説明

密度依存シャープニング

デジタル画像上に密度依存シャープニングを実行するためのシャープニングフィルタが開示される。一実施形態においては、シャープニングされるデジタル画像は、異なる解像度における複数の高域通過バージョンの画像に分解される。これらの高域通過画像は、画像のシャープニングされたバージョンを生成するために各解像度において得られ、かつオリジナル画像と再度組み合わされる。各解像度において適用されるゲインは、密度依存性である。結果的に、最終のプリントされる画像の鮮鋭度がプリント密度から独立するように、密度依存ぼけの効果は打ち消される。高度な計算効率を有するそのような密度依存を実行するための技術が開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の参照)
本出願は、同一所有権の米国特許第6,801,233 B2号のタイトル「Thermal Imaging System」に関連する。本明細書においてその全容が参考に援用される。
【0002】
(技術分野)
本発明は、デジタル画像処理に関し、より詳細には、デジタル画像をシャープニングするための技術に関する。
【背景技術】
【0003】
上記の参照された特許のタイトル「Thermal Imaging System」は、複数の色形成レイヤを有するプリント媒体を開示する。図1を参照すると、上記の参照された特許出願に開示される媒体100の一実施形態の構造の略図を示す。複数の着色剤のうちの二つ、イエローおよびマゼンタ(例示目的のために一つのレイヤとして示されるが、典型的には別々のレイヤにおいて存在する)102aは、媒体100の上部に対して近接していて、かつ第3の着色剤、シアン102cは、比較的厚い、約125μmの基部102bによって、イエローおよびマゼンタから離される。レイヤ102a〜dが、図1において縮尺どおりに描写されていないことに留意されたい。むしろ、基部レイヤ102bは、図1に示されているものより、残りのレイヤ102aおよび102c〜dに対してはるかに厚い。媒体100の底部におけるTiOレイヤ102dは、媒体100上にプリントされる画像に対して白い背景を提供する。媒体100における全てのレイヤ102a〜dは、本質的に、同じ屈折率を有し、かつTiOレイヤ102dは、拡散ランバート(Lambertian)反射器としてモデリングされ得る。
【0004】
図9を参照すると、媒体100上にプリントされるエッジの鮮鋭度(sharpness)品質要因(SQF)(軸902b)を平均エッジ密度(軸902a)の関数として図示するグラフ900が示される。当業者に周知であるように、SQFは、知覚鮮鋭度の測定である。曲線904aは、図1に示される媒体100のような従来の媒体に対する平均エッジ密度対SQFのプロットである。SQFが平均エッジ密度の強い関数であり、かつプリントされるエッジが、密度が減少するとともに鮮鋭度を失うことが、プロット904aから見られ得る。言い換えると、より高い密度に比べてより低い密度において、より多くのぼけ(blurring)が生じる。
【0005】
図1に戻ると、この現象は、光が媒体100を介してとる経路104をトレースすることによって理解され得る。媒体100のレイヤ102aへ光が入る際、光線は、光線がTiOレイヤ102dに当たるまで直線の経路に従う(全てのレイヤ102a〜dが同じ屈折率を有するという仮定に基づいて)。TiOレイヤ102dは、ランバート反射器のコサイン法に従ってランダムな角度におけるTiOレイヤ102dから再出現する入射光を散乱する。TiOレイヤ102dからの反射された光は、直線の経路に従って媒体100の表面に戻る(レイヤ102c、102bおよび102aを介して)。
【0006】
図1に示されるように、媒体/エアインターフェースにおけるこの反射された光の入射角が大きい場合、光は全反射を受けて、媒体100に戻る。ここで説明された処理は、光線が媒体100およびエア106のインターフェースにおける全反射を受けないように、十分に小さな角度におけるTiOレイヤ102dによって光線が反射されるまで繰り返し、それによって、光線は媒体100からエア106へとエスケープする。
【0007】
基部レイヤ102bの大きな厚みを仮定すると、媒体100内のこれらの複数の反射は、光が実質的な距離を横に(図1におけるポイント108aと108bとの間の距離)移動することをもたらし、エッジ鮮鋭度の損失という結果となる。任意のポイントにおける知覚密度は、媒体100を介して全ての可能な経路を横切った光線の強度を平均化することによって得られる。線形強度ドメインにおけるこの平均化は、鮮鋭度における損失をプリント密度の関数にする。低い密度においてプリントされるエッジは、従って、高い密度においてプリントされる均等のエッジよりと比べてあまりシャープではない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
必要とされるものは、従って、プリントされるデジタル画像をシャープにするためにそのような密度依存ぼけの影響を阻止するための技術である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
デジタル画像上に密度依存シャープニングを実行するためのシャープニングフィルタが開示される。一実施形態においては、シャープニングされるデジタル画像は、異なる解像度における複数の高域通過バージョンの画像に分解される。これらの高域通過画像は、画像のシャープニングされたバージョンを生成するために各解像度において得られ、かつオリジナル画像と再度組み合わされる。各解像度において適用されるゲインは、密度依存性である。結果的に、最終のプリントされる画像の鮮鋭度がプリント密度から独立するように、密度依存ぼけの効果は打ち消される。高度な計算効率を有するそのような密度依存を実行するための技術が開示される。
【0010】
例えば、本発明の一局面においては、(A)第1の密度dを有するソース画像の第1の部分を識別し、(B)該第1の密度dに基づいて第1のゲインgを識別し、(C)シャープニングされた画像の第1の部分を生成するために該第1のゲインgを有するシャープニングフィルタを適用し、(D)該第1の密度dと異なる第2の密度dを有する該ソース画像の第2の部分を識別し、(E)該第2の密度dに基づいて該第1のゲインgと異なる第2のゲインgを識別し、かつ(F)該シャープニングされた画像の第2の部分を生成するために該第2のゲインgを有する該シャープニングフィルタを適用することによって、ソース画像を処理するための技術が提供される。
【0011】
本発明の他の局面においては、(A)ソース画像のシャープニングされたバージョンを初期化し、(B)複数の解像度lの各々に対して、(1)解像度lに関連したゲインGを識別し、(2)解像度lに関連した基底関数Bへの該ソース画像の投影Pを識別し、(3)該ゲインGおよび該投影Pに基づいて解像度lにおける該ソース画像の該シャープニングされたバージョンを更新し、かつ(4)該ソース画像の該更新されたシャープニングされたバージョンを該ソース画像の最終のシャープニングされたバージョンとして提供することによって、ソース画像を処理するための技術が提供される。
【0012】
本発明の様々な局面および実施形態の他の特徴および利点は、以下の説明および上記の特許請求の範囲から明らかになるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
図6Aを参照すると、本発明の一実施形態に従うシャープニングシステム600のブロック図が示される。システム600は、シャープニングされた画像606を生成するために、密度依存シャープニングフィルタ604によってシャープニングされるオリジナル画像602を含む。図7Aを参照すると、システム600が密度またはグレイレベル依存シャープニングを実行するための簡単な一方法700を表すフローチャートが示される。一般に、方法700は、空間ドメインにおいてフィルタリングを実行し、かつ1つの領域(例えば、ピクセル)から他の領域へのフィルタサポートおよび形状を変化させる。
【0014】
より詳細には、方法700は、オリジナル画像602における各領域R(例えば、各ピクセル)に対するループに入る(ステップ702)。方法700は、Rのスーパーセットであるより大きな領域Sを用いて領域Rの局所密度dを識別し(ステップ704)、かつ密度dに基づいてシャープニングフィルタ604に対するパラメータを選択する(ステップ706)。そのようなパラメータの例としては、フィルタ形状およびサポートが挙げられる。方法700は、領域Rのシャープニングされたバージョンを生成するために、識別されたパラメータを用いてさらに領域Rのスーパーセットである領域Sにシャープニングフィルタ604を適用し、かつ結果として生じるフィルタリングされた画像に基づいて領域Rを修正する(ステップ708)。例えば、領域Rは、領域Sにシャープニングフィルタ604を適用することによって生成されるフィルタリングされた画像において同じ座標を有する領域と置換され得る。方法700は、オリジナル画像602における残りの領域に対してステップ704〜708を繰り返し、それによって、シャープニングされた画像606を生成する(ステップ710)。
【0015】
そのようなアプローチにおいては、フィルタパラメータは、局所密度の関数である。局所密度は、適切なサポートを用いて画像602を低域通過フィルタリングすることによって計算され得る。そのような方法は、しかしながら、特に各領域が単一のピクセルであり、かつシャープニングの所望のサポートおよび低域通過フィルタが一部の密度レベルにおいて大きい場合において、高い計算複雑性に苦しむ。ここで、より詳細に説明されるように、シャープニングフィルタ604の形状を限定することは、非常に効率的なシャープニングアルゴリズムが得られることを可能にする。
【0016】
本発明の一実施形態のおいては、各領域に対してシャープニングフィルタ604の形状を任意に選ぶ代わりに、シャープニングフィルタ604の形状は、基底関数Bのセットによって補われる空間にあるように制限される。図7Bを参照すると、基底関数Bを用いて密度またはグレイレベル依存シャープニングを実行するために、システム600によって本発明の一実施形態において用いられる方法720のフローチャートが示される。基底関数および関連するゲインを生成するための技術の例は、図2A〜2Dに関連して以下に説明される。基底関数Bおよび関連するゲインが、図7Bにおける方法720の遂行の前に予め計算され得ることに留意されたい。
【0017】
方法720は、オリジナル画像602における各領域R(例えば、各ピクセル)に対するループに入る(ステップ702)。方法720は、Rのスーパーセットであるより大きな領域Sを用いて領域Rの局所密度dを識別する(ステップ704)。ステップ702および704は、図7Aに対して上述された様式において実行され得る。
【0018】
方法720は、密度dに対する基底関数Bのゲインを識別する(ステップ222)。方法720は、基底関数Bへのオリジナル画像602の投影Pを計算する(ステップ724)。方法720は、識別されたゲインを用いて投影Pを組み合わせることによって領域Rのシャープニングされたバージョンを得る(ステップ726)。方法700は、オリジナル画像602における残りの領域に対してステップ704、722、724および726を繰り返し、それによって、シャープニングされた画像606を生成する(ステップ710)。
【0019】
本発明の一実施形態においては、基底関数の選択は、2つの考慮によって左右される。第1に、基底関数は、所望のシャープニングフィルタから基底関数を用いて達成可能なものへの最小の認知できる劣化があるように選ばれる。第2に、選ばれた基底関数への入力画像の投影を計算するための効率的方法があるべきである。
【0020】
本発明の一実施形態においては、基底関数は、高周波数レジームが低周波数解像度を有し、かつ低周波数レジームが高周波数解像度を有するように選らばれる。図5を参照すると、本発明の一実施形態に従って、これらの性能を有する基底関数504a〜dの一セットのグラフ500が示される。振幅(軸502b)が周波数(軸502a)に対してプロットされている図5から見られ得るように、基底関数504a〜dは、増加する周波数において次第に広くなる。ここで、より詳細に説明されるように、そのような基底関数504a〜dのセットは、再帰的マルチ解像度フレームワークを用いて効率的に生成され得る。
【0021】
図6Bを参照すると、本発明の一実施形態に従って密度依存シャープニングを実行するためのシステム610のブロック図を示す。システム610は、デジタル画像をプリントするためのプリンタ620を含む。媒体ぼけ622は、プリントされた画像624が人間の目によって見られた場合に画像612に導入される。図6Bにて図示されるシステム610においては、シャープニングフィルタ604は、オリジナル入力デジタル画像612を「予めシャープニングする(pre−sharpen)」ためにプリンタ620の前に導入される。フィルタ604は、基底関数614を含む。プリンタ620によって生成され、かつ人間の目によって見られる、結果として生じるプリントされた画像624がオリジナル入力画像612と同じであるという意図をもって、フィルタ604は、プリンタ620に入力される予めシャープニングされた画像616を生成する。
【0022】
入力画像の投影を基底関数614において計算するための技術の例が、ここで説明される。xがオリジナル画像612を示すと仮定する。xがシャープニングされた画像616を示すと仮定する。図2Aを参照すると、基底関数614へのオリジナル画像612の投影を計算するために本発明の一実施形態において用いられる方法200のフローチャートを示す。
【0023】
上添字(l)が画像の解像度レベルlを示すと仮定する。ここで、l=0は、最も上質な解像度を示し、かつLが最も粗い解像度を示して、lのより大きな値は、より粗い解像度を示す。例えば、x(l)は、解像度レベルlにおけるオリジナル画像602の表示を示す。
【0024】
【数1】

が、レベルlからレベルkまで画像をとる補間または間引き(decimation)オペレータを示すと仮定する。その場合、k<lの場合において、
【0025】
【数2】

が補間オペレータであることは絶対的である。太字は、ベクトルおよびマトリックスを示すために用いられる。
【0026】
解像度の各々に対して、その解像度におけるオリジナル画像xは、2つの周波数帯域、高域通過帯域および低域通過帯域に分裂される。
【0027】
【数3】

がそれぞれ、レベルlにおける低域通過および高域通過画像を示すと仮定する。上述された表記に続いて、オリジナル画像xの粗い解像度表示は、式1および式2
【0028】
【数4】

を用いて再帰的に取得され得る。
【0029】
図2Aに示されるように、方法200は、式1によって指示されるように、解像度レベル0におけるオリジナル画像602の表示がオリジナル画像602と等しくなるように初期化する(ステップ201)。方法200は、各解像度レベルlに対するループに入る(ステップ202)。方法200は、解像度lに対する基底関数Bへのオリジナル画像602の投影Pを計算する(ステップ203)。方法200は、残りの解像度に対してステップ203を繰り返す(ステップ204)。方法200の結果は、解像度の各々に対して一つずつある、オリジナル画像602の複数の投影Pである。
【0030】
方法200は、任意の様々な方法においてインプリメントされ得る。例えば、図2Bを参照すると、基底関数614へのオリジナル画像612の投影を計算し、それによって、方法200(図2A)をインプリメントするために、本発明の一実施形態において用いられる方法205のフローチャートが示される。図2Aに関連して上述されたように、方法205は、オリジナル画像612の表示を初期化する(ステップ201)。方法200は、各解像度レベルlに対するループに入る(ステップ202)。方法200は、例えば、式2を用いて、解像度レベルl+1におけるオリジナル画像612の表示であるx(l+1)を得る(ステップ206)。低域通過画像
【0031】
【数5】

は、オリジナル画像をより粗い解像度から現行の解像度に式3
【0032】
【数6】

を用いて補間することによって効率的計算され得る(ステップ207)。
【0033】
高域通過画像
【0034】
【数7】

は、式4
【0035】
【数8】

を用いて計算され得(ステップ208)、それによって、ステップ203(図2A)に関連して上述された投影Pを計算する。
【0036】
方法200は、ステップ206〜208を繰り返すことによって全ての解像度レベルにおける低域通過および高域通過画像を取得し得る(ステップ204)。図2Cを参照すると、式1〜式4に関連して上述されたマルチ解像度分解処理の一レイヤ(すなわち、図2Bにおけるループの一反復)を表すブロック図が示される。図2Cにおいては、decは、ダウンサンプリングファクタを示す。
【0037】
解像度lにおける画像x(l)222は、低域通過画像226を生成する低域通過フィルタ224に提供される。次いで、低域通過画像226は、レイヤl+1において画像x(l+1)230を生成するダウンサンプリングオペレータ228に提供される。ダウンサンプリングオペレータ228は、中間サンプルを無視することによってサンプリングレートを減少させる。低域通過フィルタ224およびダウンサンプリングオペレータ228は、組み合わせて、解像度l+1におけるオリジナル画像を生成するために間引きフィルタ227として作用する。画像x(l+1)230は、式2の出力を表す。別々の低域通過フィルタリング動作224およびダウンサンプリング動作228への間引きフィルタ227の分解が、例示目的のみのためであることに留意されたい。実際には、効率性のために、ダウンサンプリングオペレータ228によって投げ捨てられるサンプルは、低域通過フィルタ224によって計算される必要は無い。
【0038】
画像x(l+1)230は、画像234を生成するために画像x(l+1)230のサンプリングレートを増加させるために中間ゼロサンプルを導入するアップサンプリングオペレータ232に提供される。次いで、画像234は、解像度lにおける低域通過画像
【0039】
【数9】

238を生成する低域通過フィルタ236に提供される。アップサンプリングオペレータ232および低域通過フィルタ236は、組み合わせて、補間フィルタ235として作用する。画像
【0040】
【数10】

238は、式3の出力を表す。最後に、加算器240は、解像度lにおける高域通過画像
【0041】
【数11】

242を生成するためにオリジナル画像x(l)222から低域通過画像
【0042】
【数12】

238を減算し、式4の出力を表す。各レイヤに対して(すなわち、0≦l<Lに対して)低域通過画像
【0043】
【数13】

および高域通過画像
【0044】
【数14】

を生成するために、図2Cが各レイヤlに対して複製され得ることに留意されたい。
【0045】
式1、式2および式3からは、低域通過画像を生成するフィルタのインパルス応答が
【0046】
【数15】

として仮定され、かつ高域通過画像を生成するフィルタのインパルス応答が
【0047】
【数16】

として仮定されることが見られ得る。ここで、δ(l)は、解像度lにおけるクロネッカーデルタ関数である。
【0048】
シャープニングは、各解像度において(すなわち、0≦l<Lに対して)高域通過画像xを得て、次いで、得られた高域通過画像を用いて画像を再構成することによって達成され得る。イメージのセット
【0049】
【数17】

は、異なる解像度における基底関数へのオリジナル画像612の投影に対応し、かつこのセットにおける各画像に提供されるゲインは、各基底関数に関連する係数(重み)に対応する。
【0050】
散乱から結果として生じる密度依存ぼけを補正するために、ゲインは、局所グレイレベルおよび解像度の関数になるように選択される。
【0051】
画像
【0052】
【数18】

が、解像度lにおける局所グレイレベル情報を示すと仮定し、かつg(・,l)が、グレイレベルおよび解像度の関数をゲインに与える関数を示すと仮定する。
【0053】
【数19】

が、解像度lにおけるシャープニングされた画像を示すと仮定する。最も上質な解像度におけるシャープニングされた画像は、式5および式6
【0054】
【数20】

を用いて最も粗い解像度から再帰的に得られる。
【0055】
g(・,・)が、オリジナル寄与の上におけるシャープニングされた画像への高域通過チャネルの更なる寄与を表す。従って、g(・,・)=0であった場合、シャープニングされた画像606は、オリジナル画像602と等しい。上記の特定は、空間変化様式において、高域通過構成要素におけるゲインを変調する局所グレイレベルとして
【0056】
【数21】

を使用する。結果的に、画像
【0057】
【数22】

の計算は、画像のぼけに影響を与える局所性のサポートに依存し得る。一般性を保持するために、式7および式8
【0058】
【数23】

を用いてこの計算を特定する。
【0059】
式8においては、β(l)は、高域通過チャネルにおける減衰を特定する。特に、本発明の一実施形態においては、
【0060】
【数24】

が典型的に、x(l)の低域通過バージョンになるため、β(l)は、
【0061】
【数25】

のように限定される。この限定を仮定すると、β(l)=1であった場合、
【0062】
【数26】

が得られ、かつ計算における一部の節約は、これらの解像度レベルにおける
【0063】
【数27】

を計算しないことによって実現され得る。他の極端な例は、全てのlに対してβ(l)=0である。この場合、高域通過チャネルは、補間された画像へ寄与を行なわず、かつ式9
【0064】
【数28】

にて示されるように、任意の解像度におけるxは、最も粗い解像度におけるオリジナル画像の補間されたバージョンとして仮定される。
【0065】
シャープニングされた画像
【0066】
【数29】

を生成するための上述された技術は、図2Dに示されるフローチャートに図示される。図2Dに示される方法250は、最も粗い解像度Lにおけるシャープニングされた画像
【0067】
【数30】

が、解像度Lにおけるオリジナル画像x(L)と同じになるように初期化する(ステップ252)。方法250は、lの値がL−1と等しくなるように設定する(ステップ254)。
【0068】
方法250は、例えば、
【0069】
【数31】

を識別するために式8を適用し、次いでゲイン画像Gを
【0070】
【数32】

として識別することによって、解像度lに適用されるゲイン画像Gを識別する(ステップ256)。方法250は、解像度lに適用するために投影Pを識別する(ステップ258)。上述されたように、高域通過画像
【0071】
【数33】

は、基底関数Bへのオリジナル画像の投影として用いられ得る。ここでは、ステップ258が式4を用いてインプリメントされ得る。
【0072】
方法250は、シャープニングされた画像を解像度l+1から解像度lへと補間する(ステップ260)。方法250は、PGを得るために投影PをゲインGで掛ける(ステップ262)。方法240は、解像度lにおけるシャープニングされた画像
【0073】
【数34】

を得るためにステップ260および262の結果を加算する(ステップ264)。
【0074】
lの値がゼロでなかった場合、(ステップ266)、方法250は、最終のシャープニングされた画像606を生成することを終了せず、方法250は、lを減少させ(ステップ268)、かつlの新しい値に対してステップ256〜264を繰り返す。lがゼロを達した場合、解像度
【0075】
【数35】

におけるシャープニングされた画像は、最終のシャープニングされた画像606として提供される(ステップ270)。
【0076】
上記の密度依存シャープニングスキームが、式1〜式4に関連して上述された特定のマルチ解像度分解スキームに関連して説明されたことに留意されたい。しかしながら、画像をウェーブレットのようなサブ帯域(低域通過および高域通過)に分解する他のマルチ解像度方法も用いられ得る。
【0077】
間引き/補間フィルタ224および236のサポート、ならびにダウンサンプリングファクタ228の選択は、間引き/補間依存性を決定する。図3を参照すると、最小計算を有する2つの間引き演算のファクタに対するピクセルグリッドおよびデータフローマップ400が示される。図3に示されるように、L=3である、0≦l≦Lに対して4つのレイヤがある。親ノードは、子ノードを平均化することによって得られ、かつ隣接する親ノードの子の間に重なりはない。重なっている子ノードに対する他の選択も可能であるが、本論議は、低い計算複雑性を維持するために、図3に示される間引きマップ400に関する。同じ依存マップ400も補間目的のために用いられ得るが、この場合においては、当業者は、最近接補間を利用する必要があり得、画像における望まれないブロッキングアーチファクトという結果となる。最小計算の観点からの次に最適な代案は、図4に示されるように、データフローマップ410を用いて線形補間を選ぶことである。
【0078】
上述された実施形態において密度依存シャープニングアルゴリズムを実行することが、異なる解像度レベルにおける2つの更なる画像(すなわち、ゲイン画像xおよびシャープニングされた画像x)のストレージを含むことに留意されたい。そのようなストレージを提供することは、特に、埋め込まれた環境において困難になり得る。従って、全体としての全ソース画像612において基底関数へのマルチ解像度分解、その後のシャープニングを実行する代わりに、当業者は、ブロックのような様式において、画像612の一部上に間引きおよび補間をどのように実行するかを理解するであろう。それによって、シャープニングフィルタ604のメモリ要件を減少させる。
【0079】
式6から見られ得、かつ図2Dに関連して上述されたように、シャープニングされた画像606は、異なるレイヤにおける高域通過画像を変調および加算することによって構成される。高域通過チャネルは、従って、シャープニングされた画像xに対するベースを形成する。最も粗い解像度Lにおけるオリジナル画像(すなわち、x(L))も基底関数であるが、オリジナル画像が変調されていないため、高域通過チャネルにのみ重点的に取り組んでいることに留意されたい。
【0080】
上記されたように、式6におけるゲイン関数g(d,l)は、密度および解像度レイヤの両方の関数である。レイヤlに対するゲインGが識別され得ることが、図2Dに示される方法250のステップ256に関連して上述された。ゲイン関数g(d,l)を推定するための技術の例が、ここで説明される。ゲイン関数g(d,l)が一旦推定されると、それは、例えば、上述された様式においてステップ256をインプリメントするために用いられ得る。図2Eを参照すると、本発明の一実施形態においてゲイン関数g(d,l)を推定するための方法280のフローチャートが示される。
【0081】
最も上質な解像度におけるインパルスへの異なるレイヤの最も上質な解像度(l=0)における高域通過応答は、式10
【0082】
【数36】

によって得られる。
【0083】
式10においては、nは、インパルスの空間位置を示す。異なるレイヤのインパルス応答がシフト不変でないことに留意されたい。従って、インパルス応答に対する表記において入力インパルスの空間位置を含む必要がある。レイヤlのインパルス応答に対する一意の位相の数が、decl+1であることが示される。ここで、decは、ダウンサンプリングファクタ218である。基底関数のこの非一意性は、各レイヤの変調係数またはゲイン値を決定するための課題をもたらす。自然な画像が全ての可能な位置においてエッジを有するため、本発明の一実施形態においては、レイヤlの全てのdecl+1インパルス応答は、そのレイヤに対する基底関数を得るために平均化される。
【0084】
lnがhlnのフーリエ変換を示すと仮定する。その場合、周波数ドメインにおける平均基底関数Hは、式11
【0085】
【数37】

によって得られる。
【0086】
式11においては、ej2πnfは、インパルス応答の全ての異なる位相を空間的に並べるファクタである。位相nに対するインパルス応答が非対称であった場合、Hlnが複素数になり得ることに留意されたい。しかしながら、平均応答は常に対称であり、従って、H(・)は実数である。
【0087】
図2Eに戻ると、方法280は、各解像度lに対するループに入り(ステップ282)、かつ例えば、式11を用いて、平均規定関数Hを識別する(ステップ284)。方法280は、各レイヤlに対してステップ284を繰り返す(ステップ286)。Hが、マトリックスを示すと仮定する。ここで、マトリックスの列は、式11のこの繰り返される適用によって、周波数の離散集合において計算される高域通過基底関数である。
【0088】
図5を参照すると、4レイヤ分解に対する基底関数504a〜dが示される。ここで、間引きファクタ218は、2として選ばれ、かつ線形補間および平均化は、それぞれ、補間および間引き演算のために利用される。レイヤの空間解像度が減少する一方、基底関数の周波数解像度がどのように増加するかについて留意されたい(軸502aに沿って)。
【0089】
S(f,d)を、プリント密度dにおける所望のシャープニングフィルタの周波数応答として仮定する。S(d)が、周波数の離散集合における所望の周波数応答の列ベクトルを示すと仮定する。図2Eに戻ると、方法280は、各密度dに対するループに入り(ステップ288)、かつ密度dにおける所望の周波数応答を識別する(ステップ290)。
【0090】
次いで、平均二乗の意味で所望の応答と実際の応答との間の誤差を最小化する基底関数の係数(レイヤゲインg(d,l)は、式12
【0091】
【数38】

によって得られる。
【0092】
式12においては、g(d,・)は、プリント密度dにおける各レイヤに対するゲインを含む列ベクトルを示し、かつ1は、全ての1の列ベクトルを示す。最小二乗フィットにおけるS(d)の代わりに(S(d)−1)が用いられる。なぜなら、上述されたように、g(d,・)が、オリジナル寄与の上におけるシャープニングされた画像における高域通過チャネルの更なる寄与を表すからである。
【0093】
方法280は、例えば、式12を用いて、平均基底関数Hおよび所望の周波数応答S(d)に基づいて密度dに対するゲインg(d,・)を識別する(ステップ292)。方法280は、残りの密度に対してステップ290〜292を繰り返し、それによって、対応するゲインを識別する(ステップ294)。
【0094】
所望の周波数応答S(f,d)は、典型的に、プリントサンプルから推定され、かつ以下により詳細に説明されるように、実行される必要がある反転のために高ノイズで損害をうけ得る。そのようなノイズの存在におけるレイヤゲインのロバスト推定を得るために、重み付けされた最小二乗フィットを行うことが望ましい。プリントされる画像624の知覚鮮鋭度に関心を持っているため、本発明の一実施形態においては、周波数ドメインにおける重み付け関数として目のコントラスト感度関数が選ばれる。Eが、コントラスト感度関数の周波数応答を含む対角マトリックスを示すと仮定する。その場合、レイヤゲインは、式13
【0095】
【数39】

を用いて得られる。
【0096】
この技術は、図2Fに示される様式において、方法280(図2E)に組み入れられ得る。方法280のステップ292は、重み付け関数(Eのような)を識別するステップ(ステップ302)、次いで、式13を用いて、平均基底関数H、重み付け関数Eおよび所望の周波数応答S(d)に基づいて密度dに対するゲインを識別する(ステップ304)ステップを含み得る。
【0097】
オリジナル画像602に対してシャープニングされることを保証するためにg(・,・)≧0を実施することが望ましい。式13が、一部の所望の応答のために一部のレイヤのゲインに対する負の値を与えることは可能である。本発明の一実施形態において、負のゲインが得られた場合、そのような負のゲインという結果となる基底関数は消去される(例えば、マトリックスHからそのような基底関数のコラムを消去することによって)。次いで、重み付けされた最小次数フィットは、残りの基底関数のみを用いて再度行われる。消去された基底関数のゲインは次いで、ゼロに設定される。
【0098】
この技術は、例えば、図2Gに示される様式において方法280(図2E)のステップ292をインプリメントすることによって適用され得る。ゲインg(d,・)の初期セットは、例えば、式12(ステップ306)を用いて識別される。ステップ306にて識別されるゲインがいずれも負でなかった場合(ステップ308)、識別されるゲインは、シャープニングフィルタ604における次の使用のために保持される(ステップ310)。いずれかのゲインが負であった場合、そのような負のゲインに対応する基底関数は放棄され(ステップ312)、対応するゲインはゼロに設定され(ステップ314)、かつ残りの基底関数に対するゲインは再計算される(ステップ306)。全てにおいて負でないゲインを生成するために、ステップ306、308、312および314は、必要に応じて繰り返され得る。
【0099】
図6Bを再度参照すると、シャープニングシステム610全体が、本発明の一実施形態に従って示される。図6Bに見られるように、密度依存シャープニングフィルタ604は、プリンタ620およびその次の媒体ぼけ622に先行する。そのようなシステムにおいては、密度依存シャープニングフィルタ604は、システムぼけ618(すなわち、媒体ぼけ622およびプリンタ620によって導入される任意のぼけ)によって動作された場合、オリジナル画像612がプリントされる画像624にて再生されるように、予めシャープニングされた画像616を生成するために入力画像612をシャープニングする。
【0100】
シャープニングフィルタ604の応答を推定するために、全ての平均エッジ密度に対して、図6Bに示されるフィルタ604への入力および出力ステップエッジが必要である。しかしながら、完璧にプリントされたステップエッジ624という結果となる予めシャープニングされたエッジ616は、すぐに利用可能ではない。時間のかかる試行錯誤方法は、この予めシャープニングされたエッジ616を識別するために利用され得る。
【0101】
代替的に、本発明の一実施形態においては、図6Cのシステム630に示されるように、密度依存シャープニングフィルタ604とシステムぼけ618との順序はスワッピングされる。システム630においては、システムぼけ618は、(シャープニングされた)プリントされた画像624を生成するために密度依存シャープニングフィルタ604によってシャープニングされるぼけた画像632を生成する。システムぼけ618および密度依存フィルタ604が線形システムであった場合、図6Cに示されるシステム630が図6Bに示されるシステム610と等しいことに留意されたい。それらが線形システムではなかった場合、システムぼけ618および密度依存フィルタ604が局所的に線形である限り、スワッピングは有効である。図6Cに示される実施形態の利点は、フィルタ604の所望の周波数応答が容易に計算され得るように、密度依存シャープニングフィルタ604の入力および出力がすぐに利用可能であることである。
【0102】
図2Hを参照すると、所望のシャープニング応答を推定するために本発明の一実施形態において実行される方法320のフローチャートが示される。方法320は、プリンタ620の密度範囲における密度dの各々に対するループに入る(ステップ322)。平均密度dを有するステップエッジはプリントされ(ステップ324)、かつステップエッジはスキャンされる(ステップ326)。ステップエッジの振幅は、システム630全体がこれらのエッジに対する線形システムとして近似され得ることを保証するために小さくなるように選択され得る。ステップエッジの振幅が大きい場合、大きい密度変化を受けて、二つの端部における応答が異なるため、エッジの二等分は独立して扱われ得る。
【0103】
ステップエッジの線広がり関数は計算され(ステップ328)、かつ線広がり関数の周波数変換がとられる(ステップ330)。結果は、プリンタ/媒体システム630の周波数応答を表す。密度dに対する密度依存シャープニングフィルタ604の所望の応答を得るために、プリンタ/媒体システム630の周波数応答は反転される(ステップ332)。各密度における所望の応答を得るために、ステップ324〜332は、各密度dに対して繰り返され得る。
【0104】
ステップ332にて実行される反転処理は、ノイズ増幅に対して影響を受けやすく、かつレイヤゲインを推定するためのロバスト推定技術は、式10〜式13に対して上述される。式13を用いて、レイヤゲインは、平均エッジ密度の関数として推定され得る。図8Aは、推定されたレイヤゲインを示す。最も大きいゲインを有するレイヤは、プリントdpiおよびプリントの見える距離に依存する。図8Aに示される例に対しては、プリントdpiは300であり、かつ見える距離は18インチと想定された。この場合、レイヤの周波数応答が目のコントラスト感度関数におけるピークと一致するため、レイヤ1は最も大きいゲインを有する。目の重み付けが利用されなかった場合、最も上質な解像度レイヤ0は、S(d)の推定に存在する大きな高周波数ノイズによって、非常に大きなゲインを有する。しかしながら、図8Aに見られるように、目の重み付けを用いて、レイヤ0に対するゲインは妥当である。上部レイヤが低い密度にてのみ利用され、かつより高い密度にて消滅することにも留意されたい。これは、シャープニングフィルタサポートを、低い密度端部における約32ピクセルから高い密度端部における約8ピクセルまでで変化させ得る。この効果は、図8Bにて明確に見られる。図8Bは、図8Aに示されるゲインを用いる密度依存シャープニングアルゴリズムを用いて処理される様々な密度レベルにおける多数のステップエッジを示す。
【0105】
図9を再度参照すると、グラフ900は、密度依存シャープニングを有さないプリンタ/媒体システムにおけるプリントされるエッジの鮮鋭度(曲線904a)を、図6Cに示されるシステムと比べる。ここで、図6Cに示されるシステムにおいては、密度依存フィルタ604は、プリンタ/媒体ぼけ618に対する反転システムとして作用する(曲線904b)。SQFプロット904a〜bにて見られるように、密度依存シャープニングフィルタ604は、SQFを効率的に平らにし、それをプリント密度から独立させる。低い密度においては35SQFユニットのゲインがあり、かつ高い密度端部においては18SQFユニットのゲインがある。
【0106】
本発明の実施形態は、以下に限定されないが、それら含む様々な利点を有する。一般に、本発明の実施形態は、より多くのぼけが生じる密度に対して実行されるより多くのシャープニングを用いて、シャープニングが密度依存である様式において実行されることを可能にする。典型的に、より低い密度は、より高い密度に比べてぼけに対してさらに影響を受けやすい。図9に示されるように、本発明の実施形態は、より高い密度の領域に比べて、より低い密度の領域においてより多くのシャープニングを実行するように適用され得る。結果的に、本明細書中に開示される技術は、ぼけの量に合わされる様式において単一の画像内にて様々な程度のシャープニングを適用し得る。本明細書中に開示される技術は、従って、シャープニングが必要とされるところおよびシャープニングが必要とされる範囲まで、シャープニングを取得し得、シャープニングが必要とされないところではシャープニングの損害を取得しない。
【0107】
本発明の実施形態の他の利点は、マルチ解像度フレームワークの使用が、シャープニングが高度な計算効率を用いて実行されることを可能にすることである。上述されたように、ソース画像は、複数の解像度における複数の画像に分解される。より低い解像度画像をフィルタリングすることは、画像全体にフィルタリングを実行することに比べて、かなり計算量が少ない。これらのより低い解像度画像においてフィルタリングを実行し、かつそれらを再度組み合わせることは、従来の技術を用いて画像全体をフィルタリングすることによって負われ得る計算コストを負わずに高品質シャープニングを生成する。
【0108】
本発明が、特定の実施形態の観点から上述されたが、前記の実施形態は例示目的のみとして提供され、本発明の範囲を限定または規定しないことが理解されたい。以下を含むがそれらに限定されない様々な他の実施形態も、特許請求の範囲内にある。例えば、本明細書中に説明される要素および構成要素は、さらなる構成要素に分けられるか、または同じ機能を実行することに対してより少ない構成要素を形成するように緒に組み合わされる。
【0109】
本発明の所定の実施形態が図1に示される媒体100と一緒に説明されるが、本明細書中に開示される技術は、媒体100との使用に限定されない。むしろ、本明細書中に開示される技術は、任意の数のレイヤおよび任意の色の組み合わせを有する媒体と一緒に用いられ得る。画像レイヤは、媒体の構造内のどこにでも位置され得る。
【0110】
上述された技術は、例えば、ハードウェア、ソフトウェア、ファームウェアまたはそれらの任意の組み合わせにおいてインプリメントされ得る。上述された技術は、プロセッサ、プロセッサによって読取可能なストレージ媒体(例として、揮発性および非揮発性メモリ、および/またはストレージ要素が挙げられる)、少なくとも一つの入力デバイス、および少なくとも一つの出力デバイスを含む、プログラマブルコンピュータ上で実行する1つ以上のコンピュータプログラムにおいてインプリメントされ得る。プログラムコードは、上述された機能を実行し、かつ出力を生成するために、入力デバイスを用いて入力された入力に適用され得る。出力は、1つ以上の出力デバイスに提供され得る。
【0111】
上記の特許請求の範囲内における各コンピュータプログラムは、アセンブリ言語、機械言語、高レベル手続き言語またはオブジェクト指向プログラミング言語のような任意のプログラミング言語においてインプリメントされ得る。プログラミング言語は、例えば、コンパイルされた、または翻訳されたプログラミング言語になり得る。
【0112】
そのようなコンピュータプログラムの各々は、コンピュータプロセッサによる実行のために機械読取可能ストレージデバイスにおいて有形的に組み入れられるコンピュータプログラム製品においてインプリメントされ得る。本発明の方法ステップは、入力において動作し、かつ出力を生成することによって発明の機能を実行するためにコンピュータ読取可能媒体において有形的に組み入れられるプログラムを実行するコンピュータプロセッサによって実行され得る。適したプロセッサは、例として、一般のおよび特殊なマイクロプロセッサの両方が挙げられる。一般に、プロセッサは、読取可能メモリおよび/またはランダムアクセスメモリから命令およびデータを受け取る。コンピュータプログラム命令を有形的に組み入れるために適したストレージデバイスは、例として、EPROM、EEPROMおよびフラッシュメモリデバイスのような半導体メモリデバイス、内臓ハードディスクおよびリムーバブルディスクのような磁気ディスク、光磁気ディスク、ならびにCD−ROMのような非揮発性メモリの全形式が挙げられる。前述の任意のものは、特殊設計されたASIC(特定用途向け集積回路)またはFPGA(フィールドプログラマブルゲートアレイ)によって補われるか、またはそれらにおいて組み入れられ得る。コンピュータは、一般に、内臓ディスク(図示されず)またはリムーバブルディスクのようなストレージ媒体からプログラムおよびデータを受け取ることもできる。これらの要素は、紙、フィルム、ディスプレイスクリーン、または他の出力媒体において色またはグレイスケールピクセルを生成できる、任意のデジタルプリントエンジンまたはマーキングエンジン、ディスプレイモニタ、もしくは他のラスターエンジンと組み合わせて用いられ得る、本明細書中に説明される方法をインプリメントするコンピュータプログラムを実行するために適した他のコンピュータとともに、従来のデスクトップまたはワークステーションにおいても見出される。
【図面の簡単な説明】
【0113】
【図1】図1は、マルチレイヤプリント媒体および、TiOレイヤによって散乱され、かつ媒体を出る前に全反射を受ける光線によってトレースされる経路の略図である。
【図2A】図2Aは、複数の基底関数への入力画像の投影を計算するために本発明の実施形態において実行される方法のフローチャートである。
【図2B】図2Bは、複数の基底関数への入力画像の投影を計算するために本発明の実施形態において実行される方法のフローチャートである。
【図2C】図2Cは、本発明の一実施形態に従う、マルチ解像度分解を得るために一レイヤにて実行されるフィルタリング動作のブロック図である。
【図2D】図2Dは、本発明の一実施形態に従う、入力画像のシャープニングされたバージョンを生成するための方法のフローチャートである。
【図2E】図2Eは、本発明の一実施形態に従う、入力画像のシャープニングにおける使用のためにゲイン関数を推定するための方法のフローチャートである。
【図2F】図2Fは、本発明の一実施形態に従う、入力画像のシャープニングにおける使用のためにゲインを識別するための方法のフローチャートである。
【図2G】図2Gは、本発明の他の実施形態に従う、入力画像のシャープニングにおける使用のためにゲインを識別するための方法のフローチャートである。
【図2H】図2Hは、シャープニングフィルタの所望のシャープニング応答を推定するために本発明の一実施形態において実行される方法のフローチャートである。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に従う、最小量の計算という結果となる画像信号を最も上質な解像度から最も粗い解像度に間引きするためのピクセルグリッドおよびデータフローマップの図である。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に従う、画像信号を最も粗い解像度から最も良質な解像度へと補間するためのデータフローマップの図である。
【図5】図5は、本発明の一実施形態に従う、図3に示される間引きグリッドに対する平均化を用いる4レイヤシャープニングフィルタ、および図4に示されるグリッドを用いる線形補間に対する周波数ドメインにおける基底関数のグラフである。
【図6A】図6Aは、本発明の第1の実施形態に従う、密度依存シャープニングシステムのブロック図である。
【図6B】図6Bは、本発明の第2の実施形態に従う、密度依存シャープニングを実行するためのシステムのブロック図である。
【図6C】図6Cは、本発明の第3の実施形態に従う、密度依存シャープニングフィルタの所望の周波数応答を推定するためのシステムのブロック図である。
【図7A】図7Aは、本発明の一実施形態に従う、密度依存シャープニングを実行するための方法のフローチャートである。
【図7B】図7Bは、本発明の他の実施形態に従う、密度依存シャープニングを実行するための方法のフローチャートである。
【図8A】図8Aは、本発明の一実施形態に従う、密度の関数としての各レイヤの高周波数チャネルに対する推定されたゲインのグラフである。
【図8B】図8Bは、本発明の一実施形態に従う、図8Aに示されるレイヤゲインを用いる密度依存シャープニングアルゴリズムを用いて処理される密度範囲全体を補う多数のステップエッジを示すグラフである。
【図9】図9は、本発明の一実施形態に従う、従来のシステムおよび密度依存シャープニングシステムのSQFを示すグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ソース画像を処理する方法であって、
(A)第1の密度dを有する該ソース画像の第1の部分を識別するステップと、
(B)該第1の密度dに基づいて第1のゲインgを識別するステップと、
(C)シャープニングされた画像の第1の部分を生成するために該第1のゲインgを有するシャープニングフィルタを適用するステップと、
(D)該第1の密度dと異なる第2の密度dを有する該ソース画像の第2の部分を識別するステップと、
(E)該第2の密度dに基づいて第2のゲインgを識別するステップであって、該第2のゲインgが該第1のゲインgと異なる、ステップと、
(F)該シャープニングされた画像の第2の部分を生成するために該第2のゲインgを有する該シャープニングフィルタを適用するステップと
を包含する、方法。
【請求項2】
(G)前記ステップ(C)の前に、前記第1の密度dに基づいて第1のサポートsを識別するステップと、
(H)前記ステップ(F)の前に、前記第2の密度dに基づいて第2のサポートsを識別するステップと
をさらに包含し、
該ステップ(C)が、前記シャープニングされた画像の前記第1の部分を生成するために前記第1のゲインgおよび該第1のサポートsを有する前記シャープニングフィルタを適用するステップを含み、かつ
該ステップ(F)が、該シャープニングされた画像の前記第2の部分を生成するために前記第2のゲインgおよび該第2のサポートsを有する該シャープニングフィルタを適用するステップを含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ステップ(B)が、
(B)(1)前記第1の密度dに対する複数の基底関数のゲインを識別するステップを含み、
前記ステップ(C)が、
(C)(1)該複数の基底関数への前記ソース画像の投影を計算するステップと、
(C)(2)該ゲインを用いて該投影を組み合わせることによって前記シャープニングされた画像の前記第1の部分を生成するステップと含む、
請求項1に記載の方法。
【請求項4】
ソース画像を処理するためのデバイスであって、
第1の密度dを有する該ソース画像の第1の部分を識別するための第1の識別手段と、
該第1の密度dに基づいて第1のゲインgを識別するための第2の識別手段と、
シャープニングされた画像の第1の部分を生成するために該1のゲインgを有するシャープニングフィルタを適用するための第1の適用手段と、
該第1の密度dと異なる第2の密度dを有する該ソース画像の第2の部分を識別するための第3の識別手段と
該第2の密度dに基づいて第2のゲインgを識別するための第4の識別手段であって、該第2のゲインgが該第1のゲインgと異なる、第4の識別手段と、
該シャープニングされた画像の第2の部分を生成するために該第2のゲインgを有する該シャープニングフィルタを適用するための第2の適用手段と
を備える、デバイス。
【請求項5】
前記第1の密度dに基づいて第1のサポートsを識別するための手段と、
前記第2の密度dに基づいて第2のサポートsを識別するための手段と
を備え、
前記第1の適用手段が、前記シャープニングされた画像の前記第1の部分を生成するために前記第1のゲインgおよび該第1のサポートsを有する前記シャープニングフィルタを適用するための手段を含み、
前記第2の適用手段が、該シャープニングされた画像の前記第2の部分を生成するために前記第2のゲインgおよび該第2のサポートsを有する該シャープニングフィルタを適用するための手段を含む、
請求項4に記載のデバイス。
【請求項6】
前記第2の識別手段が、
前記第1の密度dに対する複数の基底関数のゲインを識別するための手段を含み、かつ前記第1の適用手段が、
該複数の基底関数への前記ソース画像の投影を計算するための手段と、
該ゲインを用いて該投影を組み合わせることによって前記シャープニングされた画像の前記第1の部分を生成するための手段とを含む、
請求項4に記載のデバイス。
【請求項7】
ソース画像を処理する方法であって、
(A)該ソース画像のシャープニングされたバージョンを初期化するステップと、
(B)複数の解像度lの各々に対して、
(1)解像度lに関連したゲインGを識別するステップと、
(2)解像度lに関連した基底関数Bへの該ソース画像の投影Pを識別するステップと、
(3)該ゲインGおよび該投影Pに基づいて解像度lにおける該ソース画像の該シャープニングされたバージョンを更新するステップと
を実行するステップと、
(C)該ソース画像の該更新されたシャープニングされたバージョンを該ソース画像の最終のシャープニングされたバージョンとして提供するステップと
を包含する、方法。
【請求項8】
前記ステップ(B)(2)が、
(B)(2)(a)解像度lにおける前記ソース画像の表示を得るステップと、
(B)(2)(b)解像度lにおける該ソース画像の低域通過帯域を得るステップと、
(B)(2)(c)解像度lにおける該ソース画像の該表示および解像度lにおける該ソース画像の該低域通過帯域に基づいて解像度lにおける該ソース画像の高域通過帯域を得るステップと
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記ステップ(B)(2)(a)が、
(B)(2)(a)(i)低域通過画像を生成するために前記ソース画像を低域通過フィルタリングするステップと、
(B)(2)(a)(ii)解像度lにおける該ソース画像の前記表示を生成するために該低域通過画像をダウンサンプリングするステップと
を含む、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
前記ステップ(B)(2)(b)が、
(B)(2)(b)(i)アップサンプリングされた画像を生成するために解像度lにおける前記ソース画像の前記表示をアップサンプリングするステップと、
(B)(2)(b)(ii)解像度lにおける該ソース画像の前記低域通過帯域を生成するために該アップサンプリングされた画像を低域通過フィルタリングするステップと
を含む、請求項9に記載の方法。
【請求項11】
前記ステップ(B)(2)(c)が、前記高域通過帯域を生成するために前記低域通過帯域を前記ソース画像から減算するステップを含む、請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ステップ(B)(3)が、
(B)(3)(a)積を生成するために前記投影Pを前記ゲインGで掛けるステップと、
(B)(3)(b)解像度lにおける前記ソース画像の更新されたシャープニングされたバージョンを生成するために解像度lにおける該ソース画像の前記シャープニングされたバージョンに該積を加算するステップと
を含む、請求項7に記載の方法。
【請求項13】
(D)前記ステップ(B)の前に、前記複数の解像度lの各々に対する平均基底関数を識別するステップと
(E)前記ステップ(B)の前に、複数の密度dの各々に対して、
(1)密度dに対する所望の周波数応答を識別するステップと、
(2)該平均基底関数および密度dに対する該所望の周波数応答に基づいて密度dに対するゲインを識別するステップと
をさらに包含し、
前記ステップ(B)(1)が、該ステップ(E)(2)にて識別されるゲインのうちの1つを前記ゲインGとして識別するステップと含む、
請求項7に記載の方法。
【請求項14】
前記ステップ(E)(2)が、
(E)(2)(a)重み付け関数を識別するステップと、
(E)(2)(b)前記平均基底関数、密度dに対する前記所望の周波数応答および該重み付け関数に基づいて密度dに対する前記ゲインを識別するステップと
を含む、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
ソース画像を処理するためのデバイスであって、
該ソース画像のシャープニングされたバージョンを初期化するための手段と、
複数の解像度lの各々に対して、
解像度lに関連したゲインGを識別するための第1の識別手段と、
解像度lに関連した基底関数Bへの該ソース画像の投影Pを識別するための第2の識別手段と、
該ゲインGおよび該投影Pに基づいて解像度lにおける該ソース画像の該シャープニングされたバージョンを更新する第3の識別手段と
を含む反復手段と、
該ソース画像の該ソース画像の該更新されたシャープニングされたバージョンを最終のシャープニングされたバージョンとして提供するための提供手段と
を備える、デバイス。
【請求項16】
前記第2の識別手段が、
解像度lにおける前記ソース画像の表示を得るための第1の手段と、
解像度lにおける該ソース画像の低域通過帯域を得るための第2の手段と、
解像度lにおける該ソース画像の該表示および解像度lにおける該ソース画像の該低域通過帯域に基づいて該解像度lにおけるソース画像の高域通過帯域を得るための第3の手段と
を含む、請求項15に記載のデバイス。
【請求項17】
前記得るための第1の手段が、
低域通過画像を生成するために前記ソース画像を低域通過フィルタリングするための手段と、
解像度lにおける前記ソース画像の前記表示を生成するために該低域通過画像をダウンサンプリングするための手段と
を含む、請求項16に記載のデバイス。
【請求項18】
前記得るための第2の手段が、
アップサンプリングされた画像を生成するために解像度lにおける前記ソース画像の前記表示をアップサンプリングするための手段と、
解像度lにおける該ソース画像の前記低域通過帯域を生成するために該アップサンプリングされた画像を低域通過フィルタリングするための手段と
を含む、請求項17に記載のデバイス。
【請求項19】
前記得るための第3の手段が、前記高域通過帯域を生成するために前記低域通過帯域を前記ソース画像から減算するための手段を含む、請求項18に記載のデバイス。
【請求項20】
前記提供手段が、
積を生成するために前記投影Pを前記ゲインGで掛けるための手段と、
解像度lにおける前記ソース画像の更新されたシャープニングされたバージョンを生成するために解像度lにおける該ソース画像の前記シャープニングされたバージョンに該積を加算するための手段
を含む、請求項15に記載のデバイス。
【請求項21】
前記複数の解像度lの各々に対する平均基底関数を識別するための第4の識別手段と、
複数の密度dの各々に対して、
密度dに対する所望の周波数応答を識別するための第5の識別手段と、
該平均基底関数および密度dに対する該所望の周波数応答に基づいて密度dに対するゲインを識別するための第6の識別手段とを含む反復手段と
をさらに備え、
該第1の識別手段が、該第6の識別手段によって識別される該ゲインのうちの1つを前記ゲインGとして識別するための手段を含む、
請求項15に記載のデバイス。
【請求項22】
前記第6の識別手段が、
重み付け関数を識別するための手段と、
前記平均基底関数、密度dに対する前記所望の周波数応答および該重み付け関数に基づいて密度dに対する前記ゲインを識別するための手段と
を含む、請求項21に記載のデバイス。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図7A】
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【図7B】
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【図8A】
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【図8B】
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【図9】
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【公表番号】特表2008−516345(P2008−516345A)
【公表日】平成20年5月15日(2008.5.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−535842(P2007−535842)
【出願日】平成17年10月6日(2005.10.6)
【国際出願番号】PCT/US2005/036187
【国際公開番号】WO2006/042126
【国際公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【出願人】(591193347)ポラロイド コーポレイション (27)
【Fターム(参考)】