説明

容器

【課題】軽量化を図った上で、バリア性を維持することができる容器を提供する。
【解決手段】バリア層11aを含む積層フィルムからなる筒状の胴部11と、注出口15が形成された口部16、及び口部16に連設されるとともに、胴部11の上端開口部に固着された周壁部18を有するヘッダー部材12と、を備え、ヘッダー部材12は、ブロー成形により形成されるとともに、バリア層12aを含む積層構造とされ、ヘッダー部材12の周壁部18及び胴部11の上端部それぞれのバリア層11a,12a同士が径方向に重ねられていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、容器に関する。
【背景技術】
【0002】
内容物を収容する容器においては、例えば下記特許文献1に示されるような、フィルム材が筒状に丸められて形成された胴部を有し、この胴部の上端開口部および下端開口部に、インジェクション成形により形成されたリング部材(蓋部材)、底板部材をそれぞれ配置する構成を適用することで、軽量化を図ることが考えられる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2006−36218号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来の容器では、軽量化を図りつつ、例えばガス(酸素や二酸化炭素等)、湿気等の水分、紫外線等の光、あるいは内容物の匂い成分等が透過することを抑える、つまりバリア性を高めることに改善の余地があった。
【0005】
そこで、本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、軽量化を図った上で、バリア性を維持することができる容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は以下の手段を提案している。
本発明に係る容器は、バリア層を含む積層フィルムからなる筒状の胴部と、注出口が形成された口部、及び該口部に連設されるとともに、前記胴部の上端開口部に固着された肩部を有するヘッダー部材と、を備え、前記ヘッダー部材は、ブロー成形により形成されるとともに、バリア層を含む積層構造とされ、前記ヘッダー部材の前記肩部及び前記胴部の上端部それぞれの前記バリア層同士が径方向に重ねられていることを特徴としている。
【0007】
このような特徴により、胴部を積層フィルムにより構成したため、胴部の薄肉化が可能になる。さらに、ヘッダー部材がブロー成形により延伸されて形成されるため、ヘッダー部材の薄肉化が可能になる。
その結果、容器の軽量化を図ることができる。
特に、本発明に係る容器では、胴部及びヘッダー部材がバリア層を含む積層構造となっているため、軽量化を図った上で、バリア性を維持できる。その結果、容器内に収容される内容物が変質するのを抑制できる。
また、ヘッダー部材の肩部及び胴部の上端部それぞれのバリア層同士が径方向に重ねられているため、バリア性を確実に維持できる。
しかも、ヘッダー部材をブロー成形により形成することで、従来のようにインジェクション成形により形成する場合に比べて容易に薄肉化することができる。
【発明の効果】
【0008】
本発明に係る容器によれば、軽量化を図った上で、バリア性を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の実施形態における容器の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照し、本発明の実施形態に係るボトルを説明する。
本実施形態に係る容器1は、図1に示すように、筒状の胴部11と、胴部11の上端開口部に設けられた筒状のヘッダー部材12と、を備え、これら11,12が、それぞれの中心軸線が共通軸上に位置された状態で配設されている。以下、この共通軸を容器軸Oといい、上述した容器1において、容器軸Oに沿ったヘッダー部材12側を上側、ヘッダー部材12とは反対側を下側という。また、容器軸Oに直交する方向を径方向といい、容器軸O回りに周回する方向を周方向という。
【0011】
胴部11は、バリア層11aと主材樹脂層11bとが厚さ方向に積み重ねられた積層構造からなる積層フィルムを筒状に丸めることで形成されている。本実施形態で用いる積層フィルムのうち、主材樹脂層11bは、例えばポリエチレン(PE)やポリプロピレン(PP)等の樹脂である。また、バリア層11aは、例えばガス(酸素や二酸化炭素等)や、湿気等の水分、紫外線等の光、内容物の匂い成分等の透過を規制するバリア性を有する樹脂であり、バリアする対象物に応じて適宜選択される樹脂である。例えば、ガスに対するバリア性を発揮させる場合には、ナイロン系樹脂やエチレンビニルアルコール共重合体樹脂等が挙げられ、水分に対するバリア性を発揮させる場合には、環状ポリオレフィン系樹脂等が挙げられ、紫外線等に対する遮光性を発揮させる場合には、紫外線吸収剤を含有させた樹脂層や着色樹脂層等が挙げられる。
また、胴部11は、下端開口部が径方向に挟み込まれてなるシール部13を有している。
【0012】
そして、胴部11の外面を構成する外層部分と、内面を構成する内層部分と、が上述した主材樹脂層11bで形成され、これら外層部分と内層部分との間に挟まれた中層部分がバリア層11aで形成されている。
【0013】
ヘッダー部材12は、ブロー成形によって一体的に形成されたものであり、容器1内に収容される内容物を注出する注出口15を有する口部16と、口部16の下端に連設された肩部17と、を備えている。このようなヘッダー部材12において、口部16はブロー成形時に延伸されない、若しくはされ難い非延伸部分であり、肩部17はブロー成形時に延伸される延伸部分である。
【0014】
また、ヘッダー部材12は、バリア層12aと主材樹脂層12bとが厚さ方向に積み重ねられた積層構造となっている。これらバリア層12a、及び主材樹脂層12bは、上述した胴部11を構成する積層フィルムと同様の層構成からなり、ヘッダー部材12の外面を構成する外層部分と、内面を構成する内層部分と、が上述した主材樹脂層12bで形成され、これら外層部分と内層部分との間に挟まれた中層部分がバリア層12aで形成されている。また、ヘッダー部材12における容器軸O方向の上端開口縁(口部16の上端縁)は、バリア層12aが外部に露出しないように、周方向の全域に亘って主材樹脂層12bで形成されている。
なお、前記バリア層12aは少なくとも肩部17(延伸部分)に設けられていることが好ましく、目的とするバリア性能に応じて比較的肉厚に形成される口部16にはバリア層12aを配置しなくてもよい。
【0015】
上述した口部16には、外周面に雄ねじ部19が形成されており、この雄ねじ部19に図示しないキャップが着脱可能に螺着される。なお、雄ねじ部19に限らず、アンダーカット嵌合等によりキャップを着脱可能に構成しても構わない。
このため、前記口部16はキャップを装着可能な剛性を有するように、比較的肉厚に形成されている。
【0016】
肩部17は、下方に向かうに従い漸次拡径された拡径部20と、拡径部20の下端に連接された周壁部18と、を備えている。
周壁部18は、容器軸O方向に沿って延びる筒状に形成され、その外周面に上述した胴部11の上端部が熱溶着されている。そして、周壁部18及び胴部11それぞれのバリア層12a,11a同士が径方向に重ねられている。なお、周壁部18には、周方向の全周に亘って周壁部18の外径が縮径するように形成された段差部21が形成されている。この段差部21は、胴部11の上端部を収容するためのものであり、径方向の深さが胴部11における径方向の厚さと同等に形成されている。これにより、容器1の外周面は、肩部17から胴部11に亘って面一に形成されている。
【0017】
次に、上述した容器1の製造方法について説明する。
まず胴部11を形成する。具体的には、上述した積層構造からなる積層フィルムを筒状に丸めて一方向の両端部同士を重ね合わせ、熱溶着することで、筒状の胴部11が形成される。なお、胴部11は、積層フィルムにおける一方向の両端縁同士を突き合わせて互いに熱溶着しても構わない。
【0018】
続いてヘッダー部材12を形成する。ヘッダー部材12は、ダイレクトブロー成形や二軸延伸ブロー成形等、各種のブロー成形法を採用して形成することができる。例えば、ダイレクトブロー成形を採用する場合には、まず主材樹脂層12bの間にバリア層12aが挟まれた三層構造からなる筒状のパリソンを押出成形した後に、このパリソンを金型で径方向に挟み込んだ状態で、パリソンの内側に空気を吹き込んでブロー成形する。これにより、パリソンを径方向に延伸させつつ膨張させることで、金型の内面に倣った有底筒状の予備部材が形成される。この予備部材は、上述したヘッダー部材12と、ヘッダー部材12の下端開口部を閉塞する図示しない底部と、が連設されたものである。なお、この場合、ヘッダー部材12のうち、肩部17(拡径部20及び周壁部18)がブロー成形時に延伸される延伸部分である。
【0019】
また、二軸延伸ブロー成形を採用する場合には、まず射出成形によって主材樹脂層12bの間にバリア層12aが挟まれた三層構造からなる有底筒状のプリフォームを作成する。そして、プリフォームを金型内にセットした後、プリフォーム内に空気を吹き込んでブロー成形する。これにより、プリフォームを軸方向及び径方向の双方向に沿って延伸させつつ膨張させることで、金型の内面に倣った有底筒状の予備部材が形成される。なお、この場合も、ヘッダー部材12のうち、肩部17(拡径部20及び周壁部18)がブロー成形時に延伸される延伸部分である。
【0020】
次に、上述したブロー成形により形成された予備部材を径方向に沿って切断する。具体的には、予備部材のうち、ヘッダー部材12に相当する部分(口部16、拡径部20、及び周壁部18)と、底部(または底部及び胴部)と、を切り離す。これにより、上述したヘッダー部材12を得ることができる。すなわち、本実施形態の容器1では、予備部材のうち、ヘッダー部材12に相当する部分のみを使用している。
【0021】
続いて、ヘッダー部材12の周壁部18と、胴部11の上端部とを熱溶着する。その後、胴部11の下端開口部を径方向に挟み込んで互いに熱溶着することで、胴部11の下端にシール部13を形成する。
以上により、上述した容器1が完成する。
【0022】
このように、本実施形態によれば、胴部11を積層フィルムにより構成したため、胴部11の薄肉化が可能になる。さらに、ヘッダー部材12をブロー成形により形成し、ヘッダー部材12における延伸部分(肩部17)を容器1に利用することで、ヘッダー部材12の薄肉化が可能になる。
その結果、容器1の軽量化を図ることができる。
【0023】
特に、本実施形態の容器1では、胴部11、ヘッダー部材12がバリア層11a,12aを含む積層構造となっているため、軽量化を図った上で、バリア性を維持できる。その結果、容器1内に収容される内容物が変質するのを抑制できる。この場合、ヘッダー部材12の上端縁が主材樹脂層12bで形成されているため、バリア層12aを保護できる。これにより、バリア層12aと主材樹脂層12bとが剥離するのを防止して、長期に亘ってバリア性を維持できる。
また、ヘッダー部材12の肩部17(周壁部18)及び胴部11の上端部それぞれのバリア層11a,12a同士が径方向に重ねられているため、バリア性を確実に維持できる。
【0024】
しかも、本実施形態では、ヘッダー部材12をブロー成形により形成することで、従来のようにインジェクション成形により形成する場合に比べて容易に薄肉化することができる。
【0025】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
【0026】
上述した実施形態では、胴部11とヘッダー部材12とを熱溶着する場合について説明したが、熱溶着に限られない。すなわち、高周波溶着や超音波溶着等、各種の溶着方法、接着剤による接着、融着等、胴部11とヘッダー部材12が接合されていれば構わない。
また、上述した実施形態では、バリア層11a,12aを含む三層構造の積層体により容器1を形成する場合について説明したが、少なくともバリア層を含んでいれば、二層、または四層以上の積層体であっても構わない。
【0027】
また、口部16の上端縁を、バリア層12aと主材樹脂層12bとが面一になるように形成しても構わない。つまり、バリア層12aの端面(端縁)が、ヘッダー部材12の上下端面(端縁)の一方または両方から露出していても、主材樹脂層12bによって被覆されていてもよい。
さらに、上述した実施形態では、ブロー成形により形成した予備部材のうち、口部16から拡径部20を介して周壁部18までをヘッダー部材12として使用する場合について説明したが、ヘッダー部材12に少なくとも延伸部分が含まれていれば、予備部材の使用範囲は適宜設計変更が可能である。
また、上述した実施形態では、胴部11の下端開口部をシール部13として閉塞した場合について説明したが、これに限らず、上述した予備部材のうち底部等を使用して、胴部11の下端開口部を閉塞しても構わない。
【0028】
その他、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、上述した実施形態における構成要素を周知の構成要素に置き換えることは適宜可能である。
【符号の説明】
【0029】
1…容器
11…胴部
11a…バリア層
12…ヘッダー部材
12a…バリア層
15…注出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バリア層を含む積層フィルムからなる筒状の胴部と、
注出口が形成された口部、及び該口部に連設されるとともに、前記胴部の上端開口部に固着された肩部を有するヘッダー部材と、を備え、
前記ヘッダー部材は、ブロー成形により形成されるとともに、バリア層を含む積層構造とされ、
前記ヘッダー部材の前記肩部及び前記胴部の上端部それぞれの前記バリア層同士が径方向に重ねられていることを特徴とする容器。

【図1】
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【公開番号】特開2012−153402(P2012−153402A)
【公開日】平成24年8月16日(2012.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−14030(P2011−14030)
【出願日】平成23年1月26日(2011.1.26)
【出願人】(000006909)株式会社吉野工業所 (2,913)