説明

導尿パッド

【課題】女性の着用者からの尿を導く導尿パッドにおいて、着用者の姿勢に関わらず、着用者からの尿をおむつの中央部へと導く。
【解決手段】女性用の導尿パッド1は、使い捨ておむつの内側において着用者の女性器に取り付けられて着用者からの尿をおむつ内の所定の領域へと導く。導尿パッド1は、カップ状の導尿部11、および、導尿部11から左右方向に広がる一対のシート状の貼付部12を備え、一対の貼付部12が女性器の左右の外陰唇に貼付されることにより、導尿部11が女性器に対向するとともに女性器から離れる方向に突出する。導尿パッド1では、着用者からの尿が導尿部11の内部を通過して第1開口115および一対の第2開口116から外部へと導出され、着用者の姿勢に関わらず、使い捨ておむつの中央部へと導かれる。その結果、着用者の脚の付け根と使い捨ておむつとの間の隙間から尿が漏れることを防止することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、女性の着用者からの尿をおむつ内の所定の領域へと導く導尿パッドに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、使い捨ておむつにおいて、着用者の脚の付け根と使い捨ておむつとの間の隙間から尿等の排泄物が漏れること(いわゆる、横漏れ)を防止するために、様々な提案が行われている。
【0003】
例えば、特許文献1では、複数の不織布等の帯片からなる尿誘導部、および、複数の帯片の上端部を連結する連結部を備える尿誘導シートを吸尿パッドの内側に配置し、連結部を着用者の腹部に貼付するとともに連結部から下方に伸びる尿誘導部により尿道口を覆うことにより、排泄された尿を尿誘導部の複数の帯片の下端(すなわち、吸尿パッドの股下域)へと導いて側方に流れてしまうことを抑制する技術が提案されている。
【0004】
一方、特許文献2では、女性器の左右の外陰唇の間に挟まれて保持される尿失禁パッドが提案されている。当該尿失禁パッドは、不意の失禁が生じた際のごく少量の尿を吸収するために使用されるものであり、通常の排尿の際には女性器から取り外される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2004−121392号公報
【特許文献2】特開2005−245484号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1の尿誘導シートでは、連結部は着用者に固定されるものの、実際に尿を受けて導く尿誘導部は固定されていないため、着用者が側臥位を取る場合等、尿誘導部が尿道口からずれてしまって尿を吸尿パッドの股下域に導くことができなくなってしまう。一方、特許文献2の尿失禁パッドでは、上述のように、通常の排尿時に利用されるものではなく、尿を所定の領域へと導くものではない。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、着用者の姿勢に関わらず、着用者からの尿をおむつの中央部へと導くことを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、女性の着用者からの尿をおむつ内の所定の領域へと導く導尿パッドであって、撥水性または不透液性を有するシートであり、女性器に対向するとともに前記女性器から離れる方向へと突出し、尿が内部を通過して先端部またはその周囲に形成された開口から導出される導尿部と、前記導尿部から左右方向に広がり、前記女性器または前記女性器近傍に貼付される一対の貼付部とを備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の導尿パッドであって、前記導尿部が、収縮することによりギャザーを形成する弾性部材を備える。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の導尿パッドであって、前記弾性部材が、前記開口の周囲に配置される。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項2または3に記載の導尿パッドであって、前記弾性部材が、前記着用者の股下において前後方向にそれぞれ伸びるとともに前記左右方向に配列される複数の弾性要素を有し、前記ギャザーが伸張された状態において、前記導尿部の前記先端部近傍の弾性要素の収縮力が、前記先端部から左右に離れた弾性要素の収縮力よりも小さい。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項2ないし4のいずれかに記載の導尿パッドであって、前記一対の貼付部がシート状であり、前記一対の貼付部がそれぞれ、前後方向にそれぞれ伸びるとともに前記左右方向に配列されてギャザーを形成する他の複数の弾性要素を備え、前記導尿部の前記ギャザーおよび前記一対の貼付部の前記ギャザーが伸張された状態において、前記複数の弾性要素全体の収縮力が、前記他の複数の弾性要素全体の収縮力よりも小さい。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の導尿パッドであって、前記導尿部の内面が親水性シートにより形成される。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の導尿パッドであって、前記導尿部および前記一対の貼付部が、元の形状が略矩形である1つのシート部材により形成されており、前記シート部材の略中央にて前後方向に伸びる折り目にて前記シート部材を2つ折りにし、前記折り目の前記前後方向における両端部にて、前記折り目の両側を接合することにより前記導尿部が形成され、前記シート部材の前記導尿部から連続する部位を前記左右方向に広げることにより前記一対の貼付部が形成される。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項1ないし7のいずれかに記載の導尿パッドであって、前記導尿部が、前記着用者からの尿を受ける受尿部を有し、前記開口が、前記受尿部近傍に設けられる。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の導尿パッドであって、前記導尿部がもう1つの開口をさらに備え、前記開口および前記もう1つの開口が、前記受尿部の左右にそれぞれ位置する。
【0017】
請求項10に記載の発明は、請求項1ないし9のいずれかに記載の導尿パッドであって、前記一対の貼付部がゲル状粘着材を備える。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項1ないし10のいずれかに記載の導尿パッドであって、前記一対の貼付部の前端部の間の距離が、前記一対の貼付部の後端部の間の距離よりも大きい。
【発明の効果】
【0019】
本発明では、着用者の姿勢に関わらず、着用者からの尿をおむつの中央部へと導くことができる。また、請求項3の発明では、開口を大きく維持することができる。さらに、請求項4および5の発明では、導尿パッドの形状を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】導尿パッドの平面図である。
【図2】導尿パッドを前側から示す図である。
【図3】導尿パッドの左側面図である。
【図4】導尿パッドの断面図である。
【図5】導尿パッドの断面図である。
【図6】導尿パッドを展開して示す平面図である。
【図7】導尿パッドの他の例を示す平面図である。
【図8】導尿パッドの他の例を示す平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
図1は、本発明の一の実施の形態に係る導尿パッド1を示す平面図であり、図2および図3はそれぞれ、導尿パッド1を図1中の上側および左側から示す図である。導尿パッド1は女性用のパッドであり、使い捨ておむつの内側において着用者の女性器に取り付けられて着用者からの尿をおむつ内の所定の領域へと導く。導尿パッド1は左右対称である。
【0022】
図1ないし図3に示すように、導尿パッド1は、略カップ状の導尿部11、および、導尿部11から左右方向(図1および図2中の左右方向に一致する。)に広がる一対のシート状の貼付部12を備える。導尿パッド1は、一対の貼付部12が女性器の左右の外陰唇に貼付されることにより、図1中の上側(図2中の手前側であり、また、図3中の左側である。)の部位が着用者の前側(すなわち、腹側)を向くように着用者に取り付けられる。導尿部11は、女性器に対向するとともに女性器から離れる方向に突出する。以下の説明では、図1中における上下方向を導尿パッド1の前後方向と呼び、導尿パッド1の図1中における上側および下側の部位をそれぞれ「前部」および「後部」という。
【0023】
図1に示すように、導尿部11は、着用者の尿道口に対向するとともに着用者からの尿を受ける受尿部111を有し、受尿部111の前側には、図1ないし図3に示すように、導尿部11の先端部113(すなわち、図3中における導尿部11の下端縁)にて前後方向に伸びる第1開口115が形成されている。また、図1に示すように、受尿部111の左右両側には、それぞれが前後方向に伸びる一対の第2開口116が形成されている(図3では、一方の第2開口116のみを示す。)。換言すれば、受尿部111近傍に受尿部111を囲むように配置された3つの開口が設けられる。
【0024】
図4および図5はそれぞれ、導尿パッド1を図1中のA−AおよびB−Bの位置にて切断した断面図である。図4および図5では、図示の都合上、導尿パッド1の各構成を互いに離して描いている。導尿パッド1は、バックシート23、バックシート23上(すなわち、バックシート23の着用者側)に接合されるトップシート21、トップシート21とバックシート23との間に配置される第1弾性部材22、トップシート21およびバックシート23の左右両側にてトップシート21上に積層される一対のサイドシート25、2つ折りにされた各サイドシート25の間に配置される第2弾性部材24、並びに、一対のサイドシート25上に接合される一対のゲル状粘着材26を備える。導尿パッド1では、各サイドシート25の前縁部、後縁部および左右方向の外側の側縁部がトップシート21に接合されることにより、サイドシート25とトップシート21との間に、左右方向の内側に向かって開口するサイドポケット251が形成される。また、図1に示すように、ゲル状粘着材26は平面視において略矩形状とされ、ゲル状粘着材26の前端は、左右方向の外側の角部が除去された形状とされる。
【0025】
トップシート21およびサイドシート25は透液性シートであり、本実施の形態では、親水性繊維(セルロースやレーヨン、コットン等)により形成された不織布等の親水性シートとされる。トップシート21およびサイドシート25として利用される不織布は、例えば、ポイントボンド不織布やエアスルー不織布、スパンレース不織布である。なお、トップシート21やサイドシート25として、表面を界面活性剤により親水処理した疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された透液性の不織布が利用されてもよい。
【0026】
バックシート23は疎水性繊維(例えば、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン)にて形成された撥水性または不透液性の不織布(例えば、スパンボンド不織布やメルトブロー不織布、SMS(スパンボンド・メルトブロー・スパンボンド)不織布)や、撥水性または不透液性のプラスチックフィルム、あるいは、これらの不織布とプラスチックフィルムとが積層された積層シートが利用され、バックシート23に到達した尿が、バックシート23を透過して外側に染み出すことが防止される。バックシート23にプラスチックフィルムが利用される場合、導尿パッド1のムレを防止して着用者の快適性を向上するという観点からは、透湿性(通気性)を有するプラスチックフィルムが利用されることが好ましい。
【0027】
第1弾性部材22および第2弾性部材24はそれぞれ複数の弾性要素221,241を備え、弾性要素221,241としては、例えば、ポリウレタン糸、帯状のポリウレタンフィルム、糸状または帯状の天然ゴム等が用いられる。本実施の形態では、ポリウレタン糸が弾性要素221,241として利用される。ゲル状粘着材26としては、例えば、シート状のシリコーンゲルが利用される。
【0028】
図6は、導尿パッド1を展開して示す平面図である。導尿パッド1が形成される際には、元の形状が略矩形である1つのシート部材20(すなわち、トップシート21、第1弾性部材22、バックシート23、第2弾性部材24、サイドシート25およびゲル状粘着材26を接合したもの)を左右方向の略中央にて前後方向に伸びる折り目201にて2つ折りにし、折り目201の前後方向における両端部にて折り目201の両側の部位を超音波接合や熱融着接合、ホットメルト接着剤等により接合することにより、図4および図5に示すように、断面が略V字状である導尿部11が形成される。このとき、折り目201は導尿部11の先端部113(図1ないし図3参照)となる。
【0029】
そして、シート部材20の導尿部11から連続する左右両側の部位を左右方向に広げることにより、一対のサイドシート25および一対のゲル状粘着材26を備える一対の貼付部12が形成される。このように、1つのシート部材20により導尿部11および一対の貼付部12を形成することにより、導尿パッド1の製造を簡素化することができ、導尿パッド1の製造コストを低減することができる。
【0030】
導尿パッド1の形成では、図6に示す折り目201の前端における折り目201の両側の部位の接合長さが、折り目201の後端における折り目201の両側の部位の接合長さよりも短くされる(すなわち、図3に示す導尿部11の前縁における接合長さL1が、導尿部11の後縁における接合長さL2よりも短くされる。)。これにより、図1に示すように、平面視における一対の貼付部12の前端部の間の距離が、一対の貼付部12の後端部の間の距離よりも大きくされる。また、図6に示すシート部材20の折り目201上に予め形成されてトップシート21およびバックシート23を貫通するスリット202が導尿部11の第1開口115(図1および図4参照)となり、折り目201の左右両側にてトップシート21およびバックシート23を貫通する一対のスリット203が一対の第2開口116(図1および図5参照)となる。
【0031】
図4ないし図6に示すように、第1弾性部材22は、着用者の股下において前後方向にそれぞれ伸びるとともに左右方向に配列される12本の弾性要素221を備え、これらの弾性要素221は、前後方向に伸張された状態にてトップシート21およびバックシート23にホットメルト接着剤等により接合される。各サイドシート25に接合される第2弾性部材24は、着用者の股下において前後方向にそれぞれ伸びるとともに左右方向に配列される4本の弾性要素241を備え、これらの弾性要素241は、前後方向に伸張された状態にてサイドシート25にホットメルト接着剤等により接合される。
【0032】
図4および図5に示すように、第1弾性部材22の12本の弾性要素221のうち中央の(すなわち、図6に示す折り目201に近い)4本の弾性要素221は導尿部11に配置され、当該4本の弾性要素221の左側の4本の弾性要素221、および、右側の4本の弾性要素221はそれぞれ、左側および右側の貼付部12に配置される。また、第2弾性部材24の左右各4本の弾性要素241は、左右の貼付部12に配置される。そして、これらの第1弾性部材22および第2弾性部材24が前後方向に収縮することにより、導尿部11および一対の貼付部12にギャザーが形成される。
【0033】
導尿部11に配置される4本の弾性要素221のうち、図6に示す折り目201の左側の2本の弾性要素221は、前後方向に伸びる左側のスリット203の左右にてスリット203に沿って配置され、折り目201の右側の2本の弾性要素221は右側のスリット203の左右にてスリット203に沿って配置される。このように、第1弾性部材22がスリット203(すなわち、第2開口116)の周囲に配置され、スリット203の周囲の部位を収縮させてギャザーを形成することにより、図1および図3に示す第2開口116を大きく維持することができる。
【0034】
導尿パッド1では、第1弾性部材22および第2弾性部材24によるギャザーが伸張された状態において、図4および図5に示す第1弾性部材22の中央の2本の弾性要素221の収縮力は、当該2本の弾性要素221の左右に並ぶ各3本の弾性要素221の収縮力よりも小さく、当該左右各3本の弾性要素221の収縮力は、これらの弾性要素221の左右外側に位置する残りの各2本の弾性要素221の収縮力よりも小さい。また、各貼付部12では、第2弾性部材24の4本の弾性要素241のうち左右方向の内側の2本の弾性要素241の収縮力は、外側の2本の弾性要素241の収縮力よりも小さい。
【0035】
このように、導尿部11のギャザーが伸張された状態において、導尿部11の先端部113近傍の2本の弾性要素221の収縮力が、導尿部11の先端部113から左右に離れた(すなわち、貼付部12近傍に配置された)2本の弾性要素221の収縮力よりも小さくされることにより、導尿部11の貼付部12近傍の部位が左右方向の外側に凸状に変形しやすくなる。その結果、カップ状の導尿部11の形状維持が容易となる。また、貼付部12のギャザーが伸張された状態において、第2弾性部材24の左右方向の内側の弾性要素241の収縮力が外側の弾性要素241の収縮力よりも小さくされることにより、サイドシート25の内側の部位がトップシート21から離間しやすくなる。その結果、サイドシート25とトップシート21との間のサイドポケット251の高さを大きく維持することができる。
【0036】
さらに、導尿部11のギャザーおよび一対の貼付部12のギャザーが伸張された状態において、導尿部11に配置される複数の弾性要素221全体の収縮力が、一対の貼付部12に配置される複数の弾性要素221,241全体の収縮力よりも小さくされることにより、導尿部11と貼付部12との境界近傍の部位が左右方向の外側に凸状に変形しやすくなる。その結果、カップ状の導尿部11の形状、および、シート状の貼付部12の形状を安定させることができる。
【0037】
導尿パッド1では、着用者からの尿が導尿部11の受尿部111にて受けられ、導尿部11の内部を通過し、導尿部11の先端部113にて受尿部111の前側に位置する第1開口115、および、導尿部11の先端部113の周囲にて受尿部111の左右にそれぞれ位置する一対の第2開口116から外部へと導出される。使い捨ておむつの内部では、導尿パッド1は、第1開口115および第2開口116が使い捨ておむつの中央部に位置するように配置される。これにより、着用者からの尿を使い捨ておむつの中央部へと導くことができ、その結果、着用者の脚の付け根と使い捨ておむつとの間の隙間から尿が漏れること(いわゆる、横漏れ)を防止することができる。また、受尿部111にて尿を受けることにより、排尿時の尿の勢いを弱めて使い捨ておむつによる尿の吸収を確実に行うことができる。その結果、尿の横漏れをより確実に防止することができる。
【0038】
上述のように、導尿パッド1は着用者の女性器に貼付されるため、導尿パッド1の女性器に対する相対位置が大きくずれることが防止されるとともに、使い捨ておむつ内における第1開口115および第2開口116の位置が大きくずれることも防止される。その結果、着用者の姿勢に関わらず(例えば、着用者が側臥位を取る場合であっても)、尿の勢いを弱めつつ使い捨ておむつの中央部へと尿を導くことができる。
【0039】
導尿パッド1では、導尿部11に弾性部材が設けられてギャザーが形成されることにより、導尿部11の内部において第1開口115および第2開口116へと導かれる尿の移動速度を小さくすることができる。その結果、導尿パッド1から外部へと導出される尿の勢いをより弱めることができる。また、導尿部11では、弾性部材が前後方向を向いて配置されることにより、左右方向に伸びる溝部がギャザーに形成されるため、尿が当該溝部を伝わって第1開口115および第2開口116へと確実に導かれる。さらに、導尿部11の内面(すなわち、着用者に対向する面)が親水性シートであるトップシート21により形成されることにより、導尿パッド1の肌触りを良くして着用感を向上することができるとともに、尿を導尿部11全体に広げて3つの開口(すなわち、第1開口115および一対の第2開口116)からおよそ均等に導出することができる。
【0040】
導尿部11では、受尿部111近傍に第1開口115および第2開口116が設けられることにより、受尿部111にて受けた尿を確実に導尿パッド1の外部へと導出することができる。また、第1開口115が導尿部11の左右方向の中央に(すなわち、図6に示す折り目201上に)形成されることにより、尿を使い捨ておむつの左右方向のおよそ中央へと導出することができ、横漏れをより確実に防止することができる。さらに、受尿部111の左右両側に第2開口116を設けることにより、尿を使い捨ておむつの中央部の広い範囲に亘って吸収させることができる。また、着用者からの体圧等により一方の第2開口116が閉じてしまった場合であっても、他方の第2開口116から尿を導出することができる。
【0041】
導尿パッド1では、一対の貼付部12の前端部の間の距離が後端部の間の距離よりも大きくされる(すなわち、導尿部11の前端部の左右方向の幅が後端部の左右方向の幅よりも大きくされる)ことにより、着用者の脚の動き等に導尿パッド1が追従しやすくなり、貼付部12の着用者からの意図しない剥離が抑制される。また、貼付部12にゲル状粘着材26を設けることにより、貼付部12が貼付される肌の部位がかぶれることを抑制することができるとともに、導尿パッド1を着用者から取り外す際に、貼付部12を容易に剥離することができる。
【0042】
さらに、各貼付部12においてサイドシート25の下面の一部のみがトップシート21に接合されることにより、着用者の脚の動き等により導尿部11に力が加えられた場合であっても、当該力が貼付部12のゲル状粘着材26に伝わることが抑制される。その結果、貼付部12の着用者からの意図しない剥離が抑制される。また、各貼付部12にサイドポケット251が形成されることにより、導尿パッド1の側部から尿が漏れることを抑制することができる。
【0043】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0044】
例えば、導尿部11に設けられる開口の個数は3つには限定されず、2つ以下、または、4つ以上の開口が導尿部11に設けられてもよい。例えば、図7に示すように、導尿部11の先端部113の左右に一対の開口116のみが設けられてもよく、図8に示すように、導尿部11の先端部113に1つの開口115のみが設けられてもよい。
【0045】
導尿パッド1では、トップシート21とバックシート23との積層体である撥水性または不透液性を有するシートにより導尿部11が形成されることにより、受尿部111近傍に設けられた開口以外の部位から尿がしみ出ることを防止することができる。開口以外の部位からの尿の染み出しを防止するという観点からは、導尿部11が撥水性または不透液性を有するシートにより形成されるのであれば、必ずしも導尿部11の内面にトップシート21が設けられる必要はない。導尿パッド1では、例えば、トップシート21とバックシート23との間に粒状の高吸収性ポリマー(SAP(Super Absorbent Polymer))の層を設けることにより、導尿部11にて受けた尿の一部が吸収保持されてもよい。
【0046】
導尿パッド1の一対の貼付部12は、必ずしも着用者の女性器に貼付される必要はなく、女性器近傍の部位に貼付されてもよい。また、貼付部12では、ゲル状粘着材26に代えて異なる種類の粘着材等が設けられてもよい。導尿パッド1は、使い捨ておむつ以外のおむつ(例えば、布製のおむつ)の内側に取り付けられてもよい。
【符号の説明】
【0047】
1 導尿パッド
11 導尿部
12 貼付部
20 シート部材
21 トップシート
22 第1弾性部材
23 バックシート
24 第2弾性部材
26 ゲル状粘着材
111 受尿部
113 先端部
115 (第1)開口
116 (第2)開口
201 折り目
221,241 弾性要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
女性の着用者からの尿をおむつ内の所定の領域へと導く導尿パッドであって、
撥水性または不透液性を有するシートであり、女性器に対向するとともに前記女性器から離れる方向へと突出し、尿が内部を通過して先端部またはその周囲に形成された開口から導出される導尿部と、
前記導尿部から左右方向に広がり、前記女性器または前記女性器近傍に貼付される一対の貼付部と、
を備えることを特徴とする導尿パッド。
【請求項2】
請求項1に記載の導尿パッドであって、
前記導尿部が、収縮することによりギャザーを形成する弾性部材を備えることを特徴とする導尿パッド。
【請求項3】
請求項2に記載の導尿パッドであって、
前記弾性部材が、前記開口の周囲に配置されることを特徴とする導尿パッド。
【請求項4】
請求項2または3に記載の導尿パッドであって、
前記弾性部材が、前記着用者の股下において前後方向にそれぞれ伸びるとともに前記左右方向に配列される複数の弾性要素を有し、
前記ギャザーが伸張された状態において、前記導尿部の前記先端部近傍の弾性要素の収縮力が、前記先端部から左右に離れた弾性要素の収縮力よりも小さいことを特徴とする導尿パッド。
【請求項5】
請求項2ないし4のいずれかに記載の導尿パッドであって、
前記一対の貼付部がシート状であり、
前記一対の貼付部がそれぞれ、前後方向にそれぞれ伸びるとともに前記左右方向に配列されてギャザーを形成する他の複数の弾性要素を備え、
前記導尿部の前記ギャザーおよび前記一対の貼付部の前記ギャザーが伸張された状態において、前記複数の弾性要素全体の収縮力が、前記他の複数の弾性要素全体の収縮力よりも小さいことを特徴とする導尿パッド。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載の導尿パッドであって、
前記導尿部の内面が親水性シートにより形成されることを特徴とする導尿パッド。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載の導尿パッドであって、
前記導尿部および前記一対の貼付部が、元の形状が略矩形である1つのシート部材により形成されており、
前記シート部材の略中央にて前後方向に伸びる折り目にて前記シート部材を2つ折りにし、前記折り目の前記前後方向における両端部にて、前記折り目の両側を接合することにより前記導尿部が形成され、
前記シート部材の前記導尿部から連続する部位を前記左右方向に広げることにより前記一対の貼付部が形成されることを特徴とする導尿パッド。
【請求項8】
請求項1ないし7のいずれかに記載の導尿パッドであって、
前記導尿部が、前記着用者からの尿を受ける受尿部を有し、
前記開口が、前記受尿部近傍に設けられることを特徴とする導尿パッド。
【請求項9】
請求項8に記載の導尿パッドであって、
前記導尿部がもう1つの開口をさらに備え、
前記開口および前記もう1つの開口が、前記受尿部の左右にそれぞれ位置することを特徴とする導尿パッド。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれかに記載の導尿パッドであって、
前記一対の貼付部がゲル状粘着材を備えることを特徴とする導尿パッド。
【請求項11】
請求項1ないし10のいずれかに記載の導尿パッドであって、
前記一対の貼付部の前端部の間の距離が、前記一対の貼付部の後端部の間の距離よりも大きいことを特徴とする導尿パッド。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−10985(P2011−10985A)
【公開日】平成23年1月20日(2011.1.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−159674(P2009−159674)
【出願日】平成21年7月6日(2009.7.6)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】