説明

容器

散布可能な流体を含む容器(1)が提供される。この容器はバルブ機構を有し、バルブ機構は外方に延びる柱(5)を有し、柱(5)はねじ山を備えた外側面を有する。バルブ機構は更に、柱の開口部(11)を通過して延びる、又は開口部から延びる中空の片持ちステムを有する。バルブ機構は開閉の位置をとることができ、開位置は、ステムが流体を容器の外の位置に運ぶことを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の好適な形態は、エアロゾルを保持する物質又は他の流体を空気中に送出する際に用いる容器に関する。本発明の特に好適な形態は、自動スプレーディスペンサに取り付けるよう構成されたエアロゾル缶に関する。
【背景技術】
【0002】
スプレー材料を空気中に送出できるようスプレーヘッドに取付可能な缶にエアロゾルスプレー材料を収容することは公知である。缶とディスペンサとの間でのスプレー材料の移動を制御するためにバルブ(弁)が使用されている。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明の好適な実施の形態の目的は、公知の構成に代わる有用な手段を少なくとも世間に提供することである。
【0004】
「含む」という用語又はその派生語は、この文書で使用される場合、例えば「(〜で)構成される又は(〜を)含む」を意味するように非排他的に解釈されるべきである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の1つの態様によると、散布可能な流体を含む容器が提供される。この容器はバルブ機構を有し、バルブ機構は外方に延びる柱(柱状部)を有し、柱はねじ山を備えた外側面を有する。バルブ機構は更に、柱の開口部を通過して延びる、又は開口部から延びる中空の片持ちステム(軸状部)を有する。バルブ機構は開閉の位置(配置)をとることができ、開位置(開配置)では、ステムが流体を容器の外の位置に流路を通して運ぶよう案内することを特徴とする。
【0006】
ステムは管を含むことが好ましい。
【0007】
ステムは、容器が通常の使用中の位置(配置)にあるときに一端が柱から上方へ突き出るよう支持されていることが好ましい。
【0008】
容器は容器を閉める端部キャップを有し、柱は端部キャップと一体形成された部品であることが好ましい。
【0009】
端部キャップは、柱の周りに延びる側壁を有することが好ましい。
【0010】
端部キャップは、柱の周りで柱とほぼ同じ高さまで延びる側壁を有することが好ましい。
【0011】
容器は、バルブ機構に向けて流体を送るように構成されたほぼ片持ち状の浸漬管を有することが好ましい。
【0012】
流体はエアロゾルスプレー材料を含むことが好ましい。
【0013】
容器は、スプレーディスペンサヘッドへの取り外し可能な取付に適するよう形成され、これにより、スプレー材料は容器内からスプレーディスペンサヘッドに移動でき、スプレーディスペンサヘッドによって制御されながら容器及びスプレーディスペンサヘッドの外の空気中に放出されることが好ましい。
【0014】
必要に応じて、容器はスプレーディスペンサヘッドと併用される。
【0015】
本発明の他の態様に従って、加圧スプレー材料を含む容器が提供される。この容器はバルブ機構を有し、バルブ機構は外方に延びる柱を有し、柱はねじ山を備えた外側面を有する。バルブ機構は中空の片持ちステムを更に有し、ステムは柱の開口部を通過して延びるか又は開口部から延び、弾性のある座金によって密閉された出口開口部を有する。このような密閉は、ステムに作用するスプリング圧の結果として保たれる。バルブ機構は、外圧がスプリングからの圧力にさからうようにステムにかかると開位置をとることができ、これによってステムの開口部は座金から離れる方向に移動を強いられ、この開口部がスプレー材料に通じるようになり、ステムはスプレー材料を容器の外の位置に運ぶ。
【0016】
ステムは管を含むことが好ましい。
【0017】
本発明の他の態様に従って、液体及び/又は気体の内容物を含む容器が提供される。この容器は、一方の端部に取り付けられたバルブ機構を有する。バルブ機構は、柱をねじと組み合わせる金属製の取付カップと、一端が上方に突出する片持ち状の管とを有する。
【0018】
ここで、本発明のいくつかの好適な形態を一例として添付の図面を参照しながら説明する。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】スプレーディスペンサの等角図である。
【図2】ディスペンサの一部を形成する缶の等角図である。
【図3】部分的に組み立てられた缶を示す等角図である。
【図4】缶の一部を形成する取付カップの上部を示す等角図である。
【図5】取付カップの裏面を示す等角図である。
【図6】取付カップに関連するバルブ機構を示す缶の断面図である。
【図7】開位置にあるときのバルブ機構を示す缶の更なる断面図である。
【図8】ディスペンサの一部を形成するスプレーヘッドの断面図である。
【図9】スプレーヘッドの底部等角図である。
【図10】スプレーヘッドの別の底部等角図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
図1を参照すると、ディスペンサは交換可能な金属製の缶1を含む。この缶はエアロゾルスプレー材料を含み、スプレーヘッド2に取り外し可能に嵌められる。スプレーヘッド2は、缶1から得られたスプレー材料の噴出を使用者によって調節された設定に従って放つことのできるタイプのものである。従って、使用者はスプレーヘッド2によって噴出の間隔や各噴出で放たれるスプレー材料の量を設定することができる。この点に関しては、当技術分野で公知のように、ディスペンサは自動的に作動し、電力を供給する電池と共に好適な電子機器をディスペンサヘッド内に有する。
【0021】
図2を参照すると、缶1は金属製の取付カップ3を有し、この取付カップ3は缶の主要部をなす円筒状の本体部分4に圧着されており、即ち缶を閉じている。取付カップ3はねじ切りされた柱(柱状部)5を有し、これはスプレーヘッド2と取り外し可能な螺合の関係で係合するために用いられる。図3は、カップ3が主要本体部分4に圧着される前の缶1を示している。図4及び図5は、それぞれ上部及び下部からみたカップのみの細部を示している。カップの外側壁は柱5とほぼ同じ高さにあることがわかる。本発明のいくつかの実施の形態では、側壁を柱よりも大幅に高くすることができる。
【0022】
図6を参照すると、カップ3はバルブ6に取り付けられているか又はこれと一体的に形成されており、バルブ6は移動可能な中央部7、ゴムの座金8、スプリング(ばね)9及び上部管10を有する。バルブ6は、管10がカップ3の中央開口部11を通過して一端が中央開口部11から上方に飛び出すようカップ3内に圧着される。座金8、スプリング9及びバルブ6の下部12は、カップの中央開口部11の反対側又は下方にとどまっている。バルブ6が閉位置にあるとき、座金8は管10の下部に位置する開口部13の周りに配置され、この開口部13を封鎖する。バルブの中央部7に作用するスプリング9からの上方向の力により、開口部11はこの状態を維持している。あるいは、バルブ6が閉位置にあるとき、開口部11はスプリング9の張力によって座金8の上方に保たれ、スプレー流体は開口部11に達することができない。
【0023】
図7を参照すると、スプレーヘッド2が缶1に嵌められると、スプレーヘッドは上部管10を押し下げ、スプリング9によってかかる上方向の力に対抗する。このことによってバルブの中央部7全体が押し下げられ、開口部13は座金8の下に下がる。開口部13がこの位置にあるときバルブは開いており、缶の中のエアロゾルスプレー流体は、浸漬管14を通って上に流れ、バルブの中央部7の下の空間15に入り、この中央部の周りを上方向に流れて開口部13の周りの空間16に入り、開口部13を通って管10に入り、そしてディスペンサヘッド2に入り、制御されながらディスペンサの外の空気中へ放出されることが可能になる。
【0024】
スプレーヘッド2のいくつかの重要な特徴が図8に断面図で概略的に示されている。図9及び図10は、スプレーヘッド2を下側から斜視図で示している。図8にみられるように、スプレーヘッド2はねじ切りされた側壁18を備えた主要な凹部17を有し、缶の柱5のねじ山を螺合の関係で収容する。主要凹部17は、バルブ6の上部管10を収容するさらに狭い凹部19に通じている。より具体的にいうと、管10の一端が缶1の残りの部分から突き出て狭い凹部19に入り、密閉ガスケット20を通過している。狭い導管21が凹部19から上方に進んでおり、エアロゾルスプレー材料が缶1から放出された後にエアロゾルスプレー材料を外の空気に向けて送る。管10は使い捨て缶1の一部を形成しているため、缶1をスプレーヘッド2に嵌める際に管10が曲がるなど損傷してもさほど重大ではない。一般により高価なディスペンサスプレーヘッドから下に進む狭い管に依存する構成の場合はそうはいかないであろう。
【0025】
スプレーヘッド2はエアロゾルスプレー材料の噴出を所定の間隔で放出するためだけに形成されているため、缶1は早くに又は不必要に消耗することはない。缶1がスプレーヘッド2に嵌められると、スプレーヘッド2から管10にかかる圧力のためにバルブ6は永久に開いた状態になる。しかし、前述のように、スプレー材料のディスペンサからの移動はスプレーヘッド2によって抑制され、制御される。容器1がスプレーヘッドから取り外されるとバルブ6は自動的に閉じる。このことはスプリング9からの張力によって達成される。
【0026】
高圧ガス及び液体を含むエアロゾルスプレー材料との関連で本発明の好適な形態を述べたが、例えばガスのみの散布など他のタイプの流体の場合にも同一の発明概念を適用することができる。よって、流体という用語は液体、気体又はこれらの組み合わせを指すことができる。
【0027】
随意であるが、柱5に用いられるねじ山は7/16UNEFねじ山である。本発明のいくつかの実施の形態ではACMEねじ山を用いてもよい。所望の最終用途により、管10は図面に示されるもの以外にもその相対的高さにまで及ぶように形成可能である。
【0028】
本発明の好適な形態を例としていくつか説明したが、下記の請求の範囲から逸脱することなく変更及び改良が生じうることを理解されたい。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
散布可能な流体を含む容器であって、バルブ機構を有し、前記バルブ機構は外方に延びる柱を有し、前記柱はねじ山を備えた外側面を有し、前記バルブ機構は更に、前記柱の開口部を通過して延びる、又は前記開口部から延びる中空の片持ちステムを有し、前記バルブ機構は開閉の位置をとることができ、前記開位置では、前記ステムが前記流体を前記容器の外の位置に運ぶよう導くことを特徴とする、容器。
【請求項2】
前記ステムが管を含む、請求項1に記載の容器。
【請求項3】
前記ステムは、前記容器が通常の使用中の位置にある際に一端が前記柱から上方へ突き出ている、請求項1又は請求項2に記載の容器。
【請求項4】
前記容器を閉める端部キャップを有し、前記柱が前記端部キャップと一体形成された部品である、請求項1、請求項2又は請求項3に記載の容器。
【請求項5】
前記端部キャップが前記柱の周りに延びる側壁を有する、請求項4に記載の容器。
【請求項6】
前記端部キャップが前記柱の周りで前記柱とほぼ同じ高さまで延びる側壁を有する、請求項5に記載の容器。
【請求項7】
前記バルブ機構に向けて流体を送るように構成されたほぼ片持ち状の浸漬管を有する、前述の請求項のうちいずれか1項に記載の容器。
【請求項8】
前記流体がエアロゾルスプレー材料を含む、前述の請求項のうちいずれか1項に記載の容器。
【請求項9】
スプレーディスペンサヘッドへの取り外し可能な取付に適するよう形成され、これにより、スプレー材料は前記容器内から前記スプレーディスペンサヘッドに移動でき、前記スプレーディスペンサヘッドによって制御されながら前記容器及び前記スプレーディスペンサヘッドの外の空気中に放出される、前述の請求項のうちいずれか1項に記載の容器。
【請求項10】
請求項9に記載のスプレーディスペンサヘッドと併用される請求項1から請求項9のうちいずれか1項に記載の容器を含むスプレーディスペンサ。
【請求項11】
添付の図面を参照しながら明細書中にほぼ説明した、散布可能な流体を含む容器。
【請求項12】
添付の図面を参照しながら明細書中にほぼ説明した、スプレーヘッドと併用される散布可能な流体を含む容器。
【請求項13】
加圧スプレー材料を含む容器であって、バルブ機構を有し、前記バルブ機構は外方に延びる柱を有し、前記柱はねじ山を備えた外側面を有し、前記バルブ機構は中空の片持ちステムを更に有し、前記ステムは前記柱の開口部を通過して延びるか又は開口部から延び、弾性のある座金によって密閉された出口開口部を有し、このような密閉は前記ステムに作用するスプリング圧の結果として保たれ、前記バルブ機構は、外圧が前記スプリングからの圧力にさからうように前記ステムにかかると開位置をとることができ、これによって前記ステムの前記開口部は前記座金から離れる方向に移動を強いられ、前記開口部が前記スプレー材料に対し開くようになり、前記ステムは前記スプレー材料を前記容器の外の位置に運ぶように導く、容器。
【請求項14】
前記ステムが管を含む、請求項13に記載の容器。
【請求項15】
液体及び/又は気体の内容物を含む容器であって、一方の端部に取り付けられたバルブ機構を有し、前記バルブ機構は、柱をねじと組み合わせる金属製の取付カップと、一端が上方に突出する片持ち状の管とを有する、容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2010−517892(P2010−517892A)
【公表日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−549546(P2009−549546)
【出願日】平成20年2月11日(2008.2.11)
【国際出願番号】PCT/NZ2008/000019
【国際公開番号】WO2008/100159
【国際公開日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【出願人】(500106743)エス.シー. ジョンソン アンド サン、インコーポレイテッド (168)
【Fターム(参考)】