説明

導光体、照明ユニットおよび画像読取用照明装置

【課題】照明深度が大きくかつ副走査方向の照明幅が広く、高照度の照明を実現できる導光体、照明ユニットおよび画像読取用照明装置を提供する。
【解決手段】導光体LG1,LG2は、軸線方向に平行な複数の側面を有する柱状透明部材からなり、光源からの光が入射する光入射面11と、光入射面11の両側にそれぞれ配置された下面12および上面13と、下面12との内角が鈍角となるように形成された蹴り上げ面14と、上面13と蹴り上げ面14との間に配置され、内部反射した光を外部へ射出する光射出面15を少なくとも備え、光入射面11にはLEDアレイ18が配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、印刷物やブック原稿などの読取対象物に対して線状照明を行うための導光体に関する。また本発明は、該導光体を用いた照明ユニット、および該照明ユニットを用いた画像読取用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
下記特許文献1では、扇板状の導光体を用いて、基板に固定した光源からの光を回転指針へ供給するための照明装置が開示されている。下記特許文献2では、基板に固定した複数の光源に対応して、複数の凸面および凹面が組み込まれた導光部材を備えた画像読取用導光ユニットが開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平6−331394号公報
【特許文献2】特開2001−77975号公報
【特許文献3】特開平11−8742号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像読取装置において、例えば、ブック原稿や皺のある紙幣など、表面に凸凹のある読取対象物の画像を鮮明に結像できる大きな焦点深度を有する読取光学系を採用した場合、照明深度の大きな照明装置が必要である。凹凸のある原稿を読み込む際に、照明深度方向に照度分布があると、読込画像に明るさ変動が発生するためである。
【0005】
副走査方向に幅の広い原稿読取光学系とは、例えば、特開平11−8742号公報のように折り曲げミラーや凹面鏡を用いた光学系を想定している。このような読取光学系では、副走査方向の幅が大きくなるので、特許文献2のような読取光学系の光軸方向に長い照明光学系を読み取り光学系の副走査方向の横に置くことができない。また、照明光学系に厚みがあるため、読取光学系とカバーガラスの間のスペースに設置することはできない。
【0006】
本発明の目的は、照明深度が大きくかつ副走査方向の照明幅が広く、高照度の照明を実現できる導光体、照明ユニットおよび画像読取用照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本発明に係る導光体は、軸線方向に平行な複数の側面を有する柱状透明部材からなり、
光源からの光が入射する第1側面と、
第1側面の両側にそれぞれ配置された第2側面および第3側面と、
第2側面との内角が鈍角となるように形成された第4側面と、
第3側面と第4側面との間に配置され、内部反射した光を外部へ射出する第5側面と、を備え、
第2側面および第3側面は、第1側面から離れるほど互いの間隔が増加するように形成され、
第1側面から入射した光源からの光を第4側面で反射させて第5側面から外部へ射出するとともに、第1側面から入射した光源からの光を第2側面、第3側面および第4側面で反射させて第5側面から外部へ射出することを特徴とする。
【0008】
また本発明に係る照明ユニットは、上記の導光体と、
導光体の第1側面に、軸線方向に沿って設けられたLEDアレイと、を備えることを特徴とする。
【0009】
また本発明に係る画像読取用照明装置は、上記の照明ユニットが、読取対象物からの光を結像する読取光学系の光軸に関してそれぞれ両側に配置されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、線状照明を行う導光体の薄型化が図られるため、照明装置の省スペース化が可能である。また、こうした導光体の第1側面にLEDアレイを設けた照明ユニットは、均一でかつ明るい線状照明を実現できる。さらに、こうした照明ユニットを読取光学系の光軸に関してそれぞれ両側に配置することによって、照明深度が大きく、副走査方向にも一様な強度分布を持つ線状照明が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について、図を参照しながら以下に説明する。尚、各図において、同一又は同様の構成部分については同じ符号を付している。
【0012】
実施の形態1.
図1は、本発明に係る照明装置を備えた画像読取装置の構成を示す斜視図であり、図2はその正面図である。画像読取装置は、印刷物などの読取対象物OBJを一定方向に移動するための搬送機構6と、透明なカバーガラス2と、対象物OBJの表面に線状照明を行う導光体LG1,LG2を含む照明装置と、対象物OBJからの光を、CCD等のラインセンサ40に結像するための読取光学系30などで構成される。
【0013】
ここで、理解容易のため、ラインセンサ40の電気的走査により対象物OBJを走査する主走査方向をxとし、読取対象物OBJが移動する副走査方向をyとし、x方向およびy方向に垂直な方向をzとする。
【0014】
搬送機構6は、x方向と平行な回転軸を有するドラムとして構成され、対象物OBJをドラム側面に装着した状態で回転することにより、y方向の副走査を行う。なお、本実施形態では、対象物OBJのドラム搬送を例示しているが、対象物OBJを固定した状態で、画像読取装置が移動して原稿走査を行う構成でもよく、逆に、画像読取装置を固定した状態で、対象物OBJが移動して原稿走査を行う構成でもよい。
【0015】
カバーガラス2は、平坦な透明ガラス板で構成されており、対象物OBJおよび搬送機構6が配置される空間と照明装置および読取光学系30が配置される空間とを分離して、光透過のみを許容しつつ、塵埃の侵入を防止するために設けられる。
【0016】
読取光学系30は、対象物OBJからラインセンサ40へ向かう光路に沿って順次配置された平面ミラー31,32、結像レンズ33、平面ミラー34,35を備える。本実施形態では、対象物OBJから平面ミラー31までの光路および平面ミラー35からラインセンサ40までの光路をz方向と平行になるように設定し、複数の折り曲げミラーを使用することにより読取光学系30の小型化、薄型化を図っている。
【0017】
照明装置は、カバーガラス2と読取光学系30との間に設置され、カバーガラス2の上方に位置決めされた対象物OBJに光を照射して、対象物OBJの表面にx方向に沿った線状照明を行う。
【0018】
図3(a)は、導光体LG1,LG2の一例を示す正面図であり、図3(b)はその平面図であり、図4はその斜視図である。導光体LG1,LG2は、軸線方向に平行な複数の側面を有する柱状透明部材からなり、光源からの光が入射する光入射面11(第1側面)と、光入射面11の両側にそれぞれ配置された下面12(第2側面)および上面13(第3側面)と、下面12との内角が鈍角、即ち、90°より大きく180°より小さくなるように形成された蹴り上げ面14(第4側面)と、上面13と蹴り上げ面14との間に配置され、内部反射した光を外部へ射出する光射出面15(第5側面)を少なくとも備える。ここでは、導光体LG1,LG2が5つの側面を有する場合を例示するが、6つ以上の側面を有していても構わない。
【0019】
光入射面11には、複数のLED(発光ダイオード)チップからなるLEDアレイ18が導光体の軸線方向、即ち、x方向に沿って配置され、単一の照明ユニットを構成している。
【0020】
また、導光体LG1,LG2を構成する柱状透明部材の底面16の一方または両方には、軸線方向に平行な平面を持つ突起部17を設けることが好ましい。これにより画像読取装置のフレームに設けた基準面と突起部17の平面との位置合わせが容易になり、導光体LG1,LG2を高精度かつ安定に位置決めすることができる。また、突起部17による支持構造により、導光体の各側面と接触する部材が省略できるため、光の漏れや光損失を防止できる。突起部17は、軸線方向に平行な平面を有する形状であれば、どのような形状でもよい。
【0021】
次に、導光体の機能について説明する。図3に示すように、LEDアレイ18から放射された光が光入射面11に入射すると、入射光の一部はy方向に直進して、蹴り上げ面14によって上方へ反射されるが、入射光の大部分は導光体の下面12および上面13で全反射を繰り返しながら均一に混合され、そして、蹴り上げ面14によって上方へ反射される。蹴り上げ面14で反射した光は、光射出面15から外部へ取り出され、対象物OBJの表面において、x方向に沿って均一な照度分布を示し、高い照度を持つ線状照明エリアを形成する。
【0022】
蹴り上げ面14は、ミラー面として構成されており、できる限り多くの光が光射出面15から射出されるように角度を調整している。本実施形態では、光射出面15がx方向およびy方向に対して平行となるように形成しているが、x方向に平行かつy方向に対して斜めとなるように形成してもよい。
【0023】
導光体は、光入射面11から光射出面15へ向かうにつれて肉厚が増加する構成、即ち、下面12および上面13が光入射面11から離れるほど互いの間隔が増加するように、光進行方向に開いたテーパー状に形成することが好ましい。これにより下面12および上面13に対する光の入射角が鈍角になるため、導光体内部での全反射が促され、光射出面15へ向かう光量が増加し、その結果、光射出面15からの光強度が増加する。
【0024】
導光体LG1,LG2のx方向寸法は、読取光学系30の読み取り幅に応じて、例えば、130mm〜150mmに設定される。また、導光体LG1,LG2のy方向寸法は、LEDアレイ18からの光の混合の程度および読取光学系30のy方向寸法に応じて、例えば、25mm〜35mmにそれぞれ設定される。導光体LG1,LG2のz方向寸法は、カバーガラス2と読取光学系30との間隔に応じて、例えば、2mm〜5mmに設定される。光入射面11のz方向寸法は、LEDアレイ18の寸法を考慮して、好ましくは2mm〜5mmに設定され、より好ましくは3mm〜4mmに設定される。
【0025】
導光体LG1,LG2の材料は、透明材料、例えば、アクリル樹脂、ポリカーボネイト樹脂等の合成樹脂材や、ガラス材料であってもよい。導光体の材料としてアクリル樹脂等の合成樹脂を選択した場合、金型成型による量産化に有利である。一方、導光体の材料としてガラス材料を選択した場合、アクリル樹脂と比べて融点が高いため、LEDアレイ18の許容温度の上限を高く設定できる点で有利である。
【0026】
導光体LG1,LG2を含む2つの照明ユニットは、各光射出面15が読取光学系30の光軸に近接するように、読取光学系30の光軸に関してそれぞれ両側に配置することが好ましい。これによって照明深度が大きく、副走査方向の照明幅が広く、高い照度の線状照明を実現することができる。
【0027】
単一の照明ユニットだけを使用した場合、対象物OBJの位置がz方向に変化すると、照度分布のピークがy方向に移動していくとともに、照度のピークも減少していく。そのため、単一の照明ユニットだけでは照明深度が小さくなる。そこで、2つの照明ユニットを向かい合わせて配置し、導光体LG1,LG2の間隔、蹴り上げ面17の角度、射出光の角度を調整して、光射出面15からの照射角は、z方向に対してできる限り平行になるように設定することが好ましい。
【0028】
z方向に対する各照明ユニットの照射角は、0°〜30°が好ましく、より好ましくは0°〜20°であり、さらに好ましくは5°〜10°である。このとき、各照明ユニットから射出される光の照射方向は、読取光学系30の光軸に関して対称であることが好ましく、これにより均一な照度分布を有する線状照明が得られる。
【0029】
本実施形態では、対象物OBJの位置がz方向に変化すると、導光体LG1,LG2の照度分布のピークがy方向に移動し、照度のピークも減少することを利用して、各導光体の照度分布を重ね合わせた状態で、対象物OBJのz方向変位が生じても、対象物OBJの表面での照度分布が一定であるように設定している。
【0030】
図5は、カバーガラス2から対象物OBJまでの距離dが変化したときの様子を示す説明図である。図6(a)〜図6(b)は、距離変化に対応した対象物表面での照度分布を示すグラフである。導光体LG1,LG2を間隔2mmで向かい合わせて配置した状態で、距離dがそれぞれ0mm(密着),4mm,8mmと変化すると、導光体LG1,LG2による照度分布が変化する。
【0031】
d=0mmのとき、図6(a)に示すように、導光体LG1の照度分布(実線)および導光体LG2の照度分布(点線)のピークは比較的高いが、両者の分離度も高く、合成した照度分布(太い実線)は、上に凸の放物線状のカーブになる。d=4mmのとき、図6(b)に示すように、各導光体LG1,LG2の照度分布のピークは図6(a)よりも低下するが、両者の分離度も低くなるため、合成した照度分布は、図6(a)と同様なカーブが得られる。d=8mmのとき、図6(c)に示すように、各導光体LG1,LG2の照度分布のピークは図6(b)よりも低下するが、両者の分離度もより低くなるため、合成した照度分布は、図6(a)と同様なカーブが得られる。
【0032】
このように各導光体LG1,LG2の照度分布を、読取光学系の光軸に関して対称に設定することにより、距離dの変化による照度分布の変化が少なく、照明深度が大きい線状照明を実現できることが判る。
【0033】
図7(b)は、合成照度分布のx方向変化を示すグラフである。導光体LG1,LG2では、LEDアレイ18からの光が充分に混合されて射出しているため、主走査方向に平坦な照度分布が得られていることが判る。
【0034】
図7(c)は、合成照度分布のy方向変化を示すグラフである。各導光体LG1,LG2の照度分布を、読取光学系の光軸に関して対称に設定しているため、合成照度分布も読取光学系の光軸に関して対称になることが判る。
【0035】
図7(d)は、合成照度分布のピークのz方向変化を示すグラフである。合成照度分布ピークは、d=0mmを基準として、d=8mmのときでも15%程度の減少に抑制できていることが判る。従って、対象物OBJの表面に凹凸が生じていても、均一な照度分布で照明することが可能になり、その結果、読み取り画像の濃度変動を防止できる。
【0036】
また、導光体LG1,LG2の間隔が狭いほど、図8に示すように、対象物への入射角が垂直に近くなり、距離dの変化による照度変化が少なくなる。しかし、入射角が完全に垂直になると、導光体が読取光学系の光軸と交差してしまう。そのため、導光体LG1,LG2の間隔は、読取光学系の視野を妨げないようにできる限り小さく設定することが好ましく、例えば、2mm程度に設定することが好ましい。
【0037】
実施の形態2.
図9は、光射出面15の寸法の最適化に関する説明図である。光射出面15からの射出角について、図9に示すように、読取光学系の光軸に最も近い位置での射出角をθ、読取光学系の光軸に最も遠い位置での射出角をθと定義し、読取光学系の読取限界深度をh、対象物の読取位置のy方向幅をRとすると、光射出面15のy方向幅幅rは、次の式を満たすときが最も良い条件である。
【0038】
【数1】

【0039】
ただし、rは、光射出面15の読取位置の中心軸から最も遠い位置から射出される光と同位置から原稿面に垂直に降ろした線と原稿面で出来る三角形の原稿面と重なっている線分、Rは、射出口の読取位置の中心軸から最も近い位置から射出される光とその光が対象物に到達した位置から主、副走査面に垂直に降ろした線と主、副走査面で出来る三角形の主、副走査面上で切り取られている線分である。
【0040】
この条件(1)は、次の式に書き直すことができる。
【0041】
【数2】

【0042】
しかし、実際には、導光体LG1,LG2の作製精度や光学部品の取り付け精度などを考慮すると、次の式を満たしている必要がある。
【0043】
【数3】

【0044】
こうして上記の式(3)を満たすように、光射出面15のy方向寸法rを設定することにより、照明対象位置に対して適切な面積に光を集めて、照度を上げることができる。
【0045】
また、図16のように導光体から射出され照明される原稿面の副走査方向の幅をRとすると、Rは次の式を満たす必要がある。
【0046】
【数4】

【0047】
この式の等号が成立したとき、照明領域と読取領域が一致し、照明強度は最大となる。また、読取装置の深度方向の読み取り範囲、つまり最小読取深度hから最大読取深度hの間において、副走査方向の読取領域Rに照明を行うための光射出角φ、φは導光体の間隔をdとすると、次の条件を満たしている必要がある。ここで読取装置の深度方向の読み取り範囲をカバーガラスの表面位置からΔh上方までの範囲とすると、最小読取深度hとはカバーガラスの表面の位置を指し、最大読み取り深度hはh=h+Δhを指す。
【0048】
φは最大読取深度hの位置で読取領域Rのより広い範囲に照明光が到達している必要がある。しかし、照明装置の光射出口を読取領域Rよりも副走査方向に対してあえて内側に設置する必要はないのでφは90°以下にすることが望ましい。それを表しているのが式(5)である。
【0049】
φの場合は、両側から対称に照明することを考えると、最小読取深度hの位置で照明光が読取領域Rの中心よりも広い領域に到達している必要がある。そうでないと中心部に照明の当たらない領域が発生するからである。それを表しているのが式(6)の右側の不等号である。また、最小読取深度hの位置で照明光が読取領域Rを超える必要はない。すなわち、図16において、導光体の端部から角度φで出射する光線のhでの到達点は点Qよりも左側にあれば良い。それを表しているのが式(6)の左側の不等号である。
【0050】
【数5】

【0051】
本実施の形態においてh=10mm、h=3mm、R=2mm、r=5mm、d=2mm程度である。これらの値より計算すると、下記の範囲内である。
【0052】
【数6】

【0053】
実施の形態3.
図10は、本発明に係る導光体の他の例を示す正面図である。導光体の下面12および蹴り上げ面14に、Au,Ag,Al等の金属材料からなる金属反射層21を形成している。これによりLEDアレイ18からの光を光射出面15へ効率的に伝達できるとともに、導光体の下方に配置された読取光学系への迷光侵入を防止することができる。
【0054】
さらに、下面12および蹴り上げ面14に設けた金属反射層21の外面に、黒色塗料などの光吸収層22を形成している。これにより導光体の下方に配置された読取光学系で発生した迷光が導光体に侵入したり、あるいは導光体で反射し再び読取光学系へ侵入するような現象を防止でき、その結果、読取光学系のS/N比を向上させることができる。
【0055】
実施の形態4.
図11は、本発明に係る導光体のさらに他の例を示す正面図である。光入射面11および光射出面15の何れか一方または両方に、シリンドリカルレンズ群からなるレンチキュラーレンズ23を設置することによって、光を拡散させることが可能になる。その結果、導光体全体のy方向寸法を短くすることが可能になり、対象物OBJの表面における照度分布をx方向およびy方向に渡って一様にすることが可能になる。
【0056】
図12は、本発明に係る導光体のさらに他の例を示す正面図である。下面12および上面13は、光進行方向に開いたテーパー状に形成するとともに、下面12および上面13の何れか一方または両方に、外側に凸の曲率を有する曲面状に形成している。これにより、導光体内部での全反射を調整して、対象物OBJの表面での照明照度を調整できる。
【0057】
図13は、本発明に係る導光体のさらに他の例を示す正面図である。下面12の全部または一部に、拡散面24が形成されている。こうした拡散面24により、LEDアレイ18からの光がより混合されるようになり、その結果、導光体全体のy方向寸法を短くすることが可能になり、対象物表面における照度分布をx方向およびy方向に渡って一様にすることが可能になる。
【0058】
図14は、本発明に係る導光体のさらに他の例を示す正面図である。光射出面15の近傍に、シリンドリカルコリメートレンズ25が配置されている。こうしたコリメートレンズ25により、光射出面15から射出される光の平行度が高くなり、もしくは光の広がり角を低減できるため、z方向の照度分布をより一様にすることができる。
【0059】
図15は、本発明に係る導光体のさらに他の例を示す正面図である。光入射面11に設置するLEDアレイ18は、複数種類のLEDチップで構成されている。LEDチップ18a,18bの組合せとして、例えば、高輝度LEDと低輝度LEDの交互配置や周期的配置により、対象物表面における照度分布を、正弦波のような周期的な分布に設定できる。また、発光波長の異なる複数のLEDの周期的配置により、照明光の波長分布を調整することができる。
【0060】
なお、上述した各実施形態における各種構成は、1つ又は複数を適宜組み合わせることも可能である。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係る照明装置を備えた画像読取装置の構成を示す斜視図である。
【図2】本発明に係る照明装置を備えた画像読取装置の構成を示す正面図である。
【図3】図3(a)は、導光体LG1,LG2の一例を示す正面図であり、図3(b)はその平面図である。
【図4】導光体LG1,LG2の一例を示す斜視図である。
【図5】カバーガラス2から対象物OBJまでの距離dが変化したときの様子を示す説明図である。
【図6】距離変化に対応した対象物表面での照度分布を示すグラフである。
【図7】図7(a)は導光体LG1,LG2の一例を示す正面図、図7(b)は合成照度分布のx方向変化を示すグラフ、図7(c)はそのy方向変化を示すグラフ、図7(d)はそのz方向変化を示すグラフである。
【図8】対象物OBJへの垂直入射の様子を示す説明図である。
【図9】光射出面15の寸法の最適化に関する説明図である。
【図10】本発明に係る導光体の他の例を示す正面図である。
【図11】本発明に係る導光体のさらに他の例を示す正面図である。
【図12】本発明に係る導光体のさらに他の例を示す正面図である。
【図13】本発明に係る導光体のさらに他の例を示す正面図である。
【図14】本発明に係る導光体のさらに他の例を示す正面図である。
【図15】本発明に係る導光体のさらに他の例を示す正面図である。
【図16】導光体からの光射出角φ、φについての説明図である。
【符号の説明】
【0062】
2 カバーガラス、 6 搬送機構、 11 光入射面、 12 下面、
13 上面、 14 蹴り上げ面、 15 光射出面、 16 底面、
17 突起部、 18 LEDアレイ、 18a,18b LEDチップ、
21 金属反射層、 22 光吸収層、 23 レンチキュラーレンズ、
24 拡散面、 25 シリンドリカルコリメートレンズ、
30 読取光学系、 31,32,34,35 平面ミラー、 33 結像レンズ、
40 ラインセンサ、 LG1,LG2 導光体、 OBJ 読取対象物。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軸線方向に平行な複数の側面を有する柱状透明部材からなる導光体であって、
光源からの光が入射する第1側面と、
第1側面の両側にそれぞれ配置された第2側面および第3側面と、
第2側面との内角が鈍角となるように形成された第4側面と、
第3側面と第4側面との間に配置され、内部反射した光を外部へ射出する第5側面と、を備え、
第2側面および第3側面は、第1側面から離れるほど互いの間隔が増加するように形成され、
第1側面から入射した光源からの光を第4側面で反射させて第5側面から外部へ射出するとともに、第1側面から入射した光源からの光を第2側面、第3側面および第4側面で反射させて第5側面から外部へ射出することを特徴とする導光体。
【請求項2】
複数の側面の少なくとも1つが、曲面状、拡散面状またはレンチキュラーレンズ状に形成されることを特徴とする請求項1記載の導光体。
【請求項3】
柱状透明部材の側面には、軸線方向に平行な平面を持つ突起部が設けられることを特徴とする請求項1〜2のいずれかに記載の導光体。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の導光体と、
導光体の第1側面に、軸線方向に沿って設けられたLEDアレイと、を備えることを特徴とする照明ユニット。
【請求項5】
請求項4記載の照明ユニットが、読取対象物からの光を結像する読取光学系の光軸に関してそれぞれ両側に配置されていることを特徴とする画像読取用照明装置。
【請求項6】
各照明ユニットから射出される光の照射方向が、読取光学系の光軸に関して対称であることを特徴とする請求項5記載の画像読取用照明装置。
【請求項7】
導光体の軸線方向および読取光学系の光軸に対して垂直な方向を副走査方向として、光を射出する第5側面の副走査方向の幅rは、次式を満たすことを特徴とする請求項5または6記載の画像読取用照明装置。
【数1】

ただし、Rは読取位置の副走査方向の幅、hは結像光学系の読取限界深度、θは第5側面の読取位置の中心軸から最も遠い位置から射出される光と副走査方向の間の角度、θは第5側面の読取位置の中心軸から最も近い位置から射出される光と副走査方向の間の角度である。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2013−93330(P2013−93330A)
【公開日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−283895(P2012−283895)
【出願日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【分割の表示】特願2008−123287(P2008−123287)の分割
【原出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】