説明

小型電気器具用交換可能附属品と、附属品使用期間を決定する為の方法

本発明は、データ用メモリとトランスポンダーとを含む、電動歯ブラシ用ブラシアタッチメントまたは電気カミソリ装置用シェービング構成部品のような小型電気器具用附属品に関する。附属品は、更に電子回路を含み、電子回路は、対応する信号を受信する度にデータ用メモリで保存された数値を修正する。また、その附属品の使用期間の終了を決定する方法が説明されている。

【発明の詳細な説明】
【産業上の利用分野】
【0001】
本発明は、時間経過と共に交換が必要な小型電気器具用附属品(電動歯ブラシ用ブラシアタッチメント、電気かみそり装置用シェービング構成部品)と、その附属品の使用期間や使用期間の終わり(摩耗リミット)を決定する為の方法に関する。
【関連技術の説明】
【0002】
WO03/054771 A1は、ハンドピースと交換可能なブラシアタッチメントを備える電動歯ブラシを開示する。ブラシアタッチメントは、ブラシアタッチメントを識別する情報が保存されたメモリを用立てている。さらに、ブラシアタッチメントは、問合せステーションから問合せ信号を受信したときにメモリに保存された情報を送るトランスポンダーを収容する。ハンドピースは、マイクロコントローラを収容し、マイクロコントローラは、ブラシアタッチメントの識別された蓄積使用期間を計算し、それをブラシアタッチメントのメモリ内に書き込むことができる。また、ハンドピースは、信号が発せられるブラシアタッチメントの交換の必要性を可能にする表示装置を備えている。
【0003】
DE10247698A1は、グリップ要素と交換可能なブリストルヘッドから構成される電動歯ブラシを開示する。グリップ要素は、ディスプレイを備え、このディスプレイにブリストルヘッドの使用の終わりが表示可能になっている。
【0004】
本発明は、附属品の使用期間が容易に決定される小型電気器具用附属品を提供し、その附属品の使用期間を決定する簡単な方法を提供することを目的とする。
【発明の概要】
【0005】
この目的は、データ用メモリ、トランスポンダー、電子回路を有し、対応した信号を小型電気器具から受信する度にデータ用メモリに保存された数値を修正する附属品を用いて達成可能である。データ用メモリに保存された数値は、例えば附属品の蓄積使用期間に対応したカウンタの読み取り値である。附属品の、所定の最大使用期間が与えられると、使用期間の残存期間、使用期間の終了、使用最大期間に関連した相対的な使用期間も同様に保存可能である。
【0006】
そのような附属品は、使用期間が附属品自身に保存される、すなわち、それぞれの使用期間を様々な附属品に割り当てる必要がない、という利点がある。この利点は、電動歯ブラシとの関係(電動歯ブラシのハンドピースが、自分のブラシアタッチメントを取り付ける数人の家族構成員により使用される場合)、またはハンドピースが異なる種類のブラシアタッチメント(例えば、洗浄用ブラシ、マッサージ用ブラシ)を用いて操作される場合に特に重要である。
【0007】
附属品と協働する小型電気器具は、問合せ信号が送信され受信される附属品のトランスポンダーにより信号が返されることで知られる送受信装置を有することが好ましい。このように、附属品のデータ用メモリ内に保存されたデータが修正、読み出し及び/又は表示装置で表示可能である。小型電気器具と附属品との間のデータ送信は、(例えば、誘導的に送信可能であることが望ましい)高周波信号により行われる。附属品が、それ自身で供給電圧を持たない場合、トランスポンダーと電気回路は、小型電気器具により発生される高周波電界から得られる供給電圧と共に動作される。
【0008】
本発明の附属品の特に簡単な構造は、保存された数値を修正する為の信号として、附属品が小型電気器具の送信範囲に達する度にトランスポンダー内で発現される供給電圧を単純に利用する。これは、小型電気器具がそれに結合されているか、結合された附属品を備えた小型電気器具のスイッチが入れられるかを意味する。このように、使用回数を記録する単純な使用カウンタが得られる。
【0009】
本発明の附属品の他の構成は、保存数値の修正の為に、例えば、1秒間隔の動作中に小型電気器具が発する信号を利用する。この方式では、その1秒に対して附属品精度の実行時間を記録する単純な使用カウンタが得られる。
【好適実施形態の詳細な説明】
【0010】

本発明の附属品の好ましい実施形態において、附属品内の電気回路は、小型電気器具のスイッチが入れられる段階毎にデータ用メモリに保存されたカウンタの読み取り値を増加させ、或いは、最大値が達成されるまで対応する信号の受信時にデータ用メモリに保存されたカウンタの読み取り値を増加させる。しかし、カウンタの読み取り値を所定値から減少させることも可能である。その後、カウンタの読み取り値がゼロに達するとき、附属品の有用な寿命の終わりを検出可能である。それぞれのカウンタの読み取り値は、トランスポンダーから小型電気器具に送信される。カウンタの読み取り値は少なくとも2回(2つのメモリ電池に)附属品に保存される。
【0011】
データ用メモリで保存される数値の修正毎に、電子回路はデータ用メモリの現在値を読み出し、その数値を修正し、それをデータ用メモリに書き戻さなければならない。好ましくは、不揮発性メモリ(たとえばEEPROM)がデータ用メモリとして使われる。EEPROMのメモリ電池に書き込むには数ミリ秒かかり、メモリ電池内に全てのビットを設定することが慣例的に優先される。もし、電子回路がエネルギを引き出す供給電圧(すなわち例えば高周波電界)が、この時間中にブレークダウンする場合、書き込み動作は必然的に中止される。結果として、メモリは無意味な数値を保持するか、メモリの内容が失われる。
【0012】
高周波電界が失われる可能性のある理由は、使用者が再び小型電気器具のスイッチを切断すること、使用者が附属品を交換することが全てであるので、それを小型電気器具から除去するか、或いは、小型電気器具の一次電池又は二次電池が消耗されるか高周波電界を形成するのに不十分な電圧を提供する。データがデータ用メモリに書き込まれるという短時間の間に、高周波電界が丁度失われるという可能性は、低いかもしれない。しかし、附属品が意図されたように頻繁に使用されるとき、データ用メモリの内容が失われる可能性は増し、いらだたしさが募る。
【0013】
附属品の使用期間又は使用期間の終了を決定する本発明の方法は、以下の発想に基づく:
使用カウンタのカウンタ読み取り値は、常に不揮発性データ用メモリで存在しなければならない。これだけが、データが失われないことを確実にする方法である。したがって、データ用メモリは、少なくとも2つのメモリ電池を含み、それぞれのメモリ電池がカウンタの読み取り値を保持する。適当なデータ用メモリは、例えばEEPROMである。未使用の附属品において、2つのメモリ電池の各々は、例えば、最大値又はゼロを含む。さらに、各々のメモリ電池は、識別子を持ち、その識別子は、メモリ電池に保存された値が正しいか有意かを電子回路に検出させる。この識別子は、追加ビットという形でもよく、例えば、追加ビットは、技術的に知られた方式で、それぞれのカウンタの読み取り値と共にメモリ電池で保存される。意味がある値が一つのメモリ電池で修正されることになっているとき、その値は、他のメモリ電池も有意な値を保持することが確実になるまで、修正値によって上書きされない。
【0014】
以下、フローチャートを示す添付図に示された実施形態を参照して、本発明の方法を説明する。
【0015】
トランスポンダーが、対応する信号(すなわち、少なくとも供給電圧)を電子回路に発した後、電子回路は、第1メモリ電池からカウンタ(カウンタ1)の読み取り値および第2メモリ電池からカウンタ(カウンタ2)の読み取り値を読み出し、識別子により、第1メモリ電池が有意な値を保持するかを確定する。これが、その通り(有意な値)であるならば、第1メモリ電池のカウンタ(第1カウンタ)の読み取り値は、バッファメモリにロードし、例えば、1だけ減少される。その後、減少されたカウンタの読み取り値は、最初に第2メモリ電池で保存され、その後、第1メモリ電池で保存される。第1メモリ電池が無意味な値を含む場合、第2メモリ電池のカウンタ(第2カウンタ)の読み取り値がバッファメモリにロードされ、1だけ減少される。その後、減少されたカウンタの読み取り値は、最初に第1メモリ電池で保存され、その後、第2メモリ電池で保存される。その後、新しいカウンタの読み取り値がトランスポンダーから小型電気器具に送信される。この処理シーケンスは、2つのメモリ電池の一方が処理の開始に有意な値を含むことを条件として、処理の終了に、両方のメモリ電池が有意な値を含むことを確実にするものである。処理中に附属品の供給電圧が失われる事態のとき、2つのメモリ電池のうち少なくとも一方のメモリ電池が有意な値を保持することが確実とされる。
【0016】
小型電気器具は、附属品が交換を要するまで当該附属品の残存使用回数、或いは、カウンタの読み取り値ゼロ(附属品が摩耗しており交換すべきであることを示す信号)が送信されるまで表示デバイスが起動されないこと、を表示する表示デバイスで、受信される新たなカウンタの読み取り値を表示することができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の一実施形態に係る附属品の使用期間を決定する方法を示すフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
データ用メモリとトランスポンダーとを含む、電動歯ブラシ又は電気かみそり装置用カミソリ構成部品のような小型電気器具用附属品であって、
前記附属品は、電子回路を含み、前記電子回路は、対応する信号を前記小型電気器具から受信する度に前記データ用メモリで保存された数値を修正することを特徴とする、前記附属品。
【請求項2】
前記電子回路は、前記データ用メモリで保存された数値を、そのスイッチが入れられる度に修正することを特徴とする、請求項1に記載の附属品。
【請求項3】
前記データ用メモリで保存された数値は、前記附属品の使用期間に対応するカウンタの読み取り値であることを特徴とする、請求項1または2に記載の附属品。
【請求項4】
前記電子回路は、前記小型電気器具のスイッチが入れられる度に、或いは、最大値又は最小値が達成されていないことを条件に、対応する信号の受信時にカウンタの読み取り値を増減することを特徴とする、請求項3に記載の附属品。
【請求項5】
前記電子回路は、前記データ用メモリで前記修正値を保存することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の附属品。
【請求項6】
前記データ用メモリは、EEPROMであり、前記EEPROMは、少なくとも2つのメモリ電池を有し、これらのメモリ電池内で、前記カウンタの読み取り値が少なくとも2回保存されることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の附属品。
【請求項7】
小型電気器具用附属品の使用期間を決定する方法において、前記附属品は、データ用メモリとトランスポンダーとを含み、前記データ用メモリで保存された数値は、前記小型電気器具から前記附属品が、対応する信号を受信する度に修正されることを特徴とする、前記方法。
【請求項8】
前記データ用メモリは、識別子により与えられ前記附属品の使用期間に対応する少なくとも2つの数値を保存し、前記識別子により、保存された2つの数値のうち一方が有意かを決定し、前記附属品が使用されるとき、保存された数値が修正値で置き換えられ、保存された数値は、保存された他方の数値が有意であることが確実となった後に修正値で上書きされることを特徴とする、請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記保存された数値は、前記トランスポンダーから前記小型電気器具に送信されることを特徴とする、請求項8に記載の方法。
【請求項10】
請求項1〜6のいずれか一項に記載の附属品として構成されることを特徴とする、電動歯ブラシ用ブラシアタッチメント。

【図1】
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【公表番号】特表2008−525067(P2008−525067A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−547296(P2007−547296)
【出願日】平成17年12月16日(2005.12.16)
【国際出願番号】PCT/EP2005/013559
【国際公開番号】WO2006/069644
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(596181730)ブラウン ゲーエムベーハー (75)
【Fターム(参考)】