封入物の透視防止用袋体
【課題】 主として合成樹脂製フィルムからなる郵送用の封筒や、メール便や宅配便等の民間業者による輸送用の袋体、或いは個別訪問により各家庭の郵便受けに直接投函される袋体等、封入物を封入して受信者に郵送、輸送等をするための袋体であって、封入物が外部から透視されるのを防止しうるような袋体に関し、封入物の不用意な透視を好適に防止することのできる封筒その他の輸送用等の袋体を提供することを課題とする。
【解決手段】 袋本体1の少なくともいずれか一片に、金属蒸着フィルムが具備されていることを特徴とする。
【解決手段】 袋本体1の少なくともいずれか一片に、金属蒸着フィルムが具備されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、封入物の透視防止用袋体、さらに詳しくは、主として合成樹脂製フィルムからなる郵送用の封筒や、メール便や宅配便等の民間業者による輸送用の袋体、或いは個別訪問により各家庭の郵便受けに直接投函される袋体等、封入物を封入して受信者に郵送、輸送等をするための袋体であって、封入物が外部から透視されるのを防止しうるような袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製フィルムからなる郵送用の封筒は、透明で封入物を外部から透視させることができ、またグラビヤ印刷やオフセット印刷によって図柄等の有色の綺麗な印刷を施すことができ、さらに耐水性があり安価に製作できるという、紙製の封筒にない種々の利点を有している。そして、これらの利点が特にダイレクトメール用の用途に適していることから、ダイレクトメールの普及に伴ってここ十数年の間に合成樹脂製封筒の需要が普及してきている。
【0003】
しかしながら、ダイレクトメール以外の用途では、たとえば納品書、請求書等、外部から透視させることに支障を生ずるような封入物も多く、その場合には上記のような図柄等の印刷とは別に、黒色、銀色、灰色、茶色、紺色等の透視防止を目的とした着色が印刷によって施されている。
【0004】
ところで、このような透視防止を目的とした着色用のインクとして、従前では重金属類等が含有されたものが用いられており、そのようなインクは封入物が外部から透視されるのが比較的好適に防止されていたが、公害の観点から、このような重金属類を含有するインクの使用が廃止されるに至った。代替品として現在用いられている着色インクは、外部から封入物が透視されるのを好適に防止することができない。特にグラビア印刷では、印刷用のロールを高速で回転させるので、インクをそれ程多く塗着することができず、これが封入物の透視を好適に防止できない1つの要因ともなっている。紙製封筒の需要が依然として多いのもこのような理由による。
【0005】
たとえば、下記特許文献1は、透明フィルム封筒に関する特許出願であるが、請求項2には、文字情報に対向する部分のみを透視不可能に着色する手段を講じることが記載されているが、封入物が透視されるのを厳格に防止することを目的とするものではない。
【0006】
【特許文献1】特開2003−221040号公報
【0007】
一方、ダイレクトメールを発信する通信販売等の業者は、近年では個人情報ネットワーク等の利用により顧客の住所、電話番号、氏名等の情報を収集し、上記のようなフィルム封筒で郵送しているが、2005年4月1日から施行された個人情報保護法により、従前に比べて個人の住所、電話番号、氏名等の情報の収集にも一定の制限が加えられ、そのこととも関連して上記のような合成樹脂製の封筒における封入物の透視防止の要請も依然よりも強くなっている。
【0008】
また近年においては、メール便や宅配便等郵便局以外の民間業者によっても書類等の送付物が輸送用の袋体に封入されて輸送され、或いは個別訪問により封入物が
袋体に封入されて各家庭の郵便受けに直接投函されることもあるが、このような場合でも合成樹脂製の袋体が多く用いられるので、封入物の透視防止が求められる場合もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、上記のような封入物の不用意な透視を好適に防止することのできる封筒その他の輸送用等の袋体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、請求項1記載の発明は、袋本体1の少なくともいずれか一片に、金属蒸着フィルムが具備されていることを特徴とする。また請求項2記載の発明は、請求項1記載の袋体において、白マットインク7が塗着された合成樹脂製フィルム6が、金属蒸着フィルムにラミネートされて袋本体1の少なくともいずれか一片が構成されていることを特徴とする。
さらに請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の袋体において、金属蒸着フィルムがアルミ蒸着フィルムであることを特徴とする。さらに請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の封入物の透視防止用袋体において、袋本体1の一片1aと他片1bとが別体に形成されていることを特徴とする。さらに請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の封入物の透視防止用袋体において、袋本体1の開口部が開封されたか否かを確認するための開封確認手段が設けられていることを特徴とする。さらに請求項6記載の発明は、請求項5記載の封入物の透視防止用袋体において、開封確認手段が、袋本体1の一片1aを他片1bより上方へ延長して形成された封緘片10に、該封緘片10を分断しうるように設けられたカットテープ24であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上述のように、本発明は、袋本体の少なくともいずれか一片に、金属蒸着フィルムを具備させたものであるので、その金属蒸着フィルムが具備された袋本体の一片側から袋本体内の封入物が透視されるのが好適に防止されるとになる。従って、単に透視防止用のインクで着色された従来の封筒等の袋体に比べて、透視防止効果が著しく向上し、親展用に適した封筒等の袋体を提供することができる。
【0012】
また、2005年の4月から施行されている個人情報保護法にもより合致した封筒等の袋体を提供することができるという効果がある。
【0013】
さらに、白マットインクが塗着された合成樹脂製フィルムを、金属蒸着フィルムにラミネートして袋本体の少なくとも一片を構成した場合には、封筒等における少量多品種に適したオフセット印刷を、好適に行うことができるという効果がある。
【0014】
すなわち、グラビヤ印刷の場合には、少量多品種の印刷には不適であり、オフセット印刷の方が適しているが、オフセット印刷の場合には、金属蒸着フィルムに直接印刷を行うことは容易でない。しかしながら、上記のように白マットインクが塗着された合成樹脂製フィルムが金属蒸着フィルムの表面側に設けられていることによって、少量多品種の印刷を綺麗に且つ容易に行うことができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面に従って説明する。
【0016】
(実施形態1)
図1乃至図4において、1は封筒として使用される袋本体で、該袋本体1の一片1aは複層フィルムで構成され、且つ該袋本体1の他片1bは、延伸ポリプロピレンフィルムで構成されている。そして、図1及び図2に示すように、前記袋本体1の一片1aが前記袋本体1の他片1bと重合されて、該袋本体1の両片1a、1bの両側縁部2a、2b及び底縁部2cの三方が熱圧着されることによって袋状に形成されてなる。
【0017】
袋本体1の一片1aを構成する複層のフィルムは、図5に示すように、無延伸ポリプロピレンからなる合成樹脂製フィルム3にアルミニウム4が蒸着されたアルミ蒸着フィルム5と、延伸ポリプロピレンからなる合成樹脂製フィルム6に白マットインク7が塗着された白マットインクフィルム8とが、接着層9を介してラミネートされて構成されている。
【0018】
袋本体1の一片1aの表面側には、上記のように白マットインクフィルム8が設けられているので、その袋本体1の一片1aの表面側に宛先宛名等を筆記等によって表示することができる。また、図示しないが、郵便番号欄や所望文字、図柄等が必要に応じて印刷される。
【0019】
10は、前記袋本体1の一片1aを他片1bより開口部11の上方へ延長して形成された封緘片で、その封緘片10の一面側には接着剤12を介して離型材13が設けられている。尚、袋本体1の一片1aは、上述のようにアルミ蒸着フィルム5と白マットインクフィルム8とがラミネートされて構成されているのであるが、封緘片10の部分においては、白マットインクフィルム8は設けられておらず、アルミ蒸着フィルム5のみが設けられていて、そのアルミ蒸着フィルム5が外面側に裸出した状態とされている。
【0020】
そして、このようなフィルム封筒である袋体を使用する場合には、内容物を袋体14内に封入した後、封緘片10から離型材13を剥離し、封緘片10を折り曲げ、接着剤12を介して該封緘片10を袋本体1の他片1b側に接着する。このようにして内容物を封入した状態で、袋体14は発信者から受信者に発送される。
【0021】
この場合において、袋本体1の一片1a側にアルミ蒸着フィルム5が具備されているので、そのアルミ蒸着フィルム5が具備された袋本体1の一片1a側から袋本体内の封入物が透視されるのが好適に防止されることとなる。
【0022】
また、アルミ蒸着フィルム5の表面側に白マットインクフィルム8が設けられているので、袋本体1の一片1a側に受信者の住所、氏名等を好適に印刷することができる。すなわち、送付すべき受信者がそれほど多くない場合、少量多品種に適したオフセット印刷を用いるのが好ましく、その場合にはアルミ蒸着フィルム5に直接印刷を施すのは困難であるが、本実施形態では袋本体1の一片1aの表面側に白マットインクフィルム8が設けられているので、オフセット印刷によって住所、氏名等を好適に印刷することができるのである。
一方、袋本体1の他片1b側は、透明な延伸ポリプロピレンフィルムで構成されているので、その他片1b側からは、袋本体1の内部を透視することができる。しかしながら、封入物が宣伝広告等用の書類であれば、透視されることに不都合がないばかりか、むしろ意図的に透視されるように表示面を他片1b側に向けて書類等を袋本体1内に封入することが要請される場合もある。
従って、本実施形態のような袋体は、表示内容が透視されても支障のない、或いは透視されることが要請されるような宣伝広告等用の書類と、透視防止が要請される個人情報等の書類との双方を封入するような場合に好適に用いることができ、その場合には、透視防止が要請される書類を袋本体1の一片1a側に位置させ、透視されても支障のない書類等を袋本体1の他片1b側に位置させ、透視されても支障のない書類等によって透視防止が要請される書類が覆い隠されて、他片1b側から透視されないような状態で封入することができるのである。
【0023】
次に、上記のような構成からなるフィルム封筒としての袋体14を製造する方法について説明する。
【0024】
先ず、図6に示すように、複層フィルムで構成された長尺複層フィルムシート15と、延伸ポリプロピレンフィルムで構成された長尺フィルムシート16とを準備する。複層フィルムは、上述のように、無延伸ポリプロピレンフィルム3にアルミニウム4が蒸着されたアルミ蒸着フィルム5と、延伸ポリプロピレンフィルム6に白マットインク7が塗着された白マットインクフィルム8とが、接着層9を介してラミネートされて構成されたものである。
【0025】
この複層フィルムを構成する白マットインクフィルム8において、該シール部18の部分には白マットインク7が塗着されていない。この場合白マットインク7は、延伸ポリプロピレンフィルム6上のシール部18の部分を除いた位置に塗着されるが、アルミニウム4は先ず無延伸ポリプロピレンフィルム3の全面に蒸着される。
【0026】
上記の長尺複層フィルムシート15と長尺フィルムシート16は、袋体の長さ方向の2丁分の幅を有して形成されている。このような長尺複層フィルムシート15及び長尺フィルムシート16は、ロール状に巻き取られたものであるが、その巻き取られた状態から引き出して移送しつつ、図6に示すように長尺複層フィルムシート15と長尺フィルムシート16とを重合させる。
【0027】
このとき、図6にも示すように、長尺複層フィルムシート15の幅は長尺フィルムシート16の幅よりもやや広く形成されており、長尺複層フィルムシート15を長尺フィルムシート16に重合した場合に、両端部に長尺複層フィルムシート15が延長片17として突出される。そして、この延長片17が袋体の封緘片10となるべき部分であり、その延長片17上に接着剤12を介して離型材13が設けられている。
【0028】
次に、図7に示すように、重合された長尺複層フィルムシート15と長尺フィルムシート16とを、フィルム封筒が形成された場合に底縁部2c及び両側縁部2a、2bになる位置において熱圧着する。これにより、所定幅となるようなシール部18が形成されることとなる。
【0029】
次に、図8に示すように、重合された長尺複層フィルムシート15と長尺フィルムシート16との長手方向略中央におけるシール部18の部分を切断する。これによって、2組の長尺重合シート19a、19bが形成されることとなる。
【0030】
次に、図9に示すように、熱溶着されたシール部18の部分を短手方向の所定間隔ごとに切断する。これによって、図1に示すような袋本体1の一片1aがアルミ蒸着フィルム5を具備する複層フィルムで構成され、他片1bが単層のフィルムで構成された封筒としての袋体が連続的且つ自動的に製造されることとなる。また上述のように長尺複層フィルムシート15がフィルムシート16より幅が広く、長尺複層フィルムシート15が突出した状態で両シート15、16を重合したため、該突出部分が封緘片10として形成されることとなる。
【0031】
上記のような長手方向及び短手方向のシール部18の部分を切断する場合において、本実施形態では上記のように複層フィルムシート15におけるシール部18の部分において白マットインク7が除去されているので、熱板等によって溶断シールされた後の袋体の端縁に、いわゆるひげのようなフィルムの微細な突出部分が生ずることもない。すなわち、上記シール部18の部分に仮に白マットインク7が存在すると、溶断シール時にインクが溶けて熱板に付着して上記微細な突出部分が生じ得るが、白マットインク7が存在しないことによって、このような微細な突出部分が生じることもないのである。
【0032】
上述のように、本実施形態では、袋本体1の一片1a側にアルミ蒸着フィルム5が具備されているので、そのアルミ蒸着フィルム5が具備された袋本体1の一片1a側から袋本体内の封入物が透視されるのが好適に防止され、単に透視防止用のインクで着色された従来の封筒に比べて透視防止効果が著しく向上する。尚、袋本体1の他片1b側は透明であるので、封入物はそのまま透視されるが、隠蔽すべき文字等が袋本体1の一片1a側に向くように配置された状態で書類等の封入物が封入されていれば、一応透視防止の目的は達成されることとなる。
【0033】
(実施形態2)
本実施形態においては、袋本体1の一片1a側のみならず、袋本体1の他片1b側も不透明に形成されており、この点で袋本体1の他片1b側が透明に形成されていた実施形態1の場合と相違する。すなわち、本実施形態においては、袋本体1の他片1bを構成する複層のフィルムも、袋本体1の一片1aと同様に、図10に示すように、無延伸ポリプロピレンからなる合成樹脂製フィルム3にアルミニウム4が蒸着されたアルミ蒸着フィルム5と、延伸ポリプロピレンからなる合成樹脂製フィルム6に白マットインク7が塗着された白マットインクフィルム8とが、接着層9を介してラミネートされて構成されている。
【0034】
本実施形態においては、このように袋本体1の一片1aのみならず、他片1bにもアルミ蒸着フィルム5が具備されているので、袋本体1の表裏両片1a、1bのいずれの側からも封入物が全く透視されることがない。従って透視防止がより確実になされることとなり、上記実施形態1に比べて親展用等により適した封筒を提供することが可能となる。すなわち、宣伝広告用等の書類がなく、封入されるすべての書類に秘密保持が要求されるような場合に本実施形態の袋体を好適に使用することが可能となるのである。
【0035】
白マットインクフィルム8が具備されていることによる印刷時の効果は、上記実施形態1の場合と同様に生ずる。
【0036】
(実施形態3)
本実施形態においても、袋本体1の一片1aと他片1bとの双方が不透明に形成されており、この点で上記実施形態2と袋本体1の基本的構成が共通する。本実施形態においては、図11及び図12に示すように、さらに袋本体1の上部の封緘片10に該封緘片10を分断するためのカットテープ24が具備されており、この点でかかるカットテープ24が具備されていない実施形態2の場合と相違する。またカットテープ24を引き裂く起点となる切込部26、26が、封緘片10の一側縁側に形成されている。さらに上記実施形態1及び2と同様に封緘片10には白マットインクフィルム8が設けられておらず、アルミ蒸着フィルム5が外面側に裸出した状態とされている。
【0037】
本実施形態においては、図13及び図14に示すように封緘された封筒を受信者が受信した後、その封筒を開封する場合に、上記切込部26、26を起点として図15のようにカットテープ24を引き裂くことによって開封する。このようにしてカットテープ24を引き裂くと、接着剤12を介して封緘片10を袋本体1の他片1b側から取り外さなくとも、図16及び図17に示すように袋本体1の開口部11が開口することとなり、封入物を袋本体1の内部から取り出すことが可能となる。
【0038】
さらにこの場合において、封緘片10には白マットインクフィルム8が設けられておらず、アルミ蒸着フィルム5が外面側に裸出した状態とされているので、上記のようにカットテープ24を引き裂いて袋体14を開封すると、開封後に接着剤12を介して袋本体1の他片1b側に残存している封緘片10の残片25がアルミ蒸着フィルム5であるとともに、その残片25の上側にわずかに裸出している袋本体1の他片1bの表面側は白マットインクフィルム8で構成されているので、開封された状態を、このような白マットインクフィルム8上にアルミ蒸着フィルム5からなる残片25が残存している状態によって容易に確認することができる。また、
上記のようにカットテープ24を引き裂かれることによって、図16及び図17に示すように袋本体1の一片1a側には残余突片27が残存した状態となる。すなわち、封緘片10は上記カットテープ24の引き裂きによって前記残片25と残余突片27とに分断された状態となり、修復することが不可能な状態となる。
【0039】
従って、仮に受信者以外の第三者が不当に封筒を開封した場合、その不当に開封れた事実を上記のような白マットインクフィルム8とアルミ蒸着フィルム5とが混在している開封状態によって容易に把握することができるのである。また、上記のように修復不可能なカットテープ24を開封確認手段として採用したことにより、
上記のように不当に開封されることが未然に防止されることとなる。
【0040】
このように、本実施形態においては、封緘片10に設けられたカットテープ24が、単に開封手段として機能しているだけでなく、受信者以外の第三者によって不当に封筒が開封された事実を容易に確認するための開封確認手段としても機能しうるのである。
しかも、開封手段としてカットテープ24を採用することで、接着剤の接着力に抗して封緘片10を剥がさなくとも袋本体1を開封して開口部11を開口させることができるので、接着剤の接着力をより強固にして親展用により適した封筒を提供することが可能となる。
【0041】
カットテープ24以外の袋本体1の構成は実施形態2と同じであるため、その説明は省略する。
【0042】
(実施形態4)
本実施形態は、切取可能なファイルが具備された封筒の実施形態である。すなわち、本実施形態では、図18及び図19に示すように、袋本体1の一片1aと他片1bの双方に、切取線20が逆向き略L字状に配設された状態に形成されている。袋本体1の一片1aと他片1bとの構成は実施形態1と同じであるため、その説明は省略する。
【0043】
本実施形態においては、袋本体1内に封入物が送信者によって封入され、その袋体である封筒が受信者に送信される。これを受信した受信者が、袋本体1内に封入された封入物を取り出すことによって、封筒としての使用目的は達成されるが、本実施形態においては、さらに受信者が上記逆向き略L字形に配設された切取線20を切り取り、図20に示すように残余片21を除去することによって、残存している部分をファイル22として使用することができる。
【0044】
すなわち、上記切取線20を切り取ると、同図のように袋本体1の表裏両片1a、1bの左側縁部2b及び下縁部2cの2辺が熱圧着され、上縁部23a及び右側縁部23dが開口するファイル22が形成されることとなるのである。
【0045】
従って、受信者が封筒を受信し、封入物を取り出した後においても、上記のようなファイル22として書類の保管等に使用することができるので、受信後の封筒を受信者が廃棄する必要がなく、有効に利用することができる。そして、合成樹脂製フィルムを素材とする封筒を、廃棄せずにファイルとして有効利用することは、環境保全の観点からも好ましいものである。
【0046】
(実施形態5)
本実施形態は、上記実施形態4と同様に切り取り可能なファイルが具備された封筒の実施形態である。
【0047】
ただし本実施形態では、袋本体1の両片1a、1bの両側縁部2a、2b及び底縁部2cのみならず、図21に示すように上縁部2dも熱圧着されており、この点で上縁部側に開口部11や封緘片10が形成されていた実施形態3の場合と相違する。すなわち、本実施形態の封筒は、内容物が袋本体1の両片1a、1b間に封入されつつ、両側縁部2a、2b、底縁部2c、上縁部2dが熱圧着される、いわゆる自動封入封緘用の封筒である。
【0048】
従って、受信者が受信した後、封筒を一旦開封すると、本来であれば、封緘片を具備した封筒に比べて書類の保管等が一層行ないにくいものであるが、本実施形態では図21に示すように切取線20が形成されているので、図22に示すように残余片21を除去することによって、実施形態4と同様に残存している部分をファイル22として使用することができる。
【0049】
よって、実施形態4と同様に、受信し、封入物を取り出した後の封筒の有効利用を図ることができる。
【0050】
(その他の実施形態)
尚、上記実施形態では、袋本体1の他片1bを構成する合成樹脂製フィルム6として、延伸ポリプロピレンフィルムを使用したが、無延伸ポリプロピレンフィルムを使用することも可能である。また、ポリプロピレン以外にポリエチレンフィルムを用いることも可能である。ただし透明度の高さは無延伸よりも延伸フィルムの方が優れており、ポリエチレンよりポリプロピレンフィルムの方が優れている。
【0051】
さらに、上記各実施形態では、袋本体1の一片1aや他片1bに、アルミ蒸着フィルム5の他に、白マットインクフィルム8を具備させたが、白マットインクフィルム8を具備させることは本発明に必須の条件ではない。ただし、白マットインクフィルム8を具備させることで、上述のように少量多品種を目的とするオフセット印刷を好適に行なうことができるという利点があり、またオフセット印刷に限らず、グラビヤ印刷を行なう場合にも、白マットインクが存在することによって印刷用インクの色が鮮明に現出され、印刷を綺麗に行なうことができるという効果がある。
【0052】
さらに上記実施形態では、袋本体1の一片1aを他片1bより延長することによって封緘片10を形成したが、これとは逆に他片1bを一片1aより延長して封緘片10を形成してもよい。
【0053】
さらに、上記実施形態では、接着剤12及び離型材13を封緘片10に設けたが、封緘片10に設けずに、袋本体1側に設けてもよい。さらに、封緘片10は、接着剤12を塗布せずに粘着テープ等の手段によって封緘されるようにしてもよい。さらに、上記実施形態では、所定の溶着部を熱溶着によって形成したが、該実施形態のような熱溶着に限らず、超音波溶着で溶着部を形成することも可能である。
【0054】
さらに、上記実施形態では、袋体14の開封手段兼用の開封確認手段としてカットテープ24を封緘片10に具備させたが、袋体14の開封手段としては、このようなカットテープ24の他に、たとえばミシン目等を開封手段として採用することも可能であり、その他の手段を採用することも可能であり、その手段は問うものではない。
さらに、上記実施形態では、袋体14の開封手段兼用の開封確認手段としてカットテープ24を、封緘片10を具備する袋体に設ける場合について説明したが、このような封緘片10を具備する袋体に限らず、たとえば実施形態5に示すような自動封入封緘用の封筒に適用することも可能である。ただしカットテープ24を具備させるので、該実施形態5のような切取線20は不要となり、従ってファイル22として使用することを意図するよりも、一般的な自動封入封緘用の封筒に適したものとして使用することができる。
【0055】
また開封確認手段としては、上記実施形態のカットテープ24以外に、たとえば封緘片10が接着される袋本体1の他片1b側に着色マットインクを塗着し、封緘片10の剥離の後に該着色マットインクが部分的に剥離されて開封状態を確認しうるような手段を採用することも可能である。さらに、これ以外の開封確認手段を採用することも可能であり、開封確認手段の種類も問うものではない。
【0056】
尚、このような開封手段や開封確認手段を設けることは、個人情報保護法が施行されたことに伴い、秘密保持が一層要求されるようになった親展用の封筒において非常に好ましいものであるが、このような開封手段や開封確認手段を設けることは本発明に必須の条件ではない。
【0057】
さらに、上記実施形態では、オフセット印刷によって袋体への印刷を行ったが、オフセット印刷に限らず、他の印刷手段、たとえばフレキソ印刷やグラビヤ印刷等によって印刷することも可能であり、その印刷の種類は問わない。ただし、少量多品種の場合には、上記のようにアルミ蒸着フィルム5に白マットインクフィルム8がラミネートされた複層フィルムを具備する封筒を用いてオフセット印刷を行なうことが好ましい。
【0058】
一方、同じ印刷内容の封筒を大量に印刷する場合には、量産に適したグラビヤ印刷の方が好適に使用できる。この場合には、白マットインクフィルム8がなくてもアルミ蒸着フィルム5上に直接印刷を行なうことが可能である。
【0059】
さらに、上記実施形態では、袋本体1の一片1aと他片1bとの両側縁部2a、2b及び底縁部2cの三方を直接熱圧着可能に構成したが、これら三方の縁部を熱圧着可能に構成する手段は該実施形態のように直接熱圧着する手段に限らず、たとえば袋本体1の一片1a又は他片1bの両側縁部2a、2b及び底縁部2cにおいて、所定幅となるように熱接着可能な接着剤を設け、或いは袋本体1の一片1aの内面側に樹脂層を設けることで、その接着剤や樹脂層を介して両側縁部2a、2b及び底縁部2cを熱接着することも可能である。
【0060】
さらに、上記実施形態では、袋本体1を構成する一片1aと他片1bとが、別々のフィルムで構成されていたが、これに限らず1枚のフィルムを2つ折り状態に折り曲げて袋本体1を構成することも可能である。
【0061】
ただし、この場合には、表裏両片1a、1bの双方にアルミ蒸着フィルム5を具備させる場合は製造工程上の合理化に支障を生じることはないが、一片1aのみに
アルミ蒸着フィルム5を具備させる場合は、2つ折りされる1枚のフィルムの半分
のみにアルミ蒸着を施すことができず、全面にアルミ蒸着を施した後、他片1b側に相当するフィルムの半分の部分に蒸着されたアルミニウムをパスタ加工により除去しなければならないため、製造工程上のロスが無視できず、製造コストが高くつくこととなる。従って、実施形態1のように袋本体1の一片1aのみにアルミ蒸着フィルム5を具備させる場合には、該実施形態のように別体の2枚の長尺フィルムを用いて袋体を製造することが好ましい。すなわち、袋本体1の一片1aと他片1bとを別々のフィルムで構成することで、上記のような製造工程上のロスを防止し、製造コストを低減できるという効果を有するのである。
【0062】
尚、上記実施形態のようなアルミ蒸着フィルム5に代えて、アルミニウム以外の
金属を蒸着した金属蒸着フィルムを用いることも可能である。ただし、アルミ蒸着フィルムは、酸化防止効果があり、また変色のおそれが少ないので光沢を維持することができる効果があり、袋体を構成するフィルムに用いるには好適である。
【0063】
また、アルミ蒸着フィルムは、狭義にはアルミニウムの粉末を散りばめてフィルムに蒸着したようなものをいうが、これ限らず、たとえばアルミニウムの箔をフィルムに展着させたようなものを用いることも可能である。すなわち、本発明における金属蒸着フィルムとは、金属粉末を用いる狭義の蒸着フィルムのみならず、金属箔を設けたようなものも含む広義の意味である。
【0064】
尚、本発明は、上述のようなアルミ蒸着フィルム等の金属蒸着フィルムによって透視防止を行なう観点から、袋本体1が透明な合成樹脂製の袋体に適用することを主眼とするものではあるが、袋本体の一片1aが紙製のシートで袋本体の他片1bが合成樹脂製フィルムであるような袋体に適用することができ、さらには袋本体の両片1a、1bがともに紙製のシートで構成されたような袋体に適用することも可能である。
【0065】
これらの場合には、たとえば紙製のシートの内面側にアルミ蒸着フィルムがラミネートされることによって袋本体1が構成されることになる。紙製のシートであっても、薄手の紙の場合には、封入物が透視されるおそれがあるので、アルミ蒸着フィルムを具備させることで、合成樹脂製フィルムからなる袋体と同様に透視防止効果を付与する実益がある。一方、紙製のシートには文字等が筆記可能であり、印刷も比較的好適に行なえるので、上記のような白マットインクを用いる必要はない。
また紙製のシートを具備させる場合、封緘片を剥離する際に、その封緘片又はそれと対面する袋本体を構成する紙の繊維が離脱して開封確認を行なうことが可能となる。
【0066】
さらに、上記実施形態では、袋体をフィルム封筒に適用する場合について説明したが、本発明の袋体の種類も該実施形態のフィルム封筒に限らず、たとえば航空郵便用の袋体や、メール便や宅配便等の輸送用の袋体に使用することも可能である。さらには、このような郵送用や輸送用以外の袋体に本発明を適用することも可能であり、本発明の袋体の用途は問うものではない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】一実施形態の袋体の正面図。
【図2】同背面図。
【図3】図1のA−A線断面図。
【図4】図1のB−B線断面図。
【図5】図3のC部拡大断面図。
【図6】一実施形態の袋体の製造方法であって、長尺複層フィルムシートと長尺フィルムシートを準備する工程の平面図。
【図7】長尺複層フィルムシートと長尺フィルムシートの所定位置を熱溶着してシール部を形成する工程の平面図。
【図8】長尺複層フィルムと長尺フィルムシートの略中央を切断する工程の平面図。
【図9】シール部を切断する工程の平面図。
【図10】他実施形態の袋体の要部拡大断面図。
【図11】他実施形態の袋体の正面図。
【図12】同背面図。
【図13】同封緘状態の背面図。
【図14】図13のD−D線断面図。
【図15】カットテープを引き裂く状態を示す背面図。
【図16】同袋体の開封状態の背面図。
【図17】図16のE−E線断面図。
【図18】他実施形態の袋体の正面図。
【図19】同背面図。
【図20】図18の袋体からファイルを切り取った状態の正面図。
【図21】他実施形態の袋体の正面図。
【図22】図21の袋体からファイルを切り取った状態の正面図。
【符号の説明】
【0068】
1…袋本体 1a…一片
1b…他片 5…アルミ蒸着フィルム
6…合成樹脂製フィルム 7…白マットインク
8…白マットインクフィルム 24…カットテープ
【技術分野】
【0001】
本発明は、封入物の透視防止用袋体、さらに詳しくは、主として合成樹脂製フィルムからなる郵送用の封筒や、メール便や宅配便等の民間業者による輸送用の袋体、或いは個別訪問により各家庭の郵便受けに直接投函される袋体等、封入物を封入して受信者に郵送、輸送等をするための袋体であって、封入物が外部から透視されるのを防止しうるような袋体に関する。
【背景技術】
【0002】
合成樹脂製フィルムからなる郵送用の封筒は、透明で封入物を外部から透視させることができ、またグラビヤ印刷やオフセット印刷によって図柄等の有色の綺麗な印刷を施すことができ、さらに耐水性があり安価に製作できるという、紙製の封筒にない種々の利点を有している。そして、これらの利点が特にダイレクトメール用の用途に適していることから、ダイレクトメールの普及に伴ってここ十数年の間に合成樹脂製封筒の需要が普及してきている。
【0003】
しかしながら、ダイレクトメール以外の用途では、たとえば納品書、請求書等、外部から透視させることに支障を生ずるような封入物も多く、その場合には上記のような図柄等の印刷とは別に、黒色、銀色、灰色、茶色、紺色等の透視防止を目的とした着色が印刷によって施されている。
【0004】
ところで、このような透視防止を目的とした着色用のインクとして、従前では重金属類等が含有されたものが用いられており、そのようなインクは封入物が外部から透視されるのが比較的好適に防止されていたが、公害の観点から、このような重金属類を含有するインクの使用が廃止されるに至った。代替品として現在用いられている着色インクは、外部から封入物が透視されるのを好適に防止することができない。特にグラビア印刷では、印刷用のロールを高速で回転させるので、インクをそれ程多く塗着することができず、これが封入物の透視を好適に防止できない1つの要因ともなっている。紙製封筒の需要が依然として多いのもこのような理由による。
【0005】
たとえば、下記特許文献1は、透明フィルム封筒に関する特許出願であるが、請求項2には、文字情報に対向する部分のみを透視不可能に着色する手段を講じることが記載されているが、封入物が透視されるのを厳格に防止することを目的とするものではない。
【0006】
【特許文献1】特開2003−221040号公報
【0007】
一方、ダイレクトメールを発信する通信販売等の業者は、近年では個人情報ネットワーク等の利用により顧客の住所、電話番号、氏名等の情報を収集し、上記のようなフィルム封筒で郵送しているが、2005年4月1日から施行された個人情報保護法により、従前に比べて個人の住所、電話番号、氏名等の情報の収集にも一定の制限が加えられ、そのこととも関連して上記のような合成樹脂製の封筒における封入物の透視防止の要請も依然よりも強くなっている。
【0008】
また近年においては、メール便や宅配便等郵便局以外の民間業者によっても書類等の送付物が輸送用の袋体に封入されて輸送され、或いは個別訪問により封入物が
袋体に封入されて各家庭の郵便受けに直接投函されることもあるが、このような場合でも合成樹脂製の袋体が多く用いられるので、封入物の透視防止が求められる場合もある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は、このような点に鑑みてなされたもので、上記のような封入物の不用意な透視を好適に防止することのできる封筒その他の輸送用等の袋体を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、このような課題を解決するためになされたもので、請求項1記載の発明は、袋本体1の少なくともいずれか一片に、金属蒸着フィルムが具備されていることを特徴とする。また請求項2記載の発明は、請求項1記載の袋体において、白マットインク7が塗着された合成樹脂製フィルム6が、金属蒸着フィルムにラミネートされて袋本体1の少なくともいずれか一片が構成されていることを特徴とする。
さらに請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の袋体において、金属蒸着フィルムがアルミ蒸着フィルムであることを特徴とする。さらに請求項4記載の発明は、請求項1乃至3のいずれかに記載の封入物の透視防止用袋体において、袋本体1の一片1aと他片1bとが別体に形成されていることを特徴とする。さらに請求項5記載の発明は、請求項1乃至4のいずれかに記載の封入物の透視防止用袋体において、袋本体1の開口部が開封されたか否かを確認するための開封確認手段が設けられていることを特徴とする。さらに請求項6記載の発明は、請求項5記載の封入物の透視防止用袋体において、開封確認手段が、袋本体1の一片1aを他片1bより上方へ延長して形成された封緘片10に、該封緘片10を分断しうるように設けられたカットテープ24であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
上述のように、本発明は、袋本体の少なくともいずれか一片に、金属蒸着フィルムを具備させたものであるので、その金属蒸着フィルムが具備された袋本体の一片側から袋本体内の封入物が透視されるのが好適に防止されるとになる。従って、単に透視防止用のインクで着色された従来の封筒等の袋体に比べて、透視防止効果が著しく向上し、親展用に適した封筒等の袋体を提供することができる。
【0012】
また、2005年の4月から施行されている個人情報保護法にもより合致した封筒等の袋体を提供することができるという効果がある。
【0013】
さらに、白マットインクが塗着された合成樹脂製フィルムを、金属蒸着フィルムにラミネートして袋本体の少なくとも一片を構成した場合には、封筒等における少量多品種に適したオフセット印刷を、好適に行うことができるという効果がある。
【0014】
すなわち、グラビヤ印刷の場合には、少量多品種の印刷には不適であり、オフセット印刷の方が適しているが、オフセット印刷の場合には、金属蒸着フィルムに直接印刷を行うことは容易でない。しかしながら、上記のように白マットインクが塗着された合成樹脂製フィルムが金属蒸着フィルムの表面側に設けられていることによって、少量多品種の印刷を綺麗に且つ容易に行うことができるのである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態について図面に従って説明する。
【0016】
(実施形態1)
図1乃至図4において、1は封筒として使用される袋本体で、該袋本体1の一片1aは複層フィルムで構成され、且つ該袋本体1の他片1bは、延伸ポリプロピレンフィルムで構成されている。そして、図1及び図2に示すように、前記袋本体1の一片1aが前記袋本体1の他片1bと重合されて、該袋本体1の両片1a、1bの両側縁部2a、2b及び底縁部2cの三方が熱圧着されることによって袋状に形成されてなる。
【0017】
袋本体1の一片1aを構成する複層のフィルムは、図5に示すように、無延伸ポリプロピレンからなる合成樹脂製フィルム3にアルミニウム4が蒸着されたアルミ蒸着フィルム5と、延伸ポリプロピレンからなる合成樹脂製フィルム6に白マットインク7が塗着された白マットインクフィルム8とが、接着層9を介してラミネートされて構成されている。
【0018】
袋本体1の一片1aの表面側には、上記のように白マットインクフィルム8が設けられているので、その袋本体1の一片1aの表面側に宛先宛名等を筆記等によって表示することができる。また、図示しないが、郵便番号欄や所望文字、図柄等が必要に応じて印刷される。
【0019】
10は、前記袋本体1の一片1aを他片1bより開口部11の上方へ延長して形成された封緘片で、その封緘片10の一面側には接着剤12を介して離型材13が設けられている。尚、袋本体1の一片1aは、上述のようにアルミ蒸着フィルム5と白マットインクフィルム8とがラミネートされて構成されているのであるが、封緘片10の部分においては、白マットインクフィルム8は設けられておらず、アルミ蒸着フィルム5のみが設けられていて、そのアルミ蒸着フィルム5が外面側に裸出した状態とされている。
【0020】
そして、このようなフィルム封筒である袋体を使用する場合には、内容物を袋体14内に封入した後、封緘片10から離型材13を剥離し、封緘片10を折り曲げ、接着剤12を介して該封緘片10を袋本体1の他片1b側に接着する。このようにして内容物を封入した状態で、袋体14は発信者から受信者に発送される。
【0021】
この場合において、袋本体1の一片1a側にアルミ蒸着フィルム5が具備されているので、そのアルミ蒸着フィルム5が具備された袋本体1の一片1a側から袋本体内の封入物が透視されるのが好適に防止されることとなる。
【0022】
また、アルミ蒸着フィルム5の表面側に白マットインクフィルム8が設けられているので、袋本体1の一片1a側に受信者の住所、氏名等を好適に印刷することができる。すなわち、送付すべき受信者がそれほど多くない場合、少量多品種に適したオフセット印刷を用いるのが好ましく、その場合にはアルミ蒸着フィルム5に直接印刷を施すのは困難であるが、本実施形態では袋本体1の一片1aの表面側に白マットインクフィルム8が設けられているので、オフセット印刷によって住所、氏名等を好適に印刷することができるのである。
一方、袋本体1の他片1b側は、透明な延伸ポリプロピレンフィルムで構成されているので、その他片1b側からは、袋本体1の内部を透視することができる。しかしながら、封入物が宣伝広告等用の書類であれば、透視されることに不都合がないばかりか、むしろ意図的に透視されるように表示面を他片1b側に向けて書類等を袋本体1内に封入することが要請される場合もある。
従って、本実施形態のような袋体は、表示内容が透視されても支障のない、或いは透視されることが要請されるような宣伝広告等用の書類と、透視防止が要請される個人情報等の書類との双方を封入するような場合に好適に用いることができ、その場合には、透視防止が要請される書類を袋本体1の一片1a側に位置させ、透視されても支障のない書類等を袋本体1の他片1b側に位置させ、透視されても支障のない書類等によって透視防止が要請される書類が覆い隠されて、他片1b側から透視されないような状態で封入することができるのである。
【0023】
次に、上記のような構成からなるフィルム封筒としての袋体14を製造する方法について説明する。
【0024】
先ず、図6に示すように、複層フィルムで構成された長尺複層フィルムシート15と、延伸ポリプロピレンフィルムで構成された長尺フィルムシート16とを準備する。複層フィルムは、上述のように、無延伸ポリプロピレンフィルム3にアルミニウム4が蒸着されたアルミ蒸着フィルム5と、延伸ポリプロピレンフィルム6に白マットインク7が塗着された白マットインクフィルム8とが、接着層9を介してラミネートされて構成されたものである。
【0025】
この複層フィルムを構成する白マットインクフィルム8において、該シール部18の部分には白マットインク7が塗着されていない。この場合白マットインク7は、延伸ポリプロピレンフィルム6上のシール部18の部分を除いた位置に塗着されるが、アルミニウム4は先ず無延伸ポリプロピレンフィルム3の全面に蒸着される。
【0026】
上記の長尺複層フィルムシート15と長尺フィルムシート16は、袋体の長さ方向の2丁分の幅を有して形成されている。このような長尺複層フィルムシート15及び長尺フィルムシート16は、ロール状に巻き取られたものであるが、その巻き取られた状態から引き出して移送しつつ、図6に示すように長尺複層フィルムシート15と長尺フィルムシート16とを重合させる。
【0027】
このとき、図6にも示すように、長尺複層フィルムシート15の幅は長尺フィルムシート16の幅よりもやや広く形成されており、長尺複層フィルムシート15を長尺フィルムシート16に重合した場合に、両端部に長尺複層フィルムシート15が延長片17として突出される。そして、この延長片17が袋体の封緘片10となるべき部分であり、その延長片17上に接着剤12を介して離型材13が設けられている。
【0028】
次に、図7に示すように、重合された長尺複層フィルムシート15と長尺フィルムシート16とを、フィルム封筒が形成された場合に底縁部2c及び両側縁部2a、2bになる位置において熱圧着する。これにより、所定幅となるようなシール部18が形成されることとなる。
【0029】
次に、図8に示すように、重合された長尺複層フィルムシート15と長尺フィルムシート16との長手方向略中央におけるシール部18の部分を切断する。これによって、2組の長尺重合シート19a、19bが形成されることとなる。
【0030】
次に、図9に示すように、熱溶着されたシール部18の部分を短手方向の所定間隔ごとに切断する。これによって、図1に示すような袋本体1の一片1aがアルミ蒸着フィルム5を具備する複層フィルムで構成され、他片1bが単層のフィルムで構成された封筒としての袋体が連続的且つ自動的に製造されることとなる。また上述のように長尺複層フィルムシート15がフィルムシート16より幅が広く、長尺複層フィルムシート15が突出した状態で両シート15、16を重合したため、該突出部分が封緘片10として形成されることとなる。
【0031】
上記のような長手方向及び短手方向のシール部18の部分を切断する場合において、本実施形態では上記のように複層フィルムシート15におけるシール部18の部分において白マットインク7が除去されているので、熱板等によって溶断シールされた後の袋体の端縁に、いわゆるひげのようなフィルムの微細な突出部分が生ずることもない。すなわち、上記シール部18の部分に仮に白マットインク7が存在すると、溶断シール時にインクが溶けて熱板に付着して上記微細な突出部分が生じ得るが、白マットインク7が存在しないことによって、このような微細な突出部分が生じることもないのである。
【0032】
上述のように、本実施形態では、袋本体1の一片1a側にアルミ蒸着フィルム5が具備されているので、そのアルミ蒸着フィルム5が具備された袋本体1の一片1a側から袋本体内の封入物が透視されるのが好適に防止され、単に透視防止用のインクで着色された従来の封筒に比べて透視防止効果が著しく向上する。尚、袋本体1の他片1b側は透明であるので、封入物はそのまま透視されるが、隠蔽すべき文字等が袋本体1の一片1a側に向くように配置された状態で書類等の封入物が封入されていれば、一応透視防止の目的は達成されることとなる。
【0033】
(実施形態2)
本実施形態においては、袋本体1の一片1a側のみならず、袋本体1の他片1b側も不透明に形成されており、この点で袋本体1の他片1b側が透明に形成されていた実施形態1の場合と相違する。すなわち、本実施形態においては、袋本体1の他片1bを構成する複層のフィルムも、袋本体1の一片1aと同様に、図10に示すように、無延伸ポリプロピレンからなる合成樹脂製フィルム3にアルミニウム4が蒸着されたアルミ蒸着フィルム5と、延伸ポリプロピレンからなる合成樹脂製フィルム6に白マットインク7が塗着された白マットインクフィルム8とが、接着層9を介してラミネートされて構成されている。
【0034】
本実施形態においては、このように袋本体1の一片1aのみならず、他片1bにもアルミ蒸着フィルム5が具備されているので、袋本体1の表裏両片1a、1bのいずれの側からも封入物が全く透視されることがない。従って透視防止がより確実になされることとなり、上記実施形態1に比べて親展用等により適した封筒を提供することが可能となる。すなわち、宣伝広告用等の書類がなく、封入されるすべての書類に秘密保持が要求されるような場合に本実施形態の袋体を好適に使用することが可能となるのである。
【0035】
白マットインクフィルム8が具備されていることによる印刷時の効果は、上記実施形態1の場合と同様に生ずる。
【0036】
(実施形態3)
本実施形態においても、袋本体1の一片1aと他片1bとの双方が不透明に形成されており、この点で上記実施形態2と袋本体1の基本的構成が共通する。本実施形態においては、図11及び図12に示すように、さらに袋本体1の上部の封緘片10に該封緘片10を分断するためのカットテープ24が具備されており、この点でかかるカットテープ24が具備されていない実施形態2の場合と相違する。またカットテープ24を引き裂く起点となる切込部26、26が、封緘片10の一側縁側に形成されている。さらに上記実施形態1及び2と同様に封緘片10には白マットインクフィルム8が設けられておらず、アルミ蒸着フィルム5が外面側に裸出した状態とされている。
【0037】
本実施形態においては、図13及び図14に示すように封緘された封筒を受信者が受信した後、その封筒を開封する場合に、上記切込部26、26を起点として図15のようにカットテープ24を引き裂くことによって開封する。このようにしてカットテープ24を引き裂くと、接着剤12を介して封緘片10を袋本体1の他片1b側から取り外さなくとも、図16及び図17に示すように袋本体1の開口部11が開口することとなり、封入物を袋本体1の内部から取り出すことが可能となる。
【0038】
さらにこの場合において、封緘片10には白マットインクフィルム8が設けられておらず、アルミ蒸着フィルム5が外面側に裸出した状態とされているので、上記のようにカットテープ24を引き裂いて袋体14を開封すると、開封後に接着剤12を介して袋本体1の他片1b側に残存している封緘片10の残片25がアルミ蒸着フィルム5であるとともに、その残片25の上側にわずかに裸出している袋本体1の他片1bの表面側は白マットインクフィルム8で構成されているので、開封された状態を、このような白マットインクフィルム8上にアルミ蒸着フィルム5からなる残片25が残存している状態によって容易に確認することができる。また、
上記のようにカットテープ24を引き裂かれることによって、図16及び図17に示すように袋本体1の一片1a側には残余突片27が残存した状態となる。すなわち、封緘片10は上記カットテープ24の引き裂きによって前記残片25と残余突片27とに分断された状態となり、修復することが不可能な状態となる。
【0039】
従って、仮に受信者以外の第三者が不当に封筒を開封した場合、その不当に開封れた事実を上記のような白マットインクフィルム8とアルミ蒸着フィルム5とが混在している開封状態によって容易に把握することができるのである。また、上記のように修復不可能なカットテープ24を開封確認手段として採用したことにより、
上記のように不当に開封されることが未然に防止されることとなる。
【0040】
このように、本実施形態においては、封緘片10に設けられたカットテープ24が、単に開封手段として機能しているだけでなく、受信者以外の第三者によって不当に封筒が開封された事実を容易に確認するための開封確認手段としても機能しうるのである。
しかも、開封手段としてカットテープ24を採用することで、接着剤の接着力に抗して封緘片10を剥がさなくとも袋本体1を開封して開口部11を開口させることができるので、接着剤の接着力をより強固にして親展用により適した封筒を提供することが可能となる。
【0041】
カットテープ24以外の袋本体1の構成は実施形態2と同じであるため、その説明は省略する。
【0042】
(実施形態4)
本実施形態は、切取可能なファイルが具備された封筒の実施形態である。すなわち、本実施形態では、図18及び図19に示すように、袋本体1の一片1aと他片1bの双方に、切取線20が逆向き略L字状に配設された状態に形成されている。袋本体1の一片1aと他片1bとの構成は実施形態1と同じであるため、その説明は省略する。
【0043】
本実施形態においては、袋本体1内に封入物が送信者によって封入され、その袋体である封筒が受信者に送信される。これを受信した受信者が、袋本体1内に封入された封入物を取り出すことによって、封筒としての使用目的は達成されるが、本実施形態においては、さらに受信者が上記逆向き略L字形に配設された切取線20を切り取り、図20に示すように残余片21を除去することによって、残存している部分をファイル22として使用することができる。
【0044】
すなわち、上記切取線20を切り取ると、同図のように袋本体1の表裏両片1a、1bの左側縁部2b及び下縁部2cの2辺が熱圧着され、上縁部23a及び右側縁部23dが開口するファイル22が形成されることとなるのである。
【0045】
従って、受信者が封筒を受信し、封入物を取り出した後においても、上記のようなファイル22として書類の保管等に使用することができるので、受信後の封筒を受信者が廃棄する必要がなく、有効に利用することができる。そして、合成樹脂製フィルムを素材とする封筒を、廃棄せずにファイルとして有効利用することは、環境保全の観点からも好ましいものである。
【0046】
(実施形態5)
本実施形態は、上記実施形態4と同様に切り取り可能なファイルが具備された封筒の実施形態である。
【0047】
ただし本実施形態では、袋本体1の両片1a、1bの両側縁部2a、2b及び底縁部2cのみならず、図21に示すように上縁部2dも熱圧着されており、この点で上縁部側に開口部11や封緘片10が形成されていた実施形態3の場合と相違する。すなわち、本実施形態の封筒は、内容物が袋本体1の両片1a、1b間に封入されつつ、両側縁部2a、2b、底縁部2c、上縁部2dが熱圧着される、いわゆる自動封入封緘用の封筒である。
【0048】
従って、受信者が受信した後、封筒を一旦開封すると、本来であれば、封緘片を具備した封筒に比べて書類の保管等が一層行ないにくいものであるが、本実施形態では図21に示すように切取線20が形成されているので、図22に示すように残余片21を除去することによって、実施形態4と同様に残存している部分をファイル22として使用することができる。
【0049】
よって、実施形態4と同様に、受信し、封入物を取り出した後の封筒の有効利用を図ることができる。
【0050】
(その他の実施形態)
尚、上記実施形態では、袋本体1の他片1bを構成する合成樹脂製フィルム6として、延伸ポリプロピレンフィルムを使用したが、無延伸ポリプロピレンフィルムを使用することも可能である。また、ポリプロピレン以外にポリエチレンフィルムを用いることも可能である。ただし透明度の高さは無延伸よりも延伸フィルムの方が優れており、ポリエチレンよりポリプロピレンフィルムの方が優れている。
【0051】
さらに、上記各実施形態では、袋本体1の一片1aや他片1bに、アルミ蒸着フィルム5の他に、白マットインクフィルム8を具備させたが、白マットインクフィルム8を具備させることは本発明に必須の条件ではない。ただし、白マットインクフィルム8を具備させることで、上述のように少量多品種を目的とするオフセット印刷を好適に行なうことができるという利点があり、またオフセット印刷に限らず、グラビヤ印刷を行なう場合にも、白マットインクが存在することによって印刷用インクの色が鮮明に現出され、印刷を綺麗に行なうことができるという効果がある。
【0052】
さらに上記実施形態では、袋本体1の一片1aを他片1bより延長することによって封緘片10を形成したが、これとは逆に他片1bを一片1aより延長して封緘片10を形成してもよい。
【0053】
さらに、上記実施形態では、接着剤12及び離型材13を封緘片10に設けたが、封緘片10に設けずに、袋本体1側に設けてもよい。さらに、封緘片10は、接着剤12を塗布せずに粘着テープ等の手段によって封緘されるようにしてもよい。さらに、上記実施形態では、所定の溶着部を熱溶着によって形成したが、該実施形態のような熱溶着に限らず、超音波溶着で溶着部を形成することも可能である。
【0054】
さらに、上記実施形態では、袋体14の開封手段兼用の開封確認手段としてカットテープ24を封緘片10に具備させたが、袋体14の開封手段としては、このようなカットテープ24の他に、たとえばミシン目等を開封手段として採用することも可能であり、その他の手段を採用することも可能であり、その手段は問うものではない。
さらに、上記実施形態では、袋体14の開封手段兼用の開封確認手段としてカットテープ24を、封緘片10を具備する袋体に設ける場合について説明したが、このような封緘片10を具備する袋体に限らず、たとえば実施形態5に示すような自動封入封緘用の封筒に適用することも可能である。ただしカットテープ24を具備させるので、該実施形態5のような切取線20は不要となり、従ってファイル22として使用することを意図するよりも、一般的な自動封入封緘用の封筒に適したものとして使用することができる。
【0055】
また開封確認手段としては、上記実施形態のカットテープ24以外に、たとえば封緘片10が接着される袋本体1の他片1b側に着色マットインクを塗着し、封緘片10の剥離の後に該着色マットインクが部分的に剥離されて開封状態を確認しうるような手段を採用することも可能である。さらに、これ以外の開封確認手段を採用することも可能であり、開封確認手段の種類も問うものではない。
【0056】
尚、このような開封手段や開封確認手段を設けることは、個人情報保護法が施行されたことに伴い、秘密保持が一層要求されるようになった親展用の封筒において非常に好ましいものであるが、このような開封手段や開封確認手段を設けることは本発明に必須の条件ではない。
【0057】
さらに、上記実施形態では、オフセット印刷によって袋体への印刷を行ったが、オフセット印刷に限らず、他の印刷手段、たとえばフレキソ印刷やグラビヤ印刷等によって印刷することも可能であり、その印刷の種類は問わない。ただし、少量多品種の場合には、上記のようにアルミ蒸着フィルム5に白マットインクフィルム8がラミネートされた複層フィルムを具備する封筒を用いてオフセット印刷を行なうことが好ましい。
【0058】
一方、同じ印刷内容の封筒を大量に印刷する場合には、量産に適したグラビヤ印刷の方が好適に使用できる。この場合には、白マットインクフィルム8がなくてもアルミ蒸着フィルム5上に直接印刷を行なうことが可能である。
【0059】
さらに、上記実施形態では、袋本体1の一片1aと他片1bとの両側縁部2a、2b及び底縁部2cの三方を直接熱圧着可能に構成したが、これら三方の縁部を熱圧着可能に構成する手段は該実施形態のように直接熱圧着する手段に限らず、たとえば袋本体1の一片1a又は他片1bの両側縁部2a、2b及び底縁部2cにおいて、所定幅となるように熱接着可能な接着剤を設け、或いは袋本体1の一片1aの内面側に樹脂層を設けることで、その接着剤や樹脂層を介して両側縁部2a、2b及び底縁部2cを熱接着することも可能である。
【0060】
さらに、上記実施形態では、袋本体1を構成する一片1aと他片1bとが、別々のフィルムで構成されていたが、これに限らず1枚のフィルムを2つ折り状態に折り曲げて袋本体1を構成することも可能である。
【0061】
ただし、この場合には、表裏両片1a、1bの双方にアルミ蒸着フィルム5を具備させる場合は製造工程上の合理化に支障を生じることはないが、一片1aのみに
アルミ蒸着フィルム5を具備させる場合は、2つ折りされる1枚のフィルムの半分
のみにアルミ蒸着を施すことができず、全面にアルミ蒸着を施した後、他片1b側に相当するフィルムの半分の部分に蒸着されたアルミニウムをパスタ加工により除去しなければならないため、製造工程上のロスが無視できず、製造コストが高くつくこととなる。従って、実施形態1のように袋本体1の一片1aのみにアルミ蒸着フィルム5を具備させる場合には、該実施形態のように別体の2枚の長尺フィルムを用いて袋体を製造することが好ましい。すなわち、袋本体1の一片1aと他片1bとを別々のフィルムで構成することで、上記のような製造工程上のロスを防止し、製造コストを低減できるという効果を有するのである。
【0062】
尚、上記実施形態のようなアルミ蒸着フィルム5に代えて、アルミニウム以外の
金属を蒸着した金属蒸着フィルムを用いることも可能である。ただし、アルミ蒸着フィルムは、酸化防止効果があり、また変色のおそれが少ないので光沢を維持することができる効果があり、袋体を構成するフィルムに用いるには好適である。
【0063】
また、アルミ蒸着フィルムは、狭義にはアルミニウムの粉末を散りばめてフィルムに蒸着したようなものをいうが、これ限らず、たとえばアルミニウムの箔をフィルムに展着させたようなものを用いることも可能である。すなわち、本発明における金属蒸着フィルムとは、金属粉末を用いる狭義の蒸着フィルムのみならず、金属箔を設けたようなものも含む広義の意味である。
【0064】
尚、本発明は、上述のようなアルミ蒸着フィルム等の金属蒸着フィルムによって透視防止を行なう観点から、袋本体1が透明な合成樹脂製の袋体に適用することを主眼とするものではあるが、袋本体の一片1aが紙製のシートで袋本体の他片1bが合成樹脂製フィルムであるような袋体に適用することができ、さらには袋本体の両片1a、1bがともに紙製のシートで構成されたような袋体に適用することも可能である。
【0065】
これらの場合には、たとえば紙製のシートの内面側にアルミ蒸着フィルムがラミネートされることによって袋本体1が構成されることになる。紙製のシートであっても、薄手の紙の場合には、封入物が透視されるおそれがあるので、アルミ蒸着フィルムを具備させることで、合成樹脂製フィルムからなる袋体と同様に透視防止効果を付与する実益がある。一方、紙製のシートには文字等が筆記可能であり、印刷も比較的好適に行なえるので、上記のような白マットインクを用いる必要はない。
また紙製のシートを具備させる場合、封緘片を剥離する際に、その封緘片又はそれと対面する袋本体を構成する紙の繊維が離脱して開封確認を行なうことが可能となる。
【0066】
さらに、上記実施形態では、袋体をフィルム封筒に適用する場合について説明したが、本発明の袋体の種類も該実施形態のフィルム封筒に限らず、たとえば航空郵便用の袋体や、メール便や宅配便等の輸送用の袋体に使用することも可能である。さらには、このような郵送用や輸送用以外の袋体に本発明を適用することも可能であり、本発明の袋体の用途は問うものではない。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】一実施形態の袋体の正面図。
【図2】同背面図。
【図3】図1のA−A線断面図。
【図4】図1のB−B線断面図。
【図5】図3のC部拡大断面図。
【図6】一実施形態の袋体の製造方法であって、長尺複層フィルムシートと長尺フィルムシートを準備する工程の平面図。
【図7】長尺複層フィルムシートと長尺フィルムシートの所定位置を熱溶着してシール部を形成する工程の平面図。
【図8】長尺複層フィルムと長尺フィルムシートの略中央を切断する工程の平面図。
【図9】シール部を切断する工程の平面図。
【図10】他実施形態の袋体の要部拡大断面図。
【図11】他実施形態の袋体の正面図。
【図12】同背面図。
【図13】同封緘状態の背面図。
【図14】図13のD−D線断面図。
【図15】カットテープを引き裂く状態を示す背面図。
【図16】同袋体の開封状態の背面図。
【図17】図16のE−E線断面図。
【図18】他実施形態の袋体の正面図。
【図19】同背面図。
【図20】図18の袋体からファイルを切り取った状態の正面図。
【図21】他実施形態の袋体の正面図。
【図22】図21の袋体からファイルを切り取った状態の正面図。
【符号の説明】
【0068】
1…袋本体 1a…一片
1b…他片 5…アルミ蒸着フィルム
6…合成樹脂製フィルム 7…白マットインク
8…白マットインクフィルム 24…カットテープ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
袋本体(1)の少なくともいずれか一片に、金属蒸着フィルムが具備されていることを特徴とする封入物の透視防止用袋体。
【請求項2】
白マットインク(7)が塗着された合成樹脂製フィルム(6)が、金属蒸着フィルムにラミネートされて袋本体(1)の少なくともいずれか一片が構成されている請求項1記載の封入物の透視防止用袋体。
【請求項3】
金属蒸着フィルムがアルミ蒸着フィルム(5)である請求項1又は2記載の封入物の透視防止用袋体。
【請求項4】
袋本体(1)の一片(1a)と他片(1b)とが別体に形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の封入物の透視防止用袋体。
【請求項5】
袋本体(1)の開口部が開封されたか否かを確認するための開封確認手段が設けられている請求項1乃至4のいずれかに記載の封入物の透視防止用袋体。
【請求項6】
開封確認手段が、袋本体(1)の一片(1a)を他片(1b)より上方へ延長して形成された封緘片(10)に、該封緘片(10)を分断しうるように設けられたカットテープ(24)である請求項5記載の封入物の透視防止用袋体。
【請求項1】
袋本体(1)の少なくともいずれか一片に、金属蒸着フィルムが具備されていることを特徴とする封入物の透視防止用袋体。
【請求項2】
白マットインク(7)が塗着された合成樹脂製フィルム(6)が、金属蒸着フィルムにラミネートされて袋本体(1)の少なくともいずれか一片が構成されている請求項1記載の封入物の透視防止用袋体。
【請求項3】
金属蒸着フィルムがアルミ蒸着フィルム(5)である請求項1又は2記載の封入物の透視防止用袋体。
【請求項4】
袋本体(1)の一片(1a)と他片(1b)とが別体に形成されている請求項1乃至3のいずれかに記載の封入物の透視防止用袋体。
【請求項5】
袋本体(1)の開口部が開封されたか否かを確認するための開封確認手段が設けられている請求項1乃至4のいずれかに記載の封入物の透視防止用袋体。
【請求項6】
開封確認手段が、袋本体(1)の一片(1a)を他片(1b)より上方へ延長して形成された封緘片(10)に、該封緘片(10)を分断しうるように設けられたカットテープ(24)である請求項5記載の封入物の透視防止用袋体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
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【図5】
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【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2007−15703(P2007−15703A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196244(P2005−196244)
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000133537)株式会社チャレンジファイブ (13)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月5日(2005.7.5)
【出願人】(000133537)株式会社チャレンジファイブ (13)
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