説明

小物品の収納ケース

【課題】小型の記憶媒体であっても、それを指先きの押圧操作によるワンタッチで取り出し可能な保持手段を備えた小物品の収納ケースの提供を図る。
【解決手段】USBメモリの保護ケース20は、複数の係止爪片10のばね力により該係止爪片20と板ばね片11Aとで弾性的に保持される。指先きで板ばね片11Aを押圧して下側に撓み変形させると、その先端が保護ケース20の突縁部22をくぐり抜けるから、押圧力を解除すれば板ばね片11Aの復元力で保護ケース20の他端部が弾き上げられ、その取り出しを簡単に行うことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小型の記憶媒体等の収納用に使用して好適な小物品の収納ケースに関する。
【背景技術】
【0002】
USBメモリやSDカード等の小型の記憶媒体は、例えば特許文献1に示されているような薄型のCD収納ケースに収納して、販売店における店頭陳列効果および携行利便性を良好にできることが望まれている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実用新案登録第3118875号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前記特許文献1に示されたCD収納ケースは、2つ折り状に開閉可能な一対の薄型のケースで構成され、一方のケース内面に設けられた係着部にCDを弾性的に係脱可能に係着保持するように構成されている。
【0005】
しかし、USBメモリやSDカードは前記CDに較べてサイズが小さく、前記CD収納ケースにおける係着部と同様な保持手段で弾性的に係着保持させようとした場合、取出しにくくなってしまう可能性がある。
【0006】
そこで、本発明はUSBメモリやSDカード等の小型の記憶媒体であっても、それを指先きの押圧操作によるワンタッチで取出し可能な保持手段を備えた小物品の収納ケースを提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の小物品の収納ケースは、ヒンジ部を介して一体に連設された一対のケース要素が、前記ヒンジ部で2つ折りにされて相互に開閉可能とされた硬質合成樹脂製の収納ケースであって、前記ケース要素の一方には、その天蓋部の内面に立設され、硬質性の小物品の一側面に弾接すると共にその上縁に係脱可能な複数のばね性を有する係止爪片と、前記天蓋部の内面に配設され、前記係止爪片のばね力を前記小物品を介して受けて該小物品の他側面に係着してこれを弾性的に拘束し、指先きの押圧操作力により弾性変形してその復元力で前記小物品の他側部を弾き上げて、該小物品の取り出しを可能とする小物品弾き出し手段と、を備えたことを主要な特徴としている。
【0008】
前記小物品は、複数の係止爪片のばね力によってこれら係止爪片と小物品弾き出し手段とで弾性的に挟持されて、収納ケース内で遊動することなく確実に保持される。そして、前記小物品の取り出しに際しては、指先きで小物品弾き出し手段を押圧して弾性変形させることにより、その復元力で小物品の他側部が弾き上げられて簡単に取り出すことが可能となる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、小物品をばね性を有する複数の係止爪片と、小物品弾き出し手段とにより弾性的に挟持して収納ケース内に確実に保持できると共に、その取り出しに際しては前記小物品弾き出し手段を指先きの押圧操作で弾性変形させる所謂ワンタッチ操作で小物品の他側部を弾き上げてこれを簡単に取り出すことができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明に係る収納ケースの第1実施形態の開状態を示す斜視図。
【図2】小物品を収納した状態を示す図1と同様の斜視図。
【図3】収納ケースの閉状態を示す断面図。
【図4】小物品弾き出し手段の動作を(a)〜(c)に順を追って説明する断面図。
【図5】本発明に係る収納ケースの第2実施形態の開状態を示す分解斜視図。
【図6】小物品保持形態の変形例を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態を図面と共に詳述する。
【0012】
図1〜図4に示す第1実施形態の収納ケース1は、硬質性の小物品としてUSBメモリのように小型短冊状に形成された小型記憶媒体の保護ケース20の収納用として用いられる。
【0013】
また、前記収納ケース1は、一般に流通しているCD収納ケースとほぼ同サイズの薄型の方形に形成されていて、表面をジャケット等の宣伝用印刷物を配して透明な表装フィルムで被覆し、販売店における店頭陳列用として宣伝効果の高い化粧ケースとして用いられる。
【0014】
この収納ケース1は、適宜の硬質合成樹脂からなる一対のケース要素2,3を備えている。
【0015】
これらのケース要素2,3は、収納ケース1の一側壁を構成するヒンジ部4を介して一体に連設されている。具体的には、前記ケース要素2,3はそれらの天蓋部2a,3aが、ヒンジ部4の一対(2条)の薄肉部4aを境にして一体に連設されていて、該ヒンジ部4で2つ折りされて相互に開閉可能とされている。
【0016】
本実施形態では、前記ケース要素2,3は幅,奥行き,高さが同サイズに形成され、前記ヒンジ部4で2つ折りに閉じた際に、これらケース要素2,3の前記ヒンジ部4を除く3側辺に形成した周壁2b,3bが突き合わされて相互に閉蓋するように構成されている。
【0017】
各ケース要素2,3の自由端側(ヒンジ部4と反対側)には、周壁2b,3bに指掛け用の凹欠部2c,3cが形成され、これら凹欠部2c,3cに指を掛けて後述するロックを解除して開蓋を容易に行えるようにされている。
【0018】
前記ケース要素2の自由端側の内面には、天蓋部2aの内面に前記凹欠部2cを構成する周壁2bの両側延長上に一体成形したリブ壁2dにフック片5が一体成形されている。
【0019】
前記ケース要素3の自由端側の内面には、天蓋部3aの内面に前記凹欠部3cを構成する周壁3bの両側延長上に一体成形したリブ壁3dに、前記フック片5の先端部が係脱可能な係止孔6が形成されている。
【0020】
これにより、ケース要素2,3をヒンジ部4で2つ折りに閉じた際に、前記フック片5と係止孔6とが該フック片5のばね作用で弾性的に係着し、ケース要素2,3のロックが行われるようになっている。
【0021】
前記ケース要素2の自由端側の内面には、天蓋部2aの内面で前記凹欠部2cの両側部に近接した位置に一対のクリップ片7が一体成形され、該クリップ片7により天蓋部2aの内面に、収納される小型記憶媒体の記憶情報等に関する印刷物等を挟持保管可能とされている。
【0022】
前記ケース要素3の天蓋部3aの内面には、前記ヒンジ部4の近くに複数、例えば左右一対の係止爪片10が一体に立設されている。
【0023】
この係止爪片10はその立設基部が弯曲して形成されて前後方向(ヒンジ部4側と凹欠部3c側とに向く方向)に撓み変形が可能なばね性が付与されている。
【0024】
前記係止爪片10は、前記保護ケース20の一側面に弾接し、かつ、上縁に形成したフック縁10aがこの保護ケース20の上縁に係脱可能な高さに立設されている。
【0025】
また、このケース要素3の天蓋部3aの内面には、前記凹欠部3cの近くに前記係止爪片10と対峙して、小物品弾き出し手段11が配設されている。
【0026】
この小物品弾き出し手段11は、前記係止爪片10のばね力を前記保護ケース20を介して受けて該保護ケース20の他側面に係着してこれを弾性的に拘束し、指先きの押圧操作力により弾性変形してその復元力で前記保護ケース20の他側部を弾き上げて、該保護ケース20の取り出しを可能とするものである。
【0027】
本実施形態では、前記小物品弾き出し手段11が、前記天蓋部3の内面に逆L字状に立設されて上下方向に撓み変形が可能なばね性が付与された板ばね片11Aで構成している。
【0028】
この板ばね片11Aは、その先端が前記保護ケース20の他側面の面内に突き当って、前記係止爪片10のばね力を受け止め可能な高さに立設されている。
【0029】
一方、前記保護ケース20は、適宜の硬質合成樹脂材をもって開閉可能に、もしくは図外のUSBメモリを挿脱可能に構成され、前記板ばね片11Aの先端が突き当る他側面には、該板ばね片11Aの先端部を受容する凹欠部21が上下方向に形成されていると共に、該凹欠部21の上下方向中間部位に、前記板ばね片11Aの先端下縁が係止可能な突縁部22が左右方向に突設されている。
【0030】
前記板ばね片11Aの先端および突縁部22の上下縁は、上下方向に相互のくぐり抜けがスムーズに行えるようにそれぞれ斜状に形成されている。
【0031】
なお、図中12は、ケース要素3の天蓋部3aの内面に立設されて、保護ケース20の左右側面に当接する位置決め用のリブ壁である。
【0032】
次に、以上の構成からなる第1実施形態の収納ケース1の使用例について詳述する。
【0033】
前記保護ケース20を収納ケース1内に収納する場合、先ず、ケース要素2,3の自由端の凹欠部2c,3cに指を掛け、これらケース要素2,3の自由端に上下方向の開蓋力を付与する。これにより、前記フック片5が弾性変形して係止孔6から外れ、ケース要素2,3のロックが解除されて相互の開蓋が自由となる。
【0034】
ケース要素2,3を開いた状態で、保護ケース20を前記凹欠部21を形成した側面を挿入方向後ろ向きにして前記係止爪片10に向けて斜め上方から挿入し、その一側面(凹欠部21を形成した側面と反対側の側面)の上縁を前記係止爪片10のフック縁10aの下側に差し入れて、該一側面で係止爪片10をヒンジ部4側に向けて撓み変形させる。
【0035】
この係止爪片10の撓み変形により、該係止爪片10にばね力が蓄勢されると共に、保護ケース20の他側面の突縁部22が板ばね片11Aの先端と干渉することなく該保護ケース20の他側部をケース要素3の天蓋部3aの内面に当接させることができるので、該他側部を天蓋部3a内面に当接させた状態で前記係止爪片10の押圧力を解除する。
【0036】
これにより、前記係止爪片10のばね力(復元力)で保護ケース20が板ばね片11A側に押動されてその他側面が板ばね片11Aの先端に当接し、係止爪片10のばね力を板ばね片11Aで受けて該板ばね片11Aの先端が保護ケース20の他側面の突縁部22上に係止し、これら係止爪片10と板ばね片11Aとで保護ケース20を前後方向で挟持した状態で、該保護ケース20がケース要素3の内面に遊動することなくしっかりと弾性保持される(図2,図4(a)参照)。
【0037】
そこで、前記ケース要素2,3を閉蓋してそれらの自由端相互をフック片5と係止孔6との弾性係着によりロックすれば、収納ケース1をUSBメモリの保護ケース20の店頭陳列用の化粧ケースとして利用して宣伝効果を高めることができると共に、前記保護ケース20よりも大判で他のCD収納ケースとほぼ同一外形に重ね合わせて携行することも可能となって携行利便性を高めることができる。
【0038】
前記保護ケース20を収納ケース1から取り出す場合は、前述の要領でケース要素2,3を開き、指先きで板ばね片11Aを上方から押圧する。
【0039】
すると、この板ばね片11Aは自体の弾性で図4(a)に示す状態から図4(b)に示す状態に下方に撓み変形して、先端が保護ケース20の他側面の突縁部22をくぐり抜けてその下縁に係止可能状態となると共に、該板ばね片11Aにばね力が蓄勢される。
【0040】
そこで、前記指先きによる板ばね片11Aの押圧力を解除すると、該板ばね片11Aの復元力で前記突縁部22の下縁に板ばね片11Aの先端が係止した状態で、図4(c)に示すように保護ケース20の他側部が弾き上げられ、該保護ケース20を簡単に取り出すことが可能となる。
【0041】
以上のようにこの第1実施形態の収納ケース1によれば、硬質性の小物品であるUSBメモリ用の保護ケース20をばね性を有する一対の係止爪片10と、小物品弾き出し手段11とにより弾性的に挟持して収納ケース1内に確実に保持できると共に、その取り出しに際しては前記小物品弾き出し手段11を指先きの押圧操作で弾性変形させる所謂ワンタッチ操作で保護ケース20の他側部を弾き上げて簡単に取り出すことができ、保護ケース20の収納,取り出しの使用性を良好なものとすることができる。
【0042】
また、本実施形態では前記係止爪片10がケース要素3の天蓋部3aの内面に一体に立設されていると共に、前記小物品弾き出し手段11が前記天蓋部3aの内面に逆L字状に一体に立設された板ばね片11Aとして構成されているので、これら係止爪片10および小物品弾き出し手段11が専用部品となることなくケース要素2,3と共に一体に型成形が可能で、コスト的に有利に得ることができる。
【0043】
図5は本発明の第2実施形態を示すもので、本実施形態にあっては前記係止爪片10および小物品弾き出し手段である板ばね片11Aを、前記ケース要素3の天蓋部3aの内面に挿脱可能に内接嵌装される硬質合成樹脂製の薄板状の中敷き板15に一体成形して、これら係止爪片10および板ばね片11Aが収納ケース1と別体に形成されている。
【0044】
前記中敷き板15の左右側縁には、ケース要素3の左右側壁(周壁3b)に内接するフランジ縁15aが上向きに一体に形成されており、これら周壁3bとフランジ縁15aの嵌合部分には相互に凹凸係合する弾性係止部16が設けられ、中敷き板15がみだりにケース要素3の天蓋部3aから外れ出さないように構成されている。
【0045】
この第2実施形態の構成によれば、前記第1実施形態と同様に保護ケース20の収納,取り出しの使用性を良好にすることができる他に、係止爪片10および板ばね片11Aが中敷き板15に一体成形されていて、収納ケース1と別体の構成とされているので、サイズが大,小異なる保護ケース20の収納用とする場合には、中敷き板15として小サイズ保護ケース保持用と大サイズ保護ケース保持用とに取り揃えておけば、中敷き板15を変えるだけで収納ケース1を共用の化粧ケースとすることができてコスト的に有利に得ることができる。
【0046】
図6は本発明の変形例を示すもので、硬質性の小物品として、例えばSDカードのように硬質性の薄型板状の記憶媒体(以下、薄板状の記憶媒体と称する)30を直接係止爪片10と板ばね片11Aとで弾性的に挟持して離脱可能に保持するように構成したものである。
【0047】
薄板状の記憶媒体30は、前記ケース要素3の天蓋部3aの内面に一体成形されたスペーサリブ13上に載置され、係止爪片10に弾性係止される一側部と反対側の他側部と前記天蓋部3aとの間に、板ばね片11Aによる弾き上げ用の間隙が確保されるようになっている。
【0048】
この薄板状の記憶媒体30の他側面には、前記板ばね片11Aの先端が係脱可能な突縁部31が一体成形されている。
【0049】
前記係止爪片10と板ばね片11Aの機能は前記第1,第2実施形態と全く同様である。
【0050】
本発明によれば、この変形例に示すように小物品が取扱いにくいSDカードのような小型薄板状の記憶媒体30であっても、これを直接収納ケース1に遊動することなく弾性的に保持できると共に、その取り出しに際しては板ばね片11Aを押圧操作するだけでワンタッチで収納ケース1から取り出しすることができて、使用性を良好なものとすることができる。
【0051】
なお、本発明は前記記憶媒体の保護ケース20や薄板状記憶媒体30の収納用に限定されるものではなく、硬質性の小物品の収納用に使用して利便性を高めることができる。
【符号の説明】
【0052】
1…収納ケース
2,3…ケース要素
2a,3a…天蓋部
10…係止爪片
11…小物品弾き出し手段
11A…板ばね片
15…中敷き板
20…記憶媒体保護ケース(小物品)
22…突縁部
30…薄板状記憶媒体(小物品)
31…突縁部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ヒンジ部を介して一体に連設された一対のケース要素が、前記ヒンジ部で2つ折りされて相互に開閉可能とされた硬質合成樹脂製の収納ケースであって、
前記ケース要素の一方には、その天蓋部の内面に立設され、硬質性の小物品の一側面に弾接すると共にその上縁に係脱可能な複数のばね性を有する係止爪片と、
前記天蓋部の内面に配設され、前記係止爪片のばね力を前記小物品を介して受けて該小物品の他側面に係着してこれを弾性的に拘束し、指先きの押圧操作力により弾性変形してその復元力で 前記小物品の他側部を弾き上げて、該小物品の取り出しを可能とする小物品弾き出し手段と、を備えたことを特徴とする小物品の収納ケース。
【請求項2】
前記小物品弾き出し手段が、前記天蓋部の内面に立設されて、前記係止爪片のばね力を受けることにより先端が前記小物品の他側面に設けられた突縁部上に係止可能な板ばね片で構成され、
前記小物品がこれら係止爪片と板ばね片とで抱持固定された状態にて、前記板ばね片を指先きの押圧操作力で面方向に弾性変形させ、その先端が前記小物品の突縁部をくぐり抜けた時点で前記押圧操作力を解除することにより、該板ばね片の復元作用で前記小物品の他側部を弾き上げ可能とされていることを特徴とする請求項1に記載の小物品の収納ケース。
【請求項3】
前記係止爪片および小物品弾き出し手段が、前記天蓋部の内面に一体成形されていることを特徴とする請求項1または2に記載の小物品の収納ケース。
【請求項4】
前記係止爪片および小物品弾き出し手段が、前記天蓋部に挿脱可能に内接嵌装される硬質合成樹脂製の中敷き板に一体成形されていることを特徴とする請求項1または2に記載の小物品の収納ケース。
【請求項5】
前記小物品が記憶媒体を収納したケース体、もしくは薄板状の記憶媒体であることを特徴とする請求項1〜4の何れか1つに記載の小物品の収納ケース。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−25967(P2011−25967A)
【公開日】平成23年2月10日(2011.2.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−174362(P2009−174362)
【出願日】平成21年7月27日(2009.7.27)
【特許番号】特許第4447050号(P4447050)
【特許公報発行日】平成22年4月7日(2010.4.7)
【出願人】(309023678)斎藤合成樹脂工業株式会社 (3)
【Fターム(参考)】