説明

寝具内の温湿度を調節する空気風船装置

【課題】従来の発明では、寝具内の温湿度を調節するために、空調設備を寝具に取り付けたり、大がかりな機材で上布団を持ち上げたりと、大きな機材や設備を使って問題を解決しようとしてきた。その結果、商品として高価で、かつ運搬、設置、保全などが面倒な物となっていた。消費電力も高かった。
【解決手段】エアーポンプにより寝具内で風船を膨らませ、人の手の代わりに上布団を持ち上げさせ、寝具外の空気を取り込ませる。制御プログラムにより、風船の膨張/収縮を調節させ、快適な温湿度域に安定させる。大型な機材は必要がなく、全体が小型で消費電力も低い。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、布団もしくはベッドの寝具内の温度と湿度の調節に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、センサーを使用し、寝具内の温度や湿度を計り、睡眠時の快適さを保とうとする技術はあった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2001−299832号公報
【特許文献2】特開平7−88138号公報
【特許文献3】実開昭63-083077号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記の先行技術文献の、特開2001−299832号公報、あるいは、特開平7−88138号公報、に見られるように過去の発明の多くは、冷房具もしくは送風器等を寝具の周辺に配置し、寝具もしくは寝具内の空気を直接操作しようとするものである。
言いかえれば、それらは冷房器付き寝具とでも呼ぶべき物であった。あるいはまた、実開昭63-083077号公報のように、実際に上布団を機械式アームで持ち上げ、寝具外の空気を取り入れるような物であった。その為、それらの消費電力はおのずと高く、かつ装置としてはかなり大型な物にならざるを得なかった。その結果、商品として高価で、かつ運搬、設置、保全なども面倒な物となった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は寝具内の温湿度を調節するために、上布団を浮上/沈下させる装置である。本装置を使い課題を解決する。本装置は、前記寝具内の温湿度を検知する為のセンサーと、前記上布団を浮上/沈下させるための風船と、前記風船に寝具外空気を注入する為のエアーポンプと、前記センサーの検知結果により前記エアーポンプを動作させ前記風船を膨張/収縮させる制御手段からなる事を特徴とする上布団浮上装置である。
【発明の効果】
【0006】
人々は、小さく単純な道具により、快適で深い睡眠を得る事ができる。小さく単純な道具は、安価で提供される。消費電力も低い。結局、快適な睡眠を安価で得る事ができる。
【0007】
たとえば、せっかくの羽毛布団を蹴飛ばしていて、朝の寒さにふるえていて、風邪を引く事がある。本装置は健康に寄与する可能性がある。
【0008】
暑い夏に布団で寝たい為に、部屋全体をエアコンで冷やしている場合がある。このエネルギーの無駄使いに効果が期待できる。
寝具内の温湿度調整が可能になればこのようなエアコンの使い方が減る可能性がある。本装置が、エアコンにたよらない睡眠日数を増やし、結果、社会全体のエコに貢献する可能性がある。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】全体の見取り図
【図2】側面の断面図
【図3】上からの図
【図4】風船部分が膨らんだ状態の見取り図
【図5】寝具内での設置例の図a マウンテン型
【図6】寝具内での設置例の図b ブリッジ型
【図7】寝具内での設置例の図c エアーボンプと本体の分離型
【図8】操作盤・調節ツマミの図
【実施例】
【0010】
寝具内の温湿度が睡眠中の快適さの多くを決定する。寝具外の空気の取り込みで、寝具内の温湿度はほぼ改善できる。人間が寝具内で快適と感じる温度と湿度は、おおよそ決まっている。睡眠時の着衣や寝具外の温湿度で多少異なるが、およそ成人であれば、温度は摂氏30度〜33度未満、湿度は40%〜50%未満である。また寝具外の空気はこれらより共に低い事が常である。よって温湿度センサーを使い、寝具内をモニターし、上記の快適な温湿度を上回った時に、エアーポンプを作動させ寝具内の風船を膨らませる。風船により持ち上がった上布団が結果的に寝具内に空気を入り込ませる事となり、寝具内の温湿度が快適値に戻る事となる。
その繰り返しにより、寝具内を快適な温湿度域に安定させる。
【0011】
本装置は、寝具内の温度や湿度を、冷房装置や送風装置によって直接に操作しない。実開昭63-083077と同じく寝具外の空気を取り入れる構造であるが、アームのように直接に機械で上布団を持ち上げない。空気風船を膨らませる事により上布団を持ち上げる。これにより、寝具のそばに機械アームというあまり睡眠に馴染まない機材を持ち込む必要がない。枕のような柔らかく小型な素材で、手の代わりに、空気の力を使い内側から上布団を持ち上げる。もちろん消費電力は、その軽い素材により小さなレベルとなる。毎日の充電が必要であるが、電池での稼働も可能となる。省エネ製品として毎日の使用にも十分耐えうる。
【0012】
本装置の設置には、図5図6および図7に示されるように寝具内の敷き布団、もしくはベッドの上に本装置を設置する。
通常、設置は人の腰の側面10cm間隔ほどの位置となる。暑い夏の季節では、本装置を膝下の位置に追加設置する事も、有効である。温湿度センサーを人側に向けた状態でスイッチをオンにする。詳しくは図8の調節ツマミのCをAUTOの状態にする。これにより、温湿度センサーと監視プログラムが起動する。監視プログラムは、寝具内が快適温度域に到達するまで待つ。快適温度域に到達したら、監視プログラムは、快適温湿度の監視モードとなる。また逆に、快適温湿度域を下回った時点で、監視モードは解除となる。
【0013】
監視モードになった時、寝具内の温湿度が快適域の上限を超えた場合にエアーポンプが作動し風船部分が膨らむ。図4の膨らんだ風船部分が上布団を少し持ち上げ、結果として寝具内に外から空気が入る。風船部分は、温湿度センサーにより複数段階の膨らみが用意され、寝具内の空気を調節する。例として、温湿度が快適域を超え風船が膨張し、寝具内に外の空気が入ったとする。その為に寝具内の温湿度が快適域に戻ったが、まだ風船は膨らんだままだとする。この時、制御プログラムは、寝具内が快適域にある為、その膨張を維持したまま風船を停止させる。逆に快適域を下回るか、あるいは、再度快適域を上回るまで、その状態を保持する。結果として、寝具内を快適域に保とうとする制御となる。
図5図6および図7はどれも、その用意された膨らみの中の1つの段階を表す。快適温度域と風船の膨らみの判断パターンは、複数用意される。利用者が図8の調節ツマミで選択する。例として、夏用、冬用、あるいは、膨張度1、膨張度2などである。
【0014】
図8のCのスイッチで、手動モードに切り変える事ができる。このモードは温湿度センサーで自動的に動作するAUTOモードとは異なり、使用者が風船の膨らみを自由に操作できる。暑い夏などに上布団を固定的に少し持ち上げて寝たい場合などの目的の為に使用される。
【0015】
図6のように、ブリッジ型の場合、2つの本体が1つの風船を膨らます。これにより上布団が確実に持ち上がる為、比較的暑い環境時の使用に適する。
【0016】
図7のように、本体とエアーボンプが分離されている分離型では、エアーポンプの静音度が高まる。医療用の超小型エアーポンプを使用していても、いかんせん睡眠時であるので、気になる人にはこちらが適する。本体とエアーボンプ部とは空気管とセンサー用のケーブルで繋がる。本体側の空気管およびケーブルは図1の吸入部に接続される。本体は充電された電池で動作し、エアーボンプ部はAC電源で動作する。
【符号の説明】
【0017】
1 センサー
2 布地
3 空気吸入部
4 充電用電源コンセント
5 操作盤
6 風船部膨張口
7 布地
8 引っ込んだ状態のセンサー
9 分離型の時の空気吸入部と、差し込まれた空気管
10 コンセント
11 操作盤
12 風船部
13 引っ込んだ状態のセンサー
14 膨らんだ時の風船部
15 分離型の時の空気吸入部と、差し込まれた空気管
16 分離型の時のエアーポンブ部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
寝具内の温湿度を調節するために、上布団を浮上/沈下させる装置であって、
前記寝具内の温湿度を検知する為のセンサーと、
前記上布団を浮上/沈下させるための風船と、
前記風船に寝具外空気を注入する為のエアーポンプと、
前記センサーの検知結果により前記エアーポンプを動作させ前記風船を膨張/収縮させる制御手段からなる事を特徴とする上布団浮上装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−167433(P2011−167433A)
【公開日】平成23年9月1日(2011.9.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−35623(P2010−35623)
【出願日】平成22年2月22日(2010.2.22)
【出願人】(310006213)株式会社ハイパー・システムズ (2)
【Fターム(参考)】