小鳥用給水装置
【課題】 使用者に過度な負担をかけることなく小鳥に飲水および水浴の両方を行わせることができる便利な小鳥用給水装置を提供する。
【解決手段】 小鳥用給水装置10は、水を内部に溜めるための水タンク20と、水タンク20から供給される水を溜めて小鳥に飲水および水浴を行わせるための水トレー30とを備え、水タンク20は、水を水トレー30に供給するための水供給用スリット20aが形成され、水供給用スリット20aは、矢印20cで示す長手方向に直交する矢印20dで示す方向における幅が膨らんでいる膨らみ部20gを有し、矢印20cで示す長手方向の両端である上端20eおよび下端20fの矢印10aで示す鉛直方向における位置が異なり、膨らみ部20gは、水供給用スリット20aにおいて矢印10aで示す鉛直方向における位置が上部の位置に配置されていることを特徴とする。
【解決手段】 小鳥用給水装置10は、水を内部に溜めるための水タンク20と、水タンク20から供給される水を溜めて小鳥に飲水および水浴を行わせるための水トレー30とを備え、水タンク20は、水を水トレー30に供給するための水供給用スリット20aが形成され、水供給用スリット20aは、矢印20cで示す長手方向に直交する矢印20dで示す方向における幅が膨らんでいる膨らみ部20gを有し、矢印20cで示す長手方向の両端である上端20eおよび下端20fの矢印10aで示す鉛直方向における位置が異なり、膨らみ部20gは、水供給用スリット20aにおいて矢印10aで示す鉛直方向における位置が上部の位置に配置されていることを特徴とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、小鳥に水を与えるための小鳥用給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の小鳥用給水装置として、水を内部に溜めるための水タンクと、水タンクから供給される水を溜めて小鳥に飲水を行わせるための水トレーとを備えているものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−240127号公報(第1頁右下欄第18行−第2頁右上欄第16行、第1−2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小鳥と、水との関わりは、飲水だけではない。小鳥は、羽に付いたダニなどの虫を洗い流すため、水浴を行う。本願発明者は、小鳥と、水との関わりが飲水だけではなく水浴もあることに着目して、小鳥に飲水および水浴の両方を行わせることができる便利な小鳥用給水装置の開発を行った。
【0005】
その開発の過程で、本願発明者は、小鳥の水浴によって水トレー上の水が水タンク内に逆流してしまうため、小鳥の水浴によって水トレー上の水だけでなく水タンク内の水も汚れ、その結果、小鳥の飼い主などの小鳥用給水装置の使用者が水タンク内の水を頻繁に換えなければならず、使用者に負担がかかるという問題を発見した。
【0006】
そこで、本発明は、使用者に過度な負担をかけることなく小鳥に飲水および水浴の両方を行わせることができる便利な小鳥用給水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の小鳥用給水装置は、水を内部に溜めるための水タンクと、前記水タンクから供給される前記水を溜めて小鳥に飲水および水浴を行わせるための水トレーとを備え、前記水タンクは、前記水を前記水トレーに供給するための水供給用スリットが形成され、前記水供給用スリットは、長手方向に直交する方向における幅が膨らんでいる膨らみ部を有し、前記長手方向の両端の鉛直方向における位置が異なり、前記膨らみ部は、前記水供給用スリットにおいて鉛直方向における位置が上部の位置に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の小鳥用給水装置は、小鳥が飲水や水浴を行うなどして水トレー上の水が減ったとき、水タンク内から水供給用スリットを介して水トレー上に水が供給される。水タンク内から水供給用スリットを介して水トレー上に水が供給されるためには、水タンク内から水供給用スリットを介して水トレー上に供給される水の換わりに水タンク外から水供給用スリットを介して水タンク内に空気が導入される必要がある。
【0009】
本発明の小鳥用給水装置は、水供給用スリットにおいて鉛直方向における位置が上部の位置に膨らみ部が配置されているので、水タンク外から水供給用スリットを介して水タンク内に空気が導入されるときに、水供給用スリットで生成される気泡の上部が膨らむ。すると、水供給用スリットで生成される気泡は、上部が強い浮力によって上昇するので、水供給用スリットから離れ易い。したがって、本発明の小鳥用給水装置は、長手方向に直交する方向における水供給用スリットの幅が狭くても、水タンク外から水供給用スリットを介して水タンク内に空気が導入され易く、水タンク内から水供給用スリットを介して水トレー上に水が供給され易い。すなわち、本発明の小鳥用給水装置は、長手方向に直交する方向における水供給用スリットの幅を狭くすることができる。
【0010】
本発明の小鳥用給水装置は、長手方向に直交する方向における水供給用スリットの幅を狭くすると、水トレー上の水が減って水タンク内から水供給用スリットを介して水トレー上に水が供給されるときに水が水供給用スリットで抵抗を受けて水タンク内から水トレー上に微少な量ずつ供給されるので、水タンク内から水供給用スリットを介して水トレー上に供給される水の流れの勢いによって水トレーの底部に沈殿している羽毛などのゴミが巻き上げられることを抑制することができ、それによって水トレー上の水中のゴミが水供給用スリットを介して水タンク内に入り込むことを抑制することができる。
【0011】
また、本発明の小鳥用給水装置は、水トレー上の水にゴミが浮かんでいる場合であっても、水トレー上の水中のゴミのうち、水供給用スリットより大きいゴミが小鳥の水浴による水流などによって水供給用スリットを介して水タンク内に入り込むことを防止することができる。したがって、本発明の小鳥用給水装置は、長手方向に直交する方向における水供給用スリットの幅を狭くすると、水トレー上の水中の微小なゴミが水供給用スリットを介して水タンク内に入り込むことを抑制することができる。
【0012】
また、本発明の小鳥用給水装置は、長手方向に直交する方向における水供給用スリットの幅を狭くすると、水タンク外から水供給用スリットを介して水タンク内に導入される空気も、水タンク内から水供給用スリットを介して水トレー上に供給される水と同じ微少な量ずつ導入されるので、この空気とともに水トレー上の水中のゴミを水供給用スリットを介して水タンク内に巻き込むことを抑制することができる。
【0013】
以上に説明したように、本発明の小鳥用給水装置は、水トレー上の水中のゴミが水供給用スリットを介して水タンク内に入り込むことを抑制することができるので、水タンク内の水の交換頻度を抑えることができ、使用者にかかる負担を抑えることができる。すなわち、小鳥用給水装置は、使用者に過度な負担をかけることなく小鳥に飲水および水浴の両方を行わせることができる。
【0014】
本発明の小鳥用給水装置の前記長手方向における前記水供給用スリットの長さは、その長さを直径とする丸穴を前記水供給用スリットと置き換えると仮定した場合に前記水タンク内の前記水が前記丸穴において表面張力によって保持される長さであることが好ましい。
【0015】
この構成により、本発明の小鳥用給水装置は、長手方向における水供給用スリットの長さが短いので、水供給用スリットの形状が一定である場合、長手方向に直交する方向における水供給用スリットの幅も狭い。
【0016】
本発明の小鳥用給水装置の前記水タンクは、内部に水が入れられるための水入れ口と、前記水入れ口を塞ぐ塞口部材とを有しており、前記水入れ口は、鉛直方向における位置が前記水供給用スリットより上に配置されていることが好ましい。
【0017】
上記特許文献1に記載された小鳥用給水装置は、水タンクの内部に水が入れられるために水タンクが引っ繰り返されなければならず、更に水タンクの内部に水が入れられた後にも水タンクが正常な状態に設置されるために水タンクが再び引っ繰り返されなければならないので、使用者にとって水タンクの内部に水を入れることが大変である。しかしながら、本発明の小鳥用給水装置は、長手方向に直交する方向における水供給用スリットの幅を狭くすることができるので、鉛直方向における位置が水供給用スリットより上に配置されている水入れ口を介して水タンクの内部に水が入れられたとしても、水タンクの内部から水供給用スリットを介して水タンクの外部に出る水を微少な量に抑えることができる。そのため、本発明の小鳥用給水装置は、水タンクの内部から水供給用スリットを介して水タンクの外部に大量の水が出る前に、水入れ口が塞口部材によって塞がれる時間的な余裕が十分にあるので、水タンクの内部に水が入れられるために水タンクが引っ繰り返される必要がない。したがって、本発明の小鳥用給水装置は、使用者に過度な負担をかけることなく使用者に水タンクの内部に水を入れさせることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の小鳥用給水装置は、使用者に過度な負担をかけることなく小鳥に飲水および水浴の両方を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る小鳥用給水装置の外観斜視図である。
【図2】図1に示す小鳥用給水装置の正面図である。
【図3】図1に示す小鳥用給水装置の右側面図である。
【図4】図1に示す小鳥用給水装置の平面図である。
【図5】図1に示す小鳥用給水装置の背面側から見た分解斜視図である。
【図6】図1に示す小鳥用給水装置の水タンクの板の正面図である。
【図7】図1に示す小鳥用給水装置の構成部品である2つの筒を切り出す前の筒の側面図である。
【図8】図1に示す小鳥用給水装置の側面断面図であって、水タンク内から水供給用スリットを介して水タンク外に水が落ちているときの図である。
【図9】図1に示す小鳥用給水装置の側面断面図であって、水トレーに水が溜まっているときの図である。
【図10】図1に示す小鳥用給水装置の水トレーに溜まった水を飲んでいる小鳥を示す図である。
【図11】図1に示す小鳥用給水装置の水トレーに溜まった水で水浴を行っている小鳥を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る小鳥用給水装置の背面側から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態に係る小鳥用給水装置の構成について説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る小鳥用給水装置10の外観斜視図である。図2、図3、図4は、それぞれ小鳥用給水装置10の正面図、右側面図、平面図である。図5は、小鳥用給水装置10の背面側から見た分解斜視図である。
【0023】
図1〜図5に示すように、小鳥用給水装置10は、水を供給するための水供給用スリット20aが下部に形成されて水を内部に溜めるための水タンク20と、水タンク20の内部から水供給用スリット20aを介して水タンク20の外部に落下する水を溜めて小鳥に飲水および水浴を行わせるための水トレー30とを備えている。小鳥用給水装置10は、水タンク20の延在方向が矢印10aで示す鉛直方向になるように、図示していない鳥かごに固定されるものである。なお、水トレー30の延在方向は、水タンク20の延在方向の延在方向とは直交している。
【0024】
水タンク20は、使用者が水タンク20の内部に水を入れるための水入れ口20bが上部に形成されている。水入れ口20bは、矢印10aで示す鉛直方向における位置が水供給用スリット20aより上に配置されている。そして、水入れ口20bは、塞口部材としての栓23によって塞がれることが可能になっている。水タンク20の水供給用スリット20aは、矢印20cで示す長手方向の両端である上端20eおよび下端20fの矢印10aで示す鉛直方向における位置が異なっている。矢印20cで示す長手方向における水供給用スリット20aの長さは、その長さを直径とする丸穴を水供給用スリット20aと置き換えると仮定した場合に水タンク20内の水がその丸穴において表面張力によって保持される長さである。また、水供給用スリット20aは、矢印20cで示す長手方向に直交する矢印20dで示す方向における幅が膨らんでいる膨らみ部20gを有している。
【0025】
ここで、水タンク20は、水入れ口20bが一端に形成されて他端が傾斜している筒21と、水供給用スリット20aが形成されて筒21の他端に接着された板22とによって構成されている。板22は、矢印10aで示す鉛直方向に対して45°傾いている。また、板22の水供給用スリット20aは、矢印20cで示す長手方向が矢印10aで示す鉛直方向に対して45°傾いており、矢印20cで示す長手方向に直交する矢印20dで示す方向が矢印10aで示す鉛直方向に対して90°傾いている。
【0026】
図6は、小鳥用給水装置10の水タンク20の板22の正面図である。
【0027】
例えば、筒21および板22の板厚は、3mmである。また、筒21の外径は、5cmである。また、板22の水供給用スリット20aは、図6に示すように、矢印20dで示す方向において板22の中央に配置されており、矢印20cで示す方向において上端20eの位置、下端20fの位置がそれぞれ板22の下端から36mm、15mmである。したがって、矢印20cで示す長手方向における水供給用スリット20aの長さは、21mmである。水供給用スリット20aの膨らみ部20gは、直径が3mmの丸穴である。水供給用スリット20aのうち膨らみ部20g以外の部分は、矢印20dで示す方向の長さが1mmである。
【0028】
図5に示すように、水トレー30は、筒31と、筒31の一端に接着された板32とによって構成されている。筒31の他端は、板22に対して筒21とは反対側から板22に接着されている。
【0029】
例えば、筒31および板32の板厚は、3mmである。また、筒31は、外径が5cmであって、全長が15cmである。また、板32は、直径5cmの丸板を半分にした形状である。
【0030】
図7は、筒21および筒31を切り出す前の筒40の側面図である。
【0031】
図7に示すように、筒21および筒31は、破線で示した切断線40a、40bで1つの筒40から切り出されるようになっている。
【0032】
次に、小鳥用給水装置10の機能について説明する。
【0033】
図8は、小鳥用給水装置10の側面断面図であって、水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水タンク20外に水80が落ちているときの図である。図9は、小鳥用給水装置10の側面断面図であって、水トレー30に水80が溜まっているときの図である。
【0034】
使用者が水タンク20の栓23を外して水タンク20の水入れ口20bから水タンク20の内部に水80を入れた後で水入れ口20bを栓23で塞ぐと、図8に示すように水供給用スリット20aの上端20e側で空気が水タンク20外から水供給用スリット20aを介して水タンク20内に気泡85として微少な量ずつ入り続けると同時に水供給用スリット20aの下端20f側で水80が水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水タンク20外に微少な量ずつ落ち続ける。そして、図9に示すように水トレー30上の水80の水位が水供給用スリット20aの上端20eに近い高さになると、水タンク20外から水供給用スリット20aを介して水タンク20内に空気が入らなくなるので、水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水タンク20外に水80も出なくなる。
【0035】
図10は、水トレー30に溜まった水80を飲んでいる小鳥90を示す図である。図10に示すように、小鳥90は、水トレー30に溜まった水80を飲むことができる。なお、小鳥90は、例えば、嘴から尾までの体長が12cmである。
【0036】
図11は、水トレー30に溜まった水80で水浴を行っている小鳥90を示す図である。図11に示すように、小鳥90は、水トレー30に溜まった水80で水浴を行うこともできる。
【0037】
小鳥90が水トレー30上の水80を飲んだり、水トレー30上の水80で水浴を行ったりすると、水トレー30上の水80の量は減る。特に、小鳥90が水浴を行うと、水トレー30上の水80は、例えば板32の部分から溢れ出し、多量に減る。水トレー30上の水80の量が減って水トレー30上の水80の水位が下がると、水トレー30上の水80の水位が水供給用スリット20aの上端20eに近い高さになるまで、水トレー30には水タンク20から水供給用スリット20aを介して再び水80が供給される。
【0038】
以上に説明したように、小鳥用給水装置10は、小鳥90が飲水や水浴を行うなどして水トレー30上の水80が減ったとき、水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水トレー30上に水80が供給される。水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水トレー30上に水80が供給されるためには、水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水トレー30上に供給される水80の換わりに水タンク20外から水供給用スリット20aを介して水タンク20内に空気が導入される必要がある。
【0039】
小鳥用給水装置10は、水供給用スリット20aにおいて矢印10aで示す鉛直方向における位置が上部の位置に膨らみ部20gが配置されているので、水タンク20外から水供給用スリット20aを介して水タンク20内に空気が導入されるときに、水供給用スリット20aで生成される気泡85の上部が膨らむ。すると、水供給用スリット20aで生成される気泡85は、上部が強い浮力によって上昇するので、水供給用スリット20aから離れ易い。したがって、小鳥用給水装置10は、矢印20cで示す長手方向に直交する矢印20dで示す方向における水供給用スリット20aの幅が狭くても、水タンク20外から水供給用スリット20aを介して水タンク20内に空気が導入され易く、水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水トレー30上に水80が供給され易い。すなわち、小鳥用給水装置10は、矢印20dで示す方向における水供給用スリット20aの幅を狭くすることができ、本実施の形態においても極めて狭くしている。
【0040】
なお、小鳥用給水装置10の矢印20cで示す長手方向における水供給用スリット20aの長さは、その長さを直径とする丸穴を水供給用スリット20aと置き換えると仮定した場合に水タンク20内の水がその丸穴において表面張力によって保持される長さである。この構成により、小鳥用給水装置10は、矢印20cで示す長手方向における水供給用スリット20aの長さが短いので、水供給用スリット20aの形状が一定である場合、矢印20dで示す方向における水供給用スリット20aの幅も狭い。もちろん、矢印20cで示す長手方向における水供給用スリット20aの長さは、その長さを直径とする丸穴を水供給用スリット20aと置き換えると仮定した場合に水タンク20内の水がその丸穴において表面張力によって保持される長さより長くても良いが、水トレー30上の水80中のゴミが水供給用スリット20aを介して水タンク20内に入り込むことを抑制するために、短い方が好ましい。
【0041】
小鳥用給水装置10は、矢印20dで示す方向における水供給用スリット20aの幅を狭くしているので、水トレー30上の水80が減って水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水トレー30上に水80が供給されるときに水80が水供給用スリット20aで抵抗を受けて水タンク20内から水トレー30上に微少な量ずつ供給される。したがって、小鳥用給水装置10は、水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水トレー30上に供給される水80の流れの勢いによって水トレー30の底部に沈殿している羽毛などのゴミが巻き上げられることを抑制することができ、それによって水トレー30上の水80中のゴミが水供給用スリット20aを介して水タンク20内に入り込むことを抑制することができる。
【0042】
また、小鳥用給水装置10は、水トレー30上の水80にゴミが浮かんでいる場合であっても、水トレー30上の水80中のゴミのうち、水供給用スリット20aより大きいゴミが小鳥90の水浴による水流などによって水供給用スリット20aを介して水タンク20内に入り込むことを防止することができる。小鳥用給水装置10は、矢印20dで示す方向における水供給用スリット20aの幅を狭くしているので、水トレー30上の水80中の微小なゴミが水供給用スリット20aを介して水タンク20内に入り込むことを抑制することができる。
【0043】
また、小鳥用給水装置10は、矢印20dで示す方向における水供給用スリット20aの幅を狭くしているので、水タンク20外から水供給用スリット20aを介して水タンク20内に導入される空気も、水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水トレー30上に供給される水80と同じ微少な量ずつ導入される。したがって、小鳥用給水装置10は、この空気とともに水トレー30上の水80中のゴミを水供給用スリット20aを介して水タンク20内に巻き込むことを抑制することができる。
【0044】
以上に説明したように、小鳥用給水装置10は、水トレー30上の水80中のゴミが水供給用スリット20aを介して水タンク20内に入り込むことを抑制することができるので、水タンク20内の水80の交換頻度を抑えることができ、使用者にかかる負担を抑えることができる。すなわち、小鳥用給水装置10は、使用者に過度な負担をかけることなく小鳥90に飲水および水浴の両方を行わせることができる。
【0045】
なお、上記特許文献1に記載された小鳥用給水装置は、水タンクの内部に水が入れられるために水タンクが引っ繰り返されなければならず、更に水タンクの内部に水が入れられた後にも水タンクが正常な状態に設置されるために水タンクが再び引っ繰り返されなければならないので、使用者にとって水タンクの内部に水を入れることが大変である。しかしながら、小鳥用給水装置10は、矢印20dで示す方向における水供給用スリット20aの幅を狭くすることができるので、矢印10aで示す鉛直方向における位置が水供給用スリット20aより上に配置されている水入れ口20bを介して水タンク20の内部に水80が入れられたとしても、水タンク20の内部から水供給用スリット20aを介して水タンク20の外部に出る水80を微少な量に抑えることができる。そのため、小鳥用給水装置10は、水タンク20の内部から水供給用スリット20aを介して水タンク20の外部に大量の水80が出る前に、水入れ口20bが栓23によって塞がれる時間的な余裕が十分にあるので、水タンク20の内部に水80が入れられるために水タンク20が引っ繰り返される必要がない。したがって、小鳥用給水装置10は、使用者に過度な負担をかけることなく使用者に水タンク20の内部に水80を入れさせることができる。
【0046】
なお、水80には、酢を0.1%以上加えることが好ましい。これにより、静菌作用や殺菌作用を期待することができ、長期間、水質を維持することができる。また、水トレー30に付いた水垢を落とすことや、水トレー30に水垢が付くことを防止することも期待することができる。
【0047】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る小鳥用給水装置の構成について説明する。
【0048】
なお、本実施の形態に係る小鳥用給水装置の構成のうち、第1の実施の形態に係る小鳥用給水装置10(図5参照。)の構成と同様な構成については、小鳥用給水装置10の構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0049】
図12は、本実施の形態に係る小鳥用給水装置110の背面側から見た分解斜視図である。
【0050】
図12に示すように、小鳥用給水装置110の構成は、小鳥用給水装置10が水タンク20のおよび水トレー30(図5参照。)に代えて水タンク120のおよび水トレー130を備えた構成と同様である。
【0051】
水タンク120の構成は、水入れ口20bが一端に形成された筒121と、一端が筒121の他端に接着された筒122と、水供給用スリット20aが形成されて筒122の他端に接着された板123とを筒21(図5参照。)および板22(図5参照。)に代えて水タンク20(図5参照。)が備えた構成と同様である。
【0052】
板123は、矢印10aで示す鉛直方向に平行に配置されている。また、板123の水供給用スリット20aは、矢印20cで示す長手方向が矢印10aで示す鉛直方向と同一方向であり、矢印20cで示す長手方向に直交する矢印20dで示す方向が矢印10aで示す鉛直方向に対して90°傾いている。
【0053】
水トレー130は、水トレー30(図5参照。)が筒31(図5参照。)に代えて筒131を備えた構成と同様である。筒131の他端は、板123に対して筒122とは反対側から板123に接着されている。
【0054】
小鳥用給水装置110は、第1の実施の形態に係る小鳥用給水装置10(図5参照。)と同様に機能する。
【0055】
このように、本発明の小鳥用給水装置は、水供給用スリット20aの上端20eおよび下端20fの矢印10aで示す鉛直方向における位置が異なっていれば、水供給用スリット20aの矢印20cで示す長手方向や矢印20dで示す方向が何れの方向であっても、同様に機能することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 小鳥用給水装置
10a 矢印(鉛直方向を示す矢印)
20 水タンク
20a 水供給用スリット
20c 矢印(水供給用スリットの長手方向を示す矢印)
20d 矢印(水供給用スリットの長手方向に直交する方向を示す矢印)
20e 上端(水供給用スリットの長手方向の両端のうちの一端)
20f 下端(水供給用スリットの長手方向の両端のうちの他端)
20g 膨らみ部
23 栓(塞口部材)
30 水トレー
80 水
85 気泡
90 小鳥
110 小鳥用給水装置
120 水タンク
130 水トレー
【技術分野】
【0001】
本発明は、小鳥に水を与えるための小鳥用給水装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の小鳥用給水装置として、水を内部に溜めるための水タンクと、水タンクから供給される水を溜めて小鳥に飲水を行わせるための水トレーとを備えているものが知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平1−240127号公報(第1頁右下欄第18行−第2頁右上欄第16行、第1−2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
小鳥と、水との関わりは、飲水だけではない。小鳥は、羽に付いたダニなどの虫を洗い流すため、水浴を行う。本願発明者は、小鳥と、水との関わりが飲水だけではなく水浴もあることに着目して、小鳥に飲水および水浴の両方を行わせることができる便利な小鳥用給水装置の開発を行った。
【0005】
その開発の過程で、本願発明者は、小鳥の水浴によって水トレー上の水が水タンク内に逆流してしまうため、小鳥の水浴によって水トレー上の水だけでなく水タンク内の水も汚れ、その結果、小鳥の飼い主などの小鳥用給水装置の使用者が水タンク内の水を頻繁に換えなければならず、使用者に負担がかかるという問題を発見した。
【0006】
そこで、本発明は、使用者に過度な負担をかけることなく小鳥に飲水および水浴の両方を行わせることができる便利な小鳥用給水装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の小鳥用給水装置は、水を内部に溜めるための水タンクと、前記水タンクから供給される前記水を溜めて小鳥に飲水および水浴を行わせるための水トレーとを備え、前記水タンクは、前記水を前記水トレーに供給するための水供給用スリットが形成され、前記水供給用スリットは、長手方向に直交する方向における幅が膨らんでいる膨らみ部を有し、前記長手方向の両端の鉛直方向における位置が異なり、前記膨らみ部は、前記水供給用スリットにおいて鉛直方向における位置が上部の位置に配置されていることを特徴とする。
【0008】
本発明の小鳥用給水装置は、小鳥が飲水や水浴を行うなどして水トレー上の水が減ったとき、水タンク内から水供給用スリットを介して水トレー上に水が供給される。水タンク内から水供給用スリットを介して水トレー上に水が供給されるためには、水タンク内から水供給用スリットを介して水トレー上に供給される水の換わりに水タンク外から水供給用スリットを介して水タンク内に空気が導入される必要がある。
【0009】
本発明の小鳥用給水装置は、水供給用スリットにおいて鉛直方向における位置が上部の位置に膨らみ部が配置されているので、水タンク外から水供給用スリットを介して水タンク内に空気が導入されるときに、水供給用スリットで生成される気泡の上部が膨らむ。すると、水供給用スリットで生成される気泡は、上部が強い浮力によって上昇するので、水供給用スリットから離れ易い。したがって、本発明の小鳥用給水装置は、長手方向に直交する方向における水供給用スリットの幅が狭くても、水タンク外から水供給用スリットを介して水タンク内に空気が導入され易く、水タンク内から水供給用スリットを介して水トレー上に水が供給され易い。すなわち、本発明の小鳥用給水装置は、長手方向に直交する方向における水供給用スリットの幅を狭くすることができる。
【0010】
本発明の小鳥用給水装置は、長手方向に直交する方向における水供給用スリットの幅を狭くすると、水トレー上の水が減って水タンク内から水供給用スリットを介して水トレー上に水が供給されるときに水が水供給用スリットで抵抗を受けて水タンク内から水トレー上に微少な量ずつ供給されるので、水タンク内から水供給用スリットを介して水トレー上に供給される水の流れの勢いによって水トレーの底部に沈殿している羽毛などのゴミが巻き上げられることを抑制することができ、それによって水トレー上の水中のゴミが水供給用スリットを介して水タンク内に入り込むことを抑制することができる。
【0011】
また、本発明の小鳥用給水装置は、水トレー上の水にゴミが浮かんでいる場合であっても、水トレー上の水中のゴミのうち、水供給用スリットより大きいゴミが小鳥の水浴による水流などによって水供給用スリットを介して水タンク内に入り込むことを防止することができる。したがって、本発明の小鳥用給水装置は、長手方向に直交する方向における水供給用スリットの幅を狭くすると、水トレー上の水中の微小なゴミが水供給用スリットを介して水タンク内に入り込むことを抑制することができる。
【0012】
また、本発明の小鳥用給水装置は、長手方向に直交する方向における水供給用スリットの幅を狭くすると、水タンク外から水供給用スリットを介して水タンク内に導入される空気も、水タンク内から水供給用スリットを介して水トレー上に供給される水と同じ微少な量ずつ導入されるので、この空気とともに水トレー上の水中のゴミを水供給用スリットを介して水タンク内に巻き込むことを抑制することができる。
【0013】
以上に説明したように、本発明の小鳥用給水装置は、水トレー上の水中のゴミが水供給用スリットを介して水タンク内に入り込むことを抑制することができるので、水タンク内の水の交換頻度を抑えることができ、使用者にかかる負担を抑えることができる。すなわち、小鳥用給水装置は、使用者に過度な負担をかけることなく小鳥に飲水および水浴の両方を行わせることができる。
【0014】
本発明の小鳥用給水装置の前記長手方向における前記水供給用スリットの長さは、その長さを直径とする丸穴を前記水供給用スリットと置き換えると仮定した場合に前記水タンク内の前記水が前記丸穴において表面張力によって保持される長さであることが好ましい。
【0015】
この構成により、本発明の小鳥用給水装置は、長手方向における水供給用スリットの長さが短いので、水供給用スリットの形状が一定である場合、長手方向に直交する方向における水供給用スリットの幅も狭い。
【0016】
本発明の小鳥用給水装置の前記水タンクは、内部に水が入れられるための水入れ口と、前記水入れ口を塞ぐ塞口部材とを有しており、前記水入れ口は、鉛直方向における位置が前記水供給用スリットより上に配置されていることが好ましい。
【0017】
上記特許文献1に記載された小鳥用給水装置は、水タンクの内部に水が入れられるために水タンクが引っ繰り返されなければならず、更に水タンクの内部に水が入れられた後にも水タンクが正常な状態に設置されるために水タンクが再び引っ繰り返されなければならないので、使用者にとって水タンクの内部に水を入れることが大変である。しかしながら、本発明の小鳥用給水装置は、長手方向に直交する方向における水供給用スリットの幅を狭くすることができるので、鉛直方向における位置が水供給用スリットより上に配置されている水入れ口を介して水タンクの内部に水が入れられたとしても、水タンクの内部から水供給用スリットを介して水タンクの外部に出る水を微少な量に抑えることができる。そのため、本発明の小鳥用給水装置は、水タンクの内部から水供給用スリットを介して水タンクの外部に大量の水が出る前に、水入れ口が塞口部材によって塞がれる時間的な余裕が十分にあるので、水タンクの内部に水が入れられるために水タンクが引っ繰り返される必要がない。したがって、本発明の小鳥用給水装置は、使用者に過度な負担をかけることなく使用者に水タンクの内部に水を入れさせることができる。
【発明の効果】
【0018】
本発明の小鳥用給水装置は、使用者に過度な負担をかけることなく小鳥に飲水および水浴の両方を行わせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態に係る小鳥用給水装置の外観斜視図である。
【図2】図1に示す小鳥用給水装置の正面図である。
【図3】図1に示す小鳥用給水装置の右側面図である。
【図4】図1に示す小鳥用給水装置の平面図である。
【図5】図1に示す小鳥用給水装置の背面側から見た分解斜視図である。
【図6】図1に示す小鳥用給水装置の水タンクの板の正面図である。
【図7】図1に示す小鳥用給水装置の構成部品である2つの筒を切り出す前の筒の側面図である。
【図8】図1に示す小鳥用給水装置の側面断面図であって、水タンク内から水供給用スリットを介して水タンク外に水が落ちているときの図である。
【図9】図1に示す小鳥用給水装置の側面断面図であって、水トレーに水が溜まっているときの図である。
【図10】図1に示す小鳥用給水装置の水トレーに溜まった水を飲んでいる小鳥を示す図である。
【図11】図1に示す小鳥用給水装置の水トレーに溜まった水で水浴を行っている小鳥を示す図である。
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る小鳥用給水装置の背面側から見た分解斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。
【0021】
(第1の実施の形態)
まず、本発明の第1の実施の形態に係る小鳥用給水装置の構成について説明する。
【0022】
図1は、本実施の形態に係る小鳥用給水装置10の外観斜視図である。図2、図3、図4は、それぞれ小鳥用給水装置10の正面図、右側面図、平面図である。図5は、小鳥用給水装置10の背面側から見た分解斜視図である。
【0023】
図1〜図5に示すように、小鳥用給水装置10は、水を供給するための水供給用スリット20aが下部に形成されて水を内部に溜めるための水タンク20と、水タンク20の内部から水供給用スリット20aを介して水タンク20の外部に落下する水を溜めて小鳥に飲水および水浴を行わせるための水トレー30とを備えている。小鳥用給水装置10は、水タンク20の延在方向が矢印10aで示す鉛直方向になるように、図示していない鳥かごに固定されるものである。なお、水トレー30の延在方向は、水タンク20の延在方向の延在方向とは直交している。
【0024】
水タンク20は、使用者が水タンク20の内部に水を入れるための水入れ口20bが上部に形成されている。水入れ口20bは、矢印10aで示す鉛直方向における位置が水供給用スリット20aより上に配置されている。そして、水入れ口20bは、塞口部材としての栓23によって塞がれることが可能になっている。水タンク20の水供給用スリット20aは、矢印20cで示す長手方向の両端である上端20eおよび下端20fの矢印10aで示す鉛直方向における位置が異なっている。矢印20cで示す長手方向における水供給用スリット20aの長さは、その長さを直径とする丸穴を水供給用スリット20aと置き換えると仮定した場合に水タンク20内の水がその丸穴において表面張力によって保持される長さである。また、水供給用スリット20aは、矢印20cで示す長手方向に直交する矢印20dで示す方向における幅が膨らんでいる膨らみ部20gを有している。
【0025】
ここで、水タンク20は、水入れ口20bが一端に形成されて他端が傾斜している筒21と、水供給用スリット20aが形成されて筒21の他端に接着された板22とによって構成されている。板22は、矢印10aで示す鉛直方向に対して45°傾いている。また、板22の水供給用スリット20aは、矢印20cで示す長手方向が矢印10aで示す鉛直方向に対して45°傾いており、矢印20cで示す長手方向に直交する矢印20dで示す方向が矢印10aで示す鉛直方向に対して90°傾いている。
【0026】
図6は、小鳥用給水装置10の水タンク20の板22の正面図である。
【0027】
例えば、筒21および板22の板厚は、3mmである。また、筒21の外径は、5cmである。また、板22の水供給用スリット20aは、図6に示すように、矢印20dで示す方向において板22の中央に配置されており、矢印20cで示す方向において上端20eの位置、下端20fの位置がそれぞれ板22の下端から36mm、15mmである。したがって、矢印20cで示す長手方向における水供給用スリット20aの長さは、21mmである。水供給用スリット20aの膨らみ部20gは、直径が3mmの丸穴である。水供給用スリット20aのうち膨らみ部20g以外の部分は、矢印20dで示す方向の長さが1mmである。
【0028】
図5に示すように、水トレー30は、筒31と、筒31の一端に接着された板32とによって構成されている。筒31の他端は、板22に対して筒21とは反対側から板22に接着されている。
【0029】
例えば、筒31および板32の板厚は、3mmである。また、筒31は、外径が5cmであって、全長が15cmである。また、板32は、直径5cmの丸板を半分にした形状である。
【0030】
図7は、筒21および筒31を切り出す前の筒40の側面図である。
【0031】
図7に示すように、筒21および筒31は、破線で示した切断線40a、40bで1つの筒40から切り出されるようになっている。
【0032】
次に、小鳥用給水装置10の機能について説明する。
【0033】
図8は、小鳥用給水装置10の側面断面図であって、水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水タンク20外に水80が落ちているときの図である。図9は、小鳥用給水装置10の側面断面図であって、水トレー30に水80が溜まっているときの図である。
【0034】
使用者が水タンク20の栓23を外して水タンク20の水入れ口20bから水タンク20の内部に水80を入れた後で水入れ口20bを栓23で塞ぐと、図8に示すように水供給用スリット20aの上端20e側で空気が水タンク20外から水供給用スリット20aを介して水タンク20内に気泡85として微少な量ずつ入り続けると同時に水供給用スリット20aの下端20f側で水80が水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水タンク20外に微少な量ずつ落ち続ける。そして、図9に示すように水トレー30上の水80の水位が水供給用スリット20aの上端20eに近い高さになると、水タンク20外から水供給用スリット20aを介して水タンク20内に空気が入らなくなるので、水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水タンク20外に水80も出なくなる。
【0035】
図10は、水トレー30に溜まった水80を飲んでいる小鳥90を示す図である。図10に示すように、小鳥90は、水トレー30に溜まった水80を飲むことができる。なお、小鳥90は、例えば、嘴から尾までの体長が12cmである。
【0036】
図11は、水トレー30に溜まった水80で水浴を行っている小鳥90を示す図である。図11に示すように、小鳥90は、水トレー30に溜まった水80で水浴を行うこともできる。
【0037】
小鳥90が水トレー30上の水80を飲んだり、水トレー30上の水80で水浴を行ったりすると、水トレー30上の水80の量は減る。特に、小鳥90が水浴を行うと、水トレー30上の水80は、例えば板32の部分から溢れ出し、多量に減る。水トレー30上の水80の量が減って水トレー30上の水80の水位が下がると、水トレー30上の水80の水位が水供給用スリット20aの上端20eに近い高さになるまで、水トレー30には水タンク20から水供給用スリット20aを介して再び水80が供給される。
【0038】
以上に説明したように、小鳥用給水装置10は、小鳥90が飲水や水浴を行うなどして水トレー30上の水80が減ったとき、水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水トレー30上に水80が供給される。水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水トレー30上に水80が供給されるためには、水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水トレー30上に供給される水80の換わりに水タンク20外から水供給用スリット20aを介して水タンク20内に空気が導入される必要がある。
【0039】
小鳥用給水装置10は、水供給用スリット20aにおいて矢印10aで示す鉛直方向における位置が上部の位置に膨らみ部20gが配置されているので、水タンク20外から水供給用スリット20aを介して水タンク20内に空気が導入されるときに、水供給用スリット20aで生成される気泡85の上部が膨らむ。すると、水供給用スリット20aで生成される気泡85は、上部が強い浮力によって上昇するので、水供給用スリット20aから離れ易い。したがって、小鳥用給水装置10は、矢印20cで示す長手方向に直交する矢印20dで示す方向における水供給用スリット20aの幅が狭くても、水タンク20外から水供給用スリット20aを介して水タンク20内に空気が導入され易く、水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水トレー30上に水80が供給され易い。すなわち、小鳥用給水装置10は、矢印20dで示す方向における水供給用スリット20aの幅を狭くすることができ、本実施の形態においても極めて狭くしている。
【0040】
なお、小鳥用給水装置10の矢印20cで示す長手方向における水供給用スリット20aの長さは、その長さを直径とする丸穴を水供給用スリット20aと置き換えると仮定した場合に水タンク20内の水がその丸穴において表面張力によって保持される長さである。この構成により、小鳥用給水装置10は、矢印20cで示す長手方向における水供給用スリット20aの長さが短いので、水供給用スリット20aの形状が一定である場合、矢印20dで示す方向における水供給用スリット20aの幅も狭い。もちろん、矢印20cで示す長手方向における水供給用スリット20aの長さは、その長さを直径とする丸穴を水供給用スリット20aと置き換えると仮定した場合に水タンク20内の水がその丸穴において表面張力によって保持される長さより長くても良いが、水トレー30上の水80中のゴミが水供給用スリット20aを介して水タンク20内に入り込むことを抑制するために、短い方が好ましい。
【0041】
小鳥用給水装置10は、矢印20dで示す方向における水供給用スリット20aの幅を狭くしているので、水トレー30上の水80が減って水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水トレー30上に水80が供給されるときに水80が水供給用スリット20aで抵抗を受けて水タンク20内から水トレー30上に微少な量ずつ供給される。したがって、小鳥用給水装置10は、水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水トレー30上に供給される水80の流れの勢いによって水トレー30の底部に沈殿している羽毛などのゴミが巻き上げられることを抑制することができ、それによって水トレー30上の水80中のゴミが水供給用スリット20aを介して水タンク20内に入り込むことを抑制することができる。
【0042】
また、小鳥用給水装置10は、水トレー30上の水80にゴミが浮かんでいる場合であっても、水トレー30上の水80中のゴミのうち、水供給用スリット20aより大きいゴミが小鳥90の水浴による水流などによって水供給用スリット20aを介して水タンク20内に入り込むことを防止することができる。小鳥用給水装置10は、矢印20dで示す方向における水供給用スリット20aの幅を狭くしているので、水トレー30上の水80中の微小なゴミが水供給用スリット20aを介して水タンク20内に入り込むことを抑制することができる。
【0043】
また、小鳥用給水装置10は、矢印20dで示す方向における水供給用スリット20aの幅を狭くしているので、水タンク20外から水供給用スリット20aを介して水タンク20内に導入される空気も、水タンク20内から水供給用スリット20aを介して水トレー30上に供給される水80と同じ微少な量ずつ導入される。したがって、小鳥用給水装置10は、この空気とともに水トレー30上の水80中のゴミを水供給用スリット20aを介して水タンク20内に巻き込むことを抑制することができる。
【0044】
以上に説明したように、小鳥用給水装置10は、水トレー30上の水80中のゴミが水供給用スリット20aを介して水タンク20内に入り込むことを抑制することができるので、水タンク20内の水80の交換頻度を抑えることができ、使用者にかかる負担を抑えることができる。すなわち、小鳥用給水装置10は、使用者に過度な負担をかけることなく小鳥90に飲水および水浴の両方を行わせることができる。
【0045】
なお、上記特許文献1に記載された小鳥用給水装置は、水タンクの内部に水が入れられるために水タンクが引っ繰り返されなければならず、更に水タンクの内部に水が入れられた後にも水タンクが正常な状態に設置されるために水タンクが再び引っ繰り返されなければならないので、使用者にとって水タンクの内部に水を入れることが大変である。しかしながら、小鳥用給水装置10は、矢印20dで示す方向における水供給用スリット20aの幅を狭くすることができるので、矢印10aで示す鉛直方向における位置が水供給用スリット20aより上に配置されている水入れ口20bを介して水タンク20の内部に水80が入れられたとしても、水タンク20の内部から水供給用スリット20aを介して水タンク20の外部に出る水80を微少な量に抑えることができる。そのため、小鳥用給水装置10は、水タンク20の内部から水供給用スリット20aを介して水タンク20の外部に大量の水80が出る前に、水入れ口20bが栓23によって塞がれる時間的な余裕が十分にあるので、水タンク20の内部に水80が入れられるために水タンク20が引っ繰り返される必要がない。したがって、小鳥用給水装置10は、使用者に過度な負担をかけることなく使用者に水タンク20の内部に水80を入れさせることができる。
【0046】
なお、水80には、酢を0.1%以上加えることが好ましい。これにより、静菌作用や殺菌作用を期待することができ、長期間、水質を維持することができる。また、水トレー30に付いた水垢を落とすことや、水トレー30に水垢が付くことを防止することも期待することができる。
【0047】
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態に係る小鳥用給水装置の構成について説明する。
【0048】
なお、本実施の形態に係る小鳥用給水装置の構成のうち、第1の実施の形態に係る小鳥用給水装置10(図5参照。)の構成と同様な構成については、小鳥用給水装置10の構成と同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
【0049】
図12は、本実施の形態に係る小鳥用給水装置110の背面側から見た分解斜視図である。
【0050】
図12に示すように、小鳥用給水装置110の構成は、小鳥用給水装置10が水タンク20のおよび水トレー30(図5参照。)に代えて水タンク120のおよび水トレー130を備えた構成と同様である。
【0051】
水タンク120の構成は、水入れ口20bが一端に形成された筒121と、一端が筒121の他端に接着された筒122と、水供給用スリット20aが形成されて筒122の他端に接着された板123とを筒21(図5参照。)および板22(図5参照。)に代えて水タンク20(図5参照。)が備えた構成と同様である。
【0052】
板123は、矢印10aで示す鉛直方向に平行に配置されている。また、板123の水供給用スリット20aは、矢印20cで示す長手方向が矢印10aで示す鉛直方向と同一方向であり、矢印20cで示す長手方向に直交する矢印20dで示す方向が矢印10aで示す鉛直方向に対して90°傾いている。
【0053】
水トレー130は、水トレー30(図5参照。)が筒31(図5参照。)に代えて筒131を備えた構成と同様である。筒131の他端は、板123に対して筒122とは反対側から板123に接着されている。
【0054】
小鳥用給水装置110は、第1の実施の形態に係る小鳥用給水装置10(図5参照。)と同様に機能する。
【0055】
このように、本発明の小鳥用給水装置は、水供給用スリット20aの上端20eおよび下端20fの矢印10aで示す鉛直方向における位置が異なっていれば、水供給用スリット20aの矢印20cで示す長手方向や矢印20dで示す方向が何れの方向であっても、同様に機能することができる。
【符号の説明】
【0056】
10 小鳥用給水装置
10a 矢印(鉛直方向を示す矢印)
20 水タンク
20a 水供給用スリット
20c 矢印(水供給用スリットの長手方向を示す矢印)
20d 矢印(水供給用スリットの長手方向に直交する方向を示す矢印)
20e 上端(水供給用スリットの長手方向の両端のうちの一端)
20f 下端(水供給用スリットの長手方向の両端のうちの他端)
20g 膨らみ部
23 栓(塞口部材)
30 水トレー
80 水
85 気泡
90 小鳥
110 小鳥用給水装置
120 水タンク
130 水トレー
【特許請求の範囲】
【請求項1】
水を内部に溜めるための水タンクと、前記水タンクから供給される前記水を溜めて小鳥に飲水および水浴を行わせるための水トレーとを備え、
前記水タンクは、前記水を前記水トレーに供給するための水供給用スリットが形成され、
前記水供給用スリットは、長手方向に直交する方向における幅が膨らんでいる膨らみ部を有し、前記長手方向の両端の鉛直方向における位置が異なり、
前記膨らみ部は、前記水供給用スリットにおいて鉛直方向における位置が上部の位置に配置されていることを特徴とする小鳥用給水装置。
【請求項2】
前記長手方向における前記水供給用スリットの長さは、その長さを直径とする丸穴を前記水供給用スリットと置き換えると仮定した場合に前記水タンク内の前記水が前記丸穴において表面張力によって保持される長さであることを特徴とする請求項1に記載の小鳥用給水装置。
【請求項3】
前記水タンクは、内部に水が入れられるための水入れ口と、前記水入れ口を塞ぐ塞口部材とを有しており、
前記水入れ口は、鉛直方向における位置が前記水供給用スリットより上に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の小鳥用給水装置。
【請求項1】
水を内部に溜めるための水タンクと、前記水タンクから供給される前記水を溜めて小鳥に飲水および水浴を行わせるための水トレーとを備え、
前記水タンクは、前記水を前記水トレーに供給するための水供給用スリットが形成され、
前記水供給用スリットは、長手方向に直交する方向における幅が膨らんでいる膨らみ部を有し、前記長手方向の両端の鉛直方向における位置が異なり、
前記膨らみ部は、前記水供給用スリットにおいて鉛直方向における位置が上部の位置に配置されていることを特徴とする小鳥用給水装置。
【請求項2】
前記長手方向における前記水供給用スリットの長さは、その長さを直径とする丸穴を前記水供給用スリットと置き換えると仮定した場合に前記水タンク内の前記水が前記丸穴において表面張力によって保持される長さであることを特徴とする請求項1に記載の小鳥用給水装置。
【請求項3】
前記水タンクは、内部に水が入れられるための水入れ口と、前記水入れ口を塞ぐ塞口部材とを有しており、
前記水入れ口は、鉛直方向における位置が前記水供給用スリットより上に配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の小鳥用給水装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2010−178680(P2010−178680A)
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−25431(P2009−25431)
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(507134172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年8月19日(2010.8.19)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年2月5日(2009.2.5)
【出願人】(507134172)
【Fターム(参考)】
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