説明

局部洗浄装置

【課題】小型化が図られ、洗浄水に芳香空気を確実に混入し、充分な洗浄感を得ることのできる局部洗浄装置を提供する。
【解決手段】局部洗浄装置は、洗浄水を噴出する噴出孔Hを先端に有する局部洗浄ノズル13、14と、局部洗浄ノズル13、14に洗浄水を供給する給水路10と、給水路を開閉する第1開閉弁V1とを備えている。また、局部洗浄装置は、芳香剤30を収納する収納室21を有し、吸気口22から収納室21に吸気された外気に芳香剤30の香りを付与して芳香空気とし、収納室内21の芳香空気を排気口23から排気可能な収納ケース20を備えている。さらに、局部洗浄装置は、排気口23に通気路24によって連通され、第1開閉弁V1より下流側かつ噴出孔Hより上流側の給水路10に設けられ、給水路10内を流れる洗浄水の水勢により負圧を発生させて芳香空気を引き込み、洗浄水に芳香空気を混入させる空気混入部40を備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は局部洗浄装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1に従来の局部洗浄装置が開示されている。この局部洗浄装置は、洗浄水を噴出する噴出孔を先端に有する局部洗浄ノズルと、局部洗浄ノズルに接続され、局部洗浄ノズルに洗浄水を供給する給水路と、給水路に設けられたポンプとを備えている。また、この局部洗浄装置は、芳香剤を収納する収納室を有する収納ケースと、流入口側が収納ケースに連通され、流出口側がポンプより下流側の給水路に設けられた空気混入部に連通されたダイアフラムポンプと、ダイアフラムポンプを駆動するモーターとを備えている。
【0003】
この局部洗浄装置は、ダイアフラムポンプがモーターにより駆動されると、収納室内で芳香剤の香りが付与された芳香空気が空気混入部に送られる。空気混入部に送られた芳香空気は、給水路に設けられたポンプが駆動されて空気混入部を流れる洗浄水に混入される。これにより、芳香空気を混入した洗浄水が局部洗浄ノズルから噴出されるとともに、トイレ室内に芳香空気の香りが拡散される。
【0004】
【特許文献1】特開平3−161624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、上記従来の局部洗浄装置では、芳香空気を空気混入部に送るためにモーター及びダイアフラムポンプを利用しているため、部品点数が増え、局部洗浄装置が大型化してしまう。また、モーターを制御してダイアフラムポンプにより空気混入部に送られる芳香空気の量を増減させなければ、空気混入部を流れる洗浄水の流量に対して空気混入部に送られる芳香空気の量が少なすぎて芳香空気の香りが広がらなかったり、空気混入部を流れる洗浄水の流量に対して空気混入部に送られる芳香空気の量が多すぎて局部洗浄ノズルの噴出孔から洗浄水が良好に噴出されず、洗浄感を損なったりするおそれがある。
【0006】
本発明は、上記従来の実情に鑑みてなされたものであって、小型化が図られ、洗浄水に芳香空気を確実に混入し、充分な洗浄感を得ることのできる局部洗浄装置を提供することを解決すべき課題としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の局部洗浄装置は、洗浄水を噴出する噴出孔を先端に有する局部洗浄ノズルと、該局部洗浄ノズルに接続され、該局部洗浄ノズルに該洗浄水を供給する給水路と、該給水路に設けられ、該給水路を開閉する第1開閉弁とを備えた局部洗浄装置において、
芳香剤を収納する収納室を有し、吸気口から該収納室に吸気された外気に該芳香剤の香りを付与して芳香空気とし、該収納室内の該芳香空気を排気口から排気可能な収納ケースと、
該排気口に通気路によって連通され、前記第1開閉弁より下流側かつ前記噴出孔より上流側の前記給水路又は前記局部洗浄ノズルに設けられ、該給水路内又は該局部洗浄ノズル内を流れる前記洗浄水の水勢により負圧を発生させて該芳香空気を引き込み、該洗浄水に該芳香空気を混入させる空気混入部とを備えたことを特徴とする。
【0008】
この局部洗浄装置では、給水路内又は局部洗浄ノズル内を流れる洗浄水の水勢により発生する負圧により空気混入部に芳香空気を引き込むことができるため、ダイアフラムポンプ等の部品を別途必要としない。また、給水路内又は局部洗浄ノズル内を流れる洗浄水の流量の多少により水勢が変化すると、それに応じて発生する負圧の強さも変化する。つまり、洗浄水の流量が増加すれば、空気混入部に引き込まれる芳香空気の量も自動的に増加し、洗浄水の流量が減少すれば、空気混入部に引き込まれる芳香空気の量も自動的に減少する。このため、洗浄水の流量に対して空気混入部に引き込まれる芳香空気の量が少なすぎたり、多すぎたりすることを防止することができる。
【0009】
したがって、本発明の局部洗浄装置は、小型化が図られ、洗浄水に芳香空気を確実に混入し、充分な洗浄感を得ることができる。
【0010】
吸気口には、外気が収納室内に流入することを許容し、芳香空気が収納室外へ流出することを防止する逆止弁が設けられ得る。
【0011】
この場合、芳香空気が洗浄水に混入されて局部洗浄ノズルの噴出孔から噴出される場合を除き、芳香空気は収納室外へ流出しない。このため、芳香剤の香り成分の消費が抑えられ、芳香剤を長期に使用することができる。
【0012】
空気混入部は、給水路内又は局部洗浄ノズル内に形成されたオリフィスと、オリフィスの下流側に設けられ、通気路が接続される芳香空気取入口とを有し得る。この場合、単純な構造で空気混入部に芳香空気を引き込むことができる。また、空気混入部を小型かつ容易に製造することができる。
【0013】
本発明の局部洗浄装置は、通気路に一端が接続され、他端が大気に開放された分岐路と、分岐路に設けられ、分岐路を開閉する第2開閉弁と、分岐路の一端が接続された位置よりも排気口側の通気路に設けられ、通気路を開閉する第3開閉弁とをさらに備え得る。
【0014】
この場合、第2開閉弁及び第3開閉弁を開閉制御することにより、局部洗浄ノズルの噴出孔から噴出される洗浄水への芳香空気の混入割合を変化させることができる。つまり、第2開閉弁及び第3開閉弁を共に開弁状態にすると、分岐路の他端から吸引される空気と収納ケースから吸引される芳香空気とが空気混入部に引き込まれる。このため、局部洗浄ノズルの噴出孔からは芳香空気の混入割合の少ない空気が混入された洗浄水が噴出されるため、洗浄水の香りは弱くなる。また、第2開閉弁を閉弁状態にし、第3開閉弁を開弁状態にすると、収納ケースから吸引される芳香空気のみが空気混入部に引き込まれる。このため、局部洗浄ノズルの噴出孔からは芳香空気の混入割合の多い空気が混入された洗浄水が噴出されるため、洗浄水の香りは強くなる。また、第2開閉弁を開弁状態にし、第3開閉弁を閉弁状態にすると、分岐路の他端から吸引される空気のみが空気混入部に引き込まれる。このため、局部洗浄ノズルの噴出孔からは香りを有さない空気が混入された洗浄水が噴出される。また、第2開閉弁及び第3開閉弁を共に閉弁状態にすると、空気混入部には空気が引き込まれない。このため、局部洗浄ノズルの噴出孔からは空気が混入されていない洗浄水が噴出される。
【0015】
第2開閉弁は、開度を調整可能なものであっても良い。この場合、分岐路の他端から吸引される空気の量が調整可能となるため、洗浄水に混入される芳香空気の混入割合を調整することができる。このため、局部洗浄ノズルの噴出孔から噴出される洗浄水の香りの強弱を調整することができる。
【0016】
また、本発明の局部洗浄装置は、通気路に三方弁がさらに備えられ、三方弁は、第1流入口が排気口に連通され、第2流入口が大気に開放され、流出口が空気混入部に連通されており、第1流入口、第2流入口及び流出口を開閉するものであり得る。
【0017】
この場合も、第1流入口、第2流入口及び流出口を三方弁により開閉制御することにより、局部洗浄ノズルの噴出孔から噴出する洗浄水への芳香空気の混入割合を変化させることができる。つまり、第1流入口、第2流入口及び流出口を共に開弁状態にすると、収納ケースから吸引される芳香空気と第2流入口から吸引される空気とが空気混入部に引き込まれる。このため、局部洗浄ノズルの噴出孔からは芳香空気の混入割合の少ない空気が混入された洗浄水が噴出されるため、洗浄水の香りは弱くなる。また、第2流入口のみを閉弁状態にすると、収納ケースから吸引される芳香空気のみが空気混入部に引き込まれる。このため、局部洗浄ノズルの噴出孔からは芳香空気の混入割合の多い空気が混入された洗浄水が噴出されるため、洗浄水の香りは強くなる。また、第1流入口のみを閉弁状態にすると、第2流入口から吸引される空気のみが空気混入部に引き込まれる。このため、局部洗浄ノズルの噴出孔からは香りを有さない空気が混入された洗浄水が噴出される。また、流出口のみを閉弁状態にすると、空気混入部には空気が引き込まれない。このため、局部洗浄ノズルの噴出孔からは空気が混入されていない洗浄水が噴出される。
【0018】
また、三方弁は、第1流入口、第2流入口及び流出口の開度を調整可能なものであっても良い。この場合、洗浄水に混入される芳香空気の混入割合を調整することができるため、局部洗浄ノズルの噴出孔から噴出される洗浄水の香りの強弱を調整することができる。
【0019】
収納ケースは、給水路に接続され、洗浄水を所定温度に保持する温水タンクの近傍、すなわち、タンクまわりの近く、特に上方に配置され得る。この場合、温水タンクからの放熱により、収納ケースが温められ、収納室に収納された芳香剤の香り成分が良好に気化され、吸気口から収納室に吸気された外気に芳香剤の香りを良好に付与することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の局部洗浄装置を具体化した実施例1〜3を図面を参照しつつ説明する。
【実施例1】
【0021】
図1に示すように、実施例1の局部洗浄装置は、便器本体1の上面後方に取り付けられたケース3の内部に組み込まれている。ケース3は、便座2及び図示しない便蓋を回動自在に支持している。
【0022】
局部洗浄装置は、図1及び図2に示すように、洗浄水を噴出する噴出孔Hを先端に有する肛門洗浄用ノズル13及びビデ洗浄用ノズル14の2本の局部洗浄ノズルを備えている。
【0023】
肛門洗浄用ノズル13は、ノズル本体13Aとノズル本体13Aを前方に突出可能に収納するシリンダー13Bとを有し、ビデ洗浄用ノズル14は、ノズル本体14Aとノズル本体14Aを前方に突出可能に収納するシリンダー14Bとを有している。肛門洗浄用ノズル13及びビデ洗浄用ノズル14は、局部洗浄を行う際に、各シリンダー13B、14Bからノズル本体13A、14Aが前方に突出し、噴出孔Hから洗浄水を噴出する。
【0024】
また、局部洗浄装置は、局部洗浄ノズル13、14に洗浄水を供給する給水路10と、給水路10の上流側に設けられ、給水路10を開閉する第1開閉弁V1とを備えている。
【0025】
給水路10には、第1開閉弁V1より下流側に温水タンク11が接続され、温水タンク11より下流側に水量調節切換弁12が接続されている。また、給水路10は、水量調節切換弁12により2経路に分岐され、それぞれが肛門洗浄用ノズル13及びビデ洗浄用ノズル14に接続されている。第1開閉弁V1の流入口は、給水ホース6の一端が接続されている。給水ホース6の他端は、トイレ本体1が据え付けられたトイレルームの壁面又は床面から引き出された水道管4に取り付けられた止水栓5に接続されている。このため、局部洗浄ノズル13、14に供給される洗浄水は、温水タンク11により暖められて所定温度に保持され、水量調節切換弁12により水量が調節され、肛門洗浄用ノズル13又はビデ洗浄用ノズル14のどちらか一方の噴出孔Hから噴出する。
【0026】
局部洗浄装置は、図2に示すように、芳香剤30を収納する収納室21を有する収納ケース20を備えている。芳香剤30は、吸水性を有する複数枚のシートにエッセンシャルオイル又は香水等の芳香液が含浸されたものである。収納ケース20は、外気を吸気可能な吸気口22と、吸気口22から収納室21に吸気された外気に芳香剤30の香りを付与した芳香空気を排気可能な排気口23とを有している。吸気口22には、外気が収納室21内に流入することを許容し、芳香空気が収納室21外へ流出することを防止する逆止弁25が設けられている。このため、後述するように、芳香空気が洗浄水に混入されて局部洗浄ノズル13、14の噴出孔Hから噴出される場合を除き、芳香空気は収納室21外へ流出しない。このため、芳香剤30の香り成分の消費が抑えられ、芳香剤30を長期に使用することができる。
【0027】
収納ケース20は、図1に示すように、温水タンク11の上方近傍に配置されている。このため、冬季等で外気温が低い場合でも、温水タンク11からの放熱により、収納ケース20が暖められ、収納室21に収納された芳香剤30の香り成分が良好に気化され、吸気口22から収納室21に吸気された外気に芳香剤30の香りを良好に付与することができる。
【0028】
また、図示しないが、ケース3は、収納ケース20の上方位置に開閉可能な蓋体を有する開口が設けられている。また、収納ケース20の上面にも開閉可能な蓋体が設けられている。このため、ケース3及び収納ケース20の各蓋体を開けて収納室21に収納された芳香剤30の交換若しくは芳香液の補充等をすることができる。
【0029】
局部洗浄装置は、図2に示すように、排気口23に通気路24によって連通され、温水タンク11より下流側かつ水量調節切換弁12より上流側の給水路10に設けられた空気混入部40を備えている。空気混入部40は、給水路10内に形成されたオリフィス41と、オリフィス41の下流側に設けられ、通気路24が接続される芳香空気取入口42とを有している。このため、給水路10内を洗浄水が流れると、その水勢によりオリフィス41の下流近傍に負圧が発生し、芳香空気取入口42から芳香空気を引き込み、洗浄水に芳香空気を混入させることができる。このように、収納ケース20から芳香空気を空気混入部40に送るためにダイアフラムポンプ等の部品を別途必要としない。また、空気混入部40を流れる洗浄水の流量の多少により水勢が変化すると、それに応じて発生する負圧の強さも変化する。つまり、洗浄水の流量が増加すれば、空気混入部40に引き込まれる芳香空気の量も自動的に増加し、洗浄水の流量が減少すれば、空気混入部40に引き込まれる芳香空気の量も自動的に減少する。このため、洗浄水の流量に対して空気混入部40に引き込まれる芳香空気の量が少なすぎたり、多すぎたりすることを防止することができる。また、単純な構造で空気混入部40に芳香空気を引き込むことができる。さらに、空気混入部40を小型かつ容易に製造することができる。
【0030】
したがって、実施例1の局部洗浄装置は、小型化が図られ、洗浄水に芳香空気を確実に混入し、充分な洗浄感を得ることができる。
【0031】
また、実施例1の局部洗浄装置は、通気路24に一端が接続され、他端26が大気に開放された分岐路26と、分岐路26に設けられ、分岐路26を開閉する第2開閉弁V2と、分岐路26が接続された位置よりも排気口23側の通気路24に設けられ、通気路24を開閉する第3開閉弁V3をさらに備えている。
【0032】
第2開閉弁V2及び第3開閉弁V3を開閉制御すると、局部洗浄ノズル13、14の噴出孔Hから噴出される洗浄水への芳香空気の混入割合を以下のように変化させることができる。
【0033】
第2開閉弁V2及び第3開閉弁V3を共に開弁状態にすると、分岐路26の他端から吸引される空気と収納ケース20から吸引される芳香空気とが空気混入部40に引き込まれる。このため、局部洗浄ノズル13、14の噴出孔Hからは芳香空気の混入割合の少ない空気が混入された洗浄水が噴出されるため、洗浄水の香りは弱くなる。また、第2開閉弁V2を閉弁状態にし、第3開閉弁V3を開弁状態にすると、収納ケース20から吸引される芳香空気のみが空気混入部40に引き込まれる。このため、局部洗浄ノズル13、14の噴出孔Hからは芳香空気の混入割合の多い空気が混入された洗浄水が噴出されるため、洗浄水の香りは強くなる。また、第2開閉弁V2を開弁状態にし、第3開閉弁V3を閉弁状態にすると、分岐路26の他端から吸引される空気のみが空気混入部40に引き込まれる。このため、局部洗浄ノズル13、14の噴出孔Hからは香りを有さない空気が混入された洗浄水が噴出される。また、第2開閉弁V2及び第3開閉弁V3を共に閉弁状態にすると、空気混入部40には空気が引き込まれない。このため、局部洗浄ノズル13、14の噴出孔Hからは空気が混入されていない洗浄水が噴出される。
【実施例2】
【0034】
実施例2の局部洗浄装置は、図3に示すように、空気混入部50が局部洗浄ノズル13、14のノズル本体13A、14Aに設けられ、この空気混入部50に通気路24が連通されている点を除き、実施例1と同じ構成を有する。実施例1と同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0035】
実施例2の局部洗浄装置では、ノズル本体13A、14Aに設けられた噴出孔Hの近傍に空気混入部50が設けられている。空気混入部50は、ノズル本体13A、14A内に形成されたオリフィス51と、オリフィス51の下流側に設けられ、通気路24が接続される芳香空気取入口52とを有している。
【0036】
図示しないが、通気路24は、分岐路26の一端が接続されている位置よりも下流側で2経路に分岐され、それぞれが肛門洗浄用ノズル13及びビデ洗浄用ノズル14のノズル本体13A、14Aに設けられた芳香空気取入口52に接続されている。また、通気路24は、可撓性を有する樹脂製のパイプにより形成されており、ノズル本体13A、14Aがシリンダー13B、14Bに対して進退移動する動きに追随可能とされている。
【0037】
局部洗浄を行なうため、ノズル本体13A、14Aがシリンダー13B、14Bから突出し、ノズル本体13A、14A内を洗浄水が流れると、その水勢によりオリフィス51の下流近傍に負圧が発生し、芳香空気取入口52から芳香空気を引き込み、洗浄水に芳香空気を混入させることができる。このように、収納ケース20から芳香空気を空気混入部50に送るためにダイアフラムポンプ等の部品を別途必要としない。また、空気混入部50を流れる洗浄水の流量の多少により水勢が変化すると、それに応じて発生する負圧の強さも変化する。つまり、洗浄水の流量が増加すれば、空気混入部50に引き込まれる芳香空気の量も自動的に増加し、洗浄水の流量が減少すれば、空気混入部50に引き込まれる芳香空気の量も自動的に減少する。このため、洗浄水の流量に対して空気混入部50に引き込まれる芳香空気の量が少なすぎたり、多すぎたりすることを防止することができる。また、単純な構造で空気混入部50に芳香空気を引き込むことができる。さらに、空気混入部50を小型かつ容易に製造することができる。
【0038】
したがって、実施例2の局部洗浄装置も、小型化が図られ、洗浄水に芳香空気を確実に混入し、充分な洗浄感を得ることができる。
【0039】
また、実施例2の局部洗浄装置では、ノズル本体13A、14Aの噴出孔Hの近傍で芳香空気が洗浄水に混入されるため、噴出孔Hから芳香空気を洗浄水と共に確実に噴出させることができる。
【実施例3】
【0040】
実施例3の局部洗浄装置は、図4に示すように、通気路24に三方弁V4が備えられている点を除き、実施例1と同じ構成を有する。実施例1と同一の構成については同一の符号を付して詳細な説明は省略する。
【0041】
実施例3の局部洗浄装置は、通気路24に三方弁V4がさらに備えられている。三方弁V4は、第1流入口61が排気口23に連通され、第2流入口62が大気に開放され、流出口63が空気混入部40に連通されている。また、三方弁V4は、内部に回転自在に組み込まれた回転弁体60により、第1流入口61、第2流入口62及び流出口63を開閉可能としている。このため、三方弁V4の流入口61と流出口63とが連通した状態で、給水路10内を洗浄水が流れると、その水勢によりオリフィス41の下流近傍に負圧が発生し、空気混入部40は芳香空気取入口42から芳香空気を引き込み、洗浄水に芳香空気を混入させることができる。このように、収納ケース20から芳香空気を空気混入部40に送るためにダイアフラムポンプ等の部品を別途必要としない。また、空気混入部40を流れる洗浄水の流量の多少により水勢が変化すると、それに応じて発生する負圧の強さも変化する。つまり、洗浄水の流量が増加すれば、空気混入部40に引き込まれる芳香空気の量も自動的に増加し、洗浄水の流量が減少すれば、空気混入部40に引き込まれる芳香空気の量も自動的に減少する。このため、洗浄水の流量に対して空気混入部40に引き込まれる芳香空気の量が少なすぎたり、多すぎたりすることを防止することができる。また、単純な構造で空気混入部40に芳香空気を引き込むことができる。さらに、空気混入部40を小型かつ容易に製造することができる。
【0042】
したがって、実施例3の局部洗浄装置も、小型化が図られ、洗浄水に芳香空気を確実に混入し、充分な洗浄感を得ることができる。
【0043】
また、三方弁V4の第1流入口61、第2流入口62及び流出口63を開閉制御すると、局部洗浄ノズル13、14の噴出孔Hから噴出される洗浄水への芳香空気の混入割合を以下のように変化させることができる。
【0044】
第1流入口61、第2流入口62及び流出口63を共に開弁状態にすると、収納ケース20から吸引される芳香空気と第2流入口62から吸引される空気とが空気混入部40に引き込まれる。このため、局部洗浄ノズル13、14の噴出孔Hからは芳香空気の混入割合の少ない空気が混入された洗浄水が噴出されるため、洗浄水の香りは弱くなる。また、第2流入口62のみを回転弁体60により閉弁状態にすると、収納ケース20から吸引される芳香空気のみが空気混入部40に引き込まれる。このため、局部洗浄ノズル13、14の噴出孔Hからは芳香空気の混入割合の多い空気が混入された洗浄水が噴出されるため、洗浄水の香りは強くなる。また、第1流入口61のみを回転弁体60により閉弁状態にすると、第2流入口62から吸引される空気のみが空気混入部に引き込まれる。このため、局部洗浄ノズル13、14の噴出孔Hからは香りを有さない空気が混入された洗浄水が噴出される。また、流出口63のみを回転弁体60により閉弁状態にすると、空気混入部40には空気が引き込まれない。このため、局部洗浄ノズル13、14の噴出孔Hからは空気が混入されていない洗浄水が噴出される。
【0045】
以上において、本発明を実施例1〜3に即して説明したが、本発明は上記実施例に制限されるものではなく、その趣旨に逸脱しない範囲で適宜変更して適用できることはいうまでもない。
【0046】
例えば、収納ケース20を通気路24から着脱自在にし、収納ケース20をケース3に設けられた開口から取り出し可能としても良い。この場合、芳香剤30の交換を容易に行なうことができる。また、芳香剤30を固体若しくはジェル状のものにしても良い。
【0047】
また、図示しないが、空気混入部40、50の下流側の給水路10を分岐し、分岐した給水路10をノズル本体13A、14Aがシリンダー13B、14B内に収納されている状態で、ノズル本体13A、14Aの外周面とシリンダー13B、14Bの内周面との間に洗浄水が供給されるように接続しても良い。このようにすると、ノズル本体13A、14Aの外周面を芳香空気を含んだ洗浄水で洗浄することができるため、ノズル本体13A、14Aの洗浄時にも芳香空気の香りを放出することができる。また、この局部洗浄装置が組み込まれた洋風水洗便器を使用する使用者を自動検知システムで検知し、ノズル本体13A、14Aの外周面を自動的に洗浄するように制御しても良い。このようにすると、用便前に芳香空気の香りを放出することができる。
【0048】
また、本発明は、温水タンク11を有する貯湯式の局部洗浄装置のみならず、瞬間給湯器を有する瞬間給湯式の局部洗浄装置にも適用することができる。この場合、収納ケースを瞬間給湯器の加熱部の近傍、特に上方に配置するとよい。
【産業上の利用可能性】
【0049】
本発明は、例えば、洋風水洗式便器に利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】実施例1及び実施例3の局部洗浄装置が組み込まれた洋風水洗式便器を示す概略斜視図である。
【図2】実施例1の局部洗浄装置を示す模式図である。
【図3】実施例2の局部洗浄装置の一部を示す模式図である。
【図4】実施例3の局部洗浄装置の一部を示す模式図である。
【符号の説明】
【0051】
10…給水路
13、14…局部洗浄ノズル(13…肛門洗浄用ノズル、14…ビデ洗浄用ノズル)
20…収納ケース
21…収納室
22…吸気口
23…排気口
24…通気路
25…逆止弁
26…分岐路
30…芳香剤
40、50…空気混入部
41、51…オリフィス
42、52…芳香空気取入口
61…第1流入口
62…第2流入口
63…流出口
H…噴出孔
V1…第1開閉弁
V2…第2開閉弁
V3…第3開閉弁
V4…三方弁

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水を噴出する噴出孔を先端に有する局部洗浄ノズルと、該局部洗浄ノズルに接続され、該局部洗浄ノズルに該洗浄水を供給する給水路と、該給水路に設けられ、該給水路を開閉する第1開閉弁とを備えた局部洗浄装置において、
芳香剤を収納する収納室を有し、吸気口から該収納室に吸気された外気に該芳香剤の香りを付与して芳香空気とし、該収納室内の該芳香空気を排気口から排気可能な収納ケースと、
該排気口に通気路によって連通され、前記第1開閉弁より下流側かつ前記噴出孔より上流側の前記給水路又は前記局部洗浄ノズルに設けられ、該給水路内又は該局部洗浄ノズル内を流れる前記洗浄水の水勢により負圧を発生させて該芳香空気を引き込み、該洗浄水に該芳香空気を混入させる空気混入部とを備えたことを特徴とする局部洗浄装置。
【請求項2】
前記吸気口には、前記外気が前記収納室内に流入することを許容し、前記芳香空気が該収納室外へ流出することを防止する逆止弁が設けられている請求項1記載の局部洗浄装置。
【請求項3】
前記空気混入部は、前記給水路内又は前記局部洗浄ノズル内に形成されたオリフィスと、該オリフィスの下流側に設けられ、前記通気路が接続される芳香空気取入口とを有する請求項1又は2記載の局部洗浄装置。
【請求項4】
前記通気路に一端が接続され、他端が大気に開放された分岐路と、
該分岐路に設けられ、該分岐路を開閉する第2開閉弁と、
該分岐路の一端が接続された位置よりも前記排気口側の該通気路に設けられ、該通気路を開閉する第3開閉弁とをさらに備えている請求項1乃至3のいずれか1項記載の局部洗浄装置。
【請求項5】
前記通気路に三方弁がさらに備えられ、
該三方弁は、第1流入口が前記排気口に連通され、第2流入口が大気に開放され、流出口が前記空気混入部に連通されており、該第1流入口、該第2流入口及び該流出口を開閉するものである請求項1乃至3のいずれか1項記載の局部洗浄装置。
【請求項6】
前記収納ケースは、前記給水路に接続され、前記洗浄水を所定温度に保持する温水タンクの近傍に配置される請求項1乃至5のいずれか1項記載の局部洗浄装置。
【請求項7】
前記収納ケースは、前記温水タンクの上方に配置される請求項6記載の局部洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2009−133123(P2009−133123A)
【公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−310444(P2007−310444)
【出願日】平成19年11月30日(2007.11.30)
【出願人】(000000479)株式会社INAX (1,429)
【出願人】(000000011)アイシン精機株式会社 (5,421)
【Fターム(参考)】