説明

家庭用電気器具

家庭用電気器具は、第1の回転可能部材及び第2の回転可能部材に分けられたヘッドと、第2の軸の周りに第1の回転可能部材及び第3の軸の周りに第2の回転可能部材を同時に回転させながら第1の軸の周りにヘッドを回転させるための駆動機構とを含む。第2の軸及び第3の軸の各々は、第1の軸に対して傾斜し、好ましくは、第1の軸と交差する。第1の軸に向けて第2の軸に沿って延びる方向に見た時に、駆動機構は、第1の角度方向に第2の軸の周りに第1の回転可能部材及び第1の角度方向とは反対の第2の角度方向に第3の軸の周りに第2の回転可能部材を回転させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭用電気器具に関する。この電気器具は、人又は動物の歯、指の爪、宝石類、ガラス製品、金属製品、家具、靴製品、浴室の付属器具及び用具、パイプ、配水管、台所用品、食料品、キーボード、床面、及び自動車のような広範な品目のうちの1つ又はそれよりも多くを清掃し、ブラシをかけ、又は磨くのに使用することができる。
【背景技術】
【0002】
電気歯ブラシは、一般的に、ブラシヘッドの1つ又はそれよりも多くの部分の振動又は回転運動を通して歯にブラッシング作用を与える。例えば、1つの公知の歯ブラシは、ハンドル及び電動駆動機構を収容するシャフト、並びにシャフトを横断する軸の周りの駆動機構による振動運動のために装着された剛毛を有する清掃ヘッドを含む。他の電気歯ブラシは、シャフトに対してほぼ平行又はそれと同一線上にある軸の周りの回転運動のために装着された剛毛を含む。剛毛は、ヘッドの縦軸の周りで回転するために円筒形ブラシヘッド上に装着することができる。代替的に、シャフトの軸の周りで回転するほぼ球状のブラシヘッド上に剛毛を装着することは公知である。例えば、WO2008/125269は、球状ブラシヘッドが2つのほぼ半球状の部分に分けられた電気歯ブラシを説明している。駆動機構は、シャフトの縦軸と同一線上にある第1の軸の周りにヘッドを回転させ、一方で第1の軸に対して直角の第2の軸の周りで2つの半球状の部分を調和して同時に回転させるように配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】WO2008/125269
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0004】
第1の態様において、本発明は、第1の回転可能部材及び第2の回転可能部材に分けられたヘッドと、第2の軸の周りに第1の回転可能部材及び第3の軸の周りに第2の回転可能部材を同時に回転させながら第1の軸の周りにヘッドを回転させるための駆動機構とを含む家庭用電気器具を提供し、第2の軸及び第3の軸の各々は、第1の軸に対して傾斜し、第1の軸に向けて第2の軸に沿って延びる方向に見た時に、駆動機構は、第1の角度方向に第2の軸の周りに第1の回転可能部材及び第1の角度方向とは反対の第2の角度方向に第3の軸の周りに第2の回転可能部材を回転させる。
【0005】
第1の軸の周りのヘッドの回転に連結した第2の回転可能部材に対する第1の回転可能部材の反対回転は、ヘッドがそのように第1及び第2の回転可能部材に分けられておらず、従って、単に第1の軸の周りで回転する電気器具に比較して、優れた洗浄作用があることが見出されている。更に、回転可能部材の反対回転は、回転可能部材が、電気器具を使用して処理される表面にわたって同じ掃引作用を付与することができることを意味する。
【0006】
第1の軸に向けて第2の軸に沿って延びる方向に見た時に第1の回転可能部材が第2の軸の周りで回転する第1の角度方向は、好ましくは、ヘッドがヘッドに向けて第1の軸に沿って延びる方向に見た時に時計回り方向に回転する時に時計回り方向である。例えば、電気器具を歯ブラシとして使用する時に、これは、第1及び第2の回転可能部材が、歯肉線から離れるように延びる方向に歯に沿ってブラシを掛ける掃引作用を提供することができる。
【0007】
第2の軸及び第3の軸の各々は、好ましくは、第1の軸と交差する。
【0008】
第2の軸及び第3の軸の各々は、第1の軸に対して実質的に直角とすることができる。第2の軸及び第3の軸は、実質的に同一線上とすることができ、又はこれらは、互いに対して平行にすることができる。代替的に、第2の軸及び第3の軸の各々は、回転可能部材のリムが収束するように第1の軸に対して傾斜することができる。これは、電気器具を使用して処理される表面の特定の部分で回転可能部材の掃引作用を高めることができる。従って、本発明はまた、第1の回転可能部材及び第2の回転可能部材に分けられたヘッドと、第2の軸の周りに第1の回転可能部材及び第3の軸の周りに第2の回転可能部材を同時に回転させながら、第1の軸の周りにヘッドを回転させるための駆動機構とを含む家庭用電気器具を提供し、第2の軸及び第3の軸の各々は、第1の軸に対して傾斜している。
【0009】
第2及び第3の軸は、第1の軸に対する第2の軸の傾斜が第1の軸に対する第3の軸の傾斜と同じであるような向きに配置することができる。例えば、第1の軸と第2の軸の間、従って、第1の軸と第3の軸の間に内在する角度は、好ましくは鋭角であり、これは、好ましくは、60°から90°、より好ましくは、70°から85°である。しかし、第1の軸に対する第2の軸の傾斜は、第1の軸に対する第3の軸の傾斜とは異なる場合がある。これは、電気器具がユーザによって保持された時に第1の軸が接線方向であるような表面の特定の部分に対する回転可能部材の掃引作用を改善することができる。
【0010】
第1の軸は、第2の軸及び第3の軸の両方と実質的に同一平面上にあるとすることができる。代替的に、第2及び第3の軸は、同一平面上にあり、かつその平面内で、好ましくは、鈍角で相互に傾斜することができる。この平面は、第1の軸に対して直角とすることができる。
【0011】
別の代替として、第2の軸及び第3の軸の各々は、第1の軸を含むそれぞれの異なる平面内に位置付けることができる。従って、本発明はまた、第1の回転可能部材及び第2の回転可能部材に分けられたヘッドと、第1の軸に対して傾斜した第2の軸の周りに第1の回転可能部材及び第2の軸に対して傾斜した第3の軸の周りに第2の回転可能部材を同時に回転させながら第1の軸の周りにヘッドを回転させるための駆動機構とを含む家庭用電気器具を提供し、第2の軸及び第3の軸の各々は、第1の軸を含むそれぞれの異なる平面内に位置付けられる。第1の軸及び第2の軸を含む第1の平面と第1の軸及び第3の軸を含む第2の平面との間に内在する角度は、好ましくは、120°から180°の鈍角であることが好ましい。
【0012】
回転可能部材の各々は、好ましくは、その外側面の中心を通過するその縦軸に関して対称である。第1の回転可能部材及び第2の回転可能部材の各々は、ドーム形とすることができ、ほぼ球面曲率を有することができる。この場合には、ヘッドは、バレル形とすることができるが、ヘッドは、好ましくは、実質的に球状である。ドーム形の回転可能部材に代えて、第1及び第2の回転可能部材の各々は、複数のファセットを含むことができる。ファセットの数は、好ましくは、少なくとも4つ、より好ましくは、4から12である。
【0013】
第1の回転可能部材は、第2の軸の周りで実質的に対称とすることができ、第2の回転可能部材は、第3の軸の周りで実質的に対称とすることができる。代替的に、第1の回転可能部材は、第2の軸に関して非対称とすることができ、第2の回転可能部材は、第3の軸に関して非対称とすることができる。例えば、回転可能部材は、回転可能部材の少なくとも一方が、その回転可能部材の外側面の中心がその回転軸の周りを周回するように駆動機構によって回転されるように配置することができる。使用中に、そのそれぞれの回転軸の周りの各回転可能部材の中心の環状移動により、例えば、ユーザの歯肉を清浄化するため及び一般的に電気器具の清掃効果を改善するためのマッサージ効果を高めることができる。
【0014】
一実施形態では、回転可能部材は、第1の回転可能部材がその縦軸に対して鋭角で傾斜した第2の軸の周りで回転し、第2の回転可能部材がその縦軸に対して鋭角で傾斜した第3の軸の周りで回転するように配置される。これらの鋭角の各々は、好ましくは、0°から15°であり、角度は、同じか又は異なるかのいずれかとすることができる。
【0015】
この点から見て、本発明はまた、第1の回転可能部材及び第2の回転可能部材に分けられたヘッドと、第2の軸の周りに第1の回転可能部材及び第3の軸の周りに第2の回転可能部材を同時に回転させながら第1の軸の周りにヘッドを回転させる駆動機構とを含む家庭用電気器具を提供し、第1の回転可能部材は、第2の軸に関して非対称であり、第2の回転可能部材は、第3の軸に関して非対称である。
【0016】
駆動機構は、第1の軸の周りにヘッドを回転させるためのシャフト及びシャフトの回転を作動させるためのアクチュエータを含むことができる。アクチュエータは、例えば、電気器具のハンドル内に容易に収容することができるモータを含むことができる。しかし、代替のタイプのアクチュエータは、タービン又は空気エアラインのような空気駆動アクチュエータ、水駆動アクチュエータ、蒸気駆動アクチュエータ、機械駆動アクチュエータ、及び油圧駆動アクチュエータを含むことができる。
【0017】
駆動機構は、回転可能部分を回転させるための複数のかさ歯車を含むことができる。これらのかさ歯車の各々は、第1の軸の周りで回転するためのシャフトに接続することができ、かさ歯車の各々が、第2の軸及び第3の軸のうちのそれぞれ1つの周りで回転するように、シャフトによって回転しない更に別のかさ歯車と噛み合う。第1のかさ歯車は、好ましくは、第1の軸を取り囲む複数の歯を有する。代替的に、複数の歯は、第1の軸の周りで単に部分的に延びることができる。この場合には、回転可能部材は、第1の軸の周りのヘッドの回転の途中に、例えば、回転可能部材が処理される表面と係合することになる時だけ第2の軸及び第3の軸の周りでそれぞれ単に回転することになる。それによってかさ歯車の寿命を延ばすことができる。
【0018】
歯車の代替として、駆動機構は、第2の軸及び第3の軸の周りでそれぞれ回転可能部材を回転させるための摩擦ドライブを含むことができる。
【0019】
駆動機構は、第1の軸と同一線上にある第4の軸の周りで回転するドライブシャフトを含むことができる。代替的に、ドライブシャフトは、第1の軸に対して傾斜した第4の軸の周りで回転することができる。これは、第2の軸及び第3の軸のうちのそれぞれ1つの周りの第1及び第2の回転可能部材の各々の同時回転に連結した第1の軸の周りのヘッドの回転によって生じる清浄化利益を最大にすることを可能にすることができる。例えば、第4の軸と第1の軸の間に内在する角度は、90°から180°の範囲、好ましくは、115°から155°の範囲とすることができる。ヘッドは、そこから延びてドライブシャフトによって第1の軸の周りで回転するように駆動されるヘッドシャフトを含む。代替的に、ドライブシャフトは、湾曲又は可撓性ドライブシャフトとすることができ、これは、その一端でドライブシャフトを回転させるためのアクチュエータに、かつ他端で電気器具のヘッドに連結される。
【0020】
第1の回転可能部材及び第2の回転可能部材の各々は、物体にブラシを掛けるためにそれから外向きに延びる剛毛を含むことができる。代替的に、回転可能部材の各々は、物体を清掃又は磨くためのパッド、ファイバ、又はフィラメントを含むことができる。回転可能部材が剛毛を含む場合、剛毛は、異なる長さを有することができる。剛毛は、様々な異なる角度でヘッドから外向きに延びることができ、ヘッドから放射状又は非放射状に延びることができる。剛毛は、規則的パターン又は不規則的パターンのいずれかで配置することができる。剛毛は、様々な異なる直径を有することができる。剛毛は、複数の房に配置することができ、房は、様々な異なる房直径を有する。
【0021】
第2及び第3の軸が相互に傾斜している場合、ヘッドは、第1及び第2の回転可能部材の間に位置付けられた第3の部材を含むことができ、これは、テーパのついた側壁を有する。この第3の部材は、剛毛がある場合、第1の軸の周りの回転によるヘッドの掃引作用に寄与しながら、回転可能部材のリムの間からヘッドへの汚れ及びデブリの侵入を抑制することができる。
【0022】
駆動機構は、第1の軸の周りで第1及び第2の角度方向に周期的にヘッドを回転させるように配置することができる。これは、第2の軸の周りの第1の回転可能部材及び逆方向の第3の軸の周りの第2の回転可能部材の両方の周期的回転をもたらすことになり、その結果、常に、第1の回転可能部材は、第3の軸の周りの第2の角度部材の回転と反対の角度方向に第2の軸の周りで回転するようにする。
【0023】
保護具は、電気器具を歯ブラシとして使用する時に、ヘッドと例えばユーザの口の軟組織との間の望ましくない接触を抑制するために部分的にヘッドの周りに延びることができる。保護具は、好ましくは、ヘッドの外側面に隣接して位置するような形状にされる。例えば、保護具は、実質的に半球状とすることができ、又は半球のセグメントを含むことができる。
【0024】
電気器具は、歯ブラシの形態にすることができる。しかし、電気器具は、指の爪、宝石類、ガラス製品、金属製品、家具、靴製品、浴室の付属器具及び用具、パイプ、配水管、食料品、キーボード、床面、及び自動車のような広範な他の物体のうちの1つ又はそれよりも多くを清掃し、ブラシをかけ、又は磨くためにスケーリングすることができる。従って、第2の態様において、本発明は、第1の回転可能部材及び第2の回転可能部材に分けられたヘッドと、第2の軸の周りに第1の回転可能部材及び第3の軸の周りに第2の回転可能部材を同時に回転させながら第1の軸の周りにヘッドを回転させるための駆動機構とを含む清掃電気器具を提供し、第2の軸及び第3の軸の各々は、第1の軸に対して傾斜し、第1の軸に向けて第2の軸に沿って延びる方向に見た時に、駆動機構は、第1の角度方向に第2の軸の周りに第1の回転可能部材及び第1の角度方向とは反対の第2の角度方向に第3の軸の周りに第2の回転可能部材を回転させる。
【0025】
本発明の第1の態様に関連して上述した特徴は、本発明の第2の態様に同様に適用可能であり、逆も同じである。
【0026】
ここで、添付の図面を参照して本発明の実施形態を単に一例として説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1(a)】家庭用電気器具の第1の実施形態の概略側面図である。
【図1(b)】図1(a)の線A−Aに沿った概略側面断面図である。
【図1(c)】図1(a)の電気器具のヘッドの概略正面斜視図である。
【図1(d)】図1(a)の電気器具のヘッドの概略正面図である。
【図2(a)】家庭用電気器具の第2の実施形態の駆動機構の一部の概略正面斜視図である。
【図2(b)】図2(a)の駆動機構の概略側面図である。
【図2(c)】図2(b)の線A−Aに沿った概略側面断面図である。
【図2(d)】図2(a)の駆動機構の概略正面図である。
【図2(e)】駆動機構の概略上面図である。
【図3(a)】家庭用電気器具の第2の実施形態の一部の概略正面斜視図である。
【図3(b)】図3(a)の電気器具の概略上面図である。
【図3(c)】図3(a)の電気器具の概略正面図である。
【図4】剛毛がヘッドの回転可能要素に取り付けられた図3(a)の電気器具の概略側面図である。
【図5(a)】家庭用電気器具の第3の実施形態のヘッドの概略正面斜視図である。
【図5(b)】図5(a)のヘッドの概略上面図である。
【図5(c)】図5(a)のヘッドの概略側面図である。
【図6】剛毛がヘッドの回転可能要素に取り付けられた図5(c)と同様の図である。
【図7(a)】家庭用電気器具の第4の実施形態の概略正面図である。
【図7(b)】図7(a)の電気器具の概略上面図である。
【図7(c)】図7(a)電気器具の概略側面図である。
【図7(d)】図7(c)の線A−Aに沿った概略側面断面図である。
【図8(a)】家庭用電気器具の第5の実施形態の駆動機構の概略後面図である。
【図8(b)】駆動機構の一部がハウジング内に位置付けられた図8(a)の線A−Aに沿った概略側面断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
最初に図1(a)から図1(d)を参照すると、家庭用電気器具10の第1の実施形態は、ハンドル12及びヘッド14を含む。ハンドル12は、ハンドル12に対して電気器具10のヘッド14を回転させるための駆動機構のモータ16を収容する。ハンドル12は、モータ16に電力を供給するためのバッテリ18を収容することができる。バッテリ18は、好ましくは、ニッケル金属の水素化物バッテリのような再充電可能バッテリであるので、再充電端子は、再充電ベースステーションに接続するためのハンドル12のベース上に設けることができる。代替的に、モータ16は、コンセント駆動とすることができ、又は再充電不能バッテリによって駆動することができる。この後者の場合には、バッテリ18は、ハンドル12の2つの部分を分離することによる交換のためにアクセス可能である。
【0029】
ヘッド14は、第1の回転可能部材20及び第2の回転可能部材22に分けられる。回転可能部材20、22の各々は、その外側面の中心を通過する縦軸に関して対称である。この実施形態では、回転可能部材20、22の各々は、ドーム形であり、ほぼ球面曲率を有する外側面を有する。ヘッド14はまた、回転可能部材20、22のリムの間に位置付けられ、回転可能部材20、22のリムの間からヘッド14への汚れの侵入を防止する実質的に環状の第3の部材24を含む。ヘッド14は、実質的に球の形状である。
【0030】
第1及び第2の回転可能部材20、22及び第3の部材24の各々は、そこから外向きに延びる複数の剛毛(図示せず)を含むことができる。代替的に、ファイバ、フィラメント、又は研磨媒体を含む布又はパッドは、第1及び第2の回転可能部材20、22及び第3の部材24の各々の外側面に取り付けることができる。
【0031】
駆動機構は、モータ14によって回転するドライブシャフト26を含む。ドライブシャフト26がモータ14によって回転する速度は、電気器具10の機能に依存する。例えば、電気器具10を歯ブラシとして使用する場合、ドライブシャフト26は、好ましくは、1分間当たり50から2000回転数の範囲の速度で回転するのに対して、電気器具10を研ぐ又は磨く工具として使用する場合、ドライブシャフト26は、好ましくは、1分間当たり約数千回転数の速度で回転する。しかし、ドライブシャフト26がモータ16によって回転する速度は、本発明に関しては重要ではない。
【0032】
ドライブシャフト26は、ハンドル12とヘッド14の間を延びるスリーブ28内に収容され、これは、ドライブシャフト26がモータ16によって回転すると静止したままである。ドライブシャフト26は、この実施形態ではドライブシャフト26の縦軸と同一線上にあってヘッド14の中心を通過する第1の軸A1の周りでヘッド14を回転させるように配置される。駆動機構は、スリーブ28に接続された第1のかさ歯車30と、ドライブシャフト26に接続され、第2の軸A2の周りで回転するように第1のかさ歯車30と噛み合う第2のかさ歯車32と、ドライブシャフト26に接続され、第3の軸A3の周りで回転するように第1のかさ歯車30と噛み合う第3のかさ歯車34とを更に含む。この第1の実施形態では、第2の軸A2及び第3の軸A3の各々は、第1の軸A1と同一平面上にあり、第1の軸A1に対して実質的に直角である。第1の回転可能部材20は、第2のかさ歯車32に接続され、第2の回転可能部材22は、第3のかさ歯車34に接続される。その結果、例えば、ユーザがハンドル12上に位置付けられたスイッチを押圧するのに応答してモータ16が作動される時に、ヘッド14は、第1の軸A1の周りで回転するが、第1の回転可能部材20は、第2の軸A2の周りで回転し、第2の回転可能部材22は、第3の軸A3の周りで回転する。
【0033】
使用時に、モータ16は、ヘッド14からモータ16に向けて第1の軸A1に沿って延びる方向D1(図1(b)に示す)から見た時に、時計回り方向にヘッドを回転させるように配置される。第1の軸A1に向けて第2の軸A2に沿って延びる方向D2(図1(b)に同様に示す)から見た時に、第1の回転可能部材20は、第2の軸A2の周りで時計回り方向に回転するが、第2の回転可能部材22は、第3の軸A3の周りで反時計回り方向に回転する。その結果、第1及び第2の回転可能部材20、22は、電気器具10のヘッド14によって係合された表面にわたって同じ掃引作用を付与することができる。
【0034】
図2(a)から図2(e)及び図3(a)から図3(c)は、家庭用電気器具40の第2の実施形態のヘッド及び駆動機構を示している。家庭用電気器具40のハンドル12は、家庭用電気器具10のハンドルと同じであるので、ここではそれ以上説明しない。第1の実施形態と同様に、駆動機構は、ハンドル12内に位置付けられたモータ16によって回転して電気器具40のハンドル12とヘッド46の間を延びるスリーブ44内に収容されたドライブシャフト42を含む。ドライブシャフト42は、この実施形態において同じくドライブシャフト42の縦軸と同一線上にあってヘッド46の中心を通過する第1の軸A1の周りでヘッド46を回転させるように配置される。駆動機構は、スリーブ44に接続された第1のかさ歯車48と、ドライブシャフト42に接続され、第2の軸A2の周りで回転するように第1のかさ歯車48と噛み合う第2のかさ歯車50と、ドライブシャフト42に接続され、第3の軸A3の周りで回転するように第1のかさ歯車48と噛み合う第3のかさ歯車52とを更に含む。従って、かさ歯車が軸A1、軸A2、軸A3の周りでそれぞれ回転する角度方向は、第1の実施形態と同じである。
【0035】
この第2の実施形態では、第2及び第3の軸A2、A3は、第1の軸A1に対して異なる向きを有する。図2(e)に示すように、この第2の実施形態では、第2及び第3の軸A2、A3の各々は、第1の軸A1を収容する垂直平面P1に対して角度αだけ傾斜している。この実施形態では、角度αは約6°である。第2及び第3の軸A2、A3の各々はまた、図2(c)に示すように、ヘッド46の中心を通過する第1の軸A1に対して直角の水平面P2に対して角度βだけ傾斜している。この実施形態では、角度βも約6°である。従って、第1の軸A1と第2の軸A2の間、従って、第1の軸A1と第3の軸A3の間に内在する角度は、約82°である。更に、第1及び第2の軸A1、A2は、第1の平面に含まれ、第1及び第3の軸A1、A3は、第2の平面に含まれ、これらの2つの平面は、これらの間に約164°の角度を内在する。
【0036】
ここで図3(a)から図3(c)に移ると、この第2の実施形態では、ヘッド46は、同じく第1の回転可能部材54及び第2の回転可能部材56に分けられる。第1の実施形態にあるように、回転可能部材54、56の各々は、ドーム形であり、ほぼ球面曲率を有する外側面を有する。第1の回転可能部材54は、第2のかさ歯車50に接続され、第2の回転可能部材56は、第3のかさ歯車52に接続される。しかし、第2及び第3の軸A2、A3の傾斜により、回転可能部材54、56のリムは、ヘッド46の中心を通過する平面P2の上方に位置する点に向けて収束する。それによって第1の軸A1の片側に位置する点において回転可能部材54、56の掃引作用を高めることができる。
【0037】
図4に示すように、第1及び第2の回転可能部材54、56の各々は、そこから外向きに延びる複数の剛毛58を含むことができる。剛毛58は、同じ長さを有することができ、又はこれらは、様々な異なる長さを有することができる。この実施形態では、剛毛は、ヘッド46から外向きに延びる房58に配置される。房58は、同じ外径又は様々な異なる外径を有することができる。この実施形態では、電気器具40を歯ブラシとして使用する場合、房58の外径は、0.5mmから1.5mmの間で異なる。房58は、異なる剛性を有することができる。各房58の剛性は、その房58を形成する剛毛の外径を変更することにより、又は剛毛を形成する材料を変更することによって選択することができる。この実施形態では、剛毛の外径は、0.005mmから0.15mmの間で異なる。剛毛の長さは、2mmから10mmの範囲にあり、ヘッド46の外径は、約5mmである。勿論、ヘッド46の直径、並びに剛毛の長さ及び剛性は、電気器具40の意図する用途に応じて変更することができる。
【0038】
図5(a)から図5(c)及び図6は、駆動機構の第2及び第3のかさ歯車50、52に接続された第1及び第2の回転可能部材62、64の形状の範囲で第2の実施形態とは異なる家庭用電気器具60の第3の実施形態を示している。この第3の実施形態では、第1及び第2の回転可能部材62、64の外側面は、複数のファセットを含む。各ファセットは、その回転可能部材の縦軸に向けて傾斜するように配置される。この実施形態では、各回転可能部材62、64は、4つの三角形ファセット62a、64a及び4つの矩形ファセット62b、64bをそれぞれ含む8つのファセットを含む。しかし、ファセットの総数は、8つよりも多く又は少なくすることができる。図5(b)及び図5(c)に示すように、電気器具60のヘッド66は、第1及び第2の回転可能部材62、64の間に位置付けられた第3の部材68を含むことができ、これは、テーパのついた側壁を有する。この第3の部材68は、電気器具60の使用中に第1の軸A1の周りの回転によるヘッド66の掃引作用に寄与しながら、回転可能部材62、64のリムの間からヘッド66への汚れ及びデブリの侵入を抑制することができる。
【0039】
図6に示すように、剛毛は、各回転可能部材62、64の各ファセットに接続され、かつそこから外向きに延びることができる。この実施形態では、回転可能部材62、64の矩形ファセット62b、64bに接続された剛毛の房70は、比較的長く比較的可撓性の剛毛から形成されるのに対して、回転可能部材62、64の三角形ファセット62a、64aに接続された剛毛の房72は、比較的短く比較的剛性の剛毛から形成される。電気器具60を歯ブラシとして使用する場合、剛毛の房72は、ユーザの歯を磨くこと及び汚れ除去を強化することができるのに対して、剛毛の房70は、ユーザ歯の間の深い清浄化を強化することができる。
【0040】
図7(a)から図7(d)は、第1の回転可能部材82が第2の軸A2に関して非対称であり、第2の回転可能部材84が第3の軸A3に関して非対称であるという範囲で第1の実施形態とは異なる家庭用電気器具80の第4の実施形態を示している。この実施形態では、回転可能部材82、84の各々は、その外側面の中心を通過する縦軸に関して対称である。第1の回転可能部材82は、第1の回転可能部材82の外側面の中心を通過する第1の回転可能部材82の縦軸L1が第2の軸A2に対して鋭角γで傾斜するように第2のかさ歯車32に接続され、第2の回転可能部材84は、第2の回転可能部材84の外側面の中心を通過する第2の回転可能部材84の縦軸L2が第3の軸A3に対して鋭角γで傾斜するように第3のかさ歯車34に接続される。この実施形態では、鋭角γは、約5°である。従って、第1及び第2の回転可能部材82、84は、第1の軸A1に関して非対称に配置される。その結果、第1の回転可能部材82の外側面の中心は、第2の軸A2の周りを回り、第2の回転可能部材84の外側面の中心は、電気器具80のヘッド86が第1の軸A1の周りで回転する時に第3の軸A2の周りを回る。それによって例えばユーザの歯肉に適用されるマッサージ効果を高めることができる。この実施形態では、縦軸L1、L2は、実質的に同一直線状にあるが、これらは、相互に傾斜することができる。回転可能部材82、84は、好ましくは、ドーム形であり、かつ回転可能部材82、84が駆動機構に接続された時に実質的に平行である円形リムを有する。
【0041】
第1の実施形態から第4の実施形態までの各々において、電気器具のヘッドは、モータ16に連結したドライブシャフト26、42の一端に接続される。家庭用電気器具90の第5の実施形態のための駆動機構は、図8(a)及び図8(b)に示されている。駆動機構は、第4のかさ歯車92が、モータ16から遠隔にあるドライブシャフト42の端部に接続されるという点で、家庭用電気器具40の駆動機構と異なる。第4のかさ歯車92は、ヘッドシャフト96の一端に接続された第5のかさ歯車94と噛み合う。第2及び第3のかさ歯車50、52は、電気器具40のドライブシャフト42へのこれらの接続に対する同様の方式でヘッドシャフト96の他端に接続される。第4及び第5のかさ歯車92、94は、ヘッドシャフト96がドライブシャフト42に対して鈍角で傾斜するように配置される。その結果、ドライブシャフト42は、第1の軸A1に対して傾斜した第4の軸A4の周りで回転する。この例において、第4の軸A4と第1の軸A1の間に内在する角度は、約135°である。第1の軸A1のこの傾斜は、電気器具90のヘッドが、第2の軸及び第3の軸のそれぞれのものの周りの回転可能部材の各々の同時回転と共に第1の軸の周りのヘッドの回転の利益を最大にするような角度で表面と接触することを可能にすることができる。
【0042】
第2及び第3のかさ歯車50、52と噛み合う第1のかさ歯車48は、ヘッドシャフト96がスリーブ98に対して回転可能であるように、ヘッドシャフト96の周りに延びるスリーブ98の一端に接続される。スリーブ98の他端は、電気器具90のハンドル12に連結したハウジング100に接続される。ドライブシャフト42、並びに第4及び第5のかさ歯車92、94は、ハウジング100内に位置付けられ、これは、これらのかさ歯車92、94の歯の間への汚れ又は他の廃棄物の侵入を抑制するように機能する。図8(b)に示すように、ハウジング100は、電気器具90のヘッドの外周の周りに部分的に延びる湾曲保護具102を含むことができる。保護具102は、電気器具90を歯ブラシとして使用する時に、ヘッドと例えばユーザの口の軟組織の間の接触を抑制するように機能することができる。
【0043】
本発明は、上述の詳細説明に限定されない。変形は、当業者には明らかであろう。
【0044】
例えば、電気器具のスケールは、電気器具が、以下に限定されるものではないが、指の爪、宝石類、ガラス製品、金属製品、家具、靴製品、浴室の付属器具及び用具、パイプ、配水管、食料品、キーボード、床面、及び自動車を含む広範な異なる物体のうちの1つ又はそれよりも多くにブラシをかけ、清掃し、又は磨くのにより適するように変更することができる。電気器具はまた、非家庭用目的に使用することができる。ヘッドの剛毛によって接触される表面の性質に応じて、剛毛の剛性、長さ、及び組成物のうちの少なくとも1つは、適切に変更することができる。代替的に、電気器具を研磨するか又は研ぐ工具として使用することができるように、サンドペーパーのような1枚の研磨材料をヘッドの部材の各々の外側面に接続することができる。
【符号の説明】
【0045】
10 電気器具
12 ハンドル
20 第1の回転可能部材
26 ドライブシャフト
30 第1のかさ歯車
1 第1の軸

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の回転可能部材及び第2の回転可能部材に分けられたヘッドと、
第2の軸の周りに前記第1の回転可能部材及び第3の軸の周りに前記第2の回転可能部材を同時に回転させながら第1の軸の周りに前記ヘッドを回転させるための駆動機構と、
を含み、
前記第2の軸及び前記第3の軸の各々が、前記第1の軸に対して傾斜し、
前記第1の軸に向けて前記第2の軸に沿って延びる方向に見た時に、前記駆動機構は、第1の角度方向に該第2の軸の周りに前記第1の回転可能部材及び該第1の角度方向とは反対の第2の角度方向に前記第3の軸の周りに前記第2の回転可能部材を回転させる、
ことを特徴とする家庭用電気器具。
【請求項2】
前記第2の軸及び前記第3の軸の各々が、前記第1の軸に対して実質的に直角であることを特徴とする請求項1に記載の電気器具。
【請求項3】
前記第2の軸及び前記第3の軸の各々が、前記第1の軸に対して傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の電気器具。
【請求項4】
前記第1の軸に対する前記第2の軸の傾斜が、該第1の軸に対する前記第3の軸の傾斜と同じであることを特徴とする請求項3に記載の電気器具。
【請求項5】
前記第1の軸と前記第2の軸の間に内在する角度が、60°と90°の間であることを特徴とする請求項4に記載の電気器具。
【請求項6】
前記第1の軸は、前記第2の軸及び前記第3の軸の少なくとも一方と実質的に同一平面であることを特徴とする請求項1に記載の電気器具。
【請求項7】
前記第2の軸及び前記第3の軸の各々が、前記第1の軸を含むそれぞれの平面内に位置付けられることを特徴とする請求項1に記載の電気器具。
【請求項8】
前記第1の軸及び前記第2の軸を含む第1の平面と該第1の軸及び前記第3の軸を含む第2の平面との間に内在する角度が、90°と180°の間であることを特徴とする請求項7に記載の電気器具。
【請求項9】
前記駆動機構は、第4の軸の周りで回転するドライブシャフトを含み、
前記第1の軸は、前記第4の軸に対して傾斜している、
ことを特徴とする請求項1から請求項8のいずれか1項に記載の電気器具。
【請求項10】
前記第1の軸と前記第4の軸の間に内在する角度が、90°と180°の間であることを特徴とする請求項9に記載の電気器具。
【請求項11】
前記第1の回転可能部材及び前記第2の回転可能部材の各々が、ドーム形であることを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電気器具。
【請求項12】
前記第1の回転可能部材及び前記第2の回転可能部材の各々が、ほぼ球面曲率を有することを特徴とする請求項11に記載の電気器具。
【請求項13】
前記ヘッドは、球状であることを特徴とする請求項12に記載の電気器具。
【請求項14】
前記第1の回転可能部材及び前記第2の回転可能部材の各々が、複数のファセットを含むことを特徴とする請求項1から請求項10のいずれか1項に記載の電気器具。
【請求項15】
前記第1の回転可能部材及び前記第2の回転可能部材の各々が、そこから外向きに延びる剛毛を含むことを特徴とする請求項1から請求項14いずれか1項に記載の電気器具。
【請求項16】
前記剛毛は、異なる長さを有することを特徴とする請求項15に記載の電気器具。
【請求項17】
前記ヘッドの周りに部分的に延びる保護具を含むことを特徴とする請求項1から請求項16のいずれか1項に記載の電気器具。
【請求項18】
前記駆動機構は、複数のかさ歯車を含むことを特徴とする請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の電気器具。
【請求項19】
前記第1の回転可能部材は、前記第2の軸に関して非対称であり、前記第2の回転可能部材は、前記第3の軸に関して非対称であることを特徴とする請求項1から請求項18のいずれか1項に記載の電気器具。
【請求項20】
前記第1の回転可能部材は、前記第2の軸に対して鋭角で傾斜した縦軸を有し、前記第2の回転可能部材は、前記第3の軸に対して該鋭角で傾斜した縦軸を有することを特徴とする請求項1から請求項19のいずれか1項に記載の電気器具。
【請求項21】
前記鋭角は、0°と15°の間であることを特徴とする請求項20に記載の電気器具。
【請求項22】
清掃電気器具の形態であることを特徴とする請求項1から請求項21のいずれか1項に記載の電気器具。
【請求項23】
歯ブラシの形態であることを特徴とする請求項1から請求項22のいずれか1項に記載の電気器具。

【図1(a)】
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【図1(b)】
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【図1(c)】
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【図1(d)】
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【図2(a)】
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【図2(b)】
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【図2(c)】
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【図2(d)】
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【図2(e)】
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【図3(a)】
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【図3(b)】
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【図3(c)】
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【図4】
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【図5(a)】
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【図5(b)】
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【図5(c)】
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【図6】
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【図7(a)】
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【図7(b)】
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【図7(c)】
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【図7(d)】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【公表番号】特表2013−507162(P2013−507162A)
【公表日】平成25年3月4日(2013.3.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−532661(P2012−532661)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際出願番号】PCT/GB2010/051603
【国際公開番号】WO2011/042717
【国際公開日】平成23年4月14日(2011.4.14)
【出願人】(508032310)ダイソン テクノロジー リミテッド (286)
【Fターム(参考)】