説明

小形固形燃料燃焼装置

【課題】木質ペレットなどの小形固形燃料を燃料タンクから搬送機構を用いて上方に搬送する小形固形燃料燃焼装置において、小形固形燃料搬送時に小形固形燃料同士がぶつかり合ったり擦れ合ったりして粉化する現象を生じさせない搬送機構を備えた画期的な小形固形燃料燃焼装置を提供すること。
【解決手段】搬送機構にドラム状の回転体を回転自在に設け、この回転体を回転駆動する回転駆動機構を備え、この回転駆動機構により回転する回転体の内側に複数の仕切板を間隔をおいて突設して小形固形燃料を収納する受容部を設けて、この受容部が回転体の回転によって上昇して燃料供給部に達した際に、小形固形燃料が受容部から燃料供給部にこぼれ落ち、更にこの燃料供給部から燃焼部に供給される構成とした小形固形燃料燃焼装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えば、製材時に排出される大鋸屑や鉋屑などの不要物を圧縮加工、成形して再利用する木質ペレットなどの小形固形燃料を燃焼する小形固形燃料の燃焼装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、例えば環境問題や地球温暖化防止の観点から、燃焼時のCOx排出量が非常に少なく、また、製材時に排出される大鋸屑や鉋屑などの不要物を圧縮成形して再生した小形固形燃料(木質ペレット)を燃焼させる小形固形燃料燃焼装置が注目を浴びている。
【0003】
ところで、この小形固形燃料燃焼装置を暖房器具として利用する場合、暖房効果の他にも炎を視覚で楽しむことで癒しの効果があるとされ、そのため、この小形固形燃料燃焼装置は人が座ったときに目線の高さに炎が見えるように燃焼部が配置されることが望ましいとされる。
【0004】
しかしながら、この配置構成を実現するために燃料タンクを燃焼部の上方に設けた場合、燃料タンクの容量を確保しようとすればそれだけ装置自体が大きくなり、しかも、上方の燃料タンクへの燃料供給が厄介となり、更に燃料タンクが下方の燃焼部の熱で高温になるという問題点がある。
【0005】
そこで、このような問題点を解決すべく、例えば特開2004−191011号や特開2006−300451号に開示される小形固形燃料燃焼装置(以下、従来例)は、木質ペレットを貯蔵する燃料タンクを燃焼部よりも下方に設け、この木質ペレットをスクリューコンベアによって上方に次々と送り出して、燃焼部のロストル(燃焼用空気流入部を多数設けた燃焼台)上に積み上げ供給しこれを燃焼させる構成となっている。この構成から木質ペレットの自動供給が達成されるのは勿論、木質ペレットを少しずつ燃焼部に供給することでユーザーが好む、ほのかな炎を作ることも実現できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−191011号公報
【特許文献2】特開2006−300451号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、この従来例は、木質ペレットをスクリューコンベアで上方に搬送する際に、木質ペレット同士がぶつかり合ったり擦れたりして粉化する現象が生じてしまう。この木質ペレットの粉化は、スクリューコンベアから燃焼部へ木質ペレットを転がり供給させる際の支障となる。
【0008】
また、スクリューコンベアには、その構造上、スクリューと管筒との間にクリアランスが設けてあり、上記粉化により細かくなった木質ペレットがこのクリアランスに挟まって、更に砕けたり異音が発生したりし、しかも、この砕けた破片や粉が上記クリアランスに挟まり、スクリューの回転を妨げて回転負荷が大きくなり故障の原因となっており、この故障を防ぐための定期的なメンテナンスが必要となってしまう。
【0009】
また、木質ペレットが燃料タンクより連なって搬送されていくため、万が一、搬送中の木質ペレットに引火した場合、この搬送中の木質ペレットが導火線の役割となって、燃料タンクまで火が回り、火災を引き起こす可能性もある。
【0010】
そこで、本発明は、このような従来から提案される小形固形燃料燃焼装置における搬送機構の問題点に鑑み、これを解決しようとするもので、搬送中に小形固形燃料同士が摩擦によって粉化したり細かくなった小形固形燃料が隙間に挟まれて破断したりすることがなく、また、小形固形燃料が導火線の如く連なった搬送形態とならない画期的な搬送機構を備えた小形固形燃料燃焼装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0011】
添付図面を参照して本発明の要旨を説明する。
【0012】
小形固形燃料1を燃焼する燃焼部2と、小形固形燃料1を貯蔵する燃料タンク3とを有し、この燃料タンク3における小形固形燃料1が順次送り出される燃料送出部4の上方に燃焼部2に小形固形燃料1を供給する燃料供給部5を配設し、この燃料送出部4から上方の燃料供給部5へ小形固形燃料1を搬送する搬送機構6を設けた小形固形燃料燃焼装置において、燃料送出部4から送り出されてくる小形固形燃料1を受け取るドラム状の回転体7を回転自在に設け、この回転体7を回転駆動する回転駆動機構8を備え、この回転駆動機構8により駆動回転する回転体7の内側に間隔を置いて仕切板9を突設して、小形固形燃料1を受け収めて搬送する受容部10を多数設け、この受容部10が回転体7の回転によって上昇して燃料供給部5に達した際に、受容部10から小形固形燃料1が燃料供給部5へこぼれ落ち搬送されるように構成したことを特徴とする小形固形燃料燃焼装置に係るものである。
【0013】
また、受容部10は、回転体7の内面に回転体7の回転方向に向けて仕切板9を斜設することによって形成し、若しくは断面L字形状,断面V字形状,断面U字形状,断面コ字形状などの断面凹状の仕切板9を設けて構成したことを特徴とする請求項1記載の小形固形燃料燃焼装置に係るものである。
【0014】
また、仕切板9夫々は、燃料送出部4近傍を通過する際にこの燃料送出部4の送出口11を閉塞する送出口閉塞板12を有し、この送出口閉塞板12を、後方位置に隣接される仕切板9へ向けて延設して、燃料送出部4における受容部10夫々に対する小形固形燃料1の送出量を規制し得るように前記送出口閉塞板12を構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の小形固形燃料燃焼装置に係るものである。
【0015】
また、回転体7の内側に、小形固形燃料1が燃料供給部5に達する前に受容部10からこぼれるのを防止するための燃料こぼれ防止体13を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の小形固形燃料燃焼装置に係るものである。
【0016】
また、燃料送出部4の送出口12の先端部に弾性体14を設け、この弾性体14の先端が送出口閉塞板12に近接若しくは当接するように構成したことを特徴とする請求項3,4のいずれか1項に記載の小形固形燃料燃焼装置に係るものである。
【0017】
また、回転体7及び仕切板9の左右側縁部同士間に側板23を架設状態に設けて、受容部10の両側面から小形固形燃料1がこぼれるのを防止するように側板23を構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の小形固形燃料燃焼装置に係るものである。
【発明の効果】
【0018】
本発明は上述のように構成したから、燃料タンクから燃料供給部へ小形固形燃料を搬送する際に、小形固形燃料が回転体に設けられた受容部に収納されるため、小形固形燃料同士が擦れ合ったりしないため、形が崩れず、粉化もしないため、燃焼部に対する小形固形燃料の良好な供給が達成され、しかも、搬送機構に小形固形燃料の小片が挟まったり粉が降り積もることもないので、故障しにくく、また、故障を防ぐための定期的なメンテナンス(搬送機構の清掃)を行う必要がない。
【0019】
また、小形固形燃料が仕切体で仕切られた各受容部に収納された状態で搬送されるので小形固形燃料が搬送経路を連なっている状態にならないため、従来品のスクリューコンベアのように小形固形燃料が導火線の役割となって火災を引き起こすような心配もない。
【0020】
更に、ドラム状の回転体を採用したことで、搬送機構の薄型化が可能となり省スペース化も図られている画期的な小形固形燃料燃焼装置となる。
【0021】
また、請求項2記載の発明においては、小形固形燃料搬送時に受容部からの脱落を防ぎ、更に簡易な構成とし、容易に量産可能な構成にした従来にない作用効果を発揮する画期的な小形固形燃料燃焼装置となる。
【0022】
また、請求項3記載の発明においては、仕切板に設けた送出口閉塞板により、回転体の受容部への小形固形燃料の受け渡しから次の受容部の受け渡しまでの間、燃料送出口を一時的に閉塞することで燃料の多量消費を抑制する効果がある従来にない作用効果を発揮する画期的な小形固形燃料燃焼装置となる。
【0023】
また、請求項4記載の発明においては、燃料供給部到達前の小形固形燃料の受容部からの脱落を抑え、燃料供給部へ小形固形燃料を安定的に搬送可能とした従来にない作用効果を発揮する画期的な小形固形燃料燃焼装置となる。
【0024】
また、請求項5記載の発明においては、仮に小形固形燃料が送出口と仕切板の間に挟まれそうになった場合の回転体の回転負荷を低減するために送出口先端が回転方向に変形する機能を有した従来にない作用効果を発揮する画期的な小形固形燃料燃焼装置となる。
【0025】
また、請求項6記載の発明においては、小形固形燃料搬送時に受容部両側面から小形固形燃料がこぼれるのを防ぎ、燃料供給部へ安定的に小形固形燃料を搬送することが可能となる従来にない作用効果を発揮する画期的な小形固形燃料燃焼装置となる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】実施例1を示す説明正断面図である。
【図2】実施例1に係る要部を示す断面図である。
【図3】実施例1を示す説明側断面図である。
【図4】実施例1を示す斜視図である。
【図5】実施例1に係る要部を示す斜視図である。
【図6】実施例1に係る要部を示す分解斜視図である。
【図7】実施例1を示す分解斜視図である。
【図8】実施例1に係る要部を示す斜視図である。
【図9】別実施例に係る要部を示す断面図である
【図10】別実施例に係る要部を示す断面図である。
【図11】別実施例に係る要部を示す断面図である。
【図12】別実施例に係る要部を示す断面図である。
【図13】別実施例に係る要部を示す断面図である。
【図14】別実施例に係る要部を示す断面図である。
【図15】実施例2を示す説明側断面図である。
【図16】実施例2を示す斜視図である。
【図17】実施例2に係る要部を示す分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
好適と考える本発明の実施形態(発明をどのように実施するか)を、図面に基づいて本発明の作用を示して簡単に説明する。
【0028】
燃料タンク3の燃料送出部4から送り出される小形固形燃料1は、回転駆動機構8で回転駆動する搬送機構6のドラム状の回転体7に設けられた受容部10に収納され、この受容部10に収納された小形固形燃料1は回転体7の回転により受容部10が上昇することで上方に搬送され、受容部10が燃料供給部5に達した際、受容部10から小形固形燃料1が燃料供給部5へこぼれ落ち搬送され、この受容部10から燃料供給部5へこぼれ落ち搬送された小形固形燃料1が燃焼部2に供給される。
【0029】
この搬送機構6における小形固形燃料1の搬送の際、小形固形燃料1は前述したように各仕切板9で仕切られた受容部10内に小分けされた状態で収納されて搬送されており、回転上昇中は受容部10内で移動することはなく、よって、小形固形燃料1同士がぶつかり合ったり擦れ合ったりすることがない。
【0030】
従って、前述した従来例のように搬送途中において小形固形燃料1が粉化することなく、良好な状態のまま燃料送出部4から燃料供給部5までの搬送が達成され、しかも、小形固形燃料1が粉化したり小片化することで危惧される搬送機構6のクリアランスに挟まり砕けたり異音を発生するなどの問題が生じることがない。また、砕けた破片が搬送機構6に挟まり動作不良を生じたり、小形固形燃料1の粉が搬送機構6や回転駆動機構8に降り積もったりして故障を引き起こすこともなくなる。
【0031】
また、小型固形燃料1の粉化が生じないことで、故障を未然に防ぐための定期的なメンテナンス(粉を取り除く清掃)をする必要も無くなる。
【0032】
また、小形固形燃料1は、仕切板9で仕切られ間隔をおいて設けられた受容部10に収まりながら搬送されるので、この小形固形燃料1が搬送経路を連なった状態の搬送形態とならないので、万が一、搬送中の小形固形燃料1に引火しても、小形固形燃料1が導火線の如くならないため、燃料タンク3にまで火が回るような心配は無い。
【0033】
また、搬送機構6にドラム状の回転体7を採用したことで搬送機構6の薄型化が可能となり省スペース化も図られている。
【0034】
また、例えば、受容部10を形成する際に、回転体7の内面と、回転体7の回転方向に向けて斜設した平板状の仕切板9とで形成することにより、受容部10が容易に形成可能となる。
【0035】
更に、仕切板9の形状を断面L字形状,断面V字形状,断面U字形状,断面コ字形状などの断面凹形状に形成することで、受容部10の容量を増やすことが出来る。
【0036】
また、例えば、仕切板9夫々は、燃料送出部4近傍を通過する際にこの燃料送出部4の送出口11を閉塞する送出口閉塞板12を有し、この送出口閉塞板12を、後方位置に隣接される仕切板9へ向けて延設して、燃料送出部4における受容部10夫々に対する小形固形燃料1の送出量を規制し得るように送出口閉塞板12を構成した場合には、余分な小形固形燃料1の送出を防ぎ、受容部10に収納される小形固形燃料1の量が適量となり、燃焼部3への小形固形燃料1の一度の供給量が抑えられるので、炎が大きくなり過ぎることがなく、また、小形固形燃料1の消費量も抑制されるので、小形固形燃料燃焼装置のランニングコストの低減も図れ、しかも、これらの作用効果が極めて簡易な構成により達成される。
【0037】
また、例えば、回転体7の内側に、小形固形燃料1が燃料供給部5に達する前に落下するのを防止するための燃料こぼれ防止体13を設けた場合には、この燃料こぼれ防止体13を設けることで、搬送時に受容部10が上昇しこの受容部10の開口する部位が燃料供給部5に達する前に回転体7の内側を向いてきたときでも、受容部10から小形固形燃料1がこぼれ落ちる心配がないので、常に安定した供給量が保たれる。
【0038】
また、受容部10が燃料供給部5に達するまでに、受容部10から小形固形燃料1が如何にこぼれないような仕切板9の斜設角度にするかという設計上の配慮を気にする必要がないので、装置設計が容易となる。
【0039】
また、例えば、回転体7及び仕切板9の左右側縁部同士間に側板23を架設状態に設けて、受容部10の両側面から小形固形燃料1がこぼれるのを防止するように側板23を構成した場合には、燃料送出部4から小形固形燃料1を受け取る際や受け取った小形固形燃料1を燃料供給部5に搬送する際に受容部10の両側面から小形固形燃料1がこぼれ落ちることがなく、燃料供給部5に安定量を供給することが可能となる。
【実施例1】
【0040】
本発明の具体的な実施例1について図1〜図14に基づいて説明する。
【0041】
本実施例は、例えば製材時に排出される大鋸屑や鉋屑などの不要物を圧縮成形して作られた小形固形燃料1としての木質ペレット1を燃焼させる木質ペレット燃焼装置である。
【0042】
具体的には、この木質ペレット燃焼装置は、図1,図3に示すように、燃焼部2と、木質ペレット1を貯蔵する燃料タンク3とを有し、この燃料タンク3における木質ペレット1が順次送り出される燃料送出部4の上方に燃焼部2に木質ペレット1を供給する燃料供給部5を配設し、この燃料送出部4から上方の燃料供給部5へ木質ペレット1を搬送する搬送機構6を設けたものである。尚、本実施例に係る構成各部の略全てが金属で形成されている。
【0043】
燃焼部2は、図3に示すように、ボックス状の装置本体27内中央に設けた中仕切板18に燃料受け19(ロストル)を設けて構成されており、装置本体27正面に設けたガラス張りの窓部20から看取し得るように構成されている。また、燃焼部2は、人が着席したときに炎が目線にくるような高さに配設されている。
【0044】
また、燃焼部2へ木質ペレット1を供給する燃料供給部5は、図3,図4に示すように、装置本体27の背面板28に嵌通配設される円筒状体で構成され、燃焼部2に向って傾斜状態に配設されており、燃料供給部5に搬送された木質ペレット1は燃料供給部5内を滑り落ち、燃焼部2に供給される構成となっている。
【0045】
また、燃料供給部5は、その一端開口部(上端開口部)が後述する搬送機構6に設けられる燃料こぼれ防止体13の凹み部21の近傍に配設されており、搬送機構6により搬送された木質ペレット1はこの凹み部21を介して燃料供給部5の一端部にこぼれ落ち搬送されるように構成されている。
【0046】
本実施例では、この燃焼部2の上方に容量を確保しつつ燃料タンク3を設けると装置が大型化し、しかも、木質ペレット1を燃料タンク3に供給するのが厄介となるなどの理由から、燃料タンク3は装置本体27の後方(背面側)に内部に燃料収納空間を有するボックス状体を配設して構成されている。
【0047】
具体的には、この燃料タンク3は、図8に示すように、底面22をV字形状若しくはU字形状のような傾斜する形状として木質ペレット1が自重で下方に滑り落ちるように形成し、この底面22の最下部を開口して、木質ペレット1が順次送り出される燃料送出部4を設けた構成としている。
【0048】
また、この燃料送出部4の送出口11は、木質ペレット1が通過する数cm程の開口部であり、この開口部から燃料タンク3の傾斜した底面22を自重で滑り落ちてきた木質ペレット1は、燃料送出部4の真下を通過する搬送機構6の回転体7に設けられた受容部10に落下して収納される構成となっている。
【0049】
従って、搬送機構6の内側に燃料タンク3の一部が配置されている構成となっており、余った空間を有効に利用している省スペース設計となっている。
【0050】
また、図9に示すように、燃料送出部4(送出口11)の回転方向側の先端部24に、燃料送出部4の下方を通過する送出口閉塞板12に近接若しくは当接するような長さを有する弾性体14(ゴム)を垂設しても良い。
【0051】
この弾性体14は、燃料供給部4と受容部10との間に木質ペレット1が挟まることで起こり得る問題を防止することになる。
【0052】
具体的には、仮に金属製の送出口11の開口縁が送出口閉塞板12に近接する状態に設けられていた場合、この送出口11の開口縁と送出口閉塞板12との間に木質ペレット1が挟まると、木質ペレット1が砕けてしまうのは勿論、木質ペレット1が挟まった状態のまま回転体7の駆動により強引に送出口閉塞板12が進み続けようとすることで後述する回転駆動機構8が故障する可能性がある。
【0053】
その点、前述した弾性体14を設けることで、木質ペレット1が挟まれそうになっても、この弾性体14が回転方向に変形し、木質ペレット1が容易に送り出されるので、回転体7の駆動に負荷が掛かることが無く、よって、後述する回転駆動機構8の故障発生率を低下することができる。
【0054】
尚、弾性体14としてはゴム製に限らず、例えばスポンジであっても良いなど、その特性を発揮する素材のものであれば適宜採用し得るものである。
【0055】
また、燃料タンク3は、図3,図8に示すように内板29の中央部に、内面が陥没状態と成り外面に突出状態となる正面視円形状の凸状部30が設けられている。
【0056】
この凸状部30は、燃料を収納する空間として機能する他、後述するドラム状の回転体7を回動可能に被嵌連結する回転軸としても機能する。
【0057】
また、この凸状部30は、回転体7を被嵌連結した際、その帯状の外周環上部31が後述する回転体7の受容部10の開口部を閉塞して該受容部10から木質ペレット1がこぼれるのを防止する燃料こぼれ防止体13として機能する。
【0058】
また、この燃料こぼれ防止体13の最上部には燃料供給部5の一部を構成する凹み部21が形成されており、最下部には燃料送出部4の送出口11を構成する貫通孔が開口形成されている。
【0059】
尚、本実施例では燃料供給部5の一部を構成する凹み部21を燃料こぼれ防止体13の最上部に設けているが、後述する仕切板9の角度によっては、この凹み部21は最上部よりも稍下流側(回転方向に進んだ位置側)に設けたほうが、木質ペレット1が受容部10から、より滑り落ち易い場合もあるので、図12に示すように、凹み部21を設ける位置は適宜変更しても良い。
【0060】
搬送機構6は、図1に示すように、後述する回転駆動機構8で回転するドラム状の回転体7の内側に木質ペレット1を収納する受容部10を複数並設して構成している。
【0061】
この受容部10は、図2に示すように、回転体7の内面と、この回転体7の内面に間隔をおいて複数突設される平板状の仕切板9とで構成されており、この仕切板9は、回転体7の回転方向に斜設状態に設けられ、回転する回転体7の下部から上部までの間で木質ペレット1を保持するように構成されている。
【0062】
木質ペレット1は、燃料送出部4から垂直落下し送出され、一旦、回転体7の内面で受け止められ、回転体7が回転することで受容部10に収まる形態となっている。
【0063】
また、この斜設状態に設けられた仕切板9の傾斜角度は、受容部10が燃料供給部5に到達したときに木質ペレット1が受容部10より滑り落ちる角度でありながら、受容部10が出来るだけ大きい容積をとれるような角度とすることが望ましい。
【0064】
具体的には、仕切板9の角度が垂直に近くなるほど受容部10の容積は増すが、搬送途中で木質ペレット1が受容部10からこぼれて燃料こぼれ防止体13と擦れながら搬送される状態となってしまい木質ペレット1が粉化してしまう可能性があり、また、仕切板9の角度が鋭角になると受容部10の容積が少なくなり受容部10に収納しきれないため、前述同様に木質ペレット1が搬送中に燃料こぼれ防止体13と擦れながら搬送される状態となってしまい木質ペレット1が粉化してしまう可能性があるので、本実施例では、仕切板9が回転体7の搬送軌道の最上部に位置したときに、この仕切板9の回転体7と接合していない端部が水平方向より稍下向きになるような角度とすることで最上部近傍まできちんと木質ペレット1を収納し、燃料こぼれ防止体13と擦れながら搬送する状態を最小限に抑え、且つ受容部10の容積を確保可能とした。
【0065】
また、更に受容部10の容積を大きくするには、図13に示すように、仕切板9を断面L字形状に形成して回転体7の内面に設け、回転体7の内面とで凹形状を形成することで容易に可能となる。
【0066】
また、このようなL字形状の仕切板9で受容部10を形成することで、受容部10の容積を大きくすることだけでなく、燃料送出部4から木質ペレット1を受け入れる際にL字形状の仕切板9の長手部が後述する送出口閉塞板12の代わりとなり、図14に示すように受容部10には空間ができ、この空間が、木質ペレット1が燃料送出部4先端と仕切板9に挟まれそうになっても逃げ空間となるので、木質ペレット1が回転機構6に挟まり故障を生じる心配がなくなる。
【0067】
また、受容部10の容量を大きくするための仕切板9の形状としては、断面L字形状に形成したものを設ける以外にも、断面V字形状,断面U字形状,断面コ字形状などの回転体7の内面を利用しなくても凹形状となり得る仕切板9を設けても良い。
【0068】
また、受容部10は、図5に示すように、回転体7及び仕切板9の左右側縁部同士間にドーナツ状の側板23が架設状態に設けられており、この側板23は、受容部10に収納された木質ペレット1が該受容部10の両側面からこぼれ落ちるのを阻止するように機能する。
【0069】
また、受容部10は、回転体7の回転に際し、燃料送出部4の送出口11の真下を通過するように構成されている。
【0070】
また、仕切板9夫々には、燃料送出部4の下方を通過する際に送出口11を閉塞する送出口閉塞板12を有し、この送出口閉塞板12は後方位置に隣接される仕切板9へ向けて延設して、燃料送出部4における受容部10夫々に対する木質ペレット1の送出量を規制し得るように構成されている。
【0071】
具体的には、この送出口閉塞板12は図1,図2に示すように、仕切板9の先端部を後方の仕切板9へ向けて折り返し形成して構成されており、仕切板9が搬送軌道上の最下点に位置したときに略水平となるように設けられている。
【0072】
この送出口閉塞板12を設けない場合は、図10,図11に示すように、燃料送出部4より木質ペレット1が常に受容部10に受け渡されている状態であるため、受容部10は、常に木質ペレット1が満タンの状態で収納されて、よって、燃焼部2に供給される1回の木質ペレット量も非常に多くなるため燃料代が多く掛かってしまうし、また、過剰供給によって受容部10に収まりきれなかった木質ペレット1が燃料こぼれ防止体13と擦れながら搬送される状態となってしまい、木質ペレット1が粉化し、搬送不良の原因となる可能性が出てくる。
【0073】
従って、この送出口閉塞板12を設けることで、木質ペレット1の送出量を規制し、過剰に木質ペレット1を受容部10に送り込まなくすることで木質ペレット1の消費量を抑制するとともに、装置の故障の原因となる木質ペレット1の粉化も抑制することができる。
【0074】
また、この送出口閉塞板12の長さを変えることで、受容部10に送入してくる木質ペレット1の量も変わってくるので、例えば、送出口閉塞板12を何種類か準備して、簡単に脱着可能な構成にすることで、大きな炎を持続させたい場合は短い送出口閉塞板12を取り付け、小さな炎にしたい場合は長めの送出口閉塞板12を取り付けることで容易に炎の調整が可能となる。
【0075】
尚、本実施例では、仕切板9の一部で送出口閉塞板12を構成しているが、別体の送出口閉塞板12を仕切板9に接合するなどして構成しても良い。
【0076】
また、このドラム状の回転体7は、図1に示すように、前述した燃料タンク3の凸状部30に回転可能に被嵌連結されるとともに、左右の下方に設けられた回転駆動機構8と外接しており、この回転駆動機構8の一方はモーターが取り付けられている駆動ローラー15となっていて、回転体7を支持すると共に、回転体7を回転駆動させる機能を有している。また、他方は回転体7を支持するだけの従動ローラー16となっている。
【0077】
このように搬送機構6と回転駆動機構8を別々に設けることで、仮に駆動モーターが故障しても、搬送系はそのまま外さなくても、モーターのみを取り外し修理交換が可能となるのでメンテナンス性が良い。
【0078】
本実施例では、回転体7の外側と駆動ローラー15とが外接する夫々の面は摩擦抵抗を有する材料で構成されることで駆動を伝達しているが、歯車のような凹凸の噛み合わせを利用した伝達方法でも良い。
【0079】
尚、回転駆動機構8としては回転体7に握持部を設けるなどして手動で回転し得る構成としても良い。
【0080】
また、本実施例では、回転体7の内側にこの回転体7と同心円状の円筒形の燃料こぼれ防止体13が設けられている。
【0081】
この燃料こぼれ防止体13は、回転体7を被嵌連結する前述した燃料タンク3の凸状部30の外周環状部31で構成されており、受容部10を回転上昇させた際の木質ペレット1が受容部10からこぼれるのを防止する。
【0082】
また、燃料こぼれ防止体13は、本実施例のような回転駆動機構8を有する構成とした場合は、回転体7の回転軸の一部としての役割も担うので、本実施例の図には明記されていないが、燃料こぼれ防止体13表面にベアリングなどの回転をスムーズに行う為の追加機能を構成に盛り込むと尚良い。
【0083】
本実施例は上述のように構成したから、搬送機構6によって、木質ペレット1は燃料タンク3の燃料送出口4から送り出され、回転体7の搬送軌道の最下点で受容部10に収納され、回転体7が回転することで上昇していき最上点に達したところで燃料供給部5へ自動的に滑り落ち燃焼部2に供給されることとなる。この搬送の間、従来のスクリューコンベアのような木質ペレット1同士のぶつかり合いや擦れ合いもなく、よって木質ペレット1が粉化するような状態になることもなく燃焼部2に燃料供給が安定して行われるので、従来品と比し、搬送機構6の故障の発生率が低下し、安心して使用できる小形固形燃料燃焼装置となる。
【実施例2】
【0084】
本発明の具体的な実施例2について図15〜図17に基づいて説明する。
【0085】
本実施例は、実施例1と同様の木質ペレット燃焼装置であるが、実施例1と同様の搬送機構6を有し、燃料タンク3の形状及び収納位置と回転駆動機構8が異なったものである。
【0086】
具体的には、燃料タンク3は、図15,図16に示すように、燃焼部2の下方に配設されている。燃料タンク3は装置前面から背面に向って傾斜しており、実施例1同様、木質ペレット1が燃料送出口4に滑り落ちるような形状となっている。この燃料タンク3を燃焼部2下方に設けることで、実施例1より更に省スペース化が図られ、また、木質ペレット1の燃料タンク3への補充作業も低い位置で実施できるため容易に実施可能となる。
【0087】
また、回転駆動機構8は、図15,図17に示すように回転体7に、軸受部25を設けた支持板26を回転体7の側面に設けられた側板23に接合し搬送機構6を構成し、この搬送機構6を駆動用モーター17に軸着し回転体7を回転させる構成としている。従って、実施例1よりも簡易な回転駆動機構8の構成にしたので、設計実現が容易となる。
【0088】
その余は実施例1と同様である。
【0089】
尚、本発明は、実施例1,2に限られるものではなく、各構成要件の具体的構成は適宜設計し得るものである。
【符号の説明】
【0090】
1 小形固形燃料
2 燃焼部
3 燃料タンク
4 燃料送出口
5 燃料供給部
6 搬送機構
7 回転体
8 回転駆動機構
9 仕切板
10 受容部
11 送出口
12 送出口閉塞板
13 燃料こぼれ防止体
14 弾性体
23 側板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
小形固形燃料を燃焼する燃焼部と、前記小形固形燃料を貯蔵する燃料タンクとを有し、この燃料タンクにおける前記小形固形燃料が順次送り出される燃料送出部の上方に前記燃焼部に前記小形固形燃料を供給する燃料供給部を配設し、この燃料送出部から上方の前記燃料供給部へ前記小形固形燃料を搬送する搬送機構を設けた小形固形燃料燃焼装置において、前記燃料送出部から送り出されてくる前記小形固形燃料を受け取るドラム状の回転体を回転自在に設け、この回転体を回転駆動する回転駆動機構を備え、この回転駆動機構により駆動回転する前記回転体の内側に間隔を置いて仕切板を突設して、前記小形固形燃料を受け収めて搬送する受容部を多数設け、この受容部が前記回転体の回転によって上昇して前記燃料供給部に達した際に、前記受容部から前記小形固形燃料が前記燃料供給部へこぼれ落ち搬送されるように構成したことを特徴とする小形固形燃料燃焼装置。
【請求項2】
前記受容部は、前記回転体の内面に前記回転体の回転方向に向けて前記仕切板を斜設することによって形成し、若しくは断面L字形状,断面V字形状,断面U字形状,断面コ字形状などの断面凹状の仕切板を設けて構成したことを特徴とする請求項1記載の小形固形燃料燃焼装置。
【請求項3】
前記仕切板夫々は、前記燃料送出部近傍を通過する際にこの燃料送出部の送出口を閉塞する送出口閉塞板を有し、この送出口閉塞板を、後方位置に隣接される前記仕切板へ向けて延設して、前記燃料送出部における前記受容部夫々に対する前記小形固形燃料の送出量を規制し得るように前記送出口閉塞板を構成したことを特徴とする請求項1,2のいずれか1項に記載の小形固形燃料燃焼装置。
【請求項4】
前記回転体の内側に、前記小形固形燃料が前記燃料供給部に達する前に前記受容部からこぼれるのを防止するための燃料こぼれ防止体を設けたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の小形固形燃料燃焼装置。
【請求項5】
前記燃料送出部の送出口の先端部に弾性体を設け、この弾性体の先端が前記送出口閉塞板に近接若しくは当接するように構成したことを特徴とする請求項3,4のいずれか1項に記載の小形固形燃料燃焼装置。
【請求項6】
前記回転体及び前記仕切板の左右側縁部同士間に側板を架設状態に設けて、前記受容部の両側面から前記小形固形燃料がこぼれるのを防止するように前記側板を構成したことを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の小形固形燃料燃焼装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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