説明

容器搬送装置のネックレール

【課題】ネック部に鍔部が形成されている軽量容器を推進動圧により搬送する容器搬送装置において、コーナー搬送部に発生する摩耗などの経年変化による搬送障害を軽減させることのできる容器搬送装置のネックレールを提供する。
【解決手段】ネック部sに対向する位置に配置されて、鍔部tを案内するネックレール2であって、帯電防止機能を有する合成樹脂からなり鍔部tの下面側を平坦面で係止するレール本体3と、これを保持するレールホルダ4を有している。レール本体3は、ネック部sに臨む先端部3aが平坦面に対して鋭角に形成された断面形状を有する第1のレール本体と、ネック部sに臨む先端部3aが、平坦面に対して矩形に形成された断面形状を有する第2のレール本体とからなる。第1のレール本体は、容器搬送装置の直線搬送部の搬送方向に延設されるとともに、第2のレール本体は、容器搬送装置のコーナー搬送部の搬送方向に延設されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ネック部に鍔部が形成されている軽量容器を空気の推進動圧を利用して搬送させる際に、上記ネック部との擦れ合いによって起こる摩耗などの経年変化に左右されることなく、推進動圧を維持させて搬送することのできる容器搬送装置のネックレールに関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、PETボトルなどのネック部に鍔部が形成されている軽量容器を、エアーにより搬送させる容器搬送装置においては、上記ネック部に対向する位置にレールが設けられ、上記鍔部を上記レールに係止させて、ノズルから吐出される空気の推進動圧を利用して搬送する方法が知られている。
【0003】
その際に用いられる従来の上記容器搬送装置では、例えば図7に示すように、軽量容器hのネック部sに対向する位置にネックレール21、22が設けられ、このネックレール21、22に鍔部tを係止させている。このネックレール21、22は、鍔部tの下面側を係止する上面が平坦面によって形成され、ネック部sに臨む先端部21a、22aが、上記平坦面に対して鋭角に形成された断面形状を有するものである。
【0004】
また、従来のネックレール21、22を容器搬送装置20の取付フレーム31に取り付けるには、取付部材23、24にネックレール21、22の後端部を係止させて、ボルト25、26を締め付けることによって行う。このときに、ネック部sに臨むネックレール21の先端部21aと、ネックレール22の先端部22aとの幅rは、鍔部tの係止が外れない程度に、ネック部sの径方向の長さに対して広めに設定される。この幅rを設定するには、取付部材23、24に形成されているボルト25、26が挿通する長孔27、28により、取付部材23、24をネック部sに対して進退自在に移動させることによって行う。
【0005】
ところで、上記従来の容器搬送装置20のネックレール21、22を直線搬送部に使用する場合には、その先端部21a、22aが鋭角に形成されているため、空気の推進動圧により搬送される軽量容器hのネック部sとの擦れ合いによる接触摩擦が軽減され、さらには、量容器hの振幅に対するクリアランスも確保することができるという利点がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、上記従来の容器搬送装置20では、上記直線搬送部とコーナー搬送部とに、上記平坦面に対して鋭角に形成された断面形状を有するネックレール21、22が使用されているため、上記直線搬送部においては、接触摩擦の軽減や容器振幅のクリアランスを確保することができるため、効率的な形状のネックレールであるのに対して、コーナー搬送部においては、搬送される際に起こる遠心力の影響によって、コーナー部の外側に軽量容器hが振られるため、ネック部sとの接触摩擦による摩耗が、上記直線搬送部のネックレールの先端部よりも多く発生してしまう。これにより、上記コーナー搬送部のネックレールの先端部は、摩耗により軽量容器hのネック部sとの接触面積が広くなるため、接触抵抗が増大して、初期に設定した上記推進動圧での搬送が困難になり、コーナー搬送部において、搬送障害が発生していまうという問題があった。
【0007】
また、従来のネックレール21、22を容器搬送装置20に取り付ける際に、取付部材23、24に形成されているボルト25、26が挿通する長孔27、28により、取付部材23、24をネック部sに対して進退自在に移動させて、ネックレール21とネックレール22との幅rを調整するようになっている。この調整を行うには、固定基準の無い取付部材23、24をそれぞれ移動させて、ネックレール幅rを設定するとともに、軽量容器hの胴部kに対向する位置に設けられているガイド部材29、30の幅gの中心に設定する必要がある(図6参照)。そのため、広範囲の調整が必要となり、調整に要する時間がかかるとともに、作業者の熟練度も要するという問題があった。
【0008】
さらに、上記コーナー搬送部にネックレール21、22を配設する際には、上記直線搬送部に使用されるネックレール21、22を、上記コーナー搬送部のコーナー形状に合わせて加工する必要があるため、手間が掛かるとともに、取付及び位置決めに多大な時間が必要になるという問題もある。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたもので、PETボトルなどのネック部に鍔部が形成されている軽量容器を空気の推進動圧を利用して搬送する容器搬送装置において、とくにコーナー搬送部に発生する摩耗などの経年変化による搬送障害を軽減させることのできる容器搬送装置のネックレールを提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、ネック部に鍔部が形成された軽量容器を搬送する容器搬送装置の上記ネック部に対向する位置に配置されて、上記鍔部を案内するネックレールであって、帯電防止機能を有する合成樹脂からなり、上記鍔部の下面側を平坦面で係止するレール本体と、このレール本体を保持するレールホルダを有し、上記レール本体は、上記ネック部に臨む先端部が、上記平坦面に対して鋭角に形成された断面形状を有する第1のレール本体と、上記ネック部に臨む先端部が、上記平坦面に対して矩形に形成された断面形状を有する第2のレール本体とからなり、上記第1のレール本体は、上記容器搬送装置の直線搬送部の搬送方向に延設されるとともに、上記第2のレール本体は、上記容器搬送装置のコーナー搬送部の搬送方向に延設されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の容器搬送装置のネックレールにおいて、上記レールホルダは、上記レール本体の後端部を保持するとともに、上記レール本体の先端部を上記鍔部の下面側の高さに位置決めするレール受けと、上記先端部を上記ネック部に対向する位置に位置決めする位置決めフレームと、上記レールホルダの上面を押圧して固着するためのレール押さえとを備えた取付手段により、上記容器搬送装置の取付フレームに載置されていることを特徴とするものである。
【0012】
さらに、請求項3に記載の本発明は、請求項1または請求項2に記載の容器搬送装置のネックレールにおいて、上記第1のレール本体および上記第2のレール本体は、各々が上記軽量容器の上記ネック部に対向配置されているとともに、帯電防止機能を有する白色の超高分子量ポリエチレンにより形成されていることを特徴とするものである。
【0013】
そして、請求項4に記載の本発明は、請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器搬送装置のネックレールにおいて、上記レールホルダは、金属材料により形成されていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0014】
請求項1〜4のいずれかに記載の本発明によれば、容器搬送装置の直線搬送部に延設させるネックレールの第1のレール本体の先端部を、軽量容器の鍔部を係止する平坦面に対して、鋭角に形成された断面形状にしているため、上記軽量容器のネック部との接触面積を小さくすることができ、空気の推進動圧を利用して搬送する際に起こる接触摩擦による摩耗が低減するとともに、振幅のクリアランスを確保することができる。これにより、上記ネックレールの摩擦などの経年変化による搬送障害を起こすことなく搬送することができる。
【0015】
また、コーナー搬送部に延設されるネックレールの第2のレール本体の先端部を、上記軽量容器の上記鍔部を係止する上記平坦面に対して、矩形に形成した断面形状にしているため、空気の推進動圧を利用して搬送する際に、遠心力によりコーナー部の外側に振られて起こる接触摩擦による摩耗が発生したとしても、上記第2のレール本体の上記先端部が、上記ネック部に対して平行に摩耗するため、摩耗による接触面積の拡大を防止するとともに、この接触面積の拡大により起こる搬送速度の低減を防止することができる。これにより、初期に設定した上記推進動圧を維持することができ、搬送障害を起こすことなく搬送することができる。
【0016】
さらに、上記ネックレールを、合成樹脂からなる上記レール本体と、レールホルダとにより構成しているため、設計後に発生する適応容器の仕様変更によるネックレール幅の変更や上記レール本体の材質変更があった場合であっても、上記レール本体の仕様を変更して交換することにより対応することができる。また、上記レール本体の着脱も簡便に行うことができるため、メンテナンスに掛かる時間を短縮することができるとともに、メンテナンスにかかるコストも抑えることができる。
【0017】
請求項2に記載の本発明によれば、上記ネックホルダを上記直線搬送部およびコーナー搬送部とに配設する際に、固定基準となるレール受けと位置決めフレームとにより載置して、レール押さえにより固定しているため、未熟な作業者であっても、上記ネックレールの幅を正確に出すことができるとともに、上記軽量容器の胴部に対向する位置に設けられたガイド部材の幅の中央に配置することができる。
【0018】
請求項3に記載の本発明によれば、上記第1のレール本体および上記第2のレール本体の断面形状を各々同一の形状にして、上記ネック部に対向して左右対称に配設しているため、上記直線搬送部においては、左右を気にすることなく、上記第1のレール本体の形状を一つ制作することによって、左右どちらでも取り付けることができる。また、上記コーナー搬送部においては、上記第2のレール本体のコーナー角度が同じであれば、搬送方向に対して右曲がりのコーナーでも、左曲がりのコーナーでも取り付けることができる。これにより、製作する部品を減らすことができるため、製造コストを抑えることができる。
【0019】
また、上記第1のレール本体と上記第2のレール本体とを帯電防止機能を有する白色の超高分子量ポリエチレンにより形成しているため、上記軽量容器の鍔部やネック部との接触摩擦による帯電を防止することができるとともに、埃や塵の付着を押さえることができる。また、摺動抵抗が低減されて、摩耗の発生を防止することができる。これにより、衛生管理の厳しい食品関係の搬送ラインにおいても使用することができるとともに、上記レール本体を白色にすることにより、美観も衛生的に感じられ、食品関係の企業でも受け入れやすくすることができる。
【0020】
そして、請求項4に記載の本発明によれば、レールホルダの上面部をレール押さえにより固定する際には、上記レールホルダを金属により形成しているため、確実に固定することができるとともに、締め付け過ぎによる破損も防止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
図1〜5は、本発明の容器搬送装置のネックレールの一実施形態を示すものである。
図1に示すように、空気の推進動圧を利用して搬送する容器搬送装置1は、PETボトルなどの軽量容器hのネック部sに形成されている鍔部tを係止するネックレール2が、ネック部sに対向する位置に各々配設され、搬送方向Fに沿って延設されている。このネックレール2は、ネック部sの鍔部tの高さに、その先端部を配置するとともに、各々の先端部3bが、ネック部sに対向する位置に配置され取付手段15により、取付フレーム14に載置されている。そして、軽量容器hの胴部kに対向する位置には、ガイド部材12が各々配設されている。
【0022】
図2(b)に示すように、ネックレール2は、レール本体3とレールホルダ4とにより構成されている。このレール本体3は、略L字状の断面形状をなし、水平部に軽量容器hの鍔部tを係止する平板状の先端部3aが形成されるとともに、垂直部にレールホルダ4によって囲繞される後端部3bが形成され、搬送方向Fに沿って延在されている。この後端部3bは、矩形状に形成されるとともに、この上面部の先端部3a側1/3の位置と、上記背面部の下面側1/3の位置とに、搬送方向Fに向けて突起3cが延設されている。また、レール本体3は、容器搬送装置1の直線搬送部7において、第1のレール本体5が形成され、コーナー搬送部8において、第2のレール本体6が形成されている。
【0023】
この第1のレール本体5は、図3に示すように、その先端部5aの上面が、軽量容器hの鍔部sの下面側を係止するための平坦部によって形成されているとともに、上記平坦部に対してネック部sに臨む先端部5aの下面が鋭角になるように、先端部5aから後端部5bに向けて45°の角度で傾斜して形成されている。また、第2のレール本体6は、図4に示すように、その先端部6aの上面が、軽量容器hの鍔部sの下面側を係止するための平坦部によって形成されているとともに、上記平坦部に対してネック部sに臨む先端部6aが矩形に形成されている。さらに、全体が帯電防止機能を有する白色の超高分子量ポリエチレンにより形成されている。
【0024】
また、レールホルダ4は、図に2(b)に示すように、矩形のパイプ材から形成され、内部にレール本体3の後端部3bを囲繞する矩形空間が形成されているとともに、レール本体3の先端部3aを突出させるための開口部が、軽量容器hのネック部s側の前面部の下面部側半分と下面部の前面部側半分に形成されている。また、上記矩形空間には、その上面部と背面部とに凹部4bが形成され、搬送方向Fに沿って延設されている。この各々の凹部4bは、レール本体3の後端部3bの上面部と背面部とに形成されている突起3cに嵌合されている。また、外側の上面部の中央部には、搬送方向Fに沿って突起4aが延設されている。
【0025】
さらに、ネックレール2は、取付手段15により取付フレーム14に固着され、ネック部sに対向配置され、各々の断面形状が左右対称に配設されている。この取付手段15は、ネックレール2の下面部が当接されるレール受け9と、ネックレール2の背面側が当接される位置決めフレーム10と、レールホルダ4の上面部側をボルト13の締め付けにより押圧して固定するレール押さえ11とにより構成されている。レール受け9は、平板状に形成され、搬送方向Fに沿って延在されるとともに、等間隔にボルト13が挿通するボルト孔が穿設されている。
【0026】
また、位置決めフレーム10は、断面形状がL字状の平板で形成され、搬送方向Fに沿って延在されるとともに、L字状の水平部には、レール受け9に形成されているボルト孔と同芯に、ボルト13を挿通させるボルタ孔が穿設されている。また、上記水平部には、ネックレール2の背面部と当接する端部10aが矩形に形成されている。さらに、L字状の垂直部の上端部は、容器搬送装置1と接合され固定されている。そして、上記水平部の下面側がレール受け9と当接するとともに、ネックレール2の背面部に端部10aが当接されている。
【0027】
さらに、レール押さえ11は、位置決めフレーム10の上記水平部の上面側の幅により、断面形状が矩形に形成されている。また、その下面部側に形成された開口部は、断面を十字状に形成した蟻溝11bと、軽量容器hに対向する側壁部に突出した軒部11aが形成され、搬送方向Fに沿って延在されている。この十字状に形成された蟻溝11bは、ボルト13のネジ部の幅に垂直方向の溝が形成されるとともに、水平方向の溝部11dは、六角ナット16の対向する面の幅に形成され、搬送方向Fに沿って延設されている。また、軒部11aは、その下面側にネックレール2のレールホルダ4の上面部に形成された突起4aの高さと同一の凹部11cが搬送方向Fに沿って延設されている。この凹部11cは、ネックレール2を軽量容器hのネック部sに対して進退自在にスライドできるように、その幅が広く形成されている。また、蟻溝11bが形成されている下面部は、軽量容器h側の前面から4/5の位置まで段差が形成されている。
【0028】
以上の構成からなる容器搬送装置1のネックレール2を用いて、軽量容器hを空気の推進動圧を利用して搬送させるためには、まず図2(b)に示すように、帯電防止機能を有する白色の超高分子量ポリエチレンのレール本体3を、金属製のレールホルダ4の側端部から挿入して取り付ける。このとき、直線搬送部7においては、図3に示すように、先端部5aが鋭角に形成された第1のレール本体5が用いられ、コーナー搬送部8においては、先端部6aが矩形に形成された第2のレール本体6が用いられることになる。
【0029】
次いで、図2(a)に示すように、軽量容器hのネック部sに対向する位置にネックレール2を取付手段15によって、左右対称に固着する。この場合は、L字状の垂直部の上端部が固定されている位置決めフレーム10の水平部と取付フレーム14との間に、レール受け9を設置して、位置決めフレーム10の上記水平部の上面に、レール押さえ11を設置するとともに、取付フレーム14の下面からボルト13をそれぞれの孔に挿通させて、レール押さえ11の十字状の蟻溝11bの内部に形成されている水平方向の溝部11dに、予め挿入しておいたナット16に螺合させておく。
【0030】
そして、ネックレール2の下面部をレール受け9の上面に当接させて、背面部を位置決めフレーム10の端部10aに当接させる。このとき、位置決めフレームの上記水平部の上面の幅と同じに形成されたレール押さえ11の前面部にも当接されることになる。さらに、レール押さえ11の軒部11aの下面側が、ネックレール2のレールホルダ4の上面部と当接され、取付フレーム14の下面からボルト13を締め込むことにより、レール押さえ11の蟻溝11bに挿入されたナット16が下方に締め込まれるとともに、軒部11aがネックレース2のレールホルダ4を押圧して固着される。これにより、ネックレール2は、固定基準となるレール受け9と位置決めレール10とによって、搬送に適したネックレール幅rが設定されるとともに、ガイドレール幅gの中心に、ネックレール幅rの中心が設定されることになる。
【0031】
そして、容器搬送装置1の上流側より軽量容器hを、ノズルより吐出する空気の推進動圧を利用することにより、下流へと搬送させる。このとき、図5(a)の直線搬送部7においては、上記推進動圧が直線方向に働くため、図3に示す左右の振れ方向Mの揺れ度合いが少ないまま下流側に搬送される。また、図5(b)のコーナー搬送部においては、上記推進動圧により搬送される軽量容器hが、遠心力Nにより外側に振られるため、外側に配設されている第2のレール本体6の先端部にネックsが接触しながら、下流側に搬送されることになる。
【0032】
上述の実施形態の容器搬送装置1のネックレール2によれば、直線搬送部7の搬送方向Fに沿って延設させるネックレール2の第1のレール本体5の先端部5aを、軽量容器hの鍔部tを係止する平坦面に対して、鋭角に形成された断面形状にしているため、軽量容器hのネック部sとの接触面積を小さくすることができ、空気の推進動圧を利用して搬送する際に起こる接触摩擦による摩耗が低減するとともに、振幅のクリアランスを確保することができる。これにより、ネックレール2の摩耗などの経年変化による搬送障害を起こすことなく搬送することができる。
【0033】
また、コーナー搬送部8に延設されるネックレール2の第2のレール本体6の先端部6aを、軽量容器hの鍔部tを係止する平坦面に対して、矩形に形成した断面形状にしているため、空気の推進動圧を利用して搬送する際に、遠心力によりコーナー部の外側に振られて起こる接触摩擦による摩耗が発生したとしても、第2のレール本体6の先端部6aが、ネック部sに対して平行に摩耗するため、摩耗による接触面積の拡大を防止するとともに、この接触面積の拡大により起こる搬送速度の低減を防止することができる。これにより、初期に設定した上記推進動圧を維持することができ、搬送障害を起こすことなく搬送することができる。
【0034】
さらに、ネックレール2を、合成樹脂からなるレール本体3と、金属製のレールホルダ4とにより構成しているため、設計後に発生する適応容器の仕様変更によるネックレール幅rの変更やレール本体3の材質変更があった場合であっても、レール本体3の仕様を変更して交換することにより対応することができる。これにより、メンテナンスにかかるコストを抑えることができる。また、レール本体3の後端部3bの上面部と背面部に形成された突部3cと、レールホルダ4の内方の上面部と背面部に形成された凹部4bが嵌合して、上記レール本体3の後端部3bの上記上面部および上記背面部と、レールホルダ4の内方の上記上面部および上記背面部とに隙間ができるため、レール本体3をレールホルダ4の側端部から挿入する際や引き抜く際に、接触抵抗が軽減され、取付取り外しをスムーズに行うことができる。これにより、メンテナンスに掛かる時間を短縮することができる。
【0035】
そして、ネックホルダ4を、直線搬送部7およびコーナー搬送部8とに配設する際に、固定基準となるレール受け9と位置決めフレーム10とにより載置して、レール押さえ11により固定しているため、未熟な作業者であっても、対向して配設されるネックレール2の幅を正確に出すことができるとともに、軽量容器hの胴部kに対向する位置に配設されるガイド部材の幅の中央に配置することができる。また、レールホルダ4の上面部をレール押さえ11により固定する際に、レールホルダ4を金属により形成しているため、確実に固定することができるとともに、締め付け過ぎによる破損も防止することができる。
【0036】
さらに、レールホルダ4は、上面部に形成された突起4aを、レール押さえ11の軒部11aの下面側に形成された凹部11c内に介在させ、ネック部sに対して進退自在に移動できるようにしているため、レール本体3の先端部3aが摩耗した場合には、ネック部s方向に移動させて、ネックレール幅rを調整することができる。
【0037】
また、レール押さえ11の蟻溝11bが形成されている下面側の軽量容器h側の前面部から、4/5の位置まで段差を形成しているため、ボルト13を締め付けた際に、スプリング効果によりレール押さえ11がネックレール2側に傾くことによって、軒部11aに力が加わり、より強固に固着することができる。
【0038】
さらに、第1のレール本体5および第2のレール本体6の断面形状を、各々同一の形状にして、上記ネック部に対して左右対称に配設しているため、直線搬送部7においては、左右を気にすることなく、第1のレール本体5の形状を一つ制作すれば、左右どちらでも取付ることができる。また、コーナー搬送部8においては、第2のレール本体6のコーナー角度が同じであれば、搬送方向Fに対して右曲がりのコーナーでも、左曲がりのコーナーでも取り付けることができる。これにより、製作する部品を減らすことができるため、製造コストを抑えることができる。
【0039】
また、第1のレール本体5と第2のレール本体6とを帯電防止機能を有する白色の超高分子量ポリエチレンにより形成しているため、軽量容器hの鍔部tやネック部sとの接触摩擦による帯電を防止することができるとともに、埃や塵の付着を押さえることができる。また、摺動抵抗が低減されて、摩耗の発生を防止することができる。これにより、衛生管理の厳しい食品関係の搬送ラインにおいも使用することができるとともに、レール本体2を白色にすることにより、美観も衛生的に感じられ、食品関係の企業でも受け入れやすくすることができる。
【0040】
なお、上記実施の形態において、直線搬送部7に配設される第1のレール本体5の先端部5aの鋭角形状を45°の角度を用いた場合についてのみ説明したが、これに、限定されるものでなく、鋭角に形成されていればよく、例えば、鋭角形状を30°または15°の角度を用いても対応可能である。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】本発明の容器搬送装置のネックレールの一実施形態を示す正面図である。
【図2】本発明の容器搬送装置のネックレールの一実施形態を示し、(a)はネックレール部の正面拡大図、(b)はネックレールの正面断面図である。
【図3】本発明の容器搬送装置のネックレールの一実施形態を示す直線搬送部におけるネックレール部の正面拡大図である。
【図4】本発明の容器搬送装置のネックレールの一実施形態を示すコーナー搬送部におけるネックレール部の正面拡大図である。
【図5】本発明の容器搬送装置のネックレールの一実施形態を示し、(a)は直線搬送部における搬送方法を説明する平面略図、(b)はコーナー搬送部における搬送方法を説明する平面略図である。
【図6】従来の容器搬送装置のネックレールの実施形態を示す正面図である。
【図7】従来の容器搬送装置のネックレールの実施形態を示すネックレール部の正面拡大図である。
【符号の説明】
【0042】
1 容器搬送装置
2 ネックレール
3 レール本体
3a 先端部
3b 後端部
4 レールホルダ
5 第1のレール本体
5a 先端部
6 第2のレール本体
6a 先端部
7 直線搬送部
8 コーナー搬送部
9 レール受け
10 位置決めプレート
11 レール押さえ
14 取付フレーム
h 軽量容器
s ネック部
t 鍔部
F 搬送方向

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ネック部に鍔部が形成された軽量容器を搬送する容器搬送装置の上記ネック部に対向する位置に配置されて、上記鍔部を案内するネックレールであって、
帯電防止機能を有する合成樹脂からなり、上記鍔部の下面側を平坦面で係止するレール本体と、このレール本体を保持するレールホルダを有し、
上記レール本体は、上記ネック部に臨む先端部が、上記平坦面に対して鋭角に形成された断面形状を有する第1のレール本体と、上記ネック部に臨む先端部が、上記平坦面に対して矩形に形成された断面形状を有する第2のレール本体とからなり、
上記第1のレール本体は、上記容器搬送装置の直線搬送部の搬送方向に延設されるとともに、上記第2のレール本体は、上記容器搬送装置のコーナー搬送部の搬送方向に延設されていることを特徴とする容器搬送装置のネックレール。
【請求項2】
上記レールホルダは、上記レール本体の後端部を保持するとともに、上記レール本体の先端部を上記鍔部の下面側の高さに位置決めするレール受けと、上記先端部を上記ネック部に対向する位置に位置決めする位置決めフレームと、上記レールホルダの上面を押圧して固着するためのレール押さえとを備えた取付手段により、上記容器搬送装置の取付フレームに載置されていることを特徴とする請求項1に記載の容器搬送装置のネックレール。
【請求項3】
上記第1のレール本体および上記第2のレール本体は、各々が上記軽量容器の上記ネック部に対向配置されているとともに、帯電防止機能を有する白色の超高分子量ポリエチレンにより形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の容器搬送装置のネックレール。
【請求項4】
上記レールホルダは、金属材料により形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の容器搬送装置のネックレール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−1095(P2010−1095A)
【公開日】平成22年1月7日(2010.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−159140(P2008−159140)
【出願日】平成20年6月18日(2008.6.18)
【出願人】(390004879)三菱マテリアルテクノ株式会社 (201)