説明

導電部材

【課題】樹脂部品に金属めっきを施した場合のように薄膜状金属の断片が剥がれず、樹脂部品に取り付けられた板金部品のようなエッジ対策も不要な導電部材の提供。
【解決手段】ケーブル保持具1は、樹脂材料製の本体3と、金属ワイヤ5と、発泡ポリウレタンの芯材を導電性布で被覆した構造の軟質導電体7とを備えている。このケーブル保持具1は、金属パネルの切欠に装着され、軟質導電体7の内側にケーブルを保持することにより、金属パネルの表側から裏側へケーブルを通すことができる。しかも、軟質導電体7は金属ワイヤ5に接触しており、金属ワイヤ5は金属パネルに接触するので、軟質導電体7をケーブルのアース線に接触させると、ケーブルのアース線と金属パネルとを電気的に接続することができ、ケーブルを介して金属パネルの内側から外側へノイズが漏出するのを防止ないし抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、導電部材に関する。
【背景技術】
【0002】
ノイズ源となる電子部品を内蔵する電子機器においては、ノイズ対策として、ノイズ源を金属製のシールドケースでカバーすることが行われている。このようなシールドケースの内部から外部へケーブルを導出する場合に、シールドケースが備える金属パネルにケーブル挿通口として利用される切欠や穴を設けて、このケーブル挿通口にケーブルを通すことがある。
【0003】
この際、ケーブル挿通口内周側のエッジでケーブルが傷つけられるのを防ぐため、あるいは、ケーブルの位置を安定させるために、ケーブル挿通口に挿通された電線類を保持するケーブル保持具が使用される(例えば、特許文献1参照)。この種のケーブル保持具は、一般に、樹脂材料によって形成され、金属よりも柔らかい樹脂部分でケーブルに接することで、ケーブルの損傷を抑制していた。
【特許文献1】特開平11−54959号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、上述のようなシールドケースを設けても、シールドケース内でケーブルに乗ったノイズが、ケーブルを介してシールドケース外へと漏出することがあった。
こうした問題に対し、従来は、上記のような樹脂材料製のケーブル保持具に金属めっきを施したり、樹脂材料製のケーブル保持具に金属製の板金部品を取り付けたりして、これらの金属部分を介してケーブルのアース線とシールドケースとを電気的に接続することでノイズ対策を行っていた。
【0005】
しかし、樹脂材料製のケーブル保持具に金属めっきを施した場合、樹脂材料と金属の接合強度は必ずしも強くない。そのため、樹脂に対する金属めっきの接合高度が十分に確保できていない場合、ケーブルとの摩擦に伴って金属めっきが剥がれると、比較的大きな薄膜状金属の断片が脱落するおそれもあり、そのような薄膜状金属の断片がプリント配線板に載ると、短絡を招く原因になるおそれがあった。
【0006】
一方、樹脂材料製のケーブル保持具に金属製の板金部品を取り付けた場合、板金部品自体は、上記金属めっきとは異なり、簡単にケーブル保持具から脱落することはない。また、仮に板金部品に金属めっきが施されていたとしても、金属製の板金部品に施された金属めっきは、樹脂部品に施された金属めっきとは異なり、接合強度がきわめて高いので、ケーブルとの摩擦があっても、薄膜状金属の断片が剥がれるような事態に至ることはない。
【0007】
しかし、上記のような板金部品は、板金部品自体が、樹脂材料よりも硬質な金属製であるため、この板金部品でケーブルを傷つけるようなことがあっては、ケーブル保持具を設けた意味がなくなってしまう。そのため、板金部品のエッジがケーブルに当たらないように十分に留意して、板金部品の形状を設計する必要があり、設計に手間がかかるとともに、そのような設計に従った形態に成形するための金型の設計にも手間がかかる、という問題があった。
【0008】
なお、以上のような問題は、ケーブル挿通口内周側のエッジに取り付けられるケーブル保持具以外のものにおいても、同様に生じている問題でもある。
例えば、筐体の金属パネルに樹脂材料製のスペーサを介してプリント配線板を固定する際には、プリント配線板上にある導体パターンと金属パネルとを導電性コンタクトを介して電気的に接続することがあるが、この種の導電性コンタクトが樹脂部品に対して金属めっきを施した構造になっていると、上記のように金属めっきが剥がれて薄膜状金属の断片が生じるおそれがあり、上述したとおりの問題を招く。また、導電性コンタクトが「金属製の板金部品」または「樹脂部品に対して金属製の板金部品を取り付けた構造のもの」であると、板金部品のエッジが他の部材に当たらないように設計する必要があるので、その設計や金型の製作に手間がかかる。
【0009】
この他、ケーブルを保持する各種クランプ類、ケーブルを所定の経路沿いに配線するためのダクト類やガイドレール類などを金属パネルに取り付ける場合においても、上記各種クランプ類、ダクト類、およびガイドレール類が樹脂部品であれば、これらの樹脂部品に導電体を付加することで、ケーブルのアース線と金属パネルとを電気的に接続することができる。しかし、そのような導電体を設けるため、樹脂部品に対して金属めっきを施すと、薄膜状金属の断片が剥がれ落ちるおそれがある。また、導電体を設けるため、樹脂部品に対して金属製の板金部品を取り付けると、その場合は、板金部品のエッジが他の部材に当たらないように設計する必要があるので、その設計や金型の製作に手間がかかる。
【0010】
本発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであり、その目的は、樹脂部品に対して金属の導電体を取り付けた構造でありながら、樹脂部品に金属めっきを施した場合のように薄膜状金属の断片が剥がれる心配はなく、樹脂部品に板金部品を取り付けた場合のようにエッジ対策を考慮することも不要な導電部材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
以下、本発明において採用した特徴的構成について説明する。
請求項1に記載の導電部材は、第1,第2の部材それぞれに接触する状態で使用されて、前記第1の部材と前記第2の部材との間に導電路を形成する導電部材であって、樹脂材料製の本体と、前記本体に対して取り付けられた金属ワイヤとを備え、前記金属ワイヤが、前記第1,第2の部材の内、少なくとも一方の部材に接触することにより、前記導電路の少なくとも一部を形成することを特徴とする。
【0012】
このように構成された導電部材によれば、導電路を形成する部材として、金属ワイヤが設けられているので、第1,第2の部材の内、少なくとも一方の部材に金属ワイヤが接触しても、樹脂部品に金属めっきを施したものとは異なり、薄膜状金属の断片が剥がれるようなことがない。また、金属ワイヤとしては、略円形断面の金属ワイヤを用いるなど、板金部品のようなエッジがないものを利用することができるので、樹脂部品に板金部品を取り付けたものとは異なり、板金部品のエッジ対策も不要となる。したがって、薄膜状金属の断片が剥がれ落ちることに起因する短絡などが発生せず、しかも、エッジ対策のために設計に手間がかかることもない。
【0013】
なお、本発明の導電部材において、金属ワイヤは、第1,第2の部材の内、少なくとも一方の部材に接触することにより、導電路の少なくとも一部を形成するものであればよい。すなわち、金属ワイヤは、第1,第2の部材の内、いずれか一方のみに接触する構成、第1,第2の部材双方に接触する構成を採用し得る。
【0014】
金属ワイヤが、第1,第2の部材双方に接触する場合、金属ワイヤは、第1,第2の部材双方に対して上述の作用、効果を奏するものとなる。一方、金属ワイヤが、第1,第2の部材の内、いずれか一方のみに接触する場合、金属ワイヤは、いずれか一方の部材に対して上述の作用、効果を奏するものとなる。
【0015】
ちなみに、金属ワイヤが、第1,第2の部材の内、いずれか一方のみに接触する場合、他方と金属ワイヤとの間には、別の導電体を配置することにより、第1の部材と第2の部材との間に導電路を形成すればよい。この場合、別の導電体は、本発明の作用、効果を阻害しないものであればよく、具体的には、金属ワイヤと接触しても薄膜状金属の断片が剥がれ落ちることがなく、且つ、板金部品のようなエッジのないものであれば、どのようなものでもよい。そのような導電体の例としては、例えば、導電性メッシュ、導電性布、導電性ゴム、導電性エラストマー、導電性スポンジなどを挙げることができる。
【0016】
次に、請求項2に記載の導電部材は、請求項1に記載の導電部材において、前記金属ワイヤは、ワイヤフォーミング加工機によって前記本体に取り付け可能な形状に加工されたものであることを特徴とする。
【0017】
このように構成された導電部材によれば、金属ワイヤが、ワイヤフォーミング加工機によって本体に取り付け可能な形状に加工されているので、金属ワイヤを徐々に本体に巻き付けてゆくような加工方法とは異なり、金属ワイヤをあらかじめ所期の形状に加工しておいて、金属ワイヤを本体に対して簡単に取り付けることができる。
【0018】
次に、請求項3に記載の導電部材は、請求項1または請求項2に記載の導電部材において、前記金属ワイヤは、前記本体に弾性変形を伴って圧接する形状とされていることを特徴とする。
【0019】
このような導電部材によれば、金属ワイヤのばね性を利用して、金属ワイヤを本体に対して取り付けることができる。また、このような取り付け方であれば、本体と金属ワイヤは、いくらか相対的に摺動することが許容される取り付け状態となるので、本体や金属ワイヤの一部を湾曲可能な構造とした場合に、一方が他方を過剰に拘束することがなく、湾曲させやすい構造にすることができる。
【0020】
請求項4に記載の導電部材は、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の導電部材において、前記金属ワイヤは、前記第1,第2の部材の内、少なくとも一方の部材に弾性変形を伴って圧接する形状とされていることを特徴とする。
【0021】
このような導電部材によれば、第1,第2の部材の内、金属ワイヤが圧接する部材と金属ワイヤとの間には、余計な空隙等が生じにくく、金属ワイヤがしっかりとフィットするので、金属ワイヤが圧接する部材と金属ワイヤとの電気的な接続を、より確実なものとすることができる。
【0022】
請求項5に記載の導電部材は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の導電部材において、前記金属ワイヤよりも柔軟に変形する導電性接触面で、前記第1,第2の部材の内、少なくとも一方の部材に接触する軟質導電体を備えており、前記軟質導電体は、前記金属ワイヤに拘束されることにより、前記本体に取り付けられていることを特徴とする。
【0023】
このような導電部材によれば、金属ワイヤが軟質導電体を固定するための部材としても機能し、同時に金属ワイヤと軟質導電体とが電気的に接続される。したがって、軟質導電体が接触する部材については、金属ワイヤが接触する場合以上に傷つきにくくすることができる。
【0024】
請求項6に記載の導電部材は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の導電部材において、前記第1の部材は、アース電位を持つ金属パネルを有するとともに、前記金属パネルにケーブル挿通口として利用される切欠または穴が形成されている部材であり、前記第2の部材は、アース線を有するケーブルであり、前記本体は、前記ケーブル挿通口内周側のエッジを覆うことにより、前記ケーブル挿通口に通された前記ケーブルが前記エッジに直接接触するのを防止可能な形態とされており、前記金属ワイヤは、前記ケーブルが有する前記アース線と前記金属パネルとの間に形成される前記導電路の少なくとも一部を形成することを特徴とする。
【0025】
このような導電部材によれば、ケーブル挿通口に通されたケーブルが、ケーブル挿通口内周側のエッジに直接接触するのを防止することができ、しかも、ケーブルが有するアース線と金属パネルを電気的に接続できるので、ケーブル経由のノイズ漏出を防止することができる。
【0026】
請求項7に記載の導電部材は、請求項1〜請求項5のいずれかに記載の導電部材において、前記第1,第2の部材は、アース電位を持つ部分を有する板状部を備えた部材であり、前記本体は、第1の部材と前記第2の部材との間に所定の空隙を形成するスペーサとして機能する形態とされており、前記金属ワイヤは、前記第1の部材が有する前記アース電位を持つ部分と前記第2の部材が有する前記アース電位を持つ部分との間に形成される前記導電路の少なくとも一部を形成することを特徴とする。
【0027】
このような導電部材によれば、第1の部材と第2の部材との間に所定の空隙を形成することができ、しかも、両部材が有するアース電位を持つ部分を電気的に接続することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
次に、本発明を実施するための最良の形態について、具体的な例を挙げて説明する。
(1)第1実施形態
まず、第1実施形態について説明する。
【0029】
図1は、本発明の導電部材の一例に相当するケーブル保持具1の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図である。図2は、ケーブル保持具1が備える本体3の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図である。図3は、ケーブル保持具1が備える金属ワイヤ5の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図である。
【0030】
図4は、ケーブル保持具1全体の形態を示した参考図である。図5は、金属ワイヤ5の形態についての参考図であり、(a)はワイヤフォーミング加工直後の形態を示す斜視図、(b)は追加のかしめ加工を施した後の最終的な形態を示す斜視図である。図6は、ケーブル保持具1の取り付け手順を示す説明図である。
【0031】
ケーブル保持具1は、図1(a)〜同図(f)に示すように、樹脂材料製(本実施形態においてはポリアミド製)の本体3と、金属ワイヤ5と、発泡ポリウレタンの芯材を導電性布で被覆した構造の軟質導電体7とを備えている。
【0032】
本体3は、図2(a)〜同図(f)に示すように、略コの字状をなす形態に成形されたケーブル収容部11と、ケーブル収容部11から延出された開閉部13とを備えている。この開閉部13の付け根付近には、他の部分よりも薄肉とされたヒンジ部15が形成されている。また、開閉部13の先端には係合部17が形成され、一方、ケーブル収容部11には被係合部19が形成されている。このような本体3において、ヒンジ部15を屈曲させると、係合部17と被係合部19とを係合させることができ、これにより、開閉部13でケーブル収容部11の開環部分を閉じて、本体3を環状(図6(d)参照)にすることができる。
【0033】
金属ワイヤ5は、基本的な形状がワイヤフォーミング加工機で成形加工されたものであり、図3(a)〜同図(f)に示すように、本体3に形成された凸部や凹部に合わせて屈曲加工され、これにより、本体3に取り付けると、本体3上の所定位置にぴったりと嵌り込む形態になっている。
【0034】
金属ワイヤ5の両端にある部分は、本体3に圧接する圧接部21、22となっていて、本体3を圧接部21、22間に挟み込むかたちで圧接することにより、金属ワイヤ5の本体3に対するがたつきを抑制している。
【0035】
また、金属ワイヤ5の中央付近にある部分は、軟質導電体7を保持する保持部23となっている。この保持部23は、ワイヤフォーミング加工機での成形加工直後は、図5(a)に示すような形態に加工されるものであるが、この形態のまま本体3に取り付けられた後、追加のかしめ加工を行って、図5(b)に示すような形態に加工される。このかしめ加工を行う際、保持部23は、本体3上に取り付けられた軟質導電体7を締め付けるように保持し、これにより、金属ワイヤ5と軟質導電体7が電気的に接続された状態になる。
【0036】
ケーブル保持具1は、図6(a)に示すような、金属パネルPに対して取り付けられる。この金属パネルPは、シールドケース(本発明でいう第1の部材に相当)の一部を構成するものであり、金属パネルPには、ケーブル挿通口として利用される切欠Dが形成されている。
【0037】
ケーブル保持具1を切欠Dに装着する際には、本体3や金属ワイヤ5を弾性変形させつつ切欠Dに押し込めばよい。ケーブル保持具1を適正な位置まで押し込むと、本体3や金属ワイヤ5の弾性変形していた部分の形状が復元して、本体3上の凹凸が切欠Dの凹凸に係合するので、ケーブル保持具1は切欠Dから容易には外れない状態となる。また、この状態において、金属ワイヤ5は金属パネルPに接触する状態になる。
【0038】
こうしてケーブル保持具1を切欠Dに装着したら、次に、図6(b)に示すように、ケーブル保持具1の内側にケーブルC(本発明でいう第2の部材に相当)が導入される。このとき、ケーブルCは、最外周の被覆層(図示略)が部分的に剥がされて、その下層にあるアース線(図示略)が軟質導電体7に接触するように配置される。
【0039】
そして、図6(c)に示すように、開閉部13が閉じられ、その結果、図6(d)に示すように、ケーブルCがケーブル保持具1に保持された状態になる。この状態において、軟質導電体7は変形を伴ってケーブルCのアース線に圧接し、金属ワイヤ5も軟質導電体7を絞り込むような状態で軟質導電体7に圧接し、さらに、金属ワイヤ5は上述の通り金属パネルPに接触している。したがって、金属ワイヤ5および軟質導電体7は、金属パネルPとケーブルCのアース線との間に導電路を形成する。
【0040】
以上説明したようなケーブル保持具1を金属パネルPに装着すれば、ケーブル保持具1が備える本体3が、上記切欠D内周側のエッジを覆うことができる形態になっているので、本体3の内側に通されたケーブルCが、切欠D内周側のエッジに直接接触するのを防止できる。したがって、ケーブルCが切欠D内周側のエッジで傷つかないようにすることができる。
【0041】
しかも、金属ワイヤ5および軟質導電体7は、金属パネルPとケーブルCのアース線との間に導電路を形成するので、ケーブルCが有するアース線と金属パネルPを電気的に接続でき、ケーブルC経由でノイズが漏出するのを防止ないし抑制することができる。
【0042】
特に、導電路を形成する部材として、金属ワイヤ5を使用しているので、樹脂部品に金属めっきを施したものとは異なり、金属ワイヤ5が金属パネルPやケーブルCに接触しても、薄膜状金属の断片が剥がれるようなことがない。したがって、薄膜状金属の断片が剥がれ落ちることに起因する短絡などが発生しない。
【0043】
また、金属ワイヤ5としては、エッジのない円形断面のものを用いることができるので、樹脂部品に板金部品を取り付けたものとは異なり、導電路を形成する部材のエッジ対策も不要となる。したがって、エッジ対策のために設計に手間がかかることもない。
【0044】
さらに、金属ワイヤ5のばね性を利用して、金属ワイヤ5を本体3に対して圧接させてあるので、金属ワイヤ5を本体3に対してがたつき無く取り付けることができる。また、このような取り付け方であれば、本体3と金属ワイヤ5は、いくらか相対的に摺動することが許容される取り付け状態となるので、切欠Dへの取り付け時に本体3や金属ワイヤ5の一部を変形させても、一方が他方を過剰に拘束することがなく、ケーブル保持具1全体を変形させやすい構造にすることができる。また、金属ワイヤ5のばね性を利用しているので、樹脂製の本体3だけでは実現できないような高いばね性を付与することも可能となり、ケーブルCに対する圧接強度や金属パネルPに対する圧接強度を、樹脂製の本体3単体よりも改善することができる。
【0045】
加えて、軟質導電体7を設けて、この軟質導電体7をケーブルCに圧接させるようにしたので、金属ワイヤ5が直接接触するもの以上に、ケーブルCを傷つけにくくすることができる。また、ケーブルCの径が太い場合でも、軟質導電体7が潰れることにより、ケーブルCを保持することができるので、単一のケーブル保持具1で、様々な太さのケーブルCに対応することができる。さらに、軟質導電体7の厚みを変更すれば、金属ワイヤ5を変更しなくても、さらに様々な太さのケーブルCにも対応可能となる。
【0046】
また、軟質導電体7は、金属ワイヤ5によって拘束されているので、単に接着剤や両面粘着テープ等で軟質導電体7を貼り付けてあるものに比べ、軟質導電体7の取り付け強度が高く、軟質導電体7がケーブルCからの力を受けても本体3から剥がれ落ちるようなことがない。
(2)第2実施形態
次に、第2実施形態について説明する。なお、第2実施形態以降の実施形態は、一部の構成が上記第1実施形態とは相違するものの、共通部分も多いので、以下の説明では、第1実施形態との相違点を中心に詳述し、共通部分に関しては、第1実施形態と同じ符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0047】
図7は、本発明の導電部材の一例に相当するケーブル保持具31の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図である。図8は、ケーブル保持具31が備える金属ワイヤ35の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図である。図9は、ケーブル保持具1全体の形態を示した参考図である。
【0048】
ケーブル保持具31は、図7(a)〜同図(f)に示すように、樹脂材料製(本実施形態においてはポリアミド製)の本体3と、金属ワイヤ35とを備えるもので、その機能や使用方法は、第1実施形態のケーブル保持具1と同様のものである。また、本体3は、第1実施形態のケーブル保持具1と全く同一のものである。
【0049】
一方、金属ワイヤ35は、第1実施形態と同様、ワイヤフォーミング加工機で成形加工されたものであるが、図8(a)〜同図(f)に示すように、一部の形状が第1実施形態の金属ワイヤ5とは異なる形状に加工されている。
【0050】
具体的には、金属ワイヤ35の両端にある部分は、本体3に圧接する圧接部21、22となっており、この部分は、第1実施形態同様、本体3を圧接部21、22間に挟み込むかたちで圧接することにより、金属ワイヤ35の本体3に対するがたつきを抑制する役割を果たしている。
【0051】
一方、金属ワイヤ35は、第1実施形態の金属ワイヤ5とは異なり、ケーブル受け部41と、ケーブル圧接部43とを有する形状に屈曲させてある。これらケーブル受け部41およびケーブル圧接部43は、第1実施形態において示した軟質導電体7の代わりに、ケーブルとの接点として機能する部分である。
【0052】
特に、ケーブル圧接部43は、きわめて弾性変形しやすい形態になっているため、細めのケーブルをケーブル受け部41に接触する位置まで導入できるのはもちろんのこと、やや太めのケーブルであっても、ケーブル圧接部43を弾性変形させつつ、ケーブルをケーブル受け部41に接触する位置まで導入することができる。
【0053】
また、そのようなケーブル圧接部43の弾性変形に伴い、ケーブル圧接部43はケーブルに圧接するので、ケーブルとケーブル圧接部43との電気的な接続をより確実なものとすることができる。
【0054】
以上のように構成されたケーブル保持具31でも、金属ワイヤ35を介して金属パネルとケーブルが有するアース線との間の導電路を形成できるので、樹脂部品に金属めっきを施した場合のように薄膜状金属の断片が剥がれる心配はなく、樹脂部品に板金部品を取り付けた場合のようにエッジ対策を考慮することも不要な導電部材となる。
(3)第3実施形態
次に、第3実施形態について説明する。
【0055】
図10は、本発明の導電部材の一例に相当するケーブル保持具51の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図である。図11は、ケーブル保持具51が備える金属ワイヤ55の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図である。
【0056】
ケーブル保持具51は、図10(a)〜同図(f)に示すように、樹脂材料製(本実施形態においてはポリアミド製)の本体3と、金属ワイヤ35とを備えるもので、その機能や使用方法は、第1実施形態のケーブル保持具1と同様のものである。また、本体3は、第1実施形態のケーブル保持具1や第2実施形態のケーブル保持具31と全く同一のものである。
【0057】
一方、金属ワイヤ55は、第1,第2実施形態と同様、ワイヤフォーミング加工機で成形加工されたものであるが、図11(a)〜同図(f)に示すように、一部の形状が第1実施形態の金属ワイヤ5や第2実施形態の金属ワイヤ35とは異なる形状に加工されている。
【0058】
具体的には、金属ワイヤ55は、第2実施形態の金属ワイヤ35が備えていたケーブル受け部41およびケーブル圧接部43の内、ケーブル受け部41を残して、ケーブル圧接部43だけを省略したものに相当する形態となっている。
【0059】
このような形態の金属ワイヤ55を採用すると、第2実施形態とは異なり、ケーブル圧接部43が存在しないので、ケーブル圧接部43をケーブルに圧接させることはできなくなるが、その代わりに、より太めのケーブルをケーブル保持具に導入することができるようになる。
【0060】
したがって、比較的細めのケーブルを保持したい場合には、第2実施形態で例示したケーブル保持具31を使用すると好ましく、一方、比較的太めのケーブルを保持したい場合には、第3実施形態で例示したケーブル保持具51を使用すると好ましい。
【0061】
以上のように構成されたケーブル保持具51でも、金属ワイヤ55を介して金属パネルとケーブルが有するアース線との間の導電路を形成できるので、樹脂部品に金属めっきを施した場合のように薄膜状金属の断片が剥がれる心配はなく、樹脂部品に板金部品を取り付けた場合のようにエッジ対策を考慮することも不要な導電部材となる。
(4)第4実施形態
次に、第4実施形態について説明する。先に説明した第1〜第3実施形態では、ケーブル保持具として機能する導電部材について説明したが、第4実施形態では、スペーサとして機能する導電部材について説明する。
【0062】
図12は、本発明の導電部材の一例に相当するスペーサ61の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図である。図13は、スペーサ61が備える本体63の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図である。図14は、スペーサ61が備える金属ワイヤ65の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図である。図15は、スペーサ61全体の形態を示した参考図である。図16は、スペーサ61の使用状態を示す参考図である。
【0063】
スペーサ61は、図12(a)〜同図(f)に示すように、樹脂材料製(本実施形態においてはポリアミド製)の本体63と、金属ワイヤ65とを備えている。
本体63は、図13(a)〜同図(f)に示すように、支柱71の一端に第1取付部73を設けるとともに、支柱71の他端に第2取付部75を設けた構造になっている。
【0064】
支柱71には、金属ワイヤ65を取り付けるための取付溝71aが形成され、この取付溝71aに金属ワイヤ65を取り付けることにより、金属ワイヤ65の支柱71に対する取付位置がずれないようになっている。
【0065】
また、第1取付部73は、あらかじめ金属パネルPに所定形状の取付穴および係合穴を形成しておいて、それら取付穴および係合穴を利用して金属パネルPに対する固定ができる構造になっている。
【0066】
より詳しくは、第1取付部73は、金属パネルPに形成された取付穴に対して、金属パネルPの表裏両面の内、一方側から挿し込まれて他方側に引っかかる係止突起73aと、前記一方側に圧接する圧接片73bとを備えている。
【0067】
金属パネルPに形成される取付穴は、係止突起73aを通過させることができる形状とされるが、この取付穴に係止突起73aを挿し込んだ後、スペーサ61の挿込方向となる軸線を回転中止としてスペーサ61を90度回転させると、係止突起73aが金属パネルPに引っかかる異形の取付穴となっている。
【0068】
また、取付穴の両脇には係合穴が形成され、取付穴に係止突起73aを挿し込んだ後、スペーサ61を90度回転させると、圧接片73bの先端にある凸部73cが係合穴に嵌り込み、これにより、スペーサ61の回転が規制される状態になる。
【0069】
このようにして係止突起73aを取付穴に取り付けると、係止突起73aをそのまま真っ直ぐに取付穴から引き抜くことはできない状態となる。しかも、係止突起73aを取付穴に取り付けた際に、圧接片73bは弾性変形して金属パネルPに圧接し、これにより、係止突起73aを引き抜く方向へ付勢する状態となる。その結果、金属パネルPは、係止突起73aと圧接片73bとの間にしっかりと挟み込まれる状態となり、第1取付部73は、金属パネルPに対してがたつきなく固定されることになる。
【0070】
一方、第2取付部75は、あらかじめプリント配線板PWBに所定形状の取付穴を形成しておいて、その取付穴を利用してプリント配線板PWBに対する固定ができる構造になっている。
【0071】
より詳しくは、第2取付部75は、プリント配線板PWBに形成された取付穴に対して、プリント配線板PWBの表裏両面の内、一方側から挿し込まれて他方側に引っかかる逆止片75aと、前記一方側に圧接する圧接片75bとを備えている。
【0072】
プリント配線板PWBに形成される取付穴は、逆止片75aの外径よりもやや小径の穴とされるが、逆止片75aは、プリント配線板PWBに形成された取付穴に前記一方側から挿し込まれる際に、弾性変形を伴って外径が小さくなる。そして、取付穴を通過したところで、弾性変形していた部分の形状が復元することで拡開し、前記他方側の面に引っかかる状態になる。
【0073】
また、逆止片75aには、プリント配線板PWBに形成された取付穴の内周面に当接して、逆止片75aが過剰に拡開するのを阻止する拡開阻止片75cが付設されている。この拡開阻止片75cは、逆止片75aが取付穴を通過しても、完全に取付穴を通過することがなく、取付穴の内周側に残留した状態になるので、これにより、逆止片75aの過剰な拡開は阻止されることになる。
【0074】
このようにして逆止片75aを取付穴に取り付けると、逆止片75aをそのまま真っ直ぐに取付穴から引き抜くことはできない状態となる。しかも、逆止片75aを取付穴に取り付けた際に、圧接片75bは弾性変形してプリント配線板PWBに圧接し、これにより、逆止片75aを引き抜く方向へ付勢する状態となる。その結果、プリント配線板PWBは、逆止片75aと圧接片75bとの間にしっかりと挟み込まれる状態となり、第2取付部75は、プリント配線板PWBに対してがたつきなく固定されることになる。
【0075】
さらに、金属ワイヤ65は、ワイヤフォーミング加工機で成形加工されたものであり、図14(a)〜同図(f)に示すように、本体63に形成された凸部や凹部に合わせて屈曲加工され、取付部81を本体63の支柱71に形成された取付溝71aに取り付けると、本体63上の所定位置にぴったりと固定される形態になっている。
【0076】
金属ワイヤ65の両端にある部分は、自身のばね性で金属パネルPに対して圧接する第1接点部83と、同じく自身のばね性でプリント配線板PWBのアース電位を持つパターンに対して圧接する第2接点部85となっている。
【0077】
以上のように構成されたスペーサ61は、図16(a)〜同図(c)に示すように、金属パネルPに対して取り付けられ、この金属パネルPに対して平行に配置されるプリント配線板PWBを保持することができる。なお、スペーサ61を取り付けるために金属パネルPおよびプリント配線板PWBそれぞれに形成される取付穴は、いずれも金属パネルPおよびプリント配線板PWBそれぞれを貫通する形態の穴とされるが、図16においては、スペーサ61の取り付け構造を見やすくするため、便宜的に、金属パネルPおよびプリント配線板PWBを取付孔付近で切断した状態で図示してある。
【0078】
このような形態でスペーサ61を金属パネルPおよびプリント配線板PWBに取り付けた際、金属ワイヤ65は、プリント配線板PWBのアース電位を持つパターンと金属パネルPとを電気的に接続する導電路として機能する。
【0079】
したがって、このようなスペーサ61によれば、金属パネルPとプリント配線板PWBとの間に所定の空隙を形成することができ、しかも、プリント配線板PWBのアース電位を持つパターンと金属パネルPの双方を電気的に接続することができる。
【0080】
また、このようなスペーサ61であれば、樹脂部品に金属めっきを施した場合のように薄膜状金属の断片が剥がれる心配はなく、樹脂部品に板金部品を取り付けた場合のようにエッジ対策を考慮することも不要な導電部材となる。
(5)変形例等
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明は上記の具体的な一実施形態に限定されず、この他にも種々の形態で実施することができる。
【0081】
例えば、上記実施形態では、本発明の導電部材として、ケーブル保持具として機能するもの、スペーサとして機能するものを例示したが、他の機能を持つものにおいても、二部材間を電気的に接続する機能を持たせたいことがあるので、そのような場合に、本発明の構成を採用することができる。
【0082】
具体的には、例えば、上記第1実施形態のケーブル保持具は、切欠に装着する形態となっていたが、第1実施形態と同様の開閉可能な環状構造に対して、第2実施形態と同様の金属パネルPに対する取り付けが可能な支柱を付加することにより、金属パネルPから所定距離だけ離れた位置でケーブルを保持可能なケーブル保持具を構成することもできる。
【0083】
この場合でも、金属ワイヤを利用してケーブルのアース線と金属パネルとを電気的に接続すれば、ノイズ対策などを実現することができる。しかも、この場合も、樹脂部品に金属めっきを施した場合のように薄膜状金属の断片が剥がれる心配はなく、樹脂部品に板金部品を取り付けた場合のようにエッジ対策を考慮することも不要となる。
【0084】
この他、ケーブルを所定の経路沿いに配線するためのダクト類やガイドレール類などを金属パネルに取り付ける場合においても、これらに金属ワイヤによって構成された導電路を設けることにより、ケーブルのアース線と金属パネルとを電気的に接続することができる。
【0085】
また、上記第1実施形態では、発泡ポリウレタンの芯材を導電性布で被覆した構造の軟質導電体7を例示したが、このような軟質導電体の具体的な構造は、上記のものに限定されない。例えば、導電性布に代えて、導電性メッシュ、導電性ゴム、導電性エラストマー、導電性スポンジなどを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】本発明の導電部材の一例に相当するケーブル保持具1の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図。
【図2】ケーブル保持具1が備える本体3の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図。
【図3】ケーブル保持具1が備える金属ワイヤ5の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図。
【図4】ケーブル保持具1全体の形態を示した参考図。
【図5】金属ワイヤ5の形態についての参考図であり、(a)はワイヤフォーミング加工直後の形態を示す斜視図、(b)は追加のかしめ加工を施した後の最終的な形態を示す斜視図。
【図6】ケーブル保持具1の取り付け手順を示す説明図。
【図7】本発明の導電部材の一例に相当するケーブル保持具31の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図。
【図8】ケーブル保持具31が備える金属ワイヤ35の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図。
【図9】ケーブル保持具1全体の形態を示した参考図。
【図10】本発明の導電部材の一例に相当するケーブル保持具51の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図。
【図11】ケーブル保持具51が備える金属ワイヤ55の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図。
【図12】本発明の導電部材の一例に相当するスペーサ61の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図。
【図13】スペーサ61が備える本体63の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図。
【図14】スペーサ61が備える金属ワイヤ65の六面図であり、(a)は平面図、(b)は左側面図、(c)は正面図、(d)は右側面図、(e)は底面図、(f)は背面図。
【図15】スペーサ61全体の形態を示した参考図。
【図16】スペーサ61の使用状態を示す参考図。
【符号の説明】
【0087】
1,31,51・・・ケーブル保持具、3,63・・・本体、5,35,55,65・・・金属ワイヤ、7・・・軟質導電体、11・・・ケーブル収容部、13・・・開閉部、15・・・ヒンジ部、17・・・係合部、19・・・被係合部、21・・・圧接部、23・・・保持部、41・・・ケーブル受け部、43・・・ケーブル圧接部、61・・・スペーサ、71・・・支柱、71a・・・取付溝、73・・・第1取付部、73a・・・係止突起、73b,75b・・・圧接片、73c・・・凸部、75・・・第2取付部、75a・・・逆止片、75c・・・拡開阻止片、81・・・取付部、83・・・第1接点部、85・・・第2接点部、C・・・ケーブル、D・・・切欠、P・・・金属パネル、PWB・・・プリント配線板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1,第2の部材それぞれに接触する状態で使用されて、前記第1の部材と前記第2の部材との間に導電路を形成する導電部材であって、
樹脂材料製の本体と、
前記本体に対して取り付けられた金属ワイヤと
を備え、
前記金属ワイヤが、前記第1,第2の部材の内、少なくとも一方の部材に接触することにより、前記導電路の少なくとも一部を形成する
ことを特徴とする導電部材。
【請求項2】
前記金属ワイヤは、ワイヤフォーミング加工機によって前記本体に取り付け可能な形状に加工されたものである
ことを特徴とする請求項1に記載の導電部材。
【請求項3】
前記金属ワイヤは、前記本体に弾性変形を伴って圧接する形状とされている
ことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の導電部材。
【請求項4】
前記金属ワイヤは、前記第1,第2の部材の内、少なくとも一方の部材に弾性変形を伴って圧接する形状とされている
ことを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の導電部材。
【請求項5】
前記金属ワイヤよりも柔軟に変形する導電性接触面で、前記第1,第2の部材の内、少なくとも一方の部材に接触する軟質導電体を備えており、
前記軟質導電体は、前記金属ワイヤに拘束されることにより、前記本体に取り付けられている
ことを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の導電部材。
【請求項6】
前記第1の部材は、アース電位を持つ金属パネルを有するとともに、前記金属パネルにケーブル挿通口として利用される切欠または穴が形成されている部材であり、
前記第2の部材は、アース線を有するケーブルであり、
前記本体は、前記ケーブル挿通口内周側のエッジを覆うことにより、前記ケーブル挿通口に通された前記ケーブルが前記エッジに直接接触するのを防止可能な形態とされており、
前記金属ワイヤは、前記ケーブルが有する前記アース線と前記金属パネルとの間に形成される前記導電路の少なくとも一部を形成する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の導電部材。
【請求項7】
前記第1,第2の部材は、アース電位を持つ部分を有する板状部を備えた部材であり、
前記本体は、第1の部材と前記第2の部材との間に所定の空隙を形成するスペーサとして機能する形態とされており、
前記金属ワイヤは、前記第1の部材が有する前記アース電位を持つ部分と前記第2の部材が有する前記アース電位を持つ部分との間に形成される前記導電路の少なくとも一部を形成する
ことを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれかに記載の導電部材。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図16】
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【図4】
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【図5】
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【図9】
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【図15】
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【公開番号】特開2009−123778(P2009−123778A)
【公開日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−293468(P2007−293468)
【出願日】平成19年11月12日(2007.11.12)
【出願人】(000242231)北川工業株式会社 (268)
【出願人】(000132024)株式会社ジャルコ (5)
【Fターム(参考)】