説明

局部洗浄装置

【課題】ノズルガイドの上方にホース配索空間を確保することに起因する大型化を回避する。
【解決手段】ノズルユニット(局部洗浄装置)は、ノズル40を進退可能に案内するノズルガイド13と、ノズル40に給水する切替バルブ50と、ノズル40の後端面から突出する接続部44と、切替バルブ50との間に配索された可撓性を有するホース70と、ノズル40の進退動作時におけるホース70の変位量を抑制するホース保持部56とを備える。接続部44はノズル40の進退方向と略平行な方向へ突出し、ホース保持部56はノズルガイド13よりも下方に配置されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、局部洗浄装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、洗浄水吐出用のノズルを斜め前下方向へ進出し得るように案内するノズルガイドと、ノズルに対して給水を行う状態と給水を停止する状態との間で切り替わる切替バルブと、ノズルの後端の接続部と切替バルブの吐出部との間に配索された可撓性を有するホースと、ホースの一部を保持することで、ノズルの進退動作時におけるホースの変位量を抑制するホース保持部とを備えた局部洗浄装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2003−293430号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記の局部洗浄装置では、ノズル後端の接続部が斜め上方を向いており、しかも、ホース保持部は、ノズルガイドよりも上方であり且つ幅方向においてノズルガイドから外側方へはみ出した位置に配置されている。そのため、ノズル後端の接続部に接続されたホースのうち少なくともホース保持部に至る部分は、ノズルガイドの上方及び外側方の空間に配索されることになる。したがって、ノズルガイドの上方には、ホースの配索空間として幅方向に広いスペースが必要となり、装置全体が高さ方向及び幅方向に大型化することになる。
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ノズルガイドの上方にホース配索空間を確保することに起因する大型化を回避することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の目的を達成するための手段として、請求項1の発明は、洗浄水吐出用のノズルを格納位置から洗浄位置に向かって斜め下前方へ進出し得るように案内するノズルガイドと、前記ノズルに対して給水を行う状態と給水を停止する状態との間で切り替わる切替バルブと、前記ノズルの後端部から突出する接続部と前記切替バルブとの間に配索された可撓性を有するホースと、前記ホースの一部を保持することで、前記ノズルの進退動作時における前記ホースの変位量を抑制するホース保持部とを備えた局部洗浄装置において、前記接続部が、前記ノズルの進退方向と略平行な方向又は前記ノズルの進退方向に対して相対的に下向きとなる方向へ突出した形態とされ、前記ホース保持部が前記ノズルガイドよりも下方に配置されているところに特徴を有する。
【0006】
請求項2の発明は、請求項1に記載のものにおいて、前記ホースのうち前記接続部と前記ホース保持部との間の部分が折り返すように配されており、前記ノズルガイドには、その上面を閉塞する形態の抑え部が形成されているところに特徴を有する。
【0007】
請求項3の発明は、請求項1又は請求項2に記載のものにおいて、前記ホース保持部は、前記ノズルの進退方向と交差する幅方向において、前記ノズルガイドの最大幅の範囲内に収まるように配置されているところに特徴を有する。
【0008】
請求項4の発明は、請求項1ないし請求項3のいずれかに記載のものにおいて、前記ホースの配索経路のうち前記ホース保持部と前記接続部との間の領域と対応する位置には、前記ホースの幅方向への変位量を前記ノズルガイドの最大幅の範囲内に収まるように規制する規制部が設けられているところに特徴を有する。
【0009】
請求項5の発明は、請求項4に記載のものにおいて、前記ノズルガイドには、その下面を前記ノズルの進退方向に沿って開口させた形態の連通溝が形成され、前記連通溝の開口縁部が、前記規制部を構成しているところに特徴を有する。
【発明の効果】
【0010】
<請求項1の発明>
ノズル後端の接続部に接続したホースは、ノズルの進退方向と平行又はそれよりも下方へ導出され、ノズルガイドよりも下方に配置したホース保持部に保持される。したがって、ホースの配索経路のうちノズル後端の接続部からホース保持部に至る経路は、ノズルガイドと同じ高さか、それよりも下方の空間内に納めることが可能である。本発明によれば、ノズルガイドの上方にホース配索のための大きなスペースを確保する必要がなく、小型化を図ることが可能である。
【0011】
<請求項2の発明>
ホースのうちノズル後端の接続部とホース保持部との間で折り返された部分には、真っ直ぐな状態に戻ろうとする反力が蓄勢されているため、ホースのうちノズル後端に近い部分は、上方へ付勢されている。この点に鑑み、本発明では、ノズルガイドの上面を閉塞する形態の抑え部を形成したので、ノズルが洗浄位置へ進出したときには、ホースのうちノズル後端に近い部分が、抑え部に当接して上方へ変位を規制される。これにより、ノズルガイドの上方にホースの配索空間を確保するのを確実に回避することができる。
【0012】
<請求項3の発明>
ホース保持部をノズルガイドの最大幅の範囲内に収まるように配置したので、ホースの配索空間のうちノズルガイドよりも下方の空間を極力幅狭に抑えることができる。
【0013】
<請求項4の発明>
ホース保持部とノズルの接続部との間では、ホースの幅方向への変位量が規制部によってノズルガイドの最大幅の範囲内に収められているので、幅方向における小型化を図ることができる。
【0014】
<請求項5の発明>
ノズルが洗浄位置へ進出したときに、ノズルの後端から導出したホースが、ノズルガイドの内部を通り、ノズルガイドの後端面から後方へ突出して前方へ折り返されるように配索される場合には、ノズルが格納位置へ後退したときに、ノズルガイドの後端面からのホースの突出長が長くなり、その分、装置全体が大型化することになる。
これに対し本発明では、ノズルが洗浄位置に向かって進出するのに伴い、ホースのうちノズルに近い部分は、連通溝を通過しながら前方へ変位することによってノズルに追従することができるので、ノズルが格納位置へ後退してノズルガイド内に収容されたときに、ノズルガイドの後端面からのホースの突出長を短くして、小型化を図ることができる。また、ホースが連通溝を通過する状態では、ホースの幅方向への変位も抑えられる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本実施形態の局部洗浄装置において両方のノズルが格納位置へ後退した状態をあらわした斜視図
【図2】両方のノズルが格納位置へ後退した状態をあらわした正面図
【図3】両方のノズルが格納位置へ後退した状態をあらわした側面図
【図4】一方のノズルが洗浄位置へ進出し、他方のノズルが格納位置へ後退した状態をあらわした断面図
【図5】一方のノズルが洗浄位置へ進出し、他方のノズルが格納位置へ後退した状態を、カバーを外してあらわした平面図
【図6】ノズルとカバーを外した状態をあらわした平面図
【図7】一方のノズルが洗浄位置へ進出し、他方のノズルが格納位置へ後退した状態をあらわした背面図
【発明を実施するための形態】
【0016】
<実施形態1>
以下、本発明を具体化した実施形態1を図1乃至図7を参照して説明する。本実施形態のノズルユニット(本発明の構成要件である局部洗浄装置)は、便器を構成する便器本体(図示省略)の後端部に設置され、便鉢(図示省略)内に向けて洗浄水吐出用のノズル40を進出及び便鉢からノズル40を後退させるようにしたものである。ノズルユニットは、ハウジング10と、互いに平行に配置された左右一対のノズル40と、ノズル40に対して給水を行う状態と給水を停止する状態との間で切り替わる切替バルブ50と、切替バルブ50から左右両ノズル40への給水経路となる左右一対のホース70と、ホース70の一部を変位規制可能に保持するホース保持部56と、一対のノズル40を格納位置と洗浄位置との間で進退させるための左右対称な一対のノズル駆動機構60とを備えて構成されている。
【0017】
図1,3,4,7に示すように、ハウジング10は、部品構成的には合成樹脂製のハウジング本体11と合成樹脂製のカバー12とを組み付けた形態である。また、機能的には、ハウジング10は、図3,4に示すように、ノズルガイド13とバルブ収容部14と左右一対の駆動機構収容部15とホース配索空間16とを備えて構成されている。尚、以下の説明において、ノズル40の進退経路と平行な鉛直面に対して直角な方向を、幅方向と定義する。
【0018】
図3,4に示すように、ハウジング本体11には、ハウジング10の後端部に配置された水平な底板部17と、底板部17と同じ幅であって底板部17の後端縁から上方へ立ち上がる後板部18と、底板部17よりも幅広であって底板部17の前端縁から立ち上がる仕切板部19と、仕切板部19と同じ幅であって仕切板部19の上端縁から前方へ延出した保護板部20と、ノズル40の進退経路に沿った鉛直面と平行であって底板部17及び後板部18の左側縁に連なる左側板部21とが形成されている。底板部17と後板部18と左側板部21と仕切板部19とで囲まれた空間は、ハウジング10の右側方へ開放されたバルブ収容部14となっている。このバルブ収容部14はノズルユニットの後端部に位置している。
【0019】
ハウジング本体11の幅方向における中央位置には、図3,4に示すように、ノズル40の進退経路に沿った鉛直面と平行をなす支持板部22が、仕切板部19の前面と保護板部20の下面に対して略直角に連なるように形成されている。仕切板部19と保護板部20と支持板部22とで囲まれた左右2つの空間は、夫々、ハウジング10の右側方及び左側方へ開放された一対の駆動機構収容部15となっている。この両駆動機構収容部15は、バルブ収容部14とほぼ同じ高さであって、バルブ収容部14よりも前方の位置に配置されている。
【0020】
図3,4,6に示すように、ハウジング本体11における駆動機構収容部15よりも前方の領域には、支持板部22の上端縁のうち保護板部20よりも前方の領域に連なる方形の下面壁23が、底板部17及び後板部18と同じ幅で形成されている。下面壁23は、その後端縁から前端縁に向かって下り勾配となるように傾斜しており、水平面に対する下面壁23の傾斜角度は、ノズル40の進退経路の傾斜角度と同じ角度である。図5,6に示すように、ハウジング本体11には、ノズル40の進退経路と平行をなす細長い仕切壁24と、同じくノズル40の進退経路と平行をなす左右対称な一対の細長い外側壁25が形成されている。
【0021】
仕切壁24の前端側部分は、下面壁23の上面における幅方向中央位置に対して直角に立ち上がるように連なり、仕切壁24のうち下面壁23の後方へ延出した部分は、バルブ収容部14及び駆動機構収容部15の上方に配置されている。図4に示すように、仕切壁24の長さ方向中央部は、保護板部20の上面に連なっている。仕切壁24の後端部は、鉛直方向に細長い柱状仕切部26(本発明の構成要件である規制部)を介すことにより、後板部18の上端縁に支持されるように連結されている。
【0022】
外側壁25の前端側部分は、下面壁23の上面における左右両側縁に対して直角に立ち上がるように連なり、外側壁25のうち下面壁23の後方へ延出した部分は、バルブ収容部14及び駆動機構収容部15の上方に配置されている。外側壁25の長さ方向中央部は、保護板部20の上面に連なっている。図3に示すように、外側壁25の後端部は、鉛直方向に細長い柱状支持部27(本発明の構成要件である規制部)を介すことにより、後板部18の上端縁に支持されるように連結されている。
【0023】
図7に示すように、柱状仕切部26と柱状支持部27との幅寸法(間隔)は、ホース70の外径よりも大きい寸法とされている。幅方向において、柱状仕切部26と左右両柱状支持部27が配置されている領域は、ノズルガイド13及びホース配索空間16の形成領域と対応している。この柱状仕切部26と柱状支持部27は、ホース70の幅方向への変位量をノズルガイド13の最大幅Dmaxの範囲内に収まるように規制する機能を発揮する。
【0024】
カバー12は、ハウジング本体11に対し、下面壁23、仕切壁24、左右両外側壁25、及び、仕切壁24と外側壁25との間に挟まれた左右一対の細長い空間を上から覆い隠すように組み付けられている。そして、下面壁23、仕切壁24、左右両外側壁25、及びカバー12により、ノズル40の進退方向と平行な方向に細長く延びた扁平な筒状をなすノズルガイド13が構成されている。ノズルガイド13の前後方向(ノズル40の進退方向)における形成領域は、ノズルユニットのほぼ全領域に亘っている。ノズルガイド13は、その後端から前端に向かって下り勾配となるように傾斜している。したがって、ノズルガイド13の前端が最も低く、ノズルガイド13の後端が最も高い。また、上下方向におけるノズルガイド13の形成領域は、ノズルユニットの最下端から最上端に亘る範囲である。
【0025】
図3,4に示すように、ノズルガイド13は、その下面をバルブ収容部14及び駆動機構収容部15と対応させるように位置している。幅方向において、ノズルガイド13の形成領域は、バルブ収容部14の形成領域とほぼ同じである。ノズルガイド13の下方においてノズルガイド13の後端側領域とバルブ収容部14との間で上下に挟まれた空間は、ホース70を配索するとともに、ノズル40の進退に伴ってホース70を追従変位させるためのホース配索空間16となっている。ノズルガイド13の下方においてノズルガイド13の長さ方向における中央部分と駆動機構収容部15との間の空間(ノズルガイド13と保護板部20との間で上下に挟まれた空間)は、バルブ収容部14及びホース配索空間16に連通し、且つバルブ収容部14及びホース配索空間16よりも容積の小さい狭小空間28となっている。
【0026】
図4〜6に示すように、ノズルガイド13の内部には、一対のノズル40を個別に収容するとともに、ノズル40を格納位置と格納位置よりも前方の洗浄位置との間で進退可能にガイドするための左右一対のガイド孔29が形成されている。ガイド孔29の前後両端はノズルガイド13の外部へ開口している。また、図3,4,6に示すように、ガイド孔29の下面のうち下面壁23の後端縁と保護板部20の前端縁との間の領域は、駆動機構収容部15内に連通する連通孔30となっている。また、ガイド孔29の下面のうち仕切壁24及び外側壁25と保護板部20とが連なる部分よりも後方の領域は、連通溝31としてバルブ収容部14側へ開放されている。この連通溝31の左右両溝縁部31a(本発明の構成要件である規制部)の幅寸法(間隔)は、ホース70の外径よりも大きい寸法とされている。図1〜4に示すように、カバー12(ガイド孔29の天井面)のうちホース配索空間16と対応する後端側領域は、ホース70の上方変位を抑えるための抑え部32となっている。
【0027】
ノズル40は、合成樹脂製であって、全体として細長い筒状をなす。図4に示すように、ノズル40の内部には、前端が閉塞された洗浄水流路41が形成されている。ノズル40の前端部上面には、洗浄水流路41に連通する吐水口42が開口している。図3,4に示すように、ノズル40の下面には、その長さ方向に沿ったラック43が一体に形成されている。ノズル40の後端面には、洗浄水流路41に連通するとともにノズル40の長さ方向(進退方向)と平行に後方へ突出した形態の接続部44が一体に形成されている。接続部44は、軸線をノズル40の進退方向と平行に向けた略円筒状をなしている。接続部44の外径は、ノズル40の高さ寸法及び幅寸法よりも小さく、ノズル40の幅方向における中央位置に配置されている。したがって、図5に示すように、幅方向において、接続部44は、ノズル40及びノズルガイド13の最大幅Dmaxの範囲内に配置されていることになる。
【0028】
ノズル40は、その少なくとも後端部をガイド孔29内に収容させた状態でノズルガイド13に取り付けられている。ノズル40をノズルガイド13に取り付けた状態では、ラック43の一部が連通孔30に臨んでいる。ノズル40が格納位置に後退した状態では、ノズル40のうち前端部と接続部44の後端部のみを除いた部分が、ガイド孔29の内部に収容される。また、ノズル40が洗浄位置へ進出した状態では、ノズル40の全長のうち前端側の半分以上の領域がノズルガイド13の前方へ突出される。
【0029】
切替バルブ50は、ロータリーディスクバルブ式と称されるタイプのものであって、図3,4に示すように、バルブ本体51とバルブ用モータ52とを備えて構成されている。バルブ本体51は、全体として軸線を上下方向に向けた略円柱形をなし、バルブ本体51の外周には、右方へ筒状に突出した形態の流入部53が形成され、バルブ本体51の上端面には、軸線を上下方向に向けた略円筒状をなす左右一対の吐出部54が、上向きに突出した形態で形成されている。バルブ本体51の内部にはディスク状の弁体(図示省略)が回転可能に設けられている。バルブ用モータ52は、軸線を上下方向に向けた状態でバルブ本体51の下面に重なるように取り付けられ、バルブ用モータ52の出力軸(図示省略)が弁体に連結されている。バルブ用モータ52を駆動して弁体を回転させると、切替バルブ50が、流入部53と一方の吐出部54とを連通させる状態と、流入部53と他方の吐出部54とを連通させる状態と、流入部53と両吐出部54との間を遮断する状態とに切り替わるようになっている。
【0030】
切替バルブ50は、ハウジング本体11の左側板部21に取り付けられることで、バルブ収容部14内に固定された状態で収容されている。バルブ収容部14に収容された切替バルブ50は、バルブ収容部14の最大幅の範囲内に概ね納まるように配置されるが、図2,5,6に示すように、流入部53はバルブ収容部14よりも右外方へ突出している。前後方向において、切替バルブ50は、ノズルガイド13と対応する領域内、即ちノズルガイド13の後端部と対応する位置に配置されている。高さ方向においては、切替バルブ50はその全体がバルブ収容部14内に納まっており、切替バルブ50の上面とノズルガイド13の下面との間には、ホース配索空間16が確保されている。
【0031】
図3,4に示すように、切替バルブ50は、下から順にバルブ用モータ52とバルブ本体51と吐出部54が並ぶように配置された形態であり、前後方向の寸法に対して高さ寸法が大きくなっている。切替バルブ50の最上端に位置する吐出部54は、ホース配索空間16内に向かうように上方へ突出している。この吐出部54の突出方向は、ノズル40の進退経路を含む鉛直面と平行な方向であり、ノズル40の接続部44の移動経路に対して下から接近する方向となっている。また、図6に示すように、両吐出部54は、幅方向においてバルブ収容部14の最大幅の範囲内であり且つノズルガイド13の最大幅Dmaxの範囲内に収容されるように配置されている。
【0032】
図3〜6に示すように、バルブ本体51には、保持部材55が固定して取り付けられている。保持部材55は、バルブ本体51よりも前方(狭小空間28に接近する方向)へ板状に突出した形態の左右対称な一対のホース保持部56を有している。図3,6に示すように、一対のホース保持部56は連結部57によって連結されている。各ホース保持部56には、夫々、上下方向に貫通する円形の保持孔58が形成されており、各保持孔58においては、夫々、ホース70が貫通した状態で保持されている。また、保持孔58にホース70を取り付ける(保持させる)手段として、右側のホース保持部56にはその右側縁から保持孔58に達する切欠部59が形成され、左側のホース保持部56にはその左側縁から保持孔58に達する切欠部59が形成されている。
【0033】
図3,4に示すように、上下方向において、両ホース保持部56は、ノズルガイド13のうち前後方向においてバルブ収容部14及びホース配索空間16と対応する領域よりも低い位置(吐出部54及びホース配索空間16よりも低い位置)であり、且つバルブ用モータ52の上面よりも上方の位置に配置されている。前後方向において、両ホース保持部56の保持孔58は、切替バルブ50よりも前方に配置され、また、ノズル40が格納位置へ後退した状態における接続部44よりも前方で、且つノズル40が洗浄位置へ進出した状態における接続部44よりも後方に位置している。図6に示すように、幅方向において、両ホース保持部56は、ノズルガイド13の最大幅Dmaxの範囲内であり且つバルブ収容部14の最大幅の範囲内に配置されている。
【0034】
左右一対のノズル駆動機構60は、左右一対の取付部材61と、左右一対のノズル用モータ62と、左右一対のピニオン64とを備えて構成されている。左右両取付部材61は、支持板部22に対して左右両側から挟むように取り付けられており、支持板部22と各取付部材61との間に設けた空間内に、ピニオン64が軸線を幅方向に向けた状態で回転可能に支持されている。ピニオン64の上端部は、連通孔30においてガイド孔29内に臨み、ノズル40のラック43に係合されている。各取付部材61における支持板部22と反対側の面には、夫々、ノズル用モータ62が、その出力ギヤ63の軸線を幅方向に向けた状態で取り付けられている。出力ギヤ63はピニオン64に係合されており、各ノズル用モータ62を駆動すると、ピニオン64とラック43との係合を介して、ノズル40が格納位置と洗浄位置との間で進退するようになっている。
【0035】
左右のノズル駆動機構60は、夫々、対応する駆動機構収容部15内に収容されている。幅方向において、左右両駆動機構収容部15を併せた形成領域は、ノズルガイド13の形成領域よりも大きい(幅広である)。したがって、左右両ノズル駆動機構60を配置するために必要に空間も、ノズルガイド13及びバルブ収容部14の形成領域よりも幅広である。図3に示すように、ノズル駆動機構60は、上下方向においては、切替バルブ50とほぼ同じ高さであって、ノズルガイド13のうち狭小空間28と対応する領域及び狭小空間28よりも下方に配置され、前後方向においては、切替バルブ50よりも前方に配置されている。
【0036】
ホース70は、可撓性及び弾性を有する合成樹脂材料からなる。図3,4に示すように、ホース70の上流端部は、切替バルブ50の吐出部54に対して外嵌するように接続され、ホース70の下流端部は、ノズル40の接続部44に対して同軸状に外嵌するように接続されている。また、ホース70の下流側の部分は、ノズル40の進退に伴って移動するのであるが、このときのホース70の移動範囲は、ホース保持部56、柱状仕切部26、柱状支持部27及び溝縁部31aによって規制されている。
【0037】
図3,4に示すように、ホース70のうち吐出部54からホース保持部56に至る領域は、ノズル40が進退しても殆ど変形も移動もしない固定配索部71Fとなっている。固定配索部71Fは、吐出部54からホース配索空間16に向かって上方へ延び、ホース配索空間16内において後方へ曲がり、図5,7に示すように柱状仕切部26と柱状支持部27との間からハウジング10の後方へ突出し、ハウジング10の後方で下向きに曲がり、再び柱状仕切部26と柱状支持部27との間を通ってバルブ収容部14内に入り、バルブ本体51の側面に沿うように前方へ延び、保持孔58を下から上へ貫通するという経路に沿って配索され、ホース保持部56に保持される。尚、保持孔58にホース70(固定配索部71F)を保持させるときには、ホース70を潰すように一時的に弾性変形させながら切欠部59を通過させて保持孔58内に収容する。
【0038】
図3,4に示すように、ホース70のうちホース保持部56から接続部44に至る領域は、ノズル40の進退に伴って変形、移動する可動配索部71Mとなっている。可動配索部71Mは、ホース保持部56から上方へ延びて再びホース配索空間16に進入し、ホース配索空間16内において斜め上後方へ延び、接続部44に至る。可動配索部71Mの配索経路はノズル40の位置によって異なる。即ち、ノズル40が格納位置へ後退している状態では、接続部44がノズルガイド13の後端部に位置するので、可動配索部71Mは、ホース配索空間16内を斜め上後方に延びて、柱状仕切部26と柱状支持部27との間を通過し、ハウジング10の後方で前方へ折り返し状に曲げられて接続部44に至る。これに対し、ノズル40が洗浄位置へ進出している状態では、接続部44が、ガイド孔29内に収容されてホース保持部56及びホース配索空間16よりも前方に位置するので、可動配索部71Mは、ホース配索空間16の上端部で前方へ折り返し状に曲げられた状態で連通溝31を通過し、ガイド孔29内に進入して接続部44に至る。ガイド孔29内では可動配索部71Mが抑え部32の下面に当接するので、可動配索部71M(ホース70)がノズルガイド13よりも上方へ突出することはない。
【0039】
図6に示すように、吐出部54とホース保持部56は、ノズルガイド13の最大幅Dmax(即ち、カバー12の最大幅)の範囲内に配置されている。また、左右両柱状支持部27は幅方向においてノズルガイド13の外側面とほぼ対応し、この両柱状支持部27の間には、固定配索部71Fの一部が挟まれている。したがって、図5,7に示すように、固定配索部71Fは、幅方向において、ノズルガイド13の最大幅Dmaxと概ね同じ領域内に収容されている。また、可動配索部71Mは、ノズル40の進退に伴って変形しながら移動するのであるが、連通溝31はノズルガイド13の最大幅Dmaxの範囲内に配置され、可動配索部71Mの一部が、ノズル40の位置に応じて左右両柱状支持部27の間で挟まれた状態、又は連通溝31の溝縁部31aの間で挟まれた状態のいずれかの状態(図4,5を参照)となる。これにより、可動配索部71Mも、固定配索部71Fと同様に、幅方向において、ノズルガイド13の最大幅Dmaxと概ね同じ領域内に収容された状態に保たれる。
【0040】
本実施形態のノズルユニットは、ホース70をノズル40に接続するための接続部44を、ノズル40の後端からノズル40の進退方向と略平行な方向へ突出する形態とし、ノズル40の進退動作時におけるホース70の変位量を抑制するためのホース保持部56を、ノズルガイド13よりも下方に配置した。この構成によれば、ノズル40の接続部44に接続したホース70が、ノズル40の進退方向と平行に導出され、ノズルガイド13よりも下方に配置したホース保持部56に保持されることになる。これにより、ホース70のうちノズル40の後端の接続部44からホース保持部56に至る可動配索部71Mの配索経路を、ノズルガイド13と同じ高さか、それよりも下方の空間内に納めることができた。このように本実施形態によれば、ノズルガイド13の上方にホース配索のための大きなスペースを確保する必要がないので、ノズルユニットの小型化を図ることが実現されている。
【0041】
また、ホース70のうちノズル40の接続部44とホース保持部56との間で折り返すように曲げられた可動配索部71Mには、真っ直ぐな状態に戻ろうとする反力が蓄勢されているため、ホース70のうちノズル40の後端に近い部分は、上方へ付勢されている。この点に鑑み、本実施形態では、ノズルガイド13のうち接続部44の移動経路に沿った上面を閉塞する形態の抑え部32を形成した。この構成によれば、ノズル40が洗浄位置へ進出したときに、ホース70のうちノズル40の後端に近い部分が、抑え部32に当接して上方へ変位を規制されるので、ノズルガイド13の上方にホース70の配索空間を確保せずに済んでいる。
【0042】
また、ホース保持部56を、ノズル40の進退方向と交差する幅方向において、ノズルガイド13の最大幅Dmaxの範囲内に収まるように配置したので、ノズルガイド13よりも下方のホース配索空間16を極力幅狭に抑えることができる。また、ホース70の配索経路のうちホース保持部56と接続部44との間の領域(可動配索部71M)と対応する位置には、ホース70の幅方向への変位量をノズルガイド13の最大幅Dmaxの範囲内に収まるように規制するための規制部として、柱状支持部27と連通溝31の溝縁部31aが設けられているので、幅方向における小型化を図ることができる。
【0043】
また、切替バルブ50の吐出部54を、ノズルガイド13の最大幅Dmaxの範囲内に配置し、且つノズル40の進退経路を含む鉛直面と略平行な方向へ突出する形態とした。この構成によれば、切替バルブ50の吐出部54に接続したホース70を、ノズルガイド13の最大幅Dmaxの範囲内でノズル40に向かって配索することができるので、ホース70の配索経路として確保すべき空間が幅方向に拡大せずに済む。これにより、装置が幅方向に大型化するのを回避するのを実現できた。
【0044】
また、ノズル40が洗浄位置へ進出したときに、ノズル40の後端から導出したホース70が、ノズルガイド13の内部を通り、ノズルガイド13の後端面から後方へ突出して前方へ折り返されるように配索される場合には、ノズル40が格納位置へ後退したときに、ノズルガイド13の後端面からのホース70の突出長が長くなり、その分、ノズルユニット全体が大型化することになる。
この点に鑑み、本実施形態では、ノズルガイド13の下面をノズル40の進退方向に沿って開口させた形態の連通溝31を設けた。この構成によれば、ノズル40が洗浄位置に向かって進出するのに伴い、ホース70のうちノズル40に近い部分が、連通溝31を通過しながら前方へ変位することによってノズル40に追従することができる。したがって、ノズル40が格納位置へ後退してノズルガイド13内に収容されたときに、ノズルガイド13の後端面からのホース70の突出長を短くして、小型化を図ることができる。
【0045】
また、切替バルブ50を、ノズルガイド13の下方に配置し、給水とその停止の切替機能を有するバルブ本体51の上面に吐出部54を設けるとともに、バルブ本体51の下面にバルブ用モータ52を設けた形態とした。さらに、ノズルガイド13の下方であって切替バルブ50よりも前方の位置には、ノズル40を進退させるためのノズル駆動機構60を配置した。この構成によれば、切替バルブ50が、下から順にバルブ用モータ52とバルブ本体51と吐出部54を順に積み重ねた形態となり、前後方向の寸法が小さく抑えられるので、ノズル駆動機構60を便鉢から遠ざけるように極力後方に配置して、ノズル駆動機構60に対する便鉢側からの被水を回避することができる。
【0046】
また、切替バルブ50をノズルガイド13の下方に配置し、ホース70をノズル40の後端部に接続し、切替バルブ50よりも前方で且つ格納位置へ後退した状態のノズル40の後端部よりも前方の位置に、ホース保持部56を配置した。この構成によれば、ノズル40が格納位置へ後退した状態で、切替バルブ50の吐出部54に接続されたホース70が、ホース保持部56に保持され、切替バルブ50とノズルガイド13との間の空間を通過する経路で配索されて、ノズル40の後端部に接続されることになる。これにより、切替バルブ50とノズルガイド13との間の空間を、ホース70を配索するためのホース配索空間16として有効利用することができた。
【0047】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
(1)上記実施形態では、ノズル後端の接続部を、ノズルの進退方向と平行な方向へ突出するようにしたが、接続部は、ノズル進退方向に対して相対的に下向きに突出するようにしてもよい。この場合、接続部の突出方向は、水平方向に対して下向きであってもよく、水平方向に対して斜め上向きであってもよい。
(2)上記実施形態では、ホース保持部をノズルガイドの最大幅の範囲内に収まるように配置したが、ホース保持部の一部又は全部が、幅方向においてノズルガイドから外側方へはみ出すようにしてもよい。
(3)上記実施形態では、ホース保持部とノズルの接続部との間で、ホースの幅方向への変位量を規制部によってノズルガイドの最大幅の範囲内に収めるようにしたが、このように規制部を設けない形態としてもよい。
(4)上記実施形態では、ノズルガイドの下面をノズルの進退方向に沿って開口させるように連通溝を設け、ノズルが洗浄位置へ進出するのに伴って、ホースのうちノズルに近い部分が、連通溝を通過しながら前方へ変位することによってノズルに追従するようにしたが、このような連通溝を形成しない形態としてもよい。この場合、ノズルが洗浄位置へ進出したときに、ノズルの後端から導出したホースが、ノズルガイドの内部を通り、ノズルガイドの後端面から後方へ突出して前方へ折り返されるように配索されることになる。
(5)上記実施形態では、ノズルガイドの上面を閉塞する形態の抑え部を形成したが、このような抑え部を形成せず、ノズルガイドの上面が開放された形態としてもよい。
(6)上記実施形態では、接続部をノズルの後端面から突出する形態としたが、接続部は、ノズルの外周面から突出する形態としてもよい。
(7)上記実施形態では、切替バルブをロータリーディスクバルブ式のものとしたが、クランクウェブロータリーバルブ式の切替バルブを用いることができ、また、ロータリーバルブ以外のタイプのバルブを切替バルブとして用いるとこもできる。
【符号の説明】
【0048】
13…ノズルガイド
26…柱状仕切部(規制部)
27…柱状支持部(規制部)
31…連通溝
31a…連通溝の溝縁部(規制部)
32…抑え部
40…ノズル
44…接続部
50…切替バルブ
56…ホース保持部
70…ホース
Dmax…ノズルガイドの最大幅

【特許請求の範囲】
【請求項1】
洗浄水吐出用のノズルを格納位置から洗浄位置に向かって斜め下前方へ進出し得るように案内するノズルガイドと、
前記ノズルに対して給水を行う状態と給水を停止する状態との間で切り替わる切替バルブと、
前記ノズルの後端部から突出する接続部と前記切替バルブとの間に配索された可撓性を有するホースと、
前記ホースの一部を保持することで、前記ノズルの進退動作時における前記ホースの変位量を抑制するホース保持部とを備えた局部洗浄装置において、
前記接続部が、前記ノズルの進退方向と略平行な方向又は前記ノズルの進退方向に対して相対的に下向きとなる方向へ突出した形態とされ、
前記ホース保持部が前記ノズルガイドよりも下方に配置されていることを特徴とする局部洗浄装置。
【請求項2】
前記ホースのうち前記接続部と前記ホース保持部との間の部分が折り返すように配されており、
前記ノズルガイドには、その上面を閉塞する形態の抑え部が形成されていることを特徴とする請求項1記載の局部洗浄装置。
【請求項3】
前記ホース保持部は、前記ノズルの進退方向と交差する幅方向において、前記ノズルガイドの最大幅の範囲内に収まるように配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2記載の局部洗浄装置。
【請求項4】
前記ホースの配索経路のうち前記ホース保持部と前記接続部との間の領域と対応する位置には、前記ホースの幅方向への変位量を前記ノズルガイドの最大幅の範囲内に収まるように規制する規制部が設けられていることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の局部洗浄装置。
【請求項5】
前記ノズルガイドには、その下面を前記ノズルの進退方向に沿って開口させた形態の連通溝が形成され、
前記連通溝の開口縁部が、前記規制部を構成していることを特徴とする請求項4記載の局部洗浄装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−117315(P2012−117315A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−269496(P2010−269496)
【出願日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【出願人】(302045705)株式会社LIXIL (949)
【Fターム(参考)】