説明

就眠用加温具

【課題】 枕に装着自在にすることにより、枕の種類に限定されること無く、どのような枕であっても肩を加温できるようにした就眠用加温具を提供する。
【解決手段】 就眠用加温具10は、タオル地からなる基礎布材11が設けられており、基礎布材11は枕を巻回できるように略矩形状に形成されている。基礎布材11の長手方向の端部から少し離れた部位において、短手方向に長い長方形状の発熱体12が設けられている。発熱体12は、石綿が充填されるとともに、ヒータ線が内臓されている。ヒータ線は電源コード13に接続されており、この電源コード13は温度制御部14を介してプラグ15に接続されている。就眠用加温具10を使用するには、就眠用加温具10の基礎布材11を枕20に巻回する。さらに、この就眠用加温具10が巻回された枕20に枕カバー30を被せる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、枕に装着して使用し、肩を暖めることができる就眠用加温具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、快眠の条件としては、寝室内の音、光、温度・湿度等が適切なものであることが必要である。例えば、温度・湿度に関しては、温度は18〜22℃が好ましく、湿度は50%程度が好ましいとされており、冬季や夏季においては、外気温との温度差を8℃前後に設定することが好ましいとされている。
【0003】
また、快眠の条件として、就眠中における人体と寝具との間の空間の温度・湿度(以下、「寝床内気候」と言う)は極めて重要で、一般に、温度は31〜34℃、湿度は40〜60%の範囲が快適な条件とされている。そして、このような寝床内気候を満たすために、冬季においては、保温性の高い寝具や、電気毛布等を用いたりしている。
【0004】
しかしながら、保温性の高い寝具や電気毛布等を用いても、胴体、手足等の各部位に関しては快適な寝床内気候条件を維持することができるが、肩に関しては、寝返りにより寝具の端部から露出している場合が多く、直接室内の温度環境に晒されて冷やされることとなり、快適な温度を維持することが困難であった。
【0005】
そこで、従来、睡眠中における肩等を暖めるための器具が提案されており、例えば、気密性シート状物よりなる内部に流動性熱媒体を有する袋状体と、温度調節器を内蔵する熱媒体循環装置とを、熱媒体の誘導管で循環状に連結した枕が提案されている(特許文献1参照)。
【0006】
また、就眠時に使用者の頭をささえる枕体に、就眠時に使用者の肩を覆うパッドを設け、該パッドに発熱体を設けた就寝用電気暖房具が提案されている(特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】実開平6−52645号公報
【特許文献2】実開昭63−25058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、前記特許文献1記載の枕は、枕自体が発熱するものであるので、多品種の枕を製造することが困難で、使用者の要求を満足させることができなかった。すなわち、枕の選択は使用者の好みにより極めて多彩であり、例えば、高さ、幅、堅さ、使用材料等の好みにより最も好ましい枕が選択されるのである。したがって、使用者の好みを満足させるためには、極めて多品種の枕を製造しなければならず、事実上困難であった。また、好みの変化、使用による劣化等により新たな枕を使用する際は、新たに発熱機構を設けた枕を購入しなければならず経済的で無いものであった。
【0009】
前記特許文献2記載の就寝用電気暖房具は、発熱体を設けたパッドを肩の上から覆うものであるので、寝返り等によりパッドが肩から外れ、十分に加温することが出来ない場合が多いものであった。
【0010】
本発明は、以上の問題点を解決し、枕に装着自在にすることにより、枕の種類に限定されること無く、どのような枕であっても肩を加温できるようにし、また、寝返り等により就眠者の体位が変化しても、枕に頭部がのっている限り、肩を加温できるようにした就眠用加温具を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
請求項1記載の就眠用加温具は、柔軟性を有し枕の表面形状に沿って装着可能な基礎布材と、該基礎布材に設けられた柔軟性を有する発熱体とを具備することを特徴として構成されている。
【0012】
請求項2記載の就眠用加温具は、請求項1記載の就眠用加温具において、前記基礎布材が、枕を巻回可能な矩形状に形成されていることを特徴として構成されている。
【0013】
請求項3記載の就眠用加温具は、請求項1記載の就眠用加温具において、前記基礎布材が複数枚からなることを特徴として構成されている。
【発明の効果】
【0014】
請求項1記載の就眠用加温具においては、基礎布材を枕に装着し、その結果、発熱体を枕の所定部位に位置させるようにするものである。したがって、枕の形状、大きさ等に関係なくあらゆる種類の枕に使用することができ、現在使用している枕にそのまま使用することもできる。したがって、好みの枕を使用し、さらに肩を温めることができるので、快適に就眠することができる。また、基礎布材の装着状態を調整することにより、発熱体の枕に当接する部位を調整することができるので、肩が当接する枕の部位に発熱体を位置させることができる。したがって、後頭部を加温することなく、肩のみを良好に加温することができる。
【0015】
請求項2記載の就眠用加温具においては、基礎布材が枕を巻回可能な矩形状に形成しているので、枕への装着が簡単で、かつ、枕から外れ難いものである。
【0016】
請求項3記載の就眠用加温具においては、基礎布材が複数枚からなるので、基礎布材を枕の任意の部位に装着することができ、加温したい部位を任意に変更することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明による就眠用加温具は、枕に装着可能な基礎布材が設けられている。基礎布材を枕に装着するには、基礎布材自体に固定部材を設けて枕に装着できるようにしても、枕カバーを介して枕に装着できるようにしてもよい。例えば、固定部材を設ける場合は、基礎布材の両端にマジックファスナー(登録商標)を設けたり、結節用の紐を設けたりでき、また、枕カバーを介する場合は、単に枕を巻回できる形状(例えば、矩形状)であれば、その状態で枕カバーを被せることにより基礎布材を枕に固定することができる。なお、基礎布材自体で枕に装着できる場合は、枕カバーを被せなくても装着できるが、枕カバーを使用することが好ましい。
【0018】
基礎布材は、1枚のみならず複数枚設けることが出来る。複数枚設けることにより、枕において任意の配置とすることができ、所望の個所を加温することができる。
【0019】
発熱体は、基礎布材を介して枕の所定部位に配置され、肩を加温するもので、その形状は特に限定されず、矩形状であっても、後頭部に発熱体が当接しないように「凹」字状に形成してもよい。また、複数の発熱体を基礎布材に分散して設けることもできる。また、発熱体の発熱形態としては、特に限定されるものでなく、ヒータ線を用いたり、蓄熱媒体を用いたりすることができる。
【0020】
本発明による就眠用加温具の一実施形態を図面を参照して説明する。
【0021】
図1は就眠用加温具の平面図、図2は就眠用加温具を枕に装着した状態の斜視図、図3は就眠用加温具を枕に装着した状態の断面図、図4は就眠用加温具の使用状態を示す模式図である。
【0022】
図1において、就眠用加温具10は、タオル地からなる基礎布材11が設けられており、この基礎布材11は枕を巻回できるように略矩形状に形成されており、そのサイズは大型の枕であっても巻回できる程度の大きさ(60×110cm)になっている。また、基礎布材11の長手方向の端部から少し離れた部位において、短手方向に長い長方形状の発熱体12が設けられている。
【0023】
この発熱体12は、ヒータ線(図示せず)が内臓されており、ヒータ線に通電することにより発熱するようになっている。このヒータ線は電源コード13に接続されており、この電源コード13は温度制御部14を介してプラグ15に接続されている。
【0024】
以上のような就眠用加温具10を使用するには、図2及び図3に示すように、就眠用加温具10の基礎布材11を枕20に巻回する。この時、発熱体12が枕20の手前側部分(就眠時に肩が当接する部分)に位置するように調整する。また、基礎布材11の長手方向の一方の端部11aが他方の端部11bに重なっており、枕20を完全に巻回している。さらに、この就眠用加温具10が巻回された枕20に枕カバー30を被せる。
【0025】
そして、この状態で発熱体12が内側になるように敷布団に配置し、図4に示すように、通常通り頭部を枕20に乗せて就眠する。すると、肩が発熱体12に対応する部位となるので、発熱体12からの熱により常に加温されることとなり、寝室内の温度が低い場合であっても、快適な温度に保持され快眠することができる。また、この時、発熱体12の温度を温度制御部14により調節することにより、任意の快適な温度にすることができる。
【0026】
図5は本発明による就眠用加温具の他の実施形態の平面図である。この図に示す就眠用加温具40は、略矩形状の基礎布材41が設けられ、この基礎布材41に略「凹」字状の発熱体42が設けられている。この発熱体42は、その端部において略「U」字状の凹部42aが形成されており、この凹部aに頭部が位置するように配置される。したがって、頭部を加温することなく、両肩の先端部分まで加温することができる。なお、43は電源コード、44は温度制御部、45はプラグである。
【0027】
図6は本発明による就眠用加温具の他の実施形態の平面図である。この図に示す就眠用加温具50は、3枚の基礎布材51…51が設けられ、この夫々の基礎布材51に発熱体52…52が設けられている。このような就眠用加温具50においては、基礎布材51を枕の任意の位置に配置することにより、枕に当接する人体の任意の部位を加温することができる。なお、53は電源コード、54は温度制御部、55はプラグである。
【図面の簡単な説明】
【0028】
【図1】本発明による就眠用加温具の一実施形態の平面図
【図2】本発明による就眠用加温具の一実施形態を枕に装着した状態の斜視図
【図3】本発明による就眠用加温具の一実施形態を枕に装着した状態の断面図
【図4】本発明による就眠用加温具の一実施形態を枕の使用状態を示す模式図
【図5】本発明による就眠用加温具の他の実施形態の平面図
【図6】本発明による就眠用加温具の他の実施形態の平面図
【符号の説明】
【0029】
10、40、50…就眠用加温具
11、41、51…基礎布材
12、42、52…発熱体
13、43、53…電源コード
14、44、54…温度制御部
15、45、55…プラグ
20…枕
30…枕カバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
柔軟性を有し枕の表面形状に沿って装着可能な基礎布材と、該基礎布材に設けられた柔軟性を有する発熱体とを具備することを特徴とする就眠用加温具
【請求項2】
前記基礎布材が、枕を巻回可能な矩形状に形成されていることを特徴とする請求項1記載の就眠用加温具。
【請求項3】
前記基礎布材が複数枚からなることを特徴とする請求項1記載の就眠用加温具。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−122102(P2006−122102A)
【公開日】平成18年5月18日(2006.5.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−310864(P2004−310864)
【出願日】平成16年10月26日(2004.10.26)
【出願人】(504398719)
【Fターム(参考)】