説明

尿吸収物品

【課題】尿吸収物品の尿の吸収効率を向上させる技術を提供する。
【解決手段】尿吸収物品100は、男性器Pに装着され、男性器Pから排泄される尿を吸収する。尿吸収物品100は、前記男性器が挿入される開口部10Pが形成された袋体10で構成されている。袋体10内部の内周は、開口部10Pの内周よりも大きくなっており、袋体10内部には、吸収体13が配置されていない非配置領域5Rが、前記袋体の底部10Bに向けて延在している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、男性器に装着されて男性器から排泄される尿を吸収する尿吸収物品に関する。
【背景技術】
【0002】
おむつや下着の内側において男性器に直接装着されて、男性器から排泄される尿を吸収する採尿パッドが知られている。このような排尿パッドの一例として、開口部が形成された袋体のものであって、開口部から袋体の内部に男性器を挿入するものが提案されている(例えば、特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−159724号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、従来の採尿パッドでは、袋体内部のほぼ全面に渡って吸収体が配置されている。そのため、尿が排泄される際に、排泄位置の吸収体が膨潤した結果、袋体の開口が部分的に塞がれてしまい、吸収しきれなかった尿が開口部から溢れ出る虞がある。そこで、尿が溢れ出ないように、採尿パッドによる尿の吸収効率を向上させる技術が求められている。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、尿吸収物品の尿の吸収効率を向上させる技術を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するため、第1の態様に係る尿吸収物品は、男性器に装着され、前記男性器から排泄される尿を吸収する尿吸収物品であって、一方の側面を構成するトップシートと、他方の側面を構成する液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に介在する吸収体とを有し、前記男性器が挿入される開口部が設けられた袋体を備え、前記袋体の内周は、前記開口部の内周よりも大きくなっており、前記袋体内部には、前記吸収体が配置されていない非配置領域が、前記袋体の底部に向けて延在する。
【0007】
第2の態様に係る尿吸収物品は、第1の態様に係る尿吸収物品において、前記袋体は、少なくとも一方の側部において、前記開口部に対して、幅方向に広がる拡幅部を有しており、前記拡幅部に、前記非配置領域が形成される。
【0008】
第3の態様に係る尿吸収物品は、第2の態様に係る尿吸収物品において、前記拡幅部は、前記袋体の前記一方の側部にのみ設けられている。
【0009】
第4の態様に係る尿吸収物品は、第1から第3の態様までのいずれか1態様に係る尿吸収物品において、前記非配置領域が前記袋体の底部にまで延びている。
【0010】
第5の態様に係る尿吸収物品は、第1から第4の態様までのいずれか1態様に係る尿吸収物品において、前記袋体の内周が、前記開口部から前記袋体の内部に向かうにつれて、次第に大きくなる。
【0011】
第6の態様に係る尿吸収物品は、第1から第5の態様までのいずれか1態様に係る尿吸収物品において、前記吸収体の幅方向の長さが、前記開口部の幅方向の長さを超えない。
【0012】
第7の態様に係る尿吸収物品は、第1から第6の態様までのいずれか1態様に係る尿吸収物品において、前記吸収体は、高分子吸収性樹脂からなる。
【0013】
第8の態様に係る尿吸収物品は、第1から第7の態様までのいずれか1態様に係る尿吸収物品において、前記開口部の近傍に設けられ、幅方向において収縮可能な伸縮部、をさらに備える。
【0014】
第9の態様に係る尿吸収物品は、第1から第8の態様までのいずれか1態様に係る尿吸収物品において、前記開口部の近傍に設けられ、前記開口部の開口サイズを固定する固定部、をさらに備える。
【0015】
第10の態様に係る尿吸収物品は、男性器に装着され、前記男性器から排泄される尿を吸収する尿吸収物品であって、一方の側面を構成するトップシートと、他方の側面を構成する液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に介在する吸収体とを有し、前記男性器が挿入される開口部が設けられた袋体を備え、前記吸収体は、前記袋体内部において、前記袋体に前記男性器を挿入する挿入方向に直交する方向に偏在している。
【発明の効果】
【0016】
第1の態様に係る尿吸収物品によれば、袋体内部の内周を開口部の内周よりも大きくすることで、開口部が拡大することを抑えつつ、袋体内部の体積を増やすことができる。これにより、袋体の内部において、充分な量の吸収体を配置できるとともに、吸収体を配置しない非配置領域をも確保できる。したがって、排泄された尿が非配置領域を通って袋体の底部へ向けて流れ易くなるため、尿吸収物品の尿の吸収効率が向上する。
【0017】
また、第2の態様に係る尿吸収物品によれば、排泄された尿が拡幅部の非配置領域を通って、底部へ向けて流れ易くなる。
【0018】
また、第3の態様に係る尿吸収物品によれば、一方側にのみ拡幅部を設けることで、採尿パッドの着用すべき向きを袋体の形状から容易に特定できる。したがって、採尿パッドを好ましい形で着用することが容易になる。
【0019】
また、第4の態様に係る尿吸収物品によれば、非配置領域が底部まで延びているため、排泄された尿が底部へ到達し易くなり、尿が開口部から溢れることを効果的に抑制できる。
【0020】
また、第5の態様に係る尿吸収物品によれば、開口部付近から幅が次第に広がるため、非配置領域を確保し易くなり、排泄された尿が底部に向けて流れ易くなる。
【0021】
また、第6の態様に係る尿吸収物品によれば、袋体内部のうち、少なくとも開口部よりも広くなっている部分を非配置領域として確保できる。
【0022】
また、第7の態様に係る尿吸収物品によれば、吸収体が高分子吸収性樹脂からなるため、膨潤した際に、大幅に膨張することを抑制できる。袋体の内部空間が過剰に狭くなることを抑制できるため、開口部から尿が溢れることを抑制できる。
【0023】
また、第8の態様に係る尿吸収物品によれば、伸縮部を設けることによって、男性器が袋体に収納された際に、袋体が着用者から外れ難くなる。
【0024】
また、第9の態様に係る尿吸収物品によれば、男性器が袋体に収納された状態で開口部を所定サイズに固定することによって、袋体が着用者から外れることを抑制できる。
【0025】
また、第10の態様に係る尿吸収物品によれば、吸収体を幅方向に偏在させることで、袋体の内部において、吸収体が配置されていない幅広な非配置領域を形成できる。この非配置領域を通って、排泄された尿が底部へ流れ易くなるため、採尿パッドの尿吸収効率が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】第1実施形態に係る採尿パッドの全体図である。
【図2】図1に示す採尿パッドのA−A線断面図である。
【図3】採尿パッドの展開図である。
【図4】採尿パッドを男性器に装着するときの様子を示す図である。
【図5】第2実施形態に係る採尿パッドの全体図である。
【図6】第3実施形態に係る採尿パッドの全体図である。
【図7】採尿パッドの展開図である。
【図8】変形例に係る採尿パッドの全体図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、実施の形態について、添付した図面を参照しつつ説明する。
【0028】
<1. 第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る採尿パッド100の全体図である。また、図2は、図1に示す採尿パッド100のA−A線断面図である。また、図3は、採尿パッド100の展開図である。なお、以下の説明では、採尿パッド100を着用する者を着用者と称し、採尿パッド100を着用者に着用させるよう介護する者を介護者と称する。
【0029】
採尿パッド100は、男性器(ペニス)Pに直接装着されて、男性器Pから排泄される尿を吸収する尿吸収物品である。着用者は、この採尿パッド100を装着し、その上におむつや下着を着用する。少量の尿であれば、おむつや下着を交換せずに採尿パッド100のみを交換すれば済むため、おむつや下着の使用量を減らすことができる。これにより、着用者の経済的負担や介護者の介護負担等が軽減されるとともに、環境保護にも資する。
【0030】
採尿パッド100は、男性器を収容可能な袋体10を有している。袋体10の上部には、男性器を袋体10内部に挿入するための開口部10Pが形成されている。採尿パッド100に男性器を挿入する方向(挿入方向)は、採尿パッド100の長手方向となっており、この挿入方向に直交する方向(直交方向)は、採尿パッド100の幅方向となっている。
【0031】
図2に示すように、袋体10は、その内側面を構成する液透過性のトップシート11と、外側面を構成する液不透過性のバックシート12と、トップシート11とバックシート12との間に介在する吸収体13とを有している。袋体10の内部で排泄された尿は、トップシート11を通過するが、バックシート12を通過することなく吸収体13に吸収されることとなる。
【0032】
トップシート11は、例えば、親水性繊維(セルロース、レーヨン、コットン等)を用いた不織布により構成される。なお、トップシート11は、疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)の表面を界面活性剤により処理して液透過性とした不織布により構成されていてもよい。
【0033】
バックシート12は、例えば、疎水性繊維(ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリエステル、ポリアミド、ナイロン等)を用いた撥水性の不織布により構成される。なお、バックシート12は、プラスチックフィルムにより構成されていてもよく、また、プラスチックフィルムとその外側に貼着された柔軟性の高い不織布とにより構成されていてもよい。
【0034】
吸収体13は、例えば顆粒状の高分子吸収体により構成される。図2に示すように、本実施形態では、バックシート12の内側面に、接着剤(図示省略)を介して高分子吸収体が固定され、その内側に、高分子吸収体を被覆する液透過性の補助シート14が設けられている。これにより、バックシート12と補助シート14との間に、高分子吸収体がシート状に分布した状態となっている。
【0035】
なお、吸収体13は、トップシート11とバックシート12との間において、補助シート14を介することなく保持されていてもよい。また、吸収体13は、粉砕したパルプ繊維やセルロース繊維等の親水性繊維の集合層に、顆粒状の高分子吸収体を混合した塊を、ティッシュペーパー等の紙シートまたは透液性の不織布シートで被覆したものでもよい。ただし、吸収体13の嵩張りを抑制するために、吸収体13をパルプ非存在の高分子吸収体により構成することが好ましい。さらには、吸収体13を高分子吸収体のみで構成することが好ましい。
【0036】
図2に示すように、バックシート12の端部は、袋体10の開口部10Pの近傍において、内側へ折り畳まれている。そして、バックシート12の折り畳まれた部分の内側に、複数本の弾性部材151で構成される伸縮部15が設けられている。複数本の弾性部材151は、それぞれの自然長よりも伸長された状態で接着剤等によりバックシート12に付着される。
【0037】
弾性部材151には自然長に戻ろうとする弾性力が作用するため、伸縮部15は開口部10Pを幅方向に収縮させるように付勢する。一方で、採尿パッド100の着用者(または介護者)は、弾性部材151の弾性力に抗して、開口部10Pを広げることもできる。弾性部材151としては、例えば、ポリウレタン糸を使用できるが、ポリウレタンフィルムや天然ゴム等を使用してもよい。
【0038】
図2に示すように、袋体10の開口部10Pには、開口部シート16が設けられている。開口部シート16は、トップシート11の内側面からバックシート12の外側面に架け渡されており、接着剤で各シートに付着している。開口部シート16は、例えば比較的柔軟な繊維を用いた、不織布により構成されている。袋体10を着用した着用者の肌には、比較的肌触りの柔らかな開口部シート16が接触するため、袋体10の装着による肌への刺激を低減できる。
【0039】
また、図1に示すように、袋体10の一方の側部には、開口部10Pの縁から底部10B側へ向けて切り込まれたスリット17が設けられている。このスリット17には、男性器のサイズに応じて開口部10Pの開口サイズを固定するための固定部2が設けられている。
【0040】
固定部2は、袋体10のスリット17にその基端部が付着される基材シート21と、基材シート21の中央よりも他端部側の部分に設けられた雄部材22とを有する。雄部材22は、例えば面ファスナーのフック材で構成されており、開口部シート16の表面の任意の位置に対して着脱可能となっている。なお、バックシート12を不織布とした場合には、雄部材22は、バックシート12の任意の位置に対しても着脱可能となる。
【0041】
また、開口部10Pの近傍のバックシート12の外側面に雌部材(例えば、面ファスナーのループ材)を設け、当該雌部材に対して雄部材22を付着させるようにしてもよい。また、雄部材22を粘着テープとしてもよい。
【0042】
図3は、採尿パッド100の展開図である。採尿パッド100は、トップシート11と、略矩形の補助シート14と、補助シート14と同程度の大きさで略矩形状の吸収体13と、トップシート11と略同形状のバックシート12とを、この順に積層した積層体3で構成されている。積層体3は、矩形部分と、該矩形部分の一方の側辺にその下底が重なるように隣接配置される台形部分とで構成されており、上半分と下半分とが略同一の形状を有している。
【0043】
採尿パッド100を製造する場合、まず、トップシート11が内側となるように積層体3が折り曲げられる。具体的には、図3に示す積層体3の長手方向の中央付近において幅方向に延びる谷折り線31を境にして、積層体3が谷状に折り曲げられる。そして、折り曲げられた積層体3の端部に沿う部分(シール接合領域4、斜線のハッチングで示す。)が熱シール機で接合されることで、袋体10が構成される。すなわち、積層体3の上端(および下端)において、両側のシール接合領域4に挟まれる部分が、袋体10の開口部10Pを形成し、積層体3の谷折り線31上の部分が袋体10の底部10Bを形成することとなる。
【0044】
図1に示すように、袋体10内部の一方側には、開口部10Pに対して幅方向外側に広がる拡幅部18が形成されている。そして袋体10の内周は、開口部10P縁部から袋体10内部へ向かうにつれて次第に大きくなっている。このように袋体10を構成することで、袋体10による尿の収容体積が大きくなるとともに、開口部10Pの内周を大きくせずに済むため、袋体10が男性器Pから外れ易くなることを抑制できる。
【0045】
また、図3に示すように、吸収体13の幅方向の長さd1は、開口部10Pの幅方向の長さ(=積層体3の上端(または下端)における、両側のシール接合領域4間の距離)d2と同一か、またはそれ以下となっている(すなわち、d1≦d2)。したがって、袋体10内部には、吸収体13が配置されていない非配置領域5Rが、底部10Bに到達するように延在することとなる(図1参照)。
【0046】
また、図1に示すように、吸収体13は開口部10Pの下方に配置されている。換言すれば、吸収体13は、袋体10の幅方向において、拡幅部18とは反対側のシール接合領域4側に偏在している。そのため、吸収体13の拡幅部18側に幅広な非配置領域5Rが形成されることとなる。この非配置領域5Rでは、吸収体13による尿の吸収が行われない。すなわち、非配置領域5Rによって、排泄された尿の流路が形成される。
【0047】
図4は、採尿パッド100を男性器Pに装着する様子を示す図である。採尿パッド100を男性器に装着する場合には、まず着用者(または介護者)により、袋体10の開口部10Pが指等で広げられる。そして、開口部10Pが広げられた状態で、袋体10が着用者の男性器に覆い被せられる。この状態で着用者(または介護者)が開口部10Pから指を離すことで、男性器が袋体10の伸縮部15に両側から挟まれる。
【0048】
さらに着用者(または介護者)は、固定部2の雄部材22を、開口部シート16の適当な位置に付着することで、男性器Pのサイズに合うように開口部10Pの開口サイズを調節する。これにより、男性器Pに対して採尿パッド100がしっかりと固定される。
【0049】
なお、図4に示すように、採尿パッド100は、袋体10の拡幅部18側(すなわち、非配置領域5Rが設けられている側)が着用者に近接するように着用されることが好ましい。このように採尿パッド100が着用されることで、男性器Pの先端部(尿道口)が非配置領域5R上に配置され易くなるため、排泄された尿が、非配置領域5R上を通って底部10Bにまで到達し易くなる。したがって、吸収体13のより広い範囲で尿を吸収し易くなるため、採尿パッド100の尿の吸収効率が向上する。
【0050】
また、本実施形態では、袋体10の片側だけに拡幅部18を設けているため、着用者(または介護者)は、袋体10の形状から、袋体10の着用すべき向きを特定できる。したがって、採尿パッド100を上述のような好ましい形で着用することが容易になる。
【0051】
なお、吸収体13の幅方向の長さd1を、開口部10Pの幅方向の長さd2と同一かそれ以下としているが、吸収体13の幅方向の長さd1が開口部10Pの長さd2を超えていてもよい(すなわち、d1>d2)。ただし、排泄された尿が、底部10Bに到達できるようにするため、非配置領域5Rの幅方向の長さ(吸収体13の側端部とシール接合領域4との間の距離)が充分に確保されることが望ましい。
【0052】
以上のように、本実施形態の採尿パッド100によれば、袋体10内部の内周を開口部の内周よりも大きくすることで、開口部10Pが拡大することを抑えつつ、袋体10内部の体積を増やすことができる。これにより、袋体10の内部において、充分な量の吸収体13を配置できるとともに、吸収体13を配置しない非配置領域5Rをも確保できる。したがって、排泄された尿が非配置領域5Rを通って袋体10の底部へ向けて流れ易くなるため、採尿パッド100の尿の吸収効率が向上する。
【0053】
<2. 第2実施形態>
第1実施形態では、一方の側部に拡幅部18を設け、該拡幅部18に排泄された尿の流路となる非配置領域5Rを形成しているが、非配置領域5Rの設け方はこれに限られるものではない。
【0054】
図5は、第2実施形態に係る採尿パッド100aを示す全体図である。なお、本実施形態の説明において、第1実施形態と同様の機能を有する要素については、同一符号を付してその説明を省略する。以降の実施形態でも同様とする。
【0055】
採尿パッド100aを構成する袋体10aの両側には、開口部10P縁部から幅方向外側に広がる拡幅部18aが設けられている。そして、本実施形態の吸収体13は、採尿パッド100aのほぼ中央に配置されている。そして吸収体13の両側辺は、それぞれ両側のシール接合領域4から同程度隔てられており、吸収体13の両側に非配置領域5Rが形成されている。
【0056】
採尿パッド100aでは、袋体10aの両側に拡幅部18aを設けられており、これらの部分に非配置領域5Rが形成されている。そのため、どちらの拡幅部18aを着用者に近接するように採尿パッド100aを着用した場合であっても、排泄された尿がどちらかの非配置領域5Rを通って底部10Bに到達し易くなっている。したがって、吸収体13のより広い範囲で尿を吸収し易くなるため、採尿パッド100aの尿の吸収効率が向上する。
【0057】
<3. 第3実施形態>
図6は、第3実施形態に係る採尿パッド100bを示す全体図である。また、図7は、採尿パッド100bの展開図である。採尿パッド100bを構成する袋体10bは、図7に示す略矩形の積層体3bで構成されている。積層体3(図2)と同様に、長手方向の中央付近において幅方向に延びる谷折り線31bを境に折り曲げて、折り曲げた積層体3をその側端部に沿うシール接合領域4で接合することにより、袋体10bが形成される。
【0058】
本実施形態では、吸収体13と両側のシール接合領域4との間の距離(d3,d4)について、どちらか一方が大きくなるように、吸収体13が配置されている(ここでは、d3>d4)。したがって、上記距離が大きい方の側に、より幅広な非配置領域5Rが形成されることとなる。このように、吸収体13の配置位置を袋体10bの幅方向に偏在させることで、吸収体13の片側に、幅広な非配置領域5Rを形成できる。
【0059】
なお、着用者が採尿パッド100bを着用する場合、幅広な非配置領域5Rが着用者側に近接するように着用されることが好ましい。このように着用することで、男性器Pの先端が非配置領域5Rに配置され易くなり、これによって排泄された尿が底部10Bに向けて流れ易くなる。このように、吸収体13の配置位置を偏在させることで、拡幅部18を設けることなく尿の通路となる非配置領域5Rを形成できる。
【0060】
<4. 変形例>
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は上記の実施形態に限定されるものではない。
【0061】
例えば、図8に示すように、図6に示す略矩形の袋体10bについて、開口部10Pの幅方向の片側において、長手方向に対し傾斜するシール接合領域41で接合することで、開口部10Pを小さくしつつ、袋体10bの内径が開口部10Pから内部に向けて次第に大きくなる袋体を形成できる。
【0062】
また、袋体10の底部10B近傍においては、トップシート11とバックシート12との間に吸収体13が介在しないようにしてもよい。このようにすれば、袋体10の底部近傍部分の厚みを小さくすることができる。
【0063】
また、上記の実施形態では、1つの積層体3を折り曲げて、その側辺を接合することにより、袋体10が形成されていたが、例えば積層体3の上半分(または下半分)と同一形状の積層体を2枚重ね合わせて、両側と底側とを接合することで、袋体を形成してもよい。
【0064】
また、各実施形態および変形例で示した各要素は、矛盾が生じない限りにおいて互いに組み合わせたりすることができる。
【符号の説明】
【0065】
100,100a,100b 採尿パッド
10,10a,10b 袋体
10B 底部
10P 開口部
11 トップシート
12 バックシート
13 吸収体
15 伸縮部
16 開口部シート
18,18a 拡幅部
2 固定部
3,3b 積層体
5R 非配置領域
P 男性器

【特許請求の範囲】
【請求項1】
男性器に装着され、前記男性器から排泄される尿を吸収する尿吸収物品であって、
一方の側面を構成するトップシートと、他方の側面を構成する液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に介在する吸収体とを有し、前記男性器が挿入される開口部が設けられた袋体を備え、
前記袋体の内周は、前記開口部の内周よりも大きくなっており、
前記袋体内部には、前記吸収体が配置されていない非配置領域が、前記袋体の底部に向けて延在する尿吸収物品。
【請求項2】
請求項1に記載の尿吸収物品において、
前記袋体は、少なくとも一方の側部において、前記開口部に対して、幅方向に広がる拡幅部を有しており、
前記拡幅部に、前記非配置領域が形成される尿吸収物品。
【請求項3】
請求項2に記載の尿吸収物品において、
前記拡幅部は、前記袋体の前記一方の側部にのみ設けられている尿吸収物品。
【請求項4】
請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の尿吸収物品において、
前記非配置領域が前記袋体の底部にまで延びている尿吸収物品。
【請求項5】
請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の尿吸収物品において、
前記袋体の内周が、前記開口部から前記袋体の内部に向かうにつれて、次第に大きくなる尿吸収物品。
【請求項6】
請求項1から請求項5までのいずれか1項に記載の尿吸収物品において、
前記吸収体の幅方向の長さが、前記開口部の幅方向の長さを超えない尿吸収物品。
【請求項7】
請求項1から請求項6までのいずれか1項に記載の尿吸収物品において、
前記吸収体は、高分子吸収性樹脂からなる尿吸収物品。
【請求項8】
請求項1から請求項7までのいずれか1項に記載の尿吸収物品において、
前記開口部の近傍に設けられ、幅方向において収縮可能な伸縮部、
をさらに備える尿吸収物品。
【請求項9】
請求項1から請求項8までのいずれか1項に記載の尿吸収物品において、
前記開口部の近傍に設けられ、前記開口部の開口サイズを固定する固定部、
をさらに備える尿吸収物品。
【請求項10】
男性器に装着され、前記男性器から排泄される尿を吸収する尿吸収物品であって、
一方の側面を構成するトップシートと、他方の側面を構成する液不透過性のバックシートと、前記トップシートと前記バックシートとの間に介在する吸収体とを有し、前記男性器が挿入される開口部が設けられた袋体を備え、
前記吸収体は、前記袋体内部において、前記袋体に前記男性器を挿入する挿入方向に直交する方向に偏在している尿吸収物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2011−56101(P2011−56101A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−210184(P2009−210184)
【出願日】平成21年9月11日(2009.9.11)
【出願人】(000110044)株式会社リブドゥコーポレーション (390)
【Fターム(参考)】