説明

対面型フィルム包装装置

【課題】野菜、果物、鮮魚、精肉、惣菜、おにぎり等の食品をプラスチック容器に入れてストレッチフィルムで包装する際に、この包装作業や商品ラベルの貼り付け作業等を購入客に対面した状態で行うことができる対面型フィルム包装装置を提供する。
【解決手段】脚部6aを備えた架台6にフィルム包装装置1のヒータ台5が作業者の立ち位置S側に設けられ、作業者の立ち位置Sから見てヒータ台5の前方に熱ヒータを内蔵したカッター4が設けられると共に、カッター4の前方の架台6上に計量器7を備えた計量台8が設けられ、さらに計量台8の前方には、計量結果を表示する情報表示器9と、計量結果による価格を計算し情報表示器9に表示する計算機10と、計量数値と価格と必要な商品情報を印刷するプリンター11とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、野菜、果物、鮮魚、精肉、惣菜、おにぎり等の食品をプラスチック容器に入れてストレッチフィルムで包装する際に、この包装作業や商品ラベルの貼り付け作業等を購入客に対面した状態で行うことができる対面型フィルム包装装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、野菜、果物、鮮魚、精肉等の生成食品、さらには惣菜、おにぎり等の食品をプラスチック容器に入れてストレッチフィルムで包装することが行なわれている。このような包装作業は、通常、作業台の上で行い、価格、単価、グラム表示、日付等を表示した商品ラベルを貼り付けた状態で商店に陳列するものである。
【0003】
このような包装作業に適する装置としては、特許文献1に記載されているストレッチフィルム包装装置が知られている。この装置は、ポリオレフィンフィルムのように自己粘着性に乏しいフィルムを付着する装置として、該フィルムの重ね合わせ部を熱板の熱で溶着するようにした装置であり、その構成、ロール状の帯状フィルムを引出し自在に構成し、引き出した帯状フィルムの全幅を熱ヒータを内蔵したカッターで切断すると共に、帯状フィルムを引出す手前側にヒータ台を設け、包装したフィルムをヒータ台で熱溶着するように構成したものである。
【0004】
ところで、上記の食品を大きな容器やケースに入れた状態で店内に陳列しておき、客の要望に応じた量を分け売りで販売する場合、プラスチック容器に客の要望する分量を入れ、ストレッチフィルムで包装し、その分量の重さを計量し、その分量の価格を計算し、これらの重量や価格をラベルに表示して商品に貼り付けるという一連の作業を迅速に行う必要がある。
【0005】
このような作業は、従来においては、比較的大型の機械によって自動的に行なっていたのであるが、客に対面した状態で、上記の作業を迅速に行うことを可能とした装置は未開発であった。
【特許文献1】特開2002―291828号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、以上の事情に鑑みてなされたもので、野菜、果物、鮮魚、精肉、惣菜、おにぎり等の食品をプラスチック容器に入れてストレッチフィルムで包装する際に、この包装作業や商品ラベルの貼り付け作業等を購入客に対面した状態で行うことができる対面型フィルム包装装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の目的を達成するために、本発明の請求項1の対面型フィルム包装装置は、ロール状の帯状フィルムを載置して引出し自在に回動する載置用ローラと、引出した帯状フィルムの全幅を切断する熱ヒータを内蔵したカッターと、商品を包装した帯状フィルムを熱溶着するヒータ台とを有するフィルム包装装置において、脚部を備えた架台にフィルム包装装置のヒータ台が作業者の立ち位置側に設けられ、作業者の立ち位置から見てヒータ台の前方に熱ヒータを内蔵したカッターが設けられると共に、カッターの前方の架台上に計量器を備えた計量台が設けられ、さらに計量台の前方には、計量結果を表示する情報表示器と、計量結果による価格を計算し情報表示器に表示する計算機と、計量数値と価格と必要な商品情報を印刷するプリンターとを備えてなることを特徴とする。
【0008】
また、本発明の請求項2の対面型フィルム包装装置は、請求項1において、フィルム包装装置は架台の手前側に開閉自在に枢設され、フィルム包装装置を手前側に回動することによって開放されたフィルム包装装置の内部の載置用ローラ上にロール状の帯状フィルムを取換え可能に設けてあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明の対面型フィルム包装装置によれば、野菜、果物、鮮魚、精肉、惣菜、おにぎり等の食品をプラスチック容器に入れてストレッチフィルムで包装する際に、帯状フィルムによる商品の包装、包装品の熱溶着、計量、商品表示の印刷等の作業を一台の架台に向かって行なうことができるため、狭い場所であっても設置可能であり、また購入客に対面した状態で設置することが可能である。
【0010】
さらに、作業者の位置から前方に向かって順にヒータ台とカッターと計量台が設けられ、さらに計量台の前方には、計量器による情報表示器と、計量結果による価格を計算し表示する計算機と、計量数値と価格と必要な商品情報を印刷するプリンターとを備えていることによって、1人の作業者が購入客に対面した状態で流れ作業的に上記の作業を行うことができ、対面した購入客に対して迅速に商品を手渡すことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施例について図面を参照しながら説明する。
【実施例1】
【0012】
本発明による対面型フィルム包装装置1は、図1又は図2に示すように、ロール状の帯状フィルム2を載置して引出し自在に回動する載置用ローラ3、3と、引出した帯状フィルム2の全幅を切断する熱ヒータを内蔵したカッター4と、商品を包装した帯状フィルム2を熱溶着するヒータ台5とを有するフィルム包装装置1において、脚部6a、6a…を備えた架台6にフィルム包装装置1のヒータ台5が作業者の立ち位置S側に設けられ、作業者の立ち位置Sから見てヒータ台5の前方に熱ヒータを内蔵したカッター4が設けられると共に、カッター4の手前側にヒータ台5が設けられ、カッター4の前方の架台6上に計量器7を備えた計量台8が設けられ、さらに計量台8の前方には、計量結果を表示する情報表示器9と、計量結果による価格を計算し情報表示器9に表示する計算機10と、計量数値と価格と必要な商品情報を印刷するプリンター11とを備えてなるものである。
【0013】
このような装置について詳細に述べると、図1に示すように、架台6の四方には脚部6a、6a…が設けられ、作業者が架台6に向かって立ち位置Sに立った姿勢で作業を行うことができる。また、架台6には、図2に示すように、作業者の立ち位置Sの手前側に不図示のヒンジによって開閉自在に枢設されたフィルム包装装置1が設けられ、このフィルム包装装置1を手前側に回動することによってフィルム包装装置1の内部が開放される構成とされている。なお、フィルム包装装置1は、フィルム包装装置1の側部に設けられた摘み14を摘んで引張ることによって開くことができる。
【0014】
上記のように開放された図2に示すフィルム包装装置1の内部には、下部に並設されたローラ3、3が回動自在に設けられ、並設された載置用ローラ3、3の上部にロール状の帯状フィルム2を載置するだけで帯状フィルム2を引出すことができ、帯状フィルム2を他の新しい帯状フィルム2に容易に取り替えることが可能とされている。また、上記のように引き出した帯状フィルム2はフィルム包装装置1の上部に並設された小径の案内用ローラ13、13間を通過して案内される。
【0015】
図2のように開放したフィルム包装装置1は、作業者が前方に押して回動することにより、図1のように架台6に閉じた状態にすることができる。フィルム包装装置1の側面には内部に収めた帯状フィルム2の端面を外側から見ることができる部位に切開部12が形成され、フィルム包装装置1を閉じた状態で作業者は帯状フィルム2の残量を目視で判断することが可能とされている。
【0016】
さらに、図1に示すように、フィルム包装装置1の上部には熱ヒータを内蔵した細長の金属板によるカッター4が上方に突出し、このカッター4の上部に上記のように引き出した帯状フィルム2を当てることによって、帯状フィルム2を所定長さで幅方向に切断することができる。
【0017】
また、カッター4の手前側に設けられたヒータ台5は、作業者の立ち位置Sの手前側に向かって下り勾配を有することによって作業をし易くしてある。このヒータ台5は、熱板5aの上面に多数の突起5bを有し、熱板5aの内部に設けられた不図示のヒータ線によって熱板5aを加熱するようにしてある。また、熱板5aの上面に設けられた夫々の突起5bは先端が滑らかな弧面を有し、さらに、熱板5aに設けられたヒータ線は熱板5aの両側域において密なる配置とされ、その中域において粗なる配置とされるのが好ましい。
【0018】
このような構成により、帯状フィルム2を包装した包装品の下面におけるフィルムの重なり部を密集した突起の先端に押しつけることにより、包装品の底面に穴が開くような熱溶着を生じることなく、熱板の突起による部分的な熱溶着によって、迅速な熱溶着が可能となる。
【0019】
さらに、カッター4の前方の架台6上には計量器7を備えた計量台8が設けられている。従って、作業者の立ち位置Sにて架台6に向って立った作業者が、野菜、果物、鮮魚、精肉、惣菜、おにぎり等の食品をプラスチック容器に入れて帯状フィルム2で包装し、ヒータ台5で包装品の下面を熱溶着した後、手に持った包装品をそのまま前方の計量台8に載せることによって、包装後の商品を即座に計量することが可能となる。
【0020】
さらに、計量台8の前方には、計量器7による情報表示器9と、計量結果による価格を計算し表示する計算機10と、計量数値と価格と必要な商品情報を印刷するプリンター11とが設けられている。即ち、これらの計量器7と情報表示器9と計算機10とプリンター11とは作業者の立ち位置Sから見て前方側に配列されている。なお、計算機10の上部に入力装置10aが設けられ、この入力装置10aから、商品名や販売の日付等、その他の情報を入力することができる。
【0021】
また、計量器7は計量情報を計算機10に伝達し、計算機10で計算した結果を情報表示器9に表示すると共に、計算機10で入力した内容もまた情報表示器9に表示され、さらに計算機10はプリンター11に接続され、計算機10で指令された印字すべき商品内容が用紙に印刷される。この印刷用紙の裏面に接着剤を塗布してあれば、印刷用紙を上記の包装品に貼り付けることによって、そのまま架台6の向こう側に対面している購入客に商品を手渡すことができる。
【産業上の利用可能性】
【0022】
本発明の対面型フィルム包装装置は、野菜、果物、鮮魚、精肉、惣菜、おにぎり等の食品をプラスチック容器に入れてストレッチフィルムで包装する際に、この包装作業や商品ラベルの貼り付け作業等を購入客に対面した状態で行うことができる対面型フィルム包装装置として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明による実施例の対面型フィルム包装装置を示す斜視図である。
【図2】本発明による実施例の対面型フィルム包装装置を示す斜視図であり、フィルム包装装置を開いてロール状の帯状フィルムを交換可能とした状況を示す。
【符号の説明】
【0024】
1 フィルム包装装置
2 帯状フィルム
3 載置用ローラ
4 カッター
5 ヒータ台
5a 熱板
5b 突起
6 架台
6a 脚部
7 計量器
8 計量台
9 情報表示器
10 計算機
10a 入力装置
11 プリンター
12 切開部
13 案内用ローラ
14 摘み
S 作業者の立ち位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ロール状の帯状フィルムを載置して引出し自在に回動する載置用ローラと、引出した帯状フィルムの全幅を切断する熱ヒータを内蔵したカッターと、商品を包装した帯状フィルムを熱溶着するヒータ台とを有するフィルム包装装置において、脚部を備えた架台にフィルム包装装置のヒータ台が作業者の立ち位置側に設けられ、作業者の立ち位置から見てヒータ台の前方に熱ヒータを内蔵したカッターが設けられると共に、カッターの前方の架台上に計量器を備えた計量台が設けられ、さらに計量台の前方には、計量結果を表示する情報表示器と、計量結果による価格を計算し情報表示器に表示する計算機と、計量数値と価格と必要な商品情報を印刷するプリンターとを備えてなることを特徴とする対面型フィルム包装装置。
【請求項2】
フィルム包装装置は架台の手前側に開閉自在に枢設され、フィルム包装装置を手前側に回動することによって開放されたフィルム包装装置の内部の載置用ローラ上にロール状の帯状フィルムを取換え可能に設けてあることを特徴とする請求項1記載の対面型フィルム包装装置。


【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2009−208822(P2009−208822A)
【公開日】平成21年9月17日(2009.9.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−54951(P2008−54951)
【出願日】平成20年3月5日(2008.3.5)
【出願人】(000102278)エーアールシー株式会社 (11)
【Fターム(参考)】