説明

封着容器の製造方法

【課題】迅速に且つ確実に封着室を減圧することが可能な封着容器の製造方法を提供する。
【解決手段】アノード基板18を一対のバネ63によって支持し、アノード基板18と封着材17との間に隙間Gを形成する。この状態で、減圧室に搬送して設置して減圧室を減圧する。ここで、隙間Gを介してゲッタ室22及び撮像室23も減圧される。その後、アノード基板18を底板11の方向に押圧して、アノード基板18を封着材17によって封着する。これによって、底板11とアノード基板18の間にゲッタ室22及び撮像室23が形成された封着容器2が完成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一対の基板間の封着室に減圧雰囲気を封じ込めた封着容器の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一対の基板間の封着室に減圧雰囲気を封じ込めた封着容器の様々な製造方法が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、一対のガラス基板がフリットガラスによって接着された封着容器が開示されている。この封着容器では、一対のガラス基板を封着した後、内部の雰囲気を排気して減圧している。このように封着後に排気する工程の場合、排気するための排気管若しくは排気孔等をいずれかのガラス基板に形成する必要がある。そして、封着室を排気して減圧した後に、排気管を溶融して塞ぐか、又は、排気孔を蓋体等によって塞がなくてはならない。このため、塞がれた排気管や排気孔を塞ぐ蓋体等がガラス基板から突出するため、封着容器の厚みを小さくすることができないといった問題があった。
【0004】
そこで、減圧された減圧室内で一対のガラス基板を封着された封着容器が知られている(例えば、特許文献2参照)。一方の基板上に封着材を配置し、更にその封着材上に他方の基板を載置した状態で、大気圧の減圧室に搬入する。その後、減圧室を所望の気圧まで減圧することによって封着室内を減圧した後、互いに近づく方向に一対のガラス基板を押圧して、一対のガラス基板を封着材によって封着する。これによって、一対のガラス基板の間に減圧雰囲気を封じ込めた封着室を有する封着容器が完成する。
【特許文献1】特開平10−50241号公報
【特許文献2】特開2002−270122号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、減圧室内において、一方のガラス基板に設けた封着材の上に他方のガラス基板を載置しているため、封着する前であっても、各ガラス基板と封着材との間に形成される隙間が少ない。この状態で減圧室を減圧しても、封着室の雰囲気を減圧するのに時間が掛かると共に、減圧室の気圧まで封着室の気圧を減圧することができていないといった問題があった。
【0006】
本発明は、上述した課題を解決するために創案されたものであり、迅速に且つ確実に封着室を減圧することが可能な封着容器の製造方法を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1記載の発明は、対向する一対の基板を封着材によって封着し、前記一対の基板間の封着室に減圧雰囲気を封じ込めた封着容器の製造方法において、一方の基板を支持部材によって支持して前記一対の基板間に隙間を形成した状態で減圧室に設置する第1工程と、前記減圧室内の雰囲気を減圧する第2工程と、前記一対の基板を互いに近づく方向に押圧することによって、前記封着材を介して、前記一対の基板を封着する第3工程とを備えたことを特徴とする封着容器の製造方法である。
【0008】
また、請求項2の発明は、前記第3工程の後、前記支持部材による前記一方の基板の支持を解除する第4工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載の封着容器の製造方法である。
【0009】
また、請求項3の発明は、前記支持部材は、前記封着室の外部に設けられ、前記第3工程の後、前記支持部材を取り外す第5工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載の封着容器の製造方法である。
【0010】
また、請求項4の発明は、前記第1工程では、前記一対の基板に設けられた位置決め穴に位置決め棒を挿通させることによって、前記一対の基板の位置決めを行っていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の封着容器の製造方法である。
【0011】
また、請求項5の発明は、前記支持部材は、弾性体によって構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の封着容器の製造方法である。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、第1工程において支持部材により封着室に隙間を形成し、この状態で第2工程において減圧室内の雰囲気を減圧するので、封着室の隙間から封着室内の雰囲気を容易に排気することができる。これによって、封着室内を迅速に且つ確実に減圧することができる。
【0013】
また、第4工程において、支持基板による一方の基板の支持を解除することによって、封着後に、支持基板によって封着材と基板が剥離することによるリークを抑制することができる。
【0014】
また、第5工程において、支持部材を取り外すことによって、封着後に、支持基板によって封着材と基板が剥離することによるリークを抑制することができると共に、軽量化を実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して本発明の一実施形態を説明する。図1は、本発明による封着容器を備えた撮像装置の断面構造を示す。図2は、撮像装置の平面図である。図3は、撮像部の拡大断面図である。尚、図1は、図2におけるI−I線に沿った断面図である。
【0016】
図1に示すように、撮像装置1は、封着容器2と、撮像部3とを備えている。
【0017】
図1に示すように、封着容器2は、底板11と、スペーサ12と、封着材13と、カソード基板14と、スペーサ15と、段付リング16と、封着材17と、アノード基板18とを備えている。尚、底板11及びアノード基板18が請求項に記載の一対の基板に相当する。
【0018】
底板11は、ガラス基板等からなるものであって、図2に示すように、平面視にて、一辺の長さがアノード基板18の直径よりも少し小さい正方形状に形成されている。底板11とカソード基板14の間に、Tiまたはバリウム等からなるゲッタ膜21が設けられるゲッタ室22が形成されている。底板11の外周部の上面には、ゲッタ室22を囲むようにガラス等からなるリング状のスペーサ12がガラスフリットによって接着されている。また、スペーサ12の上面には、同じリング形状のIn、ゴムまたはガラスフリット等からなる封着材13が設けられている。
【0019】
カソード基板14は、ガラス基板等からなり封着材13の上面に封着されている。カソード基板14は、図2に示すように、底板11よりも大きい正方形状に形成されている。カソード基板14とアノード基板18との間に、撮像部3が設けられる撮像室23が形成されている。尚、ゲッタ室22及び撮像室23が、請求項に記載の封着室に相当する。
【0020】
カソード基板14の外周部の上面には、撮像室23を囲むようにガラス製のリング状のスペーサ15がガラスフリットによって接着されている。また、スペーサ15の上面には、同じリング形状の段付リング16が設けられると共に、段付リング16の上面にはIn、ゴムまたはガラスフリット等からなる封着材17が設けられている。カソード基板14のスペーサ15の内側の部分に後述する一対のバネ63が挿通される一対の貫通穴14aが形成されている。カソード基板14の下面には、ゲッタ膜21が形成されるゲッタ台24が設けられている。尚、図1においてゲッタ台24は、便宜上バネ63と重なる用に記載しているが、実際はゲッタ台24とバネ63は周方向において異なる位置に設けられている。
【0021】
アノード基板18は、ガラス基板等からなり封着材17の上面に封着されている。アノード基板18は、図2に示すように、例えば、約26mmの直径を有する円板形状をしている。
【0022】
図1に示すように、撮像部3は、カソード基板14の上面に形成された電子放出部41と、アノード基板18の下面に形成された受光部42と、電子放出部41と受光部42の間に設けられたメッシュリング43とを備えている。
【0023】
図3に示すように、電子放出部41は、Crからなりカソード基板14上に形成された線状の複数のカソード電極45と、カソード電極45上に形成され半導体からなる複数の電子放出源46と、各電子放出源46を絶縁するための絶縁膜47と、絶縁膜47上に形成されたCrからなる複数の線状で且つ電子放出源46に対応する位置が開口されたゲート電極48とを備えている。
【0024】
受光部42は、アノード基板18の下面を覆うように形成された平面状のアノード電極49と、アノード電極49の下面を覆うように形成された平面状の光電変換膜50とを備えている。アノード電極49は、ITO等の光を透過可能な透明電極からなる。光電変換膜50は、a−Se(アモルファスセレン)等の入射した光を電荷に変換可能な材料からなる。
【0025】
メッシュリング43は、電子放出源46から放出された電子であって受光部42に吸収されずノイズになる電子を吸収するためのものである。メッシュリング43は、NiとCuの合金等からなり、例えば、直径20mm及び厚み10.5mmを有する。メッシュリング43は、段付リング16に支持されるリング部43aと、リング部43aの内側に形成された網目状のメッシュ部43bとを備えている。尚、メッシュ部43bには、一対のバネ63が挿通可能に構成されている。
【0026】
この撮像装置1によって撮像する際には、カソード電極45とゲート電極48との間に電圧(例えば、40V)が印加されると共に、カソード電極45とアノード電極49との間に電圧(例えば、1000V)が印加される。また、カソード電極45とメッシュリング43との間にも電圧(例えば、300V〜500V)が印加される。このように、カソード電極45とゲート電極48との間に電圧が印加されているので、電子放出部41では、電子放出源46から電子が放出されて、この電子がアノード電極49からによる引力によって光電変換膜50へと向かう。
【0027】
一方、アノード基板18側から光が入射すると、アノード基板18及びアノード電極49を透過して光電変換膜50に入射し、光が電荷に変換される。そして、光が変換された電荷が存在する光電変換膜50の領域に入射した電子は電気信号として外部に出力されるが、電荷が存在しない光電変換膜50の領域に向かった電子は光電変換膜50に入射せずに、メッシュリング43に吸収される。この結果、アノード基板18から撮像装置1に入射した像が電気信号に変換されて出力される。
【0028】
次に上述した封着容器の製造方法について図面を参照して説明する。
【0029】
図4〜図6は、封着容器の製造方法の各工程における封着容器の断面図である。
【0030】
まず、図4に示すように、底板11上にスペーサ12及び封着材13を形成する。尚、底板11の上面の所定の位置には、ゲッタ材21aが形成されている。その後、スペーサ15、段付リング16、封着材17、電子放出部41及びゲッタ台24が設けられたカソード基板14を、封着材13を介して底板11上に封着する。ここで、カソード基板14の下面には、仮止め棒61がはんだ等からなる接着剤62によって接着されている。また、仮止め棒61の両端部には、一対のバネ63が設けられている。尚、バネ63が、請求項の支持部材に相当する。
【0031】
次に、図5に示すように、受光部42が形成されたアノード基板18を一対のバネ63上に載置する。尚、ここまでの工程は、大気中で行うことができるが、減圧雰囲気中で行ってもよい。その後、この状態で、減圧室内に搬送して設置する(第1工程)。
【0032】
次に、減圧室内を減圧することによって、ゲッタ室22及び撮像室23を減圧する(第2工程)。ここで、本製造方法では、アノード基板18を一対のバネ63によって支持しているので、アノード基板18と封着材17との間に隙間Gが形成されている。これによって、減圧室を減圧した際に、ゲッタ室22及び撮像室23を迅速に且つ確実に減圧室と同じ気圧まで減圧することができる。
【0033】
次に、図6に示すように、バネ63の付勢力に逆らってアノード基板18を底板11側へと押圧することによって、アノード基板18を封着材17によって封着する(第3工程)。その後、レーザ照射によってゲッタ材21aを蒸発させてゲッタ膜21を形成する。これによって、撮像室23及びゲッタ室22内の酸素や水素などを化学反応によってゲッタ膜21に吸着させて真空度を向上させる。
【0034】
最後に、仮止め棒61をカソード基板14の下面に接着している接着剤62をレーザ照射することによって、図1に示すように、仮止め棒61をカソード基板14の下面から取り外して、バネ63によるアノード基板18の支持を解除する(第4工程)。尚、レーザ照射する際には、熱に弱い光電変換膜50を保護するために、アノード基板18を冷却することが望ましい。これによって、封着容器2が完成する。
【0035】
本実施形態による封着容器の製造方法では、減圧室内でゲッタ室22及び撮像室23を減圧する際に、一対のバネ63によってアノード基板18と封着材17との間に隙間Gを形成しているので、減圧室を減圧した際に、隙間Gによってゲッタ室22及び撮像室23を迅速に且つ確実に減圧室と同じ気圧まで減圧することができる。
【0036】
また、封着容器2を封着した後、カソード基板14の下面からバネ63と共に仮止め棒61を取り外しているので、封着容器2の完成後にバネ63による付勢力がアノード基板18に作用しない。これにより、バネ63の付勢力によってアノード基板18が封着材17から剥離することを防ぐことができる。
【0037】
(第2実施形態)
次に、上述した封着容器の製造方法を一部変更した封着容器の製造方法について図面を参照して説明する。図7〜図8は、封着容器の製造方法の各工程における封着容器の断面図である。尚、上述の第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付けて説明を省略する。
【0038】
まず、図7に示すように、スペーサ15〜封着材17が設けられたカソード基板14を、スペーサ12及び封着材13を介して底板11に封着する。ここでカソード基板14のスペーサ15の近傍の領域には、一対のバネ63が固定されている。その後、アノード基板18をバネ63上に載置して、減圧室に搬送する。そして、減圧室を減圧することによって、ゲッタ室22及び撮像室23を減圧する。尚、ゲッタ室22と撮像室23との間には、貫通孔71が形成されているので、ゲッタ室22と撮像室23を同じ気圧に保つことができる。
【0039】
次に、図8に示すように、アノード基板18をバネ63の付勢力に逆らって底板11の方向に押圧することによって、封着材17を介してアノード基板18を封着する。その後、ゲッタ材21aをレーザ照射してゲッタ膜21を形成することによって、封着容器2A及び撮像装置1Aが完成する。
【0040】
このように撮像装置1Aの封着容器2Aは、ゲッタ室22及び撮像室23を減圧する際に、アノード基板18をバネ63によって支持しているので、アノード基板18と封着材17との間に隙間Gを形成することができる。これによって、ゲッタ室22及び撮像室23を迅速に且つ確実に減圧室と同じ気圧に減圧することができる。
【0041】
(第3実施形態)
次に、上述した封着容器の製造方法を一部変更した封着容器の製造方法について図面を参照して説明する。図9〜図10は、封着容器の製造方法の各工程における封着容器の断面図である。尚、上述の第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付けて説明を省略する。
【0042】
まず、図9に示すように、カソード基板14上にスペーサ15〜封着材17を介してアノード基板18を封着する。ここでカソード基板14の電子放出部41の外周部側には、一対の貫通穴14aが形成されている。そして、その貫通穴14aには、接着剤62によってカソード基板14に接着された仮止め棒61に取り付けられたバネ63が挿通されている。尚、仮止め棒61は、貫通穴14aを塞ぐことなく、一部のみを覆うように構成されている。その後、封着性を向上させるために、スペーサ15〜封着材17の外周部を覆うようにエポキシ樹脂等からなる補強材72を形成する。
【0043】
次に、スペーサ12及び封着材13が外周部に設けられた底板11を準備する。その後、封着面の汚染物などを除去して封着性を向上させるために、封着材13と接するカソード基板14の下面の部分と封着材13の上面とを有機溶剤またはフッ酸等で洗浄する。そして、底板11の上方にカソード基板14及びアノード基板18を配置する。
【0044】
ここで、カソード基板14は、バネ63によって支持されているので、カソード基板14と封着材13との間には隙間Gが形成される。次に、図9に示す状態で、減圧室に搬送した後、減圧室を減圧することによって、ゲッタ室22及び撮像室23を減圧する。
【0045】
次に、図10に示すように、底板11とアノード基板18とが近づく方に押圧力を作用させて、カソード基板14と封着材13とを封着する。その後、ゲッタ材21aをレーザ照射によって蒸発させてゲッタ膜21を形成する。更に、レーザ照射によって接着剤62を溶融させて仮止め棒61をカソード基板14から取り外す。これによって、封着容器2B及び撮像装置1Bが完成する。
【0046】
本実施形態による封着容器の製造方法では、バネ63によって減圧時にカソード基板14と封着材13との間に隙間Gを形成すると共に、完成時にはバネ63の支持を解除しているので、上述した第1実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0047】
また、アノード基板とカソード基板とを最後に封着する場合、アノード基板とカソード基板とを減圧室で封着しなければならないが、この場合、アノード基板とカソード基板との間に補強材を設けることは困難である。このため、受光部等の電子部品が形成されているために、有機溶剤やフッ酸等によって洗浄することができないアノード基板の表面に汚染物が残ることに起因するアノード基板と封着材との間のリークを防止できず、封着性が劣化する。
【0048】
一方、本実施形態のように、底板11を減圧室で最後に封着することによって、アノード基板18とカソード基板14とを大気中で封着することができる。これによって、減圧室に搬送する前に、スペーサ15〜封着材17の外周部に大気中で補強材72を容易に設けることができるので、カソード基板14とアノード基板18との間のリークを防止して、封着性を向上させることができる。
【0049】
(第4実施形態)
次に、上述した封着容器の製造方法を一部変更した封着容器の製造方法について図面を参照して説明する。図11〜図12は、封着容器の製造方法の各工程における封着容器の断面図である。尚、上述の第1実施形態と同じ構成には同じ符号を付けて説明を省略する。
【0050】
図11に示すように、カソード基板14上にスペーサ15〜封着材17を介してアノード基板18を封着する。その後、封着性を向上させるために、スペーサ15〜封着材17の外周部を覆うように樹脂製の補強材72を形成する。
【0051】
次に、底板11のカソード基板14を配置する。ここで、底板11とカソード基板14との間であって、スペーサ12及び封着材13の外周部側には、一対のバネ63が設けられており、このバネ63によってカソード基板14が支持されているので、カソード基板14と封着材13との間には、隙間Gが形成される。次に、図11に示す状態で、減圧室に搬送した後、減圧室を減圧することによって、ゲッタ室22及び撮像室23を減圧する。
【0052】
次に、図12に示すように、底板11とアノード基板18とが近づく方向に押圧力を作用させて、カソード基板14と封着材13とを封着する。その後、ゲッタ材21aをレーザ照射によって蒸発させてゲッタ膜21を形成する。最後に、封着容器2Cを減圧室から取り出して、バネ63を取り外す(第5工程)。これによって、封着容器2C及び撮像装置1Cが完成する。
【0053】
このように、本実施形態では、バネ63によって減圧時にカソード基板14と封着材13との間に隙間Gを形成すると共に、完成時にはバネ63の固定を解除し、更に、底板11を減圧室で封着しているので、第3実施形態と同様の効果を奏することができる。
【0054】
また、本実施形態では、バネ63をスペーサ12及び封着材13の外部に設けることによって、完成時にバネ63を取り外すことができるので、撮像装置1Cの軽量化を実現すると共に、バネ63が撮像時に障害となることを防止できる。
【0055】
以上、上記実施形態を用いて本発明を詳細に説明したが、本発明が本明細書中に説明した実施形態に限定されるものではないということは明らかである。本発明は、特許請求の範囲の記載により定まる本発明の趣旨及び範囲内で変更して実施することができる。即ち、本明細書の記載は、一例であり、本発明を何ら限定的な意味に解釈させるものではない。以下、上記実施形態を一部変更した変更形態について説明する。
【0056】
底板11、カソード基板14及びアノード基板18の位置決め用の部材を封着容器の製造工程で使用してもよい。例えば、第1実施形態の図13に示す工程において、図13に示すよう、位置決め穴11a、14b、18aを底板11、カソード基板14及びアノード基板18に形成し、位置決め穴11a、14b、18aに位置決め棒73を挿通させることによって底板11、カソード基板14及びアノード基板18の位置決めを行ってもよい。
【0057】
また、上述の各実施形態では、バネ63を一対設けたが、バネの数は一対に限定されるものではなく、適宜変更可能である。また、バネ以外の弾性体や他の非弾性体からなる支持部材によって底板11、カソード基板14及びアノード基板18を支持して隙間Gを形成するように構成してもよい。
【0058】
また、上述の第1、第3及び第4実施形態では、レーザ照射によってバネ63によるアノード基板18または底板11の支持を解除していたが、別の方法によって支持を解除してもよい。例えば、撮像部3が破損しない程度に撮像装置を振動させて、仮止め棒61とカソード基板14とを分離させることによって、バネ63による支持を解除してもよい。
【0059】
また、上述した実施形態では、ゲッタ室22を有する封着容器2〜2Cについて説明したが、ゲッタ室22は適宜省略可能である。このように構成する場合、ゲッタ膜21を省略してもよいが、撮像室23にゲッタ膜21を形成してもよい。
【0060】
また、上述した実施形態では、本発明を撮像装置の封着容器の製造方法に適用する例を示したが、本発明は他の装置の封着容器、例えば、FED(電界放出ディスプレイ)の封着容器に適用してもよい。
【0061】
また、上述の実施形態では、バネ63とゲッタ材21aを別の構成としたが、ゲッタ材を構成することが可能なTi等によってバネを構成してもよい。これによって、封着後にバネをレーザ照射することによって、バネによってゲッタ膜を形成しつつ、バネによる基板の支持を解除することができる。
【0062】
また、上述の実施形態では、平面視にて、アノード基板18を円形状に形成したが、矩形状等の他の形状に形成してもよい。尚、この場合には、アノード基板の形状に合わせて、カソード基板、底板、スペーサ及び封着材等の形状を適宜変更してもよい。
【図面の簡単な説明】
【0063】
【図1】本発明による封着容器を備えた撮像装置の断面構造を示す。
【図2】撮像装置の平面図である。
【図3】撮像部の拡大断面図である。
【図4】第1実施形態による封着容器の製造方法の各工程における封着容器の断面図である。
【図5】第1実施形態による封着容器の製造方法の各工程における封着容器の断面図である。
【図6】第1実施形態による封着容器の製造方法の各工程における封着容器の断面図である。
【図7】第2実施形態による封着容器の製造方法の各工程における封着容器の断面図である。
【図8】第2実施形態による封着容器の製造方法の各工程における封着容器の断面図である。
【図9】第3実施形態による封着容器の製造方法の各工程における封着容器の断面図である。
【図10】第3実施形態による封着容器の製造方法の各工程における封着容器の断面図である。
【図11】第4実施形態による封着容器の製造方法の各工程における封着容器の断面図である。
【図12】第4実施形態による封着容器の製造方法の各工程における封着容器の断面図である。
【図13】変更形態による封着容器の製造方法における各基板の位置決め方法の封着容器の断面図である。
【符号の説明】
【0064】
1、1A、1B、1C 撮像装置
2、2A、2B、2C 封着容器
3 撮像部
11 底板
12 スペーサ
13 封着材
14 カソード基板
15 スペーサ
17 封着材
18 アノード基板
21 ゲッタ膜
22 ゲッタ室
23 撮像室
41 電子放出部
42 受光部
45 カソード電極
46 電子放出源
47 絶縁膜
48 ゲート電極
49 アノード電極
50 光電変換膜
61 仮止め棒
62 接着剤
63 バネ
72 補強材
隙間 G




【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の基板を封着材によって封着し、前記一対の基板間の封着室に減圧雰囲気を封じ込めた封着容器の製造方法において、
一方の基板を支持部材によって支持して前記一対の基板間に隙間を形成した状態で減圧室に設置する第1工程と、
前記減圧室内の雰囲気を減圧する第2工程と、
前記一対の基板を互いに近づく方向に押圧することによって、前記封着材を介して、前記一対の基板を封着する第3工程とを備えたことを特徴とする封着容器の製造方法。
【請求項2】
前記第3工程の後、
前記支持部材による前記一方の基板の支持を解除する第4工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載の封着容器の製造方法。
【請求項3】
前記支持部材は、前記封着室の外部に設けられ、
前記第3工程の後、
前記支持部材を取り外す第5工程を備えたことを特徴とする請求項1に記載の封着容器の製造方法。
【請求項4】
前記第1工程では、前記一対の基板に設けられた位置決め穴に位置決め棒を挿通させることによって、前記一対の基板の位置決めを行っていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の封着容器の製造方法。
【請求項5】
前記支持部材は、弾性体によって構成されていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の封着容器の製造方法。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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