説明

導電性芳香族ポリアミド繊維

【課題】十分に低い体積固有抵抗値を安定的に有し、紡糸生産工程において工程安定性および品質が向上された導電性芳香族ポリアミド繊維を提供すること。
【解決手段】カーボンナノチューブ及びカーボンナノチューブ以外の導電性微粒子を含む全芳香族ポリアミド繊維であって、該カーボンナノチューブの全芳香族ポリアミド繊維に対する含有比率が0.5〜5重量%、該導電性微粒子の全芳香族ポリアミド繊維に対する含有比率が5〜30重量%である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、カーボンナノチューブおよび導電性微粒子を含有する導電性芳香族ポリアミド繊維に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、ポリマーの高付加価値化、高性能化に対して高い関心が寄せられている。従来、芳香族ジカルボン酸成分と芳香族ジアミン成分とからなる芳香族ポリアミド繊維、特にパラ系の芳香族ポリアミド繊維は、その強度、高弾性率、高耐熱性といった特性を生かして産業用途、衣料用途に広く用いられている。
【0003】
一方、従来から除電性能に優れた導電性芳香族ポリアミド繊維については、種々提案がなされており、例えば繊維表面に金属メッキを施して導電性を付与するものや、導電性カーボンブラックを樹脂やゴム類に分散させ、これを繊維表面にコートする事によって導電性被覆層を形成せしめたものや、導電性カーボンブラック等の導電性微粒子を充填剤として用いる等の試みがなされている。
【0004】
例えば、特開2004−67952号公報(特許文献1)には、カーボンナノチューブを1重量%含有させ、体積抵抗値を低下させたポリアミド樹脂が開示されている。また、特開2003−246927号公報(特許文献2)には、ポリイミド樹脂中にカーボンナノチューブおよび、カーボンブラック、金属、導電性セラミックからなる群より選択される少なくとも1種の導電性物質を含有させる事により、ポリイミドの抵抗値を中間的な値に安定的に制御するというポリイミドフィルムおよびポリイミド管状物が開示されている。
【0005】
しかしながら、導電性繊維を製造しようとする場合、カーボンナノチューブをただ単に芳香族ポリアミド繊維に添加しただけでは、導電性が充分に向上しないことがあり、低抵抗の繊維を得る為にはカーボンナノチューブの添加量を多くしたり、分子レベルで分散させることが必要となる。尚、ここでいう分子レベルでの分散とは、ポリマーマトリクス中におけるカーボンナノチューブの外径が20nm以下で分散していることをいう。
【0006】
しかし、上記のようにカーボンナノチューブの添加量を増やした場合、カーボンナノチューブを導電性芳香族ポリアミド中に分散させる事が困難となり、紡糸生産工程において工程安定性が悪くなるという問題があった。さらに、ポリイミドは溶媒乾燥とイミド化の際、添加されたカーボンブラックが凝集を起こし、わずかな成型条件の変化で大幅な抵抗変化が生じるという問題もある。
【0007】
【特許文献1】特開2004−67952号公報
【特許文献2】特開2003−246927号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、上記従来技術を背景になされたもので、その目的は、十分に低い体積固有抵抗値を安定的に有し、紡糸生産工程において工程安定性および品質が向上された導電性芳香族ポリアミド繊維を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねた結果、カーボンナノチューブとカーボンナノチューブ以外の導電性微粒子を併用し、その含有比率をそれぞれ0.5〜5重量%、5〜30重量%の範囲に制御するとき、所望の芳香族ポリアミド繊維が得られることを見出した。
【0010】
かくして本発明によれば、カーボンナノチューブ及びカーボンナノチューブ以外の導電性微粒子を含む全芳香族ポリアミド繊維であって、該カーボンナノチューブの全芳香族ポリアミド繊維に対する含有比率が0.5〜5重量%、該導電性微粒子の全芳香族ポリアミド繊維に対する含有比率が5〜30重量%であることを特徴とする導電性芳香族ポリアミド繊維が提供される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、十分に低い体積固有抵抗値を安定的に有し、紡糸生産工程において工程安定性および品質が向上された導電性芳香族ポリアミド繊維が提供されるので、導電性及び高弾性率、高耐熱性が必要とされる用途に好適に使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について詳細に説明する。
本発明における芳香族ポリアミドとは、溶液中でのジカルボン酸ジクロライドとジアミンとの低温溶液重合、または界面重合から得た全芳香族ポリアミドを言う。具体的に本発明において使用されるジアミン成分としては、p-フェニレンジアミン、2-クロルp-フェニレンジアミン、2,5-ジクロルp-フェニレンジアミン、2,6-ジクロルp-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミン、3,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルエーテル、4,4’-ジアミノジフェニルメタン、4,4’-ジアミノジフェニルスルフォン、3,3’-ジアミノジフェニルスルフォン等を挙げることができるが、これらに限定されるものではない。
中でも、ジアミン成分として、p-フェニレンジアミン、m-フェニレンジアミンおよび3,4’-ジアミノジフェニルエーテルを使用することが好ましい。
【0013】
また、本発明において具体的に使用されるジカルボン酸クロライド成分としては、例えばイソフタル酸クロライド、テレフタル酸クロライド、2-クロルテレフタル酸クロライド、2,5-ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6-ジクロルテレフタル酸クロライド、2,6-ナフタレンジカルボン酸クロライドなど挙げられるが、これらに限定されるものではない。中でもジカルボン酸クロライド成分として、テレフタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライドが好ましい。従って本発明における好ましい導電性芳香族ポリアミドの例としてコポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド、ポリパラフェニレンテレフタルアミド及び、ポリメタフェニレンテレフタルアミド等の芳香族ポリアミドからなるものを挙げることが出来る。
【0014】
また上記導電性芳香族ポリアミドを重合する際の溶媒としては、具体的にN,N-ジメチルホルムアミド、N,N-ジメチルアセトアミド、N-メチル-2-ピロリドン、N-メチルカプロラクタム等の有機極性アミド系溶媒、テトラヒドロフラン、ジオキサン等の水溶性エーテル化合物、メタノール、エタノール、エチレングリコール等の水溶性アルコール系化合物、アセトン、メチルエチルケトン等の水溶性ケトン系化合物、アセトニトリル、プロピオニトリル等の水溶性ニトリル化合物等があげられる。これらの溶媒は2種以上の混合溶媒として使用することも可能であり、特に制限されることはない。該溶媒は脱水されていることが望ましい。
【0015】
この場合、溶解性を挙げるために重合前、途中、終了時に一般に公知の無機塩を適当量添加しても差し支えない。このような無機塩として例えば、塩化リチウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
【0016】
ここで、導電性微粒子とは金属微粒子ないしはカーボンブラックなど、それ自体が導電性能を示す物質であって、繊維形成を阻害するようなものでなければ特に限定されないが、製造技術から見て本発明においてはカーボンブラックが好ましく使用される。
【0017】
また、導電性カーボンブラック微粒子としては、その体積固有抵抗値が、温度20℃及び湿度65%条件下で測定したときに、10〜108Ω・cmである電気抵抗値を有するものが好ましく用いられる。
【0018】
尚、ここでいう「体積固有抵抗値」ρ(Ω・cm)とは、東亜電波工業株式会社製の抵抗値測定機SM−8210極超絶縁計を用いて測定したものである。さらに具体的には導電性芳香族ポリアミド繊維の試料長L(cm)を10cmとし、この10cm間に100(V)の電圧をかけてそのときの電気抵抗値R(Ω)を測定し、繊維の断面積をS(cm)としてρ(Ω・cm)=R×(S/L)より求めた。ここでSは、繊維の密度をd=1.5g/cmとみなし、Dは総繊度値をそのまま重量に読み替えた値として、S=D/(1000000×d)より求めた。
【0019】
本発明の導電性芳香族ポリアミドの製造において用いられる導電性芳香族ポリアミド溶液のポリマー濃度は好ましくは0.5〜30重量%、より好ましくは1〜25重量%である。ポリマー濃度が0.5重量%未満では、ポリマーの絡み合いが少なく十分な延伸が行えない。一方で、ポリマー濃度が30重量%を超える場合、ノズルから吐出する際に不安定流動が起こりやすくなり安定的に紡糸することが困難となる。
【0020】
また、導電性芳香族ポリアミドを製造する際、これらのジアミン成分と酸クロライド成分は、ジアミン成分対酸クロライド成分のモル比として好ましくは0.90〜1.10、より好ましくは0.95〜1.05で、用いることが好ましい。
【0021】
この導電性芳香族ポリアミドの末端は封止されていても良い。末端封止剤を用いて封止する場合、その末端封止剤としては、例えばフタル酸クロライドおよびその置換体、アミン成分としてはアニリンおよびその置換体が挙げられる。
【0022】
一般に用いられる酸クロライドとジアミンの反応においては生成する塩化水素のごとき酸を捕捉するために脂肪族や芳香族のアミン、第4級アンモニウム塩を併用できる。
反応の終了後、必要に応じて塩基性の無機化合物、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、酸化カルシウム等を添加し中和反応する。
反応条件は特別な制限を必要としない。酸クロライドとジアミンとの反応は、一般に急速であり、反応温度は例えば-25℃〜100℃好ましくは-10℃〜80℃である。
【0023】
このようにして得られる導電性芳香族ポリアミドはアルコール、水といった非溶媒に投入して、沈殿せしめ、パルプ状にして取り出すことができる。これを再度他の溶媒に溶解して成形に供することもできるが、重合反応によって得た溶液をそのまま成形用溶液として用いることができる。再度溶解させる際に用いる溶媒としては、導電性芳香族ポリアミドを溶解するものであれば特に限定はされないが、上記導電性芳香族ポリアミドの重合に使用される溶媒が好ましい。
【0024】
本発明で使用されるカーボンナノチューブは実質的に炭素からなる管状の化合物で、層は単層でも多層でも層の数を問わない。製造方法としては、アーク放電法、気相成長法などが知られているが(特開2001−80913号公報)、何れの方法で得たカーボンナノチューブを用いても良い。外径は100nm以下、長さは0.5μm以上10μm以下、好ましくは1μm以上5μm以下である。外径が100nm又は長さが10μmを越える場合、後述するように繊維中に均一に分散せしめることが難しくなるため、完成糸の強度低下を招き好ましくない。一方、長さが0.5μm未満の場合、紡糸工程でカーボンナノチューブが繊維軸方向に十分配向せず強度向上および、体積固有抵抗値の低下に寄与しないため好ましくない。
【0025】
本発明で使用する導電性芳香族ポリアミド繊維について、芳香族ポリアミド繊維全重量に対し、カーボンナノチューブが0.5〜5重量%の範囲で含まれることが必要である。該含有量が0.5重量%未満であると体積抵抗値の低下が見られず、一方、該含有量が5重量%を超えるとカーボンナノチューブを紡糸溶液中に均一に分散させることが困難となる。
【0026】
本発明で使用するカーボンナノチューブ含有導電性全芳香族ポリアミド繊維は、カーボンナノチューブを含有していないものに比較して、体積固有抵抗値(ρ)を120分の1以下に低下させることが可能である。
【0027】
本発明のカーボンナノチューブ含有導電性全芳香族ポリアミド系繊維が十分に低い体積固有抵抗値を安定的に有する理由としては定かではないが、紡糸工程において延伸配向させることにより、カーボンナノチューブが繊維軸方向に高度に配向していることが原因と考えられる。
【0028】
例えば、本発明で使用する繊維中におけるカーボンナノチューブの配向度をX線測定により解析した場合、多層カーボンナノチューブのX線解析で測定した002反射ピーク強度から下記式(1)により算出される配向度Aが50%以上であることが好ましく、より好ましくは70%以上、さらに好ましくは80%以上である。
【数1】

ここで、w(度)は反射ピークのデバイ環に沿って測定された強度分布の半値幅である
【0029】
配向度Aとは、繊維中におけるフィラーの配向性を示すパラメーターである。配向度Aは,カーボンナノチューブ層面の配向性がまったく無い場合にA=0、層面が繊維軸方向に完全に平行に並んだ時にA=100となる。
【0030】
本発明において導電性全芳香族ポリアミド繊維にカーボンナノチューブを50%以上、さらに好ましくは70%以上という高い配向度Aで、選択的に繊維軸方向に配向させることにより、体積固有抵抗値の低下が達成されると考えている。
【0031】
本発明において、カーボンナノチューブ含有導電性芳香族ポリアミド系繊維の製造方法として特に限定はされないが、全芳香族ポリアミド、導電性微粒子、カーボンナノチューブおよび溶媒からなる紡糸用溶液(ドープ)を調製し、得られたドープをノズルより吐出し、貧溶媒からなる凝固浴中で凝固し、乾燥させることにより製造することができる。
【0032】
また、紡糸用ドープに使用される溶媒としては、上記の導電性芳香族ポリアミドの作製溶媒、導電性芳香族ポリアミドおよびカーボンナノチューブを溶解および分散させることができる溶媒を使用することができ、これらの溶媒は2種以上の混合溶媒として使用することも可能であり、特に制限されることはない。
また紡糸用ドープのポリマー濃度、すなわち導電性芳香族ポリアミドの濃度は0.05〜30重量%、より好ましくは1〜25重量%が好ましい。
【0033】
全芳香族ポリアミド、カーボンナノチューブおよび溶媒からなる紡糸用ドープの調整方法は、(A)導電性芳香族ポリアミドの溶液にカーボンナノチューブを加える方法、(B)導電性芳香族ポリアミドの溶液とカーボンナノチューブの溶液とを混合する方法、(C)カーボンナノチューブの溶液に導電性芳香族ポリアミドを添加し溶解する方法等がある。
【0034】
さらに、本発明における紡糸用ドープには、本発明の効果を損なわない範囲で他の成分、例えば酸化防止剤や耐熱安定剤、耐候剤、染料、帯電防止剤、難燃剤、導電性ポリマー、その他の重合体を添加することができる。
【0035】
上記方法によって得られた紡糸用ドープを用いて、湿式法、半乾半湿法等により繊維に成形し、溶媒を除去した後、乾燥することで本発明の導電性芳香族ポリアミド系繊維を製造することができる。
【実施例】
【0036】
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。尚、実施例中の物性は下記の方法で測定した。
(1)工程安定性
24時間連続的に紡糸を行なった際の、ノズルにおける糸切れ回数を測定し、以下の基準で表した。
◎:1回以下
○:3回以下
△:4回以上
×:紡糸不可
【0037】
[実施例1]
カーボンナノチューブ含有導電性芳香族ポリアミド原糸は、以下の手順で作成した。すなわち、添加するカーボンナノチューブは、気相成長法により作成され、カーボンのシートが同心円上に複数重なっている多層カーボンナノチューブ(MWNT)を使用した。ここで、作成された多層カーボンナノチューブのチューブ径は、40nm、アスペクト比は、110であった。
【0038】
カーボンナノチューブの分散は、浅田鉄工株式会社製ビーズミル(Nano Grain Mill)を用いておこない、N−メチル−2−ピロリドン(NMP)中に0.3重量%となる様に、NMP分散体を調整した。この時、メディアとして、0.3mmのジルコニアビーズを使用した。
【0039】
このカーボンナノチューブ分散体、NMP及びカーボンブラックを、コポリパラフェニレン・3,4’−オキシジフェニレンテレフタルアミド(共重合モル比が1:1の芳香族ポリアミド)の濃度6重量%のNMP溶液中に、得られるドープ中のカーボンブラックおよび、カーボンナノチューブの含有量が芳香族ポリアミドの全重量を基準としてそれぞれ14重量%、1重量%となる割合で添加し、温度80℃下4時間撹拌混合した。得られたドープを用い、孔数100ホールの紡糸口金から吐出し、エアーギャップ約10mmを介してNMP濃度30重量%の水溶液中に紡出し凝固した後(半乾半湿式紡糸法)、水洗、乾燥し、次いで、温度530℃下で6倍に延伸した後、巻き取ることによりカーボンブラックおよび、カーボンナノチューブが良好に分散した状態で添加された導電性パラ型芳香族ポリアミド繊維を得た。
【0040】
その結果、得られたアラミド繊維は、総繊度280dtex、フィラメント数100フィラメント、単糸繊度2.8detx/フィラメントであり、強度は11.7cN/dtex、体積固有抵抗値は8.0×104Ω・cmであった。
【0041】
[実施例2、3]
実施例1において、添加するカーボンナノチューブの含有量が芳香族ポリアミドの全重量を基準として3重量%、または、5重量%となる割合で添加する以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ添加原糸を作成し、体積固有抵抗値測定を実施した。その結果を表1に示す。
【0042】
[実施例4、5]
実施例1において、添加するカーボンブラックの含有量が芳香族ポリアミドの全重量を基準として5重量%、または、30重量%となる割合で添加する以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ添加原糸を作成し、体積固有抵抗値測定を実施した。その結果を表1に示す。
【0043】
[比較例1]
実施例1において、カーボンナノチューブを添加しないこと以外は、実施例1と同様にして原糸を作成し、体積固有抵抗値測定を実施した。その結果を表1に記載した。
【0044】
[比較例2]
実施例1において、カーボンブラックを添加しない以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ添加原糸を作成し、体積固有抵抗値測定を実施した。その結果を表1に示す。
【0045】
[比較例3]
実施例1において、添加するカーボンナノチューブの含有量が芳香族ポリアミドの全重量を基準として32重量%となる割合で添加した以外は実施例1と同様にして、カーボンナノチューブ添加原糸を作成し、体積固有抵抗値測定を実施した。その結果を表1に示す。
【0046】
[比較例4]
実施例4において、カーボンナノチューブを添加しないこと以外は、実施例4と同様にして原糸を作成し、体積固有抵抗値測定を実施した。その結果を表1に記載した。
【0047】
表1より明らかである様に、カーボンナノチューブを添加した導電性アラミド繊維は、未添加の導電性アラミド繊維に比べ、体積固有抵抗値の低下が認められる。カーボンナノチューブの添加量は、ポリマーに対して5重量%までは、添加量の多い方が優れる。
【0048】
【表1】

【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明によれば、十分に低い体積固有抵抗値を安定的に有し、紡糸生産工程において工程安定性および品質が向上された導電性芳香族ポリアミド繊維が提供されるので、導電性及び高弾性率、高耐熱性が必要とされる用途に好適に使用することができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カーボンナノチューブ及びカーボンナノチューブ以外の導電性微粒子を含む全芳香族ポリアミド繊維であって、該カーボンナノチューブの全芳香族ポリアミド繊維に対する含有比率が0.5〜5重量%、該導電性微粒子の全芳香族ポリアミド繊維に対する含有比率が5〜30重量%であることを特徴とする導電性芳香族ポリアミド繊維。
【請求項2】
カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである請求項1記載の導電性芳香族ポリアミド繊維。
【請求項3】
導電性微粒子が導電性カーボンブラック微粒子である請求項1又は2記載の導電性芳香族ポリアミド繊維。
【請求項4】
導電性芳香族ポリアミド繊維が、温度20℃、湿度65%における体積固有抵抗値が10〜108Ω・cmである請求項1、2又は3記載の導電性芳香族ポリアミド繊維。

【公開番号】特開2006−342471(P2006−342471A)
【公開日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−170856(P2005−170856)
【出願日】平成17年6月10日(2005.6.10)
【出願人】(303013268)帝人テクノプロダクツ株式会社 (504)
【Fターム(参考)】