説明

容量性負荷駆動回路、噴射装置及び印刷装置

【課題】 消費電力を低減することが可能なインクジェットプリンタを提供する。
【解決手段】 駆動信号発生回路72への充電元の電位を予備調整するための充電元電位予備調整波形信号WCCOMを生成し、パルス変調された充電元電位用変調信号CPWMを充電元電位用デジタル電力増幅器28のプッシュプル接続された充電元電位用トランジスタ対32で電力増幅し、それを平滑化して駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタに出力すると共に、駆動信号発生回路72からの放電先元の電位を予備調整するための放電先電位予備調整波形信号WDCOMを生成し、パルス変調された放電先電位用変調信号DPWMを放電先電位用デジタル電力増幅器29のプッシュプル接続された放電先電位用トランジスタ対33で電力増幅し、それを平滑化して駆動信号発生回路72の放電用トランジスタTr2のコレクタに出力する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば複数色の液体の微小な液滴を複数のノズルから吐出してその微粒子(ドット)を印刷媒体上に形成することにより、所定の文字や画像を描画するようにした液体吐出装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
このような液体吐出装置の一例であるインクジェットプリンタは、一般に安価で且つ高品質のカラー印刷物が容易に得られることから、パーソナルコンピュータやデジタルカメラなどの普及に伴い、オフィスのみならず一般ユーザにも広く普及してきている。
このようなインクジェットプリンタは、一般に、インクカートリッジと印刷ヘッドとが一体的に備えられたキャリッジなどと称される移動体が印刷媒体上をその搬送方向と交差する方向に往復しながらその印刷ヘッドのノズルから液体インク滴を吐出して印刷媒体上に微小なインクドットを形成することで、当該印刷媒体上に所定の文字や画像を描画して所望の印刷物を作成するようになっている。そして、このキャリッジに黒色(ブラック)を含めた4色(イエロー、マゼンタ、シアン)のインクカートリッジと各色毎の印刷ヘッドを備えることで、モノクロ印刷のみならず、各色を組み合わせたフルカラー印刷も容易に行えるようになっている(更に、これらの各色に、ライトシアンやライトマゼンタなどを加えた6色や7色、或いは8色のものも実用化されている)。
【0003】
また、このようにキャリッジ上のインクジェットヘッドを印刷媒体の搬送方向と交差する方向に往復させながら印刷を実行するようにしたタイプのインクジェットプリンタでは、1頁全体をきれいに印刷するためにインクジェットヘッドを10回程度から数十回以上も往復運動させる必要がある。これに対し、印刷媒体の幅と同じ寸法の長尺のインクジェットヘッド(一体である必要はない)を配置してキャリッジを使用しないタイプのインクジェットプリンタでは、インクジェットヘッドを印刷媒体の幅方向に移動させる必要がなく、所謂1パスでの印刷が可能となる。なお、前者方式のインクジェットプリンタを一般に「マルチパス(シリアル)型インクジェットプリンタ」、後者方式のインクジェットプリンタを一般に「ラインヘッド型インクジェットプリンタ」と呼んでいる。
【0004】
ところで、この種のインクジェットプリンタでは、より一層高い階調が要求されている。階調とは、インクドットで表される所謂画素に含まれる各色の濃度の状態であり、各画素の色の濃度に応じたインクドットの大きさを階調度といい、インクドットで表現できる階調度の数を階調数と呼ぶ。高い階調とは、階調数が大きいことを意味する。階調度を変えるには、例えばインクジェットヘッドに設けられたアクチュエータへの駆動パルスを変える必要がある。例えば、アクチュエータが圧電素子である場合には、圧電素子に印加される電圧値が大きくなると圧電素子(正確には振動板)の変位量(歪み)が大きくなるので、これを用いてインクドットの階調度を変えることができる。
【0005】
そこで、以下に挙げる特許文献1では、例えば電圧波高値が異なる複数の駆動パルスを組み合わせて連結して駆動信号を生成し、これをインクジェットヘッドに設けられた同じ色のノズルの圧電素子に共通して出力しておき、この駆動信号から、形成すべきインクドットの階調度に応じた駆動パルスをノズル毎に選択し、その選択された駆動パルスを該当するノズルの圧電素子に供給してインク滴を吐出するようにすることで、要求されるインクドットの階調度を達成するようにしている。
【0006】
駆動信号(或いは駆動パルス)の生成方法は、例えば下記特許文献2の図2に記載されている。即ち、駆動信号のデータが記憶されているメモリからデータを読出し、それをD
/A変換器でアナログデータに変換し、電流増幅器を通してインクジェットヘッドに駆動信号を供給する。圧電素子は充放電型のアクチュエータなので、駆動信号は充放電型アクチュエータに電荷を充電したり、当該充放電型アクチュエータから電荷を放電させたりする。電流増幅器の回路構成は、同図3に示すように、プッシュプル接続された充電用トランジスタ及び放電用トランジスタで構成され、高い電源電位を用い、所謂リニア駆動によって駆動信号を増幅している。しかしながら、このような構成の電流増幅器では、電源電位と充放電アクチュエータを充電する駆動信号との電位差も、アクチュエータから放電する駆動信号と接地電位との電位差も大きく、結果的に消費電力が大きい。この消費電力は、その殆どが熱として消費されるため、大型トランジスタやヒートシンクが必要となり、特にヒートシンクの大きさは、レイアウト上、大きな障害となる。
【0007】
この欠点を克服するため、下記特許文献3に記載されるインクジェットプリンタでは、電源元と充電用トランジスタとの間に充電元電位調整用のトランジスタを介装し、この充電元電位調整用トランジスタで調整された充電元電位を、平滑フィルタを介して充電用トランジスタのコレクタに供給したり、接地先(放電先)と放電用トランジスタとの間に接地先(放電先)電位調整用のトランジスタを介装し、この接地先(放電先)電位調整用トランジスタで調整された接地先(放電先)電位を、平滑フィルタを介して放電用トランジスタのコレクタに供給したりすることで、充電元電位とアクチュエータに充電する駆動信号との電位差或いは接地先(放電先)電位とアクチュエータから放電する駆動信号との電位差を小さくして、消費電力を低減しようとしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開平10−81013号公報
【特許文献2】特開2004−306434号公報
【特許文献3】特開2006−272907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、前記特許文献3に記載のインクジェットプリンタでは、電源元と充電用トランジスタとの間に充電元電位調整用トランジスタを単独で介装したり、接地先(放電先)と放電用トランジスタとの間に接地先(放電先)電位調整用トランジスタを単独で介装したりしているだけなので、充電用トランジスタに供給する充電元電位予備調整信号の電位や放電用トランジスタに供給する接地先(放電先)電位予備調整信号の電位を充放電型アクチュエータの充電電位や放電電位に十分に近づけることができず、結果的に充電元電位予備調整信号とアクチュエータに充電する駆動信号との電位差或いは接地先(放電先)電位予備調整信号とアクチュエータから放電する駆動信号との電位差が小さくならず、消費電力を十分に低減することができないという問題がある。
【0010】
本発明は、充電元電位予備調整信号と充放電型アクチュエータに充電する駆動信号との電位差或いは放電先電位予備調整信号と充放電型アクチュエータから放電する駆動信号との電位差を小さくすることができ、消費電力を低減することが可能な液体吐出装置を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するために、本発明の液体吐出装置は、液体吐出ヘッドに設けられた複数のノズルと、各ノズルに対応して設けられた充放電型アクチュエータと、液体を吐出すべきノズルの充放電型アクチュエータに駆動信号を印加する駆動手段とを備えた液体吐出装置において、前記アクチュエータの駆動状態を制御する信号の基準となる駆動波形信号を生成する駆動波形信号発生手段と、プッシュプル接続された充電用トランジスタ及び放
電用トランジスタにより前記駆動波形信号発生手段で生成された駆動波形信号を増幅して駆動信号を出力する駆動信号発生手段と、前記駆動信号発生手段への充電元の電位を予備調整するための充電元電位予備調整波形信号を生成する充電元電位予備調整波形信号発生手段と、前記駆動信号発生手段への充電元と当該駆動信号発生手段との間に配設され且つ前記充電元電位予備調整波形信号発生手段で生成された充電元電位予備調整波形信号に基づいて前記駆動信号発生手段への充電元電位を予備調整する充電元電位予備調整手段とを備え、前記充電元電位予備調整手段は、前記充電元電位予備調整波形信号発生手段で生成された充電元電位予備調整波形信号をパルス変調する充電元電位用変調手段と、プッシュプル接続された充電元電位用トランジスタ対により前記充電元電位用変調手段でパルス変調された充電元電位用変調信号を電力増幅する充電元電位用デジタル電力増幅器と、前記充電元電位用デジタル電力増幅器で電力増幅された充電元電位予備調整信号を前記駆動信号発生手段の充電用トランジスタのコレクタに出力する充電元電位用平滑フィルタとを備えたことを特徴とするものである。
【0012】
この発明の液体吐出装置によれば、充電元電位予備調整信号と充放電型アクチュエータに充電する駆動信号との電位差を小さくすることができ、消費電力を低減することが可能となる。
また、本発明の液体吐出装置は、前記充電元電位予備調整波形信号発生手段は、前記充電元電位予備調整信号の電圧値を調整することで当該充電元電位予備調整信号の電位を調整する充電元電位予備調整波形信号を生成することを特徴とするものである。
【0013】
この発明の液体吐出装置によれば、駆動信号の精度向上と、更なる消費電力の低減が可能となる。
また、本発明の液体吐出装置は、前記充電元電位予備調整波形信号発生手段は、前記充電元電位予備調整信号の位相を調整することで当該充電元電位予備調整信号の電位を調整する充電元電位予備調整波形信号を生成することを特徴とするものである。
【0014】
この発明の液体吐出装置によれば、駆動信号の精度向上と、更なる消費電力の低減が可能となる。
また、本発明の液体吐出装置は、液体吐出ヘッドに設けられた複数のノズルと、各ノズルに対応して設けられた充放電型アクチュエータと、液体を吐出すべきノズルの充放電型アクチュエータに駆動信号を印加する駆動手段とを備えた液体吐出装置において、前記アクチュエータの駆動状態を制御する信号の基準となる駆動波形信号を生成する駆動波形信号発生手段と、プッシュプル接続された充電用トランジスタ及び放電用トランジスタにより前記駆動波形信号発生手段で生成された駆動波形信号を増幅して駆動信号を出力する駆動信号発生手段と、前記駆動信号発生手段の放電先の電位を予備調整するための放電先電位予備調整波形信号を生成する放電先電位予備調整波形信号発生手段と、前記駆動信号発生手段からの放電先と当該駆動信号発生手段との間に配設され且つ前記放電先電位予備調整波形信号発生手段で生成された放電先電位予備調整波形信号に基づいて前記駆動信号発生手段からの放電先電位を予備調整する放電先電位予備調整手段とを備え、前記放電先電位予備調整手段は、前記放電先電位予備調整波形信号発生手段で生成された放電先電位予備調整波形信号をパルス変調する放電先電位用変調手段と、プッシュプル接続された放電先電位用トランジスタ対により前記放電先電位用変調手段でパルス変調された放電先電位用変調信号を電力増幅する放電先電位用デジタル電力増幅器と、前記放電先電位用デジタル電力増幅器で電力増幅された放電先電位予備調整信号を前記駆動信号発生手段の放電用トランジスタのコレクタに出力する放電先電位用平滑フィルタとを備えたことを特徴とするものである。
【0015】
この発明の液体吐出装置によれば、放電先電位予備調整信号と充放電型アクチュエータから放電する駆動信号との電位差を小さくすることができ、消費電力を低減することが可
能となる。
また、本発明の液体吐出装置は、前記放電先電位予備調整波形信号発生手段は、前記放電先電位予備調整信号の電圧値を調整することで当該放電先電位予備調整信号の電位を調整する放電先電位予備調整波形信号を生成することを特徴とするものである。
【0016】
この発明の液体吐出装置によれば、駆動信号の精度向上と、更なる消費電力の低減が可能となる。
また、本発明の液体吐出装置は、前記放電先電位予備調整波形信号発生手段は、前記放電先電位予備調整信号の位相を調整することで当該放電先電位予備調整信号の電位を調整する放電先電位予備調整波形信号を生成することを特徴とするものである。
【0017】
この発明の液体吐出装置によれば、駆動信号の精度向上と、更なる消費電力の低減が可能となる。
また、本発明の液体吐出装置は、液体吐出ヘッドに設けられた複数のノズルと、各ノズルに対応して設けられた充放電型アクチュエータと、インク滴を吐出すべきノズルの充放電型アクチュエータに駆動信号を印加する駆動手段とを備えた液体吐出装置において、前記アクチュエータの駆動状態を制御する信号の基準となる駆動波形信号を生成する駆動波形信号発生手段と、プッシュプル接続された充電用トランジスタ及び放電用トランジスタにより前記駆動波形信号発生手段で生成された駆動波形信号を増幅して駆動信号を出力する駆動信号発生手段と、前記駆動信号発生手段への充電元の電位を予備調整するための充電元電位予備調整波形信号を生成する充電元電位予備調整波形信号発生手段と、前記駆動信号発生手段への充電元と当該駆動信号発生手段との間に配設され且つ前記充電元電位予備調整波形信号発生手段で生成された充電元電位予備調整波形信号に基づいて前記駆動信号発生手段への充電元電位を予備調整する充電元電位予備調整手段と、前記駆動信号発生手段の放電先の電位を予備調整するための放電先電位予備調整波形信号を生成する放電先電位予備調整波形信号発生手段と、前記駆動信号発生手段からの放電先と当該駆動信号発生手段との間に配設され且つ前記放電先電位予備調整波形信号発生手段で生成された放電先電位予備調整波形信号に基づいて前記駆動信号発生手段からの放電先電位を予備調整する放電先電位予備調整手段とを備え、前記充電元電位予備調整手段は、前記充電元電位予備調整波形信号発生手段で生成された充電元電位予備調整波形信号をパルス変調する充電元電位用変調手段と、プッシュプル接続された充電元電位用トランジスタ対により前記充電元電位用変調手段でパルス変調された充電元電位用変調信号を電力増幅する充電元電位用デジタル電力増幅器と、前記充電元電位用デジタル電力増幅器で電力増幅された充電元電位予備調整信号を前記駆動信号発生手段の充電用トランジスタのコレクタに出力する充電元電位用平滑フィルタとを備え、前記放電先電位予備調整手段は、前記放電先電位予備調整波形信号発生手段で生成された放電先電位予備調整波形信号をパルス変調する放電先電位用変調手段と、プッシュプル接続された放電先電位用トランジスタ対により前記放電先電位用変調手段でパルス変調された放電先電位用変調信号を電力増幅する放電先電位用デジタル電力増幅器と、前記放電先電位用デジタル電力増幅器で電力増幅された放電先電位予備調整信号を前記駆動信号発生手段の放電用トランジスタのコレクタに出力する放電先電位用平滑フィルタとを備えたことを特徴とするものである。
【0018】
この発明の液体吐出装置によれば、充電元電位予備調整信号と充放電型アクチュエータに充電する駆動信号との電位差を小さくすることができると共に、放電先電位予備調整信号と充放電型アクチュエータから放電する駆動信号との電位差を小さくすることができ、消費電力を低減することが可能となる。
また、本発明の液体吐出装置は、前記充電元電位予備調整波形信号発生手段は、前記充電元電位予備調整信号の電圧値を調整することで当該充電元電位予備調整信号の電位を調整する充電元電位予備調整波形信号を生成し、前記放電先電位予備調整波形信号発生手段は、前記放電先電位予備調整信号の電圧値を調整することで当該放電先電位予備調整信号
の電位を調整する放電先電位予備調整波形信号を生成することを特徴とするものである。
【0019】
この発明の液体吐出装置によれば、駆動信号の精度向上と、更なる消費電力の低減が可能となる。
また、本発明の液体吐出装置は、前記充電元電位予備調整波形信号発生手段は、前記充電元電位予備調整信号の位相を調整することで当該充電元電位予備調整信号の電位を調整する充電元電位予備調整波形信号を生成し、前記放電先電位予備調整波形信号発生手段は、前記放電先電位予備調整信号の位相を調整することで当該放電先電位予備調整信号の電位を調整する放電先電位予備調整波形信号を生成することを特徴とするものである。
【0020】
この発明の液体吐出装置によれば、駆動信号の精度向上と、更なる消費電力の低減が可能となる。
また、本発明の液体吐出装置は、液体吐出ヘッドに設けられた複数のノズルと、各ノズルに対応して設けられた充放電型アクチュエータと、インク滴を吐出すべきノズルの充放電型アクチュエータに駆動信号を印加する駆動手段とを備えた液体吐出装置において、前記アクチュエータの駆動状態を制御する信号の基準となる駆動波形信号を生成する駆動波形信号発生手段と、プッシュプル接続された充電用トランジスタ及び放電用トランジスタにより前記駆動波形信号発生手段で生成された駆動波形信号を増幅して駆動信号を出力する駆動信号発生手段と、前記駆動信号発生手段への充電元の電位及び当該駆動信号発生手段からの放電先の電位を予備調整するための充電元及び放電先電位予備調整波形信号を生成する充電元及び電先電位予備調整波形信号発生手段と、前記駆動信号発生手段への充電元及び当該駆動信号発生手段からの電先と当該駆動信号発生手段との間に配設され且つ前記充電元及び放電先電位予備調整波形信号発生手段で生成された充電元及び放電先電位予備調整波形信号に基づいて前記駆動信号発生手段への充電元電位及び当該駆動信号発生手段からの放電先電位を予備調整する充電元及び放電先電位予備調整手段とを備え、前記充電元及び放電先電位予備調整手段は、前記充電元及び放電先電位予備調整波形信号発生手段で生成された充電元及び放電先電位予備調整波形信号をパルス変調する充電元及び放電先電位用変調手段と、プッシュプル接続された充電元及び放電先電位用トランジスタ対により前記充電元及び放電先電位用変調手段でパルス変調された充電元及び放電先電位用変調信号を電力増幅する充電元及び放電先電位用デジタル電力増幅器と、前記充電元及び放電先電位用デジタル電力増幅器で電力増幅された充電元及び放電先電位予備調整信号を前記駆動信号発生手段の充電用トランジスタのコレクタ及び放電用トランジスタのコレクタに出力する充電元及び放電先電位用平滑フィルタとを備えたことを特徴とするものである。
【0021】
この発明の液体吐出装置によれば、充電元及び放電先電位予備調整信号と充放電型アクチュエータに充放電する駆動信号との電位差を小さくすることができ、消費電力を低減することが可能となる。
また、本発明の液体吐出装置は、前記充電元及び放電先電位予備調整波形信号発生手段は、前記充電元及び放電先電位予備調整信号の電圧値を調整することで当該充電元及び放電先電位予備調整信号の電位を調整する充電元及び放電先電位予備調整波形信号を生成することを特徴とするものである。
【0022】
この発明の液体吐出装置によれば、駆動信号の精度向上と、更なる消費電力の低減が可能となる。
また、本発明の液体吐出装置は、前記充電元及び放電先電位予備調整波形信号発生手段は、前記充電元及び放電先電位予備調整信号の位相を調整することで当該充電元及び放電先電位予備調整信号の電位を調整する充電元及び放電先電位予備調整波形信号を生成することを特徴とするものである。
【0023】
この発明の液体吐出装置によれば、駆動信号の精度向上と、更なる消費電力の低減が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の液体吐出装置を適用したインクジェットプリンタの第1実施形態を示す概略構成図であり、(a)は平面図、(b)は正面図である。
【図2】図1のインクジェットプリンタの制御装置のブロック構成図である。
【図3】駆動波形信号生成の説明図である。
【図4】時系列的に連結された駆動波形信号又は駆動信号の説明図である。
【図5】駆動信号発生系のブロック構成図である。
【図6】駆動信号をアクチュエータに接続する選択部のブロック図である。
【図7】図5の駆動信号発生系の駆動信号発生回路及び電位予備調整回路の詳細を示すブロック図である。
【図8】図7の電位予備調整回路のデジタル電力増幅器の作用の説明図である。
【図9】図7の駆動信号発生系の作用の説明図である。
【図10】従来の駆動信号発生系のブロック構成図及びその作用の説明図である。
【図11】本発明の液体吐出装置を適用したインクジェットプリンタの第2実施形態を示す駆動信号発生系のブロック構成図である。
【図12】図11の駆動信号発生系の作用の説明図である。
【図13】本発明の液体吐出装置を適用したインクジェットプリンタの第3実施形態を示す駆動信号発生系のブロック構成図である。
【図14】図13の駆動信号発生系の作用の説明図である。
【図15】本発明の液体吐出装置を適用したインクジェットプリンタの第4実施形態を示す駆動信号発生系のブロック構成図である。
【図16】図15の駆動信号発生系の作用の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
次に、本発明の液体吐出装置を適用したインクジェットプリンタの第1実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のインクジェットプリンタの概略構成図であり、図1aは、その平面図、図1bは正面図である。図1において、印刷媒体1は、図の右方から左方に向けて図の矢印方向に搬送され、その搬送途中の印刷領域で印刷される、ラインヘッド型インクジェットプリンタである。但し、本実施形態のインクジェットヘッドは一カ所だけでなく、二カ所に分けて配設されている。
【0026】
図中の符号2は、印刷媒体1の搬送方向上流側に設けられた第1インクジェットヘッド、符号3は、同じく下流側に設けられた第2インクジェットヘッドであり、第1インクジェットヘッド2の下方には印刷媒体1を搬送するための第1搬送部4が設けられ、第2インクジェットヘッド3の下方には第2搬送部5が設けられている。第1搬送部4は、印刷媒体1の搬送方向と交差する方向(以下、ノズル列方向とも称す)に所定の間隔をあけて配設された4本の第1搬送ベルト6で構成され、第2搬送部5は、同じく印刷媒体1の搬送方向と交差する方向(ノズル列方向)に所定の間隔をあけて配設された4本の第2搬送ベルト7で構成される。
【0027】
4本の第1搬送ベルト6と同じく4本の第2搬送ベルト7とは、互いに交互に隣り合うように配設されている。本実施形態では、これらの搬送ベルト6,7のうち、ノズル列方向右側2本の第1搬送ベルト6及び第2搬送ベルト7と、ノズル列方向左側2本の第1搬送ベルト6及び第2搬送ベルト7とを区分する。即ち、ノズル列方向右側2本の第1搬送ベルト6及び第2搬送ベルト7の重合部に右側駆動ローラ8Rが配設され、ノズル列方向左側2本の第1搬送ベルト6及び第2搬送ベルト7の重合部に左側駆動ローラ8Lが配設
され、それより上流側に右側第1従動ローラ9R及び左側第1従動ローラ9Lが配設され、下流側に右側第2従動ローラ10R及び左側第2従動ローラ10Lが配設されている。これらのローラは、一連のように見られるが、実質的には図1aの中央部分で分断されている。そして、ノズル列方向右側2本の第1搬送ベルト6は右側駆動ローラ8R及び右側第1従動ローラ9Rに巻回され、ノズル列方向左側2本の第1搬送ベルト6は左側駆動ローラ8L及び左側第1従動ローラ9Lに巻回され、ノズル列方向右側2本の第2搬送ベルト7は右側駆動ローラ8R及び右側第2従動ローラ10Rに巻回され、ノズル列方向左側2本の第2搬送ベルト7は左側駆動ローラ8L及び左側第2従動ローラ10Lに巻回されており、右側駆動ローラ8Rには右側電動モータ11Rが接続され、左側駆動ローラ8Lには左側電動モータ11Lが接続されている。従って、右側電動モータ11Rによって右側駆動ローラ8Rを回転駆動すると、ノズル列方向右側2本の第1搬送ベルト6で構成される第1搬送部4及び同じくノズル列方向右側2本の第2搬送ベルト7で構成される第2搬送部5は、互いに同期し且つ同じ速度で移動し、左側電動モータ11Lによって左側駆動ローラ8Lを回転駆動すると、ノズル列方向左側2本の第1搬送ベルト6で構成される第1搬送部4及び同じくノズル列方向左側2本の第2搬送ベルト7で構成される第2搬送部5は、互いに同期し且つ同じ速度で移動する。但し、右側電動モータ11Rと左側電動モータ11Lの回転速度を異なるものとすると、ノズル列方向左右の搬送速度を変えることができ、具体的には右側電動モータ11Rの回転速度を左側電動モータ11Lの回転速度よりも大きくすると、ノズル列方向右側の搬送速度を左側よりも大きくすることができ、左側電動モータ11Lの回転速度を右側電動モータ11Rの回転速度よりも大きくすると、ノズル列方向左側の搬送速度を右側よりも大きくすることができる。
【0028】
第1インクジェットヘッド2及び第2インクジェットヘッド3は、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、ブラック(K)の4色の各色毎に、印刷媒体1の搬送方向にずらして配設されている。各インクジェットヘッド2,3には、図示しない各色のインクタンクからインク供給チューブを介してインクが供給される。各インクジェットヘッド2,3には、印刷媒体1の搬送方向と交差する方向に、複数のノズルが形成されており(即ちノズル列方向)、それらのノズルから同時に必要箇所に必要量のインク滴を吐出することにより、印刷媒体1上に微小なインクドットを形成出力する。これを各色毎に行うことにより、第1搬送部4及び第2搬送部5で搬送される印刷媒体1を一度通過させるだけで、所謂ワンパスによる印刷を行うことができる。即ち、これらのインクジェットヘッド2,3の配設領域が印刷領域に相当する。
【0029】
インクジェットヘッドの各ノズルからインクを吐出出力する方法としては、静電方式、ピエゾ方式、膜沸騰インクジェット方式などがある。静電方式は、アクチュエータである静電ギャップに駆動信号を与えると、キャビティ内の振動板が変位してキャビティ内に圧力変化を生じ、その圧力変化によってインク滴がノズルから吐出出力されるというものである。ピエゾ方式は、アクチュエータであるピエゾ素子に駆動信号を与えると、キャビティ内の振動板が変位してキャビティ内に圧力変化を生じ、その圧力変化によってインク滴がノズルから吐出出力されるというものである。膜沸騰インクジェット方式は、キャビティ内に微小ヒータがあり、瞬間的に300℃以上に加熱されてインクが膜沸騰状態となって気泡が生成し、その圧力変化によってインク滴がノズルから吐出出力されるというものである。本発明は、何れのインク出力方法も適用可能であるが、駆動信号の波高値や電圧増減傾きを調整することでインク滴の吐出量を調整可能なピエゾ素子に特に好適である。なお、ピエゾ素子は容量を持つ、所謂充放電型アクチュエータである。
【0030】
第1インクジェットヘッド2のインク滴吐出用ノズルは第1搬送部4の4本の第1搬送ベルト6の間にだけ形成されており、第2インクジェットヘッド3のインク滴吐出用ノズルは第2搬送部5の4本の第2搬送ベルト7の間にだけ形成されている。これは、後述するクリーニング部によって各インクジェットヘッド2,3をクリーニングするためである
が、このようにすると、どちらか一方のインクジェットヘッドだけでは、ワンパスによる全面印刷を行うことができない。そのため、互いに印刷できない部分を補うために第1インクジェットヘッド2と第2インクジェットヘッド3とを印刷媒体1の搬送方向にずらして配設しているのである。
【0031】
第1インクジェットヘッド2の下方に配設されているのが当該第1インクジェットヘッド2をクリーニングする第1クリーニングキャップ12、第2インクジェットヘッド3の下方に配設されているのが当該第2インクジェットヘッド3をクリーニングする第2クリーニングキャップ13である。各クリーニングキャップ12,13は、何れも第1搬送部4の4本の第1搬送ベルト6の間、及び第2搬送部5の4本の第2搬送ベルト7の間を通過できる大きさに形成してある。これらのクリーニングキャップ12,13は、例えばインクジェットヘッド2,3の下面、即ちノズル面に形成されているノズルを覆い且つ当該ノズル面に密着可能な方形有底のキャップ体と、その底部に配設されたインク吸収体と、キャップ体の底部に接続されたチューブポンプと、キャップ体を昇降する昇降装置とで構成されている。そこで、昇降装置によってキャップ体を上昇してインクジェットヘッド2,3のノズル面に密着する。その状態で、チューブポンプによってキャップ体内を負圧にすると、インクジェットヘッド2,3のノズル面に開設されているノズルからインク滴や気泡が吸い出され、インクジェットヘッド2,3をクリーニングすることができる。クリーニングが終了したら、クリーニングキャップ12,13を下降する。
【0032】
第1従動ローラ9R,9Lの上流側には、給紙部15から供給される印刷媒体1の給紙タイミングを調整すると共に当該印刷媒体1のスキューを補正する、二個一対のゲートローラ14が設けられている。スキューとは、搬送方向に対する印刷媒体1の捻れである。また、給紙部15の上方には、印刷媒体1を供給するためのピックアップローラ16が設けられている。なお、図中の符号17は、ゲートローラ14を駆動するゲートローラモータである。
【0033】
駆動ローラ8R,8Lの下方にはベルト帯電装置19が配設されている。このベルト帯電装置19は、駆動ローラ8R,8Lを挟んで第1搬送ベルト6及び第2搬送ベルト7に当接する帯電ローラ20と、帯電ローラ20を第1搬送ベルト6及び第2搬送ベルト7に押し付けるスプリング21と、帯電ローラ20に電荷を付与する電源18とで構成されており、帯電ローラ20から第1搬送ベルト6及び第2搬送ベルト7に電荷を付与してそれらを帯電する。一般に、これらのベルト類は、中・高抵抗体又は絶縁体で構成されているので、ベルト帯電装置19によって帯電すると、その表面に印加された電荷が、同じく高抵抗体又は絶縁体で構成される印刷媒体1に誘電分極を生じせしめ、その誘電分極によって発生する電荷とベルト表面の電荷との間に生じる静電気力でベルトに印刷媒体1を吸着することができる。なお、ベルト帯電装置19としては、所謂電荷を降らせるコロトロンなどでもよい。
【0034】
従って、このインクジェットプリンタによれば、ベルト帯電装置19で第1搬送ベルト6及び第2搬送ベルト7の表面を帯電し、その状態でゲートローラ14から印刷媒体1を給紙し、図示しない拍車やローラで構成される紙押えローラで印刷媒体1を第1搬送ベルト6に押し付けると、前述した誘電分極の作用によって印刷媒体1は第1搬送ベルト6の表面に吸着される。この状態で、電動モータ11R,11Lによって駆動ローラ8R,8Lを回転駆動すると、その回転駆動力が第1搬送ベルト6を介して第1従動ローラ9R,9Lに伝達される。
【0035】
このようにして印刷媒体1を吸着した状態で第1搬送ベルト6を搬送方向下流側に移動し、印刷媒体1を第1インクジェットヘッド2の下方に移動し、当該第1インクジェットヘッド2に形成されているノズルからインク滴を吐出して印刷を行う。この第1インクジ
ェットヘッド2による印刷が終了したら、印刷媒体1を搬送方向下流側に移動して第2搬送部5の第2搬送ベルト7に乗り移らせる。前述したように、第2搬送ベルト7もベルト帯電装置19によって表面が帯電しているので、前述した誘電分極の作用によって印刷媒体1は第2搬送ベルト7の表面に吸着される。
【0036】
この状態で、第2搬送ベルト7を搬送方向下流側に移動し、印刷媒体1を第2インクジェットヘッド3の下方に移動し、当該第2インクジェットヘッドに形成されているノズルからインク滴を吐出して印刷を行う。この第2インクジェットヘッドによる印刷が終了したら、印刷媒体1を更に搬送方向下流側に移動し、図示しない分離装置で印刷媒体1を第2搬送ベルト7の表面から分離しながら排紙部に排紙する。
【0037】
また、第1及び第2インクジェットヘッド2,3のクリーニングが必要なときには、前述したように第1及び第2クリーニングキャップ12,13を上昇して第1及び第2インクジェットヘッド2,3のノズル面にキャップ体を密着し、その状態でキャップ体内を負圧にすることで第1及び第2インクジェットヘッド2,3のノズルからインク滴や気泡を吸い出してクリーニングし、然る後、第1及び第2クリーニングキャップ12,13を下降する。
【0038】
前記インクジェットプリンタ内には、自身を制御するための制御装置が設けられている。この制御装置は、例えば図2に示すように、例えばパーソナルコンピュータ、デジタルカメラ等のホストコンピュータ60から入力された印刷データに基づいて、印刷装置や給紙装置等を制御することにより印刷媒体に印刷処理を行うものである。そして、ホストコンピュータ60から入力された印刷データを受取る入力インタフェース部61と、この入力インタフェース部61から入力された印刷データに基づいて印刷処理を実行する例えばマイクロコンピュータで構成される制御部62と、ゲートローラモータ17を駆動制御するゲートローラモータドライバ63と、ピックアップローラ16を駆動するためのピックアップローラモータ51を駆動制御するピックアップローラモータドライバ64と、インクジェットヘッド2、3を駆動制御するヘッドドライバ65と、右側電動モータ11Rを駆動制御する右側電動モータドライバ66Rと、左側電動モータ11Lを駆動制御する左側電動モータドライバ66Lと、各ドライバ63〜65、66R、66Lの出力信号を外部のゲートローラモータ17、ピックアップローラモータ51、インクジェットヘッド2、3、右側電動モータ11R、左側電動モータ11Lで使用する駆動信号に変換して出力するインタフェース67とを備えて構成される。
【0039】
制御部62は、印刷処理等の各種処理を実行するCPU(Central Processing Unit)
62aと、入力インタフェース61を介して入力された印刷データ或いは当該印刷データ印刷処理等を実行する際の各種データを一時的に格納し、或いは印刷処理等のアプリケーションプログラムを一時的に展開するRAM(Random Access Memory)62cと、CPU62aで実行する制御プログラム等を格納する不揮発性半導体メモリで構成されるROM(Read-Only Memory)62dを備えている。この制御部62は、インタフェース部61を介してホストコンピュータ60から印刷データ(画像データ)を入手すると、CPU62aが、この印刷データに所定の処理を実行して、何れのノズルからインク滴を吐出するか或いはどの程度のインク滴を吐出するかという印刷データ(駆動信号選択データSI&SP)を出力し、この印刷データ及び各種センサからの入力データに基づいて、各ドライバ63〜65、66R、66Lに制御信号を出力する。各ドライバ63〜65、66R、66Lから制御信号が出力されると、これらがインタフェース部67で駆動信号に変換されてインクジェットヘッドの複数のノズルに対応するアクチュエータ、ゲートローラモータ17、ピックアップローラモータ51、右側電動モータ11R、左側電動モータ11Lが夫々作動して、印刷媒体1の給紙及び搬送、印刷媒体1の姿勢制御、並びに印刷媒体1への印刷処理が実行される。なお、制御部62内の各構成要素は、図示しないバスを介して
電気的に接続されている。
【0040】
ヘッドドライバ65は、駆動波形信号WCOMを形成する駆動波形信号発生回路70と、充電元電位予備調整波形信号WCCOMや放電先電位予備調整波形信号WDCOMを形成する電位予備調整波形信号発生回路71とを備えている。駆動波形信号発生回路70は、例えば図3に示すように、駆動波形信号WCOMが中間電位(オフセット)まで立ち上げられている状態から、時間幅T1の間、クロック信号の立上がりのタイミングで波形データ+ΔV1ずつ駆動波形信号WCOMを加算し、次いで時間幅T0の間、駆動波形信号WCOMを一定値に保持し(波形データ0)、次いで時間幅T2の間、クロック信号の立上がりのタイミングで波形データ−ΔV2ずつ駆動波形信号WCOMを減算する。このようにして生成された駆動波形信号WCOMを、例えば図5に示す駆動信号発生回路72でアナログ化し、電力増幅してインクジェットヘッド2、3に駆動信号COMとして供給することで、各ノズル毎に設けられているピエゾ素子などのアクチュエータを駆動することが可能となり、各ノズルからインク滴を吐出することができる。
【0041】
この駆動信号COMの立上がり部分がノズルに連通するキャビティ(圧力室)の容積を拡大してインクを引込む(インクの吐出面を考えればメニスカスを引き込むとも言える)段階であり、駆動信号COMの立下がり部分がキャビティの容積を縮小してインクを押出す(インクの吐出面を考えればメニスカスを押出すとも言える)段階であり、インクを押出した結果、インク滴がノズルから吐出される。ちなみに、駆動信号COM又は駆動波形信号WCOMの波形は、前述からも容易に推察されるように、駆動波形信号WCOMを生成する波形データ0、+ΔV1、−ΔV2、+ΔV3、クロック信号によって調整可能である。また、ピエゾ素子は容量性負荷であり、所謂充放電型アクチュエータなので、例えば本実施形態では、駆動信号COMの立上がり部分で充放電型アクチュエータに電荷が充電され、駆動信号COMの立下がり部分で充放電型アクチュエータから電荷が放電される。
【0042】
この電圧台形波からなる駆動信号COMの電圧増減傾きや波高値を種々に変更することにより、インクの引込量や引込速度、インクの押出量や押出速度を変化させることができ、これによりインク滴の吐出量を変化させて異なるインクドットの大きさを得ることができる。従って、例えば図4に示すように、複数の駆動パルスPCOMを時系列的に連結させて駆動信号COMを生成し、そのうちから単独の駆動パルスPCOMを選択してピエゾ素子などのアクチュエータ22に供給し、インク滴を吐出したり、複数の駆動パルスPCOMを選択してピエゾ素子などのアクチュエータ22に供給し、インク滴を複数回吐出したりすることで種々のインクドットの大きさを得ることができる。即ち、インクが乾かないうちに複数のインク滴を同じ位置に着弾すると、実質的に大きなインク滴を吐出するのと同じことになり、インクドットの大きさを大きくすることできるのである。このような技術の組み合わせによって多階調化を図ることが可能となる。なお、図4の左端の駆動パルスPCOM1は、インクを引込むだけで押出していない。これは、微振動と呼ばれ、インク滴を吐出せずに、例えばノズルの乾燥を抑制防止したりするのに用いられる。
【0043】
これらの結果、インクジェットヘッド2、3には、駆動信号発生回路72で生成された駆動信号COM、印刷データに基づいて吐出するノズルを選択すると共にピエゾ素子などのアクチュエータの駆動信号COMへの接続タイミングを決定する駆動信号選択データ信号SI&SP、全ノズルにノズル選択データが入力された後、駆動信号選択データSI&SPに基づいて駆動信号COMとインクジェットヘッド2、3のアクチュエータとを接続させるラッチ信号LAT及びチャンネル信号CH、駆動信号選択データ信号SI&SPをシリアル信号としてインクジェットヘッド2、3に送信するためのクロック信号SCKが入力されている。
【0044】
次に、前記駆動信号発生回路から出力される駆動信号COMとピエゾ素子などのアクチュエータとを接続する構成について説明する。図6は、駆動信号COMとピエゾ素子などのアクチュエータとを接続する選択部のブロック図である。この選択部は、インク滴を吐出させるべきノズルに対応したピエゾ素子などのアクチュエータを指定するための駆動信号選択データSI&SPを保存するシフトレジスタ211と、シフトレジスタ211のデータを一時的に保存するラッチ回路212と、ラッチ回路212の出力をレベル変換するレベルシフタ213と、レベルシフタの出力に応じて駆動信号COMをピエゾ素子などのアクチュエータ22に接続する選択スイッチ201によって構成されている。
【0045】
シフトレジスタ211には、駆動信号選択データ信号SI&SPが順次入力されると共に、クロック信号SCKの入力パルスに応じて記憶領域が初段から順次後段にシフトする。ラッチ回路212は、ノズル数分の駆動信号選択データSI&SPがシフトレジスタ211に格納された後、入力されるラッチ信号LATによってシフトレジスタ211の各出力信号をラッチする。ラッチ回路212に保存された信号は、レベルシフタ213によって次段の選択スイッチ201をオンオフできる電圧レベルに変換される。これは、駆動信号COMが、ラッチ回路212の出力電圧に比べて高い電圧であり、これに合わせて選択スイッチ201の動作電圧範囲も高く設定されているためである。従って、レベルシフタ213によって選択スイッチ201が閉じられるピエゾ素子などのアクチュエータは駆動信号選択データSI&SPの接続タイミングで駆動信号COMに接続される。また、シフトレジスタ211の駆動信号選択データSI&SPがラッチ回路212に保存された後、次の印刷情報をシフトレジスタ211に入力し、インク滴の吐出タイミングに合わせてラッチ回路212の保存データを順次更新する。なお、図中の符号HGNDは、ピエゾ素子などのアクチュエータのグランド端である。また、この選択スイッチ201によれば、ピエゾ素子などのアクチュエータを駆動信号COMから切り離した後も、当該アクチュエータ22の入力電圧は、切り離す直前の電圧に維持される。
【0046】
図5に戻って、前述のように駆動信号COMを電力増幅するためには、後述のようにプッシュプル接続された充電用トランジスタと放電用トランジスタを電源と接地との間に配設し、それらプッシュプル接続されたトランジスタ対を駆動波形信号WCOMに合わせてリニア駆動する。例えばピエゾ素子などの充放電型アクチュエータを充電するための駆動信号と電源電位(充電元電位)との電位差、或いは充放電型アクチュエータから放電するための駆動信号と接地電位(放電先電位)との電位差に電流値を乗じたものが消費電力となり、前述のように消費電力は殆ど熱として消費されるが、それらの電位差が大きいと消費電力も大きくなり、発熱量も大きくなる。そこで、本実施形態では、電位予備調整波形信号発生回路71で生成された充電元電位予備調整波形信号WCCOMや放電先電位予備調整波形信号WDCOMに基づいて電位予備調整回路26,27で駆動信号発生回路72への充電元電位や駆動信号発生回路72からの放電先電位を調整することで、充放電型アクチュエータを充電するための駆動信号と充電元電位との電位差、或いは充放電型アクチュエータから放電するための駆動信号と放電先電位との電位差を小さくし、もって消費電力や発熱量を低減する。なお、駆動信号発生回路72や電位予備調整回路26、27はインターフェース部67内に構築されている。
【0047】
図7には、本実施形態の電位予備調整回路26と駆動信号発生回路72の具体的な回路構成を示す。本実施形態では、駆動信号発生回路72への充電元電位を予備調整する充電元電位予備調整回路26のみ設けられている。このうち、駆動信号発生回路72は、前述した特許文献2に記載されるものと同等であり、プッシュプル接続された充電用トランジスタTr1及び放電用トランジスタTr2と、デジタル信号からなる駆動波形信号WCOMをアナログ変換するD/A変換器701と、このアナログ変換された駆動波形信号WCOMに応じて2つのトランジスタTr1,Tr2のベース電圧を制御するベースドライバ回路702とを備えて構成される。2つのトランジスタTr1、Tr2のうち、一方のN
PN型充電用トランジスタTr1のコレクタには、充電元電位予備調整回路26から充電元電位予備調整信号CCOMが供給され、コレクタは選択スイッチ201の入力側に接続され、ベースがベースドライバ回路702の一方の出力に接続されている。また、他方のPNP型放電用トランジスタTr2のコレクタが選択スイッチ201の入力側に接続され、コレクタが接地され、ベースがベースドライバ回路702の他方の出力に接続されている。このトランジスタ対では、一方の充電用トランジスタTr1は、選択スイッチ201を介して、駆動パルスCOMに応じた電圧波形を伴いながら充電元電位予備調整信号CCOMから容量性負荷であるアクチュエータ22に電荷を供給する、即ち充電し、他方の放電用トランジスタTr2は、選択スイッチ201を介して、駆動パルスCOMに応じた電圧波形を伴いながら容量性負荷であるアクチュエータ22の電荷を放電する。
【0048】
一方、充電元電位予備調整回路26は、例えば前述した駆動波形信号WCOMと同様にして生成された充電元電位予備調整波形信号WCCOMをパルス変調する充電元電位用変調回路24と、この充電元電位用変調回路24でパルス変調された充電元電位用変調信号CPWMを電力増幅する充電元電位用デジタル電力増幅器、所謂D級アンプ28と、この充電元電位用デジタル電力増幅器28で電力増幅された充電元電位予備調整信号CCOMを平滑化して駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタに出力する充電元電位用平滑フィルタ30を備えて構成される。
【0049】
充電元電位用予備調整波形信号WCCOMをパルス変調する充電元電位用変調回路24には、一般的なパルス幅変調(PWM)回路を用いた。この図7の充電元電位用変調回路24は、周知の三角波信号発振器と、この三角波信号発振器から出力される三角波信号と充電元電位用予備調整波形信号WCCOMとを比較する比較器とを備えて構成される。この充電元電位用変調回路24によれば、例えば充電元電位予備調整波形信号WCCOMが三角波信号以上であるときにHi、充電元電位予備調整波形信号WCCOMが三角波信号未満であるときにLoとなる変調信号、所謂PWM信号が出力される。なお、本実施形態では、パルス変調回路にパルス幅変調回路を用いたが、これに代えてパルス密度変調(PDM)回路を用いてもよい。
【0050】
充電元電位用デジタル電力増幅器、所謂D級アンプ28は、実質的に電力を増幅するための二つのMOSFETTrP、TrNからなり、一般に充電元電位用トランジスタ対と呼ばれる充電元電位用トランジスタ対32と、充電元電位用変調回路24からの充電元電位用変調信号CPWMに基づいて、それらのMOSFETTrP、TrNのゲート−ソース間信号GP、GNを調整するためのゲートドライバ回路34とを備えて構成され、充電元電位用トランジスタ対32は、ハイサイド側MOSFETTrPとローサイド側MOSFETTrNをプッシュプル型に組み合わせたものである。このうち、ハイサイド側MOSFETTrPのゲート−ソース間信号をGP、ローサイド側MOSFETTrNのゲート−ソース間信号をGN、充電元電位用トランジスタ対32の出力をVaとしたとき、それらが充電元電位用変調信号CPWMに応じてどのように変化するかを図8に示す。なお、この出力特性は、後述の放電先電位用変調信号DPWMを電力増幅する放電先電位用トランジスタ対33も同じである。
【0051】
例えば、本実施形態では充電元電位用変調信号CPWMがHiレベルであるとき、ハイサイド側MOSFETTrPのゲート−ソース間信号GPはHiレベルとなり、ローサイド側MOSFETTrNのゲート−ソース間信号GNはLoレベルとなるので、ハイサイド側MOSFETTrPはON状態となり、ローサイド側MOSFETTrNはOFF状態となり、その結果、充電元電位用トランジスタ対32の出力Vaは、例えば充電元電位Vddとなる。一方、充電元電位用変調信号CPWMがLoレベルであるとき、ハイサイド側MOSFETTrPのゲート−ソース間信号GPはLoレベルとなり、ローサイド側MOSFETTrNのゲート−ソース間信号GNはHiレベルとなるので、ハイサイド側
MOSFETTrPはOFF状態となり、ローサイド側MOSFETTrNはON状態となり、その結果、充電元電位用トランジスタ対32の出力Vaは0となる。
【0052】
この充電元電位用デジタル電力増幅回路28の充電元電位用トランジスタ対32の出力Vaが充電元電位用平滑フィルタ30を介して駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタに充電元電位予備調整信号CCOMとして供給される。充電元電位用平滑フィルタ30は、例えば一つのコイルLと一つのコンデンサCの組み合わせからなるLCローパス(低域通過)フィルタで構成される。このローパスフィルタからなる充電元電位用平滑フィルタ30は、充電元電位用デジタル電力増幅回路28の充電元電位用トランジスタ対32の出力Vaの高周波成分、即ちパルス変調のキャリア信号成分を十分に減衰し且つ充電元電位予備調整信号CCOMを減衰しないように設計される。
【0053】
そして、本実施形態では、充電元電位予備調整波形信号WCCOMを適切に設定することにより、駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタに供給される充電元電位予備調整信号CCOMの電位を駆動信号COMの電位より少しだけ高くなるように調整する。この充電元電位予備調整信号CCOMの電位調整には、二種類の方法があり、例えば図9aに示すものは、充電元電位予備調整信号CCOMの電圧値そのものを駆動信号COMの電位より少しだけ高くなるように調整したものであり、図9bに示すものは、充電元電位予備調整信号CCOMの位相を駆動信号COMのそれより早くすることにより充電元電位予備調整信号CCOMの電位が駆動信号の電位より少しだけ高くなるように調整したものである。
【0054】
本実施形態では、図9a,bの斜線部が消費電力に相当する。本実施形態では、放電先電位を予備調整していないので、駆動信号COMと放電先電位、即ち接地電位との電位差による消費電力は変化しないが、駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタに供給される充電元電位予備調整信号CCOMの電位を駆動信号COMの電位より少しだけ高くなるように調整しているので、両者の電位差による消費電力は小さい。図10aは、充電元電位予備調整回路26がなく、充電元電位Vddをそのまま駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタに供給した、前記特許文献2に記載の従来のインクジェットプリンタであり、図10bには、図9と同様に、斜線部で消費電力を示す。なお、理解を容易にするために、符号は、実施形態と同じものを使用した。この消費電力図では、充電元電位を予備調整する本実施形態と比べて、充電元電位Vddと駆動信号COMとの電位差が大きく、当然ながら消費電力も大きい。消費電力が大きくなると発熱量が大きくなるので、使用するトランジスタを大型化して耐熱性を向上させたり、ヒートシンクを設けて積極的に放熱させたりしなければならない。一方、本実施形態では、従来のインクジェットプリンタに比べて消費電力を低減し、発熱量も低減できるので、そうした対策が必要ない。また、駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタに供給される充電元電位予備調整信号CCOMを充電元電位用トランジスタ対32からなる充電元電位用デジタル電力増幅器28で電力増幅して予備調整することにより、充電元電位予備調整信号CCOMの電位を正確に調整することができる。
【0055】
このように、本実施形態のインクジェットプリンタによれば、駆動波形信号発生回路70でアクチュエータ22の駆動状態を制御する信号の基準となる駆動波形信号WCOMを生成し、この生成された駆動波形信号WCOMを駆動信号発生回路72のプッシュプル接続された充電用トランジスタTr1及び放電用トランジスタTr2により増幅して駆動信号COMを出力するにあたり、駆動信号発生回路72への充電元の電位を予備調整するための充電元電位予備調整波形信号WCCOMを生成し、この充電元電位予備調整波形信号WCCOMを充電元電位用変調回路24でパルス変調し、このパルス変調された充電元電位用変調信号CPWMを充電元電位用デジタル電力増幅器28のプッシュプル接続された充電元電位用トランジスタ対32で電力増幅し、この電力増幅された充電元電位予備調整
信号CCOMを充電元電位用平滑フィルタ30で平滑化して駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタに出力することとしたため、充電元電位予備調整信号CCOMと充放電型アクチュエータに充電する駆動信号COMとの電位差を小さくすることができ、消費電力を低減することが可能となる。
【0056】
また、充電元電位予備調整信号CCOMの電圧値を調整することで当該充電元電位予備調整信号CCOMの電位を調整する充電元電位予備調整波形信号WCCOMを生成することとすれば、駆動信号COMの精度向上と、更なる消費電力の低減が可能となる。
また、充電元電位予備調整信号CCOMの位相を調整することで当該充電元電位予備調整信号CCOMの電位を調整する充電元電位予備調整波形信号WCCOMを生成すこととすれば、駆動信号COMの精度向上と、更なる消費電力の低減が可能となる。
【0057】
次に、本発明のインクジェットプリンタの第2実施形態について図11を用いて説明する。本実施形態のインクジェットプリンタの概略構成や制御装置、駆動波形信号や駆動信号の生成手法、アクチュエータ選択の構成は、前記第1実施形態のものと同様である。本実施形態では、前記第1実施形態の充電元電位予備調整回路26に代えて、放電先電位予備調整回路27が設けられている。この放電先電位予備調整回路27は、駆動信号発生回路72の放電用トランジスタTr2のコレクタに接続され、この放電用トランジスタTr2から放電する先の電位を予備調整するものである。なお、駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタは充電元電位Vddに接続されている。
【0058】
この放電先電位予備調整回路27は、例えば前述した駆動波形信号WCOMと同様にして生成された放電先電位予備調整波形信号WDCOMをパルス変調する放電先電位用変調回路25と、この放電先電位用変調回路25でパルス変調された放電先電位用変調信号DPWMを電力増幅する放電先電位用デジタル電力増幅器、所謂D級アンプ29と、この放電先電位用デジタル電力増幅器29で電力増幅された放電先電位予備調整信号DCOMを平滑化して駆動信号発生回路72の放電用トランジスタTr2のコレクタに出力する放電先電位用平滑フィルタ31を備えて構成される。
【0059】
放電先電位用予備調整波形信号WDCOMをパルス変調する放電先電位用変調回路25には、前記第1実施形態の充電元電位用変調回路24と同様に、一般的なパルス幅変調(PWM)回路を用いた。また、放電先電位用デジタル電力増幅器、所謂D級アンプ29は、前記第1実施形態の充電元電位用デジタル電力増幅器28と同様に、実質的に電力を増幅するための二つのMOSFETTrP、TrNからなる放電先電位用トランジスタ対33と、放電先電位用変調回路25からの放電先電位用変調信号DPWMに基づいて、それらのMOSFETTrP、TrNのゲート−ソース間信号GP、GNを調整するためのゲートドライバ回路34とを備えて構成される。また、放電先電位用平滑フィルタ31も、前記第1実施形態の充電元電位用平滑フィルタ30と同様に、例えば一つのコイルLと一つのコンデンサCの組み合わせからなるLCローパス(低域通過)フィルタで構成される。
【0060】
そして、本実施形態では、放電先電位予備調整波形信号WDCOMを適切に設定することにより、駆動信号発生回路72の放電用トランジスタTr2のコレクタに供給される放電先電位予備調整信号DCOMの電位を駆動信号COMの電位より少しだけ低くなるように調整する。この放電先電位予備調整信号DCOMの電位調整には、二種類の方法があり、例えば図12aに示すものは、放電先電位予備調整信号DCOMの電圧値そのものを駆動信号COMの電位より少しだけ低くなるように調整したものであり、図12bに示すものは、放電先電位予備調整信号DCOMの位相を駆動信号COMのそれより早くすることにより放電先電位予備調整信号DCOMの電位が駆動信号の電位より少しだけ低くなるように調整したものである。
【0061】
本実施形態では、図12a,bの斜線部が消費電力に相当する。本実施形態では、充電元電位を予備調整していないので、駆動信号COMと放電元電位Vddとの電位差による消費電力は変化しないが、駆動信号発生回路72の放電用トランジスタTr2のコレクタに供給される放電先電位予備調整信号DCOMの電位を駆動信号COMの電位より少しだけ低くなるように調整しているので、両者の電位差による消費電力は小さい。従って、本実施形態では、従来のインクジェットプリンタに比べて消費電力を低減し、発熱量も低減できるので、それらへの対策が必要ない。また、駆動信号発生回路72の放電用トランジスタTr2のコレクタに供給される放電先電位予備調整信号DCOMを放電先電位用トランジスタ対33からなる放電先電位用デジタル電力増幅器29で電力増幅して予備調整することにより、放電先電位予備調整信号DCOMの電位を正確に調整することができる。
【0062】
このように、本実施形態のインクジェットプリンタによれば、駆動波形信号発生回路70でアクチュエータ22の駆動状態を制御する信号の基準となる駆動波形信号WCOMを生成し、この生成された駆動波形信号WCOMを駆動信号発生回路72のプッシュプル接続された充電用トランジスタTr1及び放電用トランジスタTr2により増幅して駆動信号COMを出力するにあたり、駆動信号発生回路72からの放電先の電位を予備調整するための放電先電位予備調整波形信号WDCOMを生成し、この放電先電位予備調整波形信号WDCOMを放電先電位用変調回路25でパルス変調し、このパルス変調された放電先電位用変調信号DPWMを放電先電位用デジタル電力増幅器29のプッシュプル接続された放電先電位用トランジスタ対33で電力増幅し、この電力増幅された放電先電位予備調整信号DCOMを放電先電位用平滑フィルタ31で平滑化して駆動信号発生回路72の放電用トランジスタTr2のコレクタに出力することとしたため、放電先電位予備調整信号DCOMと充放電型アクチュエータ22から放電する駆動信号COMとの電位差を小さくすることができ、消費電力を低減することが可能となる。
【0063】
また、放電先電位予備調整信号DCOMの電圧値を調整することで当該放電先電位予備調整信号DCOMの電位を調整する放電先電位予備調整波形信号WDCOMを生成することとすれば、駆動信号COMの精度向上と、更なる消費電力の低減が可能となる。
また、放電先電位予備調整信号DCOMの位相を調整することで当該放電先電位予備調整信号DCOMの電位を調整する放電先電位予備調整波形信号WDCOMを生成することとすれば、駆動信号COMの精度向上と、更なる消費電力の低減が可能となる。
【0064】
次に、本発明のインクジェットプリンタの第3実施形態について図13を用いて説明する。本実施形態のインクジェットプリンタの概略構成や制御装置、駆動波形信号や駆動信号の生成手法、アクチュエータ選択の構成は、前記第1実施形態のものと同様である。本実施形態では、前記第1実施形態の充電元電位予備調整回路26に加えて、前記第2実施形態の放電先電位予備調整回路27が併設されている。なお、それらの構成や機能は、夫々、第1実施形態及び第2実施形態のそれと同じであるので、同等の構成には同等の符号を附して、その詳細な説明を省略する。
【0065】
そして、本実施形態では、充電元電位予備調整波形信号WCCOMを適切に設定することにより、駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタに供給される充電元電位予備調整信号CCOMの電位を駆動信号COMの電位より少しだけ高くなるように調整すると共に、放電先電位予備調整波形信号WDCOMを適切に設定することにより、駆動信号発生回路72の放電用トランジスタTr2のコレクタに供給される放電先電位予備調整信号DCOMの電位を駆動信号COMの電位より少しだけ低くなるように調整する。このうち、充電元電位予備調整信号CCOMの電位調整には、二種類の方法があり、例えば図14aに示すものは、充電元電位予備調整信号CCOMの電圧値そのものを駆動信号COMの電位より少しだけ高くなるように調整したものであり、図14bに示すもの
は、充電元電位予備調整信号CCOMの位相を駆動信号COMのそれより早くすることにより充電元電位予備調整信号CCOMの電位が駆動信号の電位より少しだけ高くなるように調整したものである。また、放電先電位予備調整信号DCOMの電位調整にも、二種類の方法があり、例えば図14aに示すものは、放電先電位予備調整信号DCOMの電圧値そのものを駆動信号COMの電位より少しだけ低くなるように調整したものであり、図14bに示すものは、放電先電位予備調整信号DCOMの位相を駆動信号COMのそれより早くすることにより放電先電位予備調整信号DCOMの電位が駆動信号の電位より少しだけ低くなるように調整したものである。
【0066】
本実施形態では、図14a,bの斜線部が消費電力に相当する。本実施形態では、駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタタに供給される充電元電位予備調整信号CCOMの電位を駆動信号COMの電位より少しだけ高くなるように調整しているので、両者の電位差による消費電力は小さく、同時に駆動信号発生回路72の放電用トランジスタTr2のコレクタに供給される放電先電位予備調整信号DCOMの電位を駆動信号COMの電位より少しだけ低くなるように調整しているので、両者の電位差による消費電力は小さい。従って、本実施形態では、従来のインクジェットプリンタに比べて消費電力を低減し、発熱量も低減できるので、それらへの対策が必要ない。また、駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタに供給される充電元電位予備調整信号CCOMを充電元電位用トランジスタ対32からなる充電元電位用デジタル電力増幅器28で電力増幅して予備調整することにより、充電元電位予備調整信号CCOMの電位を正確に調整することができると共に、駆動信号発生回路72の放電用トランジスタTr2のコレクタに供給される放電先電位予備調整信号DCOMを放電先電位用トランジスタ対33からなる放電先電位用デジタル電力増幅器29で電力増幅して予備調整することにより、放電先電位予備調整信号DCOMの電位を正確に調整することができる。
【0067】
このように、本実施形態のインクジェットプリンタによれば、駆動波形信号発生回路70でアクチュエータ22の駆動状態を制御する信号の基準となる駆動波形信号WCOMを生成し、この生成された駆動波形信号WCOMを駆動信号発生回路72のプッシュプル接続された充電用トランジスタTr1及び放電用トランジスタTr2により増幅して駆動信号COMを出力するにあたり、駆動信号発生回路72への充電元の電位を予備調整するための充電元電位予備調整波形信号WCCOMを生成し、この充電元電位予備調整波形信号WCCOMを充電元電位用変調手段24でパルス変調し、このパルス変調された充電元電位用変調信号CPWMを充電元電位用デジタル電力増幅器28のプッシュプル接続された充電元電位用トランジスタ対32で電力増幅し、この電力増幅された充電元電位予備調整信号CCOMを充電元電位用平滑フィルタ30で平滑化して駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタに出力すると共に、駆動信号発生回路72からの放電先元の電位を予備調整するための放電先電位予備調整波形信号WDCOMを生成し、この放電先電位予備調整波形信号WDCOMを放電先電位用変調回路25でパルス変調し、このパルス変調された放電先電位用変調信号DPWMを放電先電位用デジタル電力増幅器29のプッシュプル接続された放電先電位用トランジスタ対33で電力増幅し、この電力増幅された放電先電位予備調整信号DCOMを放電先電位用平滑フィルタ31で平滑化して駆動信号発生回路72の放電用トランジスタTr2のコレクタに出力することとしたため、充電元電位予備調整信号CCOMと充放電型アクチュエータ22に充電する駆動信号COMとの電位差を小さくすることができると共に、放電先電位予備調整信号DCOMと充放電型アクチュエータ22から放電する駆動信号COMとの電位差を小さくすることができ、消費電力を低減することが可能となる。
【0068】
また、充電元電位予備調整信号CCOMの電圧値を調整することで当該充電元電位予備調整信号CCOMの電位を調整する充電元電位予備調整波形信号WCCOMを生成すると共に、放電先電位予備調整信号DCOMの電圧値を調整することで当該放電先電位予備調
整信号DCOMの電位を調整する放電先電位予備調整波形信号WDCOMを生成することとすれば、駆動信号COMの精度向上と、更なる消費電力の低減が可能となる。
【0069】
また、充電元電位予備調整信号CCOMの位相を調整することで当該充電元電位予備調整信号CCOMの電位を調整する充電元電位予備調整波形信号WCCOMを生成すると共に、放電先電位予備調整信号DCOMの位相を調整することで当該放電先電位予備調整信号DCOMの電位を調整する放電先電位予備調整波形信号WDCOMを生成することとすれば、駆動信号COMの精度向上と、更なる消費電力の低減が可能となる。
【0070】
次に、本発明のインクジェットプリンタの第4実施形態について図15を用いて説明する。本実施形態のインクジェットプリンタの概略構成や制御装置、駆動波形信号や駆動信号の生成手法、アクチュエータ選択の構成は、前記第1実施形態のものと同様である。本実施形態では、前記第1実施形態の充電元電位予備調整回路26に代えて、充電元及び放電先電位予備調整回路23が設けられている。この充電元及び放電先電位予備調整回路23は、第1整流器D1を介して駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1コレクタに接続され、この充電用トランジスタTr1に充電する元の電位を予備調整すると共に、第2整流器D2を介して駆動信号発生回路72の放電用トランジスタTr2のコレクタにも接続され、この放電用トランジスタTr2から放電する先の電位を予備調整するものである。
【0071】
この充電元及び放電先電位予備調整回路23は、例えば前述した駆動波形信号WCOMと同様にして電位予備調整波形信号発生回路71で生成された充電元及び放電先電位予備調整波形信号WCDCOMをパルス変調する充電元及び放電先電位用変調回路35と、この充電元及び放電先電位用変調回路35でパルス変調された充電元及び放電先電位用変調信号CDPWMを電力増幅する充電元及び放電先電位用デジタル電力増幅器、所謂D級アンプ36と、この充電元及び放電先電位用デジタル電力増幅器36で電力増幅された充電元及び放電先電位予備調整信号CDCOMを平滑化して駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタ及び放電用トランジスタTr2のコレクタに出力する充電元及び放電先電位用平滑フィルタ38を備えて構成される。
【0072】
充電元及び放電先電位用予備調整波形信号WCDCOMをパルス変調する充電元及び放電先電位用変調回路35には、前記第1実施形態の充電元電位用変調回路24と同様に、一般的なパルス幅変調(PWM)回路を用いた。また、充電元及び放電先電位用デジタル電力増幅器、所謂D級アンプ36は、前記第1実施形態の充電元電位用デジタル電力増幅器29と同様に、実質的に電力を増幅するための二つのMOSFETTrP、TrNからなる充電元及び放電先電位用トランジスタ対37と、充電元及び放電先電位用変調回路35からの充電元及び放電先電位用変調信号CDPWMに基づいて、それらのMOSFETTrP、TrNのゲート−ソース間信号GP、GNを調整するためのゲートドライバ回路34とを備えて構成される。また、充電元及び放電先電位用平滑フィルタ38も、前記第1実施形態の充電元電位用平滑フィルタ30と同様に、例えば一つのコイルLと一つのコンデンサCの組み合わせからなる一次LCローパス(低域通過)フィルタで構成される。
【0073】
そして、本実施形態では、充電元及び放電先電位予備調整波形信号WCDCOMを適切に設定することにより、アクチュエータへの充電時には駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタに供給される充電元及び放電先電位予備調整信号CDCOMの電位を駆動信号COMの電位より少しだけ高くなるように調整すると共に、アクチュエータからの放電時には駆動信号発生回路72の放電用トランジスタTr2のコレクタに供給される充電元及び放電先電位予備調整信号CDCOMの電位を駆動信号COMの電位より少しだけ低くなるように調整する。この充電元及び放電先電位予備調整信号CDCOMの電位調整には、二種類の方法があり、例えば図14aに示すものは、充電元及び放電先
電位予備調整信号CDCOMの電圧値そのものを駆動信号COMの電位より少しだけ高くしたり低くしたりして調整したものであり、図14bに示すものは、充電元及び放電先電位予備調整信号CDCOMの位相を駆動信号COMのそれより早くすることにより充電元及び放電先電位予備調整信号CDCOMの電位が駆動信号の電位より少しだけ高くなったり低くなったりするように調整したものである。
【0074】
本実施形態では、図14a,bの斜線部が消費電力に相当する。本実施形態では、駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタタに供給される充電元及び放電先電位予備調整信号CDCOMの電位を駆動信号COMの電位より少しだけ高くなるように調整しているので、両者の電位差による消費電力は小さく、同時に駆動信号発生回路72の放電用トランジスタTr2のコレクタに供給される充電元及び放電先電位予備調整信号CDCOMの電位を駆動信号COMの電位より少しだけ低くなるように調整しているので、両者の電位差による消費電力は小さい。従って、本実施形態では、従来のインクジェットプリンタに比べて消費電力を低減し、発熱量も低減できるので、それらへの対策が必要ない。また、駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタや放電用トランジスタTr2のコレクタに供給される充電元及び放電先電位予備調整信号CDCOMを充電元及び放電先電位用トランジスタ対37からなる充電元及び放電先電位用デジタル電力増幅器36で電力増幅して予備調整することにより、充電元及び放電先電位予備調整信号CDCOMの電位を正確に調整することができる。
【0075】
このように、本実施形態のインクジェットプリンタによれば、駆動波形信号発生回路70でアクチュエータ22の駆動状態を制御する信号の基準となる駆動波形信号WCOMを生成し、この生成された駆動波形信号WCOMを駆動信号発生回路72のプッシュプル接続された充電用トランジスタTr1及び放電用トランジスタTr2により増幅して駆動信号COMを出力するにあたり、駆動信号発生回路72への充電元の電位及び放電先の電位を予備調整するための充電元及び放電先電位予備調整波形信号WCDCOMを生成し、この充電元及び放電先電位予備調整波形信号WCDCOMを充電元及び放電先電位用変調回路35でパルス変調し、このパルス変調された充電元及び放電先電位用変調信号CDPWMを充電元及び放電先電位用デジタル電力増幅器36のプッシュプル接続された充電元及び放電先電位用トランジスタ対37で電力増幅し、この電力増幅された充電元及び放電先電位予備調整信号CDCOMを充電元及び放電先電位用平滑フィルタ38で平滑化して駆動信号発生回路72の充電用トランジスタTr1のコレクタ及び放電用トランジスタTr2のコレクタに出力する構成としたため、充電元及び放電先電位予備調整信号CDCOMと充放電型アクチュエータ22に充放電する駆動信号COMとの電位差を小さくすることができ、消費電力を低減することが可能となる。
【0076】
また、充電元及び放電先電位予備調整信号CDCOMの電圧値を調整することで当該充電元及び放電先電位予備調整信号CDCOMの電位を調整する充電元及び放電先電位予備調整波形信号WCDCOMを生成することとすれば、駆動信号COMの精度向上と、更なる消費電力の低減が可能となる。
また、充電元及び放電先電位予備調整信号CDCOMの位相を調整することで当該充電元及び放電先電位予備調整信号CDCOMの電位を調整する充電元及び放電先電位予備調整波形信号WCDCOMを生成することとすれば、駆動信号COMの精度向上と、更なる消費電力の低減が可能となる。
【0077】
なお、前記実施形態では所謂ラインヘッド型インクジェットプリンタを対象として本発明の液体吐出装置適用した例についてのみ詳述したが、本発明の液体吐出装置は、マルチパス型プリンタを始めとして、あらゆるタイプのインクジェットプリンタを対象として適用可能である。
また、前記実施形態では、本発明の液体吐出装置をインクジェット式印刷装置に具体化
したが、この限りではなく、インク以外の他の液体(液体以外にも、機能材料の粒子が分散されている液状体、ジェルなどの流状体を含む)や液体以外の流体(流体として流して吐出できる固体など)を噴射したり吐出したりする液体吐出装置に具体化することもできる。例えば、液晶ディスプレイ、EL(エレクトロルミネッサンス)ディスプレイ、面発光ディスプレイ、カラーフィルタの製造などに用いられる電極材や色材などの材料を分散又は溶解の形態で含む液状体を吐出する液状体吐出装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を吐出する液体吐出装置、精密ピペットとして用いられて試料となる液体を吐出する液体吐出装置であってもよい。更に、時計やカメラなどの精密機械にピンポイントで潤滑油を吐出する液体吐出装置、光通信素子などに用いられる微小半球レンズ(光学レンズ)などを形成するための紫外線硬化樹脂などの透明樹脂液を基板上に吐出する液体吐出装置、基板などをエッチングするために酸又はアルカリなどのエッチング液を吐出する液体吐出装置、ジェルを吐出する流状体吐出装置、トナーなどの粉体を例とする固体を吐出する流体吐出式記録装置であってもよい。そして、これらのうち何れか一種の吐出装置に本発明を適用することができる。
【符号の説明】
【0078】
1は印刷媒体、2は第1インクジェットヘッド、3は第2インクジェットヘッド、4は第1搬送部、5は第2搬送部、6は第1搬送ベルト、7は第2搬送ベルト、8R,8Lは駆動ローラ、9R,9Lは第1従動ローラ、10R,10Lは第2従動ローラ、11R,11Lは電動モータ、22はアクチュエータ、23は充電元及び放電先電位予備調整回路、24は充電元電位用変調回路、25は放電先電位用変調回路、26は充電元電位予備調整回路、27は放電先電位予備調整回路、28は充電元電位デジタル電力増幅器、29は放電先電位デジタル電力増幅器、30は充電元電位用平滑フィルタ、31は放電先電位用平滑フィルタ、32は充電元電位用トランジスタ対、33は放電先電位用トランジスタ対、34はゲートドライバ回路、35は充電元及び放電先電位用変調回路、36は充電元及び放電先電位用デジタル電力増幅器、37は充電元及び放電先電位用トランジスタ対、38は充電元及び放電先電位用平滑フィルタ、62は制御部、70は駆動波形信号発生回路、71は電位予備調整波形信号発生回路、Tr1は充電用トランジスタ、Tr2は放電用トランジスタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体吐出ヘッドに設けられた複数のノズルと、各ノズルに対応して設けられた充放電型アクチュエータと、液体を吐出すべきノズルの充放電型アクチュエータに駆動信号を印加する駆動手段とを備えた液体吐出装置において、前記アクチュエータの駆動状態を制御する信号の基準となる駆動波形信号を生成する駆動波形信号発生手段と、プッシュプル接続された充電用トランジスタ及び放電用トランジスタにより前記駆動波形信号発生手段で生成された駆動波形信号を増幅して駆動信号を出力する駆動信号発生手段と、前記駆動信号発生手段への充電元の電位を予備調整するための充電元電位予備調整波形信号を生成する充電元電位予備調整波形信号発生手段と、前記駆動信号発生手段への充電元と当該駆動信号発生手段との間に配設され且つ前記充電元電位予備調整波形信号発生手段で生成された充電元電位予備調整波形信号に基づいて前記駆動信号発生手段への充電元電位を予備調整する充電元電位予備調整手段とを備え、前記充電元電位予備調整手段は、前記充電元電位予備調整波形信号発生手段で生成された充電元電位予備調整波形信号をパルス変調する充電元電位用変調手段と、プッシュプル接続された充電元電位用トランジスタ対により前記充電元電位用変調手段でパルス変調された充電元電位用変調信号を電力増幅する充電元電位用デジタル電力増幅器と、前記充電元電位用デジタル電力増幅器で電力増幅された充電元電位予備調整信号を前記駆動信号発生手段の充電用トランジスタのコレクタに出力する充電元電位用平滑フィルタとを備えたことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項2】
前記充電元電位予備調整波形信号発生手段は、前記充電元電位予備調整信号の電圧値を調整することで当該充電元電位予備調整信号の電位を調整する充電元電位予備調整波形信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項3】
前記充電元電位予備調整波形信号発生手段は、前記充電元電位予備調整信号の位相を調整することで当該充電元電位予備調整信号の電位を調整する充電元電位予備調整波形信号を生成することを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項4】
液体吐出ヘッドに設けられた複数のノズルと、各ノズルに対応して設けられた充放電型アクチュエータと、液体を吐出すべきノズルの充放電型アクチュエータに駆動信号を印加する駆動手段とを備えた液体吐出装置において、前記アクチュエータの駆動状態を制御する信号の基準となる駆動波形信号を生成する駆動波形信号発生手段と、プッシュプル接続された充電用トランジスタ及び放電用トランジスタにより前記駆動波形信号発生手段で生成された駆動波形信号を増幅して駆動信号を出力する駆動信号発生手段と、前記駆動信号発生手段の放電先の電位を予備調整するための放電先電位予備調整波形信号を生成する放電先電位予備調整波形信号発生手段と、前記駆動信号発生手段からの放電先と当該駆動信号発生手段との間に配設され且つ前記放電先電位予備調整波形信号発生手段で生成された放電先電位予備調整波形信号に基づいて前記駆動信号発生手段からの放電先電位を予備調整する放電先電位予備調整手段とを備え、前記放電先電位予備調整手段は、前記放電先電位予備調整波形信号発生手段で生成された放電先電位予備調整波形信号をパルス変調する放電先電位用変調手段と、プッシュプル接続された放電先電位用トランジスタ対により前記放電先電位用変調手段でパルス変調された放電先電位用変調信号を電力増幅する放電先電位用デジタル電力増幅器と、前記放電先電位用デジタル電力増幅器で電力増幅された放電先電位予備調整信号を前記駆動信号発生手段の放電用トランジスタのコレクタに出力する放電先電位用平滑フィルタとを備えたことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項5】
前記放電先電位予備調整波形信号発生手段は、前記放電先電位予備調整信号の電圧値を調整することで当該放電先電位予備調整信号の電位を調整する放電先電位予備調整波形信号を生成することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項6】
前記放電先電位予備調整波形信号発生手段は、前記放電先電位予備調整信号の位相を調整することで当該放電先電位予備調整信号の電位を調整する放電先電位予備調整波形信号を生成することを特徴とする請求項4に記載の液体吐出装置。
【請求項7】
前記駆動信号発生手段の放電先の電位を予備調整するための放電先電位予備調整波形信号を生成する放電先電位予備調整波形信号発生手段と、前記駆動信号発生手段からの放電先と当該駆動信号発生手段との間に配設され且つ前記放電先電位予備調整波形信号発生手段で生成された放電先電位予備調整波形信号に基づいて前記駆動信号発生手段からの放電先電位を予備調整する放電先電位予備調整手段とを備え、前記放電先電位予備調整手段は、前記放電先電位予備調整波形信号発生手段で生成された放電先電位予備調整波形信号をパルス変調する放電先電位用変調手段と、プッシュプル接続された放電先電位用トランジスタ対により前記放電先電位用変調手段でパルス変調された放電先電位用変調信号を電力増幅する放電先電位用デジタル電力増幅器と、前記放電先電位用デジタル電力増幅器で電力増幅された放電先電位予備調整信号を前記駆動信号発生手段の放電用トランジスタのコレクタに出力する放電先電位用平滑フィルタとを備えたことを特徴とする請求項1に記載の液体吐出装置。
【請求項8】
前記充電元電位予備調整波形信号発生手段は、前記充電元電位予備調整信号の電圧値を調整することで当該充電元電位予備調整信号の電位を調整する充電元電位予備調整波形信号を生成し、前記放電先電位予備調整波形信号発生手段は、前記放電先電位予備調整信号の電圧値を調整することで当該放電先電位予備調整信号の電位を調整する放電先電位予備調整波形信号を生成することを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項9】
前記充電元電位予備調整波形信号発生手段は、前記充電元電位予備調整信号の位相を調整することで当該充電元電位予備調整信号の電位を調整する充電元電位予備調整波形信号を生成し、前記放電先電位予備調整波形信号発生手段は、前記放電先電位予備調整信号の位相を調整することで当該放電先電位予備調整信号の電位を調整する放電先電位予備調整波形信号を生成することを特徴とする請求項7に記載の液体吐出装置。
【請求項10】
液体吐出ヘッドに設けられた複数のノズルと、各ノズルに対応して設けられた充放電型アクチュエータと、液体を吐出すべきノズルの充放電型アクチュエータに駆動信号を印加する駆動手段とを備えた液体吐出装置において、前記アクチュエータの駆動状態を制御する信号の基準となる駆動波形信号を生成する駆動波形信号発生手段と、プッシュプル接続された充電用トランジスタ及び放電用トランジスタにより前記駆動波形信号発生手段で生成された駆動波形信号を増幅して駆動信号を出力する駆動信号発生手段と、前記駆動信号発生手段への充電元の電位及び当該駆動信号発生手段からの放電先の電位を予備調整するための充電元及び放電先電位予備調整波形信号を生成する充電元及び電先電位予備調整波形信号発生手段と、前記駆動信号発生手段への充電元及び当該駆動信号発生手段からの放電先と当該駆動信号発生手段との間に配設され且つ前記充電元及び放電先電位予備調整波形信号発生手段で生成された充電元及び放電先電位予備調整波形信号に基づいて前記駆動信号発生手段への充電元電位及び当該駆動信号発生手段からの放電先電位を予備調整する充電元及び放電先電位予備調整手段とを備え、前記充電元及び放電先電位予備調整手段は、前記充電元及び放電先電位予備調整波形信号発生手段で生成された充電元及び放電先電位予備調整波形信号をパルス変調する充電元及び放電先電位用変調手段と、プッシュプル接続された充電元及び放電先電位用トランジスタ対により前記充電元及び放電先電位用変調手段でパルス変調された充電元及び放電先電位用変調信号を電力増幅する充電元及び放電先電位用デジタル電力増幅器と、前記充電元及び放電先電位用デジタル電力増幅器で電力増幅された充電元及び放電先電位予備調整信号を前記駆動信号発生手段の充電用トランジスタのコレクタ及び放電用トランジスタのコレクタに出力する充電元及び放電先電位用平滑フィルタとを備えたことを特徴とする液体吐出装置。
【請求項11】
前記充電元及び放電先電位予備調整波形信号発生手段は、前記充電元及び放電先電位予備調整信号の電圧値を調整することで当該充電元及び放電先電位予備調整信号の電位を調整する充電元及び放電先電位予備調整波形信号を生成することを特徴とする請求項10に記載の液体吐出装置。
【請求項12】
前記充電元及び放電先電位予備調整波形信号発生手段は、前記充電元及び放電先電位予備調整信号の位相を調整することで当該充電元及び放電先電位予備調整信号の電位を調整する充電元及び放電先電位予備調整波形信号を生成することを特徴とする請求項10に記載の液体吐出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2011−20458(P2011−20458A)
【公開日】平成23年2月3日(2011.2.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−244443(P2010−244443)
【出願日】平成22年10月29日(2010.10.29)
【分割の表示】特願2007−318586(P2007−318586)の分割
【原出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】