空間部に収納された家庭用薄葉紙の残量が少なくなった場合の一例について示した図である。
【図5】図4に示した家庭用薄葉紙収納容器の付勢部材の一変形例について示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。ただし、発明の範囲は、図示例に限定されない。
【0015】
まず、構成について説明する。
本実施形態に係る家庭用薄葉紙収納容器100は、図1,2に示すように、例えば、ティシューやウェットティシュー等の家庭用薄葉紙Pが積層された薄葉紙積層体200を内側の収納空間部40に収納する容器本体1を備えている。
【0016】
ここで、薄葉紙積層体200は、例えば、複数枚の家庭用薄葉紙Pが積層された詰替え用の薄葉紙積層体であって、容器本体1に形成された取出口11から家庭用薄葉紙Pを継続して取り出せるように交互に折り重ねられた状態で積層されている。即ち、家庭用薄葉紙Pを取出口11から容器本体1の外側へ引き出したときに、次の家庭用薄葉紙Pの上端が取出口11よりも突出する位置まで収納空間部40から引き出されるようになっている。
なお、薄葉紙積層体200を、包装体により内包することとしても良い。特に、家庭用薄葉紙Pがウェットティシューである場合には、薄葉紙積層体200を防湿性の包装体により内包することが好ましい。
【0017】
容器本体1は、例えば、PP(ポリプロピレン)、ABS等の熱可塑性樹脂を射出成形することにより製造される。
容器本体1は、当該容器本体1の上面を構成する上面部10と、当該容器本体1の側面を構成する側面部20a〜20dと、を備え、上面部10及び側面部20a〜20dにて囲まれた空間が、薄葉紙積層体200を収納する収納空間部40となっている。
また、容器本体1の底部30は、容器本体1に着脱自在に取り付けられる底蓋として機能するようになっている。即ち、容器本体1から底部30を取り外すことにより、薄葉紙積層体200を収納空間部40に詰めるための挿入口となる開口部(図示略)が形成されるようになっている。
【0018】
容器本体1の上面部10には、略中央に取出口11が形成されている。
取出口11は、容器本体1の内部の収納空間部40に収納された家庭用薄葉紙Pを取り出すためのものであって、家庭用薄葉紙Pは、取出口11を通じて、収納空間部40から引き出され、外部に取り出すことができるようになっている。
なお、図示は省略するが、取出口11に、当該取出口11を覆う蓋体を備えることとしても良い。
【0019】
また、容器本体1の上面部10には、例えば、取出口11を挟んで対向するように、略板状の部材で構成された突出部12a、12bが形成され、取出口11の周縁部が収納空間部40に向かって突出した状態となっている。
突出部12a、12bは、後述する2つの付勢部材31、32により上向きに付勢された薄葉紙積層体200の上面(一番上の家庭用薄葉紙P)と取出口11との間に所定の間隔を設けるためのものであって、使用者が、家庭用薄葉紙Pを容易に1枚ずつ取り出すことができるようになっている。
なお、突出部12a、12bの形状は、薄葉紙積層体200の上面と取出口11との間に段差(所定の間隔)を設けることが可能な構成であればいかなる形状であってもよく、例えば、取出口11の周縁部を一様に突出させたものであってもよい。
【0020】
容器本体1の底部30には、2つの付勢部材31、32が備えられている。
2つの付勢部材31、32は、互いに対向するように配置され、例えば、底部30の長手方向中央であって幅方向両端部に設けられている。即ち、本実施形態では、2つの付勢部材31、32は、突出部12a、12bと対向する位置に備えられている。
付勢部材31、32は、例えば、上向きに付勢力を有する伸縮可能な空気溜め31a、32aと、一端が底部30に固着され、他端が空気溜め31a、32aの先端に固着された板状部材31b、32bと、を備えている。
【0021】
この2つの付勢部材31、32は、容器本体1の収納空間部40に収納された薄葉紙積層体200の収納空間部40内での高さを一定に保つためのものである。
具体的に、薄葉紙積層体200を容器本体1の下方から収納空間部40に詰めた場合、付勢部材31、32(板状部材31b、32b)の上面が、容器本体1の収納空間部40に収納された薄葉紙積層体200の下面の両端部に当接して薄葉紙積層体200の重みに抗して上向きに付勢するため、薄葉紙積層体200を好適に支持し、薄葉紙積層体200の収納空間部40内での高さが所定の高さとなる。
そして、薄葉紙積層体200を収納空間部40に入れた当初、付勢部材31、32が薄葉紙積層体200の重みにより下向きに撓んでおり、家庭用薄葉紙Pの使用に応じて薄葉紙積層体200が軽くなるにつれて、付勢部材31、32は薄葉紙積層体200を徐々に上方へ押し上げることとなり、薄葉紙積層体200の収納空間部40内での高さが所定の高さに維持できる。
【0022】
次に、本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器100の作用について説明する。
使用者は、使用に際して、容器本体1から底部30を取り外し、薄葉紙積層体200を収納空間部40に詰めた後、取り外した底部30を再び取り付ける。
すると、付勢部材31、32は、図3に示すように、その上面が薄葉紙積層体200の下面の両端部と当接し、薄葉紙積層体200の重みによって下向きに撓みつつ、上方からの薄葉紙積層体200の重みに抗して上向きに付勢し、薄葉紙積層体200を支持した状態となる。
この状態において、家庭用薄葉紙Pは、使用者により取出口11から一枚ずつ引き出されて使用される。
【0023】
そして、使用するにつれて薄葉紙積層体200が軽くなっていくと、図4に示すように、薄葉紙積層体200を収納空間部40に入れた当初下向きに撓んでいた付勢部材31、32が、薄葉紙積層体200の軽量化に応じて徐々に初期位置へ戻るため、薄葉紙積層体200が上方に押し上げられることとなる。
また、上方に押し上げられた薄葉紙積層体200の上面は、取出口11の周縁部に設けられた突出部12a、12bに当接する。このとき、付勢部材31、32からの上向きの付勢力は薄葉紙積層体200の下面の両端部に加えられており、薄葉紙積層体200の中央部が取出口11方向に押し上げられることはないため、薄葉紙積層体200の上面(一番上の家庭用薄葉紙P)と取出口11との間に所定の間隔を設けることができる。即ち、家庭用薄葉紙収納容器100は、付勢部材31、32により上向きに付勢された薄葉紙積層体200により突出部12a、12bが押圧された場合でも、薄葉紙積層体200と取出口11との距離を所定の間隔に保つことができる。
従って、本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器100では、家庭用薄葉紙Pの残量に関係なく、取出口11と、収納空間部40内の一番上の家庭用薄葉紙Pとの距離を一定にすることができるため、家庭用薄葉紙Pが取出口11から内部に落ち込むことがなく、家庭用薄葉紙Pを容易に1枚ずつ取り出すことができることとなって、薄葉紙積層体200の家庭用薄葉紙Pの枚数に関係なく、取出口11からの取り出し易さを一定に保つことができる。
【0024】
以上のように、本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器100によれば、容器本体1の上面部10には、収納空間部40から家庭用薄葉紙Pを取り出す取出口11が形成されるとともに、取出口11の周縁部から収納空間部40に向かって突出させた突出部12a、12bが形成され、容器本体1の底部30には、薄葉紙積層体200を上向きに付勢する付勢部材31、32が備えられ、付勢部材31、32により上向きに付勢された薄葉紙積層体200により突出部12a、12bが押圧された場合でも、薄葉紙積層体200と取出口11との距離が所定の間隔に保たれている。
これにより、家庭用薄葉紙Pの残量に関係なく、取出口11と、収納空間部40内の一番上の家庭用薄葉紙Pとの距離を一定にすることができるため、家庭用薄葉紙Pが取出口11から内部に落ち込むことがなく、家庭用薄葉紙Pを容易に1枚ずつ取り出すことができることとなって、薄葉紙積層体200の家庭用薄葉紙Pの枚数に関係なく、取出口11からの取り出し易さを一定に保つことができる。
特に、薄葉紙積層体200の対向する両端部を上向きに付勢するように付勢部材31、32を備えることで、薄葉紙積層体200の中央部が取出口11方向に押し上げられることはなくなり、確実に薄葉紙積層体200の上面(一番上の家庭用薄葉紙P)と取出口11との間に所定の間隔を設けることができる。
更に、突出部12a、12bと対向する位置に付勢部材31、32を備えることで、薄葉紙積層体200のうち上向きに付勢された箇所を突出部12a、12bで抑えることができ、より確実に薄葉紙積層体200の上面(一番上の家庭用薄葉紙P)と取出口11との間に所定の間隔を設けることができる。
【0025】
また、本実施形態の家庭用薄葉紙収納容器100によれば、付勢部材31、32は、上向きに付勢力を有する伸縮可能な空気溜め31a、32aと、一端が底部30に固着され、他端が空気溜め31a、32aの先端に固着された板状部材31b、32bと、を備える。
このように、板状部材31b、32bを備えたことにより、支持対象の薄葉紙積層体200との接触面積を確保することができるとともに、空気溜め31a、32aを備えたことにより、薄葉紙積層体200の重みに合わせて柔軟に薄葉紙積層体200の高さを調節することが可能となる。
【0026】
以上、本発明に係る実施形態に基づいて具体的に説明したが、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で変更可能である。
【0027】
例えば、付勢部材31、32は、薄葉紙積層体200の下面の両端部を上向きに付勢できるものであれば良く、その数や形状は特に限定されない。
例えば、上記実施形態では、空気溜め31a、32aと板状部材31b、32bとで構成された2つの付勢部材31、32を例示して説明したが、4つの付勢部材を設けることとしても良い。
また、図5に示すように、付勢部材としてY字状付勢部材33を設けることとしても良い。このようなY字状付勢部材33を用いることで、付勢部材の厚みを最小限に抑えることができるので、収納空間部40のスペースを有効に活用することができるようになる。
【符号の説明】
【0028】
100 家庭用薄葉紙収納容器
1 容器本体
10 上面部
11 取出口
12a、12b 突出部
20a〜20d 側面部
30 底部
31、32 付勢部材
31a、32a 空気溜め
31b、32b 板状部材
33 Y字状付勢部材
40 収納空間部
200 薄葉紙積層体
P 家庭用薄葉紙

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭用薄葉紙が積層された薄葉紙積層体を内側の収納空間部に収納する容器本体を備える家庭用薄葉紙収納容器であって、
前記容器本体の上面部には、前記収納空間部から前記家庭用薄葉紙を取り出す取出口が形成されるとともに、前記取出口の周縁部から前記収納空間部に向かって突出した突出部が形成され、
前記容器本体の底部には、前記薄葉紙積層体を上向きに付勢する付勢部材が備えられ、
前記付勢部材により上向きに付勢された前記薄葉紙積層体により前記突出部が押圧された場合でも、前記薄葉紙積層体と前記取出口との距離が所定の間隔に保たれていることを特徴とする家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項2】
前記付勢部材は、
前記薄葉紙積層体の対向する両端部を上向きに付勢することを特徴とする請求項1に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項3】
前記付勢部材は、
上向きに付勢力を有する伸縮可能な空気溜めと、一端が底部に固着され、他端が空気溜めの先端に固着された板状部材と、を備えることを特徴とする請求項1又は2に記載の家庭用薄葉紙収納容器。
【請求項4】
前記付勢部材は、
前記突出部と対向する位置に備えられることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の家庭用薄葉紙収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−176790(P2012−176790A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−41697(P2011−41697)
【出願日】平成23年2月28日(2011.2.28)
【出願人】(390029148)大王製紙株式会社 (2,041)
【Fターム(参考)】