説明

小便器排水管の尿石除去装置

【課題】 小便器の排水口や排水管における尿石の付着を確実に防止できるようにする。
【解決手段】 尿石除去液が収容された薬液用タンク18と、該薬液用タンク18が内装されると共に、薬液用タンク18に連結接続された排液管23が外部に連通すべく導出された容器17と、容器17を小便器1の内壁面7、8に取り付けるための支持部材16と、薬液用タンク18と排液管23の連結部に設けられた開閉弁20と、開閉弁20を制御する制御手段21とを備えた小便器排水管の尿石除去装置において、薬液を小便器1の排水口4に直接供給できるよう、排液管23の排出口を小便器1の排水口4の上方に位置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小便器の排水管に付着する尿石を除去するための小便器排水管の尿石除去装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来のこの種の小便器排水管の尿石除去装置としては、例えば排尿後に流出される小便器の排水を容器内部に取り込むと共に、取り込んだ排水を利用して薬剤を溶解し、この薬液を、小便器の背壁部、排水口、排水管に流すことによって、尿石の排水口や排水管への付着を防止しているものが公知になっている(特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2003−247256号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記従来の小便器排水管の尿石除去装置の場合、小便器の排水を利用して薬剤を溶解した後、小便器の背壁部に沿って流しているので、尿石が付着しやすい排水口や排水管に到達するまでに、希釈されて薬剤の効果が充分に作用せず、排水口や排水管における尿石の付着を防止するのが困難になるという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、上記問題点を鑑み、尿石の排水口や排水管への付着を確実に防止できる小便器排水管の尿石除去装置を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記課題を解決するために、本発明に係る小便器排水管の尿石除去装置は、尿石除去剤が溶解されて収容された薬液用タンク18と、該薬液用タンク18が内装されると共に、薬液用タンク18に連結接続された排液管23が外部に連通すべく導出された容器17と、該容器17を小便器1の内壁面7、8に取り付けるための支持部材16と、薬液用タンク18と排液管23からの流出量を制御する制御手段20、21とを備えた小便器排水管の尿石除去装置において、上記薬液を小便器1の排水口4に直接供給できるよう、排液管23の排出口が小便器1の排水口4の上方に位置してなることを特徴とする。
【0006】
この場合、薬液を、小便器1の排水口4や、該排水口4に連通する流出水路に直接供給できるので、小便器1における尿石の排水口4や排水管(流出水路)の壁面への付着を確実に防止できる。
【0007】
また本発明の小便器排水管の尿石除去装置は、尿石除去液が収容された薬液用タンク18と、該薬液用タンク18が内装されると共に、薬液用タンク18に連結接続された排液管23が外部に連通すべく導出された容器17と、該容器17を小便器1の内壁面7、8に取り付けるための支持部材16と、薬液用タンク18と排液管23からの流出量を制御する制御手段20、21とを備えた小便器排水管の尿石除去装置において、
上記薬液を小便器1の排水口4に直接供給できるよう、排液管23の排出口が小便器1の排水口4の上方に位置してなることを特徴とする。
【0008】
この場合、薬液用タンク18と制御手段20,21を容器17に一体化した状態で実装できる。しかも、薬液用タンク18及び制御手段20,21が容器17に内装されるので、見栄えがよい。
【0009】
上記薬液用タンク18又は容器17は、内壁面7、8との間に排水流路となる空間Gが形成されるよう、内壁面7、8に取り付けるような構成を採用することができる。
【0010】
この場合、小便器1における排水を薬液用タンク18や容器17によって妨げることがないので、小便器1の内壁面7、8の洗浄に支障をきたすことがない。
【発明の効果】
【0011】
以上のように、本発明によれば、薬液の排液部の排出口を小便器の排水口の上方に位置させるようにしたので、薬液が希釈されることなく直接供給され、小便器の排水口、及び該排水口に連通する排水管(流出水路)における尿石の付着を確実に防止できる効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の一実施形態に係る小便器排水管の尿石除去装置について、添付図面を参照しつつ説明する。
本実施形態に係る小便器排水管の尿石除去装置の構成を説明するに際して、まず小便器の構成について図3を参照して説明する。該小便器1は、尿、薬液、排水を外部に流出するための流出水路3が形成された底壁部2と、該流出水路3の開口部、即ち排水口4に設けられた蓋体5と、底壁部2の周囲を覆うように設けられた受け部6と、底壁部2の後側に立設された曲面を有する背壁部7及び側壁部8と、該背壁部7の上部に設置された射水により小便器1内部を洗浄する給水管9と、小便器1の正面に位置する人体を感知するセンサ10と、該センサ10の感知信号に基づいて給水管9に導水する開閉弁(図示せず)とから構成されている。なお、底壁部2、背壁部7、側壁部8を小便器1の内壁面とする。
【0013】
受け部6は、底壁部2に流出する尿、及び底壁部2の周囲に飛散する尿を外部に漏らすことがないよう、底壁部2の周囲を覆っている。
【0014】
そして、小便器排水管の尿石除去装置15は、図1及び図2(イ)、(ロ)に示すように、小便器1の背壁部7の上部に着脱可能に止着された支持部材16と、該支持部材16に支持された容器17と、薬液として、尿石洗浄剤が溶解されて収容された薬液用タンク18と、該薬液用タンク18の下端中央部に設けられた給水口19と、該給水口19に取り付けられた開閉弁としての電磁弁20と、該電磁弁20の開放時間を制御して薬液の供給量を調整する制御手段としてのタイマー21と、電磁弁20及びタイマー21に電源を供給する電源部22と、一端部が電磁弁20の給水ポートに接続され、他端部が容器17の底部中央を貫通して外部に導出された排液部としての排液管23とを備えている。
【0015】
支持部材16は、裏面に両面テープ25が接着された正面視矩形状の取付部16aと、該取付部16aの両側に立設された側面視三角形状の支持部16b、16bとを有している。そして、取付部16aは、可撓性を有しており、図2(ロ)に示すように、小便器1の背壁部7の曲面に沿うようになっている。そして、取付部16aは、両面テープ17によって小便器1の背壁部7に着脱可能に止着されると共に、両支持部16b、16bによって、容器17が小便器1の背壁部7から少し離間した状態で安定支持される。この際、両支持部16b、16bは、背壁部7の曲面に対して垂直に支持される。
【0016】
容器17は、直方体形状を呈し、外部に導出された排水管23の開口端部が小便器1の排水口4の上方に位置している。
【0017】
薬液用タンク18は、胴部が角柱状に形成されると共に、底部が漏斗状に形成され、排液しやすいようになっている。
【0018】
電源部22は、乾電池式、交流電源のいずれであってもよい。但し、交流電源の場合、交流電源を直流電源に変換するためのインバータが必要になる。
【0019】
つぎに小便器排水管の尿石除去装置の使用態様につき、既設の小便器1を例にとって説明する。まず、容器17を支持部材16の両支持部16b、16bに予めねじ止めしておき、該支持部材16の裏面に貼着されている両面テープ25の剥離紙を剥がして、両面テープ25の接着層を小便器1の背壁部7に接着し、容器17を小便器1に固定する。この際、小便器1の背壁部7と容器17との間に小便器1の排水流路としての空間Gが形成される。
【0020】
そして、小便器1の前方に人が立つと、人体をセンサ10が感知して、センサ10の感知信号により開閉弁が開いて、給水管9を介して小便器1に射水が行われる一方、小便器排水管の尿石除去装置のタイマー21が作動して、給水管に9よる射水後、所定時間、例えば30秒間、薬液が小便器1の排水口4に滴下される。
【0021】
つまり、薬液が排水口4に直接滴下されるので、薬液が希釈されることがなく、尿石の付着を効果的に防止できる。また、従来のように、尿石除去剤を溶解するために小便器1の排水を内部に取り込むことがないので、容器17に係る負荷が軽減される分、支持部材16の強度も軽減される。
【0022】
なお、前記実施形態の場合、人体を感知するセンサ10の出力信号に基づいて、薬液を滴下するようにしたが、センサ10に関係なくタイマー21によって所定時間毎(例えば30分毎)に供給してもよい。また、薬液の供給方法としては、滴下ではなく流下させてもよく、例えば夜間のみ適量の薬液を流下し続けてもよい。
【0023】
さらに、前記実施形態の場合、既設の小便器1に小便器排水管の尿石除去装置を取り付けるようにしたが、新設される小便器に予め取り付けておいてもよい。
【0024】
また、前記実施形態の場合、両面テープ25によって小便器1に接着された支持部材16に容器17を取り付けるようにしたが、これに限定されるものではなく、例えば両面テープ25の代わりに吸着盤を用いてもよい。さらに、例えば図4(イ)に示すように、断面コ字形状の支持部材30を使用してもよく、適宜設計変更可能である。加えて、図4(ロ)に示すように、三角形状の支持部16bの代わりに、例えば耐水性を有する金属製や硬質樹脂製の線材による支持部160で支持してもよく、図4(ハ)に示すように、排水の抵抗を受けにくい断面形状(楕円)の棒材による支持部161で支持するようにしてもよい。この場合、排水に対して支障きたすことがない。
【0025】
さらに、前記実施形態の場合、排液管23の排出口を小便器1の排水口4の上方に位置するようにしたが、排出口の位置を前後左右に調整できるよう、支持部材16を調整可能な構成にしてもよい。
【0026】
加えて、前記実施形態の場合、小便器1は、人体を感知するセンサ10や該センサ10の感知信号に基づいて射水する給水管9が取り付けられていたものとしたが、どのような小便器1の構成や形状であってもよく、一般家庭用、公衆トイレのいずれであっても適用できるのは言うまでもない。また、小便器1の背壁部7、両側壁部8にそれぞれ取り付けるようにしてもよい。
【0027】
また、前記実施形態の場合、電磁弁20及びタイマー21を使用して、薬液を排出するようにしたが、毛細管現象を利用して排出するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明の一実施形態に係る小便器排水管の尿石除去装置の正面図である。
【図2】(イ)は小便器排水管の尿石除去装置の側面図、(ロ)は小便器排水管の尿石除去装置の平面図である。
【図3】小便器排水管の尿石除去装置を小便器に実装した状態の側断面図である。
【図4】(イ)〜(ハ)は支持部材の変形例を示した図である。
【符号の説明】
【0029】
1…小便器、2…底壁部、3…流出水路、4…排水口、5…蓋体、6…受け部、7…背壁部、8…側壁部、9…給水管、10…センサ、15…尿石除去装置、16、30…支持部材、16a…取付部、16b、160、161…支持部、17…容器、18…薬液用タンク、19…給水口、20…電磁弁(制御手段)、21…タイマー(制御手段)、22…電源部、23…排液部(排液管)、25…両面テープ、G…空間

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尿石除去液が収容された薬液用タンク(18)と、該薬液用タンク(18)に設けられた排液部(23)と、薬液用タンク(18)を小便器(1)の内壁面(7、8)に取り付けるための支持部材(16)とを備え、
上記薬液を小便器(1)の排水口(4)に直接供給できるよう、排液部(23)が小便器(1)の排水口(4)の上方に位置してなることを特徴とする小便器排水管の尿石除去装置。
【請求項2】
尿石除去液が収容された薬液用タンク(18)と、該薬液用タンク(18)が内装されると共に、薬液用タンク(18)に連結接続された排液管(23)が外部に連通すべく導出された容器(17)と、該容器(17)を小便器(1)の内壁面(7、8)に取り付けるための支持部材(16)と、薬液用タンク(18)と排液管(23)からの流出量を制御する制御手段(20、21)とを備えた小便器排水管の尿石除去装置において、
上記薬液を小便器(1)の排水口(4)に直接供給できるよう、排液管(23)の排出口が小便器(1)の排水口(4)の上方に位置してなることを特徴とする小便器排水管の尿石除去装置。
【請求項3】
上記薬液用タンク(18)又は容器(17)は、内壁面(7、8)との間に排水流路となる空間(G)が形成されるよう、内壁面(7、8)に取り付けられてなることを特徴とする請求項1又は2に記載の小便器排水管の尿石除去装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−321459(P2007−321459A)
【公開日】平成19年12月13日(2007.12.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−153600(P2006−153600)
【出願日】平成18年6月1日(2006.6.1)
【出願人】(591206142)株式会社リフレ (18)
【Fターム(参考)】