説明

家庭電気器具用ワンド組立体

【課題】本発明は、家庭電気器具用入れ子式ワンド組立体に関する。
【解決手段】本発明は、伸張位置と格納位置との間で可動であるように互いに内部で入れ子になるように寸法づけられた複数のチューブと、前記チューブが前記格納位置に位置している場合に格納チューブ内部に後退するようになっている前記格納チューブと、前記格納チューブを家庭電気器具に流通させるためのチューブと、を備えている。さらに、本発明では、前記格納チューブが、前記チューブが後退された場合に前記チューブのうち最小径のチューブと係合するように動作する錠止レバーを含んでおり、これにより、前記格納位置において前記チューブを共に保持する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、家庭電気器具用入れ子式ワンド組立体に関する。ワンド組立体は、特に、しかし排他的ではなく、真空掃除機用として有用である。
【背景技術】
【0002】
シリンダ式真空掃除機は、一般に、使用者によって引っ張られる主掃除機本体を備える。主本体は、空気流から塵及び埃を分離するための分離装置を含む。空気流は、ホースと、使用者によって操作されるワンド組立体とによって主本体に導かれる。清掃道具は、通常、ワンドの遠位端に取り付けられる。ホース及びワンド組立体は、掃除機及び堅固なワンドの主本体に取り付けられる可撓性ホースの長さを備える。ワンドは典型的には互いに入れ子式に連結される2つのチューブを備える。チューブのうちの1つはハンドルに堅固に連結され、他のチューブがこのチューブ内に入れ子になっている。錠止装置又はラチェット機構の幾つかには、2つのチューブを互いに対して特定位置に固定するために設けられる。このように、ワンドの全長は、使用者の物理的寸法(背の高さ又は腕の長さ)に適するように構成される。このタイプのワンドの実例は従来技術文献に示されている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許第3083041号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
真空掃除機をより都合よく格納し得るように、この真空掃除機をよりコンパクトに作る傾向がある。コンパクトな掃除機本体を具備する多くの掃除機の実例があるが、これらの掃除機のほとんどは、掃除機が不要な期間の間に格納することが難しい、嵩張った2段式ワンドを依然として備えている。包装の観点から、ワンドの寸法は、しばしば、製品を出荷するに要する箱の最小寸法を規定する。
【0005】
ワンドに3つの段を設けることが知られている。より多くの段を設けることによって、ワンドが完全に折り畳まれた時のワンドの全長は2段式ワンドを具備するものより、より短くなる。しかしながら、ワンドに3以上の段を設けることは、使用者に対するワンドの複雑さを増す。特に、使用に際してワンドを伸張しかつ格納に際してワンドを後退させるのはより時間を浪費しかつ当惑させるものとなり得る。
【0006】
本発明は、操作するのにより好都合な入れ子式家庭電気器具用ワンドを提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の実施形態によれば、伸張位置と格納位置との間で可動であるように互いに内部で入れ子になるように寸法づけられた複数のチューブと、前記チューブが前記格納位置にある時に該チューブが内部に後退し得る格納チューブと、を備える家庭電気器具用ワンドが提供される。
【0008】
本発明の別の実施形態によれば、使用者が前記ワンドを操作可能にするハンドルを担支持するワンドが提供される。
【0009】
本発明の別の実施形態によれば、前記側部壁の側部壁の該チューブによって担持されるハンドルを備えるワンドが提供される。
【0010】
本発明の別の実施形態によれば、前記ハンドルが前記格納チューブと並んで位置しかつ該チューブの両端を越えて突出しないワンドが提供される。
【0011】
本発明の別の実施形態によれば、前記格納位置において、各チューブが前記格納チューブの有効長を完全に占有するワンドが提供される。
【0012】
本発明の別の実施形態によれば、前記チューブを互いに選択的に錠止するか又はこれらチューブ間の自由運動を可能にするように、隣接するチューブ間に固定機構が設けられるワンドが提供される。
【0013】
本発明の別の実施形態によれば、前記格納チューブと隣接する前記チューブとの間に更なる固定機構が設けられるワンドが提供される。
【0014】
本発明の別の実施形態によれば、前記格納位置において、前記固定機構が互いに隣接して位置するワンドが提供される。
【0015】
本発明の別の実施形態によれば、各チューブが別のチューブを密封するためのシールを担持するワンドが提供される。
【0016】
本発明の別の実施形態によれば、3つのアームが設けられるワンドが提供される。
【0017】
本発明の別の実施形態によれば、前記ワンドが真空掃除機に連結されるように構成されるワンドが提供される。
【0018】
また、本発明は、各チューブが、自身を別のチューブに対して伸張位置に固定するための固定機構と関連しており、前記チューブが後退した時に1つの固定機構が別の固定機構を解放するように前記固定機構が配置されている、複数のチューブを備える家庭電気器具用ワンドを提供する。
【0019】
互いに作動する固定機構を設けることによって、使用者は、ワンドを折り畳むために各個別の固定機構を別個に操作する必要はない。このように、そのようなワンドが通常は使用者に与えるであろう更なる複雑さが無く、全長が短いワンドを後退可能にする、かなり多数の段をワンドに設け得る。
【0020】
好ましくは、各固定機構は、自身が隣接するチューブと関連するチューブを錠止する錠止位置と、自身が前記チューブ間での運動を可能にする解錠位置との間で移動可能である。チューブが後退した時に一方の固定機構が他方の固定機構を押圧して、該他方の固定機構を解錠させるように、隣接する固定機構は、自身のそれぞれのチューブ上に位置づけられる。かくして、コスト及び複雑性に関して不都合な水準となるであろう、固定機構を互いにリンクする必要はない。むしろ、固定機構は、互いに機械的に単純であり従って信頼し得る態様で互いに動作する。
【0021】
好ましくは、各固定機構は、錠止すべきチューブの外面の窪みに位置する突出部を備える。この窪みは、チューブを形削りすることによって、又は内側チューブの壁に開口を形成することによって形成し得る。この突出部は、チューブに並んで位置するアームによって担持し得る。
【0022】
好ましくは、これらのアームは、チューブの周りに回動自在に取り付けられる。これは、突出部を半径方向に移動させる。アームの回動取付はアームを弾発的に曲げ易い材料(例えば、ナイロン)から作ることによって、あるいはチューブの周りを回動し得る分離部分として各アームを設けることによって達成し得る。
【0023】
好ましくは、使用に際して、互いに押圧し合う固定機構の表面はワンドの長手方向軸線に対して傾いており、これにより、固定機構の運動を行うようになっている。
【0024】
ワンドの固定機構は、ワンドが、使用者がチューブを伸張位置に固定するのに別々に各固定機構を操作する必要のない伸張位置にもたらされる時に該伸張位置にワンドのチューブを自動的に固定すべきことも望まれる。
【0025】
これはチューブの端部に隣接して直径が増すカラーを設けることによって達成し得る。固定機構上の突出部は、使用に際して、固定機構及びチューブによって画成される空洞内にカラーを収容かつ保持するように、カラーによって一時的に移動可能になっている。あるいは、突出部は、チューブが伸張位置にもたらされる時に内側チューブの窪みにそれ自体単に着座し得る。この窪みは、チューブを形削りするか又は内側チューブの壁に開口を形成することによって形成し得る。
【0026】
好ましくは、ワンドは互いに対するチューブの回転を阻止する手段を組み込んでいる。このように、使用に際して、使用者は、ワンドの遠位端にある道具の位置を制御することができる。これは、チューブに沿って軸線方向に延在する隆起部と、各固定機構に沿って軸線方向に延在するチャネルとを設けることによって達成し得る。
【0027】
好ましくは、固定機構の1つは、手動で操作可能である。手動操作制御装置は、チューブのうちの最も幅広なチューブ、すなわち、ワンドが完全に後退した時に他のチューブの全てを収容するチューブに設け得る。都合よくは、制御装置は、ワンドを主動操作するためのハンドルに、又は、該ハンドルに隣接して設置し得る
【0028】
好ましくは、チューブのうちの1つは、このチューブの別のチューブに対する複数の別様の錠止位置を備える。これは、使用者がこれら自体の物理的要求事項を調節するために
ワンドの全長を調節することを可能にする。
【0029】
好ましくは、チューブのうちの最も幅広なチューブは、最も幅広なチューブ内の格納位置に複数のチューブを保持するための手段を備える。これは、チューブが格納される時に最も幅狭なチューブ上のカラーを保持するためのフックの形態を取り得る。フックは、チューブが格納位置内に動く時に自動的に作動し得る。
【0030】
好ましくは、最も幅狭なチューブの遠位端は、チューブが完全に後退した時に固定手段の少なくとも幾つかを収容する手段を備える。これは、固定機構を収容するキャップの形態を取り得る。
【0031】
さらに、本発明は、家庭電気器具用ワンドであって、互いに内部で入れ子になるように寸法づけられた複数のチューブを備え、各チューブが、自身を別のチューブに対して伸張位置に固定するための固定機構と関連しており、各固定機構が、前記チューブが伸張した時に、チューブを伸張位置に自動的に固定するように前記固定機構が配置されている。かくして、使用者はチューブを伸張位置に固定するために各固定機構を個々に操作する必要はない。
【0032】
さらにまた、本発明は、家庭用電気器具ワンドであって、互いに内部で入れ子になるように寸法づけられた複数のチューブ、及び複数のチューブを最も幅広なチューブ内の格納位置に保持するようにチューブのうちの最も幅広なチューブがチューブのうちの最も幅狭なチューブと協働する保持手段を備える。通常は、2つのチューブ式ワンドの錠止装置は、2つのチューブを互いに対する何れの位置にも錠止可能にする。複数のチューブを格納位置に保持する最も幅広なチューブに保持手段を設けることは、単純な固定機構、すなわち、チューブが完全に伸張した時にチューブを錠止する必要があるのみの固定機構をチューブの各々に使用可能にする。保持手段は、格納位置にある全てのチューブを保持する機能を助長する。
【0033】
好ましくは、チュ−ブのうちの最も幅狭なチューブはカラーを備え、かつチューブのうちの最も幅広なチューブは、チューブが格納される時に最も幅狭なチューブ上にカラーを保持するためのフックを具備する錠止機構を備える。
【0034】
好ましくは、保持手段は、使用者が保持手段を操作する必要がないように、チューブが格納位置に向けて動く時に自動的に作動する。
【0035】
好ましくは、各チューブはチューブを別のチューブに対して伸張位置に固定するための固定装置と関連し、最も幅狭なチューブの遠位端は、チューブが完全に後退する時に固定機構の少なくとも幾つかを収容するための手段を備える。これは、格納の間に固定手段が損傷しないように保護する。固定手段は、固定機構を収容するための空洞を画成する長手方向に延在する壁を具備するキャップを備え得る。
【0036】
本発明のこれらの更なる態様は本発明の他の態様の記載/特許請求の範囲の特徴的構成の何れかと組合せ得ることが理解される。
【0037】
これらの装置はシリンダ又はキャニスタータイプの掃除機に対して特に有用である。しかしながら、これらは、カーペットクリーニング機械のような、概して真空掃除機の他のタイプ又は他の家庭電気器具に使用し得る。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明による伸張状態のワンドを示す図である。
【図2】本発明による伸張状態のワンドを示す図である。
【図3】後退状態の図1のワンドを示す図である。
【図4】図3のワンドを通して切断した断面図である。
【図5】ワンドが伸張状態に錠止された時の、図1のワンドの一部を通して切断した詳細断面図である。
【図6】図5の断面に示すワンドの部品の詳細図である。
【図7】図1のワンドの別の部分を通して切断した詳細断面図である。
【図8】図1のワンドの格納チューブの錠止機構を示す図である。
【図9】図1のワンドの格納チューブの錠止機構を示す図である。
【図10】図8及び図9の錠止機構の部品をより詳細に示す図である。
【図11】図8〜図10の錠止機構の別の実施形態を示す図である。
【図12】伸張状態に錠止されたワンドの別の実施形態を示す図である。
【図13】図12に示す実施形態の部品をより詳細に示す図である。
【図14】ワンドの格納チューブの錠止機構の別の実施形態を示す図である。
【図15】ワンドの格納チューブの錠止機構の別の実施形態を示す図である。
【図16】図14及び図15に示す錠止機構を具備するワンドを示す図である。
【図17】図14及び図15に示す錠止機構を具備するワンドを示す図である。
【図18】完全に後退しかつ錠止された状態の図16及び図17のワンドの一部を示す図である。
【図19】錠止状態にされたワンドのチューブをより詳細に示す図である。
【図20】錠止状態にされたワンドのチューブをより詳細に示す図である。
【図21】ワンド用固定機構の更に別の実施形態を示す図である
【発明を実施するための形態】
【0039】
本発明の実施形態を添付図面を参照して説明する。
【0040】
図1から図4までに示すワンドは、3つの別個のチューブ20、30、40を備える。これらのチューブは、内部で互いに入れ子にし得るように直径が漸次減少する。3つのチューブは、格納チューブ10に後退可能に収容される。ハンドル12は、使用者がワンドを操作可能にすべく格納チューブ10に連結される。可撓性ホース18は、格納チューブ10の部分16から延在しかつ回転式継手17によってこの部分に連結される。
【0041】
チューブ20、30、40は内部で互いに摺動自在であり、かつ(図3及び図4に示すような)格納位置と、(図1及び図2に示すような)伸張位置との間で動き得る。チューブの端部のみが別のチューブに重なるように、1つのチューブが別のチューブから伸張される。図4は、格納チューブ10内の完全に後退した位置にあるチューブを示す図3の線A−Aに沿った横断面図である。チューブ20、30、40は、直径が漸次狭まり、長さが漸次長くなる。各チューブの長さは、固定機構25、35が互いに並んで置かれている時に、該各チューブが格納チューブ10の有効長を十分に占有するように選択される。
【0042】
チューブ40の遠位端は何れかの周知の態様で、床道具(図示せず)を受容するように構成される。例えば、床ツールは、締まり嵌め、相互連結差込み嵌合、スナップ嵌合連結、ねじ山カラー及びスリーブによって、あるいは何れか他の適切な手段によって、チューブ40に連結し得る。アクセサリーツールも床道具の代わりにチューブ40に取り付け得る。
【0043】
固定機構15、25、35は、チューブが図1及び図2に示す伸張位置にある時に必要とされる、該チューブを互いに錠止するか、あるいは、チューブが図3及び図4に示す格納位置内に後退した時に必要とされる、該チューブの互いに対する自由運動を可能にすることができる。チューブ20を格納チューブ10に固定するために、固定機構15が格納チューブ10に設けられる。チューブ20をチューブ30に固定するために別の固定機構25が該チューブ20の遠位端に設けられる。チューブ30をチューブ40に固定するために更なる固定機構35が該チューブ30の遠位端に設けられる。
【0044】
図5は、チューブ20上の固定機構25をより詳細に示し、図6は、固定機構25及びチューブ20の端部の別の視図を示す。チューブ30上の固定機構35は同じ態様で働く。固定機構25は、チューブ20の外部周りに嵌合するリング250を備える。リング250の第1環状部分251は、チューブ20の端部から前向きに突出し、かつチューブ20自体の直径より狭い直径を有する開口を形成する。これは、リング250がチューブ20に対する固定位置に留まることを可能にする。環状部分251の開口の直径は、チューブ20の直径より狭いが、チューブ30を受容するには十分な大きさである。第1環状部分251は傾斜した前部面252を備える。第1環状部分251の軸線方向後部には、第2環状部分253がある。第2環状部分253は、第1環状部分251に連結され、かつ該第1環状部分から後向きに軸線方向に延在する複数のアーム(図6では全体的に259として示されている)を備える。各アーム259間には、チューブ20の外面に沿って嵌合する円弧形状部分258がある。円弧形状部分258も、第1環状部分251に連結されかつアーム259より短い距離に対して軸線方向に後向きに延在する。円弧形状部分258及びアーム259は、狭いギャップ257によって周方向に分離される。3つのアーム259が示されており、これは好ましい最小数であることが分かっているが、他の数のアーム259も設け得る。
【0045】
固定機構25は、更に1組の突出部265も備える。これらは、チューブ20上の対応する開口264に位置する形状構成物(features)を保持している。チューブ30の端部はカラー310を備えて成り、このカラーは自身の左までのチューブ30の残部に比較して拡大した直径を有する。カラー310は、図5に示すように、チューブ30を形削りすることによって、チューブの厚さを増加させることによって、あるいはカラーが必要とされる場所におけるチューブの周りに付加的なリング材料を固定することによって、形成し得る。別のチューブを密封するために、各チューブにはシール260が設けられる。シール260は、チューブ30の一端に設置されかつチューブの内面に固定される。シール260は、適所に接合又は留めることができる。チューブ30の最後部の環状部分312は、カラー310と同じ直径を有するものとして示されている。部分312は、チューブ20の隣接壁を押圧しかつチューブを安定化するように働き、及び部分312はシール260をチューブ20の内壁に支持可能にもするから、これは好ましい。しかしながら、環状部分312はチューブ30の残部と同じ直径を有し得る。
【0046】
アーム259の各々は、チューブ20の壁にある開口263を貫通して延在する半径方向内向きに延在する突出部254を備える。チューブ20、30が図示するような錠止位置にあると、突出部254はチューブ20、30を一緒に錠止するように、チューブ30に形成された窪み314にも位置する。アーム259は、傾斜した面256を具備する半径方向外向きに延在する部分255も備える。固定機構は、突出部254と共にアーム259が外向きに屈曲しかつ破断せずに図示した位置へ戻ることを可能にするには十分に弾発的である材料から作られる。カラー310は、自身が環状部分251と突出部254の間で捕捉されると、チューブ20内にチューブ30を保持する働きをする。環状部分314はカラー310より狭い直径を備えており、固定機構の突出部254を受容するために窪み314を形成する。チューブ20、30を解放するために、アーム259は環状部分251周りに回動して半径方向外向きに屈曲する。これは、突出部314をチューブ内の窪み314及びカラー310の外側から解放する。万一これが必要ならば、各アーム259の内面266はアームが使用者によって容易に把持されることを可能にする凹面プロファイルを備える。
【0047】
シール260は、このシールがより大きなチューブ20の内面に密封することができるように、チューブの端部を越えて軸線方向及び半径方向に延在する。チューブ20の軸線方向のいちばん端の部分は、シール260がチューブ20の内面に上手く嵌合することができるように、チューブの残部より狭い直径を有する。狭い端部直径への直径遷移は、チューブの部分220として示されている。
【0048】
図7〜図9は、格納チューブ10の固定機構をより詳細に示す。簡易化のために、解放キャッチ15及びチューブ20(キャッチ15が作用するチューブ)のみを示す。解放キャッチ15は、格納チューブ10の壁を越えて突出しかつキャッチを解放するために手動で操作し得る部分151を具備するリング形状部材155を備える。解放キャッチ15は、該キャッチがチューブ10の長手方向軸線に直角な平面内で動き得るように、チューブ10(図示せず)によって支持される。キャッチ15の作動部分はリング状部材155から半径方向内向きに延在する突出部152である。図9に示すように、チューブ20が格納チューブ10から完全に引き抜かれると、突出部152はチューブ20の外面に形成されたチャネル156に位置し、かつチューブをこの伸張位置に錠止する働きをする。突出部152の切込み154はチューブ20上に位置する隆起部22を収容しかつチューブ10、20が互いに対して捩れないように阻止する働きをする。格納チューブ10の最前部は、傾斜面102と、チューブ10及び(上述したカラー310と類似した)チューブ20上に位置するカラー110の両方よりも狭い直径とを備える。かくして、カラー110は格納チューブ10から引き抜くことができない。傾斜面102は、以下により詳細に説明するように、チューブが潰れた時に固定機構25を解錠する働きをする。シール210は、チューブ10を収容するためにチューブ20を密封する。
【0049】
好ましくは、チューブは互いに対して捩じるべきではない。上述したように、軸線方向に延在する隆起部22が各チューブ20、30、40の外面に沿って設けられる。各固定機構は、隆起部を収容し得るチャネル(267、図6)を備える。使用に際して、チューブが互いに対して摺動するがチャネル267がチューブ間の何れの回転運動をも阻止するとき、隆起部22はチャネル267内で摺動する。隆起部22はそれぞれのチューブと同時に押出し品として形成し得る。
【0050】
肉体的な寸法(背の高さ、腕の長さ)が異なる使用者が快適にワンドを使用し得るように、異なる全長長さに亘る範囲でワンドを調節し得ることが好ましい。この要求を満たすために、最上部のチューブ20には、図11に示すような、複数の別の錠止位置230が設けられている。都合よくは、これらの錠止位置は、チューブ20の長さに沿って延びる隆起部22の切込み230として設けられる。そのような実施形態では、解放キャッチ15は、図10に示すような切込み154を備えていない。代わりに、突出部152は、これらの錠止位置切込み230の1つに位置することができるように連続している。これは、チューブ20が格納チューブ10に対して幾つかの異なる位置の何れか1つに錠止されることを可能にする。
【0051】
これらのチューブ10、20、30、40は、スチール又はアルミニウムのような金属、あるいは硬いプラスチック材料でさえからも作り得る。これらのチューブは一定厚さの材料から作ることが好ましく、上述した隆起部及びチャネルはこれらのチューブを形削りすることによって形成される。これは、最終製品の重量を最小化する利点を有する。
【0052】
上述した実施形態では、固定機構15、25、35はナイロン複合物のような弾発的な可撓性材料から作られる。しかしながら、アーム259の等価な回動運動は、各アーム259を別個の部分として製造しかつ各アーム259と、固定機構25の残部との間にピボットを設けることによって達成し得る。アーム259の弾発性は、アームとチューブ、あるいはアームと固定機構の固定部分との間にばねを取り付けることによって達成し得る。
【0053】
上述した実施形態はチューブから分離した部分として固定機構25、35を示すが、固定機構はチューブと一体に製造し得る。プラスチック固定機構は、金属製チューブの周りにモールド成形し得る(あるいは別様に形成し得る)。あるいは、プラスチック製固定機構は、プラスチックチューブとモールド成形し得る(あるいは別様に形成し得る)。
【0054】
ここで、ワンドの動作を説明する。ワンドを伸張するために、使用者はハンドル12によって格納チューブ10を保持しかつ最も狭いチューブ40を格納チューブ10から離して軸線方向に引っ張る。チューブ20、30、40の各々は、チューブ10から外向きに摺動する。チューブが格納チューブ10から摺動して出る程度は、隣接するチューブ/固定機構間に存在する摩擦の量によって決定されるから重要ではない。各チューブが別のチューブに対して伸張位置に到達する時(例えば、チューブ30が図5に示す位置に向けてチューブ20に対して摺動する時)、チューブ20、30は自動的にこの伸張位置に錠止する。図5を参照すると、固定機構25の突出部254は、傾斜面256がチューブ30のカラー310上に載るように半径方向外向きに押し込まれる。突出部254は、この時、それ自体、チューブ30内の窪み314に着座する。チューブ30は、カラー310に当接する固定機構の環状部分251によって更に外向きに摺動することが阻止される。チューブ30のカラー310は、ここで、環状部分251及び突出部254の垂直面間にしっかりと保持されるので、長手方向の何れにも動くことができない。かくして、チューブ30は、ここで、チューブ20に対して錠止される。シール260は、チューブ20の内向きにテーパが付された部分220を密封する。チューブ40は、自身が完全な伸張位置に到達した時に、類似の態様でチューブ30に対して錠止する。一旦、チューブが全て錠止し合うと、ワンドは使う準備が整っている。チューブの各々は、使用者が各チューブに固定機構を別個に作動させる必要無く自動的な態様にて伸張位置で噛み合うことが理解される。
【0055】
ワンドを折り畳む手順をここに説明する。使用者は、最初に、格納チューブ10のキャッチ15を解放する。これは、キャッチをチューブ20から解放する。使用者はチューブ40の遠位端をチューブ10に向けて軸線方向に動かす。これは、チューブ20を格納チューブ10内で摺動させる。一旦、チューブ20が格納チューブ10内に完全に後退すると、固定機構25は(図7に示すように)格納チューブ10の先端102を押し込み、かつ固定機構25のアーム259を半径方向外向きに曲げさせ、かくして、チューブ20からチューブ30を解錠する。チューブ30は、この時、固定機構35が固定機構25を押圧するまでチューブ20内に後退可能である。上述したように、これは、チューブ40をチューブ30から解錠するために固定機構35のアームを半径方向外向きに曲げさせる。使用者がチューブ40を押し続けると、チューブ40はチューブ30内に後退可能であり、かくして、ワンドは完全に後退する。完全なワンドの後退は、使用者が各固定機構25、35を別個に操作する必要無く、1つの連続した素早い動きを行うことができる。
【0056】
図12及び図13は、図5及び図6に示す実施形態と類似の図を使ってワンドの別の実施形態を示す。上述したように、チューブ20′及び30′はワンドの2つの隣接する段を表す。この実施形態における主な差異は、図5のチューブ30のカラー310がチューブ30´の一部を構成する傾斜面470で置き変えられてることと、図5の突出部254が、自身の側部上の傾斜面256というよりもむしろ各側部上で真っ直ぐに半径方向に延在する面を具備する突出部454によって置き換えられていることである。この別様の装置は、チューブ30′が錠止位置に向けて伸張される時、突出部454が半径方向外向きに動くという点で、上述の実施形態と同じ機能を達成する。ここで、突出部454と協働するチューブ30′の傾斜面470によって動きがなされる。図19及び図20は、2つの実施形態をより詳細に比較している。
【0057】
図12に示す実施形態には幾つかの他の差異がある。チューブ30′は、チューブの外面に、形作られた窪みというよりはむしろ該チューブに型押しされた開口414を備える。これは、製造するのが単純であることが分かっている。チューブ30′がここで自身の外壁に開口を有するという事実を補償するために、シール460が長手方向でチューブ30′内に更に延在する。シール460の最も内側の部分はチューブ30′の傾斜面470の内壁の両方に当接し、シール460の最も外側の部分462はチューブ20′の内壁に当接する。使用に際して、突出部454は、チューブが錠止される時には、それ自体で開口414に着座する。何れかの長手方向のチューブ30′の動きは、突出部454の半径方向面によって阻止される。この装置構成は、前述した装置構成と比較して、チューブが錠止される時により確実であることを使用者に示すことが分かっている。
【0058】
図14及び図15は、この実施形態では10′として示される格納チューブ10のための別の錠止機構500を示す。図14は、格納チューブ10′に対する伸張かつ錠止位置にある最も幅の広いチューブ20′を示す。錠止機構500は、アクチュエータ部材510及び錠止レバー560を備える。アクチュエータ部材510は、ピボット520の周りで格納チューブ10′に回動自在に取り付けられる。錠止レバー560は、ピボット540の周りで格納チューブ10′の別の部分に回動自在に取り付けられる。アクチュエータ部材510は、錠止レバー560の傾斜面535を押圧するリブ515を担持する。使用に際して、580で示す方向へのアクチュエータ部材510の動きは、錠止レバー560を585で示す方向に上昇又は下降させつつ、リブ515を傾斜面535に沿って載るようにさせる。錠止レバー560の突出部530は、チューブ20′の位置を錠止するために該チューブ20′の壁の窪み590に着座する。アクチュエータ部材510を作動させると、突出部530を自身の着座位置から上昇可能にし、かくしてチューブ20′を後退可能にする。錠止レバー530は、チューブ40′の遠位端にあるキャップ600上にカラー610を保持し得るフック550も担持する(図16及び図17を参照)。全てのチューブが格納チューブ10′内に後退する時、キャップ600は格納チューブ10′の端部に並んで位置し、かつフック550はカラー610上に係合し得る。アクチュエータ510が作動してフック550を解放するまで、全てのチューブ20′、30′、40′はこのように格納チューブ10′内にしっかりと保持される。フック550の先端は、チューブが格納チューブ10′内部に後退される時にカラー610によって移動し得る傾斜面551を備える。これは、チューブが(図18に示す)収納位置に向けて動く時に、フック550が自動的にカラー510上に載り、こうしてキャップ600を保持することを可能にする。カラー610は、分離取付具600の一部としてよりはむしろチューブ40′の一部として設け得ることが分かる。格納位置では、キャップ600は他の段の固定機構の全てを収容し、かくして格納の間にこれらのチューブを保護する働きをする。
【0059】
ここに記載した錠止装置は、チューブ20′が種々の伸張位置で錠止されることを可能とするように、図11に正に示す装置と同じ態様で働き得る。最上部のチューブ20′には、図14に590として示すタイプの1組の錠止窪みが設けられる。これらの錠止位置は、チューブ20′の長さに沿って延びる隆起部595内の更なる切込み590として設け得る。
【0060】
図21は、チューブ用固定機構のための更なる別の実施形態を示す。ここでは、前述の実施形態のアーム259、459が、半径方向に移動可能な錠止部分700によって置き換えられている。錠止部分700は、チューブ20′の周りに嵌合するリング740の後向きに延在するリブ745によって保持される。ばね750は、リブ745と錠止部分700との間で作用しかつチューブ30′に向けて錠止部分700を偏倚させる働きをする。この実施形態は前述した実施形態と同じ態様で働き、使用者による手動操作が無くても錠止位置及び解錠位置の両方を自動的に推定する。使用に際して、1つの錠止機構上のカラー740の傾斜した先端741は、チューブを自動的に解錠するように隣接する錠止機構の傾斜面を押圧する。錠止部分700は四角い突出部720を具備して示されているが、この錠止部分は図19に示すタイプの傾斜面を備え得る。
【0061】
図面に示したワンドは、格納チューブに加えて、3つの別個なチューブ又は段を備えるが、このワンドは2段のみ又は3段以上の多数の段を備え得ることが分かる。各付加段は、図示した実施形態の25、35として示される固定機構と同じタイプの固定機構を備える。ハンドルは収納チューブの一部として示してきたが、ハンドルは、図1に示す部分16に代わって、収納チューブの遠位端の内側に嵌合するエルボ形状のパイプとし得る。
【符号の説明】
【0062】
10 貯蔵チューブ
12 ハンドル
15 固定機構、キャッチ
16 貯蔵チューブに部分
17 回転式継手
18 可撓性ホース
19 格納チューブ
20、30、40 チューブ
20´、30´ チューブ
22 隆起部
25、35 固定機構
102 先端
151 手動で操作し得る部分
152 突出部
154 切込み
155 環状部材
156 チャネル
220 テーパが付された部分
230 錠止位置切込み
250 リング
251 第1環状部分
252 前部面
254、255 突出部
256 傾斜面
258 円弧形状部分
259、459 アーム
260 シール
265 突出部
266 内面
267 チャネル
310 カラー
312 部分
314 環状部分
590 切込み
595 隆起部
700 錠止部分
720 突出部
740 カラー
741 先端
745 リブ
750 ばね

【特許請求の範囲】
【請求項1】
家庭電気器具用ワンドであって、
伸張位置と格納位置との間で可動であるように互いに内部で入れ子になるように寸法づけられた複数のチューブと、
前記チューブが前記格納位置に位置している場合に格納チューブ内部に後退するようになっている前記格納チューブと、
前記格納チューブを前記家庭電気器具に流通させるためのチューブと、
を備えている前記家庭電気器具用ワンドにおいて、
前記格納チューブが、前記チューブが後退された場合に前記チューブのうち最小径のチューブと係合するように動作する錠止レバーを含んでおり、これにより前記格納位置において前記チューブを共に保持することを特徴とする家庭器具用ワンド。
【請求項2】
複数の前記チューブのうちの最小径のチューブは、自身の遠位端に、キャップを具備し、
前記キャップはカラーを有しており、かつ
前記格納チューブは、自身の遠位端に、前記キャップのカラーと係合する突出部を具備し、これにより、複数の前記チューブが全て前記格納チューブ内に後退した時、前記突出部は前記カラーに係合して前記キャップは前記格納チューブの遠位端に並んで位置し、かつ前記格納位置では、前記キャップは複数の前記チューブの遠位端の全てを収容する、請求項1に記載の家庭電気器具用ワンド。
【請求項3】
前記突出部は、先端側が前記カラーに向かって拡開するように基端側が前記格納チューブに回動自在に取り付けられた錠止レバーであって、該錠止レバーの先端部は前記キャップの前記カラーを保持し得るフックとされており、かつ、該フックの先端部は、該錠止レバーと前記キャップとが係合する際に、該フックが前記キャップの前記カラー上に載り上がるよう傾斜面に形成されていることを特徴とする、請求項2に記載の家庭器具用ワンド。
【請求項4】
前記格納チューブは、使用者が前記ワンドを操作可能にするハンドルを担持する、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載のワンド。
【請求項5】
前記ハンドルは、前記格納チューブの側部壁の該チューブによって担持される、請求項4に記載のワンド。
【請求項6】
前記ハンドルは前記格納チューブと並んで位置しかつ該チューブの両端を越えて突出しない、請求項5に記載のワンド。
【請求項7】
前記格納位置において、各チューブは前記格納チューブの有効長を完全に占有する、請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載のワンド。
【請求項8】
前記チューブを互いに選択的に錠止するか又はこれらチューブ間の自由運動を可能にするように、隣接するチューブ間に固定機構が設けられる、請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載のワンド。
【請求項9】
前記格納チューブと隣接する前記チューブとの間に更なる固定機構が設けられる、請求項8に記載のワンド。
【請求項10】
前記格納位置において、前記固定機構が互いに隣接して位置する、請求項8または請求項9に記載のワンド。
【請求項11】
各チューブが別のチューブを密封するためのシールを担持する、請求項1から請求項10までのいずれか1項に記載のワンド。
【請求項12】
3つのアームが設けられる、請求項1から請求項11までのいずれか1項に記載のワンド。
【請求項13】
前記ワンドが真空掃除機に連結されるように構成される、請求項1から請求項12までのいずれか1項に記載のワンド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2010−279798(P2010−279798A)
【公開日】平成22年12月16日(2010.12.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−213801(P2010−213801)
【出願日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【分割の表示】特願2007−230350(P2007−230350)の分割
【原出願日】平成14年2月27日(2002.2.27)
【出願人】(500024469)ダイソン・テクノロジー・リミテッド (56)
【Fターム(参考)】