封口装置、及び、ハニカム構造体の製造方法
【課題】封口を効率よく行え、さらに、清掃も簡単な封口装置及びハニカムフィルタの製造方法を提供する。
【解決手段】封口装置100は、凹部10d及び凹部10dの内面に開口する連通路10eを有する本体部10と、凹部10dを覆うように本体部10に配置された弾性板20と、スクレイパ202と、スクレイパ202を弾性板20の表面に接触可能に支持するスクレイパ支持部205と、弾性板20の表面に接触するスクレイパ202を、弾性板20の表面に沿って、弾性板20に対して相対的に移動させる移動部40と、を備える。
【解決手段】封口装置100は、凹部10d及び凹部10dの内面に開口する連通路10eを有する本体部10と、凹部10dを覆うように本体部10に配置された弾性板20と、スクレイパ202と、スクレイパ202を弾性板20の表面に接触可能に支持するスクレイパ支持部205と、弾性板20の表面に接触するスクレイパ202を、弾性板20の表面に沿って、弾性板20に対して相対的に移動させる移動部40と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は封口装置、及び、ハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハニカムフィルタ構造体が、DPF(Diesel particulate filter)用等として広く知られている。このハニカムフィルタ構造体は、多数の貫通孔を有するハニカム構造体の一部の貫通孔の一端側を封口材で封じると共に、残りの貫通孔の他端側を封口材で封じた構造を有する。そして、特許文献1には、このようなハニカムフィルタ構造体を製造する方法が開示されている。特許文献1では、シリンダ7内に配置したハニカム構造体1の一端に対して、ピストン8により封口材を押圧することにより、ハニカム構造体の貫通孔の端部に封口材を供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭63−24731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、ハニカム構造体の一端側を封口材で封じた後に、ピストンをハニカム構造体から引き離すことが困難であり、生産効率が低下していた。さらに、従来の方法では、封口工程の完了後に、あらたに次の封口工程を行うまでの間に、ピストン8やシリンダ7等の表面に残る封口材の清掃が面倒であった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、封口を効率よく行え、さらに、清掃も簡単な封口装置及びハニカムフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る封口装置は、凹部及び前記凹部の内面に開口する連通路を有する本体部と、
前記凹部を覆うように前記本体部に配置された弾性板と、
スクレイパと、
前記スクレイパを前記弾性板の表面に接触可能に支持するスクレイパ支持部と、
前記弾性板の表面に接触するスクレイパを、前記弾性板の表面に沿って、前記弾性板に対して相対的に移動させる移動部と、を備える。
【0007】
本発明によれば、次の手順によりハニカム構造体の貫通孔に封口材を供給することが出来る。まず、連通路を介して本体部の凹部内の流体を排出することにより弾性板を本体部の凹部に沿うように変形させ、弾性板の凹部を形成する。次に、弾性体の凹部内に封口材を供給する。続いて、凹部と対向する位置に、ハニカム構造体の一端面を配置する。続いて、連通路を介して本体部と弾性板との間に流体を供給することにより弾性板をハニカム構造体の一端面に向かって移動させる。これにより、弾性板の凹部内の封口材がハニカム構造体の貫通孔内に供給される。
【0008】
その後、連通路を介して本体部と弾性板との間にさらに流体を供給することにより、弾性板を本体部の凹部とは逆方向に凸形状に変形させることもできる。これにより、本体部から容易にハニカム構造体を引き離すことが出来る。
【0009】
さらに、本発明によれば、移動部によって、ハニカム構造体を弾性板から引き離した後に、スクレイパによって、弾性板の表面に付着した封口材の残渣を容易に掻き取ることができるので、次の封口作業を迅速に行うことができる。
【0010】
ここで、前記移動部は、前記スクレイパ又は前記本体部の一方を、前記弾性板、特に前記スクレイパと接触した状態にある弾性板、の表面と交差する軸周りに回転運動させることが好ましい。
【0011】
これによれば、往復直線運動等に比べて機構が簡単で、しかも、掻き取りを迅速に行える。
【0012】
また、前記スクレイパ支持部は、前記スクレイパを、前記本体部から凸形状に突出した前記弾性板の表面と接触するように支持することが好ましい。
【0013】
これにより、スクレイパと弾性板とを密着させることが容易である。
【0014】
また、前記スクレイパにおける前記弾性板と接触するエッジは、前記軸と直交する方向から見て、回転半径方向の両端部よりも中央部が凹む形状であることが好ましい。言い換えると、前記スクレイパにおける前記弾性板と接触するエッジは、前記弾性板に対して前記スクレイパが相対的に移動する方向から見て、凹形状を有することが好ましい。
【0015】
これによれば、弾性板を凸形状に膨らませた状態での掻き取りが容易となる。
【0016】
また、前記スクレイパにおける前記弾性板と接触するエッジは、前記軸の方向から見て、前記軸から回転半径方向外側に向かうに従って、前記スクレイパに対する前記弾性板の回転方向の上流側又は下流側に向かうように湾曲していることが好ましい。
【0017】
さらに、前記軸の方向から見て、前記スクレイパは、前記軸を中心とする渦巻き形状を有することも好ましい。
【0018】
これらによれば、掻き取った付着物を中心付近又は外周部に寄せ集めることができ、付着物の回収や再利用が容易である。
【0019】
前記スクレイパ支持部は、さらに、前記スクレイパを前記弾性板の表面に接触させる位置と、前記スクレイパを前記弾性板の表面から離れさせる位置と、の間で前記スクレイパを移動可能であることが好ましい。
【0020】
これによれば、封口作業時にスクレイパを待避させることが容易で、製造時間の短縮や手間の削減が可能である。
【0021】
また、本体部は、前記本体部から下方に延び、前記連通路と接続された管をさらに備え、前記管には回転継手が接続されていることが好ましい。
これによれば、この管を軸として回転させることができ、さらに、この管と回転継手を介して外部と接続できるので、連通路を介した流体の出し入れが容易である。この場合、特に、前記回転継手に接続され、前記連通路を介して前記凹部に流体を供給し、かつ、前記連通路を介して前記凹部内の流体を排出する流体供給排出部をさらに備えることが好ましい。
【0022】
また、前記本体部に固定され、前記本体部を前記鉛直軸周りに回転可能に支持する補助軸受をさらに備えることが好ましい。この場合、本体部をよりスムーズに回転させることができる。
また、前記弾性板は、ゴム板であることが好ましい。
【0023】
本発明に係る端部が封口された複数の貫通孔を有するハニカム構造体の製造方法は、凹部及び前記凹部の内面に開口する連通路を有する本体部と、前記凹部を覆う弾性板とを有する装置を準備する工程と、
前記連通路を介して前記凹部内の流体を排出することにより前記弾性板の凹部を形成する工程と、
前記弾性板の凹部内に封口材を供給する工程と、
前記凹部と対向する位置に、複数の貫通孔を有するハニカム構造体の一端面を配置する工程と、
前記封口材を供給する工程の後に、前記連通路を介して前記本体部と前記弾性板との間に流体を供給することにより、前記弾性板の凹部内の封口材を前記ハニカム構造体に供給する工程と、
前記封口材を前記ハニカム構造体に供給する工程の後に、前記弾性板から前記ハニカム構造体を分離する工程と、
前記分離後の弾性板の表面に残った封口材をスクレイパで掻き取る工程と、を備える。
【0024】
ここで、前記掻き取る工程の弾性板を、前記連通路を介して前記本体部と前記弾性板との間に供給した流体により膨らませて前記スクレイパと密着させることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、封口を効率よく行え、さらに、清掃も簡単な封口装置及びハニカムフィルタの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る封口装置の概略断面図である。
【図2】図2は、図1の封口装置のII−II矢視図である。
【図3】図3は、図2の封口装置のIII−III矢視図である。
【図4】図4は、図2の封口装置のIV−IV断面図である。
【図5】図5の(a)は、図1の封口装置で用いるハニカム構造体の斜視図、図5の(b)は、図5の(a)の部分拡大図である。
【図6】図6の(a)は、図1の弾性板20の上に載せるマスクの斜視図、図6の(b)は、図6の(a)の部分拡大図である。
【図7】図7の(a)は、図1の封口装置の動作を説明する部分断面図であり、図7の(b)は、図7の(a)に続く部分断面図である。
【図8】図8の(a)は、図7の(b)に続く部分断面図であり、図8の(b)は、図8の(a)に続く部分断面図である。
【図9】図9の(a)は、図8の(b)に続く部分断面図であり、図9の(b)は、図9の(a)に続く部分断面図である。
【図10】図10の(a)は、図9の(b)に続く部分断面図であり、図10の(b)は、図10の(a)に続く部分断面図である。
【図11】図11の(a)は、図11の(b)に続く部分断面図であり、図11の(b)は、図11の(a)に続く部分断面図である。
【図12】図12は、本発明の第2の実施形態にかかる封口装置の概略上面図である。
【図13】図13は、図12の封口装置のXII−XII矢視図である。
【図14】図14は、本発明の第3の実施形態にかかる封口装置の概略上面図である。
【図15】図15は、図14の封口装置のXIV−XIV矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る封口装置の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の一例に係る封口装置100の概略断面図である。本実施形態に係る封口装置100は、主として、本体部10、弾性板20、ポンプ(流体供給排出制御部)50、スクレイパ202、スクレイパ支持部205、回転駆動部(移動部)40、回転継手(軸受)60、クロスローラベアリング(補助軸受)90、及び、ハニカム構造体保持部80を備える。
【0029】
本体部10は、剛性材料から形成されている。剛性材料としては、ステンレス等の金属や、繊維強化プラスチック等のポリマー材料が挙げられる。本体部10の上面10aには、凹部10dが形成されている。本実施形態では、凹部10dの形状は、図1及び図2に示すように、円柱状とされている。そして、本体部10の上面10aに対して、凹部10dの側面10bが垂直、かつ、底面10cが平行とされている。凹部10dの直径は、例えば、100〜320mmとすることができる。凹部10dの深さは、例えば、0.2〜20mmとすることができる。本体部の外周面には、後述するベルト44を掛けるための溝10sが周方向に形成されている。
【0030】
弾性板20は、凹部10dの開口面を覆うように、本体部10の上面10a上に、配置されている。弾性板20は、弾性を有し、容易に変形しうる。弾性板20としては、ゴム板が好ましい。ゴムとしては、天然ゴムや、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ふっ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴムが挙げられる。弾性板20の厚みは特に限定されないが、例えば、0.3〜3.0mmとすることができる。
【0031】
弾性板20は、リング部材25、及び、ボルト31により本体部10に固定されている。リング部材25は、本体部10の凹部10dに対応する位置に開口25aを有し、これにより環状形状をなしている。そして、リング部材25は、弾性板20における中央部(凹部10dとの対向部)が露出するように弾性板20上に配置されている。これにより、弾性板20の周辺部が、本体部10とリング部材25とにより挟まれている。リング部材25及び弾性板20には貫通孔hがそれぞれ形成され、本体部10には、これら貫通孔hに対応するねじ孔jが形成されており、ボルト31がこれらの貫通孔hを貫通して配置され、ねじ孔jにねじ込まれて固定されることにより、本体部10の上面10aにおける凹部10dのまわりの部分に、弾性板20の周辺部が密着して固定されている。
【0032】
図1及び図2に示すように、リング部材25の開口25aの内径は、本体部10の凹部10dの内径よりも大きくされていることが好ましい。
【0033】
本体部10は、さらに、凹部10dの底面10cに開口する連通路10eを有している。なお、本実施形態では、連通路10eは凹部10dの底面10cに開口しているが、凹部10dの内面に開口していれば良く、例えば、凹部10dの側面10bに開口していてもよい。また、連通路10eの開口の形状や数も特に限定されない。
【0034】
本体部10には、鉛直下方に延びる接続管14が設けられている。接続管14は、連通路10eと連通している。接続管(管)14の中心軸axは、円柱状の凹部10dの中心軸を通り、弾性板20を貫いている。
【0035】
接続管14の下端には、回転継手(軸受け)60が設けられている。これにより、本体部10が、接続管14の軸、すなわち、鉛直軸axの周りに回転可能に支持される。回転継手60は、内筒61、外筒62、ベアリング63、及びパッキン64を主として有する。
内筒61は、接続管14の下端部を形成する。外筒62は、内筒61を外から取り囲むように配置される。ベアリング63は、内筒61及び外筒62の間に配置され、これらを互いに鉛直軸周りに相対的に回転可能とする。パッキン64は、内筒61と外筒62との間をシールし、流体の漏れ等を抑制する。外筒62には、ポンプ50が接続されている。
【0036】
ポンプ50は、シリンダ51、シリンダ51内に配置されたピストン53、及び、ピストン53に接続されたピストンロッド54を備える。ピストンロッド54には、ピストンロッド54を軸方向に往復移動させるモータ55が接続されている。なお、ピストンロッド54を手動で動かしてもよい。
【0037】
本実施形態では、弾性板20と、ピストン53と、の間には、本体部10、接続管14、及び、シリンダ51により形成される閉鎖空間Vが形成され、閉鎖空間V内には、流体FLが充填されている。流体FLは、特に限定されないが、液体が好ましく、特に、スピンドルオイル等が好ましい。なお、流体FLは、空気等のガスでもよい。そして、ピストン53を移動させることにより、本体部10の凹部10d内から流体FLを排出することができ、これにより、図3の弾性板20’’のように弾性板20を凹部1d内に沿わせることによって弾性板20の凹部を形成することができる一方、凹部10d内に流体FLを供給することによって、図3の弾性板20’のように、弾性板20をドーム状に突出させることも出来る。
【0038】
回転駆動部(移動部)40は、回転軸42を有するモータ41、回転軸42に固定されたプーリ43、プーリ43と本体部10の溝10sとの間に掛け渡されたベルト44とを有する。モータ41の回転により、本体部10を、接続管14の軸、すなわち、鉛直軸ax周りに例えば、図2の矢印Aの向きに回転可能である。鉛直軸axは、凹部10dの中心を通る。
【0039】
図1に戻って、本体部10は、さらに、本体部10が接続管14の鉛直軸ax周りに回転するのを補助すべく、クロスローラベアリング90(軸受け)を有している。クロスローラベアリング90は、図示しない架台等に固定される外輪91、本体部10に固定される内輪92、及び、外輪91と内輪92との間に配置される複数の円筒ローラ93を有する。
【0040】
スクレイパ202は、弾性板20の表面に付着した封口材の残渣を掻き取るものであり、スクレイパ支持部205のバー204に支持されている。本実施形態では、図2〜図4に示すように、スクレイパ202は平板であり、図3及び図4に示すように、一対の主面202a,202b、及び、エッジ202eを有する。エッジ202eは、図1及び図4に示すようにドーム状に膨らんだ弾性板20’の表面と接触する。
【0041】
エッジ202eは、図1及び図2に示すように、ドーム状に突出した弾性板20’の表面の頂点近傍から底部近傍までに亘って線状に接触するように、軸axと直交する方向から見て、本体部axの回転半径方向の両端部202e1,202e2に比べて中央部が凹んでいる。また、図2に示すように、軸axの方向から見て、スクレイパ202のエッジ202eは、軸axから半径方向外側に向かうに従って、スクレイパ202に対する弾性板20の回転方向Aの上流側(後ろ側)へ向かうように湾曲している。また、スクレイパ202のエッジ202eの外端202e2はドーム状の弾性板20の外周近傍に達し、エッジ202eの内端202e1は、弾性板20の頂点と成る鉛直軸axに相当する部分、又は、当該頂点部分を超える位置まで延びるように配置されている。これにより、エッジ202eによって弾性板20の表面における封口材の残渣の効率的な掻き取りが可能である。
【0042】
スクレイパ202の材質としては、樹脂、金属等の材料を使用することができる。板状のスクレイパ202の厚みは、例えば、0.5〜2mmとすることができる。本実施形態では、スクレイパ202のエッジ202eの厚み方向の断面形状は、図4のように両側とも直角な角部を有する矩形であるが、これらの角部の少なくとも一つが平面あるいは曲面により面取りされていてもよい。スクレイパ202の表面粗さRaは3.2以下が好ましい。
【0043】
また、スクレイパ202は、図4に示すように、掻き取り側(弾性板20’の表面に対してスクレイパ202が相対的に移動する方向の前側すなわち図示左側:弾性板20'の移動方向は矢印A方向)の主面202aと、エッジ202eとの接触部cpでの凸形状にされた弾性板20’の接平面Sと、のなす角θ1が、鈍角すなわち90°超となるようにバー204に固定されている。好ましいθ1は、95〜135°である。本実施形態では、弾性板20’が曲面であるため、弾性板20’におけるエッジ202eとの接触部cpは一つの平面上に存在せず、上記接平面Sは接触部cpの位置毎に定義される。接触部cpは図2に示すようにエッジ202eに沿って延びており、このように延びる接触部cpの全体にわたってθ1が鈍角である。これにより、弾性板20’が矢印A方向に移動する際に、残渣がスクレイパ202の主面202a上に容易に乗り上げるようにされ、残渣の清掃、吸引などの後処理が容易になるなどの効果がある。
【0044】
図2に戻って、バー204は、回転可能角度が規制された軸受206により、所定の回転角度(たとえば90°)の範囲で回転可能に鉛直軸208に固定されている。ここでは、軸受け206は、バー204を、図2の実線に示すようにドーム状に突出する弾性板20に対して接触させる回転位置と、図2の二点鎖線に示すように弾性板20から離れて弾性板20の露出面と対向させない回転位置との間で、角度Bの範囲でスクレイパ202を揺動可能である。鉛直軸208は、図1に示すように、モータ41による本体部10の回転とは独立な台座210に固定されている。
【0045】
本体部10の上には、ハニカム構造体保持部80が設けられている。ハニカム構造体保持部80は、ハニカム構造体70を保持する保持具81、及び保持具81が接続された空気圧シリンダ82を有する。
【0046】
保持具81は、ハニカム構造体70を、図1に示すように、貫通孔70aの一方側の開口面が弾性板20及び凹部10dと対向するように保持する。
【0047】
空気圧シリンダ82は、上下方向に延びるシリンダ82aと、シリンダ82a内に設けられたピストン82bとを有し、外部からの供給する圧力を調整することによりピストン82bの上下両側での圧力を調節可能となっている。そして、これにより空気圧シリンダ82は、保持具81を、ハニカム構造体70と弾性板20とが近づく方向及びこれらが互いに離れる方向にそれぞれ移動可能である。また、空気圧シリンダ82は、ピストン82bの前後のガスの供給圧力に応じて保持具81を下方に所定の力で押圧することにより、ハニカム構造体70を、弾性板20上に配置されるマスク(詳しくは後述)に対して密着させることができる。さらに、空気圧シリンダ82は、ピストンの前後の圧力を開放することにより、保持具81が上下方向に自由に移動することを許可することもできる。すなわち、ハニカム構造体保持部80は、保持具81が保持したハニカム構造体70を上方向に自由に移動可能とする状態と、ハニカム構造体70を本体部10に対して固定する状態とを切替え可能である。
【0048】
本実施形態で用いる一例のハニカム構造体70は、図5の(a)に示すように、多数の貫通孔70aが略平行に配置された円柱体である。貫通孔70aの断面形状は、図5の(b)に示すように正方形である。これらの複数の貫通孔70aは、ハニカム構造体70において、端面から見て、正方形配置、すなわち、貫通孔70aの中心軸が、正方形の頂点にそれぞれ位置するように配置されている。貫通孔70aの断面の正方形のサイズは、例えば、一辺0.8〜2.5mmとすることができる。
【0049】
また、ハニカム構造体70の貫通孔70aが延びる方向の長さは特に限定されないが、例えば、40〜350mmとすることができる。また、ハニカム構造体70の外径も特に限定されないが、例えば、100〜320mmとすることできる。
【0050】
ハニカム構造体70の材料は特に限定されないが、高温耐性の観点から、セラミクス材料が好ましい。例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、コーディエライト、ガラス、チタン酸アルミニウム等の酸化物、シリコンカーバイド、窒化珪素、金属等が挙げられる。なお、チタン酸アルミニウムは、さらに、マグネシウム及び/又はケイ素を含むことができる。このような、ハニカム構造体70は通常多孔質である。
【0051】
また、ハニカム構造体70は、後で焼成することにより上述のようなセラミック材料となるグリーン成形体(未焼成成形体)であってもよい。グリーン成形体は、セラミクス原料である無機化合物源粉末、及び、メチルセルロース等の有機バインダ、及び、必要に応じて添加される添加剤を含む。
【0052】
例えば、チタン酸アルミニウムのグリーン成形体の場合、無機化合物源粉末は、αアルミナ粉等のアルミニウム源粉末、及び、アナターゼ型やルチル型のチタニア粉末等のチタニウム源粉末を含み、必要に応じて、さらに、マグネシア粉末やマグネシアスピネル粉末等のマグネシウム源粉末及び/又は、酸化ケイ素粉末やガラスフリット等のケイ素源粉末を含むことができる。
【0053】
有機バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩を例示できる。
【0054】
添加物としては、例えば、造孔剤、潤滑剤および可塑剤、分散剤、溶媒が挙げられる。
【0055】
造孔剤としては、グラファイト等の炭素材;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂類;でんぷん、ナッツ殻、クルミ殻、コーンなどの植物材料;氷;およびドライアイス等などが挙げられる。
【0056】
潤滑剤および可塑剤としては、グリセリンなどのアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸アルミニウムなどのステアリン酸金属塩などが挙げられる。
【0057】
分散剤としては、たとえば、硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ポリカルボン酸アンモニウム、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどの界面活性剤などが挙げられる。
【0058】
溶媒としては、たとえば、アルコール類、水などを用いることができる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどの1価アルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどの2価アルコール類などが挙げられる。
【0059】
マスクは、弾性板20上におけるリング部材25の開口25a内に配置されるものである。マスクの材料は特に限定されず、例えば、金属や樹脂が挙げられる。
【0060】
図6の(a)に、本実施形態で用いるマスク170の一例を示す。マスク170は、円形の板状部材であり、厚み方向に伸びる多数の貫通孔170aを有する。貫通孔170aの断面形状は、図6の(b)に示すように、ハニカム構造体70の貫通孔70a(図5の(b)参照)に対応する正方形である。これらの複数の貫通孔170aは、図6の(b)に示すように、千鳥配置されており、各貫通孔170aは、図5の(b)の正方配置された複数の貫通孔70aのうち、互いに上下左右に隣接しない関係にある複数の貫通孔70aiのみに対向して配置される。なお、マスク170の貫通孔170aの位置決めを容易にすべく、マスク170には、オリエンテーションフラット170bが形成され、これに対応してリング部材25にもオリエンテーションフラットに対応する突起25bを設けてもよい。
【0061】
なお、本体部10には、超音波振動器等の加振器140が設けられていてもよい。
【0062】
(製造方法)
続いて、上述の封口装置100を用いた封口体の製造方法について説明する。まず、図1の状態から、予め、空気圧シリンダ82を駆動して、ハニカム構造体70を保持する保持具81上方に引き上げておく、また、バー204を動かして、図2の二点鎖線のようにスクレイパ202が、弾性板20から離れる位置とする。次に、ポンプ50のピストン53を下方に引くことにより、本体部10の凹部10dから流体FLを下方に排出させる。これにより、図7の(a)に示すように、弾性板20が変形して凹部10dの側面10b及び底面10cに密着し、これによって、弾性板20の凹部20dが形成する。
【0063】
続いて、弾性板20の凹部20d内に封口材130を供給する。
【0064】
(封口材)
封口材130は、ハニカム構造体70の貫通孔70aの端部を閉鎖できるものであれば特に限定されないが、液状であることが好ましい。例えば、封口材として、セラミクス材料又はセラミクス原料と、バインダと、好ましくは潤滑剤と、溶媒とを含むスラリーが例示できる。セラミクス材料としては、上述のハニカム構造体の構成材料や、その原料が挙げられる。
【0065】
バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩等の有機バインダを例示できる。バインダの使用量は、封口材を100質量%とした時、例えば、0.1〜10質量%とすることができる。
【0066】
潤滑剤としては、グリセリンなどのアルコール類、カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラギン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸、ステアリン酸アルミニウム等のステアリン酸金属塩などが挙げられる。潤滑剤の添加量は、封口材の100質量%に対して、通常、0〜10質量%であり、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。
【0067】
溶媒としては、たとえば、アルコール類、水などを用いることができる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどの1価アルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどの2価アルコール類などが挙げられる。なかでも、水が好ましく、不純物が少ない点で、より好ましくはイオン交換水が用いられる。溶媒の使用量は、封口材を100質量%とした時、例えば、15〜40質量%とすることができる。
封口材の粘度は、好ましくは、回転粘度計による共軸二重円筒法による測定において、23℃で5〜50Pa・sである。
【0068】
このような封口材130を凹部20d内に供給した場合に、図7の(a)に示すように、凹部20d内において水平方向にあまり広がらず、厚みが不均一となる場合にはこれを平坦化する。その理由は、このまま封口工程を行うと、封口部の長さが不均一となったり、封口不良が出やすくなったりするからである。具体的には、回転駆動部40のモータ41を駆動し、本体部10を回転させる。これにより、図7の(b)に示すように、封口材130に水平方向に遠心力がかかり、封口材130を凹部20d内に全体に行き渡らせることができる。また、封口材130の表面の平坦性も高められる。本体部10の回転速度は特に限定されないが、30〜300rpm程度が好ましい。回転時間も特に限定されないが、3〜20秒程度が好ましい。
【0069】
続いて、図8の(a)に示すように、本体部10の凹部10dを覆うように弾性板20上にマスク170をセットし、次いで、空気圧シリンダ82により保持具81を下方に移動させてハニカム構造体70をマスク170に接触させることにより、ハニカム構造体70の一部の貫通孔70aと、マスク170の貫通孔170aとを連通させ、さらに、空気圧シリンダ82により保持具81を下方に押圧し、ハニカム構造体70をマスク170及び本体部10に対して固定する。なお、図8の(a)に示すように、マスク170の外径は、本体部10の凹部10dの内径よりも大きくされていることが好ましい。
【0070】
次いで、ポンプ50のピストンを上方に移動させることにより、連通路10eを介して凹部10dと弾性板20との間に流体FLを供給し、これによって、図8の(b)に示すように、弾性板20がマスク170に向かって移動する。この工程は、図9の(a)に示すように、弾性板20がマスク170に接触し、弾性板20の変形が解消するまで行なうことが好ましい。
【0071】
これにより、封口材130がマスク170の貫通孔170aを介して、ハニカム構造体70の一部の貫通孔70a内に供給され、封口部70pが形成する。
【0072】
続いて、空気圧シリンダ82によるハニカム構造体70の下方向への押圧を停止してハニカム構造体70が上方に自由に移動できるようした後、ピストン53をさらに上昇させ弾性板20と本体部10との間にさらに流体FLを供給する。これにより、図9の(b)に示すように、弾性板20は、上方向に凸形状に変形し、マスク170及びハニカム構造体70が上方に移動する。このとき、凸形状に変形する弾性板20の周辺部はマスク170から離れるので、これにより、マスク170及びハニカム構造体70を、本体部10から容易に引き離すことが出来る。この場合、生産効率を高めることができ、封口されたハニカム構造体を低コスト化で製造することが可能となる。
【0073】
続いて、ハニカム構造体70を保持具81から外す。そうすると、図10の(a)に示すように、弾性板20の表面がドーム状に突出した状態となる。このとき、弾性板20の表面には、封口作業に使用した封口材130の残渣130aが付着している。残渣130aが付着した状態で、再び封口工程を行うと、弾性板20の凹部20d内に貯留する封口材130の量の正確なコントロールや、封口材130の組成の正確なコントロールが困難となる上、固化した封口材130が徐々に堆積して封口処理不能に陥ることがある。したがって、弾性板20に付着した封口材130の残渣130aを除去する必要がある。
【0074】
そこで、図10の(b)に示すように、バー204の位置を移動させて、スクレイパ202の位置を、スクレイパ202のエッジ202eがドーム状に突出する弾性板20’に接触する位置とする。さらに、モータ41を駆動して、本体部10を回転させる。回転数は特に限定されないが、例えば、5〜20rpmとすることができる。回転時間も特に限定されないが、3〜12秒程度が好ましい。
【0075】
これにより、スクレイパ202のエッジ202eによって、弾性板20の表面に残る封口材130の残渣130aを掻き取ることができ、掻き取られた残渣130aは、スクレイパ202の掻き取り側の主面202a(図4参照)に乗り上げて捕集される。このようにして、弾性板20の上面のクリーニングが完了する。
【0076】
続いて、図11の(a)に示すように、バー204の位置を移動させて、スクレイパ202を弾性板20から待避させた後、天地をひっくり返したハニカム構造体70を保持具81に保持する。次いで、マスク170と貫通孔170aの配置が正反対の千鳥配置とされたマスク170’を用いて、同様の封口材の注入操作を行なう。これにより、図11の(a)に示すように、残りの貫通孔70aの他端側が封口材で封口され、封口部70pが形成する。続いて、図11の(b)に示すように、弾性板20を上に凸形状に変形させることにより、マスク170’及びハニカム構造体70を容易に本体部10及び弾性板20から引き離すことが出来る。
【0077】
そしてこのようにして、貫通孔70aの両端が封口されたハニカム構造体70を乾燥、焼成等することにより、ハニカムフィルタを製造することが出来る。
【0078】
本実施形態によれば、弾性板20の凹部20dに保持した封口材を、弾性板の変形によりハニカム構造体内に注入するのに加えて、スクレイパ202によって封口後の弾性板20の表面の封口材の残渣を掻き取ることができるので、迅速かつ容易に弾性板20のクリーニングが可能であり、したがって、次の封口作業を直ちに行うことができる。
【0079】
さらに、本実施形態では、スクレイパ支持部205が、スクレイパ202を、凹部10dから凸形状に突出した弾性板20の表面と接触するように支持するので、凸形状に突出させた弾性板20がスクレイパ202によく密着して残渣130aの除去効果が高い。特に、本実施形態では、スクレイパ202のエッジの形状が、図1に示すように、軸axと直交する方向から見て、回転半径方向の両端202e1,202e2よりも中央部が凹む形状とされているので、弾性板20を凸形状に膨らませた状態で、スクレイパ202による掻き取りを特に容易に行うことができ、弾性板20をスクレイパ202のエッジ202eにより密着させやすく、清掃効率が高くなる。
【0080】
また、図2に示すように、軸axの方向から見て、スクレイパ202のエッジ202eは、軸axから半径方向外側に向かうに従って、スクレイパ202に対する弾性板20の回転方向Aの上流側(後ろ側)へ向かうように湾曲している。これにより、かき取られた残渣が中央部に集められて、回収しやすくなる。
【0081】
さらに、スクレイパ支持部205は、スクレイパ202を、弾性板20に接触する位置と、弾性板20から離れる位置との間を移動可能であるので、クリーニングを行わない間に、スクレイパ202を待避させることができ、また、弾性板のクリーニングに迅速に取りかかることができる。
【0082】
また、本実施形態では、本体部に接続する回転継手60を設けているので、本体部10の回転の前後において、流体を供給排出する管の脱着等の作業をする必要がない。従って、作業時間を少なくできる。
【0083】
さらに、本実施形態では、補助軸受としてのクロスローラベアリング90を有しているので、本体部10の重量が大きい場合でも、安定して回転が可能である。
【0084】
(第1実施形態の変形形態)
続いて、第1実施形態の変形形態について説明する。本実施形態が前述の第1実施形態と異なる点は、本体部10すなわち弾性板20’が、図2〜図4の矢印Aの向きではなく、矢印Cの向きに回転する点である。
【0085】
これにより、本実施形態では、スクレイパ202は、図4に示すように、掻き取り側(弾性板20’に対してスクレイパ202が相対的に移動する方向の前側すなわち図示右側)の主面202bと、エッジ202eとの接触部cpでの凸形状にされた弾性板20’の接平面Sと、のなす角θ2が、鋭角すなわち90°未満となるようにバー204に固定されている。好ましいθ2は、5〜89°である。本実施形態でも接触部cpの全体にわたってθ2が鋭角である。本実施形態では、弾性板20’が矢印C方向に移動する際に、スクレイパ202が表面の凹凸等に追従しやすく、残渣がスクレイパ202の主面202bにより効率よく掻き取られ、掻き取り残しが少ない。
【0086】
また、図2に示すように、軸axの方向から見て、スクレイパ202のエッジ202eが、軸axから半径方向外側に向かうに従って、スクレイパ202に対する弾性板20の回転方向Cの下流側(前側)へ向かうように湾曲している。これにより、かき取られた残渣が周辺部に集められて、回収しやすくなる。
【0087】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態について図12及び図13を参照して説明する。本実施形態の封口装置100が、第1実施形態と異なる点は、スクレイパ202の構造である。このスクレイパ202は、板部材202aを複数有する。これらの板部材202aは、弾性板20の中央部から、半径方向外側に向かって放射状に延びている。板部材202aの掻き取り側の主面は、鉛直軸axに対して傾斜しておらず、鉛直軸axと平行である。また、板部材202aは、軸ax方向からみて、軸axから半径方向外側に向かうに従って、板部材202aに対する弾性板20の回転方向(進行方向:矢印A)の上流側(後ろ側)に向かうように湾曲している。また、図13に示すように、第1実施形態と同様に、軸axと直交する方向から見て、板部材202aの下端(エッジ、接触部)202aeの形状は、両端部202ae1、202ae2よりも中央部が凹む形状とされており、ドーム状に突出される弾性板20の表面の掻き取りが容易となっている。これらの複数の板部材202aは、リング状の固定具204aによりバー204に固定されている。さらに、板部材202aの端部が集まる中央部には、配管L1が接続され、配管L1には、板部材202aにより掻き取られた封口材の残渣を吸い上げるポンプP1が接続されている。
【0088】
本実施形態においても、図13に示すように、ドーム状に突出する弾性板20の表面の封口材の残渣の掻き取りが可能となる。特に、本実施形態では、板部材202aが弾性板20の回転方向の上流側に湾曲しているので、スクレイパ202と弾性板20との相対的回転により、掻き取った封口材の残渣を回転軸である鉛直軸axの近傍に寄せ集めることができる。したがって、掻き取った封口材の回収や、再利用等が容易となる。
なお、本実施形態に於いては、本体部10すなわち弾性板20をA方向ではなく逆のC方向に回転させることもできる。この場合には、軸ax方向からみて、軸axから半径方向外側に向かうに従って、板部材202aに対する弾性板20の回転方向(進行方向:矢印C)の下流側(前側)に向かうように湾曲している。これにより、掻き取った封口材の残渣が外周側に集まることとなる。
【0089】
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態について図14及び図15を参照して説明する。本実施形態の封口装置100が、第2実施形態と異なる点は、スクレイパ202の構造である。このスクレイパ202は、鉛直軸axから見て、鉛直軸axを中心とする渦巻き形状とされている。渦巻きの形状は特に限定されないが、対数らせん、アルキメデスのらせん、等の渦巻き形状が挙げられる。スクレイパ202の渦巻きの向きは、中心から外側に向かう回転方向が、弾性板20が回転する方向Aとは反対向きとなる向きである。
本実施形態によっても、ドーム状に突出する弾性板20の表面の封口材の残渣を掻き取ることができ、また、回転に伴って、掻き取った残渣を鉛直軸axの近傍まで寄せ集めることができる。
なお、本実施形態に於いては、本体部10すなわち弾性板20をA方向ではなく逆のC方向に回転させることもできる。この場合には、軸ax方向からみて、スクレイパ202の渦巻きの向きは、中心から外側に向かう回転方向が、弾性板20が回転する方向Cとは同じ向きとなる。この場合には、掻き取った封口材の残渣が外周側に集まることとなる。
【0090】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、様々な変形態様が可能である。
【0091】
例えば、上記実施形態では、3種類のスクレイパ202を例示したが、スクレイパの形状は上述の構造に限定されず、弾性板20と接触して表面上の付着物を掻き取ることができる物であればよい。
【0092】
また、上記実施形態では、スクレイパ支持部205は、弾性板20との接触位置と非接触位置との間でスクレイパ202を移動させる待避機構を備えているが、これを有さなくてもよい。例えば、スクレイパ支持部205は、清掃時にスクレイパ202を弾性板20と接触するように固定し、清掃以外の時にスクレイパ202を脱離させる機構を備えていることができる。
【0093】
また、上記実施形態では、凸形状に膨らんだ弾性板20の表面を容易に掻き取るべく、スクレイパ202のエッジ202eの形状が、両端よりも中央部が凹む形状、すなわち、弾性板20に対してスクレイパ202が相対的に移動する方向から見て凹形状となっているが、例えば、直線的な形状も構わない。この場合でも、弾性板をある程度膨らませることは可能であるし、膨らませていない平面状の弾性板20の表面を掻き取っても本発明の実施は可能である。
【0094】
また、上記実施形態では、軸axの方向から見て、スクレイパ202のエッジ202eは、軸axから半径方向外側に向かうに従って、スクレイパ202に対する弾性板20の回転方向の上流側(後ろ側)又は下流側(前側)へ向かうように湾曲しているが、湾曲せずに半径方向に延びる直線状でもあっても実施可能である。この場合、かき取られた残渣は特に半径方向のどちら側にも集まらないが、このようなスクレイパ202は製造容易である。
【0095】
第1実施形態及びその変形形態では、スクレイパ202の掻き取り側主面202a、202bと、凸形状にされた弾性板20’におけるエッジ202eとの接触部cpでの接平面Sと、のなす角θ1、θ2が、鈍角又は鋭角であるが、直角でもよい。
また、第2実施形態や第3実施形態では、これらの角度が直角であるが、鋭角や鈍角としてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、鉛直軸axが、本体部10の凹部10dの中心軸とされ、凸形状にされた弾性板20の頂点と直交しているが、凹部10dの円柱に対して偏芯する軸axのまわりに本体部10を回転させても、掻き取りは可能である。なお、回転軸は、スクレイパ202と接触した状態にある弾性板20の表面と交差することが好ましい。また、回転軸axは、必ずしも鉛直軸でなくてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、スクレイパ202を固定し、スクレイパ202に対して本体部10すなわち弾性板20を回転運動しているが、弾性板20を固定し、スクレイパ202を回転運動させてもよく、双方を回転させても実施は可能である。
【0098】
また、回転駆動部(移動部)40の構成も、上述の物に限定されず、種々の形態が可能である。さらに、移動部が弾性板20とスクレイパ202とを相対的に回転運動させるのではなく、これらを相対的に直線運動、例えば、往復直線運動させる態様でも実施は可能である。
【0099】
また、弾性板20が、リング部材25、及び、ボルト31により、本体部10に対して固定されているが、固定方法は特に限定されない。例えば、弾性板20が接着剤によって、本体部10の上面10aに固定されていてもよい。また、封口装置100が、弾性板20を容易に交換可能な構造でもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、回転継手60及びクロスローラベアリング90が、それぞれ、本体部10を鉛直軸周りに回転可能に支持する軸受として機能するが、これに限定されず、例えば、回転継手60のみを有していてもよく、クロスローラベアリング90のみを有していてもよい。回転継手60を有さない場合には、例えば、凹部10dから流体を排出した後に、連通路10eを閉鎖して減圧を維持すると共に、連通路とポンプ等とを切り離し、回転終了後に、再び、連通路10eとポンプとを接続すればよい。
【0101】
また、回転継手60やクロスローラベアリング90の構造は上述の構造に限定されない。また、回転継手60及びクロスローラベアリング90以外の軸受けを用いてもよい。
【0102】
また、上記実施形態では、ポンプ50として、シリンダ51、ピストン53、及び、ピストンロッド54を備えたピストンポンプを採用しているが、凹部10d内への流体の供給及び排出を制御できるものであれば他のものでもよい。例えば、圧力源と接続され、圧力源からの流体の供給を制御可能なバルブ、及び、真空ポンプ等の真空源と接続され、真空源への流体の排出を制御可能なバルブを有するものでもよい。
【0103】
また、本体部10の凹部10dの形状は特に限定されず、封口対象となるハニカム構造体70にあわせて適宜設定できる。
例えば、凹部10dを上から見た平面形状は、円形以外に楕円形、矩形、正方形等とすることもできる。この場合、矩形や正方形の場合の大きさは、例えば、一辺50〜300mmとすることができる。また、本体部10の上面10aに対して、側面10bが垂直、かつ、底面10cが平行である必要は無く、例えば、斜面であったり曲面であってもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、ハニカム構造体保持部80は空気圧シリンダ82を備えるがこれに限られず、たとえば、歯車機構等の種々の機構に代替することが出来る。
【0105】
また、ハニカム構造体保持部80は必ずしも必須ではない。例えば、封口材を供給するときには錘をハニカム構造体70の上に載せることによりハニカム構造体を本体部10に対して固定し、ハニカム構造体70を本体部から離れさせる際には、錘を除去してハニカム構造体を移動可能としてもよい。また、ハニカム構造体がある程度の重量を有する場合には、自重によって固定されるので特段の固定手段を有さない態様も可能である。
【0106】
ハニカム構造体70の形状や構造も上述に限定されない。例えば、ハニカム構造体70の外形形状も円柱でなくてもよく、例えば、四角柱等の角柱でもよい。また、ハニカム構造体70の貫通孔70aの断面形状は、正方形でなくてもよく、例えば、長方形、三角形、六角形などの多角形、円形等でも構わない。さらに、貫通孔70aの配置も、正方形配置でなくてもよく、例えば、3角配置、貫通孔の断面形状が正方形の場合には千鳥配置等でも構わない。
【0107】
また、上記実施形態では、多数の貫通孔を有する板状のマスク170を採用しているが、マスクにより遮蔽する場所も任意である。さらに、このようなマスク170を用いなくても実施可能である。例えば、封口処理の前に、ハニカム構造体70の一部の貫通孔70a内に加熱すると分解する材料により栓をしておき、封口後に栓を熱分解等すればよい。本発明では、マスクを使用しない場合であっても、封口処理後に凸形状に変形する弾性板20によって、ハニカム構造体70を本体部10や弾性板20から容易に引き離すことが出来るという効果がある。
【符号の説明】
【0108】
10…本体部、10e…連通路、10d…凹部、14…接続管(管)、20…弾性板、30…凹部、40…回転駆動部(移動部)、50…ポンプ(流体供給排出制御部)、60…回転継手(軸受け)、70…ハニカム構造体、80…保持部、90…クロスローラベアリング(軸受け)、100…封口装置、170…マスク、202…スクレイパ、202…エッジ、205…スクレイパ支持部。
【技術分野】
【0001】
本発明は封口装置、及び、ハニカム構造体の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、ハニカムフィルタ構造体が、DPF(Diesel particulate filter)用等として広く知られている。このハニカムフィルタ構造体は、多数の貫通孔を有するハニカム構造体の一部の貫通孔の一端側を封口材で封じると共に、残りの貫通孔の他端側を封口材で封じた構造を有する。そして、特許文献1には、このようなハニカムフィルタ構造体を製造する方法が開示されている。特許文献1では、シリンダ7内に配置したハニカム構造体1の一端に対して、ピストン8により封口材を押圧することにより、ハニカム構造体の貫通孔の端部に封口材を供給している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特公昭63−24731号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の方法では、ハニカム構造体の一端側を封口材で封じた後に、ピストンをハニカム構造体から引き離すことが困難であり、生産効率が低下していた。さらに、従来の方法では、封口工程の完了後に、あらたに次の封口工程を行うまでの間に、ピストン8やシリンダ7等の表面に残る封口材の清掃が面倒であった。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みてなされたものであり、封口を効率よく行え、さらに、清掃も簡単な封口装置及びハニカムフィルタの製造方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る封口装置は、凹部及び前記凹部の内面に開口する連通路を有する本体部と、
前記凹部を覆うように前記本体部に配置された弾性板と、
スクレイパと、
前記スクレイパを前記弾性板の表面に接触可能に支持するスクレイパ支持部と、
前記弾性板の表面に接触するスクレイパを、前記弾性板の表面に沿って、前記弾性板に対して相対的に移動させる移動部と、を備える。
【0007】
本発明によれば、次の手順によりハニカム構造体の貫通孔に封口材を供給することが出来る。まず、連通路を介して本体部の凹部内の流体を排出することにより弾性板を本体部の凹部に沿うように変形させ、弾性板の凹部を形成する。次に、弾性体の凹部内に封口材を供給する。続いて、凹部と対向する位置に、ハニカム構造体の一端面を配置する。続いて、連通路を介して本体部と弾性板との間に流体を供給することにより弾性板をハニカム構造体の一端面に向かって移動させる。これにより、弾性板の凹部内の封口材がハニカム構造体の貫通孔内に供給される。
【0008】
その後、連通路を介して本体部と弾性板との間にさらに流体を供給することにより、弾性板を本体部の凹部とは逆方向に凸形状に変形させることもできる。これにより、本体部から容易にハニカム構造体を引き離すことが出来る。
【0009】
さらに、本発明によれば、移動部によって、ハニカム構造体を弾性板から引き離した後に、スクレイパによって、弾性板の表面に付着した封口材の残渣を容易に掻き取ることができるので、次の封口作業を迅速に行うことができる。
【0010】
ここで、前記移動部は、前記スクレイパ又は前記本体部の一方を、前記弾性板、特に前記スクレイパと接触した状態にある弾性板、の表面と交差する軸周りに回転運動させることが好ましい。
【0011】
これによれば、往復直線運動等に比べて機構が簡単で、しかも、掻き取りを迅速に行える。
【0012】
また、前記スクレイパ支持部は、前記スクレイパを、前記本体部から凸形状に突出した前記弾性板の表面と接触するように支持することが好ましい。
【0013】
これにより、スクレイパと弾性板とを密着させることが容易である。
【0014】
また、前記スクレイパにおける前記弾性板と接触するエッジは、前記軸と直交する方向から見て、回転半径方向の両端部よりも中央部が凹む形状であることが好ましい。言い換えると、前記スクレイパにおける前記弾性板と接触するエッジは、前記弾性板に対して前記スクレイパが相対的に移動する方向から見て、凹形状を有することが好ましい。
【0015】
これによれば、弾性板を凸形状に膨らませた状態での掻き取りが容易となる。
【0016】
また、前記スクレイパにおける前記弾性板と接触するエッジは、前記軸の方向から見て、前記軸から回転半径方向外側に向かうに従って、前記スクレイパに対する前記弾性板の回転方向の上流側又は下流側に向かうように湾曲していることが好ましい。
【0017】
さらに、前記軸の方向から見て、前記スクレイパは、前記軸を中心とする渦巻き形状を有することも好ましい。
【0018】
これらによれば、掻き取った付着物を中心付近又は外周部に寄せ集めることができ、付着物の回収や再利用が容易である。
【0019】
前記スクレイパ支持部は、さらに、前記スクレイパを前記弾性板の表面に接触させる位置と、前記スクレイパを前記弾性板の表面から離れさせる位置と、の間で前記スクレイパを移動可能であることが好ましい。
【0020】
これによれば、封口作業時にスクレイパを待避させることが容易で、製造時間の短縮や手間の削減が可能である。
【0021】
また、本体部は、前記本体部から下方に延び、前記連通路と接続された管をさらに備え、前記管には回転継手が接続されていることが好ましい。
これによれば、この管を軸として回転させることができ、さらに、この管と回転継手を介して外部と接続できるので、連通路を介した流体の出し入れが容易である。この場合、特に、前記回転継手に接続され、前記連通路を介して前記凹部に流体を供給し、かつ、前記連通路を介して前記凹部内の流体を排出する流体供給排出部をさらに備えることが好ましい。
【0022】
また、前記本体部に固定され、前記本体部を前記鉛直軸周りに回転可能に支持する補助軸受をさらに備えることが好ましい。この場合、本体部をよりスムーズに回転させることができる。
また、前記弾性板は、ゴム板であることが好ましい。
【0023】
本発明に係る端部が封口された複数の貫通孔を有するハニカム構造体の製造方法は、凹部及び前記凹部の内面に開口する連通路を有する本体部と、前記凹部を覆う弾性板とを有する装置を準備する工程と、
前記連通路を介して前記凹部内の流体を排出することにより前記弾性板の凹部を形成する工程と、
前記弾性板の凹部内に封口材を供給する工程と、
前記凹部と対向する位置に、複数の貫通孔を有するハニカム構造体の一端面を配置する工程と、
前記封口材を供給する工程の後に、前記連通路を介して前記本体部と前記弾性板との間に流体を供給することにより、前記弾性板の凹部内の封口材を前記ハニカム構造体に供給する工程と、
前記封口材を前記ハニカム構造体に供給する工程の後に、前記弾性板から前記ハニカム構造体を分離する工程と、
前記分離後の弾性板の表面に残った封口材をスクレイパで掻き取る工程と、を備える。
【0024】
ここで、前記掻き取る工程の弾性板を、前記連通路を介して前記本体部と前記弾性板との間に供給した流体により膨らませて前記スクレイパと密着させることが好ましい。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、封口を効率よく行え、さらに、清掃も簡単な封口装置及びハニカムフィルタの製造方法が提供される。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る封口装置の概略断面図である。
【図2】図2は、図1の封口装置のII−II矢視図である。
【図3】図3は、図2の封口装置のIII−III矢視図である。
【図4】図4は、図2の封口装置のIV−IV断面図である。
【図5】図5の(a)は、図1の封口装置で用いるハニカム構造体の斜視図、図5の(b)は、図5の(a)の部分拡大図である。
【図6】図6の(a)は、図1の弾性板20の上に載せるマスクの斜視図、図6の(b)は、図6の(a)の部分拡大図である。
【図7】図7の(a)は、図1の封口装置の動作を説明する部分断面図であり、図7の(b)は、図7の(a)に続く部分断面図である。
【図8】図8の(a)は、図7の(b)に続く部分断面図であり、図8の(b)は、図8の(a)に続く部分断面図である。
【図9】図9の(a)は、図8の(b)に続く部分断面図であり、図9の(b)は、図9の(a)に続く部分断面図である。
【図10】図10の(a)は、図9の(b)に続く部分断面図であり、図10の(b)は、図10の(a)に続く部分断面図である。
【図11】図11の(a)は、図11の(b)に続く部分断面図であり、図11の(b)は、図11の(a)に続く部分断面図である。
【図12】図12は、本発明の第2の実施形態にかかる封口装置の概略上面図である。
【図13】図13は、図12の封口装置のXII−XII矢視図である。
【図14】図14は、本発明の第3の実施形態にかかる封口装置の概略上面図である。
【図15】図15は、図14の封口装置のXIV−XIV矢視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
本発明に係る封口装置の好適な実施形態について、図面を参照して説明する。なお、説明において、同一要素又は同一機能を有する要素には同一符号を用いることとし、重複する説明は省略する。
【0028】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態の一例に係る封口装置100の概略断面図である。本実施形態に係る封口装置100は、主として、本体部10、弾性板20、ポンプ(流体供給排出制御部)50、スクレイパ202、スクレイパ支持部205、回転駆動部(移動部)40、回転継手(軸受)60、クロスローラベアリング(補助軸受)90、及び、ハニカム構造体保持部80を備える。
【0029】
本体部10は、剛性材料から形成されている。剛性材料としては、ステンレス等の金属や、繊維強化プラスチック等のポリマー材料が挙げられる。本体部10の上面10aには、凹部10dが形成されている。本実施形態では、凹部10dの形状は、図1及び図2に示すように、円柱状とされている。そして、本体部10の上面10aに対して、凹部10dの側面10bが垂直、かつ、底面10cが平行とされている。凹部10dの直径は、例えば、100〜320mmとすることができる。凹部10dの深さは、例えば、0.2〜20mmとすることができる。本体部の外周面には、後述するベルト44を掛けるための溝10sが周方向に形成されている。
【0030】
弾性板20は、凹部10dの開口面を覆うように、本体部10の上面10a上に、配置されている。弾性板20は、弾性を有し、容易に変形しうる。弾性板20としては、ゴム板が好ましい。ゴムとしては、天然ゴムや、スチレンブタジエンゴム、ブタジエンゴム、ブチルゴム、エチレンプロピレンゴム、ニトリルゴム、クロロプレンゴム、ふっ素ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム等の合成ゴムが挙げられる。弾性板20の厚みは特に限定されないが、例えば、0.3〜3.0mmとすることができる。
【0031】
弾性板20は、リング部材25、及び、ボルト31により本体部10に固定されている。リング部材25は、本体部10の凹部10dに対応する位置に開口25aを有し、これにより環状形状をなしている。そして、リング部材25は、弾性板20における中央部(凹部10dとの対向部)が露出するように弾性板20上に配置されている。これにより、弾性板20の周辺部が、本体部10とリング部材25とにより挟まれている。リング部材25及び弾性板20には貫通孔hがそれぞれ形成され、本体部10には、これら貫通孔hに対応するねじ孔jが形成されており、ボルト31がこれらの貫通孔hを貫通して配置され、ねじ孔jにねじ込まれて固定されることにより、本体部10の上面10aにおける凹部10dのまわりの部分に、弾性板20の周辺部が密着して固定されている。
【0032】
図1及び図2に示すように、リング部材25の開口25aの内径は、本体部10の凹部10dの内径よりも大きくされていることが好ましい。
【0033】
本体部10は、さらに、凹部10dの底面10cに開口する連通路10eを有している。なお、本実施形態では、連通路10eは凹部10dの底面10cに開口しているが、凹部10dの内面に開口していれば良く、例えば、凹部10dの側面10bに開口していてもよい。また、連通路10eの開口の形状や数も特に限定されない。
【0034】
本体部10には、鉛直下方に延びる接続管14が設けられている。接続管14は、連通路10eと連通している。接続管(管)14の中心軸axは、円柱状の凹部10dの中心軸を通り、弾性板20を貫いている。
【0035】
接続管14の下端には、回転継手(軸受け)60が設けられている。これにより、本体部10が、接続管14の軸、すなわち、鉛直軸axの周りに回転可能に支持される。回転継手60は、内筒61、外筒62、ベアリング63、及びパッキン64を主として有する。
内筒61は、接続管14の下端部を形成する。外筒62は、内筒61を外から取り囲むように配置される。ベアリング63は、内筒61及び外筒62の間に配置され、これらを互いに鉛直軸周りに相対的に回転可能とする。パッキン64は、内筒61と外筒62との間をシールし、流体の漏れ等を抑制する。外筒62には、ポンプ50が接続されている。
【0036】
ポンプ50は、シリンダ51、シリンダ51内に配置されたピストン53、及び、ピストン53に接続されたピストンロッド54を備える。ピストンロッド54には、ピストンロッド54を軸方向に往復移動させるモータ55が接続されている。なお、ピストンロッド54を手動で動かしてもよい。
【0037】
本実施形態では、弾性板20と、ピストン53と、の間には、本体部10、接続管14、及び、シリンダ51により形成される閉鎖空間Vが形成され、閉鎖空間V内には、流体FLが充填されている。流体FLは、特に限定されないが、液体が好ましく、特に、スピンドルオイル等が好ましい。なお、流体FLは、空気等のガスでもよい。そして、ピストン53を移動させることにより、本体部10の凹部10d内から流体FLを排出することができ、これにより、図3の弾性板20’’のように弾性板20を凹部1d内に沿わせることによって弾性板20の凹部を形成することができる一方、凹部10d内に流体FLを供給することによって、図3の弾性板20’のように、弾性板20をドーム状に突出させることも出来る。
【0038】
回転駆動部(移動部)40は、回転軸42を有するモータ41、回転軸42に固定されたプーリ43、プーリ43と本体部10の溝10sとの間に掛け渡されたベルト44とを有する。モータ41の回転により、本体部10を、接続管14の軸、すなわち、鉛直軸ax周りに例えば、図2の矢印Aの向きに回転可能である。鉛直軸axは、凹部10dの中心を通る。
【0039】
図1に戻って、本体部10は、さらに、本体部10が接続管14の鉛直軸ax周りに回転するのを補助すべく、クロスローラベアリング90(軸受け)を有している。クロスローラベアリング90は、図示しない架台等に固定される外輪91、本体部10に固定される内輪92、及び、外輪91と内輪92との間に配置される複数の円筒ローラ93を有する。
【0040】
スクレイパ202は、弾性板20の表面に付着した封口材の残渣を掻き取るものであり、スクレイパ支持部205のバー204に支持されている。本実施形態では、図2〜図4に示すように、スクレイパ202は平板であり、図3及び図4に示すように、一対の主面202a,202b、及び、エッジ202eを有する。エッジ202eは、図1及び図4に示すようにドーム状に膨らんだ弾性板20’の表面と接触する。
【0041】
エッジ202eは、図1及び図2に示すように、ドーム状に突出した弾性板20’の表面の頂点近傍から底部近傍までに亘って線状に接触するように、軸axと直交する方向から見て、本体部axの回転半径方向の両端部202e1,202e2に比べて中央部が凹んでいる。また、図2に示すように、軸axの方向から見て、スクレイパ202のエッジ202eは、軸axから半径方向外側に向かうに従って、スクレイパ202に対する弾性板20の回転方向Aの上流側(後ろ側)へ向かうように湾曲している。また、スクレイパ202のエッジ202eの外端202e2はドーム状の弾性板20の外周近傍に達し、エッジ202eの内端202e1は、弾性板20の頂点と成る鉛直軸axに相当する部分、又は、当該頂点部分を超える位置まで延びるように配置されている。これにより、エッジ202eによって弾性板20の表面における封口材の残渣の効率的な掻き取りが可能である。
【0042】
スクレイパ202の材質としては、樹脂、金属等の材料を使用することができる。板状のスクレイパ202の厚みは、例えば、0.5〜2mmとすることができる。本実施形態では、スクレイパ202のエッジ202eの厚み方向の断面形状は、図4のように両側とも直角な角部を有する矩形であるが、これらの角部の少なくとも一つが平面あるいは曲面により面取りされていてもよい。スクレイパ202の表面粗さRaは3.2以下が好ましい。
【0043】
また、スクレイパ202は、図4に示すように、掻き取り側(弾性板20’の表面に対してスクレイパ202が相対的に移動する方向の前側すなわち図示左側:弾性板20'の移動方向は矢印A方向)の主面202aと、エッジ202eとの接触部cpでの凸形状にされた弾性板20’の接平面Sと、のなす角θ1が、鈍角すなわち90°超となるようにバー204に固定されている。好ましいθ1は、95〜135°である。本実施形態では、弾性板20’が曲面であるため、弾性板20’におけるエッジ202eとの接触部cpは一つの平面上に存在せず、上記接平面Sは接触部cpの位置毎に定義される。接触部cpは図2に示すようにエッジ202eに沿って延びており、このように延びる接触部cpの全体にわたってθ1が鈍角である。これにより、弾性板20’が矢印A方向に移動する際に、残渣がスクレイパ202の主面202a上に容易に乗り上げるようにされ、残渣の清掃、吸引などの後処理が容易になるなどの効果がある。
【0044】
図2に戻って、バー204は、回転可能角度が規制された軸受206により、所定の回転角度(たとえば90°)の範囲で回転可能に鉛直軸208に固定されている。ここでは、軸受け206は、バー204を、図2の実線に示すようにドーム状に突出する弾性板20に対して接触させる回転位置と、図2の二点鎖線に示すように弾性板20から離れて弾性板20の露出面と対向させない回転位置との間で、角度Bの範囲でスクレイパ202を揺動可能である。鉛直軸208は、図1に示すように、モータ41による本体部10の回転とは独立な台座210に固定されている。
【0045】
本体部10の上には、ハニカム構造体保持部80が設けられている。ハニカム構造体保持部80は、ハニカム構造体70を保持する保持具81、及び保持具81が接続された空気圧シリンダ82を有する。
【0046】
保持具81は、ハニカム構造体70を、図1に示すように、貫通孔70aの一方側の開口面が弾性板20及び凹部10dと対向するように保持する。
【0047】
空気圧シリンダ82は、上下方向に延びるシリンダ82aと、シリンダ82a内に設けられたピストン82bとを有し、外部からの供給する圧力を調整することによりピストン82bの上下両側での圧力を調節可能となっている。そして、これにより空気圧シリンダ82は、保持具81を、ハニカム構造体70と弾性板20とが近づく方向及びこれらが互いに離れる方向にそれぞれ移動可能である。また、空気圧シリンダ82は、ピストン82bの前後のガスの供給圧力に応じて保持具81を下方に所定の力で押圧することにより、ハニカム構造体70を、弾性板20上に配置されるマスク(詳しくは後述)に対して密着させることができる。さらに、空気圧シリンダ82は、ピストンの前後の圧力を開放することにより、保持具81が上下方向に自由に移動することを許可することもできる。すなわち、ハニカム構造体保持部80は、保持具81が保持したハニカム構造体70を上方向に自由に移動可能とする状態と、ハニカム構造体70を本体部10に対して固定する状態とを切替え可能である。
【0048】
本実施形態で用いる一例のハニカム構造体70は、図5の(a)に示すように、多数の貫通孔70aが略平行に配置された円柱体である。貫通孔70aの断面形状は、図5の(b)に示すように正方形である。これらの複数の貫通孔70aは、ハニカム構造体70において、端面から見て、正方形配置、すなわち、貫通孔70aの中心軸が、正方形の頂点にそれぞれ位置するように配置されている。貫通孔70aの断面の正方形のサイズは、例えば、一辺0.8〜2.5mmとすることができる。
【0049】
また、ハニカム構造体70の貫通孔70aが延びる方向の長さは特に限定されないが、例えば、40〜350mmとすることができる。また、ハニカム構造体70の外径も特に限定されないが、例えば、100〜320mmとすることできる。
【0050】
ハニカム構造体70の材料は特に限定されないが、高温耐性の観点から、セラミクス材料が好ましい。例えば、アルミナ、シリカ、ムライト、コーディエライト、ガラス、チタン酸アルミニウム等の酸化物、シリコンカーバイド、窒化珪素、金属等が挙げられる。なお、チタン酸アルミニウムは、さらに、マグネシウム及び/又はケイ素を含むことができる。このような、ハニカム構造体70は通常多孔質である。
【0051】
また、ハニカム構造体70は、後で焼成することにより上述のようなセラミック材料となるグリーン成形体(未焼成成形体)であってもよい。グリーン成形体は、セラミクス原料である無機化合物源粉末、及び、メチルセルロース等の有機バインダ、及び、必要に応じて添加される添加剤を含む。
【0052】
例えば、チタン酸アルミニウムのグリーン成形体の場合、無機化合物源粉末は、αアルミナ粉等のアルミニウム源粉末、及び、アナターゼ型やルチル型のチタニア粉末等のチタニウム源粉末を含み、必要に応じて、さらに、マグネシア粉末やマグネシアスピネル粉末等のマグネシウム源粉末及び/又は、酸化ケイ素粉末やガラスフリット等のケイ素源粉末を含むことができる。
【0053】
有機バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩を例示できる。
【0054】
添加物としては、例えば、造孔剤、潤滑剤および可塑剤、分散剤、溶媒が挙げられる。
【0055】
造孔剤としては、グラファイト等の炭素材;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメタクリル酸メチル等の樹脂類;でんぷん、ナッツ殻、クルミ殻、コーンなどの植物材料;氷;およびドライアイス等などが挙げられる。
【0056】
潤滑剤および可塑剤としては、グリセリンなどのアルコール類;カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラキジン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸;ステアリン酸アルミニウムなどのステアリン酸金属塩などが挙げられる。
【0057】
分散剤としては、たとえば、硝酸、塩酸、硫酸などの無機酸;シュウ酸、クエン酸、酢酸、リンゴ酸、乳酸などの有機酸;メタノール、エタノール、プロパノールなどのアルコール類;ポリカルボン酸アンモニウム、ポリオキシアルキレンアルキルエーテルなどの界面活性剤などが挙げられる。
【0058】
溶媒としては、たとえば、アルコール類、水などを用いることができる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどの1価アルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどの2価アルコール類などが挙げられる。
【0059】
マスクは、弾性板20上におけるリング部材25の開口25a内に配置されるものである。マスクの材料は特に限定されず、例えば、金属や樹脂が挙げられる。
【0060】
図6の(a)に、本実施形態で用いるマスク170の一例を示す。マスク170は、円形の板状部材であり、厚み方向に伸びる多数の貫通孔170aを有する。貫通孔170aの断面形状は、図6の(b)に示すように、ハニカム構造体70の貫通孔70a(図5の(b)参照)に対応する正方形である。これらの複数の貫通孔170aは、図6の(b)に示すように、千鳥配置されており、各貫通孔170aは、図5の(b)の正方配置された複数の貫通孔70aのうち、互いに上下左右に隣接しない関係にある複数の貫通孔70aiのみに対向して配置される。なお、マスク170の貫通孔170aの位置決めを容易にすべく、マスク170には、オリエンテーションフラット170bが形成され、これに対応してリング部材25にもオリエンテーションフラットに対応する突起25bを設けてもよい。
【0061】
なお、本体部10には、超音波振動器等の加振器140が設けられていてもよい。
【0062】
(製造方法)
続いて、上述の封口装置100を用いた封口体の製造方法について説明する。まず、図1の状態から、予め、空気圧シリンダ82を駆動して、ハニカム構造体70を保持する保持具81上方に引き上げておく、また、バー204を動かして、図2の二点鎖線のようにスクレイパ202が、弾性板20から離れる位置とする。次に、ポンプ50のピストン53を下方に引くことにより、本体部10の凹部10dから流体FLを下方に排出させる。これにより、図7の(a)に示すように、弾性板20が変形して凹部10dの側面10b及び底面10cに密着し、これによって、弾性板20の凹部20dが形成する。
【0063】
続いて、弾性板20の凹部20d内に封口材130を供給する。
【0064】
(封口材)
封口材130は、ハニカム構造体70の貫通孔70aの端部を閉鎖できるものであれば特に限定されないが、液状であることが好ましい。例えば、封口材として、セラミクス材料又はセラミクス原料と、バインダと、好ましくは潤滑剤と、溶媒とを含むスラリーが例示できる。セラミクス材料としては、上述のハニカム構造体の構成材料や、その原料が挙げられる。
【0065】
バインダとしては、メチルセルロース、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシアルキルメチルセルロース、ナトリウムカルボキシルメチルセルロースなどのセルロース類;ポリビニルアルコールなどのアルコール類;リグニンスルホン酸塩等の有機バインダを例示できる。バインダの使用量は、封口材を100質量%とした時、例えば、0.1〜10質量%とすることができる。
【0066】
潤滑剤としては、グリセリンなどのアルコール類、カプリル酸、ラウリン酸、パルミチン酸、アラギン酸、オレイン酸、ステアリン酸などの高級脂肪酸、ステアリン酸アルミニウム等のステアリン酸金属塩などが挙げられる。潤滑剤の添加量は、封口材の100質量%に対して、通常、0〜10質量%であり、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは1〜5質量%である。
【0067】
溶媒としては、たとえば、アルコール類、水などを用いることができる。アルコール類としては、メタノール、エタノール、ブタノール、プロパノールなどの1価アルコール類;プロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、エチレングリコールなどの2価アルコール類などが挙げられる。なかでも、水が好ましく、不純物が少ない点で、より好ましくはイオン交換水が用いられる。溶媒の使用量は、封口材を100質量%とした時、例えば、15〜40質量%とすることができる。
封口材の粘度は、好ましくは、回転粘度計による共軸二重円筒法による測定において、23℃で5〜50Pa・sである。
【0068】
このような封口材130を凹部20d内に供給した場合に、図7の(a)に示すように、凹部20d内において水平方向にあまり広がらず、厚みが不均一となる場合にはこれを平坦化する。その理由は、このまま封口工程を行うと、封口部の長さが不均一となったり、封口不良が出やすくなったりするからである。具体的には、回転駆動部40のモータ41を駆動し、本体部10を回転させる。これにより、図7の(b)に示すように、封口材130に水平方向に遠心力がかかり、封口材130を凹部20d内に全体に行き渡らせることができる。また、封口材130の表面の平坦性も高められる。本体部10の回転速度は特に限定されないが、30〜300rpm程度が好ましい。回転時間も特に限定されないが、3〜20秒程度が好ましい。
【0069】
続いて、図8の(a)に示すように、本体部10の凹部10dを覆うように弾性板20上にマスク170をセットし、次いで、空気圧シリンダ82により保持具81を下方に移動させてハニカム構造体70をマスク170に接触させることにより、ハニカム構造体70の一部の貫通孔70aと、マスク170の貫通孔170aとを連通させ、さらに、空気圧シリンダ82により保持具81を下方に押圧し、ハニカム構造体70をマスク170及び本体部10に対して固定する。なお、図8の(a)に示すように、マスク170の外径は、本体部10の凹部10dの内径よりも大きくされていることが好ましい。
【0070】
次いで、ポンプ50のピストンを上方に移動させることにより、連通路10eを介して凹部10dと弾性板20との間に流体FLを供給し、これによって、図8の(b)に示すように、弾性板20がマスク170に向かって移動する。この工程は、図9の(a)に示すように、弾性板20がマスク170に接触し、弾性板20の変形が解消するまで行なうことが好ましい。
【0071】
これにより、封口材130がマスク170の貫通孔170aを介して、ハニカム構造体70の一部の貫通孔70a内に供給され、封口部70pが形成する。
【0072】
続いて、空気圧シリンダ82によるハニカム構造体70の下方向への押圧を停止してハニカム構造体70が上方に自由に移動できるようした後、ピストン53をさらに上昇させ弾性板20と本体部10との間にさらに流体FLを供給する。これにより、図9の(b)に示すように、弾性板20は、上方向に凸形状に変形し、マスク170及びハニカム構造体70が上方に移動する。このとき、凸形状に変形する弾性板20の周辺部はマスク170から離れるので、これにより、マスク170及びハニカム構造体70を、本体部10から容易に引き離すことが出来る。この場合、生産効率を高めることができ、封口されたハニカム構造体を低コスト化で製造することが可能となる。
【0073】
続いて、ハニカム構造体70を保持具81から外す。そうすると、図10の(a)に示すように、弾性板20の表面がドーム状に突出した状態となる。このとき、弾性板20の表面には、封口作業に使用した封口材130の残渣130aが付着している。残渣130aが付着した状態で、再び封口工程を行うと、弾性板20の凹部20d内に貯留する封口材130の量の正確なコントロールや、封口材130の組成の正確なコントロールが困難となる上、固化した封口材130が徐々に堆積して封口処理不能に陥ることがある。したがって、弾性板20に付着した封口材130の残渣130aを除去する必要がある。
【0074】
そこで、図10の(b)に示すように、バー204の位置を移動させて、スクレイパ202の位置を、スクレイパ202のエッジ202eがドーム状に突出する弾性板20’に接触する位置とする。さらに、モータ41を駆動して、本体部10を回転させる。回転数は特に限定されないが、例えば、5〜20rpmとすることができる。回転時間も特に限定されないが、3〜12秒程度が好ましい。
【0075】
これにより、スクレイパ202のエッジ202eによって、弾性板20の表面に残る封口材130の残渣130aを掻き取ることができ、掻き取られた残渣130aは、スクレイパ202の掻き取り側の主面202a(図4参照)に乗り上げて捕集される。このようにして、弾性板20の上面のクリーニングが完了する。
【0076】
続いて、図11の(a)に示すように、バー204の位置を移動させて、スクレイパ202を弾性板20から待避させた後、天地をひっくり返したハニカム構造体70を保持具81に保持する。次いで、マスク170と貫通孔170aの配置が正反対の千鳥配置とされたマスク170’を用いて、同様の封口材の注入操作を行なう。これにより、図11の(a)に示すように、残りの貫通孔70aの他端側が封口材で封口され、封口部70pが形成する。続いて、図11の(b)に示すように、弾性板20を上に凸形状に変形させることにより、マスク170’及びハニカム構造体70を容易に本体部10及び弾性板20から引き離すことが出来る。
【0077】
そしてこのようにして、貫通孔70aの両端が封口されたハニカム構造体70を乾燥、焼成等することにより、ハニカムフィルタを製造することが出来る。
【0078】
本実施形態によれば、弾性板20の凹部20dに保持した封口材を、弾性板の変形によりハニカム構造体内に注入するのに加えて、スクレイパ202によって封口後の弾性板20の表面の封口材の残渣を掻き取ることができるので、迅速かつ容易に弾性板20のクリーニングが可能であり、したがって、次の封口作業を直ちに行うことができる。
【0079】
さらに、本実施形態では、スクレイパ支持部205が、スクレイパ202を、凹部10dから凸形状に突出した弾性板20の表面と接触するように支持するので、凸形状に突出させた弾性板20がスクレイパ202によく密着して残渣130aの除去効果が高い。特に、本実施形態では、スクレイパ202のエッジの形状が、図1に示すように、軸axと直交する方向から見て、回転半径方向の両端202e1,202e2よりも中央部が凹む形状とされているので、弾性板20を凸形状に膨らませた状態で、スクレイパ202による掻き取りを特に容易に行うことができ、弾性板20をスクレイパ202のエッジ202eにより密着させやすく、清掃効率が高くなる。
【0080】
また、図2に示すように、軸axの方向から見て、スクレイパ202のエッジ202eは、軸axから半径方向外側に向かうに従って、スクレイパ202に対する弾性板20の回転方向Aの上流側(後ろ側)へ向かうように湾曲している。これにより、かき取られた残渣が中央部に集められて、回収しやすくなる。
【0081】
さらに、スクレイパ支持部205は、スクレイパ202を、弾性板20に接触する位置と、弾性板20から離れる位置との間を移動可能であるので、クリーニングを行わない間に、スクレイパ202を待避させることができ、また、弾性板のクリーニングに迅速に取りかかることができる。
【0082】
また、本実施形態では、本体部に接続する回転継手60を設けているので、本体部10の回転の前後において、流体を供給排出する管の脱着等の作業をする必要がない。従って、作業時間を少なくできる。
【0083】
さらに、本実施形態では、補助軸受としてのクロスローラベアリング90を有しているので、本体部10の重量が大きい場合でも、安定して回転が可能である。
【0084】
(第1実施形態の変形形態)
続いて、第1実施形態の変形形態について説明する。本実施形態が前述の第1実施形態と異なる点は、本体部10すなわち弾性板20’が、図2〜図4の矢印Aの向きではなく、矢印Cの向きに回転する点である。
【0085】
これにより、本実施形態では、スクレイパ202は、図4に示すように、掻き取り側(弾性板20’に対してスクレイパ202が相対的に移動する方向の前側すなわち図示右側)の主面202bと、エッジ202eとの接触部cpでの凸形状にされた弾性板20’の接平面Sと、のなす角θ2が、鋭角すなわち90°未満となるようにバー204に固定されている。好ましいθ2は、5〜89°である。本実施形態でも接触部cpの全体にわたってθ2が鋭角である。本実施形態では、弾性板20’が矢印C方向に移動する際に、スクレイパ202が表面の凹凸等に追従しやすく、残渣がスクレイパ202の主面202bにより効率よく掻き取られ、掻き取り残しが少ない。
【0086】
また、図2に示すように、軸axの方向から見て、スクレイパ202のエッジ202eが、軸axから半径方向外側に向かうに従って、スクレイパ202に対する弾性板20の回転方向Cの下流側(前側)へ向かうように湾曲している。これにより、かき取られた残渣が周辺部に集められて、回収しやすくなる。
【0087】
(第2実施形態)
続いて、本発明の第2実施形態について図12及び図13を参照して説明する。本実施形態の封口装置100が、第1実施形態と異なる点は、スクレイパ202の構造である。このスクレイパ202は、板部材202aを複数有する。これらの板部材202aは、弾性板20の中央部から、半径方向外側に向かって放射状に延びている。板部材202aの掻き取り側の主面は、鉛直軸axに対して傾斜しておらず、鉛直軸axと平行である。また、板部材202aは、軸ax方向からみて、軸axから半径方向外側に向かうに従って、板部材202aに対する弾性板20の回転方向(進行方向:矢印A)の上流側(後ろ側)に向かうように湾曲している。また、図13に示すように、第1実施形態と同様に、軸axと直交する方向から見て、板部材202aの下端(エッジ、接触部)202aeの形状は、両端部202ae1、202ae2よりも中央部が凹む形状とされており、ドーム状に突出される弾性板20の表面の掻き取りが容易となっている。これらの複数の板部材202aは、リング状の固定具204aによりバー204に固定されている。さらに、板部材202aの端部が集まる中央部には、配管L1が接続され、配管L1には、板部材202aにより掻き取られた封口材の残渣を吸い上げるポンプP1が接続されている。
【0088】
本実施形態においても、図13に示すように、ドーム状に突出する弾性板20の表面の封口材の残渣の掻き取りが可能となる。特に、本実施形態では、板部材202aが弾性板20の回転方向の上流側に湾曲しているので、スクレイパ202と弾性板20との相対的回転により、掻き取った封口材の残渣を回転軸である鉛直軸axの近傍に寄せ集めることができる。したがって、掻き取った封口材の回収や、再利用等が容易となる。
なお、本実施形態に於いては、本体部10すなわち弾性板20をA方向ではなく逆のC方向に回転させることもできる。この場合には、軸ax方向からみて、軸axから半径方向外側に向かうに従って、板部材202aに対する弾性板20の回転方向(進行方向:矢印C)の下流側(前側)に向かうように湾曲している。これにより、掻き取った封口材の残渣が外周側に集まることとなる。
【0089】
(第3実施形態)
続いて、本発明の第3実施形態について図14及び図15を参照して説明する。本実施形態の封口装置100が、第2実施形態と異なる点は、スクレイパ202の構造である。このスクレイパ202は、鉛直軸axから見て、鉛直軸axを中心とする渦巻き形状とされている。渦巻きの形状は特に限定されないが、対数らせん、アルキメデスのらせん、等の渦巻き形状が挙げられる。スクレイパ202の渦巻きの向きは、中心から外側に向かう回転方向が、弾性板20が回転する方向Aとは反対向きとなる向きである。
本実施形態によっても、ドーム状に突出する弾性板20の表面の封口材の残渣を掻き取ることができ、また、回転に伴って、掻き取った残渣を鉛直軸axの近傍まで寄せ集めることができる。
なお、本実施形態に於いては、本体部10すなわち弾性板20をA方向ではなく逆のC方向に回転させることもできる。この場合には、軸ax方向からみて、スクレイパ202の渦巻きの向きは、中心から外側に向かう回転方向が、弾性板20が回転する方向Cとは同じ向きとなる。この場合には、掻き取った封口材の残渣が外周側に集まることとなる。
【0090】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものでなく、様々な変形態様が可能である。
【0091】
例えば、上記実施形態では、3種類のスクレイパ202を例示したが、スクレイパの形状は上述の構造に限定されず、弾性板20と接触して表面上の付着物を掻き取ることができる物であればよい。
【0092】
また、上記実施形態では、スクレイパ支持部205は、弾性板20との接触位置と非接触位置との間でスクレイパ202を移動させる待避機構を備えているが、これを有さなくてもよい。例えば、スクレイパ支持部205は、清掃時にスクレイパ202を弾性板20と接触するように固定し、清掃以外の時にスクレイパ202を脱離させる機構を備えていることができる。
【0093】
また、上記実施形態では、凸形状に膨らんだ弾性板20の表面を容易に掻き取るべく、スクレイパ202のエッジ202eの形状が、両端よりも中央部が凹む形状、すなわち、弾性板20に対してスクレイパ202が相対的に移動する方向から見て凹形状となっているが、例えば、直線的な形状も構わない。この場合でも、弾性板をある程度膨らませることは可能であるし、膨らませていない平面状の弾性板20の表面を掻き取っても本発明の実施は可能である。
【0094】
また、上記実施形態では、軸axの方向から見て、スクレイパ202のエッジ202eは、軸axから半径方向外側に向かうに従って、スクレイパ202に対する弾性板20の回転方向の上流側(後ろ側)又は下流側(前側)へ向かうように湾曲しているが、湾曲せずに半径方向に延びる直線状でもあっても実施可能である。この場合、かき取られた残渣は特に半径方向のどちら側にも集まらないが、このようなスクレイパ202は製造容易である。
【0095】
第1実施形態及びその変形形態では、スクレイパ202の掻き取り側主面202a、202bと、凸形状にされた弾性板20’におけるエッジ202eとの接触部cpでの接平面Sと、のなす角θ1、θ2が、鈍角又は鋭角であるが、直角でもよい。
また、第2実施形態や第3実施形態では、これらの角度が直角であるが、鋭角や鈍角としてもよい。
【0096】
また、上記実施形態では、鉛直軸axが、本体部10の凹部10dの中心軸とされ、凸形状にされた弾性板20の頂点と直交しているが、凹部10dの円柱に対して偏芯する軸axのまわりに本体部10を回転させても、掻き取りは可能である。なお、回転軸は、スクレイパ202と接触した状態にある弾性板20の表面と交差することが好ましい。また、回転軸axは、必ずしも鉛直軸でなくてもよい。
【0097】
また、上記実施形態では、スクレイパ202を固定し、スクレイパ202に対して本体部10すなわち弾性板20を回転運動しているが、弾性板20を固定し、スクレイパ202を回転運動させてもよく、双方を回転させても実施は可能である。
【0098】
また、回転駆動部(移動部)40の構成も、上述の物に限定されず、種々の形態が可能である。さらに、移動部が弾性板20とスクレイパ202とを相対的に回転運動させるのではなく、これらを相対的に直線運動、例えば、往復直線運動させる態様でも実施は可能である。
【0099】
また、弾性板20が、リング部材25、及び、ボルト31により、本体部10に対して固定されているが、固定方法は特に限定されない。例えば、弾性板20が接着剤によって、本体部10の上面10aに固定されていてもよい。また、封口装置100が、弾性板20を容易に交換可能な構造でもよい。
【0100】
また、上記実施形態では、回転継手60及びクロスローラベアリング90が、それぞれ、本体部10を鉛直軸周りに回転可能に支持する軸受として機能するが、これに限定されず、例えば、回転継手60のみを有していてもよく、クロスローラベアリング90のみを有していてもよい。回転継手60を有さない場合には、例えば、凹部10dから流体を排出した後に、連通路10eを閉鎖して減圧を維持すると共に、連通路とポンプ等とを切り離し、回転終了後に、再び、連通路10eとポンプとを接続すればよい。
【0101】
また、回転継手60やクロスローラベアリング90の構造は上述の構造に限定されない。また、回転継手60及びクロスローラベアリング90以外の軸受けを用いてもよい。
【0102】
また、上記実施形態では、ポンプ50として、シリンダ51、ピストン53、及び、ピストンロッド54を備えたピストンポンプを採用しているが、凹部10d内への流体の供給及び排出を制御できるものであれば他のものでもよい。例えば、圧力源と接続され、圧力源からの流体の供給を制御可能なバルブ、及び、真空ポンプ等の真空源と接続され、真空源への流体の排出を制御可能なバルブを有するものでもよい。
【0103】
また、本体部10の凹部10dの形状は特に限定されず、封口対象となるハニカム構造体70にあわせて適宜設定できる。
例えば、凹部10dを上から見た平面形状は、円形以外に楕円形、矩形、正方形等とすることもできる。この場合、矩形や正方形の場合の大きさは、例えば、一辺50〜300mmとすることができる。また、本体部10の上面10aに対して、側面10bが垂直、かつ、底面10cが平行である必要は無く、例えば、斜面であったり曲面であってもよい。
【0104】
また、上記実施形態では、ハニカム構造体保持部80は空気圧シリンダ82を備えるがこれに限られず、たとえば、歯車機構等の種々の機構に代替することが出来る。
【0105】
また、ハニカム構造体保持部80は必ずしも必須ではない。例えば、封口材を供給するときには錘をハニカム構造体70の上に載せることによりハニカム構造体を本体部10に対して固定し、ハニカム構造体70を本体部から離れさせる際には、錘を除去してハニカム構造体を移動可能としてもよい。また、ハニカム構造体がある程度の重量を有する場合には、自重によって固定されるので特段の固定手段を有さない態様も可能である。
【0106】
ハニカム構造体70の形状や構造も上述に限定されない。例えば、ハニカム構造体70の外形形状も円柱でなくてもよく、例えば、四角柱等の角柱でもよい。また、ハニカム構造体70の貫通孔70aの断面形状は、正方形でなくてもよく、例えば、長方形、三角形、六角形などの多角形、円形等でも構わない。さらに、貫通孔70aの配置も、正方形配置でなくてもよく、例えば、3角配置、貫通孔の断面形状が正方形の場合には千鳥配置等でも構わない。
【0107】
また、上記実施形態では、多数の貫通孔を有する板状のマスク170を採用しているが、マスクにより遮蔽する場所も任意である。さらに、このようなマスク170を用いなくても実施可能である。例えば、封口処理の前に、ハニカム構造体70の一部の貫通孔70a内に加熱すると分解する材料により栓をしておき、封口後に栓を熱分解等すればよい。本発明では、マスクを使用しない場合であっても、封口処理後に凸形状に変形する弾性板20によって、ハニカム構造体70を本体部10や弾性板20から容易に引き離すことが出来るという効果がある。
【符号の説明】
【0108】
10…本体部、10e…連通路、10d…凹部、14…接続管(管)、20…弾性板、30…凹部、40…回転駆動部(移動部)、50…ポンプ(流体供給排出制御部)、60…回転継手(軸受け)、70…ハニカム構造体、80…保持部、90…クロスローラベアリング(軸受け)、100…封口装置、170…マスク、202…スクレイパ、202…エッジ、205…スクレイパ支持部。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
凹部及び前記凹部の内面に開口する連通路を有する本体部と、
前記凹部を覆うように前記本体部に配置された弾性板と、
スクレイパと、
前記スクレイパを前記弾性板の表面に接触可能に支持するスクレイパ支持部と、
前記弾性板の表面に接触する前記スクレイパを、前記弾性板の表面に沿って、前記弾性板に対して相対的に移動させる移動部と、を備えた封口装置。
【請求項2】
前記移動部は、前記スクレイパ又は前記本体部の一方を、前記スクレイパと接触した状態にある前記弾性板の表面と交差する軸周りに回転運動させる請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記スクレイパ支持部は、前記スクレイパを、前記本体部から凸形状に突出した前記弾性板の表面と接触するように支持する請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記スクレイパにおける前記弾性板と接触するエッジは、前記弾性板に対して前記スクレイパが相対的に移動する方向から見て、凹形状を有する請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記スクレイパにおける前記弾性板と接触するエッジは、前記軸の方向から見て、前記軸から回転半径方向外側に向かうに従って、前記スクレイパに対する前記弾性板の回転方向の上流側又は下流側に向かうように湾曲している請求項2〜4のいずれか一項記載の装置。
【請求項6】
前記軸の方向から見て、前記スクレイパは、前記軸を中心とする渦巻き形状を有する請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記スクレイパ支持部は、さらに、前記スクレイパを前記弾性板の表面に接触させる位置と、前記スクレイパを前記弾性板の表面から離れさせる位置と、の間で前記スクレイパを移動可能である請求項1〜6のいずれか一項記載の装置。
【請求項8】
前記スクレイパは、前記弾性板に対して前記スクレイパが相対的に移動する方向の前側の主面と、前記スクレイパとの接触部での前記弾性板の接平面と、のなす角が鋭角となるようにスクレイパ支持部に固定されている請求項1〜7のいずれか一項記載の装置。
【請求項9】
凹部及び前記凹部の内面に開口する連通路を有する本体部と、前記凹部を覆う弾性板とを有する装置を準備する工程と、
前記連通路を介して前記凹部内の流体を排出することにより前記弾性板の凹部を形成する工程と、
前記弾性板の凹部内に封口材を供給する工程と、
前記凹部と対向する位置に、複数の貫通孔を有するハニカム構造体の一端面を配置する工程と、
前記連通路を介して前記本体部と前記弾性板との間に流体を供給することにより、前記弾性板の凹部内の封口材を前記ハニカム構造体に供給する工程と、
前記封口材を前記ハニカム構造体に供給する工程の後に、前記弾性板から前記ハニカム構造体を分離する工程と、
前記分離後の弾性板の表面に残った封口材をスクレイパで掻き取る工程と、
を備える、端部が封口された複数の貫通孔を有するハニカム構造体の製造方法。
【請求項10】
前記掻き取る工程の弾性板を、前記連通路を介して前記本体部と前記弾性板との間に供給した流体により膨らませて前記スクレイパに密着させる請求項9記載の方法。
【請求項1】
凹部及び前記凹部の内面に開口する連通路を有する本体部と、
前記凹部を覆うように前記本体部に配置された弾性板と、
スクレイパと、
前記スクレイパを前記弾性板の表面に接触可能に支持するスクレイパ支持部と、
前記弾性板の表面に接触する前記スクレイパを、前記弾性板の表面に沿って、前記弾性板に対して相対的に移動させる移動部と、を備えた封口装置。
【請求項2】
前記移動部は、前記スクレイパ又は前記本体部の一方を、前記スクレイパと接触した状態にある前記弾性板の表面と交差する軸周りに回転運動させる請求項1記載の装置。
【請求項3】
前記スクレイパ支持部は、前記スクレイパを、前記本体部から凸形状に突出した前記弾性板の表面と接触するように支持する請求項2記載の装置。
【請求項4】
前記スクレイパにおける前記弾性板と接触するエッジは、前記弾性板に対して前記スクレイパが相対的に移動する方向から見て、凹形状を有する請求項3記載の装置。
【請求項5】
前記スクレイパにおける前記弾性板と接触するエッジは、前記軸の方向から見て、前記軸から回転半径方向外側に向かうに従って、前記スクレイパに対する前記弾性板の回転方向の上流側又は下流側に向かうように湾曲している請求項2〜4のいずれか一項記載の装置。
【請求項6】
前記軸の方向から見て、前記スクレイパは、前記軸を中心とする渦巻き形状を有する請求項5記載の装置。
【請求項7】
前記スクレイパ支持部は、さらに、前記スクレイパを前記弾性板の表面に接触させる位置と、前記スクレイパを前記弾性板の表面から離れさせる位置と、の間で前記スクレイパを移動可能である請求項1〜6のいずれか一項記載の装置。
【請求項8】
前記スクレイパは、前記弾性板に対して前記スクレイパが相対的に移動する方向の前側の主面と、前記スクレイパとの接触部での前記弾性板の接平面と、のなす角が鋭角となるようにスクレイパ支持部に固定されている請求項1〜7のいずれか一項記載の装置。
【請求項9】
凹部及び前記凹部の内面に開口する連通路を有する本体部と、前記凹部を覆う弾性板とを有する装置を準備する工程と、
前記連通路を介して前記凹部内の流体を排出することにより前記弾性板の凹部を形成する工程と、
前記弾性板の凹部内に封口材を供給する工程と、
前記凹部と対向する位置に、複数の貫通孔を有するハニカム構造体の一端面を配置する工程と、
前記連通路を介して前記本体部と前記弾性板との間に流体を供給することにより、前記弾性板の凹部内の封口材を前記ハニカム構造体に供給する工程と、
前記封口材を前記ハニカム構造体に供給する工程の後に、前記弾性板から前記ハニカム構造体を分離する工程と、
前記分離後の弾性板の表面に残った封口材をスクレイパで掻き取る工程と、
を備える、端部が封口された複数の貫通孔を有するハニカム構造体の製造方法。
【請求項10】
前記掻き取る工程の弾性板を、前記連通路を介して前記本体部と前記弾性板との間に供給した流体により膨らませて前記スクレイパに密着させる請求項9記載の方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−10348(P2013−10348A)
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−124613(P2012−124613)
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月17日(2013.1.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】
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