小規模集材・集荷装置とそれを用いた集材・集荷方法
【課題】小型かつ安価で小回り利用に便利な、設置、撤去、集材、集荷の向きや位置の変更、集材、集荷の作業性のよいものとする。
【解決手段】索条201と、索条201に集材、集荷対象202を吊持する吊持具203と、可搬エンジン204、可搬エンジン204によって駆動される駆動シーフ、205を、持ち運び具206付きの基台207に装備した駆動側索条支持機構208と、駆動シーブ205との間に索条201を掛け渡して従動し駆動シーブ205との間で索条201を周回駆動させる従動シーブ209または従動口ーラ210を少なくとも基台211に支持した従動側索条支持機構212と、を備えて、上記の課題を解決する。
【解決手段】索条201と、索条201に集材、集荷対象202を吊持する吊持具203と、可搬エンジン204、可搬エンジン204によって駆動される駆動シーフ、205を、持ち運び具206付きの基台207に装備した駆動側索条支持機構208と、駆動シーブ205との間に索条201を掛け渡して従動し駆動シーブ205との間で索条201を周回駆動させる従動シーブ209または従動口ーラ210を少なくとも基台211に支持した従動側索条支持機構212と、を備えて、上記の課題を解決する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、山間地で伐採された竹材や木材などの伐採材を集材場に集材したり、蜜柑山や果樹園での果実類、田畑での野菜類などの収穫物を集荷したりする小規模集材・集荷装置とそれを用いた集材・集荷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自然環境の保護のために、里山の復活、樹林や竹林の保護、地域林業の復活、さらには石油資源の枯渇対策としてのバイオマスエネルギーの活用などの必要性が強く認識されており、その対策の1つとして過剰に繁茂した竹材の伐採や樹林の間伐を行うとともにその間伐材を有効活用することが要請されているが、その作業に多大な労力を要するため、コスト高になってなかなか実施できないというのが現実である。特に、伐採した伐採材を所定の集材場まで搬出するのに多大な労力と費用を必要とすることが大きな障害となっている。
【0003】
下記特許文献1は、自走式のタワーヤーダーを用いて、複数の問状列に対し順次に移動しながら、各間伐列の間伐材をその列に沿って列端位置まで搬出しておくことを繰り返す従来技術を挙げた上で、この従来技術でのタワーヤーダーの移動なしに、複数の間伐列での間伐材を従来技術同様に搬出できる作業能率のよい改良技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−109918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の技術では、タワーヤーダーの移動なしに複数の伐採列での伐採材を順次に集材することはできても、集材する対象伐採列が変わる都度、次の集材のためにワイヤを復動させて元に戻さなければならないし、多数の滑車の掛け替えを伴いワイヤを張り直す手間も必用である。従って、作業能率はまだ低く、特に、長距離間での集材には十分でないし、全面伐採に対応するにはとても不向きである。また、成長度合いや枝、曲がりなどからの評価の低いものを選んで間伐する場合や、森林に侵入している竹を伐採する場合のような伐係位置がまばらになる間伐にも向かない。
【0006】
一方、本発明者は、山深い所からの集材に向けて、一方向に周回駆動するロープなどの索条によって高能率に集材できる長距離搬出装置、中距離搬出装置、それらを組み合わせた集材技術を開発し提案しているが、基幹搬出ラインとする長距離搬出装置や中距離搬出装置、またはそれらに、そのまわり各所の伐採材を効率よく集材する技術がさらに望まれる中、特許文献1の技術では能率面、タワーヤーダ一利用の高価格性、小回り利用上の不便性などから実用には向かない。これらの問題は、既設の索道、軌道を基幹搬出装置とした、蜜柑山や果樹園、栗林などでの果実類、野菜畑での野菜類を集荷したりする場合でも同様である。
【0007】
本発明は、上記従来の課題に鑑み、小型かつ安価で小回り利用に便利な、設置、撤去、集材、集荷の向きや位置の変更、集材、集荷の作業性のよい小規模集材、集荷装置とそれを用いた集材、集荷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の小規模集材、集荷装置は、索条と、この索条に集材、集荷対象を吊持する吊持具と、可搬エンジン、この可搬エンジンによって駆動される駆動シーブを、持ち運び具付きの基台に装備した駆動側索条支持機構と、駆動シーブとの間に索条を掛け渡して従動し駆動シーブとの間で索条を周囲駆動させる従動シーブまたは従動ローラを少なくとも基台に支持した従動側索条支持機構と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
このような構戒では、従動シーブを支持しただけの従働側索条支持機構の側は必要最小限の構成として、比較的短く設定し柔軟で取扱いやすく軽量で持ち運びに便利な索条であるロープ類やそれに応じて少なくなる吊持具などとともに、持ち運び具なしにも持ち運びが容易であるし、駆動側索条支持機構は、駆動シーブとそれを駆動する可搬エンジンに適当な減速機構を搭載した重量負荷の大きなものでもそれに備える持ち運び具によって、容易に持ち運べる程度のものとなって、道の無い山肌を林立する樹木や竹を縫って山深い伐採地にも、作業員2人程度で容易に入り込んで簡単に構築できるし、駆動側索条支持機構を集材側、つまり作業域の下流とすることで作業現場への持ち込み負荷が軽減する。例えば、集材、集荷距離30m未満、2Om程度に対応して短く設定される索条の一方向の周囲駆動による往路側での小規模集材、集荷に対応した負荷の軽減から、駆動シーブに必要な径も小さくてよくなることや、従動シーブや従動ローラを駆動シーブよりも小径にして駆動シーブの索条に対する接触角を高められることに関連して、索条の張設幅も小さくなるので、林立する樹木や竹を直線に通しての張設および集材、集荷を行いやすい。しかも、索条は往路側だけ直線に張設して、復路は邪魔な樹木や竹などに直接またはガイドローラや滑車を介し引っ掛けてジグザグに張設すれば、直線での集材、集荷の自由度が高まる。それには、当然のことながら、索条は両端を連結具で連結してループ化し、また連結解除にてループを解けるようにするのが便利となる。また、構築後は、電源無しに索条を一方向に周回駆動し吊持具を介し集材、集荷対象を袋側に吊持しての小規模な集材、集荷作業ができる。
【0010】
上記において、さらに、持ち運び具は、背当て部と荷受け部とがある背負い子とすることができる。
【0011】
このような構成では、上記に加え、さらに、負荷の大きな駆動側索条支持機構を背負い子の荷受け部と背当て部とを利用して安定に支持し背負うことで、重量負荷に耐えやすくして容易に持ち運べるし、重量負荷の小さい側でも背負い子を用いて、従動シーブの安定支持は勿論、重量負荷が小さい分索条や吊持具、工具などの必要器具、作業具をも支持して同時に持ち運ぶことで、駆動側および従動側での重量負荷のバランスを図ることができる。また、背当て部は、立木や竹、杭などの既存、新設を間わない柱状支持体に直接取り付けて重量負荷の大きな駆動側索条支持機構を確固に支持しやすいし、重量負荷の小さな従動側索条支持機構は、索条やベルト類によって連結して簡易に引っ張り支持し、張力の調整や従動シーブを索条の張設方向に沿わせることも容易にでき、引っ張り支持を複数の柱状支持部を利用した複数の方向から行うことで引っ張り支持をさらに安定したものとすることができ、索条の往路、つまり集材経路に沿った集材、集荷が終了する都度、簡易に支持した従動側索条支持機構を、駆動シーブを中心に次作業側にシフトしていくことで、その持ち運び方式に関係なく、小規模集材、集荷域を手間無く簡易に移していける。例えば、集材、集荷距離が20mで、60°シフトしたとすれば、合計65.7m2の広さの伐採に対応できるし、集荷距離が30mで、60°シフトしたとすれば、合計ほぼ100m2近い広さの伐採や収穫などに対応できる。
【0012】
上記において、さらに、可搬エンジンは、排気量40cc〜100cc程度のものとすることができる。
【0013】
このような構成では、上記に加え、さらに、可搬エンジンでありながら、距離20m〜30m範囲での小規模集材、集荷の負荷に十分に対応して、集材、集荷作業を確実かつスムーズに遂行することができる。
【0014】
上記において、さらに、駆動シーブおよび従動シーブの少なくとも駆動シーブは、基台上に、角度調節機構により、基台上の支持角度を索条の張設方向に向けた垂直平面方向に調節できるように支持したものとすることができる。
このような構成では、上記に加え、さらに、駆動シーブを支持している駆動側索条支持機構は、重量物であるエンジン、減速機、燃料タンクを基台に装備したもので、最も安定する地面上に接地させての支持形式を採る関係上、駆動シーブの向きが、接地地面の向きに左右されることになるところ、基台上の角度調節機構によりそれが支持している駆動シーブの基台上での支持角度を、索条の張設方向に沿う向きに調節することができる。
【0015】
上記において、さらに、駆動シーブは、可搬エンジンと一方向クラッチを介し、集材、集荷方向側の駆動力のみが伝達されるように連結されたものとすることができる。
【0016】
このような構成では、上記に加え、さらに、駆動シーブは、可搬エンジンによる回転を一方向クラッチを介し受けて駆動され、索条を従動シーブとの間で集材、集荷方向に向け一方向に連続に周回駆動し、集材、集荷対象の集材、集荷に供するが、このように可搬エンジンに一方向クラッチを介し連絡した駆動シーブは、従動側索条支持機構に搭載すると索条の集材、集荷方向の一方向クラッチの回転向きが、可搬エンジン側に対し遊び側、つまり空転側になるので、従動シーブとして作用する。
【0017】
上記小規模集材、集荷装置を用いた本発明の集材、集荷方法は、従動シーブを支持しただけの従動側索条支持機構の側を作業域上流に、駆動シーブとそれを駆動する可搬エンジンに適当な減速機構を搭載した駆動側索条支持機構をこれに付帯した持ち運び具を利用して作業域下流に、それぞれ人が持ち運んで、索条長さに見合う集材、集荷距離を置いて酎置する工程と、配置した駆動側、従動側の各索条支持機構の駆動シーブと従動シーブまたは従動ローラとの間に索条を掛け渡して周回駆動できるように張設する工程と、この索条の張設状態を維持する位置に駆動側、従動側の各索条支持機構を、既存、新設を問わない支持体に支持し、小規模集材、集荷装置を構築する工程と、構築した小規模集材、集荷装置において、エンジンを始動して索条を周回駆動しながら、上流側や途中で、下流側に向かう往路の索条に吊持具を介し吊持して、下流に集材、集荷しながら、下流で集材、集荷されてくる集材、集荷対象を索条への吊持を解いて降ろすことを繰り返し、小規模に集材、集荷して行くことを特徴としている。
【0018】
このような構成では、上記の集材、集荷装置を、道の無い山肌を林立する樹木や竹を縫って山深い伐採地にも、作業員2人程度で容易に入り込んで簡単に構築できるし、構築後は、エンジン駆動により電源無しに周回駆動する索条に集材、集荷対象を吊持具で吊持して集材、集荷作業を小規模に効率よく遂行できる。
【0019】
上記において、さらに、小規模集材、集荷作業は、索条の従動シーブまたは従動ローラ側を駆動シーブまわりにシフ卜して集材、集荷位置を移す工程を備えて、索条の往路近傍を超える広域に遂行するようにできる。
【0020】
このような構成では、上記に加え、さらに、索条の往路近傍での小規模集材、集荷域を超える広域に小規模集材、集荷を繰り返していくことが、重量負荷の小さな従動シーブまたは従動ローラ側の移動にて、駆動シーブ側を移動させる場合に比べてより簡易に達成することができる。
【0021】
上記において、さらに、小規模集材、集荷装置は、これより搬出距離、許容搬出負荷の大きな基幹集材、集荷装置の上流から下流に向けた途中の近傍に駆動側索条支持機構を配置して複数構築し、構築した各小規模集材、集荷装置にて基幹集材、集荷装置に向け集材、集荷し、基幹集材、集荷装置側に集材、集荷した集材、集荷対象を、基幹集材、集荷装置での目的位置への集材、集荷に供するようにできる。
【0022】
このような構成では、上記に加え、さらに、山の奥深い所に小回りして入り込んで容易かつ簡単に構築した複数の小規模集材、集荷装置により、複数の位置で、それらより規模の大きな基幹集材、集荷装置側に併行して小規模集材、集荷することで、単位時間当たりの集材、集荷の量を増大させながら、各小規模集材、集荷装置の下流で立木や竹が少ないとか進入路が造りやすいとか進入路があるなど設置条件が緩和される環境変化を生かして搬出距離、許容搬出負荷を中規模や大規模として設置しやすい基幹集材、集荷装置により、各位置にて小規模集材、集荷されてきた多量の集材、集荷対象を搬出密度口ス少なく効率よく目的位置まで大規模集材、集荷することができる。
【0023】
上記において、さらに、小規模集材、集荷装置は、これより距離、許容負荷の大きな中規模集材、集荷装置の上流から下流に向けた途中の近傍に駆動側索条支持機構を配置して複数構築し、構築した各小規模集材、集荷装置にて、それらの下流の中規模集材、集荷装置側に集材、集荷し、集材、集荷した集材、集荷対象を、中規模集材、集荷装置での搬出側への中規模集材、集荷に供し、中規模集材、集荷した集材、集荷対象を、これより規模の大きな基幹集材、集荷装置での目的位置への大規模集材、集荷に供するようにできる。
【0024】
このような構成では、上記に加え、さらに、山の奥架い所に小回りして入り込んで容易かつ簡単に構築した複数の小規模集材、集荷装置により、複数の位置で、それらより規模の大きな中規模模集材、集荷装置側に併行して、従動シーブ側のシフトを伴い小規模集材、集荷することで、単位時間当たりの集材、集荷の量を小規模集材、集荷装置の両側で増大させながら、各小規模集材、集荷装置の下流で立木や竹が少ないとか、進入路が作りやすいとか、進入路があるとか、した、設置条件が緩和される環境変化を生かして搬出距離、許容を中規模として設置しやすい中規模集材、集荷装置により、各位置にて書規模集材、集荷されてきた多量の集材、集荷対象を搬送密度ロスなく効率よく効率よく集材、集荷し、中規模集材、集荷装置によって集材、集荷されてきた大量の集材、集荷対象をより遠い目的位置まで大規模集材、集荷することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の小規模集材、集荷装置とそれを用いた集材、集荷方法によれば、従動シーブを支持しただけの必要最小限の構成にできる従動側索条支持機構の側は、比較的短く設定し柔軟で取り扱いやすく軽量な索条であるロープ類、それに応じて少なくなる吊持具などと共に持ち運び具なしにも持ち運びやすいので、道のない山肌を林立する樹木や竹を縫って山深い伐採地にも、作業員2人程度で用意に入り込み、また駆動側索条支持機構を作業域の下流側としてさらに持ち込み負荷を軽減しながらも簡単に構築し、構築後は電源無しに索条を一方向に周回駆動させた時の往路側で、吊持具を介し、集材、集荷対象を吊持しての小規模な集材、集荷作業が連続して効率よく達成できる。
【0026】
上記に加え、さらに、索条の往路近傍での小規模集材、集荷域を超える広域に小規模集材、集荷を繰り返していくことが、重量負荷の小さな従動シーブまたは従動ローラ側を移動させてのシフトにて、駆動シーブ側を移動させる場合に比べてより簡易に達成し、集材、集荷作業の能率の向上、作業域の拡大が図れる。
【0027】
上記に加え、さらに、山の奥深い所に小回りして入り込んで容易に構築した複数の小規模集材、集荷装置により、複数位置で併行して小規模集材、集荷した多量の集材、集荷対象を、各小規模集材、集荷装置の下流で立ち木や竹が少ないとか、進入路が作りやすいとか、進入路があるとか、した、設置条件が緩和される環境変化を生かして搬送距離、許容搬出負荷を中規模や大規模として設置しやすい基幹集材、集荷による上流側から途中までの複数位置から目的位置までの、搬出密度ロスが少なく効率のよい大規模集材、集荷に供することで、多量で長距離な集材、集荷作業が高能率にできる。
【0028】
上記に加え、さらに、山の奥深い所に小回りして入り込んで容易に構築した複数の小規模集材、集荷装置により、複数位置で併行して小規模集材、集荷した多量の集材、集荷対象を、各小規模集材、集荷装置の下流で立ち木や竹が少ないとか、進入路が作りやすいとか、進入路があるとか、した、設置条件が緩和される環境変化を生かして中規模として設置しやすい中規模集材、集荷装置により、各位置にて小規模集材、集荷されてきた集材、集荷対象を搬出密度ロスなく効率よく集材、集荷し、中規模集材、集荷装置の下流で立ち木や竹が少ないとか、進入路が作りやすいとか、進入路があるとか、した、設置条件が緩和される環境変化を生かして、搬出距離、許容搬出負荷の大規模として設置しやすい大規模として設置しやすい基幹集材、集荷装置により、中規模集材、集荷装置によって集材、集荷されてきた多量の集材、集荷対象をより遠い目的位置まで大規模集材、集荷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る小規模集材、集荷装置の1つの例を使用状態で示す平図、側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る小規模集材、集荷装置の別の例を使用状態で示す平面、側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る小規模集材、集荷装置の他の例を使用状態で示す平面図、側面図である。
【図4】図3の装置に索条の長さ調節機構を採用した改良例を示す要部の側面図、長さ調節機構の正面図および側面図である。
【図5】図1〜図3に示す装置のチエンソー用の2サイクルエンジンを採用した駆動側索条支持機構を示す側面図である。
【図6】図5のエンジンに代替して汎用の2サイクルエンジンを採用した駆動側索条支持機構の正面図である。
【図7】図5、図6のエンジンに代替できる4サイクルエンジンを示す側面図である。
【図8】索条とそれこ常備する吊持具の一部であるループ材を示す側面図である。
【図9】図8の索条を用いた集材、集荷対象の搬送状態例を示す側面図である。
【図10】小規模集材、集荷装置を中時規模集材、集荷装置、および大規模な基幹集材、集荷装置と組み合わせた組み合わせ集材、集荷装置を示す平面図である。
【図11】チエンソー用のエンジンの駆動ギヤとそれに嵌め合わせるクラッチの駆動側一部を示す斜視図である。
【図12】小規模集材、集荷装置の締結、締結解除部に用いる締結具としてのレバー・ラチェット付きのねじを示す側面図および平面図である。
【図13】吊持具の索条への複合した装備例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る小規模制、集荷装置とそれを用いた集材、集荷方法の実施の形態について、図を参照して説明する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載を限定するものではない。本実施の形態の小規模集材、集荷装置は、図1に示す小規模集材、集荷装置200、図2に示す小規模集材、集荷装置200、図3に示す例の小規模集材、集荷装置200のように、索条201と、この索条201に集材、集荷対象202を吊持する吊持具203と、可搬エンジン204、この可搬エンジン204によって駆動されるシーブ205を、持ち運び具206付きの基台207に装備した駆動側索条支持機構208と、駆動シーブ205との間に索条201を掛け渡して従動し駆動シーブとの間で索条を周回駆動させる従動シーブ209(図3)または従動ローラ210(図1、図2)を少なくとも基台211に装備した従動側索条支持機構212とを備えた基本構成を有している点で共通している。
【0031】
このように従動シーブ209、従動ローラ210を支持しただけの従動側索条支持機構212側は、必要最小限の構成として、比較的短く設置し柔軟で取り扱いやすく持ち運びに便利なロープ類やそれに応じて少なくなる吊持具203などとともに、持ち運び具なしにも持ち運びが容易である。一方、駆動側索条支持機構208は、駆動シーブ205とそれを駆動する可搬エンジン204に回転方向の転換や減速を図る適当なマイタギヤユニットやその他を単独使用または組み合わせ使用した減速機構204aを搭載した重量負荷の大きなものでもそれに備える持ち運び具206によって、容易に持ち運べる程度のものとなる。従って、それら従動側索条支持機構212および駆動側索条支持機構208を主体とする必用構成機器は、道の無い山肌を林立する樹木や竹を縫って山深い伐採もこも、作業員2人程度で容易に入り込んで、小規模集材、集荷装置200を簡単に構築できる。また、駆動側索条支持機構208側を集材側つまり作業域の下流とすることで作業現場への持ち込み負荷がさらに軽減する。
【0032】
例えば、集材、集荷距離30m未満、20m程度に対応して短く設定される索条201の一方向の周回駆動による往路201a側での小規模集材、集荷に対応した負荷の軽減から、駆動シーブ205に必要な径も小さくてよくなることや、従動シーブ209や従動ローラ210を駆動シーブ205よりも小径にして駆動シーブ205の索奈201に対する接触角を高められるので、林立する樹木や竹を図1の例で示すように直線に通しての張設および集材、集荷を行いやすい。しかも、索条201は図2の例で示すように往路201a側だけ直線にして復路201b側は邪魔な樹木221や竹222などに直接またはガイドローラ223や滑車などのガイド類を介し引っ掛けてジグザグに張設すれば、直線での集材、集荷の自由度が高まる。それには、当然のことながら、索条201は図1の例で示すように両端を適宜な連結具224で連結してループ化し、また連結解除にてループを解けるようにするのが便利となる。また、小規模集材、集荷装置200の構築後は、電源無しに索条201を一方向に周回駆動し吊持具203を介し集材、集荷対象202を往路201aに吊持しての集材、集荷ができる。図示例では伐採竹を集材、集荷対象202としているが、伐採木、樹木や竹の間伐材、なお既述した蜜柑山や果樹園での果実類、田畑での野菜類などの収穫物を集材、集荷対象202することもできる。
【0033】
持ち運び具206は、手提げ方式のものでもよいが、軽量な従動側索条支持機構212には向いているが、駆動側索条支持機構208には図1の例、図3の例のように背当て部206aと荷受け部206bとがある、側面視鈎型、古来からの背負い子とするのが好適である。負荷の大きな駆動側索条支持機構208を背負い子をなす荷受部206bと背当て部206aとを利用して安定に支持し背負うことで、重量負荷に耐えやすくして容易に持ち運べるようになる。しかし、図1の例、図2の例で示すように、重量負荷の小さい従動側索条支持機構212側でも背負い子の持ち運び具206を用いて、従動シーブ209、従動ローラ210の安定支持は勿論、重量負荷が小さい分索条201や吊持具203、小規模集材、集荷装置200の構築と解体に用いる必要器具、作業具をも支持して同時に持ち運ぶことで、駆動側索条支持機構208および従動側索条支持機構212での持ち運び重量負荷のバランス化を図ることができる。
【0034】
また、背負い子タイプとした持ち運び具206の背当て部206aは、図1の列、図2の例、図3の例で示すように、適当な高さを残して伐採した立木や竹、あるいは人が打ち込んだ杭などの既存、新設を問わない柱状支持体225に、荷締めベルトやラッシングベルトなどとして知られるカムバックルベルト類、縛り付け、締め付け用の非ベルト類を用いるなどした各種の締結具226により直接取り付けて、重量負荷の大きな駆動側索条支樹幾構208を確固に支持しやすい。図1の例では力ムバックル226a、227aをブロック化して模式的に示している。また、背負い子タイプとした持ち運び具206の背当て部206aは、重量負荷の小さな従動側索条支持機構212に対しては、図1の例で示すように既存、新設を問わなし柱上支持体225に、カムバックルベルト類を始めとする索条やベルト類、非ベルト類を、用いるなどした引っ張り連結具227によって連結して簡易に引っ張り支持し、張力の調整や従動シーブ209、従動ローラ210を索条201の張力方向に沿わせることも容易にできる。この場合、図示例のように、引っ張り支持を複数の互いに離れた柱状支持部225を利用した複数の方向から行うことで引っ張り支持をさらに安定したものとすることができる。
【0035】
このような、従動側索条支持機構212側の支持が、駆動側索条支持機構208の支持に比べて簡易であることを利用して、索条201の往路201a、つまり集材経路に沿った集材、集荷が終了する都度、簡易に支持した従動側索条支持機構212の側を、駆動側索条支持機構208側の駆動シーブ205を中心に図1(a)の実線位置から両側破線位置の一方を選択した次作業側にシフトしていくことで、従動側索条支持機構212の持ち運び方式に関係なく、小規模集材、集荷域を手間なく簡易に移していける。例えば、集材、集荷距離が20mで、60°シフトしたとすれば、合計ほぼ100m2近い広さの伐採や収穫などに対応できる。
【0036】
ここで、可搬エンジン204は、可搬性、駆動トルク、回転数などによって選択すればよいが、排気量40cc〜100cc程度のものとして、人手による持ち運びに有利な比較的小さな可搬エンジン204でありながら、距離20m〜30m範囲での小規模集材、集荷に十分対応して、集材、集荷作業を確実かつスムーズに遂行することができる。排気量40cc程度のものとしては、図1、図5に示す例のチエンソー用やその他図6に示す例のような4サイクルエンジンがある。100cc程度以下のものとしては、汎用の図7に示すような4サイクルエンジンがある。いずれにしても、コイルスタータ方式のものを採用するのが始動に便利である。
【0037】
駆動シーブ205と、従動シーブ209、従動ローラ210との少なくとも駆動シーブ205は、図1の例、図2の例で示し、図5に詳細に示すように、基台207上に、角度調節機構208により、基台207上の支持角度を索条201の張設方向に向けた垂直平面方向に調節できるように支持したものとすることができる。このように駆動シーブ205を支持している駆動側索条支持機構208は、重量物であるエンジン、燃料タンクを基台207に装備したもので、最も安定する地面231上に接地または図1の例のように近接させての支持形式を採る関係上、駆動シーブ205の向きが接地地面の向きに左右されることになるところ、基台207上での支持角度を、索条201の張設方向に沿う向きに調節することができる。特に、従動シーブ209、従動側索条支持機構212側を、駆動側索条支持機構208側の駆動シーブ205を中心にシフトして従動側索条支持機構212を別の位置に移し再接地する都度、接地地面231の高さが変わって、駆動シーブ205から再設置した従動側索条支持機構212の従動シーブ209、従動ローラ210側への索条201の張設方向が変化することにも対応できる利点がある。
【0038】
角度張設機構228は、図5に示すように基台207の後端に軸232による水平軸まわりに起伏できるように軸支された角度調節板238を有し、この角度調節板238上に可搬エンジン204および駆動シーブ205とそれらを回転向きの変更と減速を図って連結するマイタギヤユニット234を設置し、角度調節板238の裏側には操作ハンドル234を持ったねじ軸235を軸受236によって回転自在に軸受して設け、ねじ軸235に螺合したスライダ237と基台207上に固設した基点ブロック238とをリンク239によってピン連結してある。これにより、ハンドル234を回転させると、その回転方向に応じてスライダ237が軸232側に寄ったり、軸232から離れたりし、これに伴うリンク239の矢印で示す方向での起伏、起立によって角度調節板233が駆動シーブ205を伴い角度を小さく、また大きく、変化させられ、駆動シーブ205の角度を調節する。
【0039】
ここで、図1、図5に示すチエンソー用の可搬エンジン204は、駆動シーブ205にどのように連結して用いてもよいが、図12(a)に示すようなソー駆動用の駆動ギヤ204aが装備されて、これにソー駆動用の図示しない駆動タイミングプーリを嵌め合わせて連結し、ソーをタイミングベルトおよび従動タイミングプーリを介し駆動できるようにしている。そこで、チエンソー用の可搬エンジン204の図1、図5に示す例への転用は、この駆動ギヤ204aを利用して駆動シーブ205に所定の回転向き変更、減速を図り連結することになる。図1、図5に示す例では、図5に示すように角度調節板233に固設した伝動基板204b上に一方向クラッチ241、この一方向クラッチ241の従動側241aに軸242で連結した駆動タイミングプーリ245とを装備し、一方向クラッチ241の駆動側241bに図11(b)に示すようなギヤ孔241cをレーザ加工などして形成し、このギヤ孔241cを前記駆動ギヤ204cに嵌め合わせて双方を軸方向にねじ締結するなどして固定することで、可搬エンジン204の駆動が駆動ギヤ204cを介し一方向クラッチ241の駆動側241aから従動側241bに伝達され、駆動シーブ205には、可搬エンジン204と一方クラッチ204と一方クラッチ241、駆動タイミングプーリ243、タイミングベルト244、従動側タイミングプーリ245、マイタギヤユニット204aを介し、集材、集荷方向側の駆動力のみが伝達されるように相互連結している。なお、図6、図7に示す例の可搬エンジン204に、図11に示すような駆動ギヤの露出設置はなく、出力軸204dが突出していることから、図6に代表して示すようにこの出力軸204dに一方向クラッチ241を介し駆動タイミングプーリ243を連結し、駆動シーブ205に回転が及ぶようにしている。
【0040】
これにより、駆動シーブ205は、可搬エンジン204による回転を一方向クラッチ241を介し受け駆動され、索条201を従動ローラ210との間で集材、集荷方向に連続に周回駆動し、集材、集荷対象203の集材、集荷に供するが、このように可搬エンジン204に一方向クラッチ241を介し連結した駆動シーブ205は、従動側索条支持機構212に搭載する索条1の集材、集荷方向の一方向クラッチ241の回転向きが、可搬エンジン204側に対し遊び側、つまり空転側になるので、従動シーブ209として作用させられる。結果として、駆動側索条支持機構208および従動側索条支持機構212は持ち運び具206付きの全く共通のものを使用して小規模集材、集荷装置200を構築して差し支えないことを意味する。
【0041】
さらに詳述すると、図1に示す例では、駆動側索条支持機構208および従動側索条支持機構212双方を、既述の背負い子タイプの持ち運び具226、227付きのものとしてある。従動ローラ210は、ホルダー251付きのものを基台211に取り付けて設置するのが簡易で好適であり、各種既存のものを採用することができる。図1の例、図2の例、図3の例では、吊持具203は、図8に示すような漁業で使われる柔軟なはえ縄漁用の索条201の小ピッチ間隔で設けた、索条201よりも細くさらに柔軟でかさ低い常備のループ材203aと、集材、集荷対象202を、その場を通過していくループ具203aに連結して吊持し、集材、集荷位置にて連結を解除して吊持を外す着脱用の吊持部材203bとの組み合わせとしてある。これにより、索条201は各部のループ材203aを伴い周回駆動されるが、柔軟でかさ低いことによりどの部分をも引っ掛かりなどなくスムーズに通過していくことができる。この結果、ループ材203aは実際の吊持作業頻度や作業時間間隔に対して過剰に設けておいても問題はなく、複数吊持作業位置での雑多なタイミングでの吊持作業に対し、いずれかのループ材203aの通過タイミングが合う確率を高められ、吊持部材203bの通過待ち率が高くなったり、通過待ち時間が長くなったりする作業ロスを回避しやすくなる。
【0042】
なお、ループ材203aは、例えば、ロープ材を索条201の撚り目201aや網目に通して図8(a)のように両端を結びつけるか、図8(b)に示すように中央部を結びつけた後、両端を下向きにして互いを結びつけ、その下部のばらつき部をそのまま図(b)に示すようにテープなどによる緊縛部203a1とするか、図8(c)に示すようにばらつき部を溶着ないしは接着して固着させた固着部203a2とするかしてループ化する。吊持部材203bは図9に示すように、ベルト203b1の一端は、木材、竹材といった長尺な集材、集荷対象202に対して、それに巻き掛けるためのループ部203b2、他端はループ部203b2に引っ掛けて集材、集荷対象202を吊持するための、安全レバー無しのフック203b3としてある。これにより、吊持部材203bは、ベルト203b1を集材、集荷対象202の吊持端部分にU字上に掛けた状態で、ループ部203b2にフック203b3側を通していくことで、巻き付けることができ、フック203b3側を引き上げることで、集材、集荷対象202は自重でベルト203b1のループ203b2側巻き付け部を引き締める状態となって、ベルト203b1との摩擦を伴い自己安定するので、滑り落ちることがない。そこで、フック203b3をループ材203aに引っ掛ければ、集材、集荷対象202を索条201に吊持することができ、フック203b3が安全レバーの無いものでも集材、集荷対象202の重みによって吊持状態が外れることなはなく、索条201による集材、集荷に供することができる。集材、集荷位置では、集材、集荷対象202が到着する都度、安全レバーの無いフック203b3をループ材203aから単に外すだけで周回駆動される索条201から瞬時に縁切りできて引きずられる万一もの危険が回避される。従って、集材、集荷対象202を索条201から外した後は、十分な時間的余裕を持って吊持材203bを集材、集荷対象202から取り外せる。
【0043】
もっとも、ループ部203b2をフックで代替することもできるし、集材、集荷対象202が果実や野菜などを収容した袋や容器側に吊り上げようの吊持部がある場合に好適となる。また、長尺の索条201の往路201aに沿って敷設したシュラ204で集材、集荷対象202の吊持姿勢の下端部を受けるようにすると、地面の凸凹や引っ掛かり物の影響を回避してスムーズに集材、集荷できるようになる。また、さらに分け入りにくい集材、集荷作業域には、駆動シーブ205および従動シーブ209を持つ駆動、従動側索条支持機構205、209に代えて、大物の釣り用などで知られる主として巻き取りハンドル付きの大型リールを集材、集荷作業に採用することができ、さらに小規模な搬出距離、搬出負荷での集材、集荷に有効になる。この場合、大型リールの支持中への取り付けは、駆動、従動側索条支持機構205、209の取り付け技術を踏襲すればよいが、搬出距離、搬出負荷が小さい分だけ軽微な取り付にて対応できる。また、上流側リールおよび下流側リール間に張設する索条は、一方をフリーにして他方で巻き取ることになるので、下流への集材、集荷で索条が下流側にまき終える都度、上流側に巻き戻して再度使用することになる。つまり、索条は往復移動させながらその一方向に移動させる都度集材、集荷作業を行うことになる。しかし、これに限られることはなく、上下流一方のリールを巻き取り可能とし、他方をその巻き取り方向にフリーになるようにして、双方間にループ状の索条を掛け渡すようにすれば、索条を一方向に周回駆動して集材、集荷を連続的に行うことができる。この場合も、索条は両リールに対し複数回巻き掛けて張設し滑り止めするのが好適である。
【0044】
図3に示す例につき詳述すると、従動側索条支持機構212は、従動シーブ209を採用し、これを、アルミニウム製で軽量化したスタンド型のガイド柱251上でスライドできる取り付けスライダ252に基部をピン連結した主アーム253の先端部に軸支し、ガイド柱251上の取り付けスライダ252の下でスライドできる支持スライダ254に基部をピン連結した支持アーム255の先端を、主アーム253の途中にピン連結して主アーム253を支持するようにしている。取り付けスライダ252の高さをスライド調節して支持アーム255による主アーム253の支持高さを調節し、主アーム253のガイド柱251への支持角度を調節できるようにしている。これによって、従動シーブ209も駆動シーブ205側への索条201の張設方向に沿う向きとなるように積極的に調節できる。従動シーブ209の調節高さ、調節角度は、取り付けスライダ252、支持スライダ254を図13に示すレバー256a付きねじ256によってガイド柱252に対しねじ止めすることにより固定できるようにしている。ガイド柱251は断面角型の押し出し形材よりなり、その外周に矩形な取り付けスライダ252、支持スライダ254を嵌め合わせてある。ガイド柱251の一面の左右にはアリ溝251aを設け、これらアリ溝251aの、取り付けスライダ252、支持スライダ254の対応する各部の上下2箇所ずつに図示しない4つのナット材を嵌め合わせ、取り付けスライダ252、支持スライダ254のそれぞれを、前記4つのナット材に、取り付けスライダ252、支持スライダ254側からねじ256をレバー256aの操作でねじ締結することで無段階な調節位置に確固に固定できるようにしている。ねじ256はレバー256aとの間にラチェット機構256bが設けられ、ラチェット歯車256cに対する左右一対のラチェット爪256d1、256d2のどちらを働かせるかで、操作レバー256aの締結側の回転操作か、締結解除側の回転操作かのいずれを、ラチェット歯車256cに一体化したねじ256に伝達するかを切り変えられる。これによって、ねじ256を右ねじとして、図12に示すラチェット爪256b1を働かせた状態では、レバー256aはねじ256に締結解除側に回転を与え、締結側には遊ぶ。反対にラチェット爪256b2を働かせるように切り換えた状態では、レバー256aはねじ256に対し締結側に回転を与え、締結解除側に遊ぶ。従って、締結操作、締結解除操作は、いずれもレバー256aを往復操作して該当方向の回転操作を達成することができ、まわりとの干渉を避けやすい利点がある。レバー256aにラチェット機構256bを組み込んだ製品は多量生産され低コストで市販されているので、このような締結、締結解除が必要な全箇所に付帯させておけば、小規模集材、集荷装置200の構築や解体、位置調節といった作業が随分簡易化される。なお、ガイド柱251はそのスタンド部をアンカーで土中に固定することもできるが、取り扱い上大きなスタンド部とすることが制限されるので固定力不足となりやすいところを、スタンド設置した状態で既存、新設を問わない柱状支持体225に、既述の各種の締結具226により直接取り付けて索条201に働く張力に対抗できるようにしている。また、このように固定したガイド柱251側を、背部にある途中までを伐採した樹木など、既存、新設を問わない背部柱状支持体227に、各種の締結具226により連結して固定強度を高めている。このような背部支持は必要に応じ採用すればよい。
【0045】
さらに、索条201の復路201b途中を直線ラインから外してジグザグにするのに、ガイドローラ271を採用した例を示している。ガイドローラ271はコの字型の支持枠272の上下片272a、272b間に軸支しておき、支持枠272の背部272cを既存、新設を問わない途中柱状支持体273に、各種の締結具226により締結して取り付けている。背部272cの幅は狭いが上片272aの背部幅を大きくすることで、ガイドローラ271が背部272cを起点に左右に振れるのを防止するようにしている。これには、下片272bの背部幅も大きくするのが好適で、背部272cの幅を大きくするとされに有効である。
【0046】
図4に示す例について、さらに詳述すると、図3に示す例のガイド柱251と途中柱状支持体273との間に、索条201の長さを往路201bで調節する長さ調節機構281を設置した例を示してある。長さ調節機構281は、アルミニウム製でスタンド型のガイド柱282をそのスタンド部281aのアンカー材283により簡易に地面231へ固定した上で、別の途中柱状支持体273に各種締結具226により締結して取り付けてある。復路201bの両側から張力を受けることに対応している。ガイド柱282は、断面四角形でその一面に1つのアリ溝282aを持ち、これに上下の支持スライダ284a、284bをスライドできるように嵌め合わせ、上部の支持スライダ284aの復路201b方向前後に2つのガイドシーブ285、286を軸支し、下部の支持スライダ284に図示しない巻き取りようの螺旋ガイド溝を巻き取り面に形成した巻き取りドラム287を軸支している。これにより、索条201の復路201bの途中をガイドシーブ285、286を経由して巻き取りドラム287側に引き込んでこの巻き取りドラム287に敵数回巻き掛け、巻き掛け回数に応じた滑り止めの摩擦力を巻き取りドラム287との間に確保するようにしている。この状態で巻き取りドラム287は走行する索条201に対して滑り無く従動して擦れ合うことがない。また、上下の支持スライダ284a、28bをスライド調節して、ガイドシーブ285、286と巻き取りドラム287との距離を調節するだけで、定尺の索条201を利用して、実集材、集荷距離に合わせて駆動側索条支持機構208および従動側索条支持機構212を設置したときの、索条1の余剰長さ分を吸収することができる。この場合、索条1の復路201bの巻き取りドラム287への巻き掛け部の、巻き取りドラム287への螺線ガイド溝に沿っての巻き掛け数によっても、索条201のさらなる余剰長さにも対応できる。上部の支持スライダ284aの高さ調節はガイドシーブ285、286の設置高さを調節となり、下部の支持スライダ284bの高さ調節は巻き取りドラム287の高さ調節によるガイドシーブ285、286との距離調節になる。これらの調節高さは、上下の支持スライダ284a、284bの側からの既述のレバー256a付きのねじ256を、ガイド柱282のアリ溝282a内の図示しないナット材にねじ合わせて締結することで固定できるし、逆操作によってその固定を解除することができる。また、ガイド柱281とスタンド部281aとは別体として持ち運び時などの取扱かさを抑えながら、組み付け状態は既述のレバー256aつきのねじ256によって締結して固定し、またこの固定を解除できるようにして、組み付け、分解作業を容易にしている。これは、図3の例のガイド柱225とそのスタンド部にも適用して有効である。
【0047】
既述の小規模集材、集荷装置200は、これにより搬出距離、許容搬出負荷の大きな図10に示す基幹集材、集荷装置1、または、中規模集材、集荷装置101に対しその上流から下流に向けた途中の近傍に駆動側索条支持機構208を配置して複数構築し、構築した各小規模集材、集荷装置200にて、基幹集材、集荷装置1または中規模集材、集荷装置101に向け集材、集荷し、基幹集材、集荷装置1または中規模集材、集荷装置101側に集材、集荷した集材、集荷対象202を、基幹集材、集荷装置1または中規模集材、集荷装置101での目的位置への集材、集荷に供するようにできる。これにより、山の奥深い所に小回りして入り込んで容易かつ簡単に構築した複数の小規模集材、集荷装置200により、複数位置で、それらより規模の大きな基幹集材、集荷装置1または中規模集材、集荷装置101側に併行して、従動シーブ209のシフト操作も伴って小規模集材、集荷することで、単位時間当たりの集材、集荷の量を、基幹集材、集荷装置1または中規模集材、集荷装置101の両側の広域で増大させながら、各小規模集材、集荷装置200の下流で立木や竹が少ないとか、進入路が造りやすいとか、進入路があるとか、して設置条件が緩和される環境変化を生かして搬出距離、許容搬出負荷を大規模または中規模として設置しやすい基幹集材、集荷装置1または中規模集材、集荷装置101により、それらの各位置にて小規模集樹、集荷されてきた多量の集材、集荷対象202を搬出密度口ス少なく効率よく集材、集荷することができる。
【0048】
さらに、図10に示すように、小規模集材、集荷装置200は、これにより距離、搬出負荷の大きな中規模集材、集荷装置101の上流から下流に向けた途中までの近傍に駆動側索条支持機構208を配置して複数構築し、構築した各小規模集材、集荷装置200にて、それらの下流で中規模集材、集荷装置101に向け集材、集荷し、中規模集材、集精装置101側に集材、集荷対象202を、中規模集材、集荷装置101での搬出側への集材、集荷に供し、中規模集材、集荷装置101は、集材、集荷した集材、集荷対象202を、これより規模の大きな基幹集材、集荷装置1での目的位置への集材、集荷に供することができる。これにより、山の奥深い所に小回りして入り込んで容易かつ簡単に構築した複数の小規模集材、集荷装置200により、複数位置で、それらより規模の大きな中規模集材、集荷装置101側に併行して、従動シーブ209のシフト操作も伴って小規模集材、集荷することで、単位時間当たりの集材、集荷の量を、中規模集材、集荷装置101の両側の広域で増大させながら、各小規模集材、集荷装置200の下流で立木や竹が少ないとか、進入路が造りやすいとか、進入路があるとか、して設置条件が緩和される環境変化を生かして搬出距離、許容搬出負荷を中規模として設置しやすい中規模集材、集荷装置101により、それらの各位置にて小規模集樹、集荷されてきた多量の集材、集荷対象202を搬出密度口ス少なく効率よく中規模集材、集荷し、中規集材、集荷装置101の下流で進入路が造りやすいとか、進入路があるなとか、して設置条件がさらに緩和される環境変化を生かして搬出距離、許容搬出負荷を大規模として設置しやすい基幹集材、集荷装置により、中規模集材、集荷装置101によって集材、集荷されてきた大量の集材、集荷対象をより遠い目的位置まで連続して効率よく大規模集材、集荷することができる。
【0049】
さらに詳述すると、基幹集材、集荷装置1は、搬送先Bのシーブ6を従動側として図示しない支柱によって支持し、必要な背後支持をしたシーブ6と、履帯式自走車5であるブルドーザー7上の駆動側シーブ6との間に索条8を張設して構築しており、両シーブ6、6間で索条8を周回駆動して集材、集荷作業を連続で行えるようにしてある。履帯式自走車5は先山2側として搬送先Bから搬送元Aまでのルート開発もできる。併せ、通常車が進入できる里山側の集材場3の従動側シーブ6は車輪付自走車に搭載してもよい。履帯式自走車であるブルドーザー7は、ドーザショベル15を索条8の張設側に向け地面に突き刺すことで張力を受けられるが、これに代わって、あるいはそれと共に、図示するようにくい82によって索条8の反張設側に向け索条121により支持してもよい。また、ブーム16上に傾斜角度、または傾斜角度および高さを調整できるようにブーム1を装備し、ブーム16によってシーブ6をアーム16cよりも安定に支持できるし、ブーム16の傾斜角度だけでもシーブ6の高さを変えられ、フーム16の頃斜角度による高さ調節でシーブ6が傾いても、シーブ6自体のブーム16に対する傾斜角を調節することで、水平面に対する絶対傾斜角を自由に調整することができる。また、シーブ6はブルドーザー7の油圧駆動源を切換え使用することで駆動されるようにしてあり、そのために、履帯駆動輸をシーブ6に連絡して油田駆動できるようにしている。これに対し、従動側のシーブ6は自走車に搭載するかどうかは別にして、発電機とこれに給電される電動モータによって駆動されるようにすることができる。しかし、発電機を可搬とするためトラックなどの自走車に搭載するのが好適である。また、基幹集材、集荷装置1はその設置域が例えば150mといった長距離に及ぶことから、索条8の途中適数か所を、打ち込み支柱125、これに代わり、あるいは併用する、竹や木、またはそれらの根側を適当高さに残して伐採した竹や木の立ち株126にて支持したガイドローラユニット127にて案内および支持している。中規模集材、集荷装置101はその設置域が例えば100m程度と小さくし、図6に示す履帯式自走車5を搬送先B側に配置し、車輪式台車タイプのトラックの箱構造を省略するなどしてより簡略化した簡易自走車5を搬送元A側に配置して、打ち込み杭82と索条121とにより背後支持している。
【0050】
また、長距荷集材、集荷に対応して索条8の途中を支持するガイドローラユニット127を設けるのに、竹132の立ち株132aと、木133の立ち株133aとを併用している。さらに、中規模集材、集荷装置101自体は、基幹集材、集荷装置1側から谷間の一方側の竹林141へ延びるように履帯式の自走車5に搭載した従動側および駆動側のシーブ6、6を配置して索条8を周回駆動するようにしてあり、集材、集荷距離は現場環境にもよるが、小規模集材、集荷装置200および基幹集材、集荷装置1との使い分け上50m〜80mの範囲に設定して有効である。基幹集材、集荷装置1側から谷間の他方側にある木、竹の混合林142へ延びるシユラ装置143を設けている。これは、混合林142は、木の森林に混合している竹は、竹林から竹の根が勝手に延びて筍を発生し、それが成長したもので、竹を含んだ木の林立密度が極端に高くなっていて、搬送装置の構築や搬出作業がしにくく、現地では放置され勝ちなところ、伐採材の搬送装置としては極端にスリム化するシュラ装置143を設置することで対応している。シュラ装置143は、樹脂や金属板できた樋型のものが基本であるが、搬送先Bから搬送元Aに向け分岐するように構築することで、竹を含んだ木の林立密度の高い混合林中の広い伐採域にシュラ経路を伸ばして伐採材51を合流させながら基幹集材、集荷装置1側に搬送することで、基幹集材、集荷装置1にて搬出できるようになる。シュラは伐採材を下流へ滑らせるのが基本であるが、摩擦を軽減する凹凸を設けたり、緩い傾斜にても滑落できるように図示する回転ローラ143aを設けたものとすることもできる。
【0051】
さらに、索条には、図13に示すように複数種類の吊持具203を例えば1mといった小間隔かつ規則的な順番で複合して、予め装備しておき、集材、集荷の規模の違い、具体的には小規模、中規模、大規模などの違いにかかわらず、索条201を共用しながら、集材、集荷規模に応じて使用する駆動、従動側索条支持機構に見合う吊持具203を用いて集材、集荷するようにして、使い勝手を良くするようにできる。また、集材、集荷の規模に関係なく、共用する索条での異なった吊持具203を、竹木混合した集材時などで、集材負荷の大小の違いによって吊持具203を使い分けて使い勝手を良くすることもできる。図13に示す例では、既述のループ材203aと、別の例としてのベルト状吊持具203の雌雄バックル材203c、203dの一方、具体的には雌バックル材203cを下端に有した基部ベルト材203eと、を等間隔に予め装備しておくものとしている。これにより、小規模集材、集荷に使用する場合、ループ材203aを選択して既述の、吊持材203bの上端のフックを引っ掛けて使用し、中規模や大規模での集材、集荷での使用には、基部ベルト材203eを選択して、上端に雄バックル材203dを有した吊持ベルト材203fを雌雄バックル材203c、203dの嵌め合いにより装着して使用するようにしている。この場合の吊持ベルト材203fは、下端にフック203gを設けて集材、集荷対象202の装着した吊持材に引っ掛けて集材、集荷対象202を吊持できるようにしている。しかし、吊持ベルト材203fに代えて、既述の吊持材203bの上端にバックル材を設けたものを採用することもできる。また、ループ材203aに吊持材203bの上端のフックで接続するのに、図に示すような中継吊持材203hの両端のフックを引っ掛けて下向きの2つ折りとなる部分に対して引っ掛け、間接に接続するものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、集材、集荷作業上、障害の多い環境にも容易に入り込んで小規模集材、集荷装置を構築し、目的位置は環境変化で設置できるようになる次の中規模集材、集荷装置や大規模な基幹集材、集荷装置の設置位置まで集材、集荷して、それらによる目的位置への集材、集荷に供して、多量に効率よく集材、集荷できる。
【符号の説明】
【0053】
1 基幹集材、集荷装置
6 駆動、従動シーブ
101 中規模集材、集荷装置
201 索条
202 集材、集荷対象
203 吊持具
204 エンジン
205 駆動シーブ
206 持ち運び具
207、211 基台
208 駆動側索条支持機構
209 従動シーブ
210 従動口一ラ
212 従動側索条支持機構
224 連結具
【技術分野】
【0001】
本発明は、山間地で伐採された竹材や木材などの伐採材を集材場に集材したり、蜜柑山や果樹園での果実類、田畑での野菜類などの収穫物を集荷したりする小規模集材・集荷装置とそれを用いた集材・集荷方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、自然環境の保護のために、里山の復活、樹林や竹林の保護、地域林業の復活、さらには石油資源の枯渇対策としてのバイオマスエネルギーの活用などの必要性が強く認識されており、その対策の1つとして過剰に繁茂した竹材の伐採や樹林の間伐を行うとともにその間伐材を有効活用することが要請されているが、その作業に多大な労力を要するため、コスト高になってなかなか実施できないというのが現実である。特に、伐採した伐採材を所定の集材場まで搬出するのに多大な労力と費用を必要とすることが大きな障害となっている。
【0003】
下記特許文献1は、自走式のタワーヤーダーを用いて、複数の問状列に対し順次に移動しながら、各間伐列の間伐材をその列に沿って列端位置まで搬出しておくことを繰り返す従来技術を挙げた上で、この従来技術でのタワーヤーダーの移動なしに、複数の間伐列での間伐材を従来技術同様に搬出できる作業能率のよい改良技術を提案している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2008−109918号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、特許文献1に記載の技術では、タワーヤーダーの移動なしに複数の伐採列での伐採材を順次に集材することはできても、集材する対象伐採列が変わる都度、次の集材のためにワイヤを復動させて元に戻さなければならないし、多数の滑車の掛け替えを伴いワイヤを張り直す手間も必用である。従って、作業能率はまだ低く、特に、長距離間での集材には十分でないし、全面伐採に対応するにはとても不向きである。また、成長度合いや枝、曲がりなどからの評価の低いものを選んで間伐する場合や、森林に侵入している竹を伐採する場合のような伐係位置がまばらになる間伐にも向かない。
【0006】
一方、本発明者は、山深い所からの集材に向けて、一方向に周回駆動するロープなどの索条によって高能率に集材できる長距離搬出装置、中距離搬出装置、それらを組み合わせた集材技術を開発し提案しているが、基幹搬出ラインとする長距離搬出装置や中距離搬出装置、またはそれらに、そのまわり各所の伐採材を効率よく集材する技術がさらに望まれる中、特許文献1の技術では能率面、タワーヤーダ一利用の高価格性、小回り利用上の不便性などから実用には向かない。これらの問題は、既設の索道、軌道を基幹搬出装置とした、蜜柑山や果樹園、栗林などでの果実類、野菜畑での野菜類を集荷したりする場合でも同様である。
【0007】
本発明は、上記従来の課題に鑑み、小型かつ安価で小回り利用に便利な、設置、撤去、集材、集荷の向きや位置の変更、集材、集荷の作業性のよい小規模集材、集荷装置とそれを用いた集材、集荷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本発明の小規模集材、集荷装置は、索条と、この索条に集材、集荷対象を吊持する吊持具と、可搬エンジン、この可搬エンジンによって駆動される駆動シーブを、持ち運び具付きの基台に装備した駆動側索条支持機構と、駆動シーブとの間に索条を掛け渡して従動し駆動シーブとの間で索条を周囲駆動させる従動シーブまたは従動ローラを少なくとも基台に支持した従動側索条支持機構と、を備えたことを特徴としている。
【0009】
このような構戒では、従動シーブを支持しただけの従働側索条支持機構の側は必要最小限の構成として、比較的短く設定し柔軟で取扱いやすく軽量で持ち運びに便利な索条であるロープ類やそれに応じて少なくなる吊持具などとともに、持ち運び具なしにも持ち運びが容易であるし、駆動側索条支持機構は、駆動シーブとそれを駆動する可搬エンジンに適当な減速機構を搭載した重量負荷の大きなものでもそれに備える持ち運び具によって、容易に持ち運べる程度のものとなって、道の無い山肌を林立する樹木や竹を縫って山深い伐採地にも、作業員2人程度で容易に入り込んで簡単に構築できるし、駆動側索条支持機構を集材側、つまり作業域の下流とすることで作業現場への持ち込み負荷が軽減する。例えば、集材、集荷距離30m未満、2Om程度に対応して短く設定される索条の一方向の周囲駆動による往路側での小規模集材、集荷に対応した負荷の軽減から、駆動シーブに必要な径も小さくてよくなることや、従動シーブや従動ローラを駆動シーブよりも小径にして駆動シーブの索条に対する接触角を高められることに関連して、索条の張設幅も小さくなるので、林立する樹木や竹を直線に通しての張設および集材、集荷を行いやすい。しかも、索条は往路側だけ直線に張設して、復路は邪魔な樹木や竹などに直接またはガイドローラや滑車を介し引っ掛けてジグザグに張設すれば、直線での集材、集荷の自由度が高まる。それには、当然のことながら、索条は両端を連結具で連結してループ化し、また連結解除にてループを解けるようにするのが便利となる。また、構築後は、電源無しに索条を一方向に周回駆動し吊持具を介し集材、集荷対象を袋側に吊持しての小規模な集材、集荷作業ができる。
【0010】
上記において、さらに、持ち運び具は、背当て部と荷受け部とがある背負い子とすることができる。
【0011】
このような構成では、上記に加え、さらに、負荷の大きな駆動側索条支持機構を背負い子の荷受け部と背当て部とを利用して安定に支持し背負うことで、重量負荷に耐えやすくして容易に持ち運べるし、重量負荷の小さい側でも背負い子を用いて、従動シーブの安定支持は勿論、重量負荷が小さい分索条や吊持具、工具などの必要器具、作業具をも支持して同時に持ち運ぶことで、駆動側および従動側での重量負荷のバランスを図ることができる。また、背当て部は、立木や竹、杭などの既存、新設を間わない柱状支持体に直接取り付けて重量負荷の大きな駆動側索条支持機構を確固に支持しやすいし、重量負荷の小さな従動側索条支持機構は、索条やベルト類によって連結して簡易に引っ張り支持し、張力の調整や従動シーブを索条の張設方向に沿わせることも容易にでき、引っ張り支持を複数の柱状支持部を利用した複数の方向から行うことで引っ張り支持をさらに安定したものとすることができ、索条の往路、つまり集材経路に沿った集材、集荷が終了する都度、簡易に支持した従動側索条支持機構を、駆動シーブを中心に次作業側にシフトしていくことで、その持ち運び方式に関係なく、小規模集材、集荷域を手間無く簡易に移していける。例えば、集材、集荷距離が20mで、60°シフトしたとすれば、合計65.7m2の広さの伐採に対応できるし、集荷距離が30mで、60°シフトしたとすれば、合計ほぼ100m2近い広さの伐採や収穫などに対応できる。
【0012】
上記において、さらに、可搬エンジンは、排気量40cc〜100cc程度のものとすることができる。
【0013】
このような構成では、上記に加え、さらに、可搬エンジンでありながら、距離20m〜30m範囲での小規模集材、集荷の負荷に十分に対応して、集材、集荷作業を確実かつスムーズに遂行することができる。
【0014】
上記において、さらに、駆動シーブおよび従動シーブの少なくとも駆動シーブは、基台上に、角度調節機構により、基台上の支持角度を索条の張設方向に向けた垂直平面方向に調節できるように支持したものとすることができる。
このような構成では、上記に加え、さらに、駆動シーブを支持している駆動側索条支持機構は、重量物であるエンジン、減速機、燃料タンクを基台に装備したもので、最も安定する地面上に接地させての支持形式を採る関係上、駆動シーブの向きが、接地地面の向きに左右されることになるところ、基台上の角度調節機構によりそれが支持している駆動シーブの基台上での支持角度を、索条の張設方向に沿う向きに調節することができる。
【0015】
上記において、さらに、駆動シーブは、可搬エンジンと一方向クラッチを介し、集材、集荷方向側の駆動力のみが伝達されるように連結されたものとすることができる。
【0016】
このような構成では、上記に加え、さらに、駆動シーブは、可搬エンジンによる回転を一方向クラッチを介し受けて駆動され、索条を従動シーブとの間で集材、集荷方向に向け一方向に連続に周回駆動し、集材、集荷対象の集材、集荷に供するが、このように可搬エンジンに一方向クラッチを介し連絡した駆動シーブは、従動側索条支持機構に搭載すると索条の集材、集荷方向の一方向クラッチの回転向きが、可搬エンジン側に対し遊び側、つまり空転側になるので、従動シーブとして作用する。
【0017】
上記小規模集材、集荷装置を用いた本発明の集材、集荷方法は、従動シーブを支持しただけの従動側索条支持機構の側を作業域上流に、駆動シーブとそれを駆動する可搬エンジンに適当な減速機構を搭載した駆動側索条支持機構をこれに付帯した持ち運び具を利用して作業域下流に、それぞれ人が持ち運んで、索条長さに見合う集材、集荷距離を置いて酎置する工程と、配置した駆動側、従動側の各索条支持機構の駆動シーブと従動シーブまたは従動ローラとの間に索条を掛け渡して周回駆動できるように張設する工程と、この索条の張設状態を維持する位置に駆動側、従動側の各索条支持機構を、既存、新設を問わない支持体に支持し、小規模集材、集荷装置を構築する工程と、構築した小規模集材、集荷装置において、エンジンを始動して索条を周回駆動しながら、上流側や途中で、下流側に向かう往路の索条に吊持具を介し吊持して、下流に集材、集荷しながら、下流で集材、集荷されてくる集材、集荷対象を索条への吊持を解いて降ろすことを繰り返し、小規模に集材、集荷して行くことを特徴としている。
【0018】
このような構成では、上記の集材、集荷装置を、道の無い山肌を林立する樹木や竹を縫って山深い伐採地にも、作業員2人程度で容易に入り込んで簡単に構築できるし、構築後は、エンジン駆動により電源無しに周回駆動する索条に集材、集荷対象を吊持具で吊持して集材、集荷作業を小規模に効率よく遂行できる。
【0019】
上記において、さらに、小規模集材、集荷作業は、索条の従動シーブまたは従動ローラ側を駆動シーブまわりにシフ卜して集材、集荷位置を移す工程を備えて、索条の往路近傍を超える広域に遂行するようにできる。
【0020】
このような構成では、上記に加え、さらに、索条の往路近傍での小規模集材、集荷域を超える広域に小規模集材、集荷を繰り返していくことが、重量負荷の小さな従動シーブまたは従動ローラ側の移動にて、駆動シーブ側を移動させる場合に比べてより簡易に達成することができる。
【0021】
上記において、さらに、小規模集材、集荷装置は、これより搬出距離、許容搬出負荷の大きな基幹集材、集荷装置の上流から下流に向けた途中の近傍に駆動側索条支持機構を配置して複数構築し、構築した各小規模集材、集荷装置にて基幹集材、集荷装置に向け集材、集荷し、基幹集材、集荷装置側に集材、集荷した集材、集荷対象を、基幹集材、集荷装置での目的位置への集材、集荷に供するようにできる。
【0022】
このような構成では、上記に加え、さらに、山の奥深い所に小回りして入り込んで容易かつ簡単に構築した複数の小規模集材、集荷装置により、複数の位置で、それらより規模の大きな基幹集材、集荷装置側に併行して小規模集材、集荷することで、単位時間当たりの集材、集荷の量を増大させながら、各小規模集材、集荷装置の下流で立木や竹が少ないとか進入路が造りやすいとか進入路があるなど設置条件が緩和される環境変化を生かして搬出距離、許容搬出負荷を中規模や大規模として設置しやすい基幹集材、集荷装置により、各位置にて小規模集材、集荷されてきた多量の集材、集荷対象を搬出密度口ス少なく効率よく目的位置まで大規模集材、集荷することができる。
【0023】
上記において、さらに、小規模集材、集荷装置は、これより距離、許容負荷の大きな中規模集材、集荷装置の上流から下流に向けた途中の近傍に駆動側索条支持機構を配置して複数構築し、構築した各小規模集材、集荷装置にて、それらの下流の中規模集材、集荷装置側に集材、集荷し、集材、集荷した集材、集荷対象を、中規模集材、集荷装置での搬出側への中規模集材、集荷に供し、中規模集材、集荷した集材、集荷対象を、これより規模の大きな基幹集材、集荷装置での目的位置への大規模集材、集荷に供するようにできる。
【0024】
このような構成では、上記に加え、さらに、山の奥架い所に小回りして入り込んで容易かつ簡単に構築した複数の小規模集材、集荷装置により、複数の位置で、それらより規模の大きな中規模模集材、集荷装置側に併行して、従動シーブ側のシフトを伴い小規模集材、集荷することで、単位時間当たりの集材、集荷の量を小規模集材、集荷装置の両側で増大させながら、各小規模集材、集荷装置の下流で立木や竹が少ないとか、進入路が作りやすいとか、進入路があるとか、した、設置条件が緩和される環境変化を生かして搬出距離、許容を中規模として設置しやすい中規模集材、集荷装置により、各位置にて書規模集材、集荷されてきた多量の集材、集荷対象を搬送密度ロスなく効率よく効率よく集材、集荷し、中規模集材、集荷装置によって集材、集荷されてきた大量の集材、集荷対象をより遠い目的位置まで大規模集材、集荷することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明の小規模集材、集荷装置とそれを用いた集材、集荷方法によれば、従動シーブを支持しただけの必要最小限の構成にできる従動側索条支持機構の側は、比較的短く設定し柔軟で取り扱いやすく軽量な索条であるロープ類、それに応じて少なくなる吊持具などと共に持ち運び具なしにも持ち運びやすいので、道のない山肌を林立する樹木や竹を縫って山深い伐採地にも、作業員2人程度で用意に入り込み、また駆動側索条支持機構を作業域の下流側としてさらに持ち込み負荷を軽減しながらも簡単に構築し、構築後は電源無しに索条を一方向に周回駆動させた時の往路側で、吊持具を介し、集材、集荷対象を吊持しての小規模な集材、集荷作業が連続して効率よく達成できる。
【0026】
上記に加え、さらに、索条の往路近傍での小規模集材、集荷域を超える広域に小規模集材、集荷を繰り返していくことが、重量負荷の小さな従動シーブまたは従動ローラ側を移動させてのシフトにて、駆動シーブ側を移動させる場合に比べてより簡易に達成し、集材、集荷作業の能率の向上、作業域の拡大が図れる。
【0027】
上記に加え、さらに、山の奥深い所に小回りして入り込んで容易に構築した複数の小規模集材、集荷装置により、複数位置で併行して小規模集材、集荷した多量の集材、集荷対象を、各小規模集材、集荷装置の下流で立ち木や竹が少ないとか、進入路が作りやすいとか、進入路があるとか、した、設置条件が緩和される環境変化を生かして搬送距離、許容搬出負荷を中規模や大規模として設置しやすい基幹集材、集荷による上流側から途中までの複数位置から目的位置までの、搬出密度ロスが少なく効率のよい大規模集材、集荷に供することで、多量で長距離な集材、集荷作業が高能率にできる。
【0028】
上記に加え、さらに、山の奥深い所に小回りして入り込んで容易に構築した複数の小規模集材、集荷装置により、複数位置で併行して小規模集材、集荷した多量の集材、集荷対象を、各小規模集材、集荷装置の下流で立ち木や竹が少ないとか、進入路が作りやすいとか、進入路があるとか、した、設置条件が緩和される環境変化を生かして中規模として設置しやすい中規模集材、集荷装置により、各位置にて小規模集材、集荷されてきた集材、集荷対象を搬出密度ロスなく効率よく集材、集荷し、中規模集材、集荷装置の下流で立ち木や竹が少ないとか、進入路が作りやすいとか、進入路があるとか、した、設置条件が緩和される環境変化を生かして、搬出距離、許容搬出負荷の大規模として設置しやすい大規模として設置しやすい基幹集材、集荷装置により、中規模集材、集荷装置によって集材、集荷されてきた多量の集材、集荷対象をより遠い目的位置まで大規模集材、集荷することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の実施の形態に係る小規模集材、集荷装置の1つの例を使用状態で示す平図、側面図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る小規模集材、集荷装置の別の例を使用状態で示す平面、側面図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る小規模集材、集荷装置の他の例を使用状態で示す平面図、側面図である。
【図4】図3の装置に索条の長さ調節機構を採用した改良例を示す要部の側面図、長さ調節機構の正面図および側面図である。
【図5】図1〜図3に示す装置のチエンソー用の2サイクルエンジンを採用した駆動側索条支持機構を示す側面図である。
【図6】図5のエンジンに代替して汎用の2サイクルエンジンを採用した駆動側索条支持機構の正面図である。
【図7】図5、図6のエンジンに代替できる4サイクルエンジンを示す側面図である。
【図8】索条とそれこ常備する吊持具の一部であるループ材を示す側面図である。
【図9】図8の索条を用いた集材、集荷対象の搬送状態例を示す側面図である。
【図10】小規模集材、集荷装置を中時規模集材、集荷装置、および大規模な基幹集材、集荷装置と組み合わせた組み合わせ集材、集荷装置を示す平面図である。
【図11】チエンソー用のエンジンの駆動ギヤとそれに嵌め合わせるクラッチの駆動側一部を示す斜視図である。
【図12】小規模集材、集荷装置の締結、締結解除部に用いる締結具としてのレバー・ラチェット付きのねじを示す側面図および平面図である。
【図13】吊持具の索条への複合した装備例を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、本発明に係る小規模制、集荷装置とそれを用いた集材、集荷方法の実施の形態について、図を参照して説明する。以下の説明は本発明の具体例であって、特許請求の範囲の記載を限定するものではない。本実施の形態の小規模集材、集荷装置は、図1に示す小規模集材、集荷装置200、図2に示す小規模集材、集荷装置200、図3に示す例の小規模集材、集荷装置200のように、索条201と、この索条201に集材、集荷対象202を吊持する吊持具203と、可搬エンジン204、この可搬エンジン204によって駆動されるシーブ205を、持ち運び具206付きの基台207に装備した駆動側索条支持機構208と、駆動シーブ205との間に索条201を掛け渡して従動し駆動シーブとの間で索条を周回駆動させる従動シーブ209(図3)または従動ローラ210(図1、図2)を少なくとも基台211に装備した従動側索条支持機構212とを備えた基本構成を有している点で共通している。
【0031】
このように従動シーブ209、従動ローラ210を支持しただけの従動側索条支持機構212側は、必要最小限の構成として、比較的短く設置し柔軟で取り扱いやすく持ち運びに便利なロープ類やそれに応じて少なくなる吊持具203などとともに、持ち運び具なしにも持ち運びが容易である。一方、駆動側索条支持機構208は、駆動シーブ205とそれを駆動する可搬エンジン204に回転方向の転換や減速を図る適当なマイタギヤユニットやその他を単独使用または組み合わせ使用した減速機構204aを搭載した重量負荷の大きなものでもそれに備える持ち運び具206によって、容易に持ち運べる程度のものとなる。従って、それら従動側索条支持機構212および駆動側索条支持機構208を主体とする必用構成機器は、道の無い山肌を林立する樹木や竹を縫って山深い伐採もこも、作業員2人程度で容易に入り込んで、小規模集材、集荷装置200を簡単に構築できる。また、駆動側索条支持機構208側を集材側つまり作業域の下流とすることで作業現場への持ち込み負荷がさらに軽減する。
【0032】
例えば、集材、集荷距離30m未満、20m程度に対応して短く設定される索条201の一方向の周回駆動による往路201a側での小規模集材、集荷に対応した負荷の軽減から、駆動シーブ205に必要な径も小さくてよくなることや、従動シーブ209や従動ローラ210を駆動シーブ205よりも小径にして駆動シーブ205の索奈201に対する接触角を高められるので、林立する樹木や竹を図1の例で示すように直線に通しての張設および集材、集荷を行いやすい。しかも、索条201は図2の例で示すように往路201a側だけ直線にして復路201b側は邪魔な樹木221や竹222などに直接またはガイドローラ223や滑車などのガイド類を介し引っ掛けてジグザグに張設すれば、直線での集材、集荷の自由度が高まる。それには、当然のことながら、索条201は図1の例で示すように両端を適宜な連結具224で連結してループ化し、また連結解除にてループを解けるようにするのが便利となる。また、小規模集材、集荷装置200の構築後は、電源無しに索条201を一方向に周回駆動し吊持具203を介し集材、集荷対象202を往路201aに吊持しての集材、集荷ができる。図示例では伐採竹を集材、集荷対象202としているが、伐採木、樹木や竹の間伐材、なお既述した蜜柑山や果樹園での果実類、田畑での野菜類などの収穫物を集材、集荷対象202することもできる。
【0033】
持ち運び具206は、手提げ方式のものでもよいが、軽量な従動側索条支持機構212には向いているが、駆動側索条支持機構208には図1の例、図3の例のように背当て部206aと荷受け部206bとがある、側面視鈎型、古来からの背負い子とするのが好適である。負荷の大きな駆動側索条支持機構208を背負い子をなす荷受部206bと背当て部206aとを利用して安定に支持し背負うことで、重量負荷に耐えやすくして容易に持ち運べるようになる。しかし、図1の例、図2の例で示すように、重量負荷の小さい従動側索条支持機構212側でも背負い子の持ち運び具206を用いて、従動シーブ209、従動ローラ210の安定支持は勿論、重量負荷が小さい分索条201や吊持具203、小規模集材、集荷装置200の構築と解体に用いる必要器具、作業具をも支持して同時に持ち運ぶことで、駆動側索条支持機構208および従動側索条支持機構212での持ち運び重量負荷のバランス化を図ることができる。
【0034】
また、背負い子タイプとした持ち運び具206の背当て部206aは、図1の列、図2の例、図3の例で示すように、適当な高さを残して伐採した立木や竹、あるいは人が打ち込んだ杭などの既存、新設を問わない柱状支持体225に、荷締めベルトやラッシングベルトなどとして知られるカムバックルベルト類、縛り付け、締め付け用の非ベルト類を用いるなどした各種の締結具226により直接取り付けて、重量負荷の大きな駆動側索条支樹幾構208を確固に支持しやすい。図1の例では力ムバックル226a、227aをブロック化して模式的に示している。また、背負い子タイプとした持ち運び具206の背当て部206aは、重量負荷の小さな従動側索条支持機構212に対しては、図1の例で示すように既存、新設を問わなし柱上支持体225に、カムバックルベルト類を始めとする索条やベルト類、非ベルト類を、用いるなどした引っ張り連結具227によって連結して簡易に引っ張り支持し、張力の調整や従動シーブ209、従動ローラ210を索条201の張力方向に沿わせることも容易にできる。この場合、図示例のように、引っ張り支持を複数の互いに離れた柱状支持部225を利用した複数の方向から行うことで引っ張り支持をさらに安定したものとすることができる。
【0035】
このような、従動側索条支持機構212側の支持が、駆動側索条支持機構208の支持に比べて簡易であることを利用して、索条201の往路201a、つまり集材経路に沿った集材、集荷が終了する都度、簡易に支持した従動側索条支持機構212の側を、駆動側索条支持機構208側の駆動シーブ205を中心に図1(a)の実線位置から両側破線位置の一方を選択した次作業側にシフトしていくことで、従動側索条支持機構212の持ち運び方式に関係なく、小規模集材、集荷域を手間なく簡易に移していける。例えば、集材、集荷距離が20mで、60°シフトしたとすれば、合計ほぼ100m2近い広さの伐採や収穫などに対応できる。
【0036】
ここで、可搬エンジン204は、可搬性、駆動トルク、回転数などによって選択すればよいが、排気量40cc〜100cc程度のものとして、人手による持ち運びに有利な比較的小さな可搬エンジン204でありながら、距離20m〜30m範囲での小規模集材、集荷に十分対応して、集材、集荷作業を確実かつスムーズに遂行することができる。排気量40cc程度のものとしては、図1、図5に示す例のチエンソー用やその他図6に示す例のような4サイクルエンジンがある。100cc程度以下のものとしては、汎用の図7に示すような4サイクルエンジンがある。いずれにしても、コイルスタータ方式のものを採用するのが始動に便利である。
【0037】
駆動シーブ205と、従動シーブ209、従動ローラ210との少なくとも駆動シーブ205は、図1の例、図2の例で示し、図5に詳細に示すように、基台207上に、角度調節機構208により、基台207上の支持角度を索条201の張設方向に向けた垂直平面方向に調節できるように支持したものとすることができる。このように駆動シーブ205を支持している駆動側索条支持機構208は、重量物であるエンジン、燃料タンクを基台207に装備したもので、最も安定する地面231上に接地または図1の例のように近接させての支持形式を採る関係上、駆動シーブ205の向きが接地地面の向きに左右されることになるところ、基台207上での支持角度を、索条201の張設方向に沿う向きに調節することができる。特に、従動シーブ209、従動側索条支持機構212側を、駆動側索条支持機構208側の駆動シーブ205を中心にシフトして従動側索条支持機構212を別の位置に移し再接地する都度、接地地面231の高さが変わって、駆動シーブ205から再設置した従動側索条支持機構212の従動シーブ209、従動ローラ210側への索条201の張設方向が変化することにも対応できる利点がある。
【0038】
角度張設機構228は、図5に示すように基台207の後端に軸232による水平軸まわりに起伏できるように軸支された角度調節板238を有し、この角度調節板238上に可搬エンジン204および駆動シーブ205とそれらを回転向きの変更と減速を図って連結するマイタギヤユニット234を設置し、角度調節板238の裏側には操作ハンドル234を持ったねじ軸235を軸受236によって回転自在に軸受して設け、ねじ軸235に螺合したスライダ237と基台207上に固設した基点ブロック238とをリンク239によってピン連結してある。これにより、ハンドル234を回転させると、その回転方向に応じてスライダ237が軸232側に寄ったり、軸232から離れたりし、これに伴うリンク239の矢印で示す方向での起伏、起立によって角度調節板233が駆動シーブ205を伴い角度を小さく、また大きく、変化させられ、駆動シーブ205の角度を調節する。
【0039】
ここで、図1、図5に示すチエンソー用の可搬エンジン204は、駆動シーブ205にどのように連結して用いてもよいが、図12(a)に示すようなソー駆動用の駆動ギヤ204aが装備されて、これにソー駆動用の図示しない駆動タイミングプーリを嵌め合わせて連結し、ソーをタイミングベルトおよび従動タイミングプーリを介し駆動できるようにしている。そこで、チエンソー用の可搬エンジン204の図1、図5に示す例への転用は、この駆動ギヤ204aを利用して駆動シーブ205に所定の回転向き変更、減速を図り連結することになる。図1、図5に示す例では、図5に示すように角度調節板233に固設した伝動基板204b上に一方向クラッチ241、この一方向クラッチ241の従動側241aに軸242で連結した駆動タイミングプーリ245とを装備し、一方向クラッチ241の駆動側241bに図11(b)に示すようなギヤ孔241cをレーザ加工などして形成し、このギヤ孔241cを前記駆動ギヤ204cに嵌め合わせて双方を軸方向にねじ締結するなどして固定することで、可搬エンジン204の駆動が駆動ギヤ204cを介し一方向クラッチ241の駆動側241aから従動側241bに伝達され、駆動シーブ205には、可搬エンジン204と一方クラッチ204と一方クラッチ241、駆動タイミングプーリ243、タイミングベルト244、従動側タイミングプーリ245、マイタギヤユニット204aを介し、集材、集荷方向側の駆動力のみが伝達されるように相互連結している。なお、図6、図7に示す例の可搬エンジン204に、図11に示すような駆動ギヤの露出設置はなく、出力軸204dが突出していることから、図6に代表して示すようにこの出力軸204dに一方向クラッチ241を介し駆動タイミングプーリ243を連結し、駆動シーブ205に回転が及ぶようにしている。
【0040】
これにより、駆動シーブ205は、可搬エンジン204による回転を一方向クラッチ241を介し受け駆動され、索条201を従動ローラ210との間で集材、集荷方向に連続に周回駆動し、集材、集荷対象203の集材、集荷に供するが、このように可搬エンジン204に一方向クラッチ241を介し連結した駆動シーブ205は、従動側索条支持機構212に搭載する索条1の集材、集荷方向の一方向クラッチ241の回転向きが、可搬エンジン204側に対し遊び側、つまり空転側になるので、従動シーブ209として作用させられる。結果として、駆動側索条支持機構208および従動側索条支持機構212は持ち運び具206付きの全く共通のものを使用して小規模集材、集荷装置200を構築して差し支えないことを意味する。
【0041】
さらに詳述すると、図1に示す例では、駆動側索条支持機構208および従動側索条支持機構212双方を、既述の背負い子タイプの持ち運び具226、227付きのものとしてある。従動ローラ210は、ホルダー251付きのものを基台211に取り付けて設置するのが簡易で好適であり、各種既存のものを採用することができる。図1の例、図2の例、図3の例では、吊持具203は、図8に示すような漁業で使われる柔軟なはえ縄漁用の索条201の小ピッチ間隔で設けた、索条201よりも細くさらに柔軟でかさ低い常備のループ材203aと、集材、集荷対象202を、その場を通過していくループ具203aに連結して吊持し、集材、集荷位置にて連結を解除して吊持を外す着脱用の吊持部材203bとの組み合わせとしてある。これにより、索条201は各部のループ材203aを伴い周回駆動されるが、柔軟でかさ低いことによりどの部分をも引っ掛かりなどなくスムーズに通過していくことができる。この結果、ループ材203aは実際の吊持作業頻度や作業時間間隔に対して過剰に設けておいても問題はなく、複数吊持作業位置での雑多なタイミングでの吊持作業に対し、いずれかのループ材203aの通過タイミングが合う確率を高められ、吊持部材203bの通過待ち率が高くなったり、通過待ち時間が長くなったりする作業ロスを回避しやすくなる。
【0042】
なお、ループ材203aは、例えば、ロープ材を索条201の撚り目201aや網目に通して図8(a)のように両端を結びつけるか、図8(b)に示すように中央部を結びつけた後、両端を下向きにして互いを結びつけ、その下部のばらつき部をそのまま図(b)に示すようにテープなどによる緊縛部203a1とするか、図8(c)に示すようにばらつき部を溶着ないしは接着して固着させた固着部203a2とするかしてループ化する。吊持部材203bは図9に示すように、ベルト203b1の一端は、木材、竹材といった長尺な集材、集荷対象202に対して、それに巻き掛けるためのループ部203b2、他端はループ部203b2に引っ掛けて集材、集荷対象202を吊持するための、安全レバー無しのフック203b3としてある。これにより、吊持部材203bは、ベルト203b1を集材、集荷対象202の吊持端部分にU字上に掛けた状態で、ループ部203b2にフック203b3側を通していくことで、巻き付けることができ、フック203b3側を引き上げることで、集材、集荷対象202は自重でベルト203b1のループ203b2側巻き付け部を引き締める状態となって、ベルト203b1との摩擦を伴い自己安定するので、滑り落ちることがない。そこで、フック203b3をループ材203aに引っ掛ければ、集材、集荷対象202を索条201に吊持することができ、フック203b3が安全レバーの無いものでも集材、集荷対象202の重みによって吊持状態が外れることなはなく、索条201による集材、集荷に供することができる。集材、集荷位置では、集材、集荷対象202が到着する都度、安全レバーの無いフック203b3をループ材203aから単に外すだけで周回駆動される索条201から瞬時に縁切りできて引きずられる万一もの危険が回避される。従って、集材、集荷対象202を索条201から外した後は、十分な時間的余裕を持って吊持材203bを集材、集荷対象202から取り外せる。
【0043】
もっとも、ループ部203b2をフックで代替することもできるし、集材、集荷対象202が果実や野菜などを収容した袋や容器側に吊り上げようの吊持部がある場合に好適となる。また、長尺の索条201の往路201aに沿って敷設したシュラ204で集材、集荷対象202の吊持姿勢の下端部を受けるようにすると、地面の凸凹や引っ掛かり物の影響を回避してスムーズに集材、集荷できるようになる。また、さらに分け入りにくい集材、集荷作業域には、駆動シーブ205および従動シーブ209を持つ駆動、従動側索条支持機構205、209に代えて、大物の釣り用などで知られる主として巻き取りハンドル付きの大型リールを集材、集荷作業に採用することができ、さらに小規模な搬出距離、搬出負荷での集材、集荷に有効になる。この場合、大型リールの支持中への取り付けは、駆動、従動側索条支持機構205、209の取り付け技術を踏襲すればよいが、搬出距離、搬出負荷が小さい分だけ軽微な取り付にて対応できる。また、上流側リールおよび下流側リール間に張設する索条は、一方をフリーにして他方で巻き取ることになるので、下流への集材、集荷で索条が下流側にまき終える都度、上流側に巻き戻して再度使用することになる。つまり、索条は往復移動させながらその一方向に移動させる都度集材、集荷作業を行うことになる。しかし、これに限られることはなく、上下流一方のリールを巻き取り可能とし、他方をその巻き取り方向にフリーになるようにして、双方間にループ状の索条を掛け渡すようにすれば、索条を一方向に周回駆動して集材、集荷を連続的に行うことができる。この場合も、索条は両リールに対し複数回巻き掛けて張設し滑り止めするのが好適である。
【0044】
図3に示す例につき詳述すると、従動側索条支持機構212は、従動シーブ209を採用し、これを、アルミニウム製で軽量化したスタンド型のガイド柱251上でスライドできる取り付けスライダ252に基部をピン連結した主アーム253の先端部に軸支し、ガイド柱251上の取り付けスライダ252の下でスライドできる支持スライダ254に基部をピン連結した支持アーム255の先端を、主アーム253の途中にピン連結して主アーム253を支持するようにしている。取り付けスライダ252の高さをスライド調節して支持アーム255による主アーム253の支持高さを調節し、主アーム253のガイド柱251への支持角度を調節できるようにしている。これによって、従動シーブ209も駆動シーブ205側への索条201の張設方向に沿う向きとなるように積極的に調節できる。従動シーブ209の調節高さ、調節角度は、取り付けスライダ252、支持スライダ254を図13に示すレバー256a付きねじ256によってガイド柱252に対しねじ止めすることにより固定できるようにしている。ガイド柱251は断面角型の押し出し形材よりなり、その外周に矩形な取り付けスライダ252、支持スライダ254を嵌め合わせてある。ガイド柱251の一面の左右にはアリ溝251aを設け、これらアリ溝251aの、取り付けスライダ252、支持スライダ254の対応する各部の上下2箇所ずつに図示しない4つのナット材を嵌め合わせ、取り付けスライダ252、支持スライダ254のそれぞれを、前記4つのナット材に、取り付けスライダ252、支持スライダ254側からねじ256をレバー256aの操作でねじ締結することで無段階な調節位置に確固に固定できるようにしている。ねじ256はレバー256aとの間にラチェット機構256bが設けられ、ラチェット歯車256cに対する左右一対のラチェット爪256d1、256d2のどちらを働かせるかで、操作レバー256aの締結側の回転操作か、締結解除側の回転操作かのいずれを、ラチェット歯車256cに一体化したねじ256に伝達するかを切り変えられる。これによって、ねじ256を右ねじとして、図12に示すラチェット爪256b1を働かせた状態では、レバー256aはねじ256に締結解除側に回転を与え、締結側には遊ぶ。反対にラチェット爪256b2を働かせるように切り換えた状態では、レバー256aはねじ256に対し締結側に回転を与え、締結解除側に遊ぶ。従って、締結操作、締結解除操作は、いずれもレバー256aを往復操作して該当方向の回転操作を達成することができ、まわりとの干渉を避けやすい利点がある。レバー256aにラチェット機構256bを組み込んだ製品は多量生産され低コストで市販されているので、このような締結、締結解除が必要な全箇所に付帯させておけば、小規模集材、集荷装置200の構築や解体、位置調節といった作業が随分簡易化される。なお、ガイド柱251はそのスタンド部をアンカーで土中に固定することもできるが、取り扱い上大きなスタンド部とすることが制限されるので固定力不足となりやすいところを、スタンド設置した状態で既存、新設を問わない柱状支持体225に、既述の各種の締結具226により直接取り付けて索条201に働く張力に対抗できるようにしている。また、このように固定したガイド柱251側を、背部にある途中までを伐採した樹木など、既存、新設を問わない背部柱状支持体227に、各種の締結具226により連結して固定強度を高めている。このような背部支持は必要に応じ採用すればよい。
【0045】
さらに、索条201の復路201b途中を直線ラインから外してジグザグにするのに、ガイドローラ271を採用した例を示している。ガイドローラ271はコの字型の支持枠272の上下片272a、272b間に軸支しておき、支持枠272の背部272cを既存、新設を問わない途中柱状支持体273に、各種の締結具226により締結して取り付けている。背部272cの幅は狭いが上片272aの背部幅を大きくすることで、ガイドローラ271が背部272cを起点に左右に振れるのを防止するようにしている。これには、下片272bの背部幅も大きくするのが好適で、背部272cの幅を大きくするとされに有効である。
【0046】
図4に示す例について、さらに詳述すると、図3に示す例のガイド柱251と途中柱状支持体273との間に、索条201の長さを往路201bで調節する長さ調節機構281を設置した例を示してある。長さ調節機構281は、アルミニウム製でスタンド型のガイド柱282をそのスタンド部281aのアンカー材283により簡易に地面231へ固定した上で、別の途中柱状支持体273に各種締結具226により締結して取り付けてある。復路201bの両側から張力を受けることに対応している。ガイド柱282は、断面四角形でその一面に1つのアリ溝282aを持ち、これに上下の支持スライダ284a、284bをスライドできるように嵌め合わせ、上部の支持スライダ284aの復路201b方向前後に2つのガイドシーブ285、286を軸支し、下部の支持スライダ284に図示しない巻き取りようの螺旋ガイド溝を巻き取り面に形成した巻き取りドラム287を軸支している。これにより、索条201の復路201bの途中をガイドシーブ285、286を経由して巻き取りドラム287側に引き込んでこの巻き取りドラム287に敵数回巻き掛け、巻き掛け回数に応じた滑り止めの摩擦力を巻き取りドラム287との間に確保するようにしている。この状態で巻き取りドラム287は走行する索条201に対して滑り無く従動して擦れ合うことがない。また、上下の支持スライダ284a、28bをスライド調節して、ガイドシーブ285、286と巻き取りドラム287との距離を調節するだけで、定尺の索条201を利用して、実集材、集荷距離に合わせて駆動側索条支持機構208および従動側索条支持機構212を設置したときの、索条1の余剰長さ分を吸収することができる。この場合、索条1の復路201bの巻き取りドラム287への巻き掛け部の、巻き取りドラム287への螺線ガイド溝に沿っての巻き掛け数によっても、索条201のさらなる余剰長さにも対応できる。上部の支持スライダ284aの高さ調節はガイドシーブ285、286の設置高さを調節となり、下部の支持スライダ284bの高さ調節は巻き取りドラム287の高さ調節によるガイドシーブ285、286との距離調節になる。これらの調節高さは、上下の支持スライダ284a、284bの側からの既述のレバー256a付きのねじ256を、ガイド柱282のアリ溝282a内の図示しないナット材にねじ合わせて締結することで固定できるし、逆操作によってその固定を解除することができる。また、ガイド柱281とスタンド部281aとは別体として持ち運び時などの取扱かさを抑えながら、組み付け状態は既述のレバー256aつきのねじ256によって締結して固定し、またこの固定を解除できるようにして、組み付け、分解作業を容易にしている。これは、図3の例のガイド柱225とそのスタンド部にも適用して有効である。
【0047】
既述の小規模集材、集荷装置200は、これにより搬出距離、許容搬出負荷の大きな図10に示す基幹集材、集荷装置1、または、中規模集材、集荷装置101に対しその上流から下流に向けた途中の近傍に駆動側索条支持機構208を配置して複数構築し、構築した各小規模集材、集荷装置200にて、基幹集材、集荷装置1または中規模集材、集荷装置101に向け集材、集荷し、基幹集材、集荷装置1または中規模集材、集荷装置101側に集材、集荷した集材、集荷対象202を、基幹集材、集荷装置1または中規模集材、集荷装置101での目的位置への集材、集荷に供するようにできる。これにより、山の奥深い所に小回りして入り込んで容易かつ簡単に構築した複数の小規模集材、集荷装置200により、複数位置で、それらより規模の大きな基幹集材、集荷装置1または中規模集材、集荷装置101側に併行して、従動シーブ209のシフト操作も伴って小規模集材、集荷することで、単位時間当たりの集材、集荷の量を、基幹集材、集荷装置1または中規模集材、集荷装置101の両側の広域で増大させながら、各小規模集材、集荷装置200の下流で立木や竹が少ないとか、進入路が造りやすいとか、進入路があるとか、して設置条件が緩和される環境変化を生かして搬出距離、許容搬出負荷を大規模または中規模として設置しやすい基幹集材、集荷装置1または中規模集材、集荷装置101により、それらの各位置にて小規模集樹、集荷されてきた多量の集材、集荷対象202を搬出密度口ス少なく効率よく集材、集荷することができる。
【0048】
さらに、図10に示すように、小規模集材、集荷装置200は、これにより距離、搬出負荷の大きな中規模集材、集荷装置101の上流から下流に向けた途中までの近傍に駆動側索条支持機構208を配置して複数構築し、構築した各小規模集材、集荷装置200にて、それらの下流で中規模集材、集荷装置101に向け集材、集荷し、中規模集材、集精装置101側に集材、集荷対象202を、中規模集材、集荷装置101での搬出側への集材、集荷に供し、中規模集材、集荷装置101は、集材、集荷した集材、集荷対象202を、これより規模の大きな基幹集材、集荷装置1での目的位置への集材、集荷に供することができる。これにより、山の奥深い所に小回りして入り込んで容易かつ簡単に構築した複数の小規模集材、集荷装置200により、複数位置で、それらより規模の大きな中規模集材、集荷装置101側に併行して、従動シーブ209のシフト操作も伴って小規模集材、集荷することで、単位時間当たりの集材、集荷の量を、中規模集材、集荷装置101の両側の広域で増大させながら、各小規模集材、集荷装置200の下流で立木や竹が少ないとか、進入路が造りやすいとか、進入路があるとか、して設置条件が緩和される環境変化を生かして搬出距離、許容搬出負荷を中規模として設置しやすい中規模集材、集荷装置101により、それらの各位置にて小規模集樹、集荷されてきた多量の集材、集荷対象202を搬出密度口ス少なく効率よく中規模集材、集荷し、中規集材、集荷装置101の下流で進入路が造りやすいとか、進入路があるなとか、して設置条件がさらに緩和される環境変化を生かして搬出距離、許容搬出負荷を大規模として設置しやすい基幹集材、集荷装置により、中規模集材、集荷装置101によって集材、集荷されてきた大量の集材、集荷対象をより遠い目的位置まで連続して効率よく大規模集材、集荷することができる。
【0049】
さらに詳述すると、基幹集材、集荷装置1は、搬送先Bのシーブ6を従動側として図示しない支柱によって支持し、必要な背後支持をしたシーブ6と、履帯式自走車5であるブルドーザー7上の駆動側シーブ6との間に索条8を張設して構築しており、両シーブ6、6間で索条8を周回駆動して集材、集荷作業を連続で行えるようにしてある。履帯式自走車5は先山2側として搬送先Bから搬送元Aまでのルート開発もできる。併せ、通常車が進入できる里山側の集材場3の従動側シーブ6は車輪付自走車に搭載してもよい。履帯式自走車であるブルドーザー7は、ドーザショベル15を索条8の張設側に向け地面に突き刺すことで張力を受けられるが、これに代わって、あるいはそれと共に、図示するようにくい82によって索条8の反張設側に向け索条121により支持してもよい。また、ブーム16上に傾斜角度、または傾斜角度および高さを調整できるようにブーム1を装備し、ブーム16によってシーブ6をアーム16cよりも安定に支持できるし、ブーム16の傾斜角度だけでもシーブ6の高さを変えられ、フーム16の頃斜角度による高さ調節でシーブ6が傾いても、シーブ6自体のブーム16に対する傾斜角を調節することで、水平面に対する絶対傾斜角を自由に調整することができる。また、シーブ6はブルドーザー7の油圧駆動源を切換え使用することで駆動されるようにしてあり、そのために、履帯駆動輸をシーブ6に連絡して油田駆動できるようにしている。これに対し、従動側のシーブ6は自走車に搭載するかどうかは別にして、発電機とこれに給電される電動モータによって駆動されるようにすることができる。しかし、発電機を可搬とするためトラックなどの自走車に搭載するのが好適である。また、基幹集材、集荷装置1はその設置域が例えば150mといった長距離に及ぶことから、索条8の途中適数か所を、打ち込み支柱125、これに代わり、あるいは併用する、竹や木、またはそれらの根側を適当高さに残して伐採した竹や木の立ち株126にて支持したガイドローラユニット127にて案内および支持している。中規模集材、集荷装置101はその設置域が例えば100m程度と小さくし、図6に示す履帯式自走車5を搬送先B側に配置し、車輪式台車タイプのトラックの箱構造を省略するなどしてより簡略化した簡易自走車5を搬送元A側に配置して、打ち込み杭82と索条121とにより背後支持している。
【0050】
また、長距荷集材、集荷に対応して索条8の途中を支持するガイドローラユニット127を設けるのに、竹132の立ち株132aと、木133の立ち株133aとを併用している。さらに、中規模集材、集荷装置101自体は、基幹集材、集荷装置1側から谷間の一方側の竹林141へ延びるように履帯式の自走車5に搭載した従動側および駆動側のシーブ6、6を配置して索条8を周回駆動するようにしてあり、集材、集荷距離は現場環境にもよるが、小規模集材、集荷装置200および基幹集材、集荷装置1との使い分け上50m〜80mの範囲に設定して有効である。基幹集材、集荷装置1側から谷間の他方側にある木、竹の混合林142へ延びるシユラ装置143を設けている。これは、混合林142は、木の森林に混合している竹は、竹林から竹の根が勝手に延びて筍を発生し、それが成長したもので、竹を含んだ木の林立密度が極端に高くなっていて、搬送装置の構築や搬出作業がしにくく、現地では放置され勝ちなところ、伐採材の搬送装置としては極端にスリム化するシュラ装置143を設置することで対応している。シュラ装置143は、樹脂や金属板できた樋型のものが基本であるが、搬送先Bから搬送元Aに向け分岐するように構築することで、竹を含んだ木の林立密度の高い混合林中の広い伐採域にシュラ経路を伸ばして伐採材51を合流させながら基幹集材、集荷装置1側に搬送することで、基幹集材、集荷装置1にて搬出できるようになる。シュラは伐採材を下流へ滑らせるのが基本であるが、摩擦を軽減する凹凸を設けたり、緩い傾斜にても滑落できるように図示する回転ローラ143aを設けたものとすることもできる。
【0051】
さらに、索条には、図13に示すように複数種類の吊持具203を例えば1mといった小間隔かつ規則的な順番で複合して、予め装備しておき、集材、集荷の規模の違い、具体的には小規模、中規模、大規模などの違いにかかわらず、索条201を共用しながら、集材、集荷規模に応じて使用する駆動、従動側索条支持機構に見合う吊持具203を用いて集材、集荷するようにして、使い勝手を良くするようにできる。また、集材、集荷の規模に関係なく、共用する索条での異なった吊持具203を、竹木混合した集材時などで、集材負荷の大小の違いによって吊持具203を使い分けて使い勝手を良くすることもできる。図13に示す例では、既述のループ材203aと、別の例としてのベルト状吊持具203の雌雄バックル材203c、203dの一方、具体的には雌バックル材203cを下端に有した基部ベルト材203eと、を等間隔に予め装備しておくものとしている。これにより、小規模集材、集荷に使用する場合、ループ材203aを選択して既述の、吊持材203bの上端のフックを引っ掛けて使用し、中規模や大規模での集材、集荷での使用には、基部ベルト材203eを選択して、上端に雄バックル材203dを有した吊持ベルト材203fを雌雄バックル材203c、203dの嵌め合いにより装着して使用するようにしている。この場合の吊持ベルト材203fは、下端にフック203gを設けて集材、集荷対象202の装着した吊持材に引っ掛けて集材、集荷対象202を吊持できるようにしている。しかし、吊持ベルト材203fに代えて、既述の吊持材203bの上端にバックル材を設けたものを採用することもできる。また、ループ材203aに吊持材203bの上端のフックで接続するのに、図に示すような中継吊持材203hの両端のフックを引っ掛けて下向きの2つ折りとなる部分に対して引っ掛け、間接に接続するものとすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0052】
本発明は、集材、集荷作業上、障害の多い環境にも容易に入り込んで小規模集材、集荷装置を構築し、目的位置は環境変化で設置できるようになる次の中規模集材、集荷装置や大規模な基幹集材、集荷装置の設置位置まで集材、集荷して、それらによる目的位置への集材、集荷に供して、多量に効率よく集材、集荷できる。
【符号の説明】
【0053】
1 基幹集材、集荷装置
6 駆動、従動シーブ
101 中規模集材、集荷装置
201 索条
202 集材、集荷対象
203 吊持具
204 エンジン
205 駆動シーブ
206 持ち運び具
207、211 基台
208 駆動側索条支持機構
209 従動シーブ
210 従動口一ラ
212 従動側索条支持機構
224 連結具
【特許請求の範囲】
【請求項1】
索条と、この索条に集材、集荷対象を吊持する吊持具と、可搬エンジン、この可搬エンジンによって駆動される駆動シーブを、持ち運び具付きの基台に装備した駆動側索条支持機構と、駆動シーブとの間に索条を掛け渡して従動し駆動シーブとの間で索条を周囲駆動させる従動シーブまたは従動ローラを少なくとも基台に支持した従動側索条支持機構と、を備えたことを特徴とする小規模集材、集荷装置。
【請求項2】
持ち運び具は、背当て部と荷受け部とがある背負い子である請求項1に記載の小規模集材、集荷装置。
【請求項3】
上記において、さらに、可搬エンジンは、排気量40cc〜100cc程度のものであり請求項1、2のいずれか1項に記載の小規模集材、集荷装置。
【請求項4】
駆動シーブおよび従動シーブの少なくとも駆動シーブは、基台上に、角度調節機構により、基台上の支持角度を索条の張設方向に向けた垂直平面方向に調節できるように支持した請求項1〜3のいずれか1項に記載の小規模集材、集荷装置。
【請求項5】
駆動シーブは、可搬エンジンと一方向クラッチを介し、集材、集荷方向側の駆動力のみが伝達されるように連結された請求項1〜4のいずれか1項に記載の小規模集材、集荷装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の小規模集材、集荷装置を用いた本発明の集材、集荷方法であって、従動シーブを支持しただけの従動側索条支持機構の側を作業域上流に、駆動シーブとそれを駆動する可搬エンジンに適当な減速機構を搭載した駆動側索条支持機構をこれに付帯した持ち運び具を利用して作業域下流に、それぞれ人が持ち運んで、索条長さに見合う集材、集荷距離を置いて配置する工程、配置した駆動側、従動側の各索条支持機構の駆動シーブと従動シーブまたは従動ローラとの間に索条を掛け渡して周回駆動できるように張設する工程と、この索条の張設状態を維持する位置に駆動側、従動側の各索条支持機構を、既存、新設を問わない支持体に支持し、小規模集材、集荷装置を構築する工程と、構築した小規模集材、集荷装置において、エンジンを始動して索条を周回駆動しながら、上流や途中で、下流側に向かう索条に集材、集荷対象を、吊持具を介し吊持して下流に集材、集荷しながら、下流で集材、集荷されてくる集材、集荷対象を索条への吊持を解いて降ろすことを繰り返し、小規模に集材、集荷して行くことを特徴とする集材、集荷方法。
【請求項7】
小規模集材、集荷作業は、索条の従動シーブまたは従動ローラ側を駆動シーブまわりにシフ卜して集材、集荷位置を移す工程を備えて、索条の往路近傍を超える広域に遂行する請求項6に記載の集材、集荷方法。
【請求項8】
請求項6、7のいずれか1項に記載の集材、集荷方法において、小規模集材、集荷装置を、これより搬出距離、許容搬出負荷の大きな基幹集材、集荷装置または中規模集材、集荷装置の上流から下流に向けた途中の近傍に駆動側索条支持機構を配置して複数構築し、構築した各小規模集材、集荷装置にて基幹集材、集荷装置または中規模集材、集荷装置に向け集材、集荷し、基幹集材、集荷装置または中規模集材、集荷装置に集材、集荷した集材、集荷対象を基幹集材、集荷装置または中規模集材、集荷装置による集材、集荷に供して、中規模に集材、集荷することを特徴とする集材、集荷方法。
【請求項9】
請求項6、7のいずれか1項に記載の集材、集荷方法において、小規模集材、集荷装置を、これより搬出距離、許容搬出負荷の大きな中規模集材、集荷装置の上流から下流に向けた途中の近傍に駆動側索条支持機構を配置して複数構築し、構築した各小規模集材、集荷装置にて中規模集材、集荷装置に向け集材、集荷し、中規模集材、集荷装置に集材、集荷した集材、集荷対象を中規模集材、集荷装置による集材、集荷に供して、中規模に集材、集荷し、中規模集材、集荷装置の下流に、これよりも搬出距離、搬出負荷の大きな基幹集材、集荷装置を配置して、中規模集材、集荷装置によって集材、集荷されてきた集材、集荷対象を、基幹集材、集荷装置での集材、集荷に供して大規模集材、集荷することを特徴とする集材、集荷方法。
【請求項1】
索条と、この索条に集材、集荷対象を吊持する吊持具と、可搬エンジン、この可搬エンジンによって駆動される駆動シーブを、持ち運び具付きの基台に装備した駆動側索条支持機構と、駆動シーブとの間に索条を掛け渡して従動し駆動シーブとの間で索条を周囲駆動させる従動シーブまたは従動ローラを少なくとも基台に支持した従動側索条支持機構と、を備えたことを特徴とする小規模集材、集荷装置。
【請求項2】
持ち運び具は、背当て部と荷受け部とがある背負い子である請求項1に記載の小規模集材、集荷装置。
【請求項3】
上記において、さらに、可搬エンジンは、排気量40cc〜100cc程度のものであり請求項1、2のいずれか1項に記載の小規模集材、集荷装置。
【請求項4】
駆動シーブおよび従動シーブの少なくとも駆動シーブは、基台上に、角度調節機構により、基台上の支持角度を索条の張設方向に向けた垂直平面方向に調節できるように支持した請求項1〜3のいずれか1項に記載の小規模集材、集荷装置。
【請求項5】
駆動シーブは、可搬エンジンと一方向クラッチを介し、集材、集荷方向側の駆動力のみが伝達されるように連結された請求項1〜4のいずれか1項に記載の小規模集材、集荷装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか1項に記載の小規模集材、集荷装置を用いた本発明の集材、集荷方法であって、従動シーブを支持しただけの従動側索条支持機構の側を作業域上流に、駆動シーブとそれを駆動する可搬エンジンに適当な減速機構を搭載した駆動側索条支持機構をこれに付帯した持ち運び具を利用して作業域下流に、それぞれ人が持ち運んで、索条長さに見合う集材、集荷距離を置いて配置する工程、配置した駆動側、従動側の各索条支持機構の駆動シーブと従動シーブまたは従動ローラとの間に索条を掛け渡して周回駆動できるように張設する工程と、この索条の張設状態を維持する位置に駆動側、従動側の各索条支持機構を、既存、新設を問わない支持体に支持し、小規模集材、集荷装置を構築する工程と、構築した小規模集材、集荷装置において、エンジンを始動して索条を周回駆動しながら、上流や途中で、下流側に向かう索条に集材、集荷対象を、吊持具を介し吊持して下流に集材、集荷しながら、下流で集材、集荷されてくる集材、集荷対象を索条への吊持を解いて降ろすことを繰り返し、小規模に集材、集荷して行くことを特徴とする集材、集荷方法。
【請求項7】
小規模集材、集荷作業は、索条の従動シーブまたは従動ローラ側を駆動シーブまわりにシフ卜して集材、集荷位置を移す工程を備えて、索条の往路近傍を超える広域に遂行する請求項6に記載の集材、集荷方法。
【請求項8】
請求項6、7のいずれか1項に記載の集材、集荷方法において、小規模集材、集荷装置を、これより搬出距離、許容搬出負荷の大きな基幹集材、集荷装置または中規模集材、集荷装置の上流から下流に向けた途中の近傍に駆動側索条支持機構を配置して複数構築し、構築した各小規模集材、集荷装置にて基幹集材、集荷装置または中規模集材、集荷装置に向け集材、集荷し、基幹集材、集荷装置または中規模集材、集荷装置に集材、集荷した集材、集荷対象を基幹集材、集荷装置または中規模集材、集荷装置による集材、集荷に供して、中規模に集材、集荷することを特徴とする集材、集荷方法。
【請求項9】
請求項6、7のいずれか1項に記載の集材、集荷方法において、小規模集材、集荷装置を、これより搬出距離、許容搬出負荷の大きな中規模集材、集荷装置の上流から下流に向けた途中の近傍に駆動側索条支持機構を配置して複数構築し、構築した各小規模集材、集荷装置にて中規模集材、集荷装置に向け集材、集荷し、中規模集材、集荷装置に集材、集荷した集材、集荷対象を中規模集材、集荷装置による集材、集荷に供して、中規模に集材、集荷し、中規模集材、集荷装置の下流に、これよりも搬出距離、搬出負荷の大きな基幹集材、集荷装置を配置して、中規模集材、集荷装置によって集材、集荷されてきた集材、集荷対象を、基幹集材、集荷装置での集材、集荷に供して大規模集材、集荷することを特徴とする集材、集荷方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2011−160737(P2011−160737A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−27973(P2010−27973)
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000203461)村田精工株式会社 (6)
【出願人】(508144495)株式会社JTトライアングル (4)
【出願人】(506293258)株式会社森林資源利用促進研究所 (4)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年2月10日(2010.2.10)
【出願人】(000203461)村田精工株式会社 (6)
【出願人】(508144495)株式会社JTトライアングル (4)
【出願人】(506293258)株式会社森林資源利用促進研究所 (4)
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