説明

容量性負荷駆動回路

【課題】複数の負荷を一つの電圧波形で駆動しながらも、各々の負荷の間の動作のバラツ
キを抑える。
【解決手段】電圧波形出力手段の出力を複数の容量性負荷に接続することで、各々の容量
性負荷を駆動する。ここで、出力された電圧波形の電圧が容量性負荷ごとに定められた電
圧範囲を超えると、その容量性負荷の接続を解除し、電圧波形の電圧が電圧範囲内に復帰
すると、解除した接続を再接続することで、容量性負荷ごとに異なる電圧波形を印加する
。こうすれば、各容量性負荷の特性に応じて各々の電圧範囲を定めておくことにより、各
々の容量性負荷の特性に応じた適切な電圧波形を各々の容量性負荷に印加することができ
るので、各々の容量性負荷を適切に動作させて各々の容量性負荷の間の動作のバラツキを
抑えることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電圧を印加して容量性負荷を駆動する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
電圧を印加することにより、半導体素子や誘電体素子などの電子素子の負荷を駆動する
技術は、種々の装置で広く用いられている。例えば、インクジェットプリンターなどの流
体噴射装置では、電圧に応じて伸縮するピエゾ素子に電圧を印加することで、噴射ノズル
から流体を押し出して噴射している。また、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイな
どの表示装置では、液晶に電圧を印加して液晶分子を整列させたり、あるいは有機EL素
子に電圧を印加して発光させることによって画像を表示している。また、電子素子に限ら
ず、モーターや電磁石などの種々の負荷に電圧を印加して負荷を駆動する技術も広く用い
られている。
【0003】
こうした負荷を駆動する技術では、負荷に印加する電圧を所定の波形に形成してから負
荷に印加しており、負荷に印加する電圧の波形(電圧波形)を制御することで負荷の動作
を制御している。また、複数の負荷を駆動することも行われており、例えばインクジェッ
トプリンターでは、複数の噴射ノズルを駆動して複数のインク滴を噴射することにより、
画像を高速に印刷可能としている。このように複数の負荷を駆動する場合には、駆動する
複数の負荷を並列に接続した上で、一つの電圧波形生成回路で生成した電圧波形をそれぞ
れの負荷に印加することにより、複数の負荷を駆動可能とする技術が用いられている(例
えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−260225号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、一つの電圧波形生成回路で生成した電圧波形を複数の負荷に印加する場合、個
々の負荷の特性が完全に均一ではないことに起因して、負荷の動作がバラついてしまうと
いう問題があった。例えば、インクジェットプリンターでは、噴射ノズルの口径や流路抵
抗などを複数の噴射ノズルにわたって完全に均一にすることは困難なので、同じ電圧波形
を印加しても、噴射されるインク滴のサイズやインク滴の速度が噴射ノズルごとにバラつ
いてしまう。一般に、複数の負荷の特性を完全に均一にすることは困難なことから、こう
した負荷の動作のバラツキはインクジェットプリンターに限られず、一つの電圧波形生成
回路で生成した電圧波形を複数の負荷に印加する装置では一般に起こり得る。もちろん、
各々の負荷ごとにその負荷の特性を考慮した電圧波形を生成すれば、動作のバラツキを抑
えることができるが、これでは多数の電圧波形生成回路が必要になるので、回路規模を簡
素に保つことができなくなる。
【0006】
この発明は、従来の技術が有する上述した課題を解決するためになされたものであり、
一つの電圧波形を複数の負荷に印加することで回路規模を簡素に保ちながらも、各々の負
荷の動作のバラつきを抑えて複数の負荷を均一に動作させることを可能とする技術の提供
を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の容量性負荷駆動回路は次
の構成を採用した。すなわち、本発明の容量性負荷駆動回路は、
複数の容量性負荷を駆動することに用いる電圧波形を出力する電圧波形出力手段と、
前記複数の容量性負荷の各々を前記電圧波形出力手段の出力に接続することにより、該
複数の容量性負荷の各々に前記電圧波形を印加する電圧波形印加手段と
を備え、
前記電圧波形印加手段は、前記電圧波形の電圧が、前記複数の容量性負荷の各々に定め
られた電圧範囲外の場合には、該容量性負荷と前記電圧波形出力手段の出力との接続を解
除するとともに、該電圧波形の電圧が該電圧範囲内の場合には、該容量性負荷を該電圧波
形出力手段の出力に接続することにより、該複数の容量性負荷の各々に異なる前記電圧波
形を印加する手段であることを要旨とする。
【0008】
かかる本発明の容量性負荷駆動回路では、電圧波形出力手段の出力を複数の容量性負荷
に接続することにより、各々の容量性負荷を駆動する。ここで、電圧波形出力手段から出
力された電圧波形の電圧が、それぞれの容量性負荷ごとに定められた電圧範囲を超えると
、その容量性負荷と電圧波形出力手段との接続を解除するとともに、電圧波形の電圧が電
圧範囲内に復帰すると解除した接続を再接続することにより、各々の容量性負荷ごとに異
なる電圧波形を印加する。
【0009】
容量性負荷は、電圧が印加されると内部に電荷を蓄えることにより電圧を保持すること
ができるので、容量性負荷と電圧波形出力手段の出力との接続を解除すると、容量性負荷
は接続が解除された際に印加されていた電圧をそのまま保持する。そして、電圧波形の電
圧が電圧範囲に復帰した後に容量性負荷を電圧波形出力手段の出力に再び接続してやれば
、その後は電圧波形出力手段が出力する電圧波形を容量性負荷に印加することができる。
その結果、各々の容量性負荷には、電圧波形出力手段が出力する電圧波形とは異なる電圧
波形を印加することが可能となる。こうすれば、一つの電圧波形出力手段が出力した電圧
波形を複数の容量性負荷に印加する場合でも、各々の容量性負荷ごとに異なる電圧波形を
それぞれ印加することができるので、各々の容量性負荷の特性に応じて各々の容量性負荷
の電圧範囲を定めておくことで、それぞれの容量性負荷の特性に応じた適切な電圧波形を
印加することが可能となる。その結果、一つの電圧波形出力手段の出力を複数の容量性負
荷に印加する場合でも、各々の容量性負荷の特性に応じた適切な電圧波形を印加して各容
量性負荷を適切に動作させることにより、各々の容量性負荷の間の動作のバラツキを抑え
ることが可能となる。
【0010】
尚、容量性負荷と電圧波形出力手段との接続を解除する際には、容量性負荷に定められ
た電圧範囲を超えると容量性負荷の接続を解除するのであれば、どのような方法を用いて
もよい。例えば、電圧波形出力手段が出力した電圧波形の電圧を測定し、測定した電圧が
電圧範囲を超えたことを検出したら接続を解除することとしてもよい。あるいは、電圧波
形の電圧が電圧範囲を超えるタイミングを予め取得しておき、このタイミングに達したら
接続を解除することとしてもよい。容量性負荷と電圧波形出力手段とを接続する際も同様
に、電圧波形の電圧が電圧範囲に復帰すると容量性負荷を接続するのであれば、どのよう
な方法を用いてもよく、例えば、電圧波形の電圧を測定して電圧範囲に復帰したことを検
出したら接続するものとしてもよいし、あるいは、電圧波形の電圧が電圧範囲に復帰する
タイミングを予め取得してそのタイミングに達したら接続するものとしてもよい。
【0011】
また、上述した本発明の容量性負荷駆動回路では、電圧波形出力手段の出力との接続を
解除した容量性負荷を電圧波形出力手段の出力に再び接続する際には、次のようにして接
続するものとしてもよい。すなわち、接続を解除した後に電圧波形の電圧が上昇した場合
には、容量性負荷へ電流が流れ込むのを阻止する向きに整流素子を接続した状態で、整流
素子を介して電圧波形出力手段と容量性負荷とを接続する。また、これとは逆に、容量性
負荷の接続を解除した後に電圧波形の電圧が降下した場合には、容量性負荷から電流が流
れ出すのを阻止する向きに整流素子を接続した状態で、整流素子を介して電圧波形出力手
段と容量性負荷とを接続する。
【0012】
容量性負荷の接続を解除した後に電圧波形の電圧が上昇した場合、容量性負荷が保持し
た電圧よりも電圧波形の電圧の方が高い電圧となる。そこで、容量性負荷へ電流が流れ込
むのを阻止する向きに設けられた整流素子を介して、容量性負荷と電圧波形出力手段の出
力とを接続すれば、電圧波形出力手段が出力する電圧波形の電圧が容量性負荷の電圧まで
降下するまでは、電圧波形出力手段から容量性負荷へ流れる電流を阻止することによって
容量性負荷の電圧変化を阻止することができる。更に、電圧波形の電圧が容量性負荷の電
圧まで降下すると、容量性負荷と電圧波形出力手段の出力との間に電流が流れ始めること
によって、電圧波形の電圧と容量性負荷の電圧とが一致するタイミングで容量性負荷を電
圧波形出力手段の出力に接続することが可能となる。これにより、容量性負荷を電圧波形
出力手段の出力に接続して容量性負荷の電圧を変化させる際に、容量性負荷の電圧を滑ら
かに変化させることができるので、より適切な電圧波形を容量性負荷に印加することが可
能となる。
【0013】
同様に、容量性負荷の接続を解除した後に電圧波形の電圧が降下した場合には、容量性
負荷から電流が流れ出すのを阻止する向きに整流素子を接続すれば、降下した電圧波形の
電圧が容量性負荷の電圧まで上昇するまでは、容量性負荷から電圧波形出力手段へ流れる
電流を阻止することで容量性負荷の電圧変化を阻止できる。そして、電圧波形の電圧が容
量性負荷の電圧まで上昇すると電圧波形の電圧と容量性負荷の電圧とが一致するタイミン
グで電圧波形出力手段の出力と容量性負荷とを接続することができるので、電圧が滑らか
に変化する適切な電圧波形を容量性負荷に印加することが可能となる。
【0014】
尚、整流素子は、いわゆるダイオードに限られず、順方向の電流を通して逆方向の電流
を阻止する素子であれば、どのような素子を用いてもよい。例えば、トランジスターのベ
ース端子とエミッター端子との間を整流素子として用いるものとしてもよい。こうした場
合も、電流を制御することで容量性負荷を電圧波形出力手段の出力に適切なタイミングで
接続することができるので、精度の良い電圧波形を容量性負荷に印加することが可能とな
る。
【0015】
また、上述した本発明の容量性負荷駆動回路は、次の態様として把握することも可能で
ある。すなわち、
第1容量性負荷および第2容量性負荷を駆動することに用いる電圧波形を出力する電圧
波形出力手段と、
前記第1容量性負荷および前記第2容量性負荷に前記電圧波形を印加する電圧波形印加
手段と
を備え、
前記電圧波形印加手段は、前記電圧波形の電圧が前記第1容量性負荷に定められた第1
電圧範囲外の場合には、該第1容量性負荷と前記電圧波形出力手段の出力との接続を解除
し、該電圧波形の電圧が該第1電圧範囲内の場合には、該第1容量性負荷を該電圧波形出
力手段の出力に接続する一方、該電圧波形の電圧が、前記第2容量性負荷に定められ、該
第1電圧範囲とは電圧範囲の少なくとも一部が異なる第2電圧範囲の範囲外の場合には、
該第2容量性負荷と該電圧波形出力手段の出力との接続を解除し、該電圧波形の電圧が該
第2電圧範囲内の場合には、該第2容量性負荷を該電圧波形出力手段の出力に接続するこ
とにより、該第1容量性負荷および該第2容量性負荷に異なる前記電圧波形を印加する手
段である容量性負荷駆動回路
として把握することが可能である。
【0016】
また、このような態様の容量性負荷駆動回路に対応する本発明の容量性負荷駆動方法は

第1容量性負荷および第2容量性負荷を駆動することに用いる電圧波形を出力する工程
と、
前記第1容量性負荷および前記第2容量性負荷に前記電圧波形を印加する工程と
を含み、
前記電圧波形を印加する工程は、前記電圧波形の電圧が前記第1容量性負荷に定められ
た第1電圧範囲の範囲外の場合には、該第1容量性負荷と前記電圧波形出力手段の出力と
の接続を解除し、該電圧波形の電圧が該第1電圧範囲内の場合には、該第1容量性負荷を
該電圧波形出力手段の出力に接続する一方、該電圧波形の電圧が、前記第2容量性負荷に
定められ、該第1電圧範囲とは電圧範囲の少なくとも一部が異なる第2電圧範囲の範囲外
の場合には、該第2容量性負荷と該電圧波形出力手段の出力との接続を解除し、該電圧波
形の電圧が該第2電圧範囲内の場合には、該第2容量性負荷を該電圧波形出力手段の出力
に接続することにより、該第1容量性負荷および該第2容量性負荷に異なる前記電圧波形
を印加する工程である容量性負荷駆動方法
として把握することが可能である。
【0017】
こうした態様の容量性負荷駆動回路および容量性負荷駆動方法では、電圧波形出力手段
の出力を第1容量性負荷および第2容量性負荷に接続することにより、各々の容量性負荷
を駆動する。また、電圧波形出力手段から出力された電圧波形の電圧が、それぞれの容量
性負荷に定められた電圧範囲(第1電圧範囲および第2電圧範囲)を超えると、その容量
性負荷と電圧波形出力手段との接続を解除するとともに、電圧波形の電圧が電圧範囲内に
復帰すると解除した接続を再接続することにより、第1容量性負荷および第2容量性負荷
に互いに異なる電圧波形を印加する。
【0018】
第1容量性負荷および第2容量性負荷はそれぞれ容量性の素子なので、電圧波形出力手
段の出力との接続を解除されると、接続が解除された際に印加されていた電圧を保持する
。また、電圧波形の電圧が電圧範囲内に復帰して容量性負荷を電圧波形出力手段の出力に
再び接続されると、その後は電圧波形出力手段が出力する電圧波形が印加される。その結
果、各々の容量性負荷に、電圧波形出力手段が出力する電圧波形とは異なる電圧波形を印
加することが可能となる。また、各々の容量性負荷に印加される電圧波形は、各々の容量
性負荷に定められた電圧範囲によって定まるので、第1電圧範囲と第2電圧範囲とを異な
る電圧範囲としておけば、第1容量性負荷と第2容量性負荷とに互いに異なる電圧波形を
印加することが可能となる。その結果、一つの電圧波形出力手段の出力を第1容量性負荷
および第2容量性負荷に印加する場合でも、各々の容量性負荷の特性に応じた適切な電圧
波形を印加することで容量性負荷の間の動作のバラツキを抑えることが可能となる。
【0019】
また、上述した本発明の容量性負荷駆動回路を用いれば、噴射ノズルに設けられたアク
チュエーターを駆動することで噴射ノズルから流体を適切に噴射可能なことから、本発明
は、上述した負荷駆動回路を備える流体噴射装置として把握することも可能である。
【0020】
かかる本発明の流体噴射装置では、上述した負荷駆動回路によってアクチュエーター間
の動作のバラツキを抑えることができ、その結果、噴射する流体の量や流体滴のサイズ、
流体の噴射速度などのバラツキを低減して流体を適切に噴射することが可能となる。
【0021】
また、上述した本発明の流体噴射装置は印刷装置に搭載することも可能であることから
、本発明は、上述した流体噴射装置を搭載した印刷装置として把握することも可能である

【0022】
このような本発明の印刷装置では、上述した容量性負荷駆動回路によってアクチュエー
ター間の動作のバラツキを抑えることにより、インクなどの流体の量や流体滴のサイズな
どのバラツキを抑えて流体滴を適切に噴射することができるので、品質の高い画像を印刷
することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本実施例のピエゾ素子駆動回路を搭載したインクジェットプリンターの大まかな構成を示した説明図である。
【図2】噴射ヘッドの内部の機構を詳細に示した説明図である。
【図3】ピエゾ素子に印加する電圧波形(駆動電圧波形)を例示した説明図である。
【図4】本実施例のインクジェットプリンターに備えられたピエゾ素子駆動回路およびその周辺の回路構成を示した説明図である。
【図5】本実施例のインクジェットプリンターにおいて駆動電圧波形生成回路が生成した駆動電圧波形をピエゾ素子に印加する様子を概念的に示した説明図である。
【図6】駆動電圧波形生成回路からピエゾ素子に向かう電流が流れる経路と、ピエゾ素子から駆動電圧波形生成回路に向かう電流が流れる経路とを、別々に設けた変形例のゲートユニットを示した説明図である。
【図7】変形例のゲートユニットを用いてピエゾ素子に駆動電圧波形を印加する様子を示した説明図である。
【図8】変形例のゲートユニットを用いてピエゾ素子に駆動電圧波形を印加する様子を示した説明図である。
【図9】2つのゲート素子を排他操作する第3変形例のゲートユニットを用いてピエゾ素子に電圧波形を印加する様子を示した説明図である。
【図10】ゲート素子を操作する際の駆動電圧波形の出力電圧が記述されたデータに従ってゲート素子を操作する第4変形例のゲートユニットを示した説明図である。
【図11】インク滴を噴射しない噴射口のゲート素子を、ゲートタイミングデータに従って操作する様子を例示した説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施
例を説明する。
A.インクジェットプリンターの装置構成:
B.本実施例の駆動電圧波形印加方法:
C.変形例:
C−1.第1変形例:
C−2.第2変形例:
C−3.第3変形例:
C−4.第4変形例:
C−5.第5変形例:
【0025】
A.インクジェットプリンターの装置構成 :
図1は、本実施例のピエゾ素子駆動回路(容量性負荷駆動回路に相当)を搭載したイン
クジェットプリンター(印刷装置に相当)の大まかな構成を示した説明図である。図示さ
れているように、インクジェットプリンター10は、主走査方向に往復動しながら印刷媒
体2上にインクドットを形成するキャリッジ20と、キャリッジ20を往復動させる駆動
機構30と、印刷媒体2の紙送りを行うためのプラテンローラー40などから構成されて
いる。キャリッジ20には、インクを収容したインクカートリッジ26や、インクカート
リッジ26が装着されるキャリッジケース22、キャリッジケース22の底面側(印刷媒
体2に向いた側)に搭載されてインクを噴射する噴射ヘッド24(液体噴射装置に相当)
などが設けられており、インクカートリッジ26内のインクを噴射ヘッド24に導いて、
噴射ヘッド24から印刷媒体2に向かって正確な分量のインクを噴射することが可能とな
っている。
【0026】
キャリッジ20を往復動させる駆動機構30は、主走査方向に延設されたガイドレール
38と、内側に複数の歯形が形成されたタイミングベルト32と、タイミングベルト32
を駆動させる駆動プーリ34およびステップモータ36などから構成されている。タイミ
ングベルト32の一部はキャリッジケース22に固定されており、タイミングベルト32
を駆動することによって、ガイドレール38に沿ってキャリッジケース22を精度良く移
動させることができる。
【0027】
また、プラテンローラー40は、図示しない駆動モーターやギア機構によって駆動され
て、印刷媒体2を副走査方向に所定量ずつ紙送りすることが可能となっている。これらの
各機構は、インクジェットプリンター10に搭載されたプリンター制御回路50によって
制御されており、プリンター制御回路50の制御の下で、プラテンローラー40が印刷媒
体2を紙送りするとともに、キャリッジケース22が主操作方向に移動しながら噴射ヘッ
ド24からインクを噴射することにより、印刷媒体2上に画像を印刷する。
【0028】
図2は、噴射ヘッドの内部の機構を詳細に示した説明図である。図示されている様に、
噴射ヘッド24の底面(印刷媒体2に向いている面)には、複数の噴射口200が設けら
れており、それぞれの噴射口200からインク滴を噴射することが可能となっている。各
噴射口200はそれぞれインク室202に接続されており、インク室202には、インク
カートリッジ26から供給されたインクが満たされている。インク室202の上にはピエ
ゾ素子204(容量性負荷に相当)が設けられており、ピエゾ素子204に電圧を印加す
ると、ピエゾ素子204が変形してインク室202を加圧することにより、噴射口200
からインク滴を噴射することが可能となっている。また、ピエゾ素子204は、印加され
る電圧の電圧値に応じて変形量が変わるので、ピエゾ素子204に印加する電圧を適切に
制御すれば、インク室202を押す力や押すタイミングを調節して、噴射するインク滴の
サイズを制御することが可能である。このため、インクジェットプリンター10は、次の
ような電圧波形をピエゾ素子204に印加している。
【0029】
図3は、ピエゾ素子に印加する電圧波形(駆動電圧波形)を例示した説明図である。図
示されている様に、駆動電圧波形は、時間の経過とともに電圧が上昇し、その後降下して
元の電圧値に戻る台形状の波形をしている。また、図中には、駆動電圧波形に応じてピエ
ゾ素子204が伸縮する様子が示されている。図示されている様に、駆動電圧波形の電圧
値が上昇していくと、これに対応して、ピエゾ素子204が徐々に収縮していく。このと
き、ピエゾ素子204に引っ張られてインク室202が膨張するので、インクカートリッ
ジ26からインク室202内にインクを供給することができる。電圧値が上昇してピーク
に達した後、電圧値が降下していくと、今度は、ピエゾ素子204が伸張することによっ
て、インク室202を圧縮して噴射口200からインクを噴射する。このとき、駆動電圧
波形は、元の電圧値(図中「初期電圧」と示した電圧値)よりも低い電圧値まで下がるよ
うになっており、ピエゾ素子204を初期状態よりも伸張させてインクを十分に押し出す
ことが可能となっている。その後、駆動電圧波形は初期電圧へと戻り、これに対応して、
ピエゾ素子204も初期状態へと戻る。
【0030】
この様に、インクジェットプリンター10は、インク室202にピエゾ素子204が設
けられており、ピエゾ素子204に適切な駆動電圧波形を印加することによって、噴射ヘ
ッド24からインク滴を噴射することが可能となっている。このため、インクジェットプ
リンター10は、各機構の動作を制御するプリンター制御回路50に加えて、駆動電圧波
形を生成してピエゾ素子204に印加するピエゾ素子駆動回路100を備えている。
【0031】
図4は、本実施例のインクジェットプリンターに備えられたピエゾ素子駆動回路および
その周辺の回路構成を示した説明図である。図示されている様に、ピエゾ素子駆動回路1
00は、駆動電圧波形を生成する駆動電圧波形生成回路110(電圧波形出力手段に相当
)や、駆動電圧波形生成回路110が生成した駆動電圧波形をピエゾ素子204に導くゲ
ートユニット300(電圧波形印加手段に相当)などから構成されている。駆動電圧波形
生成回路110は、電圧を発生させる電源と、電源からの電圧を変化させて電圧波形を生
成する波形生成回路などから構成されており、プリンター制御回路50の指示に従って所
定の駆動電圧波形を生成することが可能である。
【0032】
駆動電圧波形生成回路110が生成した駆動電圧波形は、図示されている様に、ゲート
ユニット300へと出力される。ゲートユニット300は、並列に接続された複数のゲー
ト素子302から構成されており、それぞれのゲート素子302の先には、ピエゾ素子2
04が接続されている。各ゲート素子302は、個別に導通状態または切断状態とするこ
とが可能となっており、インクを噴射しようとする噴射口のゲート素子302だけを導通
状態にすれば、対応するピエゾ素子204だけに駆動電圧波形を印加して、その噴射口2
00からインク滴を噴射することが可能となっている。これらの各ゲート素子302は、
ゲート素子制御回路150によって操作されるようになっており、ゲート素子制御回路1
50はプリンター制御回路50からの命令に応じて各ゲート素子302を操作する。
【0033】
プリンター制御回路50は、こうした回路構成を用いて、画像を次のように印刷する。
まず、印刷しようとする画像データに基づいて、インク滴を噴射する噴射口200と、イ
ンク滴を噴射するための駆動電圧波形の波形を決定する。そして、インク滴を噴射する噴
射口200のゲート素子302を導通状態にするようにゲート素子制御回路150に命令
を送り、駆動電圧波形生成回路110を動作させて駆動電圧波形を生成する。こうして生
成された駆動電圧波形は、ゲート素子302を介して目的の噴射口200のピエゾ素子2
04へと印加され、その結果、目的の噴射口200からインク滴が噴射される。
【0034】
ここで、本実施例のインクジェットプリンターでは、図示されている様に、各ゲート素
子302が並列に接続された状態で駆動電圧波形生成回路110に接続されており、この
ため、複数のゲート素子302を導通状態にすることで、複数のピエゾ素子204に駆動
電圧波形を印加することが可能である。こうすると、一つの駆動電圧波形を生成するだけ
で複数の噴射口200からインク滴を噴射することができるので、画像を高速に印刷する
ことが可能である。
【0035】
もっとも、このように複数のピエゾ素子204に一つの駆動電圧波形を印加する場合、
前述した様に、各噴射口200の口径のバラツキやピエゾ素子204の動作特性のバラツ
キなどに起因して、噴射するインク滴のサイズや速度などが、噴射口200ごとにバラつ
いてしまうことがある。こうした場合、インク滴を均一なサイズで噴射することができな
いなどの理由から、印刷画像の品質を向上させることが困難となる。もちろん、このよう
なバラツキは、例えば、噴射するインク滴のサイズが大きくなる噴射口200では、振幅
をやや小さくした駆動電圧波形を印加するなど、個々の噴射口200の特性に合わせた駆
動電圧波形を生成して印加すれば軽減することが可能である。とはいえ、個々の噴射口2
00ごとに駆動電圧波形を生成しようとすると、多数の駆動電圧波形生成回路110が必
要になって装置構成が大型化してしまう。そこで、本実施例のインクジェットプリンター
10では、1つの駆動電圧波形生成回路110で生成した駆動電圧波形を次のようにピエ
ゾ素子204に印加することにより、駆動電圧波形生成回路110の数を増やすことなく
、個々の噴射口200のピエゾ素子204ごとに異なる駆動電圧波形を印加可能としてい
る。
【0036】
B.本実施例の駆動電圧波形印加方法 :
図5は、本実施例のインクジェットプリンターにおいて、駆動電圧波形生成回路が生成
した駆動電圧波形をピエゾ素子に印加する様子を概念的に示した説明図である。図5(a
)には、駆動電圧波形生成回路110が生成した駆動電圧波形が例示されている。前述し
た様に、本実施例のインクジェットプリンター10では、こうした駆動電圧波形が各ピエ
ゾ素子204に接続されたゲート素子302に送られてくるので(図4を参照)、ゲート
素子制御回路150は、目的の噴射口200のゲート素子302を導通状態にすることで
、目的の噴射口200のピエゾ素子204に駆動電圧波形を印加することが可能である。
【0037】
もっとも、ゲート素子302を単に導通状態にしたのでは、駆動電圧波形生成回路11
0が生成した駆動電圧波形がそのままピエゾ素子204に印加されるだけなので、各々の
噴射口200やピエゾ素子204の特性に合った駆動電圧波形を印加することはできない
。そこで、本実施例のインクジェットプリンター10では、インク滴を噴射する噴射口2
00をプリンター制御回路50が指定したら、ゲート素子制御回路150は、その噴射口
200のゲート素子302を単に導通状態にするのではなく、次に説明するゲートタイミ
ングデータに従ってゲート素子302を操作する。
【0038】
図5(b)は、ゲート素子302を操作する際に用いるゲートタイミングデータを例示
した説明図である。図示されている様に、ゲートタイミングデータは、時間軸(図5(b
)の横方向)に沿って、ゲート素子302を導通状態(図5(b)に「ON」と示された
状態)あるいは切断状態(図5(b)に「OFF」と示された状態)にするタイミングが
記述されたデータである。本実施例のインクジェットプリンター10では、各々のゲート
素子302ごとにこうしたゲートタイミングデータをゲート素子制御回路150内のRO
M上に予め記憶しており、プリンター制御回路50がインク滴を噴射する噴射口200を
決定すると、ゲート素子制御回路150は、その噴射口200に対応するゲート素子30
2のゲートタイミングデータをROMから読み出して取得することが可能である。
【0039】
ここで、図5(b)に示されている様に、ゲートタイミングデータでは、ゲート素子3
02を導通状態(「ON」の状態)にするタイミングだけでなく、ゲート素子302を切
断状態(「OFF」の状態)にするタイミングも指定されている。このため、ゲートタイ
ミングデータに従ってゲート素子302を操作すると、ピエゾ素子204と駆動電圧波形
生成回路110とが常に接続された状態になるのではなく、一定の期間では、ピエゾ素子
204と駆動電圧波形生成回路110とが切断された状態になる(図5(b)の例では、
「t1」と示したタイミングから「t2」と示したタイミングまでの期間および「t3」
と示したタイミングから「t4」と示したタイミングまでの期間)。もっとも、ピエゾ素
子204と駆動電圧波形生成回路110とが切断されている間も、駆動電圧波形生成回路
110は、駆動電圧波形の出力を停止することなく駆動電圧波形を出力し続ける。このよ
うに、駆動電圧波形生成回路110が駆動電圧波形を出力しているにもかかわらず、駆動
電圧波形生成回路110とピエゾ素子204とを切断することにより、本実施例のインク
ジェットプリンター10では、次に説明する様に、駆動電圧波形生成回路110が出力し
た駆動電圧波形とは異なる電圧波形をピエゾ素子204に印加することを可能としている

【0040】
図5(c)には、ゲート素子制御回路150が図5(b)に示したゲートタイミングデ
ータに従ってゲート素子302を操作することにより、ピエゾ素子204に駆動電圧波形
を印加する様子が示されている。図5(b)に例示されたゲートタイミングデータでは、
まずゲート素子302を導通状態(「ON」の状態)にするように指示されているので(
図5(b)の横軸に「0」と示されたタイミングを参照)、ゲート素子制御回路150は
、これに従ってゲート素子302を導通状態(「ON」の状態)にする。これにより、駆
動電圧波形生成回路110が出力した駆動電圧波形がピエゾ素子204に印加され、ピエ
ゾ素子204の電圧が上昇する(図5(c)に「0」と示されたタイミングから「t1」
と示されたタイミングまでの間を参照)。
【0041】
次いで、図5(b)に「t1」と示したタイミングに達すると、ゲートタイミングデー
タはゲート素子302をOFFの状態(切断状態)にするように指示しているので、これ
に従って、ゲート素子制御回路150はゲート素子302をOFFの状態にする。これに
より、ピエゾ素子204は駆動電圧波形生成回路110から切断され、ピエゾ素子204
には駆動電圧波形が印加されなくなる。ここで、ピエゾ素子204は、印加された電圧を
内部に蓄えることが可能ないわゆる容量性の負荷なので、駆動電圧波形が印加されなくて
も、電圧を完全に失うことはなく、直前まで印加されていた電圧をそのまま保つことがで
きる。このため、ゲート素子302が切断状態になると、図5(c)に「t1」と示され
たタイミングから「t2」と示されたタイミングまでの間に示されている様に、ピエゾ素
子204は直前に印加されていた電圧(図5(c)に「t1」と示されたタイミングの電
圧)をそのまま保つこととなる。その結果、駆動電圧波形の電圧(図5(c)に破線で示
された電圧を参照)とは異なる電圧がピエゾ素子204に印加された状態となる(図5(
c)に実線で示された電圧を参照)。
【0042】
更に時間が経過して、図5(b)に「t2」と示したタイミングに達すると、ゲート素
子制御回路150は、ゲートタイミングデータの指示に従ってゲート素子302を再び導
通状態にし、駆動電圧波形生成回路110とピエゾ素子204とを接続する。こうしてピ
エゾ素子204と駆動電圧波形生成回路110とが接続されると、駆動電圧波形生成回路
110が出力する駆動電圧波形の電圧がそのままピエゾ素子204に印加されるので、駆
動電圧波形の電圧が降下するのに従ってピエゾ素子204の電圧を降下させてピエゾ素子
204に駆動電圧波形を印加することが可能となる(図5(c)に「t2」と示されたタ
イミングから「t3」と示されたタイミングまでの間を参照)。
【0043】
尚、駆動電圧波形生成回路110とピエゾ素子204とを接続する際には、ピエゾ素子
204の電圧が急激に変化するのを防ぐ観点から、ピエゾ素子204の電圧と駆動電圧波
形生成回路110の電圧との差が小さい状態でピエゾ素子204と駆動電圧波形生成回路
110とを接続するのが好ましい。ここで、前述した様にピエゾ素子204は容量性の負
荷なので、駆動電圧波形生成回路110から切断された後も、切断された際の電圧(図5
(c)に「t1」と示されたタイミングの電圧)をそのまま保っていると考えられる。そ
こで、駆動電圧波形生成回路110の出力電圧(駆動電圧波形の電圧)が、ピエゾ素子2
04と駆動電圧波形生成回路とを切断した際の駆動電圧波形の電圧(図5(c)に「t1
」と示されたタイミングの電圧)まで下がったタイミングで、駆動電圧波形生成回路11
0とピエゾ素子204とを再び接続してやれば、ピエゾ素子204の電圧と駆動電圧波形
生成回路110の電圧とがほぼ等しい状態で両者を接続することが可能となる。この理由
から、ゲートタイミングデータを設定する際には、ゲート素子302を切断状態にする際
の駆動電圧波形の電圧(図5(c)に「t1」と示されたタイミングの電圧)と、ゲート
素子302を導通状態にする際の駆動電圧波形の電圧(図5(c)に「t2」と示された
タイミングの駆動電圧波形の電圧)とが一致するようにゲートタイミングデータを設定し
ておくことが好ましい。
【0044】
ゲート素子302を導通状態にした後、図5(b)に「t3」と示したタイミングに達
すると、今度はゲートタイミングデータがゲート素子302を再びOFFの状態(切断状
態)にするように指示しているので、ゲート素子制御回路150はこれに従ってゲート素
子302を切断状態にする。これにより、ピエゾ素子204には駆動電圧波形生成回路1
10が出力した駆動電圧波形が印加されなくなる。このとき、前述した様にピエゾ素子2
04は容量性の負荷なので、駆動電圧波形生成回路110から切断されると、直前まで印
加されていた電圧がピエゾ素子204にそのまま印加され続ける。その結果、図5(c)
に示されている様に、駆動電圧波形の電圧(図5(c)に破線で示した電圧を参照)より
も高い電圧がピエゾ素子204に印加され続けることになる(図5(c)に「t3」と示
されたタイミングから「t4」と示されたタイミングまでの間を参照)。
【0045】
その後、図中に「t4」と示されたタイミングに達したら、ゲート素子制御回路150
は、ゲートタイミングデータに従ってゲート素子302を再び「ON」の状態(導通状態
)にする。尚、このときも、前述した様に駆動電圧波形の電圧とピエゾ素子204の電圧
とがほぼ同じになるタイミングでゲート素子302を導通状態にすることで、ピエゾ素子
204と駆動電圧波形生成回路110とを接続した際のピエゾ素子204の電圧変化を小
さく抑えることが可能である。こうして駆動電圧波形生成回路110とピエゾ素子204
とを接続した後は、駆動電圧波形生成回路110が生成した駆動電圧波形がピエゾ素子2
04にそのまま印加されるので、駆動電圧波形に従ってピエゾ素子204の電圧が上昇す
る。以上のようにして、図5(b)のゲートタイミングデータに従ってゲート素子302
を操作することにより、ピエゾ素子204には、図5(c)に実線で示された電圧波形が
印加される。
【0046】
このように、本実施例のピエゾ素子駆動回路100では、駆動電圧波形生成回路110
が駆動電圧波形を出力している最中に、ピエゾ素子204と駆動電圧波形生成回路110
とを常に接続しておくのではなく、一部の期間では両者を切断している。こうすると、駆
動電圧波形生成回路110から出力された駆動電圧波形の全体をピエゾ素子204に印加
するのではなく、その一部分だけを印加することができるので、駆動電圧波形生成回路1
10が出力した駆動電圧波形とは異なる電圧波形をピエゾ素子204に印加することが可
能となる。そして、本実施例では、駆動電圧波形の電圧が一定の電圧値を上回っている間
および一定の電圧値を下回っている間にピエゾ素子204と駆動電圧波形生成回路110
とを切断している。こうすることで、駆動電圧波形の振幅の一部分だけをピエゾ素子20
4に印加することができるので、図5(c)に示されている様に、駆動電圧波形生成回路
110が出力した駆動電圧波形(図5(c)に破線で示された波形)とは振幅が異なる電
圧波形(図5(c)に実線で示された波形)をピエゾ素子204に印加することを可能と
している。
【0047】
そこで、駆動電圧波形生成回路110から出力した駆動電圧波形を複数のピエゾ素子2
04に印加する際には、各ピエゾ素子204に対応するゲートタイミングデータをそれぞ
れ読み出し、各ゲートタイミングデータに従って各ピエゾ素子204に対応するゲート素
子302をそれぞれ操作すれば、各ピエゾ素子204に互いに異なる振幅の電圧波形を印
加することが可能となる。そして、各噴射口200の特性に応じて各噴射口200のゲー
トタイミングデータを予め設定しておけば、それぞれの噴射口200の特性に応じた適切
な振幅の駆動電圧波形を印加することができるので、複数の噴射口200の間でのバラツ
キを抑えることが可能となる。例えば、同じ電圧波形を印加した際に他の噴射口200よ
りもサイズの大きなインク滴を噴射する噴射口200では、印加される電圧波形の振幅が
小さくなるように、ゲートタイミングデータを、駆動電圧波形生成回路110とピエゾ素
子204とが切断されるタイミング(図5(b)に「t1」と示されたタイミング及び「
t3」と示されたタイミング)をより早めに設定しておく。逆に、駆動電圧波形生成回路
110とピエゾ素子204とが接続されるタイミング(図5(b)に「t2」と示された
タイミング及び「t4」と示されたタイミング)をより遅めに設定しておく。こうすれば
、印加される電圧波形の振幅を小さくすることによってピエゾ素子204の伸縮量も小さ
くすることができるので(図3を参照)、噴射するインク滴の大きさを抑えて他の噴射口
200のインク滴とほぼ同じ大きさのインク滴を噴射することが可能となる。このように
して各々の噴射口200のゲートタイミングデータを、噴射口200やピエゾ素子204
の特性に合わせて予め設定しておけば、複数の噴射口200の間でのバラツキを抑えて各
々の噴射口200から均一なサイズのインク滴を噴射することが可能となる。
【0048】
以上に説明した様に、本実施例のインクジェットプリンター10では、駆動電圧波形生
成回路110が駆動電圧波形を出力している間に駆動電圧波形生成回路110とピエゾ素
子204とを一時的に切断することにより、駆動電圧波形生成回路が出力した駆動電圧波
形とは異なる電圧波形をピエゾ素子204に印加することを可能としている。このため、
一つの駆動電圧波形生成回路110が出力した駆動電圧波形を複数のピエゾ素子204に
印加する場合でも、各々のピエゾ素子204にそれぞれ異なる駆動電圧波形を印加するこ
とが可能である。加えて、ピエゾ素子204と駆動電圧波形生成回路110とを切断する
期間を、駆動電圧波形生成回路110が出力した駆動電圧波形が一定の電圧を上回る期間
および一定の電圧を下回る期間に設けることにより、駆動電圧波形生成回路110が出力
した駆動電圧波形とは振幅が異なる電圧波形をピエゾ素子204に印加可能としている。
こうすれば、各噴射口200やピエゾ素子204の特性に応じてゲートタイミングデータ
を設定しておくことにより、各噴射口200のピエゾ素子204に印加する電圧波形の振
幅を調整して各噴射口200から噴射されるインク滴の大きさ等のバラツキを抑えること
が可能となる。これにより、1つの駆動電圧波形生成回路110で生成した駆動電圧波形
を複数のピエゾ素子204に印加することで、駆動電圧波形生成回路110の数を抑えて
装置構成を簡素に保ちながらも、複数の噴射口200から噴射されるインク滴のサイズの
バラツキ等を抑えて高品質な画像を印刷することが可能となる。
【0049】
尚、上述した説明では、ゲート素子302を切断した状態において(図5(c)に「t
1」と示されたタイミングから「t2」と示されたタイミングまでの間を参照)、ピエゾ
素子204の電圧が一定の電圧に保たれるものとして説明した。しかし、厳密には、ピエ
ゾ素子204に蓄えられた電荷は時間の経過とともに放電していくので、電荷の放電に伴
ってピエゾ素子204の電圧は少しずつ低下していく。とはいえ、こうした場合でも、そ
の後にゲート素子302が導通状態になれば、駆動電圧波形生成回路110の出力電圧が
ピエゾ素子204に印加されることでピエゾ素子204の電圧が直ちに回復するので、ピ
エゾ素子204の電圧が多少降下したとしても、ピエゾ素子204にほぼ正確な電圧波形
を印加することが可能である。したがって、ピエゾ素子204は、電圧を完全に保てるほ
どの大きな静電容量を有している必要は必ずしもなく、電圧が極端に下がることがないあ
る程度の大きさの静電容量を有していればよい。
【0050】
また、本実施例では、ゲートタイミングデータをインクジェットプリンター10のRO
Mから読み出して取得するものとして説明したが、必ずしもインクジェットプリンター1
0のROMから取得する必要は無く、他の装置から取得するものとしてもよい。例えば、
インクジェットプリンター10をコンピューターに接続して用いる場合には、そのコンピ
ューターから取得するものとしてもよい。
【0051】
また、図5(a)に例示した駆動電圧波形では、電圧が上昇あるいは降下する際に、電
圧が連続的に変化するものとして説明した。しかし、このような電圧が連続的に変化する
駆動電圧波形だけでなく、例えば、電圧が階段状に変化する駆動電圧波形を用いてもよい
。こうした駆動電圧波形であっても、ゲートタイミングデータに従ってゲート素子を操作
すれば、駆動電圧波形の一部分だけをピエゾ素子204に印加することができるので、駆
動電圧波形とは異なる電圧波形をピエゾ素子204に印加することが可能となる。これに
より、各々の噴射口200のピエゾ素子204にそれぞれ適切な電圧波形を印加して各々
の噴射口200の間でのインク滴のサイズ等のバラツキを抑えることが可能となる。
【0052】
また、駆動電圧波形生成回路110とピエゾ素子204とを切断した状態では、前述し
た様に、ピエゾ素子204の電圧が保たれるので、その間は、駆動電圧波形生成回路11
0は電圧を出力しなくてもよい。したがって、駆動電圧波形生成回路110は電圧を上昇
させた後は、電圧を一定に保つのではなく(図5(c)に「t1」と示されたタイミング
から「t2」と示されたタイミングの間に破線で示された電圧を参照)、電圧を降下させ
てしまってもよい。そして、ピエゾ素子204と再び接続するタイミング(図5(c)に
「t2」と示されたタイミング)が近づいたら、再び電圧を上昇させればよい。こうした
いわゆる鋸型の電圧波形を出力した場合も、ピエゾ素子204と駆動電圧波形生成回路1
10とを切断している間はピエゾ素子204の電圧が保たれることから、ピエゾ素子20
4に精度の良い電圧波形を印加することが可能となる。また、こうすれば、駆動電圧波形
生成回路110が電圧を出力する期間を減らすことができるので、電力の消費量を低減さ
せることも可能となる。
【0053】
C.変形例 :
以下では、前述した実施例の変形例について説明する。尚、以下の変形例では、上述し
た実施例と同様の構成部分については、実施例と同様の符号を付すと共にその詳細な説明
を省略する。
【0054】
C−1.第1変形例 :
駆動電圧波形をピエゾ素子204に印加して駆動する場合、ピエゾ素子204の電圧が
上昇する際には、駆動電圧波形生成回路110からピエゾ素子204に向かって電流が流
れ、逆に、ピエゾ素子204の電圧が降下する際には、ピエゾ素子204から駆動電圧波
形生成回路110に向かって電流が流れる。そこで、駆動電圧波形生成回路110とピエ
ゾ素子204との間に、駆動電圧波形生成回路110からピエゾ素子204に向かう電流
が流れる経路と、ピエゾ素子204から駆動電圧波形生成回路110に向かう電流が流れ
る経路とを別々に設け、それぞれの経路にゲート素子を備えておけば、いずれか一方の方
向の電流を選択して流すことが可能である。こうした構成を用いると、次に説明するよう
に、ゲート素子302を操作するタイミングが何らかの理由でズレた場合でも、ピエゾ素
子204に精度の良い駆動電圧波形を印加することが可能となる。
【0055】
図6は、駆動電圧波形生成回路110からピエゾ素子204に向かう電流が流れる経路
と、ピエゾ素子204から駆動電圧波形生成回路110に向かう電流が流れる経路とを別
々に設けた変形例のゲートユニットを示した説明図である。図6(a)に示されている様
に、変形例のゲートユニット300では、各ピエゾ素子204がゲート素子Aとゲート素
子Bの2つのゲート素子によって駆動電圧波形生成回路110に接続されており、また、
ゲート素子Aとピエゾ素子204との間にはダイオードDaが接続され、ゲート素子Bと
ピエゾ素子204との間にはダイオードDbが接続されている。ダイオードDaは、駆動
電圧波形生成回路110の側からピエゾ素子204の側に向かう向きの電流が流れるよう
に設けられており、ダイオードDbは、ダイオードDaとは逆に、ピエゾ素子204の側
から駆動電圧波形生成回路110の側に向かう向きの電流が流れるように設けられている
。このため、ゲート素子Aを導通状態にした場合には、駆動電圧波形生成回路110の側
からピエゾ素子204の側に向かって電流を流すことが可能であり、逆に、ゲート素子B
を導通状態にした場合には、ピエゾ素子204の側から駆動電圧波形生成回路110の側
に向かって電流を流すことが可能である。
【0056】
また、変形例のインクジェットプリンター10では、各ピエゾ素子204に対して2つ
のゲート素子が備えられていることに対応して、図6(b)に示されている様に、各噴射
口200に対して、ゲート素子Aのゲートタイミングデータと、ゲート素子Bのゲートタ
イミングデータとの2つのゲートタイミングデータがROM上に記憶されている。変形例
のインクジェットプリンター10は、こうした構成を用いて駆動電圧波形をピエゾ素子2
04に次のように印加する。
【0057】
図7および図8は、変形例のゲートユニットを用いてピエゾ素子に駆動電圧波形を印加
する様子を示した説明図である。図7(a)の上段には、ゲート素子Aおよびゲート素子
Bのゲートタイミングデータがそれぞれ示されており、図7(a)の下段には、図7(a
)のゲートタイミングデータに従ってゲート素子を操作することにより、ピエゾ素子20
4に印加される電圧が示されている。
【0058】
図7(a)に示された駆動電圧波形を印加する際には、まず、ピエゾ素子204の電圧
を上昇させるために、駆動電圧波形生成回路110からピエゾ素子204に向かって電流
を流す必要があるので、このことに対応して、図7(a)に示されたゲートタイミングデ
ータでは、駆動電圧波形生成回路110からピエゾ素子204に向かう経路に設けられた
ゲート素子Aを導通状態(「ON」の状態)にするように設定されている。ゲート素子A
を導通状態にすれば、駆動電圧波形生成回路110の出力電圧(駆動電圧波形の電圧)が
上昇するのに伴って駆動電圧波形生成回路110からピエゾ素子204に電流を流すこと
ができるので、その結果、ピエゾ素子204の電圧を駆動電圧波形生成回路110の出力
電圧に追随させて上昇させることができる。その後、図中に「t1」と示したタイミング
に達したら、ゲートタイミングデータに従ってゲート素子Aを切断状態(「OFF」の状
態)にする。前述した様に、ピエゾ素子204は容量性の負荷なので、ゲート素子Aを切
断状態にすることにより、ピエゾ素子204の電圧を一定に保つことができる(図7(a
)に「t1」と示したタイミングから「t2」と示したタイミングまでの間を参照)。
【0059】
次いで、駆動電圧波形生成回路110とピエゾ素子204とを接続することにより、ピ
エゾ素子204の電圧を降下させる。ピエゾ素子204の電圧を降下させるには、ピエゾ
素子204から駆動電圧波形生成回路110に向かって電流を流せばよいので、今度は、
ピエゾ素子204から駆動電圧波形生成回路110に向かう向きの電流が流れる経路(ゲ
ート素子BおよびダイオードDbが接続された経路)のゲート素子(ゲート素子B)を導
通状態(「ON」の状態)にする。
【0060】
ここで、図7(a)に示されているように、ゲート素子を操作するタイミングが何らか
の理由でズレてしまい、駆動電圧波形生成回路110の電圧とピエゾ素子204の電圧と
が一致するタイミング(図7(a)に「A」と示されたタイミング)よりも早いタイミン
グでゲート素子Bを導通状態にしてしまった場合(図7(a)に「t2」と示されたタイ
ミングを参照)、駆動電圧波形生成回路110の電圧がピエゾ素子204の電圧よりも高
い状態でゲート素子Bが導通状態になる。このように電圧に差がある状態では、駆動電圧
波形生成回路110からピエゾ素子204に電流が流れると、ピエゾ素子204の電圧が
急激に変化してしまう虞がある。この点、変形例のゲートユニット300では、ゲート素
子Bが設けられた経路は、ピエゾ素子204から駆動電圧波形生成回路110に向かう電
流を通すので、図7(b)に示されている様に、電圧が高い駆動電圧波形生成回路110
から電圧が低いピエゾ素子204に向かって電流が流れようとしても、ダイオードDbに
よって電流を阻止することができる。このため、駆動電圧波形生成回路110の電圧がピ
エゾ素子204の電圧よりも高い状態でゲート素子Bを導通状態にしても、ピエゾ素子2
04の電圧が急激に変わってしまうことがない。
【0061】
加えて、その後に時間が経過して駆動電圧波形生成回路110の電圧が低下し、駆動電
圧波形生成回路110の電圧がピエゾ素子204の電圧よりも低くなると、今度は、図7
(c)に示されている様に、ピエゾ素子204から駆動電圧波形生成回路110に向かっ
て電流を流すことができるので、ピエゾ素子204の電圧を駆動電圧波形生成回路110
の電圧とともに降下させて電圧波形を印加することが可能となる。このように、変形例の
インクジェットプリンター10では、ゲート素子Bを導通状態にするタイミングが、駆動
電圧波形生成回路110の電圧とピエゾ素子204の電圧とが等しくなるタイミングから
ズレてしまった場合でも、ピエゾ素子204の電圧が急激に変わってしまうことがない。
更に、駆動電圧波形生成回路110の電圧とピエゾ素子204の電圧とが等しくなるとピ
エゾ素子204の電圧を直ちに降下させることができる。したがって、ピエゾ素子204
に精度の良い電圧波形を印加してピエゾ素子204を精度良く駆動することが可能となっ
ている。
【0062】
また、変形例のゲートユニット300では、ピエゾ素子204の電圧を降下させる際だ
けでなく、ピエゾ素子204の電圧を上昇させる際にも、ピエゾ素子204の電圧が急激
に変わる虞を回避することが可能である。例えば、図8(a)に示されている様に、駆動
電圧波形生成回路110の電圧とピエゾ素子204の電圧とが等しくなるタイミング(図
8(a)に「B」と示したタイミング)よりも早いタイミング(図8(a)に「t4」と
示したタイミング)でゲート素子Aを導通状態にした場合、図8(b)に破線で示されて
いる様に、電圧が高いピエゾ素子204から電圧が低い駆動電圧波形生成回路110に向
かって電流が流れようとする。しかし、この電流をダイオードDaによって阻止すること
ができる。そして、時間が経過して駆動電圧波形生成回路110の出力電圧が上昇し、ピ
エゾ素子204の電圧よりも高くなると、図8(c)に示されている様に、駆動電圧波形
生成回路110からピエゾ素子204に電流を流してピエゾ素子204の電圧を上昇させ
ることができる。こうして、ゲート素子Aを導通状態にするタイミングがズレてしまった
場合でも、ピエゾ素子204の電圧が急激に変わってしまう虞を回避し、更に、適切なタ
イミングでピエゾ素子204の電圧を上昇させることにより、ピエゾ素子204に精度の
良い電圧波形を印加することが可能となる。
【0063】
このように、駆動電圧波形生成回路110からピエゾ素子204に向かう電流が流れる
経路と、ピエゾ素子204から駆動電圧波形生成回路110に向かう電流が流れる経路と
を別々に設け、それぞれの経路にゲート素子を備えておけば、いずれか一方の方向に流れ
る電流のみを選択して流すことが可能となる。前述した様に、ピエゾ素子204の電圧は
、ピエゾ素子204に向かって電流が流れ込むと上昇し、逆に、ピエゾ素子204から電
流が流れ出ると降下するので、こうして電流の方向を制御すれば、ピエゾ素子204の電
圧の変化の方向(上昇あるいは降下)を制御することが可能となる。これにより、ピエゾ
素子204の電圧を変化させたい方向とは逆の方向にピエゾ素子204の電圧が変化して
しまうのを防ぐことが可能となり、その結果、ピエゾ素子204の電圧を精度良く制御し
て精度の良い電圧波形を印加することが可能となる。
【0064】
C−2.第2変形例 :
第1変形例のゲートユニット300では、上述した様に、駆動電圧波形生成回路110
の電圧とピエゾ素子204の電圧とが一致するタイミングよりも早くゲート素子を導通状
態にした場合でも、駆動電圧波形生成回路110の電圧とピエゾ素子204の電圧とが一
致するまでは電流を阻止することが可能である。加えて、駆動電圧波形生成回路110の
電圧とピエゾ素子204の電圧とが一致する精度の良いタイミングで電流を流し始めるこ
とが可能である。そこで、ゲート素子を導通状態にする際には、駆動電圧波形生成回路1
10の電圧とピエゾ素子204の電圧とが一致するタイミングでゲート素子を導通状態に
するのではなく、意図的に早めに導通状態にするものとしてもよい。こうすれば、駆動電
圧波形生成回路110の電圧とピエゾ素子204の電圧とが一致するまでは電流を防ぐと
ともに、両者の電圧が一致したタイミングで駆動電圧波形生成回路110からピエゾ素子
204に向かって電流を流すことができるので、精度の良い電圧波形をピエゾ素子204
に確実に印加することができる。また、ゲート素子を導通状態にするタイミングを予め早
めに設定しておけば、電流が実際に流れ始めるまでに時間があるので、ゲート素子を実際
に導通状態にするタイミングが、設定したタイミングよりも多少遅れてしまった場合であ
っても、適切なタイミングで電流を流して精度の良い電圧波形をピエゾ素子204に印加
することが可能となる。
【0065】
C−3.第3変形例 :
また、上述した第1変形例のゲートユニット300では、ゲート素子Aとゲート素子B
とをそれぞれ個別に操作するものとして説明した。しかし、ゲート素子Aとゲート素子B
とを両方操作するものとし、更に、ゲート素子Aを導通状態にした際にはゲート素子Bを
切断状態にし、ゲート素子Aを切断状態にした際にはゲート素子Bを導通状態にするいわ
ゆる排他操作を行うものとしてもよい。
【0066】
図9は、2つのゲート素子を排他操作する第3変形例のゲートユニットを用いてピエゾ
素子に電圧波形を印加する様子を示した説明図である。図9(a)に示されている様に、
第3変形例のゲートユニットで用いるゲートタイミングデータでは、ゲート素子Aを「O
N」の状態にするときにはゲート素子を「OFF」の状態にし、ゲート素子Aを「OFF
」の状態にするときにはゲート素子Bを「ON」の状態にするいわゆる排他操作を行うよ
うに設定されている。こうしたゲートタイミングデータを用いて駆動電圧波形をピエゾ素
子204に印加する際には、前述した第1変形例と同様に、まず、駆動電圧波形生成回路
110からピエゾ素子204に向かう電流が流れる経路のゲート素子(ゲート素子A)を
導通状態(「ON」の状態)にする。これにより、駆動電圧波形生成回路110からピエ
ゾ素子204に向かって電流が流れるので、駆動電圧波形生成回路110の出力電圧に伴
ってピエゾ素子204の電圧を上昇させることができる。次いで、図9(a)に「t1」
と示したタイミングに達したら、ゲートタイミングデータに従って、ゲート素子Aを切断
状態にする。
【0067】
ここで、第3変形例ではゲート素子Aとゲート素子Bとを排他操作することから、ゲー
ト素子Aを切断状態にする際には、代わりにゲート素子Bを導通状態にする。このため、
駆動電圧波形生成回路110の電圧をピエゾ素子204に印加しない期間(図9(a)の
グラフに「t1」と示されたタイミングから「A」と示されたタイミングまでの間の期間
)であっても、一方のゲート素子(ゲート素子B)は切断状態にならずに導通状態になる
。もっとも、ゲート素子Bが導通状態であっても、駆動電圧波形生成回路110の電圧と
ピエゾ素子204の電圧とが一致するまでの間は(図9(a)に「t1」と示したタイミ
ングから「A」と示したタイミングまでの間を参照)、駆動電圧波形生成回路110の電
圧がピエゾ素子204の電圧よりも高いので、図9(b)に示されている様に、ダイオー
ドDbによって電流を阻止することができる。このため、一方のゲート素子(ゲート素子
B)が導通状態であっても、ピエゾ素子204と駆動電圧波形生成回路110との間で電
流が流れるのを防いでピエゾ素子204の電圧を一定に保つことが可能である。
【0068】
そして、駆動電圧波形生成回路110の電圧とピエゾ素子204の電圧とが一致するタ
イミング(図9(a)に「A」と示したタイミング)に達した後は、前述した様に、ピエ
ゾ素子204から駆動電圧波形生成回路110に向かって電流を流すことができるので、
ピエゾ素子204の電圧を適切なタイミングで降下させて精度の良い電圧波形を印加する
ことが可能となる。
【0069】
また、図9(a)に「t2」と示したタイミングに達した際には、今度はゲート素子B
を導通状態から切断状態にし、代わりにゲート素子Aを導通状態にする。この際にも、駆
動電圧波形生成回路110の電圧をピエゾ素子204に印加しないにもかかわらず、一方
のゲート素子(ゲート素子A)が導通状態になるが、今度は、駆動電圧波形生成回路11
0の電圧とピエゾ素子204の電圧とが一致するまでの間(図9(a)に「t2」と示し
たタイミングから「B」と示したタイミングまでの間)は、図9(c)に示されている様
に、ダイオードDaによって電流を阻止することができる。これにより、ピエゾ素子20
4の電圧を一定に保つことが可能となる。そして、駆動電圧波形生成回路110の電圧と
ピエゾ素子204の電圧とが一致した後は(図9(a)に「B」と示したタイミングを参
照)、ダイオードDaを介して駆動電圧波形生成回路110からピエゾ素子204に電流
を流すことができるので、ピエゾ素子204の電圧を上昇させてピエゾ素子204に電圧
波形を印加することが可能となる。
【0070】
このように、駆動電圧波形生成回路110からピエゾ素子204に向かう向きの電流を
流す経路(ゲート素子AおよびダイオードDaが接続された経路)と、それとは逆向きの
電流を流す経路(ゲート素子BおよびダイオードDbが接続された経路)とを設けると、
一方の経路を電流が流れている状態では、その電流は、他方の経路にとっては逆向きの電
流となっている。このため、一方の経路のゲート素子(例えばゲート素子A)を切断状態
にすると他方の経路のゲート素子(例えばゲート素子B)を導通状態にしても、他方の経
路にとっては電流が逆向きなので、電流が流れてしまうことがない。そこで、一方のゲー
ト素子を切断状態にするとともに他方のゲート素子を導通状態にしてやれば、電流の向き
が変わるまでの間(駆動電圧波形生成回路110の電圧とピエゾ素子204の電圧とが一
致するまでの間)は、電流を防いでピエゾ素子204の電圧を一定に保つことが可能とな
る。そして、駆動電圧波形生成回路110の電圧とピエゾ素子204の電圧とが一致した
後は、電流の向きが変わるので、駆動電圧波形生成回路110とピエゾ素子204との間
に電流を流すことが可能となる。これにより、駆動電圧波形生成回路110とピエゾ素子
204との間に適切なタイミングで電流を流して、ピエゾ素子204に精度の良い電圧波
形を印加することが可能となる。
【0071】
尚、このようないわゆる排他操作では、いずれか一方のゲート素子のゲートタイミング
データがあれば、他方のゲート素子についても、そのゲートタイミングデータに従って操
作することができるので、それぞれのゲート素子のゲートタイミングデータは必ずしも必
要ではなく、いずれか一方のゲートタイミングデータがあればよい。そこで、一方のゲー
トタイミングデータを用いることとすれば、ゲートタイミングデータを記憶しておくRO
Mの記憶容量を節約することが可能となり、また、ゲート素子制御回路150がゲートタ
イミングデータを取得するのに要する時間を短縮化することも可能となる。
【0072】
また、第3変形例のゲートユニット300では、駆動電圧波形生成回路110の電圧を
ピエゾ素子204に印加する際には、駆動電圧波形生成回路110の電圧とピエゾ素子2
04の電圧とが等しくなるタイミング(図9(a)に「A」と示したタイミングおよび「
B」と示したタイミング)を過ぎると、電流の向きが逆転することによって電流が自然に
流れ始めるので、このタイミングではゲート素子を操作しなくてもよい。したがって、ゲ
ート素子の操作回数を減らすことが可能であり、延いては、ゲート素子を操作するゲート
素子制御回路150の構成を簡略化することも可能となる。また、ゲートタイミングデー
タのデータ量を抑制することも可能である。
【0073】
C−4.第4変形例 :
前述した実施例および変形例では、ゲート素子を操作するタイミングが記述されたゲー
トタイミングデータに従ってゲート素子を操作するものとして説明した。しかし、ゲート
素子を操作するタイミングではなく、ゲート素子を操作するタイミングでの駆動電圧波形
生成回路110の電圧が記述されたデータに従ってゲート素子を操作するものとしてもよ
い。
【0074】
図10は、ゲート素子を操作する際の駆動電圧波形の出力電圧が記述されたデータに従
ってゲート素子を操作する第4変形例のゲートユニット300を示した説明図である。図
10(a)に示されている様に、第4変形例のゲートユニット300では、各々のゲート
素子302にコンパレーターCdおよびコンパレーターCuの2つのコンパレーター(電
圧比較器)が接続されており、ゲート素子制御回路150に加えて、これらのコンパレー
ターによってもゲート素子302を操作することが可能となっている。また、コンパレー
ターCdおよびコンパレーターCuは、それぞれ比較電圧発生回路120に接続されてお
り、比較電圧発生回路120の出力電圧と、駆動電圧波形生成回路110の出力電圧とを
比較することが可能となっている。
【0075】
ここで、第4変形例のインクジェットプリンター10では、「上限電圧値」および「下
限電圧値」の2つの電圧値を、各々の噴射口200に対応付けてプリンター制御回路50
(図4を参照)のROM上に予め記憶しておく。そして、プリンター制御回路50が印刷
する画像データに基づいてインク滴を噴射する噴射口200を決定したら、比較電圧発生
回路120は、その噴射口200に対応する上限電圧値および下限電圧値を取得するとと
もに、コンパレーターCdが接続された端子から下限電圧値(図10(a)の例では電圧
値「Vd」)を出力し、コンパレーターCuが接続された端子から上限電圧値(図10(
a)の例では電圧値「Vu」)を出力する。
【0076】
こうすれば、コンパレーターCuは、駆動電圧波形生成回路110の出力電圧と上限電
圧値「Vu」とを比較することができるので、駆動電圧波形生成回路110の出力電圧が
上限電圧値を上回っている場合に、ゲート素子302を切断状態にすることができる。一
方、コンパレーターCdは、駆動電圧波形生成回路110の出力電圧と下限電圧値「Vd
」とを比較することができるので、駆動電圧波形生成回路110の出力電圧が下限電圧値
「Vd」を下回っている場合に、ゲート素子302を切断状態にする。これにより、図1
0(b)に示されている様に、駆動電圧波形の電圧が上限電圧値「Vu」よりも高い場合
には、コンパレーターCuによってゲート素子302が切断される。一方、駆動電圧波形
の電圧が下限電圧値「Vd」よりも低い場合には、コンパレーターCdによってゲート素
子302が切断される。したがって、駆動電圧波形の電圧が上限電圧値「Vu」と下限電
圧値「Vd」との間にある間にピエゾ素子に駆動電圧波形を印加することが可能となる。
その結果、図10(b)に示されている様に、駆動電圧波形生成回路110が出力した駆
動電圧波形とは振幅が異なる電圧波形をピエゾ素子204に印加することが可能となる。
【0077】
このように、駆動電圧波形生成回路110の出力電圧が上限電圧値よりも高い場合や、
下限電圧値よりも低い場合に、駆動電圧波形生成回路110とピエゾ素子204とを切断
してやれば、上限電圧値よりも高い電圧や下限電圧値よりも低い電圧が印加されることが
ないので、結果として、駆動電圧波形よりも振幅が小さい電圧波形をピエゾ素子204に
印加することが可能となる。そこで、噴射口200ごとに上限電圧値と下限電圧値とを定
めておけば、各噴射口200の特性に応じて適切な振幅の電圧波形を各々の噴射口200
のピエゾ素子204に印加することができるので、各々の噴射口200の特性に起因する
インク滴のサイズ等のバラツキを抑えて均一なサイズのインク滴を噴射することが可能と
なる。
【0078】
更に、第4変形例のゲートユニット300では、駆動電圧波形生成回路110の電圧が
上限電圧値を上回るか、または下限電圧値を下回ると、コンパレーターCuまたはコンパ
レーターCdによってゲート素子302が直ちに切断される。このため、ゲート素子制御
回路150はゲート素子302を正確なタイミングで操作する必要がないので、ゲート素
子制御回路150の構成を簡略化してインクジェットプリンター10の装置構成を簡素化
することも可能である。
【0079】
C−5.第5変形例 :
前述した実施例および変形例のインクジェットプリンター10では、インク滴を噴射す
る噴射口200のゲート素子302を、その噴射口200のゲートタイミングデータ(あ
るいは上限電圧値および下限電圧値)に基づいて操作するものとして説明した。しかし、
インク滴を噴射する噴射口200だけでなく、インク滴を噴射しない噴射口200につい
ても、ゲートタイミングデータ(あるいは上限電圧値および下限電圧値)に基づいてゲー
ト素子を操作するものとしてもよい。
【0080】
図11は、インク滴を噴射しない噴射口のゲート素子を、ゲートタイミングデータに従
って操作する様子を例示した説明図である。図11(a)には、インク滴を噴射しない噴
射口用のゲートタイミングデータが例示されている。噴射口200では、インク室202
内のインクが噴射口200の開口部で外気に曝されていることから(図2を参照)、イン
ク滴を噴射しない間に開口部の近傍のインクが少しずつ乾燥してインクの粘度が増加(増
粘)してしまうことがある。このため、インク滴を噴射しない噴射口200では、ピエゾ
素子を僅かに動かしてインク室内のインクを振動させることで、インクの増粘を抑制する
ことが好ましい。このことに対応して、インク滴を噴射しない噴射口用のゲートタイミン
グデータでは、図11(a)に示されている様に、ゲート素子を僅かな時間だけ導通状態
(「ON」の状態)にするように設定されている(図11(a)に「t1」と示されたタ
イミングから「t2」と示されたタイミングまでの間、および「t3」と示されたタイミ
ングから「t4」と示されたタイミングまでの間を参照)。
【0081】
こうしたゲートタイミングデータに従ってゲート素子を操作すると、図11(b)に示
されている様に、ゲート素子を僅かな時間だけ導通状態にすることに対応して、電圧が僅
かに変動する電圧波形をピエゾ素子204に印加することができるので、ピエゾ素子20
4を僅かに動かしてインク室202内のインクを振動させ、インクの増粘を抑制すること
が可能となる。こうすれば、インク滴を噴射しない噴射口200についても、インク滴を
噴射する噴射口200と同様に、ゲートタイミングデータを取得してゲート素子を操作す
ることで適切な電圧波形をピエゾ素子204に印加することができるので、インク滴を噴
射する噴射口200とインク滴を噴射しない噴射口200とを区別することなく、いずれ
の噴射口200も同じ方法で電圧波形を印加することが可能となる。したがって、インク
滴を噴射しない噴射口200のピエゾ素子204を駆動するために、専用の駆動電圧波形
を別途生成する等の処理が必要なく、駆動電圧波形生成回路110やプリンター制御回路
50が行う処理を簡略化することが可能となる。また、インク滴を噴射しない噴射口20
0のための電圧波形を生成する専用の回路等を備える必要もないので、ピエゾ素子駆動回
路100の回路構成を簡素化することも可能となる。加えて、1つの駆動電圧波形によっ
て、インク滴を噴射する噴射口200のピエゾ素子204とインク滴を噴射しない噴射口
200のピエゾ素子204とを駆動することができることから、インク滴を噴射しない噴
射口200のピエゾ素子204に電圧波形を印加するための時間を別途設ける必要がない
ので、画像の印刷に要する時間を短縮化して画像を高速に印刷することが可能となる。
【0082】
尚、ゲートタイミングデータを取得するのではなく、前述した第4実施例(図10を参
照)と同様に、上限電圧値および下限電圧値を取得し、駆動電圧波形の電圧が上限電圧値
と下限電圧値との間にある期間だけインク滴を噴射しない噴射口200に駆動電圧波形を
印加するものとしてもよい。こうした場合も、上限電圧値と下限電圧値との差が小さくな
る様に上限電圧値および下限電圧値を設定しておけば、インク滴を噴射しない噴射口20
0のピエゾ素子204に振幅が小さい電圧波形を印加することができるので、ピエゾ素子
204を少しだけ動かして噴射口200内のインクの増粘を抑制することが可能である。
もちろん、こうした場合も、インク滴を噴射する噴射口200とインク滴を噴射しない噴
射口200とを区別することなく同じ方法で駆動できるので、プリンター制御回路50や
ピエゾ素子駆動回路100の回路構成を簡素に保つことが可能である。
【0083】
以上、本実施例のピエゾ素子駆動回路を搭載したインクジェットプリンターについて説
明したが、本発明は上記すべての実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない
範囲において種々の態様で実施することが可能である。例えば、より大型の噴射ヘッドを
備えた印刷装置(いわゆるラインヘッドプリンタ等)に本実施例のピエゾ素子駆動回路を
搭載してもよい。このような印刷装置の場合、噴射ヘッドが大型化するのに伴って多数の
噴射口が設けられるので、噴射口の特性を揃えることがより困難となるが、この点、本実
施例のピエゾ素子駆動回路を用いれば、各噴射口の特性に合わせて適切な電圧波形を印加
することができるので、各噴射口から噴射されるインク滴のサイズのバラツキを抑えて高
品質な画像を印刷することが可能となる。
【0084】
また、上述した実施例では、インクジェットプリンターのピエゾ素子を駆動する場合を
例にとって説明したが、本実施例の駆動回路は、電圧に応じて駆動する種々の装置に適用
することが可能である。例えば、液晶パネルや有機ELパネルなどの電圧により動作可能
な表示装置に適用することも可能である。こうした装置を駆動する場合も、液晶素子や有
機EL素子などの種々の素子ごとに適切な電圧波形を印加して各素子の動作のバラツキを
抑えることが可能となる。
【符号の説明】
【0085】
10…インクジェットプリンター、 20…キャリッジ、
24…噴射ヘッド、 30…駆動機構、 40…プラテンローラー、
50…プリンター制御回路、 100…ピエゾ素子駆動回路、
110…駆動電圧波形生成回路、 120…比較電圧発生回路、
150…ゲート素子制御回路、 200…噴射口、 202…インク室、
204…ピエゾ素子、 300…ゲートユニット、 302…ゲート素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の容量性負荷を駆動することに用いる電圧波形を出力する電圧波形出力手段と、
前記複数の容量性負荷の各々を前記電圧波形出力手段の出力に接続することにより、該
複数の容量性負荷の各々に前記電圧波形を印加する電圧波形印加手段と
を備え、
前記電圧波形印加手段は、前記電圧波形の電圧が、前記複数の容量性負荷の各々に定め
られた電圧範囲外の場合には、該容量性負荷と前記電圧波形出力手段の出力との接続を解
除するとともに、該電圧波形の電圧が該電圧範囲内の場合には、該容量性負荷を該電圧波
形出力手段の出力に接続することにより、該複数の容量性負荷の各々に異なる前記電圧波
形を印加する手段である容量性負荷駆動回路。
【請求項2】
請求項1に記載の容量性負荷駆動回路であって、
前記電圧波形印加手段は、前記容量性負荷の接続を解除した後に前記電圧波形の電圧が
該容量性負荷の接続を解除する前よりも上昇した場合には、該容量性負荷へ電流が流れ込
むのを阻止する向きに該容量性負荷に接続した整流素子を介して、該容量性負荷を前記電
圧波形出力手段の出力に接続し、該容量性負荷の接続を解除した後に該電圧波形の電圧が
該容量性負荷の接続を解除する前よりも降下した場合には、該容量性負荷から電流が流れ
出るのを阻止する向きに接続した該整流素子を介して、該容量性負荷を該電圧波形出力手
段の出力に接続する手段である容量性負荷駆動回路。
【請求項3】
第1容量性負荷および第2容量性負荷を駆動することに用いる電圧波形を出力する電圧
波形出力手段と、
前記第1容量性負荷および前記第2容量性負荷に前記電圧波形を印加する電圧波形印加
手段と
を備え、
前記電圧波形印加手段は、前記電圧波形の電圧が前記第1容量性負荷に定められた第1
電圧範囲外の場合には、該第1容量性負荷と前記電圧波形出力手段の出力との接続を解除
し、該電圧波形の電圧が該第1電圧範囲内の場合には、該第1容量性負荷を該電圧波形出
力手段の出力に接続する一方、該電圧波形の電圧が、前記第2容量性負荷に定められ、該
第1電圧範囲とは電圧範囲の少なくとも一部が異なる第2電圧範囲の範囲外の場合には、
該第2容量性負荷と該電圧波形出力手段の出力との接続を解除し、該電圧波形の電圧が該
第2電圧範囲内の場合には、該第2容量性負荷を該電圧波形出力手段の出力に接続するこ
とにより、該第1容量性負荷および該第2容量性負荷に異なる前記電圧波形を印加する手
段である容量性負荷駆動回路。
【請求項4】
請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の容量性負荷駆動回路と、
流体を噴射する噴射ノズルと、
前記容量性負荷駆動回路に前記容量性負荷として接続されて、前記容量性負荷駆動回路
によって駆動されることで前記噴射ノズルから前記流体を噴射させるアクチュエーターと
を備える流体噴射装置。
【請求項5】
請求項4に記載の流体噴射装置を備えた印刷装置。
【請求項6】
第1容量性負荷および第2容量性負荷を駆動することに用いる電圧波形を出力する工程
と、
前記第1容量性負荷および前記第2容量性負荷に前記電圧波形を印加する工程と
を含み、
前記電圧波形を印加する工程は、前記電圧波形の電圧が前記第1容量性負荷に定められ
た第1電圧範囲の範囲外の場合には、該第1容量性負荷と前記電圧波形出力手段の出力と
の接続を解除し、該電圧波形の電圧が該第1電圧範囲内の場合には、該第1容量性負荷を
該電圧波形出力手段の出力に接続する一方、該電圧波形の電圧が、前記第2容量性負荷に
定められ、該第1電圧範囲とは電圧範囲の少なくとも一部が異なる第2電圧範囲の範囲外
の場合には、該第2容量性負荷と該電圧波形出力手段の出力との接続を解除し、該電圧波
形の電圧が該第2電圧範囲内の場合には、該第2容量性負荷を該電圧波形出力手段の出力
に接続することにより、該第1容量性負荷および該第2容量性負荷に異なる前記電圧波形
を印加する工程である容量性負荷駆動方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2011−110821(P2011−110821A)
【公開日】平成23年6月9日(2011.6.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−269669(P2009−269669)
【出願日】平成21年11月27日(2009.11.27)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】