説明

密閉式混練機

【課題】 本発明の密閉式混練機は、構造のコンパクト化、メインテナンスの容易化を図りつつ信頼性の高くすることにある。
【解決手段】 本発明は、混練機本体1に連設され被混練物が投入されるホッパー7内を、昇降自在にされたフローテイングウエイト9を有する密閉式混練機において、混練機本体1に連設して、フローテイングウエイト9を昇降させる油圧シリンダ13を設け、混練機本体1とは別置に、油圧側と空圧側との間で圧力変換する空油圧変換手段3を設けると共に、フローテイングウエイト9を下降させるための油圧シリンダ13の油圧側が、空油圧変換手段3の油圧側に接続されているものである。

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、フローテイングウエイトの作動部に特徴を有する密閉式混練機に関する。
【0002】
【従来の技術】従来技術の密閉式混練機としては、特開昭63−19207号公報に記載されたものがある。この種の密閉式混練機は、図4(a)及び図4(b)に示すように、混練機本体100に連設されたホッパー101内に昇降可能なフローテイングウエイト102を有し、このフローテイングウエイト102上部にピストンロッド103を介してエアクッションシリンダ104を設けると共に、ホッパー101外側にクッションシリンダ104と共にフローテイングウエイト102を昇降させる油圧シリンダ105を固設したものである。
【0003】そして、密閉式混練機による被混練物の混練は、被混練物をホッパー101の投入口106から投入して、油圧シリンダ105を作動することで、クッションシリンダ104と共にフローテイングウエイト102を下降させて、ホッパー101内の被混練物を混練機本体100の混練室107内へと押し込んだ後、混練室107内に配置された混練用ロータ108を回転させることで被混練物を混練するものである。このとき、フローテイングウエイト102が受ける反力は、エアクションシリンダ103内の空気圧の存在によりピストンロッド103が僅かに上昇し、シリンダ104内の上下室間の圧力がバランスすることで緩衝的に受けられ、フローテイングウエイト102の動きに対してクッション機能を与えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、従来技術の密閉式混練機においては、フローテイングウエイト102(ホッパー101)の上部にピストンロッド103を介してエアクッションシリンダ104を設ける構造としているので、密閉式混練機の高さ方向に一定寸法を必要とすると共に、油圧シリンダ105やエアクッションシリンダ104が、ホッパー101内に投入される被混練物や、密閉式混練機に存在するゴミ、埃等の周囲環境に汚染される恐れがある。また、エアクッションシリンダ104が、フローテイングウエイト102と共に昇降されるので、この昇降に追従して作動圧空気(エア)を給排するための配管処理が必要となり、その配管のメインテナンスも行なわなければならない。
【0005】本発明の密閉式混練機は、このような問題を解決するためになされたもので、構造のコンパクト化、メインテナンスの容易化を図りつつ信頼性の高い密閉式混練機を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】上記問題を解決するため、本発明の密閉式混練機では、請求項1においては、混練機本体に連設され被混練物が投入されるホッパー内を、昇降自在にされたフローテイングウエイトを有する密閉式混練機において、前記混練機本体に連設して、前記フローテイングウエイトを昇降させる油圧シリンダを設け、前記混練機本体とは別置に、油圧側と空圧側との間で圧力変換する空油圧変換手段を設けると共に、前記フローテイングウエイトを下降させるための前記油圧シリンダの油圧側が、前記空油圧変換手段の油圧側に接続されていることを特徴とするものである。これにより、空油圧変換手段により油圧側に変換される空圧側の圧力供給で、フローテイングウエイトを混練機本体に被混練物を押し込むように下降させることができ、また、フローテイングウエイトが混練機本体から被混練物を介して反力を受けると、この反力が油圧として空油圧変換手段に戻されて、空油圧変換手段により空圧側に変換されてることで緩衝的に受けて、フローテイングウエイトのクッション機能を発揮させることになる。このように、フローテイングウエイトのクッション機能を発揮させる空油圧変換手段を混練機本体とは、別置に設けることで、密閉式混練機の高さ方向の寸法を低して、コンパクトな構造とすることができるので、一体搬送や、施設等への据付、メインテナンスも容易に行なうことが可能となる。また、空油圧変換手段を混練機本体とは、別置に設けることで、ホッパー内に投入される被混練物や、密閉式混練機に存在するゴミ、埃等の周囲環境に影響を受けるのは油圧シリンダのみにすることができ、且つフローテイングウエイトの昇降に追従する配管処理を必要としないので、メインテナンス容易で信頼性の高い混練を行なうことが可能となる。更に、空油圧変換手段が、油圧と空圧との間の圧力変換によりフローテングウエイトのクッション機能等を行なっているので、空圧の消費と排出音を無くしてランニングコストを低減できる。ここで、フローテングウエイトを下降するために、直接、油圧シリンダの油圧側へ油圧を供給することと、空油圧変換手段の油圧側から供給される油圧との切換は、フローテイングウエイトの下降距離や油圧シリンダに作用する油圧を検出手段により検出して、一定距離又は一定油圧に達した時点で、油圧シリンダの油圧側に油圧を直接供給することから、空油圧変換手段の油圧側から供給される油圧に切換えるようにしてもよい。
【0007】請求項2においては、請求項1のものに、前記空油圧切換手段の空圧側が、エアタンクを通して空圧供給されることを特徴とするものである。これにより、フローテングウエイトが混練機本体からの反力を受けて、油圧として空油圧変換手段の圧力側に戻されると、この空圧側が昇圧することになるが、この昇圧はエアタンクにより吸収されて、空油圧変換手段の空圧側の異常昇圧を低減できる。
【0008】請求項3においては、請求項1又は請求項2のものに、前記空油圧変換手段の油圧側は、前記油圧シリンダの油圧側と、油圧を供給する油圧補助回路の各々に切換自在にされていることを特徴とするものである。これにより、空油圧変換手段の油圧側と油圧回路とを接続することで、フローテングウエイトで被混練物を混練機本体に押し込む油圧を空油圧変換手段の油圧側に蓄圧して初期状態にすることができると共に、空油圧変換手段の油圧側と油圧シリンダの油圧側とを接続することで、フローテングウエイトのクッション機能を発揮できる。
【0009】請求項4においては、前記フローテイングウエイトに接続したステムをビームに取付け、このビームの両端側に油圧シリンダのロッドを接続することで、前記フローテイングウエイトが前記ホッパー内に対して昇降自在にされているこれにより、油圧シリンダで支える部材が、フローテングウエイト、ステムおよびビームであるので、混練機本体やホッパーの剛性の低減を図ることできるので、密閉式混練機自体の重量や製造コストを軽減できる。また、油圧シリンダが、ステムおよびビームを介してフローテングウエイトに一体化されているので、この油圧シリンダからの油漏れが、ホッパーから混練機本体内に入ることがなくなる。
【0010】
【本発明の実施の形態】以下、本発明の密閉式混練機について、図1乃至図3を参照して説明する。図1は本発明における密閉式混練機の構成とその上昇作動状態とを説明するための全体模式図、図2は本発明における密閉式混練機の構成とその下降作動状態とを説明するための全体模式図、図3は本発明の密閉式混練機の作動を説明するための作動流れ図である。
【0011】図1及び図2において、密閉混練機Xは、混練機本体1、混練機本体1に圧油を給排する油圧回路2、混練機本体1と別置に設けられ油圧回路2に油圧補助回路30を介して接続される空油圧変換器3(空油圧変換手段)、および空油圧変換器3に接続される空圧回路4とを主要部として構成されている。
【0012】混練機本体1は、この底側に図示しないドロップドアを有する混練室5内に混練用ロータ6,6が配置されていると共に、この混練室5の上部にホッパー7が連結されている。ホッパー7の上端側にはホッパー7内を摺動自在とされたフローテイングウエイト9が配置され、フローテイングウエイト9はホッパー7の上端側のガイドブッシュ10を摺動自在に貫通して延びるステム11(軸部材)の下端に固定されている。ステム11は、その上端側がコネクティングビーム12を介してホッパー7の外側に固設された一対の油圧シリンダ13,13のシリンダロッド14A,14Aに一体化されている。各油圧シリンダ13,13は、そのシリンダ本体14B,14B内を摺動自在にされたシリンダピストン14C,14Cにより区画される2つの油圧室H,Iを有しており、このシリンダピスト14C,14Cにシリンダロッド14A,14Aが連結されてシリンダ本体14C,14Cに対して進退自在にされている。これにより、フローテイングウエイト9は、各油圧シリンダ13,13のシリンダロッド14A,14Aを進退することで、混練室5に対して昇降移動されるようになっている。また、混練機本体1のホッパー7には、図示しない投入口から被混練物(原料)が投入されると共に、混練室5の混練用ロータ6,6で混練された被混練物は上記ドロップドアから取り出される。15〜17は昇降されるフローテイングウエイト9の上限/下限の移動をを監視するON/OFF式のリミットスイッチであって、各々がフローテイングウエイト9のコネクティングビーム12に接触自在に配置されている。18はガイドブッシュ10上に設けられたダンパである。
【0013】油圧回路2は、油圧タンクTから作動油を吸引して供給管路20に吐出する油圧ポンプPを有し、この油圧ポンプPから吐出される作動圧油の吐出量(吐出圧力)は駆動モータMの駆動により制御される。供給管路20は電磁方向切換弁21の入力側ポート21aに接続されていると共に、上記ドロップドアの開閉等を行なう図示しない他の油圧機器等にも接続されている。
【0014】電磁方向切換弁21は、上記入力側ポート21aの他に、混練機本体1の各油圧シリンダ13,13に接続される2つの出力ポート21c,21dと、油圧タンクTに接続される排出側ポート21bとを有しており、中立位置B(排出側ポート21bと各出力側ポート21c,21dとを連通する位置)、切換位置A(入力側ポート21aと出力側ポート21dとを連通し、排出側ポート21bと出力側ポート21bとを連通する位置)、及び切換位置C(入力側ポート21aと出力側ポート21cとを連通し、出力側ポート21dと排出側ポート21bとを連通する位置)とを有し、各ソレノイド21A,21Bを励磁、又は消磁することで各々の位置A〜Cに切換可能にされている。また、電磁方向切換弁21の出力側ポート21cは、作動管路22を通して各油圧シリンダ13,13の油圧室H,H(油圧側)に、出力側ポート21dは作動管路23を通して各油圧シリンダ13,13の油圧室I,Iに接続されている。
【0015】各作動管路22,23には、チェックスロットル弁24が各々に配置されており、各チェックスロットル弁24,24は作動管路22,23中に設けられた可変式絞り24Aと、各作動管路22,23を迂回する迂回管路25中に設けられたチェック弁24Bとで構成され、この各チェック弁24Bは電磁方向切換弁21から各油圧シリンダ13,13側への作動圧油の流れを許容し、その逆の流れを規制するようになっている。また、作動管路22には、チェックスロットル弁24の電磁方向切換弁21側(上流側)にパイロットチェック弁26と、チェックスロットル弁24の各油圧シリンダ13,13側(下流側)にリリーフ弁27とがそれぞれ配置されている。このパイロットチェック弁26は、通常時に、電磁方向切換弁21から各油圧式シリンダ13,13側への作動圧油の流れを許容し、その逆の流れを規制するものであるが、作動管路23から分岐するパイロット管路27から導入されるパイロット圧により油圧式シリンダ13,13から電磁方向切換弁21への作動圧油の流れを許容するようになっている。リリーフ弁27は、通常時に、弁ばね29のばね力で油圧タンクTから遮断する位置にさており、作動管路22から分岐するパイロット管路30から導入されるパイロット圧が弁ばね29のばね力より大きくなると作動管路22とタンクTとを連通して、各油圧式シリンダ13,13の油圧室H,H(油圧側)に供給される作動圧油が異常上昇した時に油圧タンクTに逃がすものである。
【0016】そして、油圧回路2は、混練機本体1とは別置に設けられた油圧補助回路30を介して空油圧変換器3に接続されている。油圧補助回路30は、供給管路20から分岐して空油圧変換器3に接続される油圧導入管路31と、この油圧導入管路31から更に分岐してリリーフ弁27の各油圧シリンダ13,13側(下流側)に位置する作動管路22に接続される変換管路32とを有し、各管路31,32中にはそれぞれ電磁切換弁33,34が配置されている。電磁切換弁33は、連通位置D(油圧ポンプPと空油圧変換器3とを連通する位置)と、遮断位置E(油圧ポンプPと空油圧変換器3とを遮断する位置)とを有し、ソレノイド33Aの励磁で連通位置Dに、その消磁で遮断位置Eに切換可能にされている。また、電磁切換弁34は遮断位置F(油圧式シリンダ13,13と空油圧変換器3とを遮断する位置)と、連通位置G(油圧式シリンダ9,9と空油圧変換器3とを連通する位置)とを有し、ソレノイド34Aの励磁で連通位置Gに、その消磁で遮断位置Fに切換可能にされている。尚、35は電磁切換弁33の空油圧変換器3側に位置する油圧導入管路31に配置されたチェック弁であって、電磁切換弁33側から空油圧変換器3側への作動圧油の流れを許容し、その逆の流れを規制するようになっている。
【0017】空油圧変換器3は、この本体40内に小径空間3Aと大径空間3Bとが気密に区画されており、これらの空間3A,3Bに変換用ピストン41が配置されている。変換用ピストン41は、各空間3A,3Bとに亘って延びるピストンロッド42の上端に形成された小径頭部43を小径空間3A内に摺動自在に挿入し、下端に形成された大径頭部44を大径空間3Bに摺動自在に挿入して、本体40に対して上下移動可能にされている。また、変換用ピストン41は、小径頭部43と本体40の上端との間に油圧室K(油圧側)を、大径頭部44と本体40の下端との間に空圧室L(空圧側)をそれぞれ区画しており、油圧室Kに油圧補助回路30の油圧導入管路31が接続されている。また、変換用ピストン41の大径頭部44には、この小径頭部43側に向かって延びて本体40から外部に突出するストライカ45が取り付けられている。46,47は変換用ピストン41の移動の上限側と下限側に設けられたON/OFF式のリミットスイッチであって、変換用ピストン41の上下移動に追従して移動するストライカ45との接触により、変換用ピストン41の移動の上限/下限を監視するものである。
【0018】空圧回路4は、空油圧変換器3の空圧室L(空圧側)とコンプレッサ50とを接続する空圧導入管路51を有し、この空圧導入管路51には所定容量のエアタンク52が配置されている。エアタンク52のコンプレッサ50側に位置する空圧導入管路51には、チェック弁53、減圧弁54の順で配置されており、このチェック弁53はコンプレッサ50から空油圧変換器3への作動圧空気の流れを許容し、その逆の流れを規制するようになっている。減圧弁54は、この減圧弁54とチェック弁53との間に位置する空圧導入管路51から分岐するパイロット管路55から導入されるパイロット圧と弁ばね54Aのばね力との関係によりコンプレッサ50からエアタンク52を介して空油圧変換器3の空圧室L(空圧側)に供給される作動圧空気の空圧を調整するものである。また、エアタンク52には、この内部の空圧が異常上昇した時に、作動圧空気を外部に放出するための開閉弁56と安全弁57とがそれぞれ接続されている。58は空油圧変換器3の空圧室L(空圧側)内に導入される作動圧空気の空圧を監視する圧力スイッチ、59は減圧弁54からチェック弁53を通過する作動圧空気の空圧を監視する圧力計である。
【0019】このように、本発明の密閉式混練機Xは、以上のように構成されるが、次に、この密閉式混練機Xの作動について、図1乃至図3に基づいて説明する。尚、説明の便宜上、図1に示すように、各油圧シリンダ13,13のシリンダロッド14A,14Aはウエイト9を上限までさせた位置まで伸長されており、電磁方向切換弁21は中間位置Bに、電磁切換弁33,34は遮断位置E,Fにされているものとする。
【0020】(1)被混練物(原料)を混練するために、図示しない投入口からホッパー7内に投入すると同時に、空圧回路4のコンプレッサ50から吐出される作動圧空気を減圧弁55で所定圧力に調整しつつエアタンク52を通して空油圧変換器3の空圧室L(空圧側)に導入し、油圧回路2の駆動モータMを駆動して油圧ポンプPから供給管路20に作動圧油を吐出させると共に、電磁切換弁33のソレノイド33Aを励磁して連通位置Dに切換える。この供給管路20に吐出された作動圧油は、電磁方向切換弁21の入力側ポート21aに導入され、また油圧導入管路31−電磁切換弁33およびチェック弁35を通して空油圧変換器3の油圧室K(油圧側)に導入される。そして、空油圧変換器3の油圧室K(油圧側)に導入される作動圧油で、変換用ピストン41は、図1に示すように、この油圧室K(油圧側)の容積を増加させ、空圧室Lの容積を減少させつつ下側に移動していき、ストライカ45がリミットスイッチ47に接触して「ON」になると、電磁切換弁33のソレノイド33Aを消磁して連通位置Dから遮断位置Eに切換える。これにより、空油圧変換器3は、油圧ポンプPからの作動圧油の供給が遮断されるので、変換用ピストン41が下限まで移動された初期状態に保持される。すなわち、空圧回路2のコンプレッサ50からエアタンク52を通して空油圧変換器3の空圧室L(空圧側)に導入される作動圧空気は、所定容積を有するエアタンク52を介して除々に所定圧力まで上昇されていくが、空油圧変換器3の変換用ピストン41が初期状態になると、各電磁切換弁33,34は遮断位置E,Fにされるので、空油圧変換器3は空圧室Lの作動圧空気(空圧)を変換用ピストン41を介して油圧室Kの作動圧油(油圧)へ圧力変換することなく、変換用ピストン41を上記初期状態に保持するものである。
【0021】(2)空油圧変換器3を上記初期状態にして、所定時間を経過させた後、電磁方向切換弁21を切換位置Cに切換えると、電磁方向切換弁21の入力側ポート21aに導入されている作動圧油が電磁方向切換弁21の出力側ポート21cから作動管路22のパイロットチェック弁26およびチェックスロットル弁24を通して各油圧シリンダ13,13の油圧室H(油圧側)に供給される。これにより、各油圧シリンダ13,13のシリンダロッド14A,14Aは、油圧室H,H(油圧側)に供給された作動圧油により油圧室I,Iにある作動圧油を作動管路23のチェックスロットル弁24−電磁方向切換弁21の出力側ポート21dおよび排出側ポート21bを通して油圧タンクTに戻しつつ本体40内に退避されていき、この各シリンダロッド14A,14Aの退避に追従してウエイト9もホッパー7内に投入された被混練物を混練室5に押し込みつつ下降していくことになる。そして、各油圧シリンダ13,13のシリンダロッド14A,14A(ウエイト9)が下降していき、コネクションビーム12がリミットスイッチ16,17の順に接触して「ON」になると、電磁方向切換弁21のソレノイド21Bを消励して切換位置Cから中立位置Bにする。これにより、各油圧シリンダ13,13のシンダロッド14A,14Aの退避が停止されるので、ウエイト9の下降も停止されて、混練室5内での被混練物の混練可能な状態にする。
【0022】(3)この後、電磁切換弁34のソレノイド34Aを励磁して遮断位置Fから連通位置Gに切換えると共に、混練室5内に配置された混練用ロータ6,6を回転させる。これにより、空油圧変換器3の圧力室K(油圧側)は電磁切換弁34−変換管路32および作動管路22を介して各油圧シリンダ13,13の油圧室H,H(油圧側)に連通されるので、空油圧変換器3の空圧室L(空圧側)に導入された作動圧空気の圧力が、この油圧室K(油圧側)に導入された作動圧油の圧力に打ち勝って、この作動圧空気の圧力と作動圧油の圧力との差分だけ変換用ビストン41を上側に移動させて、この作動圧空気の圧力を作動圧油の圧力に圧力変換する。そして、空油圧変換器3の圧力室K(油圧側)に導入した作動圧油は、電磁切換弁34−変換管路32および作動管路22を通して各油圧シリンダ13,13の油圧室H,H(油圧側)に導入されるので、各油圧シリンダ13,13のシリンダロッド14A,14Aが退避されて、ウエイト9により被混練物を更に混練室5内に押し込んで、各混練用ロータ6,6に噛込ませる。
【0023】(4)被混練物を各混練用ロータ6,6に噛込ませると、この各混練用ロータ6,6の回転により被混練物の一部を混練室5内に導いて混練する。このとき、混練用ローラ6,6は、被混練物の一部を混練室5内に導くと共に、被混練物の他部を混練室5外に押し上げるように回転するので、被混練物の押し上げによる反力でウエイト9が僅かに上昇する。そして、ウエイト9が僅かに上昇すると、この上昇に追従してステム11−コネクションビーム12を介して各油圧シリンダ13,13のシリンダロッド14A,14Aも僅かに伸長され、このシリンダロッド14A,14Aの伸長により各油圧シリンダ13,13の油圧室H,H(油圧側)に導入された作動圧油が作動管路22−変換管路32および電磁切換弁34を介して空油圧変換器3の油圧室K(油圧側)に戻される。これにより、空油圧変換器3の油圧室K(油圧側)に戻された作動圧油の圧力と、空圧室L(空圧側)の作動圧空気の圧力との差分だけ変換用ビストン41を下側に僅かに移動させるように、この作動圧油の圧力を作動圧空気の圧力に圧力変換することで緩衝的に受けられて、ウエイト9のクッション機能を発揮させる。このとき、変換用ピストン41が下側に僅かに移動されると、空油圧変換器3の空圧室L(空圧側)の容積が減少して昇圧することになるが、作動圧空気が空圧導入管路51を通して、空圧室L(空圧側)より大きい容積を有するエアタンク52に戻されることで昇圧低減される。このように、空油圧変換器3の油圧室K(油圧側)に導入される作動圧油と空圧室L(空圧側)に導入される作動圧空気との相互間で圧力変換することにより、ウエイト9のクッション機能を発揮しつつ、空油圧変換器3の変換用ピストン41を上側に移動することで、被混練物を除々に、混練室5内に導いて各混練用ロータ6,6の回転により混練するものである。
【0024】(5)この後、混練室5内での各混練用ロータ6,6の回転による被混練物の混練が終了して、電磁方向切換弁21のソレノイド21Aを励磁して中立位置Bから切換位置Aに切換えると、電磁方向切換弁21の入力側ポート21aに導入されている作動圧油が電磁方向切換弁21の出力側ポート21dから作動管路23のチェックスロットル弁24を通して各油圧シリンダ13,13の油圧室I,Iに供給される。次いで、各油圧シリンダ13,13のシリンダロッド14A,14Aは、油圧室I,Iに供給された作動圧油により油圧室H,Hにある作動圧油を作動管路22のチェックスロットル弁24−パイロット管路28から導入されるパイロット圧で開状態にされたパイロットチェック弁26−電磁方向切換弁21の出力側ポート21dおよび排出側ポート21bを通して油圧タンクTに戻しつつ本体40外に伸長されていき、この各シリンダロッド14Aの伸長に追従してウエイト9も上昇していくことになる。そして、各油圧シリンダ13,13のシリンダロッド14A,14A(ウエイト9)が上昇していき、コネクティングビーム12がリミットスイッチ15に接触して「ON」になると、電磁方向切換弁21のソレノイド21Aを消励して切換位置Aから中立位置Bにする。これにより、各油圧シリンダ13,13のシンダロッド14A,14Aの伸長が停止されるので、ウエイト9の上昇も停止される。
【0025】(6)この後、混練室5内で混練された混練物を上記ドロップドアから取り出して、再び、混練するために上記(1)乃至(5)記載の作動を繰り返すことにより行なわれるものである。
【0026】尚、本発明の密閉式混練機においては、ウエイト9を昇降させる手段として、ステム11及びコネクティングビーム12を介して一体化された一対の油圧シリンダ13,13で行なうものを示したが、これに限定されるものでなく、単一の油圧シリンダ13のシリンダロッド14A先端にウエイト9を固定して、このシリンダロッド14Aの伸長によりウエイト9を混練室5側に下降させ、退避によりウエイト9を混練室5側から上昇させるようにしたものであってもよい。
【0027】また、本発明の密閉式混練機において、空油圧変換器3は変換用ピストン41を上下方向に移動させることで油圧室Kと、空圧室Lとを区画する構成について説明したが、これに限定されるものでなく、変換用ピストン41を横方向(上下方向に直交する方向)に移動させることで油圧室K(油圧側)と、空圧室L(空圧側)とを区画する構成としたものであってもよい。
【0028】更に、本発明の密閉式混練機においては、油圧回路2、油圧補助回路30及び空圧回路4は一例を示すもので、他のいかなる回路構成としたものであってもよく、また、空圧回路4の空圧導入管路51にエアタンク52を配置したものを示したが、ウエイト9のクッション機能において、空油圧変換器3の変換用ピストン41が下側に僅かに移動された際に、空圧室Lの昇圧を許容することができれば、エアタンク52を設けない構成としてもよい。
【0029】また、本発明の密閉式混練機においては、被混練物を各混練用ロータ6,6の噛込ませるタイプについて説明したが、非噛込みタイプの密閉式混練機に適用したものであってもよい。
【0030】更に、本発明の密閉式混練機においては、空油圧変換器3を混練機本体1と別置に設けたものを示したが、これに限定されるものでなく、油圧シリンダ13やフローテイングウエイト9の昇降に支障をきたすことのなように、混練機本体1に設けたものであってもよい。
【0031】また、本発明の密閉式混練機においては、フローテングウエイト9を下降するために、油圧回路2から直接に油圧シリンダ13,13の油圧室H,Hへ油圧を供給することと、空油圧変換器3の油圧室Kから供給される油圧との切換は、フローテイングウエイト9の下降距離や各油圧シリンダ13,13の油圧室Iに作用する油圧を検出手段(リミットスイッチ16,17や圧力センサ等)により検出して、フローテイングウエイト9が、一定距離だけ下降し、又は各油圧シリンダ13,13の油圧室I,Iが一定圧力に達した時点で、油圧シリンダ13,13の油圧室H,Hに油圧回路2から直接供給することから、空油圧変換器3の油圧室Kから供給される油圧に切換える(電磁方向切換弁21を中立位置B、電磁切換弁33を遮断位置E、電磁切換弁34を連通位置G切り換える)ものであってもよい。
【0032】
【発明の効果】このように、本発明の密閉式混練機によれば、請求項1では、空油圧変換手段により油圧側に変換される空圧側の圧力供給で、フローテイングウエイトを混練機本体に被混練物を押し込むように下降させることができ、また、フローテイングウエイトが混練機本体から被混練物を介して反力を受けると、この反力が油圧として空油圧変換手段に戻されて、空油圧変換手段により空圧側に変換されてることで緩衝的に受けて、フローテイングウエイトのクッション機能を発揮させることになる。このように、フローテイングウエイトのクッション機能を発揮させる空油圧変換手段を混練機本体とは、別置に設けることで、密閉式混練機の高さ方向の寸法を低して、コンパクトな構造とすることができるので、一体搬送や、施設等への据付、メインテナンスも容易に行なうことが可能となる。また、空油圧変換手段を混練機本体とは、別置に設けることで、ホッパー内に投入される被混練物や、密閉式混練機に存在するゴミ、埃等の周囲環境に影響を受けるのは油圧シリンダのみにすることができ、且つフローテイングウエイトの昇降に追従する配管処理を必要としないので、メインテナンス容易で信頼性の高い混練を行なうことが可能となる。更に、空油圧変換手段が、油圧と空圧との間の圧力変換によりフローテングウエイトのクッション機能等を行なっているので、空圧の消費と排出音を無くしてランニングコストを低減できる。
【0033】請求項2では、請求項1の効果に加えて、フローテングウエイトが混練機本体からの反力を受けて、油圧として空油圧変換手段の圧力側に戻されると、この空圧側が昇圧することになるが、この昇圧はエアタンクにより吸収されて、空油圧変換手段の空圧側の異常昇圧を低減できる。
【0034】請求項3では、請求項1の効果に加えて、空油圧変換手段の油圧側と油圧回路とを接続することで、フローテングウエイトで被混練物を混練機本体に押し込む油圧を空油圧変換手段の油圧側に蓄圧して初期状態にすることができると共に、空油圧変換手段の油圧側と油圧シリンダの油圧側とを接続することで、フローテングウエイトのクッション機能を発揮できる。
【0035】請求項4では、請求項1の効果に加えて、油圧シリンダで支える部材が、フローテングウエイト、ステムおよびビームであるので、混練機本体やホッパーの剛性の低減を図ることできるので、密閉式混練機自体の重量や製造コストを軽減できる。また、油圧シリンダが、ステムおよびビームを介してフローテングウエイトに一体化されているので、この油圧シリンダからの油漏れが、ホッパーから混練機本体内に入ることがなくなる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における密閉式混練機の構成と、その上昇作動状態とを説明するための全体模式図である。
【図2】本発明における密閉式混練機の構成と、その下降作動状態とを説明するための全体模式図である。
【図3】本発明の密閉式混練機の作動を説明するための作動流れ図である。
【図4】従来技術の密閉式混練機の構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 混練機本体
2 油圧回路
3 空油圧変換器
7 ホッパー
9 フローテイングウエイト
11 ステム
12 コネクティングビーム
13 油圧シリンダ
14A シリンダロッド
30 油圧補助回路
52 エアシリンダ
H 油圧シリンダの油圧室(油圧側)
K 空油圧変換器の油圧室(油圧側)
L 空油圧変換器の空圧室(空圧側)

【特許請求の範囲】
【請求項1】 混練機本体に連設され被混練物が投入されるホッパー内を、昇降自在にされたフローテイングウエイトを有する密閉式混練機において、前記混練機本体に連設して、前記フローテイングウエイトを昇降させる油圧シリンダを設け、前記混練機本体とは別置に、油圧側と空圧側との間で圧力変換する空油圧変換手段を設けると共に、前記フローテイングウエイトを下降させるための前記油圧シリンダの油圧側が、前記空油圧変換手段の油圧側に接続されていることを特徴とする密閉式混練機。
【請求項2】 前記空油圧変換手段の空圧側が、エアタンクを通して空圧供給されることを特徴とする請求項1記載の密閉式混練機。
【請求項3】 前記空油圧変換手段の油圧側は、前記油圧シリンダの油圧側と、油圧を供給する油圧補助回路の各々に切換自在にされていることを特徴とする請求項1記載の密閉式混練機。
【請求項4】 前記フローテイングウエイトに接続したステムをビームに取付け、このビームの両端側に油圧シリンダのロッドを接続することで、前記フローテイングウエイトが前記ホッパー内に対して昇降自在にされていることを特徴とする請求項1記載の密閉式混練機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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