説明

家禽類の脱毛装置

【課題】鶏体の大小に関わらず、鶏体に損傷を与えず鶏体の脱毛効果を維持できる家禽類の脱毛装置を実現する。
【解決手段】複数の弾性を有する脱毛フィンガ31と、該脱毛フィンガ31を保持する回転盤32と、該回転盤32を軸方向にスライド可能に保持するように回転盤32に連結された回転軸36と、を有する可動部3と、回転軸36を軸支する軸受41を有し回転軸36が挿入される静止部4と、を備える家禽の脱毛装置1であって、可動部3はさらに、回転盤32が取り付けられる主回転部33と、回転軸36が内嵌され主回転部33と静止部4との間に設けられた副回転部34と、主回転部33と副回転部34との間に設けられたスプリング35とを有し、主回転部33は副回転部34に対して回転軸方向に沿ってスライドする構成にされている。具体的には、主回転部33と副回転部34は係合され、主回転部33又は副回転部34が回転すると副回転部34又は主回転部33は連れ回りする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、食肉用の鶏、鴨、七面鳥その他の家禽類の脱毛装置に関する。特に、回転盤に複数の脱毛フィンガが取り付けられた家禽類の脱毛装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、食肉用の鶏、鴨、七面鳥その他の家禽の脱毛装置として、円盤状の回転盤に複数の脱毛フィンガが取り付けられた装置が知られている(例えば、特許文献1ないし特許文献3参照)。特許文献1には、複数の脱毛フィンガが取り付けられた円盤を回転させると、ゴム製の脱毛フィンガが回転力により逆回転方向に撓みつつ遠心力により半径方向外方に撓み鶏体表面で掃引運動することが開示されている(特許文献1の図7参照)。
また、特許文献2には、鶏体搬送方向に沿って多数の回転フィンガ装置が配設された脱毛装置が開示されている。この脱毛装置では、鶏体の左右側と下側とに回転フィンガ装置が配設されている。この左右に配設された回転フィンガ装置は、特許文献3では、回転フィンガ装置が取り付けられたフレーム毎に、鶏体に接近又は離隔する方向に移動可能に構成されている。この取付けフレームの移動により鶏体を挟持する力がロット毎に調整される。この構成は、特に、家禽の種類を変更する場合に有意義である。以下、従来の家禽類の脱毛装置について図面を用いて説明する。
【0003】
図11は、従来の家禽類の脱毛装置の概略を示している。図に示すように、鶏体Kは一列に並んで搬送される。鶏体Kの幅方向と鶏体搬送方向とが同一方向になるように鶏体Kは配置されている。鶏体搬送ラインLを挟んでその両側には脱毛装置100が設けられている。各脱毛装置100には、複数機の回転フィンガ装置101が設けられている。この回転フィンガ装置101は、鶏体Kの羽根を脱落させるためのゴム製の脱毛フィンガ102と、この脱毛フィンガ102が固設された円盤103と、この円盤103を回転させる回転軸104とを有している。隣り合う円盤103同士は対となって、相互に逆回転する。脱毛フィンガ102で鶏体Kの羽根を脱落させる際に、隣り合う円盤103同士を相互に逆回転させることによって、横方向の力を打ち消し、鶏体Kの揺動を低減させるためである。
【0004】
図に示すように、鶏体Kは個体毎に大きさが異なるため、ゴム製の脱毛フィンガ102は、鶏体Kが太くなる程、円盤103の半径方向外方に向けて撓む。脱毛フィンガ102は円盤毎に複数設けられ、円盤103は例えば1000rpmで高速回転する。図では、円盤103の遠心力による脱毛フィンガ102の撓みを考慮しないで描画されている。
また、脱毛装置100は鶏体搬送方向と直角方向に、即ち鶏体に対して接近又は離隔する方向に移動可能であり、家禽の種類に合わせて設置位置を調節可能である。
【0005】
図12は脱毛装置100の幅方向断面を示している。図に示すように、鶏体Kの左右には回転フィンガ装置101が3機ずつ設けられている。上段の回転フィンガ装置101は、鶏体Kの手羽先と同程度の高さに配置されているため、脚部の羽根を脱毛するためにやや下方に傾斜して配置されている。中段の回転フィンガ装置101は、鶏体中央部、即ち、鶏体Kの丸みを帯びた胸部や腰部と同程度の高さにされているため、脱毛フィンガ102が水平方向に沿うように配置されている。下段の回転フィンガ装置101は、鶏体Kの頭部と同程度の高さに配置されているため、やや上方に傾斜して配置されている。これら回転フィンガ装置101には、それぞれ複数本の脱毛フィンガ102が設けられる。例えば、円盤103の円周方向に沿って6本配設されるか、又は正方形を描くように8本配設される(例えば、特許文献4の第2図及び第5図参照)。
【0006】
上段の回転フィンガ装置101の脱毛フィンガ102は、鶏体Kの股部や脚部に接触して、この部位の羽根を脱毛する。中段の回転フィンガ装置101の脱毛フィンガ102は、鶏体Kの丸く膨らんだ胸部や腰部などの胴部に接触して、この部位の羽根を脱毛する。脱毛フィンガ102はゴム製であり、鶏体Kに深くくい込むため、脱毛フィンガ102の先端側は湾曲する。回転フィンガ装置101は左右方向へ移動可能であるため、その調整を行えば脱毛フィンガ102の湾曲の程度を増減することができる。また、鶏体Kの大きさは不規則であり、正規分布に従うため、鶏体毎に脱毛フィンガ102の湾曲形状は異なる。
下段の回転フィンガ装置101の脱毛フィンガ102は、鶏体Kの頭部や首部に接触して、この部位の羽根を脱毛する。これら回転フィンガ装置101を鶏体Kに当接させて脱毛フィンガ102を周回運動させることで、コンベア105に連結された金属製のハンガ106に吊下された鶏体Kの全身から羽根を脱毛する。
【0007】
図13は、回転フィンガ装置101の構造の詳細を示している。ただし、カバーケースは図示省略してある。この回転フィンガ装置101は、回転軸104と、この回転軸104を軸支する軸受107A,107Bと、回転軸104が挿通され軸受107Aが内嵌されたケーシング108とを有している。そして、回転軸104の先端にボルトBを用いて円盤103が取り付けられ、この円盤103に9本の脱毛フィンガ102が設けられている。9本のうち3本の脱毛フィンガ102は回転板中央側に120度間隔で3箇所に設けられており、残り6本の脱毛フィンガ102は円盤103の外周端側に60度間隔で6箇所に設けられている。
【0008】
図14(a)は、円盤103は回転しているが、鶏体が搬送される前の状態を示している。この状態では、ゴム製の脱毛フィンガ102は撓んでおらず水平に延びている。なお、脱毛フィンガ102は、円盤103が回転すると遠心力により円盤103の半径方向外方へ撓む。しかし、図14ではこの遠心力による撓みを図示していない。
鶏体が搬送されてくると、図14(b)に示すように、鶏体Kが脱毛フィンガ102に圧接し、脱毛フィンガ102は円盤103の半径方向外方に撓む。この状態では、脱毛フィンガ102はその弾性力で鶏体Kを付勢する。そして、脱毛フィンガ102の大きな摩擦力で鶏体Kの羽根をこすり落とす。なお、図14(b)で、遠心力による脱毛フィンガ102の撓みは図示されていないので、実際の脱毛フィンガ102の変形は図示する変形量に、遠心力による変形量が加わる。
【0009】
図14(b)の鶏体Kより太った鶏体Kが搬送されると、図14(c)に示すように、脱毛フィンガ102はさらに大きく撓む。しかし、脱毛フィンガ102が大きく撓むと、鶏体Kへ付加される力が増加するため、鶏体Kを傷めるおそれがある。以下、鶏体の損傷度について説明する。
【0010】
図15(a)に示す鶏体Kの腹部E又は背部Fの断面を図15の(b)〜(f)に示す。図15(b)は鶏体Kに損傷が発生していない損傷度0の状態である。この状態では、鶏体Kの鳥肌は全て残っており、手で触るとグリップ感がある。そして、肉110、脂111及び皮112は隙間なく層状に貼り付いており整っている。
図15(c)は鶏体Kに損傷が少し発生した損傷度1ないし2の状態を示す。ここでは鳥肌は少し潰れており、手で触ると図15(b)の場合ほどではないが引っ掛かり感がある。図15(d)は比較的大きな損傷が鶏体に発生した損傷度3の状態を示している。皮112が肉110から一部剥がれ、鶏体表面に皺が発生している。この皺は手で触っても目視でも認識できる程度のものである。そして、さらに損傷が大きくなると、図15(e)に示すように、皮112が破れ、そこから脂111が漏出し、水疱111Aが発生する。この鶏体Kの表面を手で触るとヌメリ感がある。この状態が損傷度4である。さらに損傷が進むと。図15(f)に示すように、皮112が完全に破れ、肉110が露出する。この状態が損傷度5である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】特公昭45−84号公報
【特許文献2】特公昭45−11094号公報
【特許文献3】特開昭49−47166号公報
【特許文献4】特開昭61−227727号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
従来の家禽類の脱毛装置では、鶏体Kが大きいか又は太いと、脱毛フィンガ102の鶏体Kへの付勢力が平均的な鶏体Kの場合より大きくなり、鶏体Kに図15に示したような損傷が発生するおそれがある。鶏体の損傷が進むと、皮膚表面のバクテリアが肉110に入り込んで、腐敗の進行が早いという問題がある。
一方、鶏体Kが平均的な鶏体Kより小さいと、脱毛フィンガ102の付勢力が鶏体Kに十分に伝わらず、鶏体Kの脱毛が不完全に終わり、鶏体Kに羽根が残ることがあった。そのため、従来、ハンガ106に吊下された鶏体Kの重量に合わせ、軽量な鶏体Kと重量の重い鶏体Kとを黙殺、無視して処理することが行われていた。
【0013】
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、家禽類の大小に関わらず、鶏体の損傷を無くすと共に、未脱毛部が残らない脱毛処理を可能とすることによって、鶏体の歩留まりを向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明はかかる課題を解決する手段としてなされたもので、本発明の家禽類の脱毛装置は、
複数の弾性を有する脱毛フィンガと、該脱毛フィンガを保持する回転盤と、該回転盤を軸方向にスライド可能に保持するように該回転盤に連結された回転軸と、を有する可動部と、該回転軸を軸支する軸受を有し該回転軸が挿入される静止部と、を備え、
回転する前記脱毛フィンガを鶏体に押し付けて脱毛するようにした家禽類の脱毛装置において、
前記可動部はさらに、前記回転盤が取り付けられる主回転部と、前記回転軸が内嵌され前記主回転部と前記静止部との間に設けられた副回転部と、該主回転部と該副回転部との間に設けられた弾性部材とを有し、
該主回転部は該副回転部に対して該回転軸の軸方向に沿ってスライドする構成にされていることを特徴とする。
【0015】
本発明では、脱毛フィンガを備える可動部が静止部に対して回転し、回転する脱毛フィンガを鶏体の表面に押し当て、その摩擦力で家禽の羽根を脱毛する。鶏体に脱毛フィンガが接触することで鶏体に負荷がかかると、まず脱毛フィンガが屈曲することで、鶏体に加わる負荷が過剰になるのを防止する。この脱毛の際に、平均的な家禽より太っていても、主回転部と副回転部との間に弾性部材が介挿されているので、鶏体に加わる負荷が臨界値を超えると、脱毛フィンガが後退する。そのため、鶏体に過度の負荷が加わるのを防止できる。そのため、従来よりも脱毛フィンガを鶏体に近づけて配置することができ、鶏体が痩せていても脱毛効果を維持できる。
弾性部材が設けられていない従来の脱毛装置では、弾性を有する脱毛フィンガの変形のみで家禽の大きさに対応していたため、鶏体に加わる負荷が臨界値を超えて、図15で説明した損傷が鶏体に起こる場合がある。
【0016】
従って、本発明では、鶏体の大小に関わらず、鶏体の脱毛効果を向上できる。本発明により、鶏体の胸部や腰部の揉み過ぎを防止することができ、鶏体の損傷を低減できる。そのため、鶏体内へのバクテリアの侵入を低減できるので、鶏体の日持ちがよくなる。また、鳥肌が潰れて脂が表面に漏出することを防止することができる。また、肉と皮の分離の問題や皮に皺が発生する問題を解消することができる。また、表面の薄皮に水泡が発生する問題を解消することができる。また、表面の皮が切れたり肉が露出したりすることがない。そのため、鶏体の商品価値を維持できる。
【0017】
本発明装置において、前記主回転部と副回転部は係合され、主回転部又は副回転部が回転すると副回転部又は主回転部は連れ回りするように構成するとよい。この構成では、主回転部又は副回転部のうちのどちらか一方を回転軸に連結すればよい。これによって、主回転部及び副回転部による弾性部材の支持機構を簡素化できる。
【0018】
本発明装置において、前記主回転部が副回転部に対して回転軸方向に沿ってスライドするようにガイド部を形成するとよい。ガイド部を形成すると、主回転部をスムーズにスライドさせることができる。例えば、主回転部を一直線にスライドさせることができる。
【0019】
主回転部と副回転部とは、キー部とキー溝とにより係合させるとよい。これによって、主回転部と副回転部との係合を確実にすることができる。従って、主回転部と副回転部間で時計回り方向又は反時計回り方向の回転を容易に伝達できるので、隣接する回転フィンガ装置を相互に反対方向に回転させることが容易になり、脱毛時の鶏体の位置を安定させることができる。
【0020】
また、本発明装置において、回転軸の先端側には可動部の移動を規制する規制部材を設け、該規制部材の装置前面側を覆うカップリング部材を設けるようにするとよい。該規制部材を設けることによって、可動部が回転軸から抜け落ちることがなくなる。また、規制部材を設けることで回転軸先端部の構造が複雑化しても、該カップリング部材の存在により、該回転軸先端部に羽根詰まり現象が起こるのを防止できる。
【0021】
また、本発明装置において、弾性部材としてスプリングを用いた場合は、副回転部にはスプリングの一端が挿入されるスプリング受部を形成するとよい。これによって、スプリングを安定して保持できる。
【0022】
また、本発明装置において、脱毛フィンガを保持する回転盤を円盤状に形成し、該回転盤の半径方向外方に向かうに連れて回転盤を脱毛フィンガ先端側に傾斜させるようにするとよい。回転盤の回転時に弾性を有する脱毛フィンガは遠心力により回転盤半径方向外方に撓む。前記構成により、回転盤を高速回転させる場合でも脱毛フィンガの向きを鶏体側へ向けて配置できる。これによって、回転盤を高速回転させることにより、鶏体の羽根の脱毛力を増大できる。
【0023】
前記構成において、主回転部が回転盤を保持する保持部を有するようにし、また、該回転盤に周方向に設定された角度間隔を置いて外周端からスリットを入れて複数の扇部を形成し、さらに、該扇部を脱毛フィンガ先端側に傾斜させるようにするとよい。
これによって、扇部の傾斜を適宜調整でき、脱毛フィンガの向きの最適化を図ることが容易になる。また、回転盤をプレス成形により形成すれば、廉価である。
前記構成に加えて、 円盤状の回転盤の中央側には湾曲した第2のスリットにより馬蹄部が形成され、該馬蹄部は該保持部に固定されるようにするとよい。これによって、馬蹄状の小片部を該保持部に固定すれば、傾斜した回転盤を保持部に確実且つ容易に取り付けることができ、取り付け強度を向上できる。
【発明の効果】
【0024】
本発明の家禽類の脱毛装置では、可動部は、回転盤が取り付けられる主回転部と、回転軸が内嵌され主回転部と静止部との間に設けられた副回転部と、主回転部と副回転部との間に設けられた弾性部材とを有し、主回転部は副回転部に対して回転軸方向に沿ってスライドする構成にされているので、家禽の大小に関わらず、家禽の損傷を抑えながら未脱毛部を低減でき、鶏体の商品価値と脱毛効果を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】図1は、本発明の家禽の脱毛装置の第1実施形態を模式的に示す説明図である。
【図2】図2は、図1の脱毛装置の詳細を示す説明図である。図2(a)は、図2(b)のA−A線に沿う断面を示しており、回転フィンガ装置からカバーケースを取り除いた断面構造を示している。図2(b)は、図2(a)の回転フィンガ装置をフィンガ側の正面から視た形態を示している。
【図3】図3は、図2の回転フィンガ装置の斜視図である。
【図4】図4は、図2の回転フィンガ装置の分解斜視図である。
【図5】図5は、キー溝が形成された主回転部とキー部が形成された副回転部とを示す斜視図である。
【図6】図6は、脱毛フィンガと鶏体との位置関係を示す説明図である。図6(a)は、回転フィンガ装置が作動していない状態を示している。図6(b)は、回転フィンガ装置が作動している状態を示している。図6(c)は、鶏体に周回運動中の脱毛フィンガが当接している状態を示している。ただし、図6(c)では遠心力による脱毛フィンガの変形を無視している。
【図7】図7は、脱毛フィンガと鶏体との位置関係を示す説明図である。図7(a)は、図6(c)の鶏体より太めの鶏体に脱毛フィンガが当接している状態を示している。図7(b)は、過度に大きい鶏体に脱毛フィンガが当接している状態を示している。
【図8】図8は、本発明の家禽の脱毛装置の第2実施形態に用いる脱毛装置を示す説明図である。図8(a)は、図8(b)のB−B線に沿う断面を示しており、回転フィンガ装置からカバーケースを取り除いた断面構造を示している。図8(b)は、図8(a)の回転フィンガ装置をフィンガ側の正面から視た形態を示している。
【図9】図9は、回転盤が回転しているときの回転盤周囲の構造を示す断面図である。
【図10】図10は、本発明の家禽の脱毛装置の第3実施形態に用いる回転盤を示す説明図である。図10(a)は、回転盤の正面図であり、図10(b)は、図10(a)のC−C線に沿う断面図である。
【図11】図11は、従来の家禽の脱毛装置の概略を示す説明図である。
【図12】図12は、図11の脱毛装置の幅方向に沿った断面図である。
【図13】図13は、従来の家禽の脱毛装置を示す説明図である。図13(a)は、図13(b)のD−D線に沿う断面を示している。図13(b)は、図13(a)の家禽の脱毛装置を脱毛フィンガ先端側から視た形態を示している。
【図14】図14は、脱毛フィンガと鶏体との関係を示す説明図である。図14(a)は、回転フィンガ装置が静止している状態を示している。図14(b)は、回転フィンガ装置が作動して周回運動中の脱毛フィンガが鶏体に当接している状態を示している。図14(c)は、周回運動中の脱毛フィンガが太めの鶏体に当接している状態を示している。ただし、図14(b)及び図14(c)では遠心力による脱毛フィンガの変形を無視している。
【図15】図15は、脱毛フィンガの付勢力と脱毛後の鶏体表面との関係を示している。図15(a)は、搬送され脱毛処理される鶏体を示している。図15(b)は鶏体に損傷が発生していない状態を示している。図15(c)は、鶏体に少し損傷が発生した状態を示している。図15(d)は、鶏体に大きな損傷が発生した状態を示している。図15(e)は、図15(c)よりさらに大きな損傷が発生した状態を示している。図5(f)は図15(e)よりさらに多いな損傷が発生した状態を示している。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。ただし、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対位置などは特に記載がない限り、この発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではない。
【0027】
(第1実施形態)
本発明による家禽類脱毛装置の第1実施形態を図1〜図7に基づいて説明する。図1は、本実施形態の脱毛装置を模式的に示している。図1に示すように、家禽類である鶏体Kは一列に並んで搬送される。鶏体Kの幅方向と鶏体搬送方向とが同一方向になるように鶏体Kは配置されている。なお、鶏体Kの大きさには個体差がある。鶏体搬送ラインLを挟んでその両側には脱毛装置1が設けられている。各脱毛装置1には、4機の回転フィンガ装置2が設けられている。
【0028】
回転フィンガ装置2は、鶏体Kの羽根を脱落させるためのゴム製の脱毛フィンガ31と、この脱毛フィンガ31が固設された回転盤32と、この回転盤32を回転させる回転軸36とを備えている。そして、脱毛フィンガ31が鶏体Kと当接し、鶏体Kに許容値以上の負荷がかかると、回転軸36に沿って回転盤32がスライドして後退し、スプリング35が圧縮し、脱毛フィンガ31の位置が変動する。これによって、鶏体Kに許容値以上の負荷が加わらない。
【0029】
隣り合う回転盤32同士は対となって、相互に逆回転する。これによって、脱毛フィンガ31で鶏体Kの羽根を脱毛させる際に、各回転盤32の脱毛フィンガ31から鶏体Kに付加される水平方向の力が互いに打ち消され、鶏体Kの位置を安定させるためである。
また、鶏体Kは個体毎に大きさが異なるため、ゴム製の脱毛フィンガ31は、鶏体Kが太くなる程、鶏体Kによってスプリング35の弾性力に抗して押し込まれる。脱毛フィンガ31は回転盤毎に複数設けられ、回転盤32は例えば1000rpmで高速回転する。図1では、回転盤32の遠心力による脱毛フィンガ31の撓みを考慮しないで描画されている。
また、脱毛装置1は鶏体搬送方向と直角に交差する方向に移動可能に配置されており、鶏体Kの種類に合わせて、配置位置を移動できる。
【0030】
図2ないし図5は、回転フィンガ装置2の構造を示している。図2に示すように、本実施形態の脱毛装置1に用いられる回転フィンガ装置2は、回転運動及び直線運動する可動部3とこの可動部3が取り付けられる静止部4とを有している。可動部3は、9本の弾性を有するゴム製の脱毛フィンガ31と、この脱毛フィンガ31を保持する円盤状の回転盤32とを有している。脱毛フィンガ31は軸部31aと頭部31bを有し、軸部31aには先端側から多数の輪環状の突起部31a1が形成されている。この突起部31a1は鶏体表面に対する摩擦抵抗を大きくし、羽根の掃引作用を高める効果を有する。
【0031】
また、脱毛フィンガ31は、回転盤32の外周端側に周方向に沿って60度間隔で設けられ、中央側に120度間隔で3本設けられている。回転盤32は薄板状の金属部材をプレス成形したものであり、中央部にはお椀形状のカップリング部32aが形成されている。カップリング部32aの内側には、ボルトB1及びワッシャーが設けられている。このボルトB1は輪環状の規制部材38を回転軸36に固定するためのものである。この規制部材38は可動部3が回転軸36から脱落するのを防止する。鶏体Kが存在しない状態では、可動部3はスプリング35によって規制部材38に接するように付勢されている。
規制部材38の周囲には羽根が侵入可能な隙間があり、羽根詰まりが懸念されるが、本実施形態ではカップリング部32aが羽根の進入を防ぐため、羽根詰まりが発生しない。勿論、回転盤3にカップリング部32aを一体形成するのでなく、別個にカップリング部材を取り付けてもよい。
【0032】
脱毛フィンガ31の取付けは、軸部31aを回転盤32に形成された9個の丸孔32fに、脱毛フィンガ31の頭部31bが回転盤32の裏面側に当接するまで圧入し、脱毛フィンガ31に形成されたリング状凹溝31c(図4参照)を該丸孔32fに嵌合することで行われる。
可動部3は、3本のボルトB4により回転盤32に取り付けられた主回転部33と、該主回転部33と静止部4との間に設けられた副回転部34と、主回転部33と副回転部34との間に設けられた弾性部材であるコイル状スプリング35とを有している。主回転部33は回転盤32の保持部としての機能を有している。副回転部34にはスプリング35の一端が挿入されるスプリング受部34aが形成されている。このスプリング受部34aによりスプリング35が安定支持される。
【0033】
静止部4は、前記回転軸36を軸支するスラスト軸受41と,水の浸入を防止するオイルシール42と、回転軸36が挿通される円筒状のケーシング43とを有している。スラスト軸受41及びオイルシール42は、ケーシング43に内嵌されている。ケーシング43の後端には重量のあるプーリ37が設けられている。このプーリ37には、不図示のベルトが掛けられ不図示の駆動モータの動力が伝達される。該ベルトを隣り合う回転フィンガ装置2のプーリ37にジグザグ状に巻回することで、隣り合う回転フィンガ装置2の回転盤32同士を相互に逆回転させることができる。
【0034】
このプーリ37が回転すると、回転軸36が回転し、主回転部33及び回転盤32が回転する。そして、副回転部34が主回転部33と連れ回りする。なお、プーリ37は回転軸36の後端にボルトB2、ワッシャーW、及びスラスト軸受41に隣接したスペーサ44を用いて固定されている。即ち、ボルトB2の締結力によってワッシャーWとスペーサ44との間にプーリ37が挟持されている。また、回転軸36の先端には、鍔部45aが形成された短環部45がボルトB3を用いて固定されている。
【0035】
図3は、回転フィンガ装置2の斜視図である。回転フィンガ装置2は、脱毛フィンガ31以外は主に金属製であり、ステンレス鋼やアルミニウム合金などで作製することができる。脱毛フィンガ31は、先端に近づくに連れて緩い傾斜で徐々に細くされている。この理由は、脱毛フィンガ31の固定が後端側で行われるため、自重で撓むのを防ぐと共に、適度な付勢力が鶏体に加わるようにするためである。
【0036】
この回転フィンガ装置2を分解すると図4に示すようになる。図4では、説明の便宜上、構成部品を一部省略している。図に示すように、主回転部33は、三つ叉形状のフランジ部33aとカップ状の筒部33bとが一体形成されている。この筒部33bに形成された円筒状空間33b1にスプリング35が挿入される。円筒状空間33b1には、軸方向にキー溝33b2が刻設されている。副回転部34はスプリング受部34aと皿部34bを有している。スプリング受部34aにはキー部34a1が形成されている。そして、主回転部33には、副回転部34側から回転軸36が挿入される。回転軸36は、円柱状の軸本体部36aとこの軸本体部36aの先端に一体形成された断面略正方形状の突起部36bとを有している。この突起部36bは、主回転部33の中央に形成された断面略正方形状の貫通穴33cに挿入され嵌合される。これにより、回転軸36が回転すると主回転部33を介して脱毛フィンガ31が周回運動する。この突起部36bもキー部34a1及びキー溝33b2と同様に主回転部33のガイド部となる。
【0037】
図5に示すように、スプリング受部34aの外周には、軸方向に沿ってキー部34a1が形成され、主回転部33の筒部33bのキー溝33b2と係合する。この場合、キー部34a1とキー溝33b2とがガイド部に相当する。これによって、主回転部33が副回転部34に対して一直線にスムーズに移動できる。この構成では、回転軸36と連結された主回転部33が回転すると副回転部34は連れ回りする。即ち、キー部34a1がキー溝33b2に引っ掛かり確実に副回転部34が回転する。また、主回転部33が時計回り方向に回転しても反時計回り方向に回転しても副回転部34は主回転部33に連れ回りする。そのため、隣接する回転フィンガ装置2(図1記載)を相互に反対方向に確実に回転させることができ、脱毛時の鶏体の位置を安定させることができる。
【0038】
図6は、脱毛フィンガと形態との位置関係を示している。図6(a)は回転フィンガ装置2が作動していない状態を示している。この状態では、脱毛フィンガ31は水平方向に沿って延びている。なお、脱毛フィンガ31の一部は図示省略している。そして、回転フィンガ装置2が作動すると、回転盤32が例えば1000rpmで高速回転し、脱毛フィンガ31が周回運動する。すると、ゴム製の脱毛フィンガ31は遠心力により回転盤32の半径方向外方へ撓み、図6(b)に示すようになる。しかし、図6(c)及び図7では、説明の便宜上、遠心力による変形は考慮しないで図示し、説明を行う。よって、図6(c)及び図7では、鶏体が存在しなければ回転フィンガ装置2が作動している状態でも図6(a)のように図示される。また、図6(c)及び図7で、鶏体Kの実線は羽根部分を含めた鶏体Kの外形線であり、破線は羽根を含めない鶏体Kの肉部の外形線を示す。
【0039】
鶏体Kが回転フィンガ装置2の前面に搬送されてくると、図6(c)に示すように、鶏体Kと脱毛フィンガ31とが接触する。そこで回転する脱毛フィンガ31の掃引作用によって鶏体Kから羽根がむしり取られる。脱毛フィンガ31の軸部31aはゴム製であるので高い摩擦係数をもち、かつ突起部31a1のひっかかり作用によって脱毛効果を高めることができる。
鶏体Kが軸部31aに圧接して鶏体Kに負荷がかかると、軸部31aが撓んで鶏体Kにかかる負荷を軽減する。鶏体Kにかかる負荷が許容値(例えば2.0〜4.0kg/cm)を越えると、主回転部33が押し込まれ、スプリング35が圧縮される。これによって、鶏体Kに該許容値以上の負荷がかかるのを防止している。なお、該許容値は、図15で説明した損傷度が1以上とならない範囲の限界値を示す。家禽の種類によって該許容値を適宜設定する。
【0040】
鶏体には大小様々な大きさがあるため、仮に図6(c)より大きめの鶏体Kが搬送されてくると、回転盤32及び主回転部33は、図7に示すように押し込まれる。このように、本実施形態では、主回転部33と副回転部34との間にスプリング35を設けることで鶏体Kの大きさの違いに柔軟に対応させ、鶏体Kに許容値以上の負荷がかからないようにすることができる。また、脱毛フィンガ31が鶏体Kに作用する負荷は、軸部31aの硬度や弾性係数等を調節することで調節可能である。なお、図2に示すように、主回転部33の後退がカップリング部32aの存在によって阻害されないように、カップリング部32aとボルトB1間の隙間a>主回転部33の後退ストロークbとする必要がある。
なお、家禽類の大きさに応じて、回転フィンガ装置2自体を鶏体Kの搬送方向と直角方向へ平行移動させ、ロッド単位で家禽搬送路Lとの間隔を調整することもできる。
【0041】
次に、図2を用いて回転フィンガ装置2の組立方法について説明する。可動部3については、先ず、副回転部34と主回転部33とに回転軸36を挿通する。次いで、規制部材38及びボルトB1を回転軸36の先端に取り付ける。次いで、回転盤32の孔32fに9本の脱毛フィンガ31を圧入し、これをボルトB4を用いて主回転部33に固定する。
静止部4については、ケーシング43の内側にスラスト軸受41及びオイルシール42を嵌め込み、ケーシング43の前面側に短環部45をボルトB3により取り付ける。次いで、静止部4のケーシング43に可動部3の回転軸36を挿通する。次いで、ケーシング43の後面側にスラスト軸受41に隣接するようにスペーサ44を取り付け、回転軸36の後端側からプーリ37を挿通する。次いで、ボルトB2及びワッシャーWを回転軸36の後端に取り付けてプーリ37をスペーサ44との間に挟み込みプーリ37を固定する。こうして、図2に描画される回転フィンガ装置2が完成する。
【0042】
上述した第1実施形態によれば、脱毛フィンガ31を備える可動部3が静止部4に対して回転して鶏体Kの羽根を脱毛するが、この脱毛の際に、鶏体Kが大きくても又は太くても、主回転部33と副回転部34との間にスプリング35が介挿されていることにより脱毛フィンガ31が回転軸36の軸方向に移動するので、鶏体Kに設定された許容値以上の負荷が発生しない。スプリング35が設けられていない従来の回転フィンガ装置では、弾性を有する脱毛フィンガ31の変形のみで鶏体Kの大きさに対応していたため、鶏体Kに過度の力が加わることがあった。
本実施形態では、スプリング35の存在により鶏体Kの大きさに柔軟に対応できるため、従来よりも脱毛フィンガ31を鶏体Kに近づけて配置することができ、鶏体Kが小さくても軸部31aを鶏体Kに適度な力で圧接させることができる。従って、鶏体Kの大小に関わらず、鶏体Kの脱毛効果を維持できる。
なお、本実施形態では弾性部材としてスプリング35を用いたが、スプリング35の代わりに、図示を省略するがゴム等の変形弾性体を使用してもよい。
【0043】
(第2実施形態)
図8は、本発明の脱毛装置の第2実施形態を示している。この第2実施形態では、回転盤32及び主回転部33の形状のみ第1実施形態と異なる。そのため、第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図に示すように、本実施形態の回転盤32は、半径方向外方に向かうに連れて脱毛フィンガ31の先端側に傾斜する形状をなしている。これに伴い主回転部33の三つ叉のフランジ部33aも全て同様に傾斜している。
この回転盤32が回転すると、図9に示すように、脱毛フィンガ31は遠心力により回転盤32の半径方向外方に変形し、脱毛フィンガ31の軸部31aが鶏体Kに対して直角方向、即ち図6(a)で図示する方向に向けることができる。
【0044】
第1実施形態の構成では、回転盤32が回転中の脱毛フィンガ31の向きは、遠心力により回転盤32の半径方向外側に撓むため、隣接された脱毛フィンガ31と衝突して、損傷したり、あるいは鶏体Kの大きさによっては鶏体Kに対する圧接力が不足し、脱毛効果が低下する場合がある。本実施形態では、回転盤32が回転中の脱毛フィンガ31の向きを回転盤32の半径方向外側ではなく鶏体側に向けることができるので、鶏体Kの大きさによらず脱毛効果を維持できると共に、隣接する脱毛フィンガ31との衝突を防止できる。
【0045】
なお、本実施形態において、主回転部33の三つ叉のフランジ部33aを傾斜させずに回転盤32の半径方向に向けて成形してもよい。この場合、フランジ部33aと回転盤32との間に隙間が生じるが、回転盤32とフランジ部33aとの接合強度を十分保持できる。こうすれば、フランジ部33aの製造を簡素化できる。
【0046】
(第3実施形態)
図10は、本発明の脱毛装置の第3実施形態を示している。この第3実施形態では、回転盤32の形状のみ第1実施形態と異なる。そのため、第1実施形態と同一の構成要素については同一の符号を付し、その説明を省略する。
図に示すように、本実施形態の回転盤32は、周方向に所定角度間隔を置いて外周端から形成されたスリット32bにより3つの扇部32cを有し、該扇部32cは脱毛フィンガ先端側に傾斜している。このようにスリット32bをもうけたことにより、扇部32cの傾斜を適宜調整することができ、回転時の脱毛フィンガ31の向きの最適化を図ることが容易になる。
【0047】
また、 円盤状の回転盤32の中央側には湾曲した第2のスリット32dにより馬蹄部32eが形成されている。図10(b)に示すように、この馬蹄部32eは傾斜せず、穴32e1が形成され、この穴32e1にボルトB4(図2参照)を挿通することにより回転盤32は主回転部33に固定される。本実施形態では、馬蹄部32eは傾斜していないので、フランジ部33aを傾斜させる必要はなく、第1実施形態の主回転部33をそのまま流用することができる。なお、馬蹄部32eは、回転盤32を主回転部33に固定することができればよく、特に馬蹄形でなくても、小片状の領域を有すればよい。
従って、本実施形態では、回転盤32の扇部32cの傾斜角を容易に調整できると共に、フランジ部33aの成形を容易にできる。また、馬蹄部32eとフランジ部33aとを密着させて連結できるので、この連結強度を高く維持できる。
【0048】
以上、本発明を説明してきたが、本発明は上述した実施形態にのみ限定されるものではなく、その本質を逸脱しない範囲で、他の種々の変形が可能であることはいうまでもない。
【0049】
上述した実施形態では、脱毛フィンガ31の材料にゴムを選択した例について説明したが、本発明の脱毛フィンガ31の材料はゴムに限定されることはなく、弾性を有する材料であればよい。例えば、柔軟性のあるプラスチックを用いることができる。
また、上述した実施形態では、弾性部材としてスプリング35を用いた例について説明したが、本発明はスプリング35に限定されることなく、例えば、クッション性を有するダンパ部材であってもよい。
さらに、上述した実施形態では、主回転部33と副回転部34とをキー部34a1とキー溝33b1とにより係合した例について説明したが、本発明の構成はこれに限定されることはなく、主回転部33をスプリング35のバネ力に抗して副回転部34に対してスライド可能な構成であればよい。
【0050】
また、上述した実施形態では、回転軸36が回転すると主回転部33が回転し、主回転部33と係合した副回転部34が連れ回りする例について説明したが、副回転部34を回転させて主回転部33を連れ回りさせる構成にしてもよい。この場合、副回転部34を回転軸36に螺子やロウ付けにより固定する。そして、主回転部33を回転軸36に係合させないようにする。
【0051】
上述した実施形態の場合、回転軸36の突起部36bに沿って主回転部33がスライド可能であるため、副回転部34を回転軸36に固定した場合、キー部34a1とキー溝33b2は不要となる。ただし、断面略矩形状の突起部36bを形成せずに円柱状にした場合は、その部分で係合しないため、キー部34a1とキー溝33b2が必要である。
要するに、主回転部33と副回転部34とのどちらか一方を回転軸36と共に回転させる場合は、主回転部33と副回転部34とを係合させる必要があり、主回転部33と副回転部34との両方を回転軸36に連結させて回転させる場合には、主回転部33と副回転部34とを係合させる必要はない。ただし、主回転部33を副回転部34に対して安定してスライドさせるためにガイド部を形成することが好ましい。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明の家禽類の脱毛装置では、家禽の大小に関わらず、家禽の脱毛効果を維持できる。本発明は、すべて家禽類の脱毛に適用することが可能である。又、装置の大きさを変更することにより、羊などの家畜に適用することもできる。
【符号の説明】
【0053】
1 脱毛装置
2 回転フィンガ装置
3 可動部
31 脱毛フィンガ
31a 軸部
31a1 突起部
31b 頭部
31c リング状凹溝
32 回転盤
32a カップリング部
32b スリット
32c 扇部
32d 第2のスリット
32e 馬蹄部
32e1 穴
32f 丸孔
33 主回転部
33a フランジ部
33b 筒部
33b1 キー溝
33c 貫通穴
34 副回転部
34a スプリング受部
34a1 キー部
34b 皿部
35 スプリング
36 回転軸
36a 軸本体部
36b 突起部
37 プーリ
38 規制部材
4 静止部
41 スラスト軸受
42 オイルシール
43 ケーシング
44 スペーサ
45 短環部
45a 鍔部
100 脱毛装置
101 回転フィンガ装置
102 脱毛フィンガ
103 円盤
104 回転軸
105 コンベア
106 ハンガ
107A,107B 軸受
108 ケーシング
110 肉
111 脂
111A 水疱
112 皮
B,B1〜B4 ボルト
K 鶏体
L 鶏体搬送ライン
W ワッシャー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の弾性を有する脱毛フィンガと、該脱毛フィンガを保持する回転盤と、該回転盤を軸方向にスライド可能に保持するように該回転盤に連結された回転軸と、を有する可動部と、該回転軸を軸支する軸受を有し該回転軸が挿入される静止部と、を備え、
回転する前記脱毛フィンガを鶏体に押し付けて脱毛するようにした家禽類の脱毛装置において、
前記可動部はさらに、前記回転盤が取り付けられる主回転部と、前記回転軸が内嵌され前記主回転部と前記静止部との間に設けられた副回転部と、該主回転部と該副回転部との間に設けられた弾性部材とを有し、
該主回転部は該副回転部に対して該回転軸の軸方向に沿ってスライドする構成にされていることを特徴とする家禽類の脱毛装置。
【請求項2】
前記主回転部と前記副回転部は互いに係合され、前記主回転部又は前記副回転部が回転すると前記副回転部又は前記主回転部は連れ回りすることを特徴とする請求項1に記載の家禽類の脱毛装置。
【請求項3】
前記主回転部が前記副回転部に対して前記回転軸方向に沿ってスライドするようにガイド部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の家禽類の脱毛装置。
【請求項4】
前記主回転部と前記副回転部とは、キー部とキー溝とにより係合されていることを特徴とする請求項2に記載の家禽類の脱毛装置。
【請求項5】
前記回転軸の先端側には前記可動部の移動を規制する規制部材が設けられ、さらに該規制部材の装置前面側を覆うカップリング部材が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の家禽類の脱毛装置。
【請求項6】
前記弾性部材はスプリングであり、前記副回転部には該スプリングの一端が挿入されるスプリング受部が形成されていることを特徴とする請求項1に記載の家禽類の脱毛装置。
【請求項7】
前記脱毛フィンガを保持する回転盤は円盤状に形成され、該回転盤は半径方向外方に向かうに連れて該脱毛フィンガ先端側に傾斜していることを特徴とする請求項1に記載の家禽類の脱毛装置。
【請求項8】
前記主回転部は、前記回転盤を保持する保持部を有し、
前記回転盤は、周方向に設定された角度間隔を置いて外周端から形成されたスリットにより複数の扇部に分割され、該扇部は半径方向外方に向かうに連れて前記脱毛フィンガ先端側に傾斜していることを特徴とする請求項7に記載の家禽類の脱毛装置。
【請求項9】
前記円盤状の回転盤の中央側には湾曲した第2のスリットにより馬蹄部が形成され、該馬蹄部は前記保持部に固定されていることを特徴とする請求項8に記載の家禽類の脱毛装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−246451(P2010−246451A)
【公開日】平成22年11月4日(2010.11.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−98426(P2009−98426)
【出願日】平成21年4月14日(2009.4.14)
【出願人】(000148357)株式会社前川製作所 (267)