説明

容器漏れ検査方法および容器漏れ検査システム

【解決手段】 容器漏れ検査システム1は、無菌状態に維持されるとともに小容器2を大容器3に収容する作業用チャンバー4と、該作業用チャンバーに無菌状態を維持した状態で接続されるとともに、大容器の漏れを検査する検査用チャンバー7とを備えている。
上記作業用チャンバーにおいて小容器を上記大容器の内部に収容したら、上記検査用チャンバーにおいて該大容器が密封されているか否かを検査し、上記大容器の漏れが判明した場合には、漏れが判明した大容器を再度密封し直すか、もしくは漏れが判明した大容器に収容されている小容器を取り出して別の大容器に収容し直すようになっている。
【効果】 物品を収容した容器を確実に密封した状態で移送可能とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は容器漏れ検査方法および容器漏れ検査システムに関し、詳しくは物品を収容した容器の漏れを検査する容器漏れ検査方法および容器漏れ検査システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、物品を収容した容器の漏れ(リーク)を検査するため、例えば容器に物品とともに検査用ガスを封入し、この容器を押圧して検査用ガスの漏れを検出することが行われている(特許文献1)。
また、小容器としてのビンに粉末を収容し、さらにこの小容器が外気に触れないように大容器としてのバッグに収納して、該大容器を小容器が外気に触れないように移送することが行われている(特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−187152号公報
【特許文献2】特許第3666873号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記特許文献1のリークテストは無菌状態下で行われていないため、特許文献1のリークテストにより容器に漏れが検出されると、該容器の内部の物品が汚染されてしまう可能性があった。
このため、仮にこの特許文献1のリークテストを上記特許文献2の大容器に対して行い、該大容器に漏れが検出された場合には、大容器の内部に収容した小容器が汚染されている可能性がある。
その結果、上記小容器に収容した物品の汚染の有無を検査するため、該小容器についてもリークテストを行わなければならず、このリークテストによって小容器にも漏れが検出されてしまうと、該小容器内部の物品も汚染されている可能性があるため、該物品を使用することができなくなるという問題があった。
このような問題に鑑み、本発明は上記物品を確実に密封した状態で移送可能とした容器漏れ検査方法および容器漏れ検査システムを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
すなわち、請求項1の発明にかかる容器漏れ検査方法は、物品を収容した容器の漏れを検査する容器漏れ検査方法であって、
無菌状態に維持されるとともに上記物品を容器に収容する作業用チャンバーと、該作業用チャンバーに無菌状態を維持した状態で接続されるとともに、容器の漏れを検査する検査用チャンバーとを備え、
上記作業チャンバーにおいて物品を上記容器の内部に収容したら、上記検査用チャンバーにおいて該容器が密封されているか否かを検査し、
上記容器の漏れが判明した場合には、漏れが判明した容器を再度密封し直すか、もしくは漏れが判明した容器に収容されている物品を取り出して別の容器に収容し直すことを特徴としている。
【0006】
また請求項2の発明にかかる容器漏れ検査方法は、上記請求項1の発明において、上記容器は物品を収容した小容器を収容する大容器であって、
上記物品を小容器に収容してから該小容器を大容器に収容して、該大容器が密封されているか否かを検査することを特徴としている。
【0007】
さらに請求項3の発明にかかる容器漏れ検査方法は、上記請求項2の発明において、上記物品を収容した小容器を上記大容器に複数収容することを特徴としている。
【0008】
請求項6の発明にかかる容器漏れ検査システムは、物品を収容した容器の漏れを検査する容器漏れ検査システムであって、
上記物品を容器内に収容する作業を行う作業用チャンバーと、該作業用チャンバーと無菌状態を維持したまま連通可能に配置されるとともに上記容器の漏れを検査する検査用チャンバーと、上記作業用チャンバーと検査用チャンバーとを連通する開放位置とこれらを区画する閉鎖位置とに開閉可能な作業扉とを備え、
上記検査用チャンバーによる容器の漏れ検査を、上記作業扉が閉鎖位置に位置した状態で行うことを特徴としている。
【0009】
また請求項7の発明にかかる容器漏れ検査システムは、上記請求項6の発明において、上記容器は物品を収容する小容器と該小容器を収容する大容器とから構成され、
上記小容器は物品を収容した状態で上記大容器に収容され、上記検査用チャンバーでは上記大容器が密封されているか否かを検査することを特徴としている。
【0010】
また請求項8の発明にかかる容器漏れ検査システムは、上記請求項7の発明において、上記物品を収容した小容器は上記大容器に複数収容されることを特徴としている。
【発明の効果】
【0011】
上記請求項1の発明によれば、容器のリークテストを無菌状態に維持された作業用チャンバーに接続した検査用チャンバー内で行うため、仮に容器に漏れが検出された場合であっても、内部の物品が汚染されることはない。
また漏れが検出された容器については、再度の密封や別の容器に交換するので、確実に密封された容器だけを排出することができる。
【0012】
また上記請求項2の発明によれば、大容器に物品を収容した小容器を収容する場合であっても、大容器のリークテストを無菌状態に維持された検査用チャンバー内で行うため、仮に大容器に漏れが検出された場合であっても、内部の小容器が汚染されることはない。
このため、仮に小容器に漏れがあったとしても、上記作業用チャンバーおよび検査用チャンバーは無菌状態に維持されているため、この物品が汚染されることはない。
そして、漏れが検出された大容器は再度の密封や別の大容器に交換されるので、小容器に漏れが存在したとしても、大容器の移送中に物品が汚染されることはないので、小容器については完全な密封を行わなくともよく、換言すると小容器についてはリークテストを行う必要がない。
【0013】
そして請求項3の発明によれば、大容器に複数の小容器を収容することにより、リークテストは大容器のみに行うだけでよくなることから、複数の小容器を個々にリークテストする必要がなくなり、リークテストにかかる時間を短縮することができる。
【0014】
上記請求項6の発明によれば、容器のリークテストを無菌状態に維持された作業用チャンバーに接続した検査用チャンバー内で行うため、仮に容器に漏れが検出された場合であっても、内部の物品が汚染されることはない。
【0015】
また請求項7の発明によれば、大容器に物品を収容した小容器を収容する場合であっても、大容器のリークテストを無菌状態に維持された検査用チャンバー内で行うため、仮に大容器に漏れが検出された場合であっても、内部の小容器が汚染されることはない。
このため、仮に小容器に漏れがあったとしても、上記作業用チャンバーおよび検査用チャンバーは無菌状態に維持されているため、この物品が汚染されることはない。
【0016】
そして請求項8の発明によれば、大容器に複数の小容器を収容することにより、リークテストは大容器のみに行うだけでよくなることから、複数の小容器を個々にリークテストする必要がなくなり、リークテストにかかる時間を短縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本実施例にかかるアイソレータシステムの配置図。
【図2】小容器を示す図であって、(a)は物品収容前を、(b)は密封後の状態をそれぞれ示す。
【図3】大容器を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下図示実施例について説明すると、図1は容器漏れ検査システム1の配置図を示し、この容器漏れ検査システム1の内部で物品としての粉末状の薬剤を小容器2に収容するとともに、この小容器2を大容器3に収容し、さらに上記大容器3を小容器2ごと容器漏れ検査システム1の外部に搬出するものとなっている。
本実施例の小容器2は図2に示すような開口部を有する袋状のビニール袋であって(図2(a))、所定量の薬剤が収容されると開口部がヒートシールによって密封されるようになっている(図2(b))。
上記大容器3は図3に示すようなステンレス製の容器であって、有底筒状の本体部3aと、該本体部3aを気密を保った状態で密封する蓋部3bとから構成されている。
上記本体部3aには対向する位置にクランプレバー3cが設けられており、上記蓋部3bには上記本体部3aの開口部に密着するゴムや樹脂などのシール部材3dとが設けられている。
このような構成により、上記クランプレバー3cにより蓋部3bを保持することで、シール部材3dが本体部3aの開口部に密着し、大容器3の内部は外部空間から気密を保った状態で区画されることとなる。
【0019】
上記容器漏れ検査システム1は、上記小容器2を大容器3に収納する等の作業を行う作業用チャンバー4と、該作業用チャンバー4に上記薬剤や小容器2を供給するための供給チャンバー5と、上記大容器3を滅菌する滅菌チャンバー6と、上記大容器3のリークテストを行う検査用チャンバー7と、作業用チャンバー4で密封された大容器3を外部に排出するための排出チャンバー8とから構成されている。
これら作業用チャンバー4と、上記供給チャンバー5、滅菌チャンバー6、検査用チャンバー7、排出チャンバー8との間には、それぞれ開閉可能な作業扉5a〜8aが設けられ、この作業扉5a〜8aを閉鎖することによって作業用チャンバー4とその他のチャンバーとを気密を保った状態で区画することが可能となっている。
【0020】
上記作業用チャンバー4は従来公知のアイソレータであって、外部と遮断された内部空間を有しており、該内部空間は無菌エアを供給する無菌エア供給手段11によって無菌状態が維持されるようになっている。また作業用チャンバー4の側面には図示しないグローブが複数設けられている。
この作業用チャンバー4では作業者が上記グローブを装着して、図1の図示左方から図示右方に向けて様々な作業を行うようになっており、本実施例では小容器2に薬剤を収容する袋詰ステーションA、上記小容器2をヒートシールするヒートシールステーションB、大容器3に小容器2を収納する収納ステーションC、大容器3を密閉する密封ステーションDが設けられている。
上記ヒートシールステーションBには上記小容器2をヒートシールする図示しないヒートシーラが設けられ、上記収納ステーションCには大容器3にヘリウムガスやアルゴンガスなどの検査用ガスを封入する検査用ガス供給手段12が設けられている。
【0021】
上記供給チャンバー5は上記作業用チャンバー4の図示左方に設けられ、外部に向けて開閉する外部扉5bと、過酸化水素蒸気などの滅菌ガスを供給する図示しない滅菌ガス供給手段とを備えている。
この供給チャンバー5には上記外部扉5bを介して上記薬剤を収容したタンクや未使用の小容器2が供給されるようになっており、これらタンクや小容器2は上記作業扉5aが閉鎖された状態で上記滅菌ガス供給手段の滅菌ガスにより滅菌されるようになっている。
そして、この状態で上記作業扉5aを開くと、作業用チャンバー4と供給チャンバー5とが無菌状態を維持したまま接続されることとなり、無菌状態下で上記タンクや小容器2を作業用チャンバー4へと移送することが可能となっている。
【0022】
上記滅菌チャンバー6は作業用チャンバー4の収納ステーションCの位置に接続され、また外部に向けて開閉する外部扉6bを備えている。
滅菌チャンバー6は従来公知のオートクレーブであって、上記外部扉6bを介して複数の大容器3を収容するとともに、収容した大容器3を加熱により滅菌するようになっている。
そして、この状態で上記作業扉6aを開くと、作業用チャンバー4と滅菌チャンバー6とが無菌状態を維持したまま接続されることとなり、無菌状態下で大容器3を作業用チャンバー4へと移送することが可能となっている。
【0023】
上記検査用チャンバー7は作業用チャンバー4における上記密封ステーションDの位置に接続され、また検査用チャンバー7内を負圧にする負圧発生手段13と、上記大容器3に封入した検査用ガスを検出するガス検出手段14とを備えている。
ここで、検査用チャンバー7の内部は無菌状態が維持されており、作業扉7aを開くことで、無菌状態を維持したまま作業用チャンバー4と検査用チャンバー7とを連通させることができ、無菌状態下で大容器の移送を行うことができる。
また検査用チャンバー7には、上記作業用チャンバー4の密封ステーションDで密封された大容器3が移送され、その後検査用チャンバー7が作業扉7aによって閉鎖されると、上記負圧発生手段13が検査用チャンバー7の内部を負圧にするようになっている。
上記大容器3に漏れがある場合には、大容器3の内部との差圧で大容器3の内部から上記検査用ガスが漏出し、この検査用ガスを上記ガス検出手段14が検出することにより、該大容器3の漏れを検出するようになっている。
そして、検査が終了すると上記作業扉7aを開き、検査用チャンバー7から上記作業用チャンバー4の上記密封ステーションDに大容器3を移送するようになっている。
【0024】
上記排出チャンバー8は上記作業用チャンバー4の図示右方に設けられ、外部に向けて開閉する外部扉8bと、過酸化水素蒸気などの滅菌ガスを供給する図示しない滅菌ガス供給手段とが設けられている。
排出チャンバー8は予め上記滅菌ガス供給手段の滅菌ガスによって滅菌されており、この状態で上記作業扉8aを開くと、作業用チャンバー4と排出チャンバー8とが無菌状態を維持したまま接続され、無菌状態下で大容器3を排出チャンバー8へと移送することが可能となっている。
そして上記排出チャンバー8には複数の大容器3が収納可能となっており、上記検査用チャンバー7で密封が確認された大容器3を、この排出チャンバー8内に移送させるようになっている。
そして所定個数の大容器3が収容されると、作業扉8aを閉鎖した状態で外部扉8bを開放して大容器3を外部に排出し、その後外部扉5bを閉鎖して、上記滅菌ガス供給手段による滅菌ガスによって排出チャンバー8内を再び滅菌するようになっている。
【0025】
以下、上記構成を有する容器漏れ検査システム1を用いた物品搬送方法について説明する。ここで、上記作業用チャンバー4の内部は予め無菌状態となっており、また上記作業用チャンバー4と他の各チャンバーとの境界に設けた作業扉5a〜8aは全て閉鎖されている。
まず、上記供給チャンバー5に設けた外部扉5bを開放して、薬剤を収容したタンクや未使用の小容器2を該供給チャンバー5に収納し、再度外部扉5bを閉鎖する。
この状態で上記滅菌ガス供給手段が供給チャンバー5の内部に滅菌ガスを供給し、これにより供給チャンバー5の内部が滅菌され、また上記タンクや小容器2の表面が滅菌される。
【0026】
次に、作業者は作業用チャンバー4の袋詰ステーションAに隣接するグローブを装着して、上記供給チャンバー5の作業扉5aを開放するとともに、該供給チャンバー5に収容されたタンクや小容器2を収納ステーションCまで移送し、その後上記作業扉5aを閉鎖する。
このとき、作業用チャンバー4と供給チャンバー5とは無菌状態を維持した状態で連通することから、上記タンクや小容器2は滅菌された状態が維持されるようになっている。
続いて、作業者は上記袋詰ステーションAにおいて、上記タンクを開放するとともに、該タンクから所定量ずつ上記薬剤を取り出し、該薬剤をそれぞれ上記小容器2に収容したら、この小容器2を隣接するヒートシールステーションBに移送する。
さらに、作業者はヒートシールステーションBに隣接するグローブを装着して、図示しないヒートシール装置を用いて上記小容器2の開口部をヒートシールして小容器2を密封したら、該小容器2を上記収納ステーションCへと移送する。
【0027】
次に、上記滅菌チャンバー6には上記外部扉6bを介して予め所定個数の空の大容器3が収納され、その内部では加熱により大容器3が滅菌されたものとなっている。
作業者は収納ステーションCに隣接するグローブを装着し、上記滅菌チャンバー6の作業扉6aを開放して、内部から滅菌された大容器3を取り出す。
このとき、作業用チャンバー4と滅菌チャンバー6とは無菌状態を維持した状態で連通することから、上記大容器3は滅菌された状態が維持されるようになっている。
続いて、作業者は上記大容器3の本体部3aに複数の小容器2を収容し、その後、作業者は大容器3の蓋部3bを本体部3aに装着しないまま、該大容器3を上記密封ステーションDへと移送する。
【0028】
次に、作業者は密封ステーションDに隣接するグローブを装着して、上記本体部3aに蓋部3bを装着することで大容器3を密封し、その際上記検査用ガス供給手段12を操作して大容器3内に無菌的に検査用ガスを充満させる。
このようにして大容器3を密封したら、作業者は上記検査用チャンバー7の作業扉7aを開放するとともに、大容器3を検査用チャンバー7内に移送し、再び作業扉7aを閉鎖して検査用チャンバー7と作業用チャンバー4とを区画する。
このとき、作業用チャンバー4と検査用チャンバー7とは無菌状態を維持した状態で連通することから、上記大容器3は滅菌された状態が維持されるようになっている。
検査用チャンバー7を作業扉7aによって閉鎖したら、上記負圧発生手段13が検査用チャンバー7を吸引することで負圧にし、これにより検査用チャンバー7の内部と大容器3の内部との間には差圧が発生する。
大容器3に漏れがない場合、差圧が発生しても内部の検査ガスが検査用チャンバー7内に漏出することはないが、大容器3に漏れがある場合、差圧によって検査用ガスが検査用チャンバー7内に漏出することとなる。
そして、上記検査用チャンバー7に設けたガス検出手段14は、検査用ガスを検出しなかった場合には上記大容器3に漏れはないものと判定し、検査用ガスを検出した場合には大容器3に漏れがあるものと判定し、図示しない表示手段により漏れの有無を作業者に知らせる。
ここで、仮に大容器3に漏れが検出された場合であっても、上述したように検査用チャンバー7は無菌状態が維持されているため、大容器の内部に汚染された空気が侵入することはなく、小容器2およびその内部の粉末が汚染されることはない。
【0029】
検査用チャンバー7でのリークテストが終了したら、作業者は上記検査用チャンバー7の作業扉7aを開いて上記大容器3を取り出す。
大容器3に漏れが検出された場合、作業者は上記密封ステーションDにおいて大容器3に検査用ガスを封入して密封する作業を行い、該大容器3を再び検査用チャンバー7に収納して、再び上記リークテストを行う。
もしくは、作業者は漏れの検出された大容器3を上記収納ステーションCへと戻し、上記滅菌チャンバー6から別の大容器3を取り出して、小容器2を別の大容器3に移し変えたら、該別の大容器3を再び密封ステーションDに移送して、上記密封作業およびリークテストを行う。
このようにして、作業者は上記リークテストによって大容器3から漏れが検出されなくなるまで、上記作業を繰り返すようになっている。
【0030】
そして、上記検査用チャンバー7において大容器3に漏れが検出されなかった場合、作業者は上記排出チャンバー8の作業扉8aを開放して、該大容器3を排出チャンバー8に移送し、再び作業扉8aを閉鎖する。
このとき、上記排出チャンバー8は予め滅菌されているため、上記作業扉8aを開放しても、作業用チャンバー4と検査用チャンバー7とは無菌状態を維持した状態で連通することから、作業用チャンバー4には汚染された空気が入り込むことはない。
そして、上記作業を繰り返すことによって排出チャンバー8に複数個の大容器3が蓄積されたら、上記作業扉8aを閉鎖した状態で、上記外部扉8bを開き、外部扉8bを介して大容器3を排出チャンバー8より取り出し、所定の保管場所まで大容器3を移送する。
全ての大容器3が排出されたら、作業者は外部扉8bを閉鎖し、その状態で上記滅菌ガス供給手段によって排出チャンバー8に滅菌ガスを充満させ、排出チャンバー8を滅菌する。
【0031】
以上のように、本実施例における容器漏れ検査方法によれば、無菌状態の維持された作業用チャンバー4に接続した検査用チャンバー7において大容器3のリークテストを行い、かつ漏れが検出されない大容器3のみを作業用チャンバー4から排出するようにしたので、大容器3内に収容されている小容器2や薬剤が汚染されることはなく、無菌性が立証されることになる。
また小容器2については、密封が確認された上記大容器3内に収容されているため、該小容器2が仮に密封されていなくても、大容器3の内部が無菌状態に維持されているため、小容器2の内部の薬剤が汚染されることはない。
つまり、大容器3に収容される小容器2についてはリークテストを行う必要がなく、また本実施例では複数の小容器2を大容器3に収容するようになっていることから、各小容器2に対してリークテストを行う場合に比べて、効率的に容器の漏れ検査を行うことが可能となる。
【0032】
なお、上記実施例では上記薬剤は粉末状の薬剤であったが、これを例えば錠剤やキャップなどの他の物品としてもよく、また上記小容器2および大容器3についても上記ビニール袋およびステンレス製の容器とする必要はない。
例えば、小容器2を金属製やガラス製などの他の素材からなる容器としてもよく、また大容器3についても、上記検査用チャンバー7において内部の検査ガスを密封した状態を維持することができれば、これを可撓性を有するビニール袋としてもよい。
また、上記実施例では大容器3に複数の小容器2を収容するようになっているが、大容器3に一つの小容器2を収容してもよい。さらに、小容器2を用いずに大容器3に薬剤などの物品を直接収容してもよく、さらには大容器3を用いずに小容器2に薬剤を収容して該小容器2の漏れを検査してもよい。
【符号の説明】
【0033】
1 容器漏れ検査システム 2 小容器
3 大容器 3a 本体部
3b 蓋部 3c クランプレバー
3d シール部材 4 作業用チャンバー
5 供給チャンバー 5a 作業扉
5b 外部扉 6 滅菌用チャンバー
6a 作業扉 6b 外部扉
7 検査用チャンバー 7a 作業扉
8 排出チャンバー 8a 作業扉
8b 外部扉 11 無菌エア供給手段
12 ガス供給手段 13 負圧発生手段
14 ガス検出手段 A 袋詰ステーション
B ヒートシールステーション C 収納ステーション
D 密封ステーション

【特許請求の範囲】
【請求項1】
物品を収容した容器の漏れを検査する容器漏れ検査方法であって、
無菌状態に維持されるとともに上記物品を容器に収容する作業用チャンバーと、該作業用チャンバーに無菌状態を維持した状態で接続されるとともに、容器の漏れを検査する検査用チャンバーとを備え、
上記作業チャンバーにおいて物品を上記容器の内部に収容したら、上記検査用チャンバーにおいて該容器が密封されているか否かを検査し、
上記容器の漏れが判明した場合には、漏れが判明した容器を再度密封し直すか、もしくは漏れが判明した容器に収容されている物品を取り出して別の容器に収容し直すことを特徴とする容器漏れ検査方法。
【請求項2】
上記容器は物品を収容した小容器を収容する大容器であって、
上記物品を小容器に収容してから該小容器を大容器に収容して、該大容器が密封されているか否かを検査することを特徴とする請求項1に記載の容器漏れ検査方法。
【請求項3】
上記物品を収容した小容器を上記大容器に複数収容することを特徴とする請求項2に記載の容器漏れ検査方法。
【請求項4】
大容器に検査用ガスを供給するガス供給手段と、検査用チャンバーの内部を負圧にする負圧発生手段と、検査用チャンバー内の検査用ガスを検出するガス検出手段と、上記作業用チャンバーと検査用チャンバーとを区画する作業扉を設け、
上記作業用チャンバーにおいて大容器に小容器を収容する際に、上記ガス供給手段により該大容器に検査用ガスを封入し、
上記検査用チャンバーにおいて大容器を検査する際には、上記作業扉により作業用チャンバーと検査用チャンバーとを区画してから、上記負圧発生手段により該作業用チャンバーを負圧にして、上記ガス検出手段が大容器から上記検査用ガスが漏れるか否かを検出して、該大容器が密封されているか否かを検査することを特徴とする請求項2または請求項3のいずれかに記載の容器漏れ検査方法。
【請求項5】
上記作業用チャンバーに無菌状態を維持した状態で接続されるとともに、大容器を滅菌する滅菌チャンバーを備え、
大容器に小容器を収容する際には、予め上記滅菌チャンバーで滅菌した大容器を使用することを特徴とする請求項2ないし請求項4のいずれかに記載の容器漏れ検査方法。
【請求項6】
物品を収容した容器の漏れを検査する容器漏れ検査システムであって、
上記物品を容器内に収容する作業を行う作業用チャンバーと、該作業用チャンバーと無菌状態を維持したまま連通可能に配置されるとともに上記容器の漏れを検査する検査用チャンバーと、上記作業用チャンバーと検査用チャンバーとを連通する開放位置とこれらを区画する閉鎖位置とに開閉可能な作業扉とを備え、
上記検査用チャンバーによる容器の漏れ検査を、上記作業扉が閉鎖位置に位置した状態で行うことを特徴とする容器漏れ検査システム。
【請求項7】
上記容器は物品を収容する小容器と該小容器を収容する大容器とから構成され、
上記小容器は物品を収容した状態で上記大容器に収容され、上記検査用チャンバーでは上記大容器が密封されているか否かを検査することを特徴とする請求項6に記載の容器漏れ検査システム。
【請求項8】
上記物品を収容した小容器は上記大容器に複数収容されることを特徴とする請求項7に記載の容器漏れ検査システム。
【請求項9】
大容器に検査用ガスを供給するガス供給手段と、検査用チャンバーの内部を負圧にする負圧発生手段と、検査用チャンバー内の検査用ガスを検出するガス検出手段とを設け、
上記作業用チャンバーでは、上記大容器に小容器を収容する際に上記ガス供給手段により該大容器に検査用ガスを封入し、
上記検査用チャンバーでは、上記負圧発生手段により該作業用チャンバーを負圧にして、上記ガス検出手段が大容器から上記検査用ガスが漏れるか否かを検出することを特徴とする請求項7または請求項8のいずれかに記載の容器漏れ検査システム。
【請求項10】
上記作業用チャンバーに無菌状態を維持した状態で接続される滅菌チャンバーを備え、
上記滅菌チャンバーにおいて上記大容器を滅菌し、該滅菌した大容器を上記作業用チャンバーに供給することを特徴とする請求項7ないし請求項9のいずれかに記載の容器漏れ検査システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−152935(P2011−152935A)
【公開日】平成23年8月11日(2011.8.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−15483(P2010−15483)
【出願日】平成22年1月27日(2010.1.27)
【出願人】(000001926)塩野義製薬株式会社 (229)
【出願人】(000253019)澁谷工業株式会社 (503)