説明

密閉型電磁継電器

【課題】、絶縁基台上に組み込まれた電磁継電器の本体を箱状の絶縁カバーに挿入して絶
縁基台と絶縁カバーの嵌合隙間にシール剤を充填して封止するものにおいて、充填される
シール剤によって電磁継電器本体が動作不良を起こすことのないようにした密閉型電磁継
電器を提供する。
【解決手段】絶縁基台上に組み込まれた電磁継電器の本体を一面が開口された箱状の絶縁
カバーの中に挿入し、絶縁基台を絶縁カバーに嵌合し、絶縁カバーの開口を絶縁基台によ
り閉塞するとともに絶縁基台と絶縁カバーとの嵌合隙間にシール剤を充填してこの嵌合隙
間を封止するようにした密閉型電磁継電器において、前記絶縁基台と前記絶縁カバーとの
嵌合部における互いに対向して接触する前記絶縁基台の外側面または前記絶縁カバーの内
側面の少なくと一方の面に条溝または微小凹凸面を設け、シール剤の本体内への流れ込み
を抑止する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、絶縁基台上に組み立てられた電磁継電器本体に絶縁カバーを被せて密閉した密閉型電磁継電器に関する。
【背景技術】
【0002】
このような密閉型電磁継電器の従来例を図7ないし図9に示す。図7は、電磁継電器の本体1とこれを密閉する箱形の絶縁カバー4とを分解して示す斜視図、図8は組立状態における絶縁カバー4の背面壁を切断して示す背面断面図、図9は接点開閉機構の動作説明図である。
【0003】
電磁継電器の本体1は、絶縁樹脂製の絶縁基台11を備え、この上に、固定鉄心21および励磁コイル22よりなる電磁石と、この電磁石により吸引駆動される可動鉄心からなるアマチュア23とで構成された電磁駆動機構2が装着される。そして、絶縁基台11には、一端に固定接点31を有し、他端に固定接点側端子32を一体に形成した固定接触子片33と、一端に前記固定接点31と対向する可動接点35を有し他端に可動接点側端子36が一体に結合された板ばねで構成した可動接触子片37とで構成した接点開閉機構3が植設されている(図7参照)。アマチュア23と可動接触子片37とは、絶縁材で形成した作動片25により連結され、接点開閉機構3が電磁駆動機構2により駆動され図7(a)、(b)に示すように開閉動作する。
【0004】
すなわち、励磁コイル22への励磁電流を遮断して電磁駆動機構2を非励磁状態にしたときは、アマチュア23に吸引力が作用しないので、図7(a)に示すように、可動接触子片37が自身の弾性復元力により復帰位置に置かれ、可動接点35を固定接点31から離間させるとともに、作動片25を介してアマチュア25が固定鉄心21の接極子から離間する方向に押圧され復帰位置に置かれる。したがって、この状態では固定接点端子32と可動接点端子36に接続された電気回路が開路される。
【0005】
励磁コイル22に励磁電流を供給して電磁駆動機構2を励磁状態にすると、図7(b)に示すように、アマチュア25が固定鉄心21の接極子に吸引され、作動片25を介して可動接触子片37をその弾性力に抗して固定接点側に押圧することにより、可動接点35が、固定接点31に閉合され、固定接点端子32と可動接点端子36に接続された電気回路が閉路される。
【0006】
このように、電磁継電器の本体1は、励磁コイル22へ供給する励磁電流を断続することにより固定接点31と可動接点35との開閉を行うことができる。
【0007】
このような電磁継電器の本体1を密閉するために、これを絶縁樹脂で構成され、一面が開口した箱形の絶縁カバー4に挿入し、本体1を支持する絶縁基台11を絶縁カバー4に嵌合して絶縁カバー4の開口を閉塞する。絶縁カバー4を電磁継電器1の本体の絶縁基台11に嵌合しただけでは、図6に示すように、絶縁基台11上に垂直に一体に設けられた絶縁壁の外側面と絶縁カバー4の内側面との間に隙間41が生じる。この嵌合隙間41から絶縁カバー4の内部に水分等が侵入するのを防止するために、従来から特許文献1ないし3に示されるように、この嵌合隙間41に絶縁樹脂接着剤等で構成されたシール剤51を充填し、これを硬化させて、隙間を封止するとともに、絶縁基台11と絶縁カバー4との接着を行うようにしている。
【0008】
これにより、電磁継電器の絶縁カバーによる密閉性が高まり、接点開閉部の接触信頼性を向上することができる。
【特許文献1】特開平11−213838号公報
【特許文献2】特開2007−184132号公報
【特許文献3】特開2005−071951号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
このように絶縁基台上に組み込まれた電磁継電器の本体を箱状の絶縁カバーの中に挿入し、絶縁基台を絶縁カバーに嵌合し、絶縁カバーの開口を絶縁基台により閉塞するとともに絶縁基台と絶縁カバーの嵌合隙間にシール剤を充填してこの嵌合隙間を封止するようにした従来の密閉型電磁継電器においては、製造誤差等により絶縁基台と絶縁カバーの仕上がり寸法にばらつきが生じるため、絶縁基台と絶縁カバーとの嵌合隙間の寸法を一定に保つことは困難である。
【0010】
そして、絶縁基台と絶縁カバーとの嵌合隙間のシール剤による封止は、予め、シール剤を加熱する等して流動化させた上で、この嵌合隙間に充填し、嵌合隙間内で硬化させるような方法で行うのが一般的である。このとき、流動化されたシール剤は、絶縁基台と絶縁カバーとの嵌合部の微小隙間の毛管現象による浸透作用によってこの隙間に流れ込むようになるが、隙間の寸法が一定でないため、充填するシール剤の量を一定にしておいても、嵌合隙間への充填量が変動する。このため、絶縁基台と絶縁カバーとの嵌合隙間をシール剤で封止する過程で、シール剤の嵌合隙間への充填量が過大となって、シール剤が電磁継電器本体の内部の部品であるアマチュアや、可動接点部等まで流れ込み、これらが絶縁基台に接着されて、電磁継電器が動作不良を起こす問題がある。
【0011】
この発明は、このような問題を解決するため、絶縁基台上に組み込まれた電磁継電器に箱状の絶縁カバーに挿入し、絶縁基台と絶縁カバーの嵌合隙間にシール剤を充填してこの隙間を封止する際に、シール剤によって電磁継電器本体が動作不良を起こすことのないようにした密閉型電磁継電器を提供することを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
この発明の第一の発明は、前記の課題を解決するため、絶縁基台上に組み込まれた電磁継電器の本体を一面が開口された箱状の絶縁カバーの中に挿入し、絶縁基台を絶縁カバーに嵌合し、絶縁カバーの開口を絶縁基台により閉塞するとともに絶縁基台と絶縁カバーとの嵌合隙間にシール剤を充填してこの嵌合隙間を封止するようにした密閉型電磁継電器において、前記絶縁基台と前記絶縁カバーとの嵌合部における互いに対向して接触する前記絶縁基台の外側面または前記絶縁カバーの内側面の少なくとも一方の面に条溝を設けたことを特徴とするものである。
【0013】
この第一の発明においては、前記条溝は、前記シール剤の流れ込み方向と直交する方向に直線的に延ばされ、両端が閉塞された形状にするのがよい。
【0014】
また、この第一の発明においては、前記条溝を設けることが制限される場合は、前記の絶縁基台と前記絶縁カバーとが互いに対向して接触される絶縁基台の外側面または絶縁カバーの内側面の少なくとも一方の面を、多数の微小凹凸を全体に分散して設けた凹凸面とすることができる。
【0015】
第二の発明は、絶縁基台上に組み込まれた電磁継電器の本体を一面が開口された箱状の絶縁カバーの中に挿入し、絶縁基台を絶縁カバーに嵌合し、絶縁カバーの開口を絶縁基台により閉塞するとともに絶縁基台と絶縁カバーとの嵌合隙間にシール剤を充填してこの嵌合隙間を封止するようにした密閉型電磁継電器において、前記絶縁基台と前記絶縁カバーとの嵌合部における互いに対向して接触する前記絶縁基台の外側面または前記絶縁カバーの内側面の少なくとも一方の面に凸条を設けたことを特徴とするものである。
【0016】
第三の発明は、第一の発明と、第二の発明を組み合わせたもので、絶縁基台上に組み込まれた電磁継電器の本体を一面が開口された箱状の絶縁カバーの中に挿入し、絶縁基台を絶縁カバーに嵌合し、絶縁カバーの開口を絶縁基台により閉塞するとともに絶縁基台と絶縁カバーとの嵌合隙間にシール剤を充填してこの嵌合隙間を封止するようにした密閉型電磁継電器において、前記絶縁基台と前記絶縁カバーとの嵌合部における互いに対向して接触する前記絶縁基台の外側面または前記絶縁カバーの内側面の少なくとも一方の面に条溝を設けるとともに前記条溝の下方に凸条を設けたことを特徴とする。
【0017】
第二の発明および第三の発明においては、前記凸条を、間隔をおいて平行に複数個設けることができ、また、絶縁基台と前記絶縁カバーとが互いに対向して接触される絶縁基台の外側面または絶縁カバーの内側面の少なくとも一方の面を多数の微小凹凸を全体に分散して設けた凹凸面とし、この凹凸面に凸条を設けるようにしてもよい。
【発明の効果】
【0018】
このように、この発明は、電磁継電器本体の絶縁基台とこれに被せた箱状の絶縁カバーとの嵌合部の互いに接触する絶縁基台の外側面と絶縁カバーの内側面の少なくとも一方の面に条溝、または微小凹凸を有する微小凹凸面を設けるようにしているので、絶縁基台と絶縁カバーの嵌合隙間にシール剤を充填する際、この条溝または凹凸面によって、毛管現象によるシール剤の浸透作用が弱められるとともに、余分なシール剤が条溝または凹凸面の凹部に貯留されることによりシール剤の電磁継電器本体の内部への流れ込みが抑止されるため、シール剤の過剰な流れ込みによる電磁継電器の動作不良をなくすことができる。
【0019】
また、凸条を設けた発明によれば、この凸条が絶縁基台と絶縁カバーとの嵌合隙間を縮小することにより、シール材の流れ込みが抑止され、シール材による電磁継電器の動作不良をなくすことができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
次に、この発明の実施の形態を、図に示す実施例について説明する。
【実施例1】
【0021】
図1ないし図4に第一の発明の実施例1による密閉型電磁継電器の構成を示す。図1は、電磁継電器本体1を絶縁カバー4に挿入する前の正面側(可動接触子側)からみた分解斜視図、図2は同じく背面側(可動鉄心側)から見た分解斜視図、図3は電磁継電器本体1の平面断面図、図4は、この発明の密閉型電磁継電器の組立状態を示すもので、(a)は絶縁カバー4の一部の壁面を切断して示す正面断面図、(b)は同側面断面図である。なお、この図1ないし図4に示すこの発明の密閉型電磁継電器は、図7ないし図9に示した従来の密閉型電磁継電器と基本的な構成は同じであるので、同一の構成要素には同一の符号を付けて示す。
【0022】
電磁継電器の本体1は、図1および図2に示すように、電磁駆動機構2とこの電磁駆動機構2により開閉駆動される接点開閉機構3とを絶縁基台11上に組み込んで構成される。電磁駆動機構2は、励磁コイル22の巻装された固定鉄心21と、可動鉄心23とを備える。接点開閉機構3は、一端に固定接点31を備え、他端に固定接点側端子32を備えた固定接触子片33と、一端に可動接点35を備え、他端を可動接点側端子36に結合した板ばね等の導電性弾性材で構成された可動接触子片37とで構成される。そして電磁駆動機構2の可動鉄心23と接点開閉機構3の可動接触子片37とを絶縁材で構成された作動片25により連結することにより、接点開閉機構3が電磁駆動機構2により開閉駆動されるように相互に連繋される(図3参照)。
【0023】
このように構成された電磁継電器の本体1は、従来装置同様に電磁駆動機構2の励磁コイル22への励磁電流の供給を断続することにより固定鉄心21に吸引、または離間される可動鉄心23により、接点開閉機構3の可動接触子片37を駆動して、固定接点31に対して可動接点35を開閉する。
【0024】
この発明においては、さらに、電磁継電器本体1の絶縁基台11の基台面から垂直に延びた絶縁壁12の左右の正面側(可動接触子側)の壁面12aに、基台面に接近して適宜の深さの直線状の両端が閉じられた適宜長さの凹部からなる条溝14が設けられている(図1参照)。そして、図2に示すように、本体1の絶縁基台11の絶縁壁12の背面側(可動鉄心側)の左右の壁面12bには、絶縁基台11を成形型から押し出すためにエジェクターピンの当接される個所12pが存在するため、このエジェクターピン当接箇所12pを避けて長さの短い条溝15が複数設けられ、その下方の面にシボ加工等により、多数の微小凹凸が全面に分散して形成された凹凸面16が設けられている。
【0025】
このような条溝14、15および凹凸面16は、この後で説明するが、シール剤による封止を行うときの余分なシール剤の電磁継電器本体内への流れ込みを抑止する手段となる。
【0026】
電磁継電器本体1を密閉するための絶縁カバー4は絶縁樹脂等で形成され、一面に開口45の設けられた直方体の箱形に形成されている。この箱形の絶縁カバー4の中に、その開口45を通して電磁継電器本体1を先端側(絶縁基台11と反対側)から挿入し、基端側の絶縁基台11を絶縁カバー4に嵌合し、絶縁カバー4の開口45をこの絶縁基台11により閉塞する(図4参照)。
【0027】
絶縁カバー4に電磁継電器本体1を挿入し、絶縁基台11を絶縁カバー4に嵌合しただけでは、嵌合部に図4に示すように嵌合隙間41が生じる。この嵌合隙間のシール剤による封止は、次の手順で行う。
(1)電磁継電器本体1を絶縁カバー4に挿入したのち、上に向けた絶縁基台11の基台面11b(端子26、32,36の突出する側の面)の上に、所定の形状に成形して所定量に調節された熱硬化性樹脂等で構成されてシール剤5を載置する。
(2)絶縁カバー4に挿入された電磁継電器本体1の絶縁基台上にシール剤5を載置した状態で、シール剤5をこれが流動化する温度まで加熱し、流動化したシール剤5を微小隙間の毛管現象による浸透作用を利用する等して嵌合隙間41に充填する。さらに加熱を継続して流動化したシール剤5を硬化させることにより、嵌合隙間41および絶縁基台11の下面11bを封止するとともに、電磁継電器本体1の絶縁基台11と絶縁カバー4との接着を行う。
【0028】
このような封止工程を経て完成した電磁継電器は、図4に示すように、電磁継電器本体1の絶縁基台11と絶縁カース4の嵌合隙間41および絶縁基台11の基台面11bの上面がシール層51によって封止されることにより、電気継電器本体1が絶縁カバー4によって密閉され、外部から水分等が浸入するのを防止することができる。
【0029】
前記の電磁継電器本体1の絶縁基台11と絶縁カバー4との嵌合隙間41の封止工程で、流動化されたシール剤5が嵌合隙間41に毛管現象による浸透作用を利用して注入されるとき、絶縁基台11の絶縁カバー4と嵌合される絶縁壁12の正面側の壁面12aにおいては、条溝14の設けられた部分で、嵌合隙間が拡大することになり、シール剤5の毛管現象による浸透力が弱められるとともに、この条溝14内にシール剤5が貯留されることにより、シール剤5の量が多少過大であってもこの壁面12aから電磁継電器本体1内へシール剤が流れ込むことが抑止される。
【0030】
また、電磁継電器本体1の絶縁基台11の絶縁壁の背面側の壁面12bにおいては、条溝15の長さが短くなっているので、この条溝15によって貯留できるシール剤5の量が少なくなるので、ここで貯留できなかったシール剤5が壁面12bの下方へ流れ込むが、この壁面12bは、シボ加工等により多数の微小の凹凸が全面に分散して形成された凹凸面16とされているので、この面の微小の凹所に条溝14、15と同様にシール5剤が貯留され、電磁継電器本体1内へ流れ込むのを抑止することができる。
【0031】
この発明によれば、製造誤差などにより電磁継電器本体1の絶縁基台11と絶縁カバー4との嵌合部における嵌合隙間が狭くなって、これに注入するシール剤5の量に余剰分が生じても、この余剰分が絶縁基台の絶縁壁に設けた条溝14、15および小凹凸面16により貯留され、吸収することができるので、電磁継電器本体1内へのシール剤5の流れ込みが抑止され、シール剤5が内部の電磁接触器の部品に付着して動作不良を起こすことがなくなり、製品の製造上の信頼性を高めることができる。
【0032】
前記においては、シール剤5の流れ込みを抑止するために設けた条溝、微小凹凸面を電磁継電器本体1の絶縁基台11の絶縁壁の外側面に設けた例を示したが、この発明においては、これらを、絶縁カバー4の内側面に設けることも、また、絶縁基台11および絶縁カバー4の両方に設けることもできる。
【実施例2】
【0033】
次に、図5および図6に示す第二の発明の実施例2について説明する。
【0034】
この第2の実施例においては、図6に示すように、電磁継電器本体1の絶縁基台11の基台面から垂直に延びた絶縁壁12の左右の正面側(可動接触子側)の壁面12aに、基台面に接近して適宜の深さの直線状の両端が閉じられた適宜長さの凹部からなる条溝14を設けるとともに、図においてその下端に壁面から僅かに突出した直線状の凸条18aを設けている。そして、図6に示すように、絶縁基台11を成形型から押し出すためにエジェクターピンの当接される個所12pが存在するため、このエジェクターピン当接箇所12pを避けて長さの短い条溝15が複数設けられた本体1の絶縁基台11の絶縁壁12の背面側(可動鉄心側)の左右の壁面12bには、その下方の面にシボ加工等により、多数の微小凹凸が全面に分散して形成された凹凸面16上に表面から僅かに突出した凸条19を2本ずつ並行に間隔をおいて設けている。
【0035】
このように構成された電磁継電器本体1を密閉するために、箱形の絶縁カバー4の中に、その開口45を通して電磁継電器本体1を先端側(絶縁基台11と反対側)から挿入し、基端側の絶縁基台11を絶縁カバー4に嵌合し、絶縁カバー4の開口45をこの絶縁基台11により閉塞する。絶縁カバー4の中に挿入された電磁継電器本体1の絶縁基台11の基台面11b上にシール剤5を載置して、第1の実施例と同じ手順で、絶縁基台11と絶縁かバイ4との嵌合隙間にシール剤4を充填してこれを封止し、密封する。
【0036】
このとき、嵌合隙間に流れ込む余分なシール剤が、条溝14、15および凹凸面16により吸収されて、内部への浸透が抑制される。これらの条溝14、15および凹凸面16により浸透が抑制し切れなかった余分なシール剤がある場合でも、壁面12aおよび12bの下方に設けた凸条18および19により嵌合隙間を埋められることにより、シール剤が凸条18および19により塞き止められ、これより下方への流れ込みが阻止されるので、ほぼ完全に電磁継電器の機構部へのシール剤の流れ込みを防止することができ、シール剤の流れ込みより電磁継電器の動作不良の発生を防止することができる。
【0037】
なお、この大の実施例においては、凸条18および19を条溝14、15および凹凸面16と併設するようにしているが、凸条18および19を単独で設けることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】この発明の第1の実施例による密閉型電磁継電器の正面側からみた分解斜視図である。
【図2】この発明の第1の実施例による密閉型電磁継電器の背面側からみた分解斜視図である。
【図3】この発明の第1の実施例による密閉型電磁開閉器の本体1の平面断面図である。
【図4】この発明の第1の実施例の密閉型電磁開閉器の構成図であり、(a)は絶縁カバーの一部を切断して示す正面断面図、(b)は同側面断面図である。
【図5】この発明の第2の実施例による密閉型電磁継電器の正面側からみた分解斜視図である。
【図6】この発明の第2の実施例による密閉型電磁継電器の背面側からみた分解斜視図である。
【図7】従来の密閉型電磁継電器を示す分解斜視図である。
【図8】従来の密閉型電磁継電器の絶縁カバーの正面壁を切断して示す正面断面図である。
【図9】従来の密閉型電磁継電器の動作説明に用いる平面断面図である。
【符号の説明】
【0039】
1:電磁継電器の本体
11:絶縁基台
12:絶縁壁
14、15:条溝
16:凹凸面
18、19:凸条
2:電磁駆動機構
21:固定鉄心
22:励磁コイル
23:アマチュア
25:作動片
3:接点開閉機構
31:固定接点
32:固定接点側端子
33:固定接触子片
35:可動接点
36:可動接点側端子
37:可動接触子側端子
4:絶縁カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁基台上に組み込まれた電磁継電器の本体を一面が開口された箱状の絶縁カバーの中に挿入し、絶縁基台を絶縁カバーに嵌合し、絶縁カバーの開口を絶縁基台により閉塞するとともに絶縁基台と絶縁カバーとの嵌合隙間にシール剤を充填してこの嵌合隙間を封止するようにした密閉型電磁継電器において、前記絶縁基台と前記絶縁カバーとの嵌合部における互いに対向して接触する前記絶縁基台の外側面または前記絶縁カバーの内側面の少なくとも一方の面に条溝を設けたことを特徴とする密閉型電磁継電器。
【請求項2】
請求項1に記載の密閉型電磁継電器において、前記条溝は、前記シール剤の流れ込み方向と直交する方向に直線的に延ばされ、両端が閉塞された形状とすることを特徴とする密閉型電磁継電器。
【請求項3】
請求項1に記載の密閉型電磁継電器において、前記条溝を設けることが制限される場合は、前記の絶縁基台と前記絶縁カバーとが互いに対向して接触される絶縁基台の外側面または絶縁カバーの内側面の少なくとも一方の面を、多数の微小凹凸を全体に分散して設けた凹凸面とすることを特徴とする密閉型電磁継電器。
【請求項4】
絶縁基台上に組み込まれた電磁継電器の本体を一面が開口された箱状の絶縁カバーの中に挿入し、絶縁基台を絶縁カバーに嵌合し、絶縁カバーの開口を絶縁基台により閉塞するとともに絶縁基台と絶縁カバーとの嵌合隙間にシール剤を充填してこの嵌合隙間を封止するようにした密閉型電磁継電器において、前記絶縁基台と前記絶縁カバーとの嵌合部における互いに対向して接触する前記絶縁基台の外側面または前記絶縁カバーの内側面の少なくとも一方の面に凸条を設けたことを特徴とする密閉型電磁継電器。
【請求項5】
絶縁基台上に組み込まれた電磁継電器の本体を一面が開口された箱状の絶縁カバーの中に挿入し、絶縁基台を絶縁カバーに嵌合し、絶縁カバーの開口を絶縁基台により閉塞するとともに絶縁基台と絶縁カバーとの嵌合隙間にシール剤を充填してこの嵌合隙間を封止するようにした密閉型電磁継電器において、前記絶縁基台と前記絶縁カバーとの嵌合部における互いに対向して接触する前記絶縁基台の外側面または前記絶縁カバーの内側面の少なくとも一方の面に条溝を設けるとともに前記条溝の下方に凸条を設けたことを特徴とする密閉型電磁継電器。
【請求項6】
請求項4または5に記載の密閉型電磁継電器において、前記凸条を複数個並行して設けたことを特徴とする密閉型電磁継電器。
【請求項7】
請求項4ないし6の何れか1項に記載の密閉型電磁継電器において、前記の絶縁基台と前記絶縁カバーとが互いに対向して接触される絶縁基台の外側面または絶縁カバーの内側面の少なくとも一方の面を、多数の微小凹凸を全体に分散して設けた凹凸面とすることを特徴とする密閉型電磁継電器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2009−200039(P2009−200039A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−309855(P2008−309855)
【出願日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【出願人】(508296738)富士電機機器制御株式会社 (299)