説明

寝具

【課題】内部に袋を設けて内側から温風をもって乾燥することができる寝具において、より効果的な乾燥を実現するとともに、ダニの死骸等も排出できるようにする。
【解決手段】充填材11とこの充填材表面を覆うシート材12とからなる寝具本体10に、複数の穴が形成された袋体20であって、前記寝具本体10外部に表出可能に形成される前記袋体20内部に連通する送風口22及び排気口23が設けられる袋体20を、前記充填材11内部又は前記充填材11と前記シート材12との間に設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、内部に温風を送ることで乾燥させることができる寝具に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、室内で布団などの寝具を乾燥させる際には布団乾燥機が用いられる。布団乾燥機は、敷き布団と掛け布団の間に複数の穴が全面に設けられた袋体を挟み、この袋体に温風を送ることで布団を乾燥させるものである。
しかし、布団乾燥機を使用するには、内部に挟む袋を広げて設置し、また、乾燥後は袋を畳んで収納するといった手間がかかってしまうという問題があり、特に、病院、旅館、ホテルなど、大量に寝具を扱う施設での使用は困難であった。
このような問題に対し、下記特許文献には寝具内部に袋体又は空間を設けて、これらの内部に温風を送る送風口が設けられた発明が示されている。
このような構成によれば、袋を設置したり収納したりする手間が必要なく、簡単に使用することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開平4−79551号公報
【特許文献2】特開2005−211370号公報
【特許文献3】特開2004−337530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、寝具を乾燥させる目的の一つとして、ダニ等の害虫の駆除がある。しかし、下記特許文献に記載の発明では、温風を寝具内に通すものであり、寝具内部を高温にすることはできるが、湿気を排除する仕組みがないために十分な乾燥ができず、却ってダニ等が繁殖しやすい環境を与える結果ともなりかねない。また、ダニ等によるアレルギーを引き起こす一番の原因は、ダニ等の死骸や糞であり、単に高温にすることでダニ等を殺虫することができても、これらの死骸や糞は寝具に残ったままであるという問題もある。
本発明は、このような問題に鑑み、内部に袋を設けて内側から温風をもって乾燥することができる寝具において、より効果的な乾燥を実現するとともに、ダニの死骸等も排出できるようにすることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するために、本発明は次のような構成を有する。
請求項1に記載の発明は、充填材とこの充填材表面を覆うシート材とからなる寝具本体と、前記充填材内部又は前記充填材と前記シート材との間に設けられる複数の穴が形成された袋体であって、前記寝具本体外部に表出可能に形成される前記袋体内部に連通する送風口及び排気口が設けられる袋体とからなる寝具である。
なお、寝具には、掛け布団、敷き布団、マットレスなどが例示される。充填材には、綿、羊毛、化繊、合成樹脂クッションなど種々のものが採用できる。また、羽毛を用いる場合には、羽毛を袋にいれてキルティング加工したものを充填材とすることができる。さらに、充填材内部に袋体を入れる場合、充填材を上下2枚で形成してもよく、また、充填材の内部に袋体を入れる空間を設けてもよい。袋体は、気密性のシートに複数の穴を設けたものの他、空気が通る穴を有するシート体を袋状にしたものであればよく、シート体自体に細かな穴を有する不織布や織物によって形成してもよい。
請求項2に記載の発明は、前記寝具において、前記袋体を、前記寝具本体から取出し可能に形成したものである。
請求項3に記載の発明は、前記寝具において、前記袋体を2以上設け、各袋体を前記寝具が載置される床面に沿って並ぶ位置に配置したものである。
請求項4に記載の発明は、前記寝具において、互いに大きさの異なる前記袋体を2以上設け、各袋体を前記寝具が載置される床面に沿って互いに重なる位置に配置するようにしたものである。
請求項5に記載の発明は、請求項3又は4に記載の寝具において、互いに接触する袋体同士を連結可能かつ分解可能に形成したものである。
請求項6に記載の発明は、請求項1に記載の寝具において、前記袋体に代えて、表面に複数の穴が形成される箱体であって、前記寝具本体外部に表出可能に形成される前記箱体内部に連通する送風口及び排気口が設けられる箱体としたものである。
【発明の効果】
【0006】
請求項1に記載の発明は、内部の袋体に送風口から温風を送り込むとともに、排気口から温風の送風よりも少ない排気量で強制排気するようにすると、袋体の複数の穴から温風が充填材に通ることで充填材内の水分が気化するとともに、袋体内部の水分の多い空気が順次排出されるので、効率よく寝具を乾燥させることができる。また、袋体内部の空気を吸引することで、袋体に設けられた穴から袋体内部に入ったダニ等の死骸や糞を吸い出すことができる。
請求項2に記載の発明は、寝具本体内部から袋体を取り出すことで、寝具本体のみを洗濯することができる。
請求項3に記載の発明は、袋体を2以上、床面に沿って並ぶように配置することで、寝具本体を袋体の継ぎ目に沿って折りたためば、寝具本体を折りたたんだ状態のままでも、各袋体が折れていないので、それぞれの袋体により寝具を乾燥させることができる。
請求項4に記載の発明は、大きさの異なる袋体を2以上、床面に沿って互いに重なるように配置することで、乾燥させる範囲の異なる袋体が重なって配置されるので、乾燥させたいエリアの大きさを選択して乾燥させることができ、例えば、汗を吸収しやすい場所に特化した袋体を設ければ、その部分のみを集中的に乾燥させることができる。
請求項5に記載の発明は、複数の袋体を設ける場合に互いに連結可能かつ分離可能とすることで、一体に製造する場合に比べて製造が容易となるとともに、使用に際して位置がずれることを防ぐことができる。
請求項6に記載の発明は、袋体を箱体とすることで人が寝ている状態でも、内部に温風を流通させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】実施形態1に係る寝具の一部破断斜視図である。
【図2】実施形態1に係る寝具の袋体を膨らませた状態を示す断面図である。
【図3】変形例に係る並列に配置された袋体を示す斜視図である。
【図4】変形例に係る重なって配置された袋体を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
図1に本実施形態に係る寝具Xの斜視図を示す。寝具Xは、寝具本体10と袋体20とから構成される。寝具本体10は、一般的な寝具の構成を有するものであって、内部に設けられる綿などから構成される充填材11と、充填材11を内部に収納する、充填材11外表面を覆う布により形成される袋からなるシート材12とから構成される。充填材11は厚さ方向ほぼ中央に袋体20を収納するための切れ込みが設けられている。また、切れ込みにより二分される上方側の対角位置には、後述する袋体20の送風口22と排気口23を構成するパイプが表出するための穴が形成されている。シート材12は、充填材11の切れ込みに沿って線ファスナーにより開閉可能な開口が設けられるとともに、上面側の対角位置に後述する袋体20の送風口22と排気口23を構成するパイプが表出するための穴が形成されている。
袋体20は、不織布に複数の穴を設けたシート体を充填材11の形状に合わせた長方形状の扁平な袋状に形成したものである。なお、空気が通る小さな穴は不織布自体にも形成されているので、複数の穴は積極的に設けなくても問題はない。袋体20の一の角部には、内部に連通する開口端が上方を向くL字状のパイプから構成される送風口22が設けられるとともに、当該角部に対向する角部には内部に連通する開口端が上方を向くL字状のパイプから構成される排気口23が設けられる。袋体20は、送風口22及び排気口23の開口端部が充填材11及びシート材12の対角に設けられた開口から表出するように、充填材11にも受けられた切込み内に挟まれるように載置される。なお、袋体20は面ファスナーなどにより充填材11に着脱固定できるようにしてもよい。
【0009】
次に、以上のような構成を有する寝具Xの使用方法について説明する。使用に際して、まず寝具Xを床面などに広げ、送風口22を布団乾燥機などの温風送風装置に接続し、排気口側を掃除機などの吸引装置に接続する。この場合、温風送風装置の送風量の方が吸引装置の吸引量よりも大きくなるように設定しておく。この状態で、温風送風装置を作動させ、袋体20がある程度膨らんだら、吸引装置を作動させる。図2にこの状態における、送風口22と排気口23を通る対角線で切った寝具Xの断面図を示す。図に示すように、送風口22から送られる温風は袋体20を膨らませるともに、袋体表面20の複数の穴および不織布で形成される袋体表面から充填材11へと流通する。これにより、充填材11内の水分が気化し、袋体20内の空気に水分が入り込む。これと同時に、袋体20内の空気は排気口23より吸引されるので、袋体20内の湿気を含む空気は連続的に外部に排出される。これにより、袋体20内の湿度は常に低い状態に保たれ充填材11を効率的に乾燥することができる。また、袋体20には複数の穴が形成されるとともに不織布により形成されているので、袋体20内部にも多くの生きたダニ等の害虫やこれらの死骸、糞などが入り込むことになるが、送風口22からの温風により生きた害虫は死に、これらの死骸や糞は排気口23への空気の流れに運ばれて、排気口23から排出されることになる。
このように、送風口22からの温風を流入させるとともに、排気口23から空気を排気することで、効率的な乾燥が実現できるとともに、ダニの死骸等を寝具から一定量取り出すことが可能となる。
【0010】
(変形例)
上記実施形態では、袋体20は充填材11の形状にほぼ合致する一つの袋体20のみから構成したが、図3に示すように複数の小さな袋体20Aを並列に連結したような構成とすることもできる。この場合、充填材11及びシート材12には、各袋体20Aの送風口22A及び排気口23Aごとに外部に表出させるための穴が設けられる。なお、各袋体20Aはスナップボタンにより連結及び分解が可能に形成されている。このような、小さな袋体20Aを連結したものを用いる場合、袋体20A同士の境目で寝具を折りたたむと、小さな袋体20Aは折り曲げられないので、寝具を畳んだ状態のままで、それぞれに袋体20Aの送風口22Aから温風を流入させ、排気口23Aから排気を行うことができる。
【0011】
さらに、図4に示すように袋体20の上に、小さな袋体20Bを重ねるように配置してもよい。なお、袋体20Bの位置は、人が寝具に寝たときに比較的汗をかく場所に定められる。この場合も、充填材11及びシート材12には、袋体20Bの送風口及び排気口を外部に表出させるための穴が設けられる。また、袋体20と袋体20Bとは図示しない面ファスナーにより着脱可能に互いに連結固定されている。このように、大きな袋体20に重ねて小さな袋体20Bを重ねると、寝具全体を乾燥させたい場合は、大きな袋体20に対して送風口から温風を流入させ、排気口から排気すればよく、また、部分的に汗を吸収している部分を乾燥させた場合には、小さな袋体20Bに対して送風口22Bから温風を流入させ、排気口23Bから排気すればよい。
【0012】
また、上記実施形態では、充填材11内部に袋体20を設置したが、充填材11の下面とシート材12との間に設置してもよい。この場合、袋体20の下面側には複数の穴を設ける必要はない。さらに、袋体内部に、吸水シートや、害虫を集める誘引剤を含んだ補中シートなどを入れるようにしてもよい。この場合、袋体も線ファスナーなどで開閉できるようにしておくことが望ましい。それから、送風口と排気口とで予め流量に差ができるように、排気口の方を送風口より小さくするなど、排気口側の通気抵抗を送風口側の通気抵抗よりも大きくするようにしておいてもよい。そして、ベッドのマットレスにおいて比較的厚いものにおいては、袋体を表面に複数の穴が形成された硬い板体で囲った箱体に代えてもよい。
【符号の説明】
【0013】
X 寝具
11 充填材
12 シート材
20、20A、20B 袋体
22、22A、23A 送風口
23 23B、23B 排気口

【特許請求の範囲】
【請求項1】
充填材とこの充填材外表面を覆うシート材とからなる寝具本体と、
前記充填材内部又は前記充填材と前記シート材との間に設けられる複数の穴が形成された袋体であって、前記寝具本体外部に表出可能に形成される前記袋体内部に連通する送風口及び排気口が設けられる袋体と
からなる寝具。
【請求項2】
前記袋体は、前記寝具本体から取出し可能に形成される請求項1に記載の寝具。
【請求項3】
前記袋体を2以上有し、各袋体は前記寝具が載置される床面に沿って並ぶ位置に配置されるものである請求項1又は2に記載の寝具。
【請求項4】
互いに大きさの異なる前記袋体を2以上有し、各袋体は前記寝具が載置される床面に沿って互いに重なる位置に配置されるものである請求項1から3のいずれか1項に記載の寝具。
【請求項5】
互いに接触する袋体同士は連結可能かつ分解可能に形成される請求項3又は4に記載の寝具。
【請求項6】
前記袋体に代えて、表面に複数の穴が形成される箱体であって、前記寝具本体外部に表出可能に形成される前記箱体内部に連通する送風口及び排気口が設けられる箱体を有する請求項1に記載の寝具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2011−224246(P2011−224246A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−98702(P2010−98702)
【出願日】平成22年4月22日(2010.4.22)
【出願人】(510033033)
【出願人】(508257946)
【出願人】(508257957)
【出願人】(508257968)
【出願人】(508257980)
【出願人】(508256972)
【出願人】(508257991)
【Fターム(参考)】