説明

小型加熱水蒸気装置

【課題】 空気中に存在する細菌やウィルスなどの微生物や化学物質を300℃以上の加熱水蒸気を使って分解する。
【解決手段】水及び水蒸気が効率良く加熱されるために、電磁誘導加熱により発熱される発熱体1が2つ以上設置され、水蒸気の移動方向にキャビテーショントラップ2が設けられており、蒸気吹き出し口3は、その上部に設けられた除菌室に設けられている構成とする。その除菌室は外部から空気を取込むファンと、その空気と効率良く混ざるフィンが設置され、冷却された水蒸気がリザーバータンクへ回収されるための配管が設置されている構成とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、空気中に存在するウィルス及び細菌などを加熱水蒸気により死滅させることを図った滅菌装置に関する。
【背景技術】
近年、空気清浄機では、ルチルなどの光触媒を担持させたフィルタを使う方法や、有害物質を帯電、または、イオン化させ、水のクラスターにより除去する方法や、正イオンや負イオンを発生させ、周囲の微生物や有害物質を除去する方法が知られている。
【特許文献】特開2007−289858号公報、特開2003−284766号公報
【0002】
しかしながら、医療機関において、医療治具の除菌処理には、高圧加熱水蒸気を使い、医療治具を確実に除去菌する手法が知られている。
【特許文献】特開2005−13688号公報
【0003】
加熱水蒸気は、電磁誘導加熱により発熱体を800℃以上の高温域に昇温させる方法が知られている。
【特許文献】特開平11−233245号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
以上、特開2007−289858及び特開2005−13688にて示される従来の空気清浄機では、一定の効果が見られるものの、医療機関が通常使っている除去菌処理程の効果が得られていない。一方、高圧加熱水蒸気を使った除菌処理は確実に除菌が出来るものの、空気清浄機のように空気に含まれる細菌やウィルスなどの微生物を死滅させることは出来ない。
【0005】
また、特開平11−233245で示されているガス体昇温装置は、ガス体を中心にしており、水及び水蒸気を同時に加熱することをしていない。そのため、小型化が出来ない問題があった。さらに、水の沸点は100℃であるため、100℃以上の発熱体と接触すると、水蒸気の泡により水との接触面積が小さくなり、効率良く加熱出来ないことや、水と接触している発熱体は水により冷却されるため100℃以上に上昇しないので水蒸気を十分に加熱出来ないなどの問題があった。
【0006】
さらに、電磁誘導加熱する部分が金属もしくは磁性体材料で覆われていないため、ペースメーカなどの医療機器を誤動作させる恐れがある。
【0007】
本発明は、このような従来の構成が有していた問題を解決しようとするものであり、加熱水蒸気を効率良く発生させ、その水蒸気を使って、空気中の細菌やウィルスなどの微生物を確実に死滅させ、特に、医療機関での清浄空気を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1の課題解決手段は、上記目的を達成するために、空気清浄機の内に水を供給するリザーバータンクが配置され、電磁誘導加熱によって加熱される発熱体に水が導入さる。加熱されて水蒸気となったガスは、上部に移動し、電磁誘導によって加熱される発熱体2により、その温度を250℃以上となる。250℃以上になった加熱蒸気は、発熱体上部の除菌室に設置された吹き出し口より吹き出し、外部から取り込まれた空気と混合され、空気のみ排出口より、排出される。
【0009】
本発明の第2の解決手段は、上記、電磁誘導加熱により加熱される発熱体は、効率的な加熱を行うために、水や水蒸気が通る配管であることと、その配管内に設置された水のみを加熱する発熱体と、水蒸気を加熱する発熱体に分かれている。必ずしも、切断されている必要はなく、熱的に分離されていればよい。また、水を加熱する発熱体と、水蒸気を加熱する発熱体の間には、キャビテーショントラップを設けたものである。
【0010】
本発明の第3の解決手段は、効率よく加熱を図るために、発熱体及び電磁誘導部分が、水のみを加熱する部分、蒸気を加熱する部分、高温蒸気を加熱する部分の3分割さており、水蒸気の流れをコントロールするためのキャビテーショントラップが発熱体間に設けられている構成とする。
【0011】
本発明の第4の解決手段は、上記、除菌室は、外部空気を取込むためのファンが設置されており、加熱水蒸気の噴き出し口に、外部空気と混合するための、フィンが配置されている。かならずしも、フィンではなくも、外部からの空気と十分混合させるために金属状のメッシュなどで、代用しても良い。冷却された水蒸気が回収されるための口が設置され、その除菌室は外部から空気を取込み、その空気と混合するための単板のフィンもしくは、らせん状のフィンが設置され、冷却された水蒸気がリザーバータンクへ回収されるための配管を設けたものである。
【0012】
本発明の第5の解決手段は、電磁誘導による加熱による発熱体を加熱するため、外部に漏れ電磁波を出さないために、装置全体もしくは、電磁誘導コイル部分に金属もしくは磁性体材料にて囲われている。
【発明の効果】
【0013】
上記、第1の課題解決手段による作用効果は次の通りである。リザーバータンクから供給された水は、配管発熱体の約1/3の部分まで満たし、電磁誘導加熱により加熱された配管発熱体や発熱体により水蒸気となる。その水蒸気は電磁誘導加熱にて加熱された発熱体と接し、加熱温度が容易に250℃以上となる。その加熱された水蒸気は除菌室に吹き出し、外部汚染空気と混合され、250℃以上であることから汚染空気中に存在する微生物を完全死滅させ、有害化学物質も分解され、汚染されていた空気から、微生物や有害物質などが取り除かれ、無害化される。
【0014】
上記、第2の課題解決手段による作用効果は次の通りである。水と水蒸気が移動する管内部に設置された発熱体を、水を加熱する発熱体と、水蒸気を加熱する発熱体に分離されているため、水や水蒸気、それぞれに対して効率のよい加熱が出来る構造となっている。また、キャビテーショントラップが設置されているため、水蒸気となったガスは効率良く管壁や発熱体表面と接触し、水蒸気の温度を250℃以上に上昇させることが可能となる。
【0015】
上記、第3の課題解決手段による作用効果は次の通りである。電磁誘導部分及び発熱体が3分割さていることから、水、水蒸気、高温水蒸気の比熱が異なるそれぞれの状態に加熱状態を合わせることが可能となり、電力効率の良い加熱が行える。
【0016】
上記、第4の課題解決手段による作用効果は次の通りである。250℃以上となった加熱された蒸気は、外部の汚染空気を取込んだ除菌室に取り込まれる。加熱された蒸気と外部空気は単板のフィンもしくは、らせん状のフィンにぶつかることで、外部から取り込まれた空気と混合された流れとなる。そのため、加熱水蒸気は、空気中の微生物や有害化学物質とほぼ100%近い確率で接触する。一旦、250℃以上のガスと接触したウィルスや細菌などの微生物は死滅し、その有機物は分解されてしまう。また、ホルムアルデヒドなどの有害化学物質も容易に熱分解し、無害化される。同時に、長い距離を移動する間に、加熱水蒸気は冷却され、水となり、リザーバータンクに、配管を通じ、回収される。
【0017】
上記、第5の課題解決手段による作用効果は次の通りである。加熱のために電磁誘導を起こすと、コイルが巻かれた部分を中心に、加熱に使われなかった電磁波が放出される。装置全体もしくは電磁誘導を起こす部分を中心に金属もしくは磁性体で覆われているため、外部へ電磁波が漏れることはない。そのため、ペースメーカ等の医療器具へ誤動作させるような現象は見られない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態として、実施例を図1に基づいて用いて説明する。
【実施例1】
【0019】
図1において、1は水を蓄えるリザーバータンクであり、2はリザーバータンクから配管発熱体3に接続されている。配管発熱体3の、外側にコイル6、その内側に、水に完全に浸される発熱体2、その上にキャビテーショントラップ7、その上部に水蒸気を加熱するための発熱体3、最上部には蒸気吹き出し口8が設けられている。
【0020】
加熱水蒸気の温度を制御するために温度センサー8が蒸気吹き出し口8の近傍に設けられている。蒸気吹き出し口は除菌室11内に設けられている。
【0021】
除菌室は、汚染空気を取込むための外気取り込み口9と外気取り込み口に金網フィルタ9−Aが設置されており、外気と蒸気が効率良く、混合されるために、フィン12が、蒸気吹き出し口の移動方向上に設けられ、蒸気により清浄化された空気を排出するための排出口と排出口の金網13フィルタ13−Aが設けられている。また、蒸気が冷却され、水がリザーバータンクへ戻るための配管14が、除菌室とリザーバータンクに接続されている。
【実施例2】
【0022】
図2において、3は水及び水蒸気を流し、さらに加熱される配管発熱体であり、4は水のみを加熱する発熱体2が配管中の底部に設置され、5は水蒸気を加熱するための発熱体3が発熱体2の上部もしくは水蒸気移動方向に設置され、5−Aは200℃以上に加熱するための発熱体4が発熱体3の上部もしくは水蒸気移動方向へ設置されている。水蒸気の流れをコントロールするためのキャビテーショントラップ7−Aが発熱体4と発熱体5、キャビテーショントラップ7が発熱体5と発熱体5−Aの間に設置されている。電磁誘導を発生させるコイル6、コイル6−A、コイル6−Bが、発熱体4、発熱体5、発熱体5−Aの外側に配置されている。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】本発明の実施例を示す空気清浄機の断面図
【図2】本発明の実施例を示す3分割された加熱部分の断面図
【符号の説明】
【0024】
1 リザーバータンク
2 配管1
3 配管発熱体1
4 発熱体2
5 発熱体3
6 コイル
7 キャビテーショントラップ
8 蒸気吹き出し口
9 外気取り込み口
9−A 金網1
10 ファン
11 除菌室
12 フィン
13 排出口
13−A 金網2
14 配管2
15 制御及びコイル駆動用回路
16 温度センサー
17 金属筐体
【符号の説明】
【0025】
3 配管発熱体1
4 発熱体2
5 発熱体3
5−A 発熱体4
6 コイル
6−A コイル1
6−B コイル2
7 キャビテーショントラップ1
7−A キャビテーショントラップ2

【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を蓄えておくためのリザーバータンクが設けられ、そのリザーバータンクから導入された水を加熱するための電磁誘導加熱により発熱される発熱体が2以上設置され、水蒸気となったガスを加熱する発熱体がその上部に設置され、その水蒸気吹き出し口が、除菌室に設けられており、除菌室は外部から空気を取込む口と、水蒸気により除菌された排出口が設けられている構成を特徴とする空気清浄機。
【請求項2】
請求項1記載の電磁誘導加熱による発熱体は、水及び水蒸気が移動する配管と、その中心に設置された2つ以上の発熱体が設けられており、中心に設置された発熱体の水が加熱される発熱体と水蒸気が加熱される発熱体の間にキャビテーショントラップが設けられている構成を特徴とする。
【請求項3】
請求項2記載の電磁誘導加熱による発熱体と電磁誘導部分が、水の加熱部分、蒸気加熱部分、高温蒸気加熱部分の3分割されており、発熱体の間にはキャビテーショントラップが設けられている構成を特徴とする。
【請求項4】
請求項1記載の除菌室は、外部から汚染された空気を取込むために、ファンが1つ以上設置され、安全のためにファンの前に金網やフィルタなどが設けられており、加熱水蒸気の噴き出し口の水蒸気の移動方向にフィンが設置され、冷却された水がリザーバータンクへ戻るための配管が設けられている構成を特徴とする。
【請求項5】
請求項1記載の空気清浄機は、全体もしくは電磁誘導加熱周囲が磁性体もしくは金属材料で覆われている構成を特徴とする。

【図1】
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【図2】
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