説明

封入袋

【課題】 封入袋のファスナーを開きやすくすること。
【解決手段】 この封入袋100は、封入領域5の上部にファスナー6及び切断溝が設けられている。切断溝は、その一部に山形に突出したつまみ部9,10の形状を有し、このつまみ部9,10は表部1と裏部2とで異なる位置にずれて形成されている。上縁部を切断溝7,8に沿って切り離すと、表部1及び裏部2の上縁部につまみ部9,10が現れる。ユーザは、ファスナー6を開くとき、一方のつまみ部9を右手でつまみ、他方のつまみ部10を左手でつまみ、両者を開くように引っ張る。これにより、ファスナー6を簡単に開くことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、開封後は上部に設けたファスナーにより内部に入れた食品等を封入する封入袋に関するものである。
【背景技術】
【0002】
図24は、従来の封入袋の一例を示す平面図である。この封入袋500は、合成樹脂フィルムを2枚重ねてその四方を熱圧着して内部を密封した構造である。封入領域55の上部には、熱圧着部54を切断した後に当該封入袋の開閉を行うファスナー56が設けられている。ファスナー56の上部の側面には切り込み57が設けられている。ユーザは、この切り込み57から封入袋500の上部を点線59に沿って切り取ることで当該封入袋500を開き、その後はファスナー56により封入袋500の開閉を行う。なお、その他の封入袋としては、特許文献1に記載のようなものが知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2008−094443
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の封入袋500では、切り込み57から封入袋500を横方向に切断するため、開封後の封入袋500の基材上端縁が直線状になり、ファスナー56を開くときにユーザが表裏の基材をつまみ難く、特に高齢者にとってはファスナー56を開くまでに手間取ってしまうという問題点があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明の封入袋は、食品等を内部に入れて封入する封入袋において、封入領域の上部に設けたファスナーと、ファスナーの上に設けた基材同士を圧着した圧着部と、ファスナーと圧着部との間に未切断状態の切断線部により山形に突出して形成され且つ表裏で異なる位置となるように形成したつまみ部とを備えたことを特徴とする。
【0006】
また、この発明の封入袋は、食品等を内部に入れて封入する封入袋において、封入領域の上部に設けたファスナーと、ファスナーの上に設けた基材同士を圧着した圧着部と、ファスナーと圧着部との間に設けた切断線部と、ファスナーと切断線部との間にその一部が接合されると共に他部が前記切断線部に被るように且つ当該切断線部の方向にずらして設けられた一対のつまみ部とを備えたことを特徴とする。
【0007】
また、この発明の封入袋は、食品等を内部に入れて封入する封入袋において、封入領域の上部に設けられ、一対のテープ部の一方側に突起を有し且つ他方側に前記突起が嵌る溝を有するファスナーと、ファスナーの上に設けた基材同士を圧着した圧着部と、ファスナーと圧着部との間に設けた切断線部と、ファスナーの前記テープ部に一体形成されると共に前記切断線部に被るように且つ当該切断線部の方向にずらして設けた一対のつまみ部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
また、この発明の封入袋は、上記発明において、前記切断線部は、切断溝、切断糸又はミシン目であることを特徴とする。
【0009】
また、この発明の封入袋は、食品等を内部に入れて封入する封入袋において、封入領域の上部に設けたファスナーと、当該ファスナーの上に山形に突出して形成され且つ表裏で異なる位置となるつまみ部の形状に沿って圧着部内に未切断状態の切断線部を有することを特徴とする。
【0010】
また、この発明の封入袋は、食品等を内部に入れて封入する封入袋において、封入領域の上部にファスナーを有し、封入袋の上端縁に、山形に突出し表裏で異なる位置となるつまみ部が形成され、ファスナーの上で且つ前記つまみ部の下に、引き剥がし可能な圧着部を有することを特徴とする。
【0011】
また、この発明の封入袋は、表部と裏部とを縁部で結合しその内部に食品等を入れて封入する封入袋において、封入領域の上部にファスナーを有し、表部のファスナーの上には裏部より余分に基材も用いた弛み部を有し、弛み部の上に切断線部が設けられていることを特徴とする。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】この発明の実施の形態1にかかる封入袋を示す平面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】この封入袋を使用する際の状態を示す説明図である。
【図4】この発明の実施の形態2にかかる封入袋を示す平面図である。
【図5】図4のA−A断面図である。
【図6】この封入袋を使用する際の状態を示す説明図である。
【図7】この発明の実施の形態3に係る封入袋を示す平面図である。
【図8】この発明の実施の形態3に係る封入袋を示す平面図である。
【図9】実施の形態3の他の例を示す平面図である。
【図10】図9のA−A断面図である。
【図11】この発明の他の実施の形態を示す説明図である。
【図12】この発明の他の実施の形態を示す説明図である。
【図13】この発明の実施の形態5に係る封入袋を示す説明図である。
【図14】図13に示した封入袋の断面図である。
【図15】封入袋を熱圧着した状態の平面図である。
【図16】封入袋の上縁部を切り離した状態を示す平面図である。
【図17】図13に示した封入袋の変形例の断面図である。
【図18】図17の封入袋を熱圧着した状態の平面図である。
【図19】図17の封入袋の上縁部を切り離した状態を示す平面図である。
【図20】この発明の実施の形態6に係る封入袋を示す一部断面図である。
【図21】図20に示した封入袋の製造方法を示す説明図である。
【図22】封入袋の上縁部を切り離した状態を示す平面図である。
【図23】この発明の実施の形態7に係る封入袋を示す断面図である。
【図24】従来の封入袋の一例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1にかかる封入袋を示す平面図であり、(a)は表部、(b)は裏部を示す。図2は、図1のA−A断面図である。この封入袋100は表部1及び裏部2となる2枚の基材を重ね合わせ、四方の外縁部をシールして上縁部の圧着部3、左右縁部の圧着部4及び下縁部の圧着部(図示省略)を形成して袋状にしたものである。前記基材には、例えばポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系等の合成樹脂製フィルムが用いられる。
【0014】
封入袋100は、食品等を封入する封入領域5の上部にファスナー6が設けられている。前記ファスナー6は、図2に示すように、基材の表部1の内側に円柱状の突起が封入袋100の横方向に一直線に形成され、この突起に対応する溝を有する突起が封入袋100の基材の裏部2の内側に横方向に一直線に形成されている。前記溝の内側は筒状になっており前記円柱状の突起が前記溝に嵌り込むことでファスナー6が密封される。なお、ファスナー6の構造はこれに限定されず、周知のファスナーを用いても良い。一方、封入袋100の表部1と裏部2とを引き離すようにして引っ張ることで前記溝から突起が外れてファスナー6が開く。
【0015】
表部1及び裏部2の前記ファスナー6の上には、切断線部となる切断溝7,8が封入袋100の横方向に直線的に設けられている(直線部11,12)。この切断溝7,8は直線状でもミシン目状でも良い。また、当該切断溝7,8は、その一部に山形に突出したつまみ部9,10の形状を有し、このつまみ部9,10は表部1と裏部2とで異なる位置にずれて形成されている。具体的には、図1(a)に示す表部1のつまみ部9は中央より右側に、図1(b)に示す裏部2のつまみ部10も中央より右側に設けられ、この表部1と裏部2とを貼り合わせると、図3に示すように、一方向側(例えば表部1側)から見て前記つまみ部9,10が異なる位置にずれて形成される。
【0016】
前記切断溝7,8は、プレス機やレーザ加工により形成する。また、当該切断溝7,8は、封入袋100の基材の厚さ方向に貫通しているものではなく、基材の途中まで切れ込みが入ったものである。このため、切断溝7,8が設けられても封入領域5の密封は保たれる。また、切断溝7,8の両端縁には、指で引っ張って切断しやすいように、切り込みを入れておいても良い(図示省略、以下実施の形態2〜4も同様)。
【0017】
図3は、この封入袋を使用する際の状態を示す説明図である。ユーザは、ファスナー6の少し上の部分と封入袋100の上縁部を指でつまんで切断溝7,8に沿って切り離す。これにより切断溝7,8に沿って上部の基材部分が切り離される。切断溝7,8は、封入袋100の表部1及び裏部2でつまみ部9,10の形状になっているから、封入袋100の上部を切り離すことで表部1及び裏部2の上縁部につまみ部9,10が現れる。
【0018】
前記つまみ部9,10は、横方向で異なる位置に設けられ山形に突出しているので、ユーザは、ファスナー6を開くとき、一方のつまみ部9を右手でつまみ、他方のつまみ部10を左手でつまみ、両者を開くように引っ張る。これにより、つまみ部9,10付近のファスナー6から開き始め、引き続きつまみ部9,10を引っ張り続けることでファスナー6が完全に開く。
【0019】
以上、この発明の封入袋100によれば、つまみ部9,10が表部1と裏部2で異なる位置に山形に形成されるため、ユーザがそれぞれのつまみ部9,10をつまみ易い。このため、開封後、封入袋100のファスナー6を簡単に開くことができる。特に、手先の自由が効きにくい高齢者に有用である。
【0020】
(実施の形態2)
図4は、この発明の実施の形態2にかかる封入袋を示す平面図であり、(a)は表部、(b)は裏部を示す。図5は、図4のA−A断面図である。この封入袋200は、実施の形態1の封入袋100と略同様の構成であるが、切断溝7,8に代えて切断糸201を用いた点が異なる。その他の構成は実施の形態1と同様であるからその説明を省略し、同一の構成要素には同一の符号を付する。
【0021】
この封入袋200は、図5に示すように、表部1の内側面と裏部2の内側面とを圧着する樹脂層202が表部1と裏部2との間に設けられ、この樹脂層202の内部に表部1及び裏部2の基材を切断するための切断糸201が埋め込まれている。この切断糸201は、その一部に山形に突出したつまみ部9,10の形状を有し、このつまみ部9,10は表部1と裏部2とで異なる位置にずれて形成されている。具体的には、図4(a)に示す表部1のつまみ部9は中央より右側に、図4(b)に示す裏部2のつまみ部10も中央より右側に設けられ、この表部1と裏部2とを貼り合わせると、一方向側(例えば表部1側)から見て前記つまみ部9,10が異なる位置にずれて形成される。
【0022】
この切断糸201は端部203を外側に向かって引っ張ることで樹脂層202に接合している部分の基材を切断する。即ち、切断糸201を配設した切断線部に沿って切断される。切断糸201は表部用及び裏部用にそれぞれ設けられているので、ユーザは、表部1及び裏部2において切断糸201で基材を切断する。これにより切断糸201に沿って上部の基材部分が切り離される。切断糸201は、封入袋200の表部1及び裏部2でつまみ部9,10の形状になっているから、図6に示すように、封入袋200の上部を切り離すことで表部1及び裏部2の上縁部につまみ部9,10が現れる。
【0023】
以上の封入袋200においても、実施の形態1と同様の効果が得られる。
【0024】
(実施の形態3)
図7は、この発明の実施の形態3に係る封入袋を示す平面図である。この実施の形態3に係る封入袋300は、実施の形態1及び2に記載の封入袋100,200の上部の圧着部3の面積を大きくして補強した点に特徴がある。その他の構成は実施の形態1及び2と同様であるからその説明を省略し、同一の構成要素には同一の符号を付する。この封入袋300では、つまみ部9,10の形状より上部分を圧着部301として形成する。図7の例であれば、つまみ部9,10により表部1及び裏部2で2つの山形が形成されるので、封入袋300の前記2つの山形と直線部11,12からなる切断線部より上部分を全て圧着部301とする。これにより、圧着部301の強度が高くなって切れ難くなるので、例えば図1〜図3の切断溝7,8に沿って切り離す場合、切断溝7,8からそれて切れてしまい、つまみ部9,10等が歪な形になってしまうのを防止できる。
【0025】
(実施の形態4)
図8は、この発明の実施の形態4に係る封入袋を示す平面図である。この封入袋400は、つまみ部9,10が封入袋400の上端縁に最初から形成されている点に特徴がある。この封入袋400は表部1及び裏部2となる2枚の基材を重ね合わせ、四方の外縁部をシールして上縁部の圧着部403、左右縁部の圧着部4及び下縁部の圧着部(図示省略)を形成して袋状にしたものである。前記基材には、例えばポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系等の合成樹脂製フィルムが用いられる。
【0026】
封入袋400は、食品等を封入する封入領域5の上部に実施の形態1と同一構造のファスナー6が設けられている。封入袋400の表部1及び裏部2の前記ファスナー6の上でつまみ部9,10の下には、前記シールにより形成された圧着部403が位置する。この圧着部403は、左右端縁の圧着部4及び下縁部の圧着部とは異なり、ユーザがつまみ部9,10をもって開くことで簡単に剥がれる程度の接着強さとする。一方で、内部を密閉する必要があるため、圧着面積は他の圧着部よりも大きくする。
【0027】
具体的には、圧着部403は圧着部4の幅の1.5倍以上とするのが好ましく、2倍以上にするのがより好ましい。更に、つまみ部9,10の周縁の外形に沿って帯状の補強層402を設けるのが好ましい。補強部402は、つまみ部9,10を引っ張って圧着部403を引き剥がすとき、誤ってつまみ部9,10の根元部分や直線部11,12が切れてしまうことを防止すると共に、つまみ部9,10に加えた力を直線部11,12にまで上手く伝えるようにするためである。
【0028】
この封入袋400によれば、ユーザは、つまみ部9,10をつまんで引っ張ることで圧着部403を引き剥がし、封入袋400を開けることができる。また、補強層402によりつまみ部9,10に加えた力が直線部11,12に伝わり、圧着部403を綺麗に剥がすことができ、封入袋400の上部が歪に切れたりすることがない。
【0029】
図9は、実施の形態4の他の例を示す平面図である。図10は、図9のA−A断面図である。このように、上記構成において圧着部403の下側付近に糸408を埋め込み、この糸408を表部1と裏部2との間から引き上げて当該圧着部403を切断するようにしても良い。この場合に僅かに残る圧着部403は、つまみ部9,10を引くことで簡単に引き剥がすことができる。このようにすれば、接着力が強い圧着部403を形成しても糸403で切断できる。
【0030】
なお、上記実施の形態において、図11に示すように、つまみ部9,10が一部重複するようにしても良い。また、図12に示すように、表部1のつまみ部9と裏部2のつまみ部10とが相似形で表部1のつまみ部9が裏部2のつまみ部10に包摂されても良い。
【0031】
(実施の形態5)
図13は、この発明の実施の形態5に係る封入袋を示す説明図であり、(a)は製造前の表部及び裏部を開いた状態、(b)は表部及び裏部の閉じ方を示す。図14は、図13に示した封入袋の断面図、図15は、封入袋を熱圧着した状態の平面図である。この封入袋600は、1枚の長方形の基材61の中央部分62を折り曲げてその周囲を熱圧着することで袋状に成形するものであり、基材61には、例えばポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系等の合成樹脂製フィルムを用いる。なお、基材61は、実施の形態1のように2枚の基材を重ねてその周囲(下端縁を除く)を熱圧着する構造にしても良い(図示省略)。この場合は、重ねた基材同士の前記中央部分62に相当する部分は内容物を入れたのち熱圧着することが望ましい。また、ファスナー63は、封入袋600とした状態で封入領域64を形成するものであり、基材61の一端66から一定間隔をもって接着される。
【0032】
前記ファスナー63は、短冊状のテープ部67の面に円柱状の突起68が一直線に形成され、この突起68に対応する溝70を有する突起が対応するテープ部69に一直線に形成され、前記溝70の内側は筒状になっており前記円柱状の突起68が前記溝70に嵌り込むことで密封する構造である。ファスナー63は、溝70に突起68を嵌め込んだ状態で一方のテープ部67を基材61の所定位置に接着する。その後、図13(b)に示すように、基材61を折り曲げた際に他方のテープ部69を基材61の所定位置の面に接着する。
【0033】
基材61の両端部の近傍には、切断線部となる切断溝71が両端部に平行かつ直線的に設けられている。この切断溝71は直線状でもミシン目状でも良い。また、切断溝71は、ファスナー63よりも前記基材61の両端部側に設けられる。切断溝71は、プレス機やレーザ加工により形成する。また、当該切断溝71は、封入袋600の基材61の厚さ方向に貫通しているものではなく、基材61の途中まで切れ込みが入ったものである。このため、切断溝71が設けられても封入領域64の密封は保たれる。また、切断溝71の両端縁には、指で引っ張って切断しやすいように、切り込みを入れておいても良い(図示省略、下記実施の形態6,7も同様)。
【0034】
また、基材61には、図13(a)に示すように、半円形状のつまみ部72,73が取り付けられる。また、つまみ部72,73の一部である直線部72a、73aは、切断溝71とファスナー63の間に接着され、且つ、つまみ部72,73の他部である円弧部72b、73bは切断溝71に被るようにする。また、つまみ部72,73の上端は、封入袋600の上部の圧着部74と干渉しないようにする。また、各つまみ部72,73は、図15に示すように、切断溝71の方向にずらして設けられる。
【0035】
なお、つまみ部72,73の形状は、半円形状に限定されるものではない。例えば、三角形、四角形でも良い。また、つまみ部72,73は、別のパーツとして取り付けられることから、つまみ部72とつまみ部73との色や形を異なるものとしても良い。例えば、つまみ部72を青色、つまみ部73を赤色にしても良い。また、つまみ部72とつまみ部73との大きさを図11のように多少重なる程度にずらして設けても良いし、図1等に示すように重なりがないようにずらして設けても良い。更に、図12に示すように、つまみ部72とつまみ部73とを相似形状にして位置をずらしても良い。
【0036】
つまみ部72,73を取り付けた基材61は、図13(b)に示すように、中央部分62で折り曲げられ、上縁部61aおよび左右縁部61bで熱圧着され、内部が封止された封入袋600となる。この状態で、切断溝71は、図14及び図15に示すように、上縁部61aの圧着部74とファスナー63との間に位置することになる。また、前記つまみ部72,73は封入袋600の内部に封入された状態になるので、封入袋600の外側面がすっきりとし、封入袋600の表面にひっかかりがなくなる。このため、外力により封入袋600からつまみ部72,73が取れたりすることがない。なお、封入袋600に内容物を入れる際は、上記折り曲げて袋状に形成した後に前記中央部分62を切断し、内容物を入れ、当該中央部分62を熱圧着する。
【0037】
次に、この封入袋600の切断溝71を切断するには、封入袋600の上縁部61aの一端をつまんで引っ張る。これにより、切断溝71に沿って上縁部61aが封入袋600から切り離され、図16に示すように、切断溝71により新たに形成された上縁部61cからつまみ部72,73が現れる。ユーザは、ファスナー63を開くとき、一方のつまみ部72を右手でつまみ、他方のつまみ部73を左手でつまみ、両者を開くように引っ張る。これにより、つまみ部72,73付近のファスナー63から開き始め、引き続きつまみ部72,73を引っ張り続けることでファスナー63が完全に開く。
【0038】
以上、この発明の封入袋600によれば、ファスナー63を簡単に開くことができる。特に、手先の自由が効きにくい高齢者に有用である。
【0039】
図17〜図19に、この封入袋の変形例を示す。この封入袋650は、上記図13〜図16に示した封入袋600と略同じ構成であるが、つまみ部72,73を封入袋650の外側に取り付けた点が異なる。その他の構成は上記封入袋600と同じであるから同じ構成要素には同一符合を付して説明を省略する。この封入袋600では、基材61の裏面につまみ部72,73の直線部72a,73aを接着する。また、つまみ部72,73が前記切断溝71に被るように配置する。つまみ部72,73同士は、上記同様に切断溝71の方向にずらして配置する。両つまみ部72,73は中央付近に設けるのが好ましいが、左右側に配置することもできる。
【0040】
この封入袋650でも、封入袋650の上縁部61aをつまんで引っ張ることで当該上縁部61aの圧着部74を切り離すことができる。ファスナー63を開くときは、一方のつまみ部72を右手でつまみ、他方のつまみ部73を左手でつまみ、両者を開くように引っ張る。これにより、つまみ部72,73付近から開き始め、引き続きつまみ部72,73を引っ張り続けることでファスナー63が完全に開く。この封入袋650によってもファスナー63を簡単に開くことができるので、特に、手先の自由が効きにくい高齢者に有用である。
【0041】
(実施の形態6)
図20は、この発明の実施の形態6に係る封入袋を示す一部断面図である。図21は、図20に示した封入袋の製造方法を示す説明図である。この封入袋700は、ファスナー80のテープ部81,82につまみ部83,84を形成した点に特徴がある。ファスナー80は、上記実施の形態5に示したように、短冊状のテープ部81の面に円柱状の突起68が一直線に形成され、この突起68に対応する溝70を有する突起が対応するテープ部82に一直線に形成され、前記溝70の内側は筒状になっており前記円柱状の突起68が前記溝70に嵌り込むことで密封する構造である。
【0042】
このファスナー80の一対のテープ部81,82に対してそれぞれ半円形状のつまみ部83,84を一体形成する。即ち、テープ部81,82からつまみ部83,84が突出した状態で素材を打ち抜いて形成する。また、つまみ部83,84同士は、ファスナー80の長さ方向にずれて形成される。このため、ファスナー80の溝70に突起68を嵌め込んだ状態でつまみ部83,84は、ずれて位置することになる。また、ファスナー80を基材61に取り付ける場合は、まず、図21に示すように、溝70に突起68を嵌め込んだ状態(一体の状態)で、一方のテープ部81を基材61の所定位置に接着する。そして、基材61の中央部分62で折り返して基材61の所定位置に他方のテープ部82を接着する。
【0043】
また基材61の上端縁61a及び左右端縁61bは熱圧着される。なお、封入袋700に内容物を入れる際は、上記折り曲げて袋状に形成した後に前記中央部分62を切断し、内容物を入れ、当該中央部分62を熱圧着する。また、2枚の基材を重ねてその周囲を熱圧着する構成の場合は、上端縁及び左右端縁を先に圧着し、内容物を入れた後に下端縁を圧着する(図示省略)。基材61の両端部の近傍には、切断線部となる切断溝71が両端部に平行に直線的に設けられている。この切断溝71は直線状でもミシン目状でも良い。また、切断溝71は、ファスナー80よりも前記基材61の両端部側に設けられる。切断溝71は、プレス機やレーザ加工により形成する。また、当該切断溝71は、封入袋700の基材61の厚さ方向に貫通しているものではなく、基材61の途中まで切れ込みが入ったものである。このため、切断溝71が設けられても封入領域74の密封は保たれる。
【0044】
前記ファスナー80は、つまみ部83,84が前記切断線部に被るように、そのテープ部81,82において基材61に接着される。つまみ部83,84は基材61に接着しない。また、つまみ部83,84の上端は、封入袋の上部の圧着部74と干渉しないようにする。なお、つまみ部83,84の形状は、半円形状に限定されるものではない。例えば、三角形、四角形でも良い。
【0045】
この封入袋700は、つまみ部83,84が封入袋700の内部に封入された状態になるので、封入袋700の外側面がすっきりとし、封入袋700の表面にひっかかりがなくなる。このため、外力により封入袋700からつまみ部83,84が取れたりすることがない。また、ファスナー80とつまみ部83,84が一体形成されているので、ファスナー80を基材61に取り付けるだけでつまみ部83,84を形成できるので、製造しやすい。
【0046】
次に、この封入袋800の切断溝71を切断するには、封入袋700の上縁部61aの一端をつまんで引っ張る。これにより、切断溝71に沿って上縁部61aが封入袋700から切り離され、図22に示すように、切断溝71により新たに形成された上縁部61cからつまみ部83,84が現れる。ユーザは、ファスナー80を開くとき、一方のつまみ部83を右手でつまみ、他方のつまみ部84を左手でつまみ、両者を開くように引っ張る。これにより、つまみ部付近から開き始め、引き続きつまみ部83,84を引っ張り続けることでファスナー80が完全に開く。つまみ部83,84はファスナー80のテープ部81,82と一体形成されているので、つまみ部83,84を引っ張ることでファスナー80のテープ部81,82に直接力を加えることができ、これによりファスナー80が開けやすくなり且つ当該つまみ部83,84が基材61から剥がれるのが防止される。
【0047】
以上、この発明の封入袋700によれば、つまみ部83,84を簡単に設けることができ、このつまみ部83,84によりファスナー80を簡単に開くことができる。特に、手先の自由が効きにくい高齢者に有用である。
【0048】
(実施の形態7)
図23は、この発明の実施の形態7に係る封入袋を示す断面図である。この封入袋800は表部1及び裏部2となる2枚の基材を重ね合わせ、四方の外縁部をシールして上縁部の圧着部3、左右縁部の圧着部及び下縁部の圧着部(図示省略)を形成して袋状にしたものである。前記基材には、例えばポリエステル系、ポリアミド系、ポリプロピレン系等の合成樹脂製フィルムが用いられる。
【0049】
封入袋800は、食品等を封入する封入領域5の上部にファスナー6が設けられている。前記ファスナー6は、基材の表部1の内側に円柱状の突起が封入袋800の横方向に一直線に形成され、この突起に対応する溝を有する突起が封入袋800の基材の裏部2の内側に横方向に一直線に形成されている。前記溝の内側は筒状になっており前記円柱状の突起が前記溝に嵌り込むことでファスナー6が密封される。なお、ファスナー6の構造はこれに限定されず、周知のファスナーを用いても良い。一方、封入袋800の表部1と裏部2とを引き離すようにして引っ張ることで前記溝から突起が外れてファスナー6が開く。
【0050】
表部1及び裏部2の前記ファスナー6の上には、切断線部となる切断溝807,808が封入袋100の横方向に直線的に設けられている。この切断溝807,808は直線状でもミシン目状でも良い。前記切断溝807,808は、プレス機やレーザ加工により形成する。また、当該切断溝807,808は、封入袋800の基材の厚さ方向に貫通しているものではなく、基材の途中まで切れ込みが入ったものである。このため、切断溝807,808が設けられても封入領域5の密封は保たれる。
【0051】
また、表部1には、裏部2より基材を余分に使った弛み部801を有する。弛み部801は、同図に示すように膨らんだ状態でも良いし、折り畳んで平面的にしても良い。但し、伸ばしたときに形が戻らないようにするため、きっちりとした折り目はつけない方が好ましい。前記切断溝807,808は、弛み部801より上に位置する。
【0052】
ユーザは、ファスナー6の少し上の部分と封入袋800の上縁部を指でつまんで切断溝807,808に沿って切り離す。これにより切断溝807,808に沿って上部の基材部分が切り離される。そして弛み部801を伸ばすと、同図(b)に示すように、表部1の上端部802が裏部2の上に位置するようになる。ユーザは、この上端部802を右手でつまんで裏部2と離し、左手で裏部2をつまんで両者を開くように引っ張ることでファスナー6を開く。
【0053】
以上、この発明の封入袋800によれば、弛み部801を伸ばして上端部802をつまみ易くしたので、封入袋800のファスナー6を簡単に開くことができる。
【符号の説明】
【0054】
100 封入袋
1 表部
2 裏部
3,4 圧着部
5 封入領域
6 ファスナー
7,8 切断溝
9,10 つまみ部


【特許請求の範囲】
【請求項1】
食品等を内部に入れて封入する封入袋において、
封入領域の上部に設けたファスナーと、
ファスナーの上に設けた基材同士を圧着した圧着部と、
ファスナーと圧着部との間に未切断状態の切断線部により山形に突出して形成され且つ表裏で異なる位置となるように形成したつまみ部と、
を備えたことを特徴とする封入袋。
【請求項2】
食品等を内部に入れて封入する封入袋において、
封入領域の上部に設けたファスナーと、
ファスナーの上に設けた基材同士を圧着した圧着部と、
ファスナーと圧着部との間に設けた切断線部と、
ファスナーと切断線部との間にその一部が接合されると共に他部が前記切断線部に被るように且つ当該切断線部の方向にずらして設けられた一対のつまみ部と、
を備えたことを特徴とする封入袋。
【請求項3】
食品等を内部に入れて封入する封入袋において、
封入領域の上部に設けられ、一対のテープ部の一方側に突起を有し且つ他方側に前記突起が嵌る溝を有するファスナーと、
ファスナーの上に設けた基材同士を圧着した圧着部と、
ファスナーと圧着部との間に設けた切断線部と、
ファスナーの前記テープ部に一体形成されると共に前記切断線部に被るように且つ当該切断線部の方向にずらして設けた一対のつまみ部と、
を備えたことを特徴とする封入袋。
【請求項4】
前記切断線部は、切断溝、切断糸又はミシン目であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか一つに記載の封入袋。
【請求項5】
食品等を内部に入れて封入する封入袋において、
封入領域の上部に設けたファスナーと、
当該ファスナーの上に山形に突出して形成され且つ表裏で異なる位置となるつまみ部の形状に沿って圧着部内に未切断状態の切断線部を有することを特徴とする封入袋。
【請求項6】
食品等を内部に入れて封入する封入袋において、
封入領域の上部にファスナーを有し、
封入袋の上端縁に、山形に突出し表裏で異なる位置となるつまみ部が形成され、
ファスナーの上で且つ前記つまみ部の下に、引き剥がし可能な圧着部を有することを特徴とする封入袋。
【請求項7】
表部と裏部とを縁部で結合しその内部に食品等を入れて封入する封入袋において、
封入領域の上部にファスナーを有し、
表部のファスナーの上には裏部より余分に基材も用いた弛み部を有し、
弛み部の上に切断線部が設けられていることを特徴とする封入袋。





【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2013−52927(P2013−52927A)
【公開日】平成25年3月21日(2013.3.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−19872(P2012−19872)
【出願日】平成24年2月1日(2012.2.1)
【出願人】(308030765)
【Fターム(参考)】