説明

寝具の洗浄装置及び洗浄方法

【課題】寝具を内周に沿ってセットした回転フレームを回転させながら、寝具の洗浄や乾燥を行なうにあたって、蒸気消毒により寝具の内部まで十分に消毒することができる寝具の洗浄装置を提供する。
【解決手段】軸周りに回転駆動される筒かご状に形成され、内周に沿って出し入れ自在に寝具1がセットされる回転フレーム2を洗浄槽3内に配置して設ける。回転フレーム2を回転駆動しながら回転フレーム2の内側から寝具1に洗浄水を供給して寝具1を洗浄する洗浄手段。寝具1の洗浄終了後、回転フレーム2を回転駆動して寝具1から脱水した後に、回転フレーム2を回転駆動しながら水蒸気を回転フレーム2内に供給して寝具1を蒸気消毒する蒸気供給手段。寝具1を蒸気消毒した後に、回転フレーム2を回転駆動しながら温風を寝具1に吹き当てて寝具1を乾燥する乾燥手段。これらの各手段を具備して、寝具1を洗浄、脱水、蒸気消毒、乾燥することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マットレスなどの寝具を洗浄する、寝具の洗浄装置及び洗浄方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
病院や介護センターなどにおいて、ベッドの寝具を丸洗いして洗浄する要望が高まっている。そこでマットレスのような大型の寝具を洗浄する洗浄装置が提供されているが、マットレスのような大型の寝具を丸洗いすることは難しいために、種々の工夫がなされている。
【0003】
例えば図10に示すものは、寝具の洗浄から乾燥までを連続的に行なうことができるようにしたものであり、駆動モータ21で回転駆動される筒かご状の回転フレーム22が洗浄槽(図示省略)内に設置してあり、この回転フレーム22の内周に沿わせて寝具1をセットするようにしてある。また回転フレーム22の中心内に通した軸管23に洗浄水タンク24が接続してあり、さらに洗浄槽内において回転フレーム22の近傍に熱風発生器25が設置してある(特許文献1参照)。
【0004】
そしてこのものにあって、マットレス等の寝具1を内周にセットした回転フレーム22を回転駆動しながら、洗浄水タンク24から軸管23に洗浄水を供給し、軸管23に設けた散水孔26から洗浄水を吐出させることによって、寝具1の内側に洗浄水を供給して、洗浄を行なうことができるものである。このとき、回転フレーム22の回転による遠心力で、洗浄水は寝具1の内側から外側へと寝具1の内部を良好に浸透するために、少ない水量で洗浄を行なうことができるものである。次に、洗浄が終わった後、回転フレーム22を高速回転することによって、寝具1中に浸透した洗浄水を遠心脱水した後、熱風発生器25から熱風を発生させることによって、熱風で寝具1を加熱して乾燥するものである。このように回転フレーム22を高速回転して脱水するにあたって、寝具1は回転フレーム22の内周に沿わせた状態に保持されているため、遠心力は寝具1の全体に均一に作用し、寝具1に傷みが発生することなく均一に脱水することができるものである。また回転フレーム22内に寝具1をセットして回転させながら、洗浄、脱水、乾燥を連続して行なうことができるので、運転を自動化することが可能になるものである。
【特許文献1】特開2002−191894号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のようにマットレスなどの寝具を洗浄するにあたって、病院や介護センターなどのように病人によって使用される寝具は、洗浄の他に消毒が十分に行なわれることが望まれる。しかし上記の装置では、寝具の洗浄を行なうことはできるが、寝具の内部まで十分に消毒することは難しいという問題があった。
【0006】
本発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、寝具を回転フレームの内周に沿ってセットして、回転フレームを回転させながら寝具の洗浄や乾燥を行なうにあたって、蒸気消毒により寝具の内部まで十分に消毒することができる寝具の洗浄装置及び洗浄方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の請求項1に係る寝具の洗浄装置は、軸周りに回転駆動される筒かご状に形成され、内周に沿って出し入れ自在に寝具1がセットされる回転フレーム2を洗浄槽3内に配置して設けた寝具の洗浄装置において、回転フレーム2を回転駆動しながら回転フレーム2の内側から寝具1に洗浄水を供給して寝具1を洗浄する洗浄手段と、寝具1の洗浄終了後、回転フレーム2を回転駆動して寝具1から脱水した後に、回転フレーム2を回転駆動しながら水蒸気を回転フレーム2内に供給して寝具1を蒸気消毒する水蒸気供給手段と、寝具1を蒸気消毒した後に、回転フレーム2を回転駆動しながら温風を寝具1に吹き当てて寝具1を乾燥する乾燥手段とを具備して成ることを特徴とするものである。
【0008】
この発明によれば、寝具1を回転フレーム2の内周に沿ってセットした状態で、回転フレーム2を回転させながら寝具1の洗浄から乾燥までを連続して行なうことができ、少ない水量で寝具1を洗浄できると共に洗浄から乾燥までの作業を自動化することが可能になるものである。そして、水蒸気供給手段による水蒸気の供給によって、寝具1を蒸気消毒することができるものであり、しかも、回転フレーム2の回転によって、水蒸気は遠心力や寝具1の内周側と外周側の圧力差で寝具1の内部へ浸透すると共に内周側から外周側へと寝具1内を通過し、寝具1の内部まで効率良く均一に蒸気洗浄することができるものである。
【0009】
また請求項2の発明は、請求項1において、回転フレーム2の側面に対向して配置され、側面の開口から回転フレーム2内に水蒸気を噴出して供給する水蒸気噴出ノズル7を備えて成ることを特徴とするものである。
【0010】
この発明によれば、水蒸気噴出ノズル7から水蒸気を噴出させることによって、回転フレーム2内に水蒸気を送り込むことができ、水蒸気による寝具1の消毒を効率良く行なうことができるものである。
【0011】
また請求項3の発明は、請求項1において、回転フレーム2の中心にパイプ状の支持軸4を配置して設けると共に回転フレーム2を支持軸4の周りに回転自在に取り付け、支持軸4内に水蒸気供給路8を形成すると共に、水蒸気供給路8を通して供給された水蒸気を回転フレーム2内に噴出する水蒸気噴出口11を支持軸4に設けて成ることを特徴とするものである。
【0012】
この発明によれば、回転フレーム2を支持する支持軸4を利用して、回転フレーム2内に水蒸気を送り込むことができ、水蒸気による寝具1の消毒を効率良く行なうことができるものである。
【0013】
本発明の請求項4に係る寝具の洗浄方法は、軸周りに回転駆動される筒かご状に形成された回転フレーム2を洗浄槽3内に配置して設け、回転フレーム2の内周に沿って出し入れ自在に寝具1をセットして、回転フレーム2を回転駆動しながら回転フレーム2の内側から寝具1に洗浄水を供給して寝具1を洗浄し、寝具1を洗浄した後に、回転フレーム2を回転駆動して寝具1の脱水を行ない、寝具1を脱水した後に、回転フレーム2を回転駆動しながら水蒸気を回転フレーム2内に供給して寝具1を蒸気消毒し、寝具1を蒸気消毒した後に、回転フレーム2を回転駆動しながら温風を寝具1に吹き当てて寝具1を乾燥することを特徴とするものである。
【0014】
この発明によれば、寝具1を回転フレーム2の内周に沿ってセットした状態で、回転フレーム2を回転させながら寝具1の洗浄から乾燥までを連続して行なうことができ、少ない水量で寝具1を洗浄できると共に洗浄から乾燥までの工程を自動化することが可能になるものである。そして、水蒸気で寝具1を消毒することができるものであり、しかも、回転フレーム2の回転によって、水蒸気は遠心力や寝具1の内周側と外周側の圧力差で寝具1の内部へ浸透すると共に内周側から外周側へと寝具1内を通過し易く、寝具1の内部まで効率良く均一に蒸気消毒することができるものである。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、寝具1を回転フレーム2の内周に沿ってセットした状態で、回転フレーム2を回転させながら寝具1の洗浄から乾燥までを連続して行なうことができ、少ない水量で寝具1を洗浄できると共に洗浄から乾燥までを自動化することが可能になるものである。そして、水蒸気で寝具1を消毒することができるものであり、しかも、回転フレーム2の回転によって、水蒸気は遠心力や寝具1の内周側と外周側の圧力差で寝具1の内部へ浸透すると共に内周側から外周側へと寝具1内を通過し、寝具1の内部まで効率良く均一に蒸気消毒することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
【0017】
図4は本発明の洗浄装置の全体を示すものであり、洗浄槽3の両側に器械ケーシング35,36が設けてある。洗浄槽3の前面の中央部は開口部37として形成してあり、開口部37には上下にスライドさせることによって開口部37を開閉する扉38が取り付けてある。
【0018】
洗浄槽3内には図1〜図3及び図5に示すような回転フレーム2が設けてある。尚、図1,2は回転フレーム2内に寝具1を挿入する準備段階を示しているものである。回転フレーム2は、両側の円環状の側枠40の間に掛け渡して横枠41を所定間隔で複数本取り付けると共に、各横枠41間に渡して複数本の細枠42を側枠40と平行に取り付けることによって形成される円筒形の筒かご体43からなるものである。そして軸リング44の外周に複数本の支持棒45を放射状に取り付けると共に、この各支持棒45の先端を側枠40の内周に取り付けることによって、筒かご体43を支持棒45を介して軸リング44で支持して、回転フレーム2を形成するようにしてある。
【0019】
回転フレーム2の筒かご体43の一部には、横枠41や細枠42を設けていない部分が図5のように形成してあり、この開口部分が回転フレーム2内に寝具1を出し入れする出入口46となるものである。筒かご体43の外側にはその周方向にスライド自在に格子状の開閉扉51が取り付けてあり、開閉扉51で出入口46を開閉することができるようにしてある。
【0020】
また筒かご体43の内側には、筒かご体43と平行に複数本のガイドレール47が取り付けてある。このガイドレール47は、両側の側枠40に取り付けた対向する支持棒45の間に架設した網板48や、他の対向する支持棒45の間に架設した連結棒49に固定することによって、筒かご体43の内側に取り付けるようにしてある。ガイドレール47と筒かご体43の内周との間に寝具1を差し込むことによって、寝具1を回転フレーム2の内周に沿わせた状態に保持してセットすることができるものである。
【0021】
支持台53は図1、図2に示すように両側に側支持枠54を設けて上向き開口のコ字形に形成されるものであり、支持台53は洗浄槽3内に収められるようになっている。この支持台53の両側の側支持枠54の上部間に支持軸4を水平に架け渡して固定して取り付けてある。支持軸4は円筒パイプ状に形成されるものであり、この支持軸4の外周に回転フレーム2の左右一対の軸リング44を回転自在に取り付けることによって、回転フレーム2を洗浄槽3内に配置してある。そして左右一対の軸リング44のうち一方には従動プーリ55が固定してあり、支持軸4の下方において支持台53に取り付けたモータ56の原動プーリ57とこの従動プーリ55の間にベルト58が懸架してある。従って、モータ56を作動させて原動プーリ57を回転することによって、ベルト58を介して従動プーリ55を回転させ、回転フレーム2を支持軸4を回転中心として回転駆動することができるものである。
【0022】
上記の円筒パイプ状に形成される支持軸4内は、支持軸4の全長に亘る仕切り板60によって、図5に示すように上下に仕切ってあり、支持軸4内の仕切り板60の下側は洗浄水供給路5、上側は温風供給路6として形成してある。
【0023】
そして洗浄水供給路5の部分において支持軸4の下部に、軸方向に沿った複数個所に散水口61が形成してあり、また図6に示すように、支持軸4の一端部において洗浄水供給路5の部分に洗浄水供給管62が接続してある。洗浄水供給管62は電磁弁63を介して水道管64と接続してあり、またこの洗浄水供給管62には一対の分岐管65,66が接続してあって、各分岐管65,66はそれぞれ、ポンプ67,68を介して洗剤タンク69と殺菌剤タンク70に接続してある。これらの、洗浄水供給路5、散水口61、洗浄水供給管62、電磁弁63、水道管64、分岐管65,66、ポンプ67,68、洗剤タンク69、殺菌剤タンク70などから、本発明の洗浄手段が形成されるものである。
【0024】
また、支持軸4の上部に図5のように温風供給路6内と連通する一対の温風供給管73が、図3に示すように上方へ立設してあり、この一対の温風供給管73の上端間に架け渡して内側温風吹出しノズル74が取り付けてある。内側温風吹出しノズル74は回転フレーム2の内側において、回転フレーム2に軸方向の略全長に沿って配置されるものである。この内側温風吹出しノズル74内は温風供給管73内と連通させてあり、内側温風吹出しノズル74の上端に沿ってノズル孔75が図5のように開口してある。器械ケーシング35内には電気温風機76が設置してあり、電気温風機76から温風配管77が導出してある。そしてこの温風配管77から分岐した分岐温風配管78の先端が、支持軸4の上記の洗浄水供給管62と接続した側と反対側の端部において、支持軸4内の温風供給路6に接続してある。
【0025】
また回転フレーム2の外側において、図1、図2に示すように、回転フレーム2の軸方向の略全長に沿って外側温風吹出しノズル79が配置してある。そして電気温風機76から導出される上記の温風配管77は図2のように回転フレーム2の側方に沿って立ち上げてあり、温風配管77の先端が外側温風出しノズル79の一端に接続してある。この外側温風吹出しノズル79内は温風配管77内と連通させてあり、外側温風吹出しノズル79の下端に沿ってノズル孔(図示省略)が開口してある。上記の電気温風機76、温風配管77、分岐温風配管78、温風供給路6、温風供給管73、内側温風吹出しノズル74、外側温風吹出しノズル79等から本発明の乾燥手段が形成されるものである。
【0026】
器械ケーシング36内には水蒸気発生器85が設置してある。水蒸気発生器85に接続される水蒸気供給管86は洗浄槽3と器械ケーシング36の間の壁(図示省略)を通して洗浄槽3内に導入してあり、水蒸気供給管86の先端の水蒸気噴出ノズル7を図1、図3のように回転フレーム2の側方に対向させて配置してある。回転フレーム2の側面は支持棒45を除いて全面が開口しているものであり、水蒸気噴出ノズル7は回転フレーム2の側面開口に対向して配置されるものである。そして水蒸気発生器85で発生した水蒸気は水蒸供給パイプ86を通して水蒸気噴出ノズル7から高風速で噴出され、側面の開口から回転フレーム2内に送り込まれるようになっているものである。この水蒸気発生器85、水蒸気供給管86、水蒸気噴出ノズル7等から本発明の水蒸気供給手段が形成されるものである。
【0027】
また、洗浄槽3には図7(a)のように排気ダクト9が接続してあり、排気ダクト9を通して洗浄槽3内の空気を外部に排出することができるようにしてある。排気ダクト9内には排気ファン10が設けてあり、さらに、排気ファン10より洗浄槽3寄りの位置において排気ダクト9内に開閉シャッター81が設けてある。排気ファン10は洗浄槽3の外面に設けた受け具125に防振ゴム126によって支持するようにしてある。さらに洗浄槽3には図7(b)のように吸気ダクト82が接続してあり、洗浄槽3内の空気を排気ダクト9で排出する際に、洗浄装置を設置した室内の外気が吸気ダクト82から洗浄槽3内に吸気されるようにしてある。この吸気ダクト82には、洗浄槽3内の空気が排気ダクト9で排出される際に開き、それ以外は閉じる、吸気弁83が設けてある。これらの排気ダクト9や吸気ダクト82の先端は装置の外殻ケーシング84を通して装置外面に露出させてある。
【0028】
次に、上記のよう形成される本発明の洗浄装置を用いて、マットレスなどの寝具1を洗浄する動作について説明する。まず、洗浄槽3の扉38を押し上げて図4のように開口部37を開口させ、この開口部37に回転フレーム2の出入口46を合致させた状態で、開閉扉51をスライドさせて出入口46を開き、出入口46から回転フレーム2内に寝具1をセットする。このとき、回転フレーム2の筒かご体43の内周とガイドレール47との間に寝具1を差し込むことによって、寝具1を回転フレーム2の内周に沿わせた状態に固定してセットすることができるものである。寝具1は、例えば、2枚を回転フレーム2内にセットすることができるようにしてある。この後、開閉扉51をスライドさせて回転フレーム2の出入口46を閉じ、扉38を引き下げて洗浄槽3の開口部37を閉じる。
【0029】
本発明の洗浄装置は制御機器で自動制御されるようになっており、制御機器を作動させると、回転フレーム2が回転駆動され、洗浄とすすぎからなる洗浄工程、脱水工程、蒸気消毒工程、乾燥工程が連続して自動的に行なわれるようになっている。例えば、洗浄を2分、すすぎを6分、脱水を25分行なって洗浄工程がおこなわれ、続いて蒸気消毒工程が10〜20分、乾燥工程が40分、行なわれるようにしてある。また回転フレーム2の回転速度は、洗浄の際には90rpm、すすぎの際にはやや回転速度を上げて180rpm、脱水の際にはさらに高速回転で240rpm、蒸気消毒も同様に高速回転で240rpm、乾燥の際には速度を下げて102rpmに設定されるようにしてある。勿論、各工程の時間や、回転フレーム2の回転速度はこれらに限定されるものではない。
【0030】
ここで、洗浄の際には、電磁弁63が開いて、水道管64から水道水が洗浄水供給管62に供給されるが、このときさらにポンプ67,68が作動して洗剤タンク69から洗剤が、殺菌剤タンク70から殺菌剤が洗浄水供給管62に供給され、水に洗剤と殺菌剤のうち少なくとも一方が混合された状態で支持軸4の洗浄水供給路5内に供給される。そしてこの洗剤入りの洗浄水は回転フレーム2内において支持軸4の散水口61から下方へ散水されるものであり、回転フレーム2の回転に伴って、回転フレーム2の内周にセットされた寝具1の全面に均一に洗剤入りの洗浄水を供給することができる。また、回転フレーム2によって寝具1は回転されているので、寝具1の内周側に供給された洗剤入りの洗浄水は、遠心力によって、寝具1の内面側から内部に浸透して外面側に抜けることになり、洗浄水を寝具1の内部に効率高く浸透させることができ、寝具1の洗浄を効率良く行なうことができるものである。
【0031】
次に、すすぎの際には、ポンプ67,68の作動が停止し、洗剤と殺菌剤が混合されていないすすぎ用の洗浄水が洗浄水供給管62に供給され、このすすぎ用の洗浄水が散水口61から散水される。このときも、回転フレーム2の回転に伴って、回転フレーム2の内周にセットされた寝具1の全面に均一にすすぎ用の洗浄水を供給することができるものであり、また、回転フレーム2の回転による遠心力によって、すすぎ用の洗浄水は寝具1の内面側から内部を浸透して外面側に抜けるものであり、すすぎ用洗浄水を寝具1の内部に効率高く浸透させることができ、寝具1のすすぎ洗いを効率良く行なうことができるものである。
【0032】
すすぎ洗いが終わると、電磁弁63が閉じ、洗浄水の供給が停止される。そして回転速度を上げて回転フレーム2を回転させることによって、遠心力で寝具1内の洗浄水を脱水する遠心脱水が行なわれる、脱水の際には、排気ダクト9の開閉シャッター81が開くと共に換気ファン10が作動し、洗浄槽3内の湿気を排気ダクト9を通して排出することによって、脱水が効率良くおこなわれるようにしてある。このように洗浄槽3内の湿気を排気ダクト9から排出する際には、吸気ダクト82の吸気弁83は開いている。脱水が終了すると、排気ダクト9の開閉シャッター81が閉じると共に換気ファン10は停止する。
【0033】
次に、蒸気消毒の工程では、水蒸気発生器85が作動し、水蒸気発生器85で発生した水蒸気が水蒸気噴出ノズル7から高風速で噴出され、回転フレーム2の側面の開口から、回転フレーム2にセットした寝具1の内側において回転フレーム2内に水蒸気が送り込まれるものであり、水蒸気によって寝具1の消毒を行なうことができるものである。水蒸気の温度は80〜100℃の範囲が好ましく、また蒸気消毒の時間は10〜20分の範囲が好ましい。
【0034】
ここで、この蒸気消毒は、回転フレーム2を回転駆動しながら行なわれるので、回転によって寝具1に作用する遠心力や、寝具1の内周側と外周側の周速度の差によって生じる内周側と外周側との圧力差(内周側の圧力>外周側の圧力)で、回転フレーム2内において寝具1の内周側に供給された水蒸気は、内周側から寝具1の内部へ浸透すると共に内周側から外周側へと寝具1内を通過し易いものであり、寝具1の内部まで効率良く均一に蒸気消毒することができるものである。
【0035】
また、寝具1に水蒸気を作用させて蒸気消毒を行なう場合、寝具1の表面に水の膜などのバリア87が形成され易く、特に寝具1が発泡体などの断熱材で形成されるマットレスである場合に、このようなバリア87が形成され易く、寝具1の表面にバリア87が形成されると、水蒸気はバリア87で遮断されて寝具1内に浸透し難くなる。しかし本発明では、蒸気消毒は回転フレーム2を回転駆動しながら行なわれるので、寝具1の表面に図8(a)に示すように水の膜などバリア87が形成されても、回転による遠心力でこのバリア87を矢印のように寝具1内に強制的に通過させて飛ばすことができるものであり、寝具1の表面のバリア87を除去して、寝具1内への水蒸気の浸透が阻害されることを防ぐことができるものである。
【0036】
また、寝具1の表面に便などの固形物88が図8(b)のように付着していると、この付着した固形物88がバリアとなって、水蒸気が寝具1内に浸透し難くなる。しかし本発明では、蒸気消毒の工程に先立って洗浄工程で寝具1の洗浄を行なっているために、便などの固形物88は洗浄によって除去されている。従って、水蒸気で寝具1を消毒する際には、このような固形物88のバリアは寝具1の表面から除去されて存在しないものであり、寝具1内への水蒸気の浸透が阻害されることを防ぐことができるものである。
【0037】
しかも、洗浄工程の後の上記の脱水工程で、寝具1内から水分が除去され、寝具1内は通気が良好な状態になっているので、水蒸気を寝具1内に容易に浸透させて通過させることができるものであり、蒸気消毒を効率良く行なうことができるものである。
【0038】
上記の蒸気消毒の工程が終わると、水蒸気発生器85の作動が停止すると共に、電気温風機76が作動し、電気温風機76のヒータで加熱された温風がファンで温風配管77に送り出される。この温風は温風配管77から分岐温風配管78、支持軸4内の温風供給路6、温風供給管73を通して回転フレーム2の内側に配置された内側温風吹出しノズル74に供給され、回転フレーム2の内周にセットされた寝具1の内側に近接して対向する内側温風吹出しノズル74から温風が吹き当てられる。また温風は温風配管77から回転フレーム2の外側に配置された外側温風吹出しノズル79に供給され、回転フレーム2の内周にセットされた寝具1の外側に近接して対向する外側温風吹出しノズル79から温風が吹き当てられる。乾燥工程では、このように寝具1の両面から温風が吹き当てられるものであり、また回転フレーム2の回転に伴って寝具1の全面に均一に温風が吹き当てられるので、寝具1の乾燥を効率良く均一に行なうことができるものである。
【0039】
またこの乾燥工程の際には、排気ダクト9の開閉シャッター81が開くと共に換気ファン10が作動し、洗浄槽3内の湿気を排気ダクト9を通して排出することによって、乾燥が効率良くおこなわれるようにしてある。
【0040】
上記のようにして、寝具1の洗浄、脱水、蒸気消毒、乾燥までの工程を連続して自動運転することができるものである。
【0041】
上記の実施の形態では、水蒸気発生器85で発生した水蒸気を水蒸気噴出ノズル7から噴出し、回転フレーム2内に側面の開口から送り込んで寝具1を水蒸気で消毒するようにしたが、一般に病院等の施設ではボイラ装置を有しており、館内に水蒸気を供給する配管が設備されているので、水蒸気噴出ノズル7を設けた水蒸気供給管86にこの水蒸気配管を接続して、水蒸気配管から水蒸気噴出ノズル7に水蒸気を供給するようにしてもよい。従ってこの場合には、水蒸気発生器85を装置内に設備する必要がなくなり、装置コストを低減することができるものである。
【0042】
また図9の実施の形態では、回転フレーム2を支持する支持軸4を利用して水蒸気を回転フレーム2内に送り込むことができるようにしてある。すなわち、円筒パイプ状に形成される支持軸4内は、既述のように支持軸4の全長に亘る仕切り板60によって上下に仕切ってあり、支持軸4内の仕切り板60の下側は、洗浄工程の際に、洗浄水が供給される洗浄水供給路5として形成してあり、また洗浄水供給路5に洗浄水を散水する散水口61が形成してあるが、蒸気消毒の工程の際には、洗浄水供給路5が水蒸気が供給される水蒸気供給路8となり、また散水口61が水蒸気が噴出される水蒸気噴出口11となるようにしてある。つまり、洗浄水供給路5と水蒸気供給路8とが兼用され、散水口61と水蒸気噴出口11とが兼用されるようになっている。
【0043】
そして図9(a)の実施の形態では、既述の図6のように、支持軸4の一端部において洗浄水供給路5(水蒸気供給路8)の部分に洗浄水供給管62が接続してあるが、支持軸4と殺菌タンク70の分岐管66との間の位置において洗浄水供給管62に三方切替弁89を設け、この切替弁89に水蒸気供給管86が接続してある。この切替弁89は、洗浄工程の際に、洗浄水供給管62から洗浄水を支持軸4の洗浄水供給路5に供給する流れと、蒸気消毒工程の際に、水蒸気供給管86から水蒸気を支持軸4の水蒸気供給路8に供給する流れとに切り替えるものである。従ってこのものでは、水蒸気供給管86、水蒸気供給路8、水蒸気噴出口11等から本発明の水蒸気供給手段が形成されるものである。
【0044】
このものにあって、洗浄工程の際には、洗浄水供給管62から洗浄水が支持軸4の洗浄水供給路5に供給され、洗浄水は散水口61から散水されるものであり、回転フレーム2にセットされた寝具1の洗浄を行なうことができる。また蒸気消毒工程の際には、水蒸気供給管86から水蒸気が支持軸4の水蒸気供給路8に供給され、水蒸気は水蒸気噴出口11から回転フレーム2内に噴出されるものであり、回転フレーム2にセットされた寝具1の蒸気消毒を行なうことができるものである。
【0045】
図9(a)の実施の形態では、洗浄水供給管62を介して水蒸気供給管86を支持軸4の水蒸気供給路8に接続するようにしたが、図9(b)の実施の形態では、水蒸気供給管86を支持軸4の水蒸気供給路8に直接接続するようにしてある。そしてこのものでは、洗浄工程の際には、洗浄水供給管62から洗浄水が支持軸4の洗浄水供給路5に供給され、また蒸気消毒工程の際には、水蒸気供給管86から水蒸気が支持軸4の水蒸気供給路8に供給されるものである。この実施の形態の場合、洗浄工程の際に洗浄水が水蒸気供給管86に流入しないように、また蒸気消毒工程の際に水蒸気が洗浄水供給管62に流入しないように、洗浄水供給管62や水蒸気供給管86の支持軸4への接続部に逆止弁90,91を設けるのが望ましい。
【図面の簡単な説明】
【0046】
【図1】本発明の実施の形態の一例の一部を示す斜視図である。
【図2】同上の一部を示す斜視図である。
【図3】同上の一部を示す斜視図である。
【図4】同上の概略正面図である。
【図5】同上の回転フレームの部分の断面図である。
【図6】同上の一部を示す概略図である。
【図7】同上の一部を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ概略図である。
【図8】同上の一部を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ概略図である。
【図9】本発明の他の実施の形態の一例を示すものであり、(a)(b)はそれぞれ概略図である。
【図10】従来例を示す斜視図である。
【符号の説明】
【0047】
1 寝具
2 回転フレーム
3 洗浄槽
4 支持軸
7 水蒸気噴出ノズル
8 水蒸気供給路
11 水蒸気噴出口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸周りに回転駆動される筒かご状に形成され、内周に沿って出し入れ自在に寝具がセットされる回転フレームを洗浄槽内に配置して設けた寝具の洗浄装置において、回転フレームを回転駆動しながら回転フレームの内側から寝具に洗浄水を供給して寝具を洗浄する洗浄手段と、寝具の洗浄終了後、回転フレームを回転駆動して寝具から脱水した後に、回転フレームを回転駆動しながら水蒸気を回転フレーム内に供給して寝具を蒸気消毒する水蒸気供給手段と、寝具を蒸気消毒した後に、回転フレームを回転駆動しながら温風を寝具に吹き当てて寝具を乾燥する乾燥手段とを具備して成ることを特徴とする寝具の洗浄装置。
【請求項2】
回転フレームの側面に対向して配置され、側面の開口から回転フレーム内に水蒸気を噴出して供給する水蒸気噴出ノズルを備えて成ることを特徴とする請求項1に記載の寝具の洗浄装置。
【請求項3】
回転フレームの中心にパイプ状の支持軸を配置して設けると共に回転フレームを支持軸の周りに回転自在に取り付け、支持軸内に水蒸気供給路を形成すると共に、水蒸気供給路を通して供給された水蒸気を回転フレーム内に噴出する水蒸気噴出口を支持軸に設けて成ることを特徴とする請求項1に記載の寝具の洗浄装置。
【請求項4】
軸周りに回転駆動される筒かご状に形成された回転フレームを洗浄槽内に配置して設け、回転フレームの内周に沿って出し入れ自在に寝具をセットして、回転フレームを回転駆動しながら回転フレームの内側から寝具に洗浄水を供給して寝具を洗浄し、寝具を洗浄した後に、回転フレームを回転駆動して寝具の脱水を行ない、寝具を脱水した後に、回転フレームを回転駆動しながら水蒸気を回転フレーム内に供給して寝具を蒸気消毒し、寝具を蒸気消毒した後に、回転フレームを回転駆動しながら温風を寝具に吹き当てて寝具を乾燥することを特徴とする寝具の洗浄方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2008−289820(P2008−289820A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−141134(P2007−141134)
【出願日】平成19年5月28日(2007.5.28)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】