説明

密閉式強制循環太陽熱給湯システム

【課題】太陽熱吸熱特性と強制循環ポンプのオン、オフ、及び熱媒の循環スピードを同期させながら、直流電源循環ポンプの空運転のチャンスのない安全で、商用電源無しで太陽電池のみで駆動可能な密閉回路の強制循環給湯システムの開発が課題であった。
【課題を解決する為の手段】本発明では、貯湯タンク内に配置された熱交換器と太陽熱コレクターを連結する配管途中に直流電源循環ポンプ、膨張タンク、圧力逃がし弁を具備する密閉式熱媒循環回路を有し、受光面積0.4m以下の太陽電池と前記太陽熱コレクターの温度センサーと前記貯湯タンクの温度センサーと熱媒感知センサーが配線されたPC板から出た配線が前記直流電源循環ポンプに配線された太陽熱給湯システムである事を要旨としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、給湯システム、または給湯器で、商用電源、家庭用電源等一切外部からの電源を必要としないもの、必要とするもの、あるいは電源として太陽電池を利用したもの、熱媒を自然循環させるもの、強制循環させるもの、その装置が密閉式のもの、開放式のもの、各種ある太陽熱給湯器に関わるものである。
【背景技術】
【0002】
従来、太陽熱給湯器は自然循環方式と強制循環方式に分けられるが、強制循環方式の場合は循環ポンプで太陽熱コレクターと貯湯タンクの間に熱媒、あるいは給湯水を強制循環させることにより熱交換率を上げ、給湯器全体としての集熱効率を上げられる長所があるが、循環ポンプが必要で、駆動するための商用電源、あるいは家庭用電源が必要な上、電気代のランニングコストがかかる欠点もあった。
又別の切り口で太陽熱温水器の循環回路が外気に密閉か、開放かにより、密閉方式と開放方式にも分けることが出来るが、開放式、または半開放式は循環熱媒が一部空気に触れるため、定期的に熱媒を追加、浄化の必要があった。
密閉方式には膨張タンクが必要であるが、開放方式にもシスターン的なものが必要なためコスト差、複雑さ等については大きな差は無い。
近年太陽電池の普及により、太陽電池利用の方式も考えられ、太陽電池で取得された直流電源をインバーターにより商用、あるいは家庭用電源の交流に変換し、制御用、あるいは駆動ポンプ用に利用したシステムもある。
また、太陽電池であられた電気エネルギーを蓄電池に貯め、その電源を利用し、給湯器は電気温水器、ヒートポンプ式給湯器と組み合わせたものも出ている。
例えば特許文献1に見られるように太陽電池フレームに温水回路を設けた構造のもののように太陽電池と太陽熱吸収パネル、すなわち太陽熱コレクターと1体の物も太陽電池と給湯器を組み合わせたものも公知として世に出てきた。
いずれも時代の要求する省エネルギー、あるいは再生可能エネルギー利用の方向への移行を意識した動向である。
しかしながら、上記の給湯器は太陽電池発電容量を家庭用全電源のシステムをカバーする規模の大容量にしないとメリットの出ない組み合わせとなり、導入に当たってはインバーター、蓄電池等の設置の必要のため、高額投資が要求される。
又、太陽電池と太陽熱コレクターを一体にすると太陽熱コレクターのほうが断熱性を必要するため厚さが厚い構造となり、取り付け場所への固定構造も複雑になるだけでなく、概観上も不揃いな意匠となっていた。
【0003】
【特許文献1】特開2000−15085
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
太陽熱給湯器で給湯回路を強制循環方式で、しかも密閉方式にすると商用、あるいは家庭用電源用循環ポンプは密閉回路用の特殊ポンプで高価なシステムとなってしまう。
これらと太陽電池との組み合わせは、太陽電池設備のあるところにのみ組み合わせが考えられる制約を受けるほか、太陽電池と太陽熱コレクターを一体にして取り付けることによる外観不揃いの意匠低下、あるいは参考文献1にあるような特殊工事、特殊太陽電池を製作のため割高なシステムとなってしまうと言う欠点があった。
また、前述の熱媒の強制循環スピードと太陽熱コレクターの吸熱量との同期は成り行きに任せると、効率が落ちるため、蓄電池で一次電気を貯め、電気制御で、同期させるようなソフトウエア、ハードウエアも組み込む必要があり、高価なものとなってしまう。
従来より、循環ポンプ電源を直流電源で駆動すれば発電電気の利用効率は上がることは公知であるが、直流電源循環ポンプの負荷となる熱媒が無い時、空回りするとポンプが焼付いて故障する特性があり、そのような危険な状態を確実に回避する工夫がなければシステムに組み込むことが難しいという課題があった。
【0004】
前項で記述の各種方式のメリットの多い方式の理想的な組み合わせを考えると、密閉方式で、商用、あるいは家庭用電源の不要で、循環ポンプのランニングコストのかからない強制循環方式で、コストのかからない意匠的に問題の少ない太陽電池の組み合わせで、インバーターも、蓄電池も廃止することが課題であった。
太陽から入射する光の角度、強さは一日の時間により変動するから、太陽熱コレクターに吸収される熱量も当然時間により変動する。
太陽熱コレクターに吸収される熱量が多いほど、熱媒の循環量を増したほうが効率は上がる。
太陽電池の発電量も一日のそれぞれの時間における発電量も変動する。
そして、必ずしも熱媒の吸収熱量と発電量は同期しない。
又、太陽電池の発電特性に従いアウトプットされる電源の電圧、電流量と直流電源循環ポンプ回転スピード、すなわち熱媒の循環量は必ずしも比例しない。
よって、願わくば、太陽熱吸熱特性と強制循環ポンプのオン、オフ、及び熱媒の循環スピードを同期または同期に近づけることが出来るシステムにする工夫も課題で、これら課題が解決出来れば理想的な太陽熱給湯器とすることが出来る。
【課題を解決する為の手段】
【0005】
貯湯タンク内に配置された熱交換器と太陽熱コレクターを連結する配管途中に直流電源循環ポンプ、膨張タンク、圧力逃がし弁を具備する密閉式熱媒循環回路を有し、受光面積0.4m以下の小型太陽電池と前記太陽熱コレクターの温度センサーと前記貯湯タンクの温度センサーと熱媒感知センサーが配線されたPC板から出た配線が前記直流電源循環ポンプに配線された太陽熱給湯システムにすることにより、従来の想定していた課題を解消した、又、新しいメリットを付加した給湯システムとすることができる。
本発明の0.4m以下の太陽電池は小型化と太陽熱コレクターからに切り離されているから、設置場所が自由であるため、太陽熱コレクターの中の熱媒の太陽熱吸収の時間特性に合わせた循環ポンプの駆動スピードと同期を計れる場所へ設置することにより、太陽熱吸収量と熱媒循環スピードの同期がとれる効率の高く、しかも、確実にポンプ焼き付きを回避できるように熱媒感知センサーをポンプ近傍に配置することにより同期の取れた電源を直接直流電源循環ポンプに供給する安全で、簡便で、システム効率の高い密閉式強制循環太陽熱給湯システムとすることが出来る。
【発明の効果】
【0006】
従来開放式にメインテナンスとして必要であった熱媒の追加、浄化や、50ワット以上の循環ポンプも不要となり、太陽電池の発電電気をインバーターや蓄電池も通さず、そのままを50ワット以下の超小型循環ポンプの電源として使用できるため、発電電気量の利用効率も高く、循環ポンプの焼きつきの危険性も無く、受光面積0.4mの太陽電池の配置位置を調整することにより、循環ポンプ運転時間、スピードを同期、またはコントロールできるため、高価な制御機器も廃止できる。
【発明を実施する為の最良の形態】

【実施例】
【0007】
以下、図1を用い、請求項の本発明を実施する為の最良の形態、実施例を説明する。
貯湯タンク2内に配置された熱交換器3と建屋の屋根13の上に設置された太陽熱コレクター1を連結する配管途中に直流電源循環ポンプ5、膨張タンク6、圧力逃がし弁15を具備する密閉式熱媒循環回路を有し、建屋のひさし14の上に設置された受光面積0.4m以下の太陽電池4と太陽熱コレクター温度センサー9と貯湯タンク温度センサー10と熱媒感知センサー8が配線されたPC板7から出た配線が前記直流電源循環ポンプ5に配線する。
本発明は密閉式であるため、熱媒循環回路中に膨張タンク6、及び逃がし弁15が組み込まれている。
太陽熱コレクター温度センサー9が高温になり過ぎたときは、その情報はPC板7に行き、直流電源循環ポンプ5保護のため、運転停止し、太陽熱コレクター温度センサー9の感知する温度が貯湯タンク温度センサー10の感知する温度より十分高い温度のときのみ直流電源循環ポンプ5が稼動するようにPC板内部でコントロールされている。
以上が本発明の太陽熱給湯システムの構成の基本で、従来の課題を解決した密閉式強制循環給湯システムとすることが出来る。
その特長による効果、機能について、さらに以下に説明する。
【0008】
受光面積0.4m以下の太陽電池4の小型化と太陽熱コレクター1からに切り離しにより設置場所が自由となり、太陽熱コレクター1の中を循環する熱媒の太陽熱吸収の時間特性に合わせた循環ポンプ5の駆動スピードと同期を計れる場所へ、太陽電池4の設置が出来るようになり、太陽熱吸収量と熱媒循環スピードの同期がとれる効率の高く、しかも、確実にポンプ焼き付きを回避できるように熱媒感知センサー8を直流電源循環ポンプ5の近傍に配置することにより安全な運転が出来、同期の取れた電源と直接直流電源循環ポンプ5に供給するシステム効率の高い密閉式強制循環太陽熱給湯システムとすることが出来る。
熱媒感知センサー8の例として図1に示されているのは直流電源循環ポンプ5の吐出配管は垂直に配置し、吐出口近傍に吐出配管と平行に100mm以下の長さのプラスチック製直管回路11を設け、直管内部に近接センサーが感知する金属を含む浮き子12をいれておき、図に示すようにプラスチック製直管回路11の外、下方に近接センサー8を配置する。
万が一、熱媒が循環回路から漏れて、空になってしまった時は浮き子12がプラスチック製直管回路11の底部に下りてしまうので、熱媒感知センサーが感知し、その情報がPC板7に伝わり、直流電源循環ポンプ5の空回りの焼き付きを阻止し、直流電源循環ポンプ5の安全性は確保される事となる。
【産業上の利用の可能性】
【0009】
自明ゆえ説明は省略
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】図1は本発明の密閉式強制循環太陽熱給湯システムの構成を示す図である。
【符号の説明】
【0011】
1. 太陽熱コレクター
2. 貯湯タンク
3. 熱交換器
4. 受光面積0.4m以下の太陽電池
5. 直流電源循環ポンプ
6. 膨張タンク
7. PC板
8. 熱媒感知センサー
9. 太陽熱コレクター温度センサー
10. 貯湯タンク温度センサー
11. プラスチック製直管回路
12. 浮き子
13. 屋根
14. ひさし
15. 逃がし弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
貯湯タンク内に配置された熱交換器と太陽熱コレクターを連結する配管途中に直流電源循環ポンプ、膨張タンク、圧力逃がし弁を具備する密閉式熱媒循環回路を有し、受光面積0.4m以下の太陽電池と前記太陽熱コレクターの温度センサーと前記貯湯タンクの温度センサーと熱媒感知センサーが配線されたPC板から出た配線が前記直流電源循環ポンプに配線された密閉式強制循環太陽熱給湯システム。

【図1】
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【公開番号】特開2013−108736(P2013−108736A)
【公開日】平成25年6月6日(2013.6.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−267333(P2011−267333)
【出願日】平成23年11月17日(2011.11.17)
【出願人】(511297557)
【出願人】(505204985)