説明

就寝者の動態評価システム

【課題】就寝者の動態評価システムにおいて、就寝者が起き上がったか否かを正しく判定し、照明器具等の付帯装置を正しく制御する。
【解決手段】動態評価システムの制御部が寝具上の上方空間を検知対象とする第2の体動検知センサから体動検知信号を受信したときに(#1でYES)、制御部は照明を点灯し(#2)、タイマの計時を開始させる(#3)。続いて、制御部は第2の体動検知センサからの体動検知信号の積算量(体動積算量)が基準値に到達したか否かを判断し(#4)、YESであれば就寝者が離床のための一連の起き上がり動作を行ったと判定して照明装置の照度を増加させる(#5)。体動積算量が基準値に到達しない状態で(#4でNO)タイマが設定時間に達したときには(#6でYES)、制御部は、就寝者が起き上がっていないと判定して照明装置を消灯させる(#7)。最後に、制御部は、タイマ及び算出した体動積算量をリセットする(#8)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、就寝者の体動量を測定することによって就寝者が寝具上で起き上がったか否かを正確に判定し、その判定結果に基づいて照明、及び目覚まし装置の動作の制御を行うことができる就寝者の動態評価システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、就寝者が寝具上に横たわったときの就寝者の体が占有する空間を検知対象とする第1の体動検知センサと、該第1の体動検知センサの検知対象空間よりも上方であって、就寝者が寝具上で長座姿勢をとるときの就寝者の肩位置付近の空間を検知対象とする第2の体動検知センサと、を備え、第1の体動検知センサが就寝者の体動を検知するタイミングと第2の体動検知センサが就寝者の体動を検知するタイミングとに基づいて就寝者の入床・離床動作を判定する睡眠状態評価システムが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2008−505号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところが、上記特許文献1に示されるシステムにおいては、例えば、夏季等における寝苦しさから就寝者が夜中に寝具上で無意識的に上体を起こしたり手足を上方に持ち上げる動作を行う場合があるが、このような場合に、第1、第2の体動検知センサからの検知信号の出力タイミングに基づいて就寝者の入床・離床を判定しているので、就寝者の上記のような動作を誤って離床動作と判定することがあった。
【0004】
そして、就寝者の離床が正確に判定されないと、当該睡眠状態評価システムによる睡眠の評価が誤ったものになるし、例えば、当該睡眠状態評価システムに照明器具が接続され、システムが就寝者の離床を判定したときに該照明器具を点灯するように構成されている場合には、実際には就寝者が離床していない場合(就寝者が睡眠中に無意識的に前述のような動作を行った場合)にも照明器具が無駄に点灯されることになるので、却って就寝者の安眠を妨げることになる。
【0005】
そこで、本発明は、上記課題を解決するものであり、就寝者が自覚して起き上がる場合には就寝者の寝具上での動作が上体起こしから離床方向へ姿勢を変更するといった一連の動作になるという事実に基づき、就寝者の体動量を測定することによって就寝者が真に離床のために起き上がったか否かを正しく判定することができ、さらには照明器具等の付帯装置を正しく制御することができる就寝者の動態評価システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、就寝者が寝具に横たわったときに就寝者の体が占有する寝具上の空間を検知対象とする第1の体動検知センサと、前記第1の体動検知センサが検知対象とする空間よりも上方の空間を検知対象とする第2の体動検知センサと、を備え、前記第1の体動検知センサ及び前記第2の体動検知センサの検知結果に基づいて就寝者の入床・離床等の動態を評価する就寝者の動態評価システムにおいて、前記第2の体動検知センサが就寝者の体動を検知したときに計時を開始するタイマと、前記タイマが計時を開始してから所定の時間内に前記第2の体動検知センサが検知する体動の積算量を算出する体動量算出手段と、前記体動量算出手段が算出した体動積算量と予め設定された基準値とを比較した結果に基づいて、前記体動積算量が前記基準値を越えた場合に就寝者が起き上がったと判定し、前記体動積算量が前記基準値を越えなかった場合に就寝者が起き上がっていないと判定する起き上がり判定手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2の発明は、請求項1に記載の就寝者の動態評価システムにおいて、前記第2の体動検知センサが就寝者の体動を検知したときに照明を点灯させる点灯手段と、前記起き上がり判定手段が、就寝者が起き上がっていないと判定した場合に前記照明を消灯する消灯手段と、前記起き上がり判定手段が、就寝者が起き上がったと判定した場合に前記照明の出力を増加させる点灯出力増加手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【0008】
請求項3の発明は、請求項2に記載の就寝者の動態評価システムにおいて、前記点灯手段が前記照明を点灯した後に、前記第1の体動検知センサ及び前記第2の体動検知センサの検知結果に基づいて就寝者の再入床を検知するまで前記照明の点灯を維持する点灯維持手段を、さらに備えることを特徴とする。
【0009】
請求項4の発明は、請求項1に記載の就寝者の動態評価システムにおいて、前記第2の体動検知センサが就寝者の体動を検知したときに目覚まし装置の目覚まし動作を停止させる目覚まし停止手段と、前記起き上がり判定手段が、就寝者が起き上がっていないと判定した場合に前記目覚まし装置の目覚まし動作をスヌーズ動作に切替える目覚まし切替え手段と、前記起き上がり判定手段が、就寝者が起き上がったと判定した場合に前記目覚まし装置の目覚まし動作を解除させる目覚まし解除手段と、をさらに備えることを特徴とする。
【0010】
請求項5の発明は、請求項4に記載の就寝者の動態評価システムにおいて、前記目覚まし解除手段が前記目覚まし装置の目覚まし動作を解除した後に、前記第1の体動検知センサが就寝者の体動を検知した場合に、前記目覚まし装置に目覚まし動作を再開させる目覚まし再開手段を、さらに備えることを特徴とする。
【0011】
請求項6の発明は、請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の就寝者の動態評価システムにおいて、前記第2の体動検知センサが検知対象とする空間は、寝具平面、該寝具平面に平行であって寝具上に横たわる就寝者の体の最も高い部位を通る平面、及び寝具の外周を通り前記寝具平面と垂直な4つの垂直面により囲まれて形成された空間に交わらないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
請求項1の発明によれば、第2の体動検知センサが就寝者の体動を検知してから所定時間内における体動積算量が基準値を越えた場合に就寝者が起き上がったと判定し、基準値を越えなかった場合に就寝者が起き上がっていないと判定するので、就寝者の動態を正しく評価することができる。また、照明器具等の付帯装置を正しく制御することができる。
【0013】
請求項2の発明によれば、一旦点灯された照明が、就寝者が起き上がっていないと判定される場合には消灯されるので就寝者の安眠を妨げることがなく、就寝者が起き上がったと判定される場合には出力が増加されるので、寝具の周囲がより明るく照明されて就寝者がより安全に離床することができる。
【0014】
請求項3の発明によれば、照明の点灯が、第1、第2の体動検知センサの検知結果に基づいて就寝者の再入床が検知されるまで維持されるので、トイレに行くこと等のために離床した就寝者が再び寝室に戻って来たときにも寝具の周囲が照明されており、就寝者がより安全に再入床することができる。
【0015】
請求項4の発明によれば、一旦目覚まし動作が停止された目覚まし装置が、就寝者が起き上がっていないと判定される場合にはスヌーズ動作に切替えられるので、就寝者は一定時間おきに目覚まし刺激を受けて寝過ごすことがなく、就寝者が起き上がったと判定される場合には目覚まし動作が解除されるので、目覚まし装置が解除されないままの状態となることがない。
【0016】
請求項5の発明によれば、目覚まし装置の目覚まし動作が解除された場合であっても、その後に第1の体動検知センサが就寝者の体動を検知した場合には目覚まし動作が再開されるので、就寝者が一旦起き上がった後に離床せず再び寝具に横たわった場合に、目覚まし動作が解除されたままとなって就寝者が寝過ごしてしまうことがない。
【0017】
請求項6の発明によれば、第2の体動検知センサが検知対象とする空間は、寝具平面に平行であって寝具上に横たわる就寝者の体の最も高い部位を通る平面よりも上方に設定されるので、第2の体動検知センサが、就寝者が寝具上で横たわったままの姿勢で行う寝返り動作を誤って検知することがなく、就寝者の動態をより正しく評価することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明の一実施形態に係る就寝者の動態評価システムについて図面を参照して説明する。図1は本実施形態の就寝者の動態評価システム1(以下、本システムという)を示す。図2は本システム1におけるセンサの検知空間の配置を示す。本システム1は、寝室BRの一隅に置かれた寝具(ベッド)2のヘッドボード2a上に設置され、就寝者Pが寝具2に横たわったときに就寝者Pの体が占有する寝具2上の空間D1(以下、第1の検知空間という)を検知対象とする第1の体動検知センサS1(以下、第1センサという)と、第1の検知空間D1よりも上方の空間D2(以下、第2の検知空間という)を検知対象とする第2の体動検知センサS2(以下、第2センサという)と、第1、第2センサS1、S2から出力される体動検知信号に基づいて就寝者Pの種々の動態を判定する電子装置からなるシステム本体3と、を備える。
【0019】
ヘッドボード2a上には、付帯装置としてシステム本体3に接続されて目覚まし動作が制御される目覚まし装置4が設置され、ヘッドボード2a上の壁面には、システム本体3に接続されて点灯・消灯動作、及び点灯出力が制御される照明装置5が設けられている。目覚まし装置4及び照明装置5の動作については、本システム1の動作と共に後述する。
【0020】
第1センサS1及び第2センサS2は、共に焦電型赤外線人体検出センサから構成され、人体が発する微弱な赤外線の強度の変化を検出することにより人の体動を検知するパッシブ型センサである。第1センサS1は、図2に示されるように、検知空間D1が寝具2上に横たわった状態の就寝者Pの体動を検知できるように配置される。より詳細には、第1センサS1は、寝具2の平面2bに向かうように若干下方向きに設置されて、第1センサS1を頂点とした略円錐状に形成される第1の検知空間D1が寝具2上に横たわった就寝者Pの上体の大部分をカバーする。
【0021】
第2センサS2は、同図に示されるように、検知空間D2が寝具2上で上体を起こした就寝者Pの体動、及び寝具2の近傍に立つ就寝者Pの体動を検知できるように配置される。より詳細には、第2センサS2は、水平から僅かに上方向きに設置されて、第2センサS2を頂点とした略円錐状に形成される第2の検知空間D2が、第1の検知空間D1に交わらず、寝具2上で上体を起こした就寝者Pの肩付近の高さに形成される。
【0022】
前記第2の検知空間D2は、寝具平面2b、該寝具平面2bに平行であって就寝者Pが寝具2上に横たわったままで寝返り等の動作を行うときに体の最も高い部位(例えば、肩部)を通る平面v1、及び寝具2の外周を通り寝具平面2bと垂直な4つの垂直面v2、v3、v4、v5により囲まれて形成された空間Svに交わらないように形成される。第2センサS2は、その検知空間D2が上記の位置に形成されることによって就寝者Pの睡眠中の寝返り動作を検知しないようになっている。なお、具体的には、平面v1は人の平均的な肩幅に対応させて寝具平面2bから約60cm上方に設定される。
【0023】
図3はシステム本体3の構成を示す。システム本体3は、第1、第2センサS1、S2が出力する体動検知信号S1p、S2pを受信し、それらの出力タイミングや後述する積算量に基づいて就寝者Pの動態を判定する制御部6(体動量算出手段、起き上がり判定手段、点灯手段、消灯手段、点灯出力増加手段、点灯維持手段、目覚まし停止手段、目覚まし切替え手段、目覚まし解除手段、目覚まし再開手段)と、就寝者Pが操作することによって制御部6の制御モード等を変更可能な操作部7と、目覚まし装置4、及び照明装置5のドライバ8、9と、を備える。制御部6は、主にマイクロプロセッサから構成され、第2センサS2からの体動検知信号S2pを受信したときに計時を開始し、予め設定された時間(例えば、10秒)を計測するタイマ6aを有する。上記の設定時間は、就寝者Pが操作部7を操作することによって変更可能である。
【0024】
目覚まし装置4は、就寝者Pがシステム本体3の操作部7、又は目覚まし装置4自体の操作部(不図示)を操作することによって目覚まし時刻を設定することができ、目覚まし時刻に到達すると目覚まし刺激としてのアラーム音を発し、該アラーム音によって覚醒した就寝者Pがシステム本体3の操作部7、又は目覚まし装置4自体の操作部を操作することによってアラーム音の発生を停止することができるものである。また、目覚まし装置4はスヌーズ動作機能を備え、該スヌーズ動作機能に切替えられたときには、目覚まし時刻を過ぎた後においても一定時間(例えば、5分)おきにアラーム音を発するものである。このスヌーズ動作機能は就寝者Pがシステム本体3の操作部7、又は目覚まし装置4自体の操作部に、アラーム音を停止する場合とは異なった解除操作を行うことによって停止される(目覚まし動作の解除)。さらに、目覚まし装置4は、システム本体3の制御部6からの制御信号によっても、上記アラーム音の停止、スヌーズ動作機能への切替え、及び目覚まし動作の解除がなされるように構成されており、目覚まし動作が解除された後においても制御部6からの所定の制御信号によって目覚まし動作(アラーム音の発生動作)を再開することができる。
【0025】
照明装置5は、インバータ制御等によって点灯出力が可変なものであり、就寝者Pが該照明装置5自体の操作部(不図示)を操作することによって点灯・消灯の制御、及び点灯出力の制御を行うことができ、かつシステム本体3の制御部6からの制御信号によっても点灯・消灯制御、及び点灯出力を制御することができるように構成されている。
【0026】
図4(a)、(b)は、システム本体3の制御部6が第1、第2センサS1、S2から受信する体動検知信号S1p、S2pを示す。図4(a)は、就寝者Pが入床動作を行うときに制御部6が受信する体動検知信号S1p、S2pを示し、図4(b)は、就寝者Pが離床動作を行うときに制御部6が受信する体動検知信号S1p、S2pを示す。体動検知信号S1p、S2pはパルス状の信号であり、就寝者Pの体動の大きさに応じてパルスの頻度や幅が変化する。
【0027】
就寝者Pが入床動作を行うときには、寝具2の近傍に近づいて来た就寝者Pがまず第2の検知空間D2の領域に入るので、第2センサS2からの体動検知信号S2pが制御部6に受信され(t1)、続いて就寝者Pが寝具2上に腰掛けたときに第1センサS1からの体動検知信号S1pが制御部6に受信される(t2)。その後、就寝者Pが寝具2上に横たわったときには就寝者Pの体は第2の検知空間D2の領域から外れるので、第2センサS2からの体動検知信号S2pが停止する(t3)。制御部6は、体動検知信号S1p、S2pが上記の態様で発生する場合に就寝者Pが入床したと判定する。
【0028】
就寝者Pが離床動作を行うときには、就寝者Pはまず寝具2上で体を動かして起き上がる準備をするので、第1センサS1からの体動検知信号S1pが制御部6に受信され(t4)、続いて就寝者Pが上体を持ち上げることにより第2の検知空間D2の領域に入るので、第2センサS2からの体動検知信号S2pが制御部6に受信される(t5)。その後、就寝者Pが寝具2に腰かけた状態から寝具2から離れるときには、先に第1センサS1からの体動検知信号S1pが停止し(t6)、続いて第2センサS2からの体動検知信号S2pが停止する(t7)。就寝者Pが実際に離床するときには体動検知信号S1p、S2pが上記の態様で発生し、制御部6は就寝者Pが離床したと正しく判定する。ところが、例えば、就寝者Pが無意識的に一旦上体を起こした後に再び横たわったり、単に腕を持ち上げただけで離床しないときにも、上記とほぼ同様の態様で体動検知信号S1p、S2pが発生する場合があり、体動検知信号S1p、S2pの発生タイミングのみに基づいて就寝者Pの離床を判定する従来装置の場合には、就寝者Pが離床したと誤って判定することがあった。
【0029】
ここで、就寝者Pが実際に離床するときの動作と腕Paを持ち上げるだけの動作の違い、及び両動作によって発生される体動検知信号S2pの違いについて、図5(a)、(b)、及び図6(a)、(b)を参照して説明する。図5(a)は就寝者Pが実際に離床するときの態様を示す。就寝者Pは、寝具2上で上体を起こし、次に腰を浮かせる等の一連の動作を行い、比較的長い時間に亘って第2の検知空間D2の領域に居る。図6(a)はこのときの第2センサS2からの体動検知信号S2pを示す。この体動検知信号S2pは、設定時間Tに対して比較的長い時間に亘る。タイマ6aは、体動検知信号S2pを受信した時点Tsから設定時間Tの計時を開始する。これに対して、図5(b)は就寝者Pが腕Paを持ち上げるだけの動作を示す。就寝者Pは、寝具2上に横たわったままであり比較的短い時間内で動作を終了する。図6(b)はこのときの第2センサS2からの体動検知信号S2pを示す。この体動検知信号S2pは、比較的短い時間で停止する。
【0030】
そこで、本実施形態のシステム1では、制御部6が、タイマ6aが計時する設定時間T内における体動検知信号S2pの積算量(体動積算量)を算出し、制御部6のメモリ6b内に予め記憶された基準値と比較した結果に基づいて体動積算量が基準値を越えた場合に就寝者Pが起き上がったと判定し、体動積算量が設定時間T内に基準値を越えなかった場合には、就寝者Pは起き上がらず、例えば腕Paの持ち上げ動作のような起き上がり動作以外の動作(以下、非起き上がり動作という)を行ったと判定する。図6(a)において体動積算量が基準値を越えた時点Ttを示す。なお、制御部6は、上記のように体動積算量が基準値を越えた場合に就寝者Pが起き上がったと判定し、その上で体動検知信号S1pよりも体動検知信号S2pの方が遅れて停止した場合に就寝者Pが離床したと判定する。
【0031】
本実施形態のシステム1では、制御部6が上記のように算出した体動積算量と基準値との比較に基づいて就寝者Pの起き上がりを判定するので、就寝者Pの離床を正しく判定することができる。また、就寝者Pの起き上がり動作と、非起き上がり動作を区別して判定することができるので、これを利用して就寝者Pが目覚まし装置4によって覚醒されるまでの時間帯(主に夜中の時間帯)では就寝者Pの動態に応じた照明装置5の制御を行い、就寝者Pが目覚まし装置4によって覚醒した後の時間帯(主に朝の時間帯)では就寝者Pの動態、又は意図的な非起き上がり動作に応じた目覚まし装置4の制御を行うことができる。
【0032】
以下、就寝者Pが目覚まし装置4により覚醒されるまでの時間帯(主に夜中の時間帯)における制御部6によって実行される照明装置5の制御手順の例について、図7及び図8のフローチャートを参照して説明する。図7は、就寝者Pが夜中に行う動作を起き上がり動作であるか否かを判定し、その判定結果に応じて照明装置5の出力を増加させるか、又は消灯する制御を行う場合を示す。図8は、就寝者Pが夜中に離床したと判定したときに、就寝者Pが再び入床したと判定するまでは照明装置5の点灯を維持する制御を行う場合を示す。
【0033】
前者の場合、図7において、就寝者Pの就眠後に、制御部6が第2センサS2からの体動検知信号S2pを受信すると(#1でYES)、制御部6は照明装置5を点灯し(#2)、タイマ6aの計時を開始させる(#3)。このときに点灯される照明装置5の出力は低く設定されている。
【0034】
次に、制御部6は、受信する体動検知信号S2pの積算量が基準値に到達したか否かを判定し(#4)、到達している場合には(#4でYES)就寝者Pが起き上がったと判定して照明装置5に制御信号を送信して出力を増加させ照度を上げる(#5)。起き上がった就寝者Pは、照明装置5の照度が上がり寝具2の周囲が明るく照明されているので立ち上がって寝具2から離れる離床動作をより安全に行うことができる。
【0035】
体動積算量が基準値に到達しないままタイマ6aが設定時間Tに到達した場合には(#6でYES)、制御部6は就寝者Pが起き上がっていないと判定して照明装置5を消灯する(#7)。このときの就寝者Pは、無意識的に上体を起こしたか単に腕Paを持ち上げる動作等を行っただけであるので、照明が消灯されることによって明るさによる覚醒刺激を受けることなく睡眠を続けることができる。最後に制御部6はタイマ6a及び算出した体動積算量をリセットする(#8)。
【0036】
後者の場合、図8において、制御部6は、前記制御手順の#4における判定と同様の判定を行って就寝者Pが起き上がったと判定し、かつ体動検知信号S1pよりも体動検知信号S2pの方が遅れて停止した場合に就寝者Pが離床したと判定する(#11でYES)。そして、制御部6は、就寝者Pが離床したとして照明装置5へ制御信号を送信して出力を増加させ照度を上げ(#12)、次に就寝者Pが寝具2へ戻って来て入床したと判定する(#13でYES)まで、照度が上がった状態で照明装置5の点灯状態を維持する。制御部6は、就寝者Pが入床したと判定(#13でYES)した後、照明装置5を消灯させるか、又は出力を減少させ照度を下げる(#14)。就寝者Pは、例えばトイレに行くために夜中に離床した場合に、再び寝室BRに戻って来たときに寝具2の周囲が明るく照明されているので、入床動作をより安全に行うことができる。なお、制御部6は、#13において、体動検知信号S2pを先に受信し、若干遅れて体動検知信号S1pを受信するときに就寝者Pが入床したと判定する。
【0037】
次に、就寝者Pが目覚まし装置4のアラーム音によって覚醒した後の時間帯(主に朝の時間帯)における制御部6によって実行される目覚まし装置4の制御手順について、図9のフローチャートを参照して説明する。就寝者Pは目覚まし装置4のアラーム音によって覚醒し、上体を起こす動作、又は腕Paを持ち上げる動作等を行い、第2センサS2がそれらの動作を体動として検知する。そして、制御部6は、第2センサS2からの体動検知信号S2pを受信すると(#21でYES)、目覚まし装置4へ制御信号を送信してアラーム音を停止し(#22)、タイマ6aの計時を開始させる(#23)。
【0038】
次に、制御部6は、受信する体動検知信号S2pの積算量が基準値に到達したか否かを判定し(#24)、到達している場合には(#24でYES)就寝者Pが起き上がったと判定して目覚まし装置4に制御信号を送信して目覚まし動作を解除させる(#25)。この場合、就寝者Pは完全に覚醒して上体を起こし、腰を浮かせるといった一連の起床動作を行っていると考えられる。
【0039】
体動積算量が基準値に到達しないままタイマ6aが設定時間Tに到達した場合には(#26でYES)、制御部6は就寝者Pが腕Paを持ち上げる等の非起き上がり動作を行ったと判定して目覚まし装置4をスヌーズモードへ切替える(#27)。目覚まし装置4がスヌーズモードに切替えられることによって、一定時間(例えば、5分)おきにアラーム音が発生され、就寝者Pは、所定の目覚まし時刻から大きく寝過ごすことがない。最後に制御部6はタイマ6a及び算出した体動積算量をリセットする(#28)。
【0040】
なお、制御部6が#25において、就寝者Pが完全に覚醒して起き上がったと判定して目覚まし動作を解除した場合であっても、就寝者Pが再び寝具2に横たわってしまう可能性がある。このような場合にも就寝者Pの寝過ごしを防止するためには、上記制御手順の#25の後段に、体動検知信号S1pが受信されているか否かを判定し、受信されている場合には目覚まし装置4の目覚まし動作(アラーム音の鳴動)を再開させるステップを挿入する。上記ステップを挿入することによって、目覚まし動作が解除された後に就寝者Pが再び寝具2に横たわった場合にも、アラーム音が発生するので、就寝者Pが寝過ごすことが防止される。
【0041】
以上のように、本実施形態のシステム1では、就寝者Pが就床した時刻から目覚まし装置4に設定された目覚まし時刻までの時間帯(主に夜中の時間帯)において、図7及び図8に示す制御手順による就寝者Pの動態に応じた照明装置5の制御を実行し(制御モード1)、目覚まし装置4の目覚まし動作が起動してから解除されるまでの時間帯(主に朝の時間帯)において、図9に示す制御手順による就寝者Pの動態、又は意図的な非起き上がり動作に応じた目覚まし装置4の制御を実行し(制御モード2)、目覚まし装置4の目覚まし動作が解除されてからの時間帯では、就寝者Pが再び寝具2に横たわったか否かの判定に基づく目覚まし動作(アラーム音の鳴動)の再開制御を実行する(制御モード3)。
【0042】
上記制御モード1乃至制御モード3が順次切替えられて実行される態様の例について、図10を参照して説明する。この例では、制御部6は、就寝者Pの就床(最初の入床)を判定し制御モード1を選択する(例えば、午後11時)。そして、制御部6は、目覚まし時刻に到達したことを判定した時点(例えば午前7時)で制御モード2に切替え、目覚まし装置4の目覚まし動作を解除した時点で制御モード3に切替える。
【0043】
なお、上述した図7に示す照明装置の制御手順において、タイマ6aが計時する設定時間内に体動積算量が基準値に到達しなかった場合には、制御部6は照明装置5を低い照度で点灯した後に消灯するが(図7の#2から#4、及び#6から#7)、就寝者Pは、入眠前、又は夜中の一時覚醒したときに、上記機能を利用して、腕Paを持ち上げること等の非起き上がり動作を意図的に行うことにより、上体を起こして照明装置5自体を操作して点灯させるといった煩わしい動作を行うことなく寝具2に横たわったままの姿勢で照明装置5を点灯させることができる。これによって就寝者Pは時刻確認のための時計の目視等の動作を容易に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0044】
【図1】本発明の一実施形態に係る就寝者の動態評価システムを備える寝室の概略斜視図。
【図2】同システムにおけるセンサの検知空間の配置を示す側面図。
【図3】同システムの構成を示すブロック図。
【図4】(a)は同システムにおいて就寝者が入床するときのセンサから出力される体動検知信号を示す図、(b)は同システムにおいて就寝者が離床するときのセンサから出力される体動検知信号を示す図。
【図5】(a)は同システムにおいて就寝者が起き上がる動作を行うときの態様を示す側面図、(b)は同システムにおいて就寝者が腕を持ち上げる動作を行うときの態様を示す側面図。
【図6】(a)は同システムにおいて就寝者が起き上がる動作を行うときの第2センサからの体動検知信号を示す図、(b)は同システムにおいて就寝者が腕を持ち上げる動作を行うときの第2センサからの体動検知信号を示す図。
【図7】同システムにおける照明装置の制御手順を示すフローチャート。
【図8】同システムにおける照明装置の別の制御手順を示すフローチャート。
【図9】同システムにおける目覚まし装置の制御手順を示すフローチャート。
【図10】同システムにおいて順次切替えられる照明装置と目覚まし装置の制御モードを示す図。
【符号の説明】
【0045】
1 就寝者の動態評価システム
2 寝具
2b 寝具平面
4 目覚まし装置
5 照明装置(照明)
6 制御部(体動量算出手段、起き上がり判定手段、点灯手段、消灯手段、点灯出力増加手段、点灯維持手段、目覚まし停止手段、目覚まし切替え手段、目覚まし解除手段、目覚まし再開手段)
6a タイマ
P 就寝者
D1 第1の検知空間(第1の体動検知センサによる検知対象空間)
D2 第2の検知空間(第2の体動検知センサによる検知対象空間)
S1 第1の体動検知センサ
S2 第2の体動検知センサ
S1p、S2p 体動検知信号
Sv 空間(寝具平面、該寝具平面に平行であって寝具上に横たわる就寝者の体の最も高い部位を通る平面、及び寝具の外周を通り前記寝具平面と垂直な4つの垂直面により囲まれて形成された空間)
T 設定時間(所定時間)
v1 平面(寝具上に横たわる就寝者の体の最も高い部位を通る平面)
v2、v3、v4、v5 垂直面(寝具の外周を通り寝具平面と垂直な面)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
就寝者が寝具に横たわったときに就寝者の体が占有する寝具上の空間を検知対象とする第1の体動検知センサと、前記第1の体動検知センサが検知対象とする空間よりも上方の空間を検知対象とする第2の体動検知センサと、を備え、前記第1の体動検知センサ及び前記第2の体動検知センサの検知結果に基づいて就寝者の入床・離床等の動態を評価する就寝者の動態評価システムにおいて、
前記第2の体動検知センサが就寝者の体動を検知したときに計時を開始するタイマと、
前記タイマが計時を開始してから所定の時間内に前記第2の体動検知センサが検知する体動の積算量を算出する体動量算出手段と、
前記体動量算出手段が算出した体動積算量と予め設定された基準値とを比較した結果に基づいて、前記体動積算量が前記基準値を越えた場合に就寝者が起き上がったと判定し、前記体動積算量が前記基準値を越えなかった場合に就寝者が起き上がっていないと判定する起き上がり判定手段と、を備えることを特徴とする就寝者の動態評価システム。
【請求項2】
前記第2の体動検知センサが就寝者の体動を検知したときに照明を点灯させる点灯手段と、
前記起き上がり判定手段が、就寝者が起き上がっていないと判定した場合に前記照明を消灯する消灯手段と、
前記起き上がり判定手段が、就寝者が起き上がったと判定した場合に前記照明の出力を増加させる点灯出力増加手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の就寝者の動態評価システム。
【請求項3】
前記点灯手段が前記照明を点灯した後に、前記第1の体動検知センサ及び前記第2の体動検知センサの検知結果に基づいて就寝者の再入床を検知するまで前記照明の点灯を維持する点灯維持手段を、さらに備えることを特徴とする請求項2に記載の就寝者の動態評価システム。
【請求項4】
前記第2の体動検知センサが就寝者の体動を検知したときに目覚まし装置の目覚まし動作を停止させる目覚まし停止手段と、
前記起き上がり判定手段が、就寝者が起き上がっていないと判定した場合に前記目覚まし装置の目覚まし動作をスヌーズ動作に切替える目覚まし切替え手段と、
前記起き上がり判定手段が、就寝者が起き上がったと判定した場合に前記目覚まし装置の目覚まし動作を解除させる目覚まし解除手段と、をさらに備えることを特徴とする請求項1に記載の就寝者の動態評価システム。
【請求項5】
前記目覚まし解除手段が前記目覚まし装置の目覚まし動作を解除した後に、前記第1の体動検知センサが就寝者の体動を検知した場合に、前記目覚まし装置に目覚まし動作を再開させる目覚まし再開手段を、さらに備えることを特徴とする請求項4に記載の就寝者の動態評価システム。
【請求項6】
前記第2の体動検知センサが検知対象とする空間は、寝具平面、該寝具平面に平行であって寝具上に横たわる就寝者の体の最も高い部位を通る平面、及び寝具の外周を通り前記寝具平面と垂直な4つの垂直面により囲まれて形成された空間に交わらないことを特徴とする請求項1乃至請求項5のいずれか一項に記載の就寝者の動態評価システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2009−232925(P2009−232925A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−79676(P2008−79676)
【出願日】平成20年3月26日(2008.3.26)
【出願人】(000005832)パナソニック電工株式会社 (17,916)
【Fターム(参考)】