説明

容器充填システム及び容器充填方法

【課題】設備を簡易化しつつ、容器への負担を低減することができる容器充填システムを提供する。
【解決手段】プリフォームPFが順次供給され、底部B4に外側が突出した凸部B4aを有するボトルBをブロー成形により形成するブロー成形装置2と、飲料が充填されたボトルBの口部B2にキャップCを装着するキャップ装着部材71を有するキャッパー7と、ボトルBの凸部B4aを内側に押し込む底押し装置8と、ブロー成形装置2から底押し装置8までの間を順次搬送する搬送機構10と、を備えた容器充填システムであって、底押し装置8は、ボトルBのキャップC又はネック部B1がキャップ装着部材71にて支持された状態で凸部B4aを押し込む押込み部材81を有し、搬送機構10には、ボトルBのネック部B1を支持して搬送する搬送装置が、ブロー成形装置2からキャッパー7までの全搬送区間に亘って設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プリフォームをブロー成形して飲料を充填すべき容器を形成するブロー成形装置、形成された容器に飲料を充填する充填装置及び容器にキャップを装着するキャッピング装置を備えた容器充填システム及び容器充填方法に関する。
【背景技術】
【0002】
樹脂製容器へ飲料を充填する工程では、プリフォームをブロー成形することで充填前に容器を形成し、形成された容器を必要に応じて滅菌後、飲料の充填、キャップの装着が行われ、さらに次工程へ送られる。このような充填システムにおいては、飲料の充填後に容器内の圧力を調整するため、容器底部の突起を内側へ押し込んで、容器の形状を良好に保つ方法が知られている。主に、高温の飲料が充填されるホットパック方式(特許文献1参照。)と、常温の飲料が充填されるアセプティック充填方式(特許文献2及び3参照。)とが知られている。いずれの方式においても、底部を突出させたボトルへ飲料を充填した後、その突出部を押し込むことにより、積極的に容器内の減圧を解除し、あるいは微陽圧状態となるようにしている。特に、アセプティック充填方式においては、無菌チャンバが設けられているため容器底部の突起を支持して容器の自立を可能にするバスケットを装着することは得策ではなく、容器の胴部及び肩部を保持して搬送したり、突起が設置面よりも外側に突出しないような押込み量の少ない自立型の容器が採用されたりしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2007−500658号公報
【特許文献2】特開2008−13185号公報
【特許文献3】特開2008−201461号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述したいずれの充填方式においても、底部が外側に突出した容器は自立できず、あるいは自立型の容器にしても高速で搬送する場合は搬送時の安定性の確保が難しい。また、自立型の容器は押込み量が少ないので得られる陽圧が制限される。従ってこれらの対策が必要となる。特許文献1の装置では、充填時には容器の首部が保持されてネック搬送され、キャップ装着後はバスケットに保持されて冷却され、その後容器の底部を押し込むことにより減圧を解消している。容器のブロー成形から充填後の底部の押込みまでの一連の工程において、搬送方式が変更されたり、容器を搬送するためのバスケットのような特別な部材を必要としたりするので、設備が複雑化する。また、特許文献2の装置では、容器の胴部及び肩部を保持して搬送される。胴部及び肩部を保持したまま容器の底部を押し込むことができるが、その際に容器の損傷又は変形が生じるおそれがある。これらを避けるために容器の肉厚を増やす場合があるが、軽量化に反するため適さない。
【0005】
そこで、本発明は、設備を簡易化しつつ、容器への負担を低減することができる容器充填システム及び容器充填方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の容器充填システムは、樹脂製のプリフォーム(PF)が順次供給され、底部(B4)に外側が突出した凸部(B4a)を有する容器(B)をブロー成形により形成するブロー成形装置(2)と、形成された容器に飲料を充填する充填装置(6)と、飲料が充填された容器の口部(B2)にキャップ(C)を装着するキャップ装着部材(71)を有するキャッピング装置(7)と、キャップ装着後の容器の前記凸部を内側に押し込む押込み装置(8)と、前記ブロー成形装置にて容器が形成されてから前記押込み装置にて前記凸部が内側に押し込まれるまでの間を順次搬送する搬送装置(10)と、を備えた容器充填システム(1)であって、前記押込み装置は、前記容器に装着されたキャップ又は容器の首部(B1)を支持する支持部(71、85)と、前記キャップ又は首部が前記支持部にて支持された状態で前記容器の下方から前記凸部を内側に押し込む押込み部材(81)と、を有し、前記搬送装置には、前記容器の首部を支持して搬送する首支持搬送手段(10)が、前記ブロー成形装置からキャッピング装置までの全搬送区間に亘って設けられていることにより上記課題を解決する。
【0007】
本発明の容器充填システムによれば、ブロー成形時に外側に突出した凸部を底部に形成した場合には容器の自立が困難となるが、首部を支持することで底部の形状に関係なく搬送することができる。さらに、容器に装着されたキャップ又は首部を押さえながら底部の凸部を押し込むので、容器の胴部や肩部を傷付けることがない。容器の胴部が凹むこともなく、容器の肩部を支持することによる強度の問題を考慮することもないので、容器のデザインの自由度を高め、軽量化を図ることができる。アセプティック充填方式においてはキャップ又は首部を支持しながら底部を押し込むことができる。一方、ホットパック方式においては容器の首部を支持しながら底部を押し込むことができる。特にホットパック方式のように無菌チャンバが設けられていない形態では、キャップを支持するとキャップの密封性が保たれないおそれがあり、キャップを支持しながら底押しすることができないためである。従って、いずれの方式においても容器の胴部又は肩部を支持することなく、容器への負担を低減することができる。よって、容器の損傷や変形を回避して軽量化が可能となる。
【0008】
本発明の容器充填システムの一形態において、前記首支持搬送手段は、搬送されている容器の首部の位置が所定の高さに統一されるように前記容器を搬送してもよい。この形態によれば、プリフォームからブロー成形されて形成された容器は、飲料が充填されてキャップが装着されるまでの間、容器の首部の位置が一定に保たれて搬送される。これにより、各装置間で搬送される容器の高さが一定となるため、仕様の変更が生じたとき等に容易に対応することができる。また、容器の首部が支持されるので容器の下方はスペースが生じ、搬送される容器の大きさが変更されても容易に対応することができる。従って、搬送される容器の高さを統一することで異なる種類の容器にも容易に対応することができ、設備を簡易化しても安定した稼動が可能となる。
【0009】
本発明の容器充填システムの一形態において、前記キャッピング装置及び前記押込み装置は、無菌状態のチャンバ(9)内に設置されていてもよい。この形態によれば、押込み装置による容器底部の押込みは容器のキャップ部分を支持することで行われるが、無菌状態のチャンバ内で行われるのでキャップ部における無菌性が保たれる。
【0010】
無菌状態のチャンバが設けられた形態において、前記キャップ装着部材は前記支持部を兼ね、かつ前記支持部が前記キャップを支持し、前記キャップ装着部材がキャップを容器に装着した後にそのまま前記キャップを押さえた状態で、その容器の凸部が前記押込み部材により押し込まれてもよい。この形態によれば、容器に対して、キャップ装着部材がキャップを装着後にそのままキャップを押さえた状態で、底部の凸部が押込み部材により押し込まれる。これが無菌チャンバ内で行われるので、キャップ装着直後でも底部を押し込む際にキャップを押さえることができ、容器の無菌性を保つことができる。
【0011】
本発明の容器充填システムの一形態において、前記搬送装置の搬送方向下流側には、容器の底部を支持しながら搬送する底搬送手段(12a、13a)を有する底支持搬送装置(12、13)が設けられ、前記底搬送手段は、前記搬送装置から搬送される容器の底部の位置に応じて前記底部を支持する支持位置を調整可能に設けられていてもよい。この形態によれば、搬送装置により一定の高さで搬送される容器の底部の位置に応じて底搬送手段の支持位置を調整することができる。これにより、底支持搬送装置でも容器の搬送高さを保ったまま、さらに容器を搬送することができる。
【0012】
本発明の容器充填方法は、樹脂製のプリフォーム(PF)が順次供給され、底部(B4)に外側が突出した凸部(B4a)を有する容器(B)をブロー成形により形成するブロー成形工程と、形成された容器に飲料を充填する充填工程と、飲料が充填された容器の口部(B2)にキャップ(C)を装着するキャッピング工程と、キャップ装着後の容器の前記凸部を内側に押し込む押込み工程と、を備えた容器充填方法であって、前記ブロー成形工程から前記押込み工程まで前記容器の首部(B1)を支持して搬送し、前記キャッピング工程及び前記押込み工程は、無菌状態のチャンバ(9)内で行われ、前記キャッピング工程にて、キャップ装着部材(71)が容器にキャップを装着した後、前記キャップ装着部材がキャップと接触した状態で、前記押込み工程にて、前記容器の下方から押込み部材(81)が前記凸部を容器の内側に押し込むことにより上記課題を解決する。
【0013】
本発明の容器充填方法によれば、上述の容器充填システムと同様、ブロー成形時に外側に突出した凸部を底部に形成した場合には容器の自立が困難となるが、首部を支持することで底部の形状に関係なく搬送することができる。さらに、無菌状態のチャンバ内でキャップ装着直後の容器に対して、底部の凸部を押し込んでいるので、押込み時にキャップが多少動いても容器の無菌性が損なわれない。従って、容器の胴部が凹むこともなく、容器の肩部を支持することによる強度の問題を考慮することもないので、容器への負担を低減することができる。従って、容器のデザインの自由度を高め、軽量化を図ることができる。
【0014】
なお、以上の説明では本発明の理解を容易にするために添付図面の参照符号を括弧書きにて付記したが、それにより本発明が図示の形態に限定されるものではない。
【発明の効果】
【0015】
以上、説明したように、ブロー成形時に外側に突出した凸部を底部に形成した場合には容器の自立が困難となるが、首部を支持することで底部の形状に関係なく搬送することができる。さらに、容器に装着されたキャップ又は首部を押さえながら底部の凸部を押し込むので、容器の胴部や肩部を傷付けることがない。容器の胴部が凹むこともなく、容器の肩部を支持することによる強度の問題を考慮することもないので、容器への負担を低減することができる。従って、容器のデザインの自由度を高め、軽量化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一形態に係る容器充填システムのフロー図。
【図2】側面からみた容器充填システムの概略図。
【図3】キャッパー及び底押し装置の概略図。
【図4】本発明の変形例に係る容器充填システムの要部の概略図。
【図5】プリフォーム及びボトルの正面図。
【図6】チャック装置によりネック部が把持されたボトルを示す図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
図1に本発明の一形態に係る容器充填システムのフロー図を示す。容器充填システム1は、容器としてのボトルBの搬送方向の上流側から順番に、プリフォームPFと呼ばれる樹脂製のボトルBの元となる成形前の材料が供給され、順次プリフォームPFをブロー成形してボトルBを形成するブロー成形装置2と、ブロー成形装置2にて形成されたボトルBの形状等を検査する空ボトル検査装置3と、検査後のボトルBを滅菌する滅菌装置4と、滅菌後のボトルBを洗浄するボトルリンス装置5と、ボトルBに飲料を充填する充填装置6と、飲料が充填されたボトルBにキャップC(図5参照。)を装着するキャッピング装置としてのキャッパー7と、キャップが装着されたボトルBの底部を押し込む押込み装置としての底押し装置8とを備えている。図5にプリフォームPF及びボトルBの正面図を示す。プリフォームPF及びボトルBの首部としてのネック部B1及び口部B2は、ブロー成形の前後で形状は変わらない。図5においてプリフォームPFの一部が破線で示されているが、この部分がブロー成形にてボトルBの胴部B3及び底部B4となる。容器充填システム1は、常温の飲料をボトルBに充填するアセプティック充填方式が採用されている。このため、滅菌装置4、ボトルリンス装置5、充填装置6、キャッパー7及び底押し装置8は、内部が無菌状態に保たれる無菌チャンバ9内に設置される。
【0018】
図2に側面からみた容器充填システム1の概略図を示す。ブロー成形装置2は、プリフォームPFを供給するためのコンベア21と、プリフォームPF又はボトルBを搬送する図示しない複数の搬送ホイールと、プリフォームPFを加熱する加熱部22と、加熱されたプリフォームPFをボトルBへとブロー成形する成形部23とを備えている。コンベア21は、プリフォームPFを所定の間隔で順次搬送ホイールへと供給する。搬送ホイールは、プリフォームPF及びボトルBのネック部B1のフランジB1aを保持して搬送する。加熱部22でも同様にネック部B1が保持されて搬送されつつ、ヒータにてプリフォームPFが加熱される。成形部23には、ボトルBを成形するための金型やプリフォームPF内部に気体を吹き込むブロー装置等が設けられている。成形部23にて、プリフォームPFがボトルBに成形される。ボトルBは、例えばPET(ポリエチレンテレフタレート)ボトルである。ブロー成形装置2で成形されるボトルBの底部B4には、外側に突出した凸部B4a(図5参照。)が設けられている。凸部B4aは、ブロー成形時にボトルBの他の部分とともに成形される。なお、成形部24によるブロー成形には、周知技術を利用してよい。加熱部22による加熱についても周知技術を利用してよい。
【0019】
空ボトル検査装置3は、ボトルBの外観及び内部を検査して形状、異物等の欠陥の有無を検査する。検査には、ボトルBの上方及び下方からそれぞれ撮像するカメラ等の撮像装置31が利用される。図1及び図2では、空ボトル検査装置3は、ブロー成形装置2内に設置されている。なお、空ボトル検査装置3は、ブロー成形装置2とは別に設けられていてもよい。滅菌装置4は、無菌チャンバ9内に設けられている。滅菌装置4は、無菌チャンバ9内におけるボトルBの搬送方向の最上流側に位置する。滅菌装置4には、複数の噴霧管が設けられ、ボトルBの内外面に殺菌剤が噴霧される。ボトルリンス装置5には、殺菌剤が噴霧されたボトルBに対して熱風や無菌水を吹き付ける各種ノズルが設けられ、殺菌剤が洗い流される。充填装置6は、飲料を充填する充填ノズル等を有し、ボトルリンス装置5にてリンス処理がされたボトルBに対して飲料を充填する。そして、キャッパー7にて、飲料が充填されたボトルBにキャップが装着される。
【0020】
図3に、キャッパー7及び底押し装置8の概略図を示す。キャッパー7は、キャップCをボトルBの口部B2に装着する複数の支持部としてのキャップ装着部材71と、キャップ装着部材71を駆動するカム機構72とを備えている。キャップ装着部材71は、順次搬送されるボトルBに対してキャップCを装着する。キャップ装着部材71の駆動は、カム機構72によって行われる。カム機構72は、キャップ装着部材71を支持する支持部材73と、ボトルBの搬送経路に沿って支持部材73を案内するレール74とを有している。レール74は、搬送されるボトルBとともに移動するように支持部材73を案内しつつ、上下方向に経路を変更して、所定の位置にてキャップ装着部材71がキャップCをボトルBに装着可能なように構成される。なお、空ボトル検査装置3、滅菌装置4、ボトルリンス装置5、充填装置6及びキャッパー7についても周知技術を利用して適宜構成してよい。
【0021】
底押し装置8は、キャップ装着部材71によるボトルBへのキャップCの装着後にボトルBの底部B4に設けられた凸部B4aを押し込んで底部B4を凹ます複数の押込み部材81と、押込み部材81を駆動するカム機構82とを備えている。押込み部材81は、キャップC装着直後のボトルBの底部B4を下方から突き上げることにより、凸部B4aを反転させる。反転された底部B4は、凹部B4b(図5参照。)となる。カム機構82は、押込み部材81を支持する支持部材83と、ボトルBの搬送経路に沿って支持部材83を案内するレール84とを有している。レール84は、搬送されるボトルBとともに移動するように支持部材83を案内しつつ、上下方向に経路を変更して、所定の位置にて押込み部材81がボトルBの底部B4を突上げ可能なように構成される。
【0022】
図2に戻り、ブロー成形装置2の搬送ホイールを含む容器充填システム1の搬送装置としての搬送機構10は、プリフォームPF又はボトルBのネック部B1のフランジB1a周辺を保持しながら搬送(ネック搬送と呼ぶことがある。)する。各装置3〜8間は、ネック搬送をしつつ、複数のスターホイール搬送装置を組み合わせながらボトルBが適宜搬送される。スターホイール搬送装置に加えてエア搬送装置を適宜組み合わせてもよい。例えば、ブロー成形装置2及び空ボトル検査装置3間や、空ボトル検査装置3と滅菌装置4との間には、エア搬送装置が設けられていてもよい。また、空ボトル検査装置3と滅菌装置4との間でボトルBを受け渡すエア搬送装置が、無菌チャンバ9入口に設けられた搬送スクリューと接続されてボトルBを受け渡すように構成してもよい。スターホイール搬送装置やエア搬送装置が、首支持搬送手段として機能する。
【0023】
搬送機構10によるネック搬送では、搬送されるボトルBのネック部B1の位置を所定の高さに揃えて搬送する。搬送機構10のスターホイール搬送においてボトルBが収容される各ポケットには、ボトルBのネック部B1を把持するグリッパー11が設けられ、グリッパー搬送が採用される。スターホイール搬送装置間でのボトルBの受渡しは、ボトルBのフランジB1aの上下を交互にグリッパー11(図3参照。)で把持することにより行われる。これにより、複数のスターホイール搬送装置によるボトルBの受渡しがされる搬送機構10において、ボトルBのネック部B1の位置を所定の高さに一定に揃えて搬送することができる。エア搬送装置においても、ネック部B1のフランジB1aが支持されることにより、ボトルBはエア搬送される。
【0024】
底押し装置8にて凹部B4bが形成されたボトルBは、ホイールテーブル搬送装置12へと受け渡される。ホイールテーブル搬送装置12は、ボトルBの底部B4を支持するテーブル12aと、搬送されるボトルBを案内するガイド12bとを有するスターホイール搬送装置で、搬送機構10の下流側に設けられている。さらに、ホイールテーブル搬送装置12の下流側には、ボトルBを搬送するコンベア13aを有するコンベア搬送装置13が設けられている。コンベア13aにより、ボトルBは次工程へ送られる。テーブル12aとコンベア13aのボトルBの支持面12c、13bは、搬送機構10から搬送されるボトルBの底部B4の位置に応じて調整可能に構成されている。テーブル12aやコンベア13aを駆動装置で上下方向に駆動可能に構成すればよい。なお、上述のスターホイール搬送装置、エア搬送装置、ホイールテーブル搬送装置及びコンベア搬送装置は、周知技術を利用して構成してよい。無菌チャンバ9内に適宜設置してもよい。ホイールテーブル搬送装置12及びコンベア搬送装置13が底支持搬送装置に相当し、テーブル12a及びコンベア13aが底搬送手段として機能する。
【0025】
容器充填システム1の動作を説明する。プリフォームPFがコンベア21にて順次ブロー形成装置2に供給され、搬送ホイールに受け渡される。搬送されつつ加熱部22にて所定温度で加熱されたプリフォームPFは、成形部23に搬送されて、プリフォームPFからボトルBへブロー成形される。成形されたボトルBは、搬送ホイールで空ボトル検査装置3へと搬送され、さらに、滅菌装置4、ボトルリンス装置5、充填装置6を順次搬送されつつ、各装置にて所定の処理が行われる。充填装置6にて飲料が充填されたボトルBは、搬送機構10によりキャッパー7に搬送される。図3の形態では、搬送機構10を挟んでキャッパー7の下方には、底押し装置8が位置している。キャップ装着部材71が搬送されるボトルBとともにレール74に沿って移動しつつ、ボトルBにキャップCを装着する。一方、ボトルBの下方では、押込み部材81がボトルBとともにレール84に沿って移動している。キャップCをボトルBに装着した直後、キャップ装着部材71がそのままキャップCを押さえた状態で、下方から押込み部材81が底部B4を突き上げて、凸部B4aをボトルBの内側へ押し込んでいる。これにより、押込み部材81によってボトルBにかかる上方向の力をキャップ装着部材71が受けるので良好にボトルBの底部B4を押し込むことができる。
【0026】
アセプティック充填方式においては、飲料を常温で充填するので、品質を保つため無菌チャンバ9の設置が必要となる。通常、ボトルBの密封性を損なわないようにするため、装着されたキャップCへの接触は避けられるが、無菌チャンバ9内であれば、キャップCが多少動いてもボトルBの無菌性が損なわれない。
【0027】
底部B4に凹部B4bが形成されたボトルBは、搬送機構10からホイールテーブル装置12へと順次受け渡される。搬送機構10では、ネック部B1の位置が所定の高さに一定に統一されている。このため、ホイールテーブル搬送装置12にて搬送機構10から搬送されてくるボトルBの底部B4の位置に応じて支持面12cを調整するので、ボトルBの高さを保ったまま搬送することができる。そして、容器充填システム1から送り出されたボトルBは、次工程となる包装工程へと搬送される(図1)。従って、容器充填システム1では、搬送されるボトルBは一定の高さに統一されて搬送される。特に、ブロー成形装置2に供給されたプリフォームPFから、キャップCが装着され底部B4に凹部B4bが形成されたボトルBがホイールテーブル装置12に受け渡されるまでの一連の搬送では、ネック搬送が行われ、ネック部B1の位置を基準の高さとして規定し、ボトルBは一定の高さに保たれながら搬送される。これにより、ブロー形成装置2から底押し装置8までの容器充填システム1に配置される各装置にて、ボトルBの位置がネック部B1を基準として一定となるので、統一したパラメータを用いることができ、仕様が変更されたとき等に容易に対応することができる。また、ネック部B1の位置を基準高さとしてネック搬送することにより、ボトルBの大きさが異なっても同じシステムで容易に搬送することができる。ブロー成形時に外側に突出した凸部B4aを底部B4に形成した場合にはボトルBの自立が困難となるが、ネック部B1を支持することで底部B4の形状に関係なく搬送することができる。
【0028】
これにより、ボトルBの形状のデザインの自由度が拡大する。アセプティック充填方式においては、常温による充填なので、ホットパック方式のように冷却時のボトルB内の減圧を考慮する必要性は低いが、経時により微減圧状態が発生する。このような場合においても、ボトルBに装着されたキャップCを押えながら底部B4の凸部B4aを押し込むことで積極的に減圧を解除(微陽圧化)することができる。このため、ボトルBの側面に形成される減圧吸収パネルの形状を小さく、あるいは不要とすることができ、また、ボトルBの縦積み状態での保管時の座屈強度及び横積み状態となるベンダー(自動販売機)販売時の強度の確保及び向上を目的としたボトルBに形成されるリブを小さく、あるいは不要とすることができる。さらに、ボトルB内が陽圧化することによる製造、流通・保管、販売(ベンダー内)の各時点における容器強度を確保することができる。これにより、ボトルBの軽量化も可能となる。特にアセプティック充填方式での製造場所・設備の単純化、コンパクト化、省スペース化を実現できる。
【0029】
本発明は、上述した形態に限定されることなく、種々の形態にて実施することができる。例えば、本形態では、搬送機構10を挟んでその上方にキャッパー7を、下方に底押し装置8をそれぞれ設置して、キャップC装着直後にボトルBの底部B4を押し込むように構成したがこれに限られない。例えば、ホイールテーブル搬送装置に底押し装置を設けることで、キャップCの装着と底部B4の押込みを別個に行うようにしてもよい。図4に本発明の変形例を示す。変形例において、上述の形態と同様の構成については、同様の符号を付すことで説明を省略する。変形例における容器充填システム1Aは、キャッパー7に対してボトルBの搬送方向下流側に設置され、キャッパー7からキャップC装着後のボトルBを受け取るホイールテーブル搬送装置12Aに底押し装置8Aが設けられている点で上述の形態と異なり、その他の構成については、同様である。
【0030】
底押し装置8Aには、押込み部材81と、カム機構82の他に、ボトルBに装着されたキャップCを押さえる支持部としての押え部材85と、押え部材85を駆動するカム機構86とを備えている。押え部材85は、ボトルBの下方から底部B4を押込み部材81で突き上げたときにボトルBの上方向への移動を抑制するため、ボトルBの上端部、つまり、キャップCを支持するように構成される。カム機構86は、押え部材85を支持する支持部材87と、ボトルBの搬送経路に沿って支持部材87を案内するレール88とを有している。カム機構86は、カム機構72の構成と同様であるが、レール88は、押込み部材81が底部B4を突き上げるときに押え部材85がキャップCと接触するように支持部材87を案内する。ホイールテーブル搬送装置12Aは、ボトルBの底部B4を支持するテーブル12dの他は、ホイールテーブル搬送装置12と同様である。テーブル12dには、押込み部材81が出没する複数の孔12eが設けられている。孔12eは、搬送されるボトルBの中心を押込み部材81が接触するように、テーブル12dのボトル搬送領域の所定の位置に設けられている。なお、底押し装置8A及びホイールテーブル搬送装置12Aも無菌チャンバ9内に設置されている。
【0031】
変形例の容器充填システム1Aの動作を説明する。キャッパー7によりボトルBにキャップCが装着された後、ボトルBは、ホイールテーブル搬送装置12Aへ受け渡される。ボトルBは、テーブル12dの所定位置に案内されて搬送されつつ、押込み部材81で底部B4が押し込まれて凹部B4bが形成される。このとき、ボトルBのキャップC部分が押え部材85で押さえられているので、押込み部材81による上向きの力が抑えられ、良好に凹部B4bが形成される。凹部B4b形成後のボトルBは、コンベア搬送装置13に受け渡されて次工程へと搬送される。このように、キャッパー7と、底押し装置8Aとを別個に設けることで、底押し装置8Aを適宜の箇所に配置可能となり、より設計の自由度が向上する。例えば、ホットパック方式の場合にも本発明を適用することができる。
【0032】
ホットパック方式では、高温の飲料を充填するのでキャップCの装着直後は、冷却後のボトルBの内圧とは異なるため底部B4を押し込むことはできない。この場合においては、無菌チャンバ9も必要ないため、冷却工程後にホイールテーブル搬送装置12A及び底押し装置8Aを設置することができ、底部B4を効果的に押し込むことができる。なお、ホットパック方式においては、無菌チャンバが設けられていないのでキャップCを支持するとキャップCの密封性が保たれないおそれがあり、底部B4を押し込むためキャップCを押え部材85で押さえることができない。従って、底部B4を押し込むためには、押込み部材81による上向きの力を抑えることができる強度を有するチャック装置がホイールテーブル搬送装置12Aに必要となる。図6にチャック装置14によりネック部B1が把持されたボトルBを示す。このチャック装置14によりネック部B1のフランジB1aの下方からボトルBを把持しながら搬送しつつ、押込み部材81によりボトルBの底部B4を押し込むことができる。従って、ホットパック方式においてもボトルBの胴部B3又は肩部を支持することなく、ボトルBへの負担を低減することができる。
【0033】
また、ホイールテーブル搬送装置12Aに限られず、ネック搬送方式の搬送装置に底押し装置8Aを適用してもよい。この場合は、底部B4を押し込むため底押しに耐え得る強度が底押し装置8にてボトルBを搬送するグリッパー11に必要である。従って、底押し装置8Aに適用されるグリッパー11を所望の強度を有するように構成すればよい。具体的にはボトルBのネック部B1をチャック装置14による把持により支持することが望ましい。なお、チャック装置14として周知技術を利用してよい。なお、アセプティック充填方式においても底押し時に押え部材85に代えてこのようなチャック装置14を利用してボトルBを底押ししてもよい。
【0034】
キャッパー7のキャップ装着部材71及び底押し装置8、8Aの押込み部材81の駆動については、カム機構72、82に限られない。アクチュエータやモータ等の周知技術を利用して駆動するように構成してもよい。底押し装置8Aの押え部材85を駆動するカム機構86についてもこれに限られない。上述の周知技術の他にも、搬送されるボトルBのキャップC上端部を押さえるガイドを設けてもよい。
【符号の説明】
【0035】
1 容器搬送システム
2 ブロー成形装置
6 充填装置
7 キャッパー(キャッピング装置)
10 搬送機構(搬送装置)
71 キャップ装着部材
B ボトル(容器)
B1 ネック部(首部)
B2 口部
B4 底部
B4a 凸部
C キャップ
PF プリフォーム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
樹脂製のプリフォームが順次供給され、底部に外側が突出した凸部を有する容器をブロー成形により形成するブロー成形装置と、形成された容器に飲料を充填する充填装置と、飲料が充填された容器の口部にキャップを装着するキャップ装着部材を有するキャッピング装置と、キャップ装着後の容器の前記凸部を内側に押し込む押込み装置と、前記ブロー成形装置にて容器が形成されてから前記押込み装置にて前記凸部が内側に押し込まれるまでの間を順次搬送する搬送装置と、を備えた容器充填システムであって、
前記押込み装置は、前記容器に装着されたキャップ又は容器の首部を支持する支持部と、前記キャップ又は首部が前記支持部にて支持された状態で前記容器の下方から前記凸部を内側に押し込む押込み部材と、を有し、
前記搬送装置には、前記容器の首部を支持して搬送する首支持搬送手段が、前記ブロー成形装置からキャッピング装置までの全搬送区間に亘って設けられていることを特徴とする容器充填システム。
【請求項2】
前記首支持搬送手段は、搬送されている容器の首部の位置が所定の高さに統一されるように前記容器を搬送することを特徴とする請求項1に記載の容器充填システム。
【請求項3】
前記キャッピング装置及び前記押込み装置は、無菌状態のチャンバ内に設置されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の容器充填システム。
【請求項4】
前記キャップ装着部材は前記支持部を兼ね、かつ前記支持部が前記キャップを支持し、前記キャップ装着部材がキャップを容器に装着した後にそのまま前記キャップを押さえた状態で、その容器の凸部が前記押込み部材により押し込まれることを特徴とする請求項3に記載の容器充填システム。
【請求項5】
前記搬送装置の搬送方向下流側には、容器の底部を支持しながら搬送する底搬送手段を有する底支持搬送装置が設けられ、前記底搬送手段は、前記搬送装置から搬送される容器の底部の位置に応じて前記底部を支持する支持位置を調整可能に設けられていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の容器充填システム。
【請求項6】
樹脂製のプリフォームが順次供給され、底部に外側が突出した凸部を有する容器をブロー成形により形成するブロー成形工程と、形成された容器に飲料を充填する充填工程と、飲料が充填された容器の口部にキャップを装着するキャッピング工程と、キャップ装着後の容器の前記凸部を内側に押し込む押込み工程と、を備えた容器充填方法であって、
前記ブロー成形工程から前記押込み工程まで前記容器の首部を支持して搬送し、
前記キャッピング工程及び前記押込み工程は、無菌状態のチャンバ内で行われ、
前記キャッピング工程にて、キャップ装着部材が容器にキャップを装着した後、前記キャップ装着部材がキャップと接触した状態で、前記押込み工程にて、前記容器の下方から押込み部材が前記凸部を容器の内側に押し込むことを特徴とする容器充填方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−230781(P2011−230781A)
【公開日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−100696(P2010−100696)
【出願日】平成22年4月26日(2010.4.26)
【出願人】(391058381)キリンビバレッジ株式会社 (94)
【Fターム(参考)】