説明

居眠り防止眼鏡

【課題】居眠り状態の検知精度が高く、且つ、使い勝手の良い居眠り防止眼鏡の提供。
【解決手段】眼鏡本体と、前記眼鏡本体に取り付けられる振動部5と、前記眼鏡本体に対する前記振動部5の取付角度を調整する角度調整部8とを備え、前記振動部5は、振動モータ61と、電源62と、前記眼鏡本体の傾きを検知する傾きセンサと、前記傾きセンサによって検知された傾きに基づいて、前記電源62から前記振動モータ61への電力の供給をオンオフするスイッチ部63とを有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、装着者の居眠りを防止する居眠り防止眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、車両の運転中や会議中の居眠りを防止するために、様々な居眠り防止器が提案されている。例えば、特許文献1には、単位時間当りの瞬きの回数を検出し、検出した回数に基づいて、居眠り状態か否かを判断し、居眠り状態と判断すると、警報器を鳴動させる居眠り防止器が提案されている。
【0003】
特許文献1の居眠り防止器は、眼球に向けて光を出射するLEDと、眼球又は瞼からの反射光を受光するフォトダイオードとを備える。眼球と瞼とでは、光の反射率が異なるため、瞬きがあると、フォトダイオードの受光量が変動する。特許文献1の居眠り防止器は、フォトダイオードの受光量に変動があると、瞬きがあったと判断する。
【0004】
しかしながら、フォトダイオードの受光量は、太陽光や蛍光灯等の光がフォトダイオードに入射することで瞬きの有無に関係なく変動するため、特許文献1の居眠り防止器では、瞬きが誤って判断され、居眠り状態の判断が誤って行われる恐れがある。また、眼球を照射できる向きにLEDを調節したり、眼球からの反射光を受光できる向きにフォトダイオードを調節したりすることは困難であるため、特許文献1の居眠り防止器は、使い勝手が悪いという問題がある。
【特許文献1】特開昭63−216193号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、居眠り状態の検知精度が高く、且つ、使い勝手の良い居眠り防止眼鏡を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、第1の手段として、眼鏡本体と、前記眼鏡本体に取り付けられる振動部と、前記眼鏡本体に対する前記振動部の取付角度を調整する角度調整部とを備え、前記振動部は、振動モータと、電源と、前記眼鏡本体の傾きを検知する傾きセンサと、前記傾きセンサによって検知された傾きに基づいて、前記電源から前記振動モータへの電力の供給をオンオフするスイッチ部とを有する居眠り防止眼鏡を提供する。
【0007】
第1の手段として提供される居眠り防止眼鏡は、眼鏡本体と、眼鏡本体に取り付けられる振動部とを備える。振動部は、眼鏡本体の傾きを検知する傾きセンサを有し、眼鏡本体の装着者の頭部の傾きを検知することができる。装着者が居眠りをすると、頭部が傾くため、第1の手段として提供される居眠り防止眼鏡は、頭部の傾きによって、装着者の居眠り状態を検知することができる。頭部の傾きによって居眠り状態を検知するので、居眠り状態の検知が太陽光や蛍光灯等の光に影響されず、そのため、第1の手段として提供される居眠り防止眼鏡は、居眠り状態の検知を精度良く行うことができる。
【0008】
振動部は、傾きセンサの他、振動モータと、電源と、傾きセンサによって検知された傾きに基づいて、電源から振動モータへの電力の供給をオンオフするスイッチ部とを有している。電源から振動モータへの電力の供給がオンされると、振動モータが振動する。振動モータが振動すると、振動が、振動部から眼鏡本体に伝達され、眼鏡本体から眼鏡本体の装着者の頭部に伝達される。従って、居眠り状態に対応した傾きが傾きセンサに検知されると、電源から振動モータへの電力の供給をオンするようにスイッチ部を構成すれば、第1の手段として提供される居眠り防止眼鏡は、装着者が居眠りすると、装着者の頭部に振動を与えて目覚めさせることができる。また、振動モータの振動を眼鏡本体を介して装着者に与えることで、振動に敏感な頭部に振動を与ることができるので、確実に装着者を目覚めさせることができる。
【0009】
更に、第1の手段として提供される居眠り防止眼鏡は、眼鏡本体に対する振動部の取付角度を調整する角度調整手段を備える。従って、眼鏡本体を装着したときの眼鏡本体の傾きに個人差があっても、装着者に応じて振動部の取付角度を調整することで、個人差の有無に関係なく、居眠り状態を精度良く検知することができる。
【0010】
また、本発明は、第2の手段として、眼鏡本体と、前記眼鏡本体に取り付けられる振動部と、前記眼鏡本体に対する前記振動部の取付角度を調整する角度調整部とを備え、前記振動部は、振動モータと、電源と、前記電源から前記振動モータへの電力の供給を所定の時間間隔でオンオフするタイムスイッチ部とを有する居眠り防止眼鏡を提供する。
【0011】
第2の手段として提供される居眠り防止眼鏡は、第1の手段として提供される居眠り防止眼鏡と同様に、眼鏡本体と、振動部と、角度調整部とを備える。振動部は、振動モータと、電源と、電源から振動モータへの電力の供給を所定の時間間隔でオンオフするタイムスイッチ部とを有している。所定の時間間隔で電源から振動モータへの電力の供給がオンオフされることで、振動モータは、所定の時間間隔で振動し、所定の時間間隔で装着者に振動を与える。よって、第2の手段として提供される居眠り防止眼鏡は、装着者が居眠りをしていなくても振動が与えられるので、装着者が居眠りするのを未然に防止できる。
【0012】
第1の手段及び第2の手段として提供される居眠り防止眼鏡の具体的な構成として、前記角度調整部は、前記眼鏡本体に固定された第1回転盤と、前記振動部に固定された第2回転盤と、前記第1回転盤と前記第2回転盤とに挿通された回転軸とを備え、前記第1回転盤と前記第2回転盤とは、径方向に延びる凹凸部が表面に複数形成され、互いの表面に形成された凹凸部が噛み合った状態では、前記回転軸周りの相対的な回転が不能である一方、互いの表面に形成された凸部が弾性変形すること、又は、互いの表面に形成された凹凸部が前記回転軸の軸方向に互いに離間することによって、前記回転軸周りに相対的な回転が可能となる構成を挙げることができる。
【0013】
かかる好ましい構成において、眼鏡本体に固定された第1回転盤と振動部に固定された第2回転盤とは、互いの表面に形成された凹凸部が噛み合って(第1回転盤の表面に形成された凹部と第2回転盤の表面に形成された凸部とが、及び、第1回転盤の表面に形成された凸部と第2回転盤の表面に形成された凹部とが、それぞれ噛み合って)回転軸周りの相対的な回転が不能とされている。第1回転盤及び第2回転盤の表面に形成された凸部が弾性変形可能とすることにより、互いの表面に形成された凹凸部が噛み合った状態で、眼鏡本体又は振動部に対して回転軸周りに回転させる力を加えると、互いの隣接する凸部同士が回転力を加えた方向に押圧し合って弾性変形する。これにより、隣接する凸部同士が互いに乗り越えて回転することになり、第1回転盤と第2回転盤とが相対的に回転可能となる。そして、互いの表面に形成された凹凸部が噛み合うことができる位置で回転力を解除すると、互いの表面に形成された凸部が元の形状に戻り、互いの表面に形成された凹凸部が噛み合って、第1回転盤と第2回転盤との相対的な回転が不能となる。また、第1回転盤及び第2回転盤の表面に形成された凹凸部が回転軸の軸方向に離間可能となることにより、互いの表面に形成された凹凸部の噛み合いが解除されるまで離間させれば、第1回転盤と第2回転盤とが相対的に回転可能となる。そして、互いの表面に形成された凹凸部が噛み合うことができる位置で回転軸の軸方向に互いの凹凸部を近づければ、互いの表面に形成された凹凸部が噛み合って、第1回転盤と第2回転盤との相対的な回転が不能となる。
【0014】
また、本発明は、第3の手段として、レンズを保持する前枠と、前記前枠の左右方向両端からそれぞれ後方に延出する左右一対のテンプル本体、及び前記テンプル本体から後方に延出し、左右方向内側に湾曲する振動部を具備する左右一対のテンプルとを有する眼鏡本体と、前記テンプル本体に対する前記振動部の取付角度を調整する角度調整部とを備え、前記振動部は、振動モータと、電源と、前記眼鏡本体の傾きを検知する傾きセンサと、前記傾きセンサによって検知された傾きに基づいて、前記電源から前記振動モータへの電力の供給をオンオフするスイッチ部とを有する居眠り防止眼鏡を提供する。
【0015】
第3の手段として提供される居眠り防止眼鏡の眼鏡本体のテンプルは、テンプル本体から後方に延出し、左右方向内側に湾曲する振動部を具備している。従って、かかる眼鏡本体は、装着すると、振動部が装着者の側頭部に押し当たる態様とされている。このように装着時に振動部が側頭部に押し当たるので、振動部の振動を装着者に直接伝達でき、小さい振動で装着者を目覚めさせることができる。
【0016】
また、本発明は、第4の手段として、レンズを保持する前枠と、前記前枠の左右方向両端からそれぞれ後方に延出する左右一対のテンプル本体、及び前記テンプル本体から後方に延出し、左右方向内側に湾曲する振動部を具備する左右一対のテンプルとを有する眼鏡本体と、前記テンプル本体に対する前記振動部の取付角度を調整する角度調整部とを備え、前記振動部は、振動モータと、電源と、前記電源から前記振動モータへの電力の供給を所定の時間間隔でオンオフするタイムスイッチ部とを有する居眠り防止眼鏡を提供する。
【0017】
第4の手段として提供される居眠り防止眼鏡のテンプルは、第3の手段として提供される居眠り防止眼鏡と同様に、テンプル本体から後方に延出し、左右方向内側に湾曲する振動部を具備している。よって、振動部の振動を装着者に直接伝達できる。また、振動部は、第2の手段として提供される居眠り防止眼鏡の振動部と同様に、振動モータと、電源と、タイムスイッチ部とを有している。従って、第4の手段として提供される居眠り防止眼鏡は、振動モータの振動が小さくても、装着者が居眠りするのを未然に防止できる。
【0018】
また、第3の手段及び第4の手段として提供される居眠り防止眼鏡の好ましい構成として、前記テンプルは、ストレートテンプルであり、前記眼鏡本体は、前記テンプルの後端部の前端部から分岐し、耳の裏側に沿うように湾曲した耳掛部を有する構成を挙げることができる。
【0019】
テンプルの形態がストレートテンプルの場合、テンプルのみでは眼鏡本体の支持力が弱く、振動部が振動すると眼鏡本体がずれ落ちる恐れが有る。かかる好ましい構成のように、耳掛部を有すれば、ストレートテンプルと耳掛部とで眼鏡本体を支持することができるので、眼鏡本体のずれ落ちを防止することができる。
【0020】
また、第3の手段及び第4の手段として提供される居眠り防止眼鏡の好ましい構成として、前記眼鏡本体は、軸部材を介して前記耳掛部に揺動可能に取り付けられ、耳の裏側に当接可能な耳当接部を有する耳当て部材と、前記テンプルの前記耳当て部材が取り付けられた前記耳掛部の部位より前方にある所定部と前記耳当接部の前端部とを連結する可撓性の絡み防止部材とを有した構成を挙げることができる。
【0021】
第3の手段及び第4の手段として提供される眼鏡本体においては、眼鏡本体を装着した状態で、前枠がずれ落ちようとすると、耳掛部はずれ上がろうとし、耳掛部に取り付けられた耳当て部材の耳当接部が上方へ移動しようとする。そして、耳当て部材の耳当接部が上方へ移動しようとすると、耳当て部材の耳当接部は軸部材を中心として前回り方向へ回転しようとする。この時、耳当接部の前端部が耳の裏側を押圧する力が大きくなり、その結果、耳当接部と耳の裏側との相対的な移動が阻止され、耳掛部のずれ上がりが阻止される。かかる好ましい構成では、眼鏡本体のずれ落ちがこのように防止される。
【0022】
一方、可撓性の絡み防止部材がテンプルの耳当て部材が取り付けられた耳掛部の部位より前方にある所定部と耳当接部の前端部とを連結するように取り付けられており、眼鏡本体を外す際に、耳掛部を上方へ持ち上げても耳掛部と耳当接部の前端部との間が絡み防止部材で塞がれているため、髪の毛が耳掛部と耳当て部材との取り付け部分に入り込みにくく、これに絡まることが抑制される。また、絡み防止部材は、可撓性を有しており、耳当て部材の揺動を阻害することがないため、眼鏡本体のずれ落ち抑制の機能を阻害することもない。
【0023】
また、第3の手段及び第4の手段として提供される居眠り防止眼鏡の具体的な構成として、前記角度調整部は、前記テンプル本体に固定された第1回転盤と、前記振動部に固定された第2回転盤と、前記第1回転盤と前記第2回転盤とに挿通された回転軸とを備え、前記第1回転盤と前記第2回転盤とは、径方向に延びる凹凸部が表面に複数形成され、互いの表面に形成された凹凸部が噛み合った状態では前記回転軸周りの相対的な回転が不能である一方、互いの表面に形成された凸部が弾性変形すること、又は、互いの表面に形成された凹凸部が前記回転軸の軸方向に互いに離間することによって、前記回転軸周りに相対的な回転が可能となる構成を挙げることができる。
【0024】
かかる好ましい構成において、テンプル本体に固定された第1回転盤と振動部に固定された第2回転盤とは、互いの表面に形成された凹凸部が噛み合って(第1回転盤の表面に形成された凹部と第2回転盤の表面に形成された凸部とが、及び、第1回転盤の表面に形成された凸部と第2回転盤の表面に形成された凹部とが、それぞれ噛み合って)回転軸周りの相対的な回転が不能とされている。第1回転盤及び第2回転盤の表面に形成された凸部が弾性変形可能とすることにより、互いの表面に形成された凹凸部が噛み合った状態で、テンプル本体又は振動部に対して回転軸周りに回転させる力を加えると、互いの隣接する凸部同士が回転力を加えた方向に押圧し合って弾性変形する。これにより、隣接する凸部同士が互いに乗り越えて回転することになり、第1回転盤と第2回転盤とが相対的に回転可能となる。そして、互いの表面に形成された凹凸部が噛み合うことができる位置で回転力を解除すると、互いの表面に形成された凸部が元の形状に戻り、互いの表面に形成された凹凸部が噛み合って、第1回転盤と第2回転盤との相対的な回転が不能となる。また、第1回転盤及び第2回転盤の表面に形成された凹凸部が回転軸の軸方向に離間可能となることにより、互いの表面に形成された凹凸部の噛み合いが解除されるまで離間させれば、第1回転盤と第2回転盤とが相対的に回転可能となる。そして、互いの表面に形成された凹凸部が噛み合うことができる位置で回転軸の軸方向に互いの凹凸部を近づければ、互いの表面に形成された凹凸部が噛み合って、第1回転盤と第2回転盤との相対的な回転が不能となる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る居眠り防止眼鏡は、居眠り状態の検知が太陽光や蛍光灯等の光に影響されず、居眠り状態を精度良く検知することができる。更に、振動部の取付角度を調整することで、眼鏡本体を装着したときの眼鏡本体の傾きに個人差があっても、個人差の有無に関係なく居眠り状態を精度良く検知することができる。このように居眠り状態を精度良く検知することができるので、居眠りをより確実に防止することができる。また、本発明に係る居眠り防止眼鏡は、LEDやフォトダイオードの向きの調整が不要であり、眼鏡本体を装着するだけで使用することができ、使い勝手が良い。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
(実施形態1)
図1は本実施形態に係る居眠り防止眼鏡の外観図であり、(a)は側面図を示し、(b)は平面図を示す。図1(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る居眠り防止眼鏡1は、眼鏡本体2と、眼鏡本体2に取り付けられる振動部5と、眼鏡本体2に対する振動部5の取付角度を調整する角度調整部8とを備える。
【0027】
図1(a)及び(b)に示すように、眼鏡本体2は、左右一対のレンズ31を有する前枠3と、前枠3の左右方向両端からそれぞれ後方に延出する一対のテンプル4とを有している。前枠3は、左右一対のレンズ31の他、左右一対のレンズ31を保持する左右一対のリム部32と、左右一対のリム部32を連結するブリッジ部33と、左右の各リム部3の左右方向内側に取り付けられた鼻パット34とを備えている。かかる前枠3の左右の各リム部32の左右方向外側には、ヨロイ35が連設されている。
【0028】
テンプル4は、丁番構造36を介して、左右の各ヨロイ35から後方に延出されるように取り付けられている。丁番構造36を介することで、テンプル4は、ヨロイ35に対して回動自在とされている。図2は、テンプル4の後端部及び振動部5近傍の居眠り防止眼鏡1の拡大側面図である。図2に示すように、テンプル4の後端部には、耳の裏側に沿うように下方に湾曲した湾曲部41が形成されている。かかる湾曲部41の下端部には、軸部材45を介して耳当て部材44が揺動可能に取り付けられている。かかる耳当て部材44は、湾曲部41の下端部に対し軸部材45によって揺動可能に連結される揺動部42と、かかる揺動部42に連設され耳の裏側に当接可能な耳当接部43とを有している。湾曲部41の下端部と揺動部42とを連結する軸部材45には、例えば、ピンやねじ等を用いることができる。耳当接部43の前端部と湾曲部41の前端部とは、可撓性の絡み防止部材46によって連結されている。尚、本実施形態においては、耳当て部材44と絡み防止部材46とは、一体的に形成されている。
【0029】
以上のような構成の眼鏡本体2は、鼻パッド34を鼻に掛けると共に、耳当て部材44の耳当接部43を耳の裏側に掛けて、図2の実線で示すように、耳の裏側で耳当て部材44及び絡み防止部材46を湾曲部41に押し当てて装着することができる。
【0030】
振動部5は、角度調整部8を介して、湾曲部41の後端部に取り付けられている。かかる振動部5は、筐体6を有し、かかる筐体6には、振動モータ61と、電源62と、眼鏡本体2の傾きを検知すると共に、検知した傾きに基づいて電源62から振動モータ61への電力の供給をオンオフするスイッチ部63と、起動スイッチ部64とが内蔵されている。図3は、振動部5の概略回路図である。図3に示すように、電源61と振動モータ62とは、スイッチ部63と起動スイッチ部64とがオンとなると導通する。従って、振動部5は、スイッチ部63と起動スイッチ部64とがオンの時に、電源62から振動モータ61への電力の供給が行われるように構成されている。
【0031】
振動モータ61について簡単に説明すると、振動モータ61は、回転子と、回転子と相互作用して回転モーメントを発生させる固定子と、回転子の回転を外部に伝える回転軸と、回転軸を支える軸受けと、回転軸に偏心して取り付けられた分銅とを備えている。振動モータ61に電源62から電力が供給されると、回転子と固定子との間に回転モーメントが発生し、この回転モーメントによって回転子が回転する。回転子が回転すると、偏心した分銅が回転し、この分銅の回転によって振動モータ61自身が振動する。
【0032】
図4は、振動モータ61に電源62からの電力の供給をオンオフするスイッチ部63の断面図である。図4に示すように、スイッチ部63は、両端部が閉塞された略円筒状のケース体70と、第1電極72と、第2電極73と、ケース室71に収容された球体74とを備える。
【0033】
ケース体70は、軸方向を前後方向に向け、眼鏡本体2を装着者が装着した時に、後下がりとなるような向きに筐体内6に配置されている。第1電極72及び第2電極73は、共に細長部材で形成され、ケース体70の前端部(図2においては、左側)からケース室71内に延出されている。第1電極72は、ケース室71の後方部(図2においては、右側)まで延出され、第2電極73は、ケース室71の前方部まで延出されている。かかる第1電極72は電源62に、第2電極73は振動モータ61に接続されている。球体74は、ケース体70が前下がりに傾くと、ケース室71の前方部に移動し、ケース体70が後下がりに傾くと、ケース室71の後方部に移動する。かかる球体74は、導電性部材によって構成されている。この導電性部材には、例えば、金属を用いることができる。球体74は、ケース室71内において、いずれの位置においても、第1電極72と接触することが可能な大きさに形成されている。
【0034】
かかるスイッチ部63において、ケース体70が前下がりに傾くと、球体74は、ケース室71の前方部に移動して、第2電極73の先端部と接触する。球体74が第2電極73と接触すると、球体74を介して第1電極72と第2電極73とが導通する。第1電極72と第2電極73とが導通すると、電源62と振動モータ61とが接続されて、スイッチ部63はオンになる。一方、ケース体70が後下がりに傾くと、球体74は、ケース室71の後方部に移動する。ケース室71の後方部に移動すると、球体74は、第2電極73から離間し、第1電極72と第2電極73とが非導通となり、電源62と振動モータ61とが切断されて、スイッチ部63はオフになる。
【0035】
このように、スイッチ部63は、第1電極72と第2電極73との間の導通(オン)、非導通(オフ)によって眼鏡本体2の傾きを検知する傾き検知機能と、検知した傾きに基づいて電源62と振動モータ61との接続、切断を切り替えるスイッチ機能とを備えている。尚、傾き検知機能とスイッチ機能とは、1つのセンサ部63で実現させる必要は無く、傾き検知機能を傾きセンサで、スイッチ機能を傾きセンサと別体のスイッチで実現してもよい。傾きセンサには、例えば、角度ゲージを用いることができ、スイッチの機能は、角度ゲージが指し示す傾きに基づいて、電源62と振動モータ61との接続、切断を切り替えるスイッチを用いることができる。
【0036】
図2に示すように、起動スイッチ部64は、筐体6から後方に突出した突起部65を備える。突起部65は、装着者が指を引っ掛けて、図2の紙面と垂直方向に移動させることができるように構成されている。図2の紙面と垂直方向の一端側(オン位置)に突起部65が移動すると、起動スイッチ部64がオンとなり、他端側に突起部65が移動すると、起動スイッチ部64がオフとなる。
【0037】
図5は、図2のA―A断面図である。図5に示すように、角度調整部8は、眼鏡本体2に固定された第1回転盤81と、振動部5に固定された第2回転盤82と、第1回転盤81と第2回転盤82とに挿通された回転軸83とを備えている。第1回転盤81と第2回転盤82とは、円盤状に形成されており、回転軸83を挿通するための軸孔84が中心に形成されている。更に、第1回転盤81と第2回転盤82との表面には、中心から径方向に延びる凹凸部が複数形成されている。第1回転盤81と第2回転盤82との表面に形成される凹凸部は、互いに他方の表面に形成される凹凸部と噛み合うことが可能な形状とされている。このような構成の第1回転盤81と第2回転盤82とは、回転軸83に挿通された座金85によって、互いに他方の表面に押し付けられ、互いの表面に形成された凹凸部が噛み合って相対的な回転が不能とされている。図2に示すように、第1回転盤81は、眼鏡本体2のテンプル4の湾曲部41の後端部から後方に突出するように、湾曲部41と一体的に形成されている。一方、第2回転盤82は、振動部5の筐体6の前面部から前方に突出するように、筐体6と一体的に形成されている。回転軸83は、図2の紙面と垂直方向(眼鏡本体2の左右方向)に向いており、第1回転盤81と第2回転盤82とは、図2の紙面と垂直方向に重なっている。
【0038】
このような角度調整部8を介して眼鏡本体2に取り付けられる振動部5は、装着者が、眼鏡本体2と振動部5とを手に持って振動部5に力を加えることで、眼鏡本体2に対して回転軸83周りに回転(図2に示す矢印R方向に回転)させることができる。具体的に説明すれば、眼鏡本体2に対して振動部5を回転軸83周りに回転させる力を振動部5に加えると、第1回転盤81と第2回転盤82との表面に形成された互いに隣接する凸部同士が回転力を加えた方向に押圧し合って弾性変形すると共に、第1回転盤81及び第2回転盤82が座金85を押し退けて互いに回転軸83の軸方向に離間する。この凸部の弾性変形と第1回転盤81及び第2回転盤82の離間とによって、凹凸部の噛み合いが解除され、第1回転盤81と第2回転盤82との表面に形成された凸部は隣接する凸部を乗り越えることができ、これにより第1回転盤81に対して第2回転盤82が回転することができる。第1回転盤81に対して第2回転盤82が回転すると、振動部5が回転軸83を中心にして、図2に示す矢印R方向に回転し、眼鏡本体2に対する振動部5の取付角度が変わる。また、互いの表面に形成された凹凸部が噛み合うことができる位置で眼鏡本体2に対して振動部5を回転軸83周りに回転させる力を解除すると、第1回転盤81と第2回転盤82とに形成された凹凸部が元の形状に戻り、第1回転盤81と第2回転盤82とが互いに他方の表面に座金85によって押し付けられる。これにより、第1回転盤81と第2回転盤82との凹凸部が噛み合って、第1回転盤81と第2回転盤82との相対的な回転が不能となる。相対的な回転が不能となることで、眼鏡本体2に対する振動部5の取付角度が一定の角度に維持される。
【0039】
尚、本実施形態では、凸部の弾性変形と、凹凸部の離間とによって、第1回転盤81と第2回転盤82との相対的な回転が実現されているが、第1回転盤81と第2回転盤82との相対的な回転は、これに限られるものでない。例えば、凸部の弾性変形によって実現されてもよい。これは、凸部を縦弾性係数が低い材質で形成したり、或いは、凹部と凸部との高低差を小さくしたりすることによって実現することができる。
【0040】
以上の構成の居眠り防止眼鏡1は、起動スイッチ部64の突起部65をオン位置に移動させて、起動スイッチ部64をオンにし、上記のように眼鏡本体2を装着することで使用することができる。起動スイッチ部64をオンにして、眼鏡本体2を装着しているときに、装着者が居眠りをし、頭部が前方向に傾くと、眼鏡本体2が前下がりに傾き、スイッチ部63のケース体70が前下がりに傾く。ケース体70が前下がりに傾くと、図4に示すように、球体74がケース室71の前方部に移動して、第1電極72と第2電極73とが導通し、スイッチ部63がオンになる。スイッチ部63がオンになると、振動モータ61に電源62から電力が供給され、振動モータ61が振動する。振動モータ61の振動は、振動モータ61から筐体6に伝達され、筐体6から眼鏡本体2に伝達され、眼鏡本体2の鼻パッド34又は耳当接部43から装着者の鼻又は耳部周囲に伝達される。振動が伝達されると装着者は目を覚ます。
【0041】
以上のように、本実施形態に係る居眠り防止眼鏡1は、頭部の傾きによって、居眠り状態を検知するので、居眠り状態の検知が太陽光や蛍光灯等の光に影響されず、居眠り状態の検知精度が良く、居眠りをより確実に防止することができる。また、本実施形態に係る居眠り防止眼鏡1は、眼鏡本体2に対する振動部5の取付角度を調整することができるので、眼鏡本体2を装着したときの眼鏡本体2の傾きに個人差があっても、装着者に応じて振動部5の取付角度を調整することで、個人差の有無に関係なく、居眠り状態を精度良く検知することができる。更に、鼻及び耳部周囲などを含む頭部は振動に敏感であるため、振動モータ61の振動が小さくても装着者を目覚めさせることができる。また、本実施形態に係る居眠り防止眼鏡1は、起動スイッチ部64をオンにして、眼鏡本体2を装着するだけで使用でき、使い勝手が良い。
【0042】
また、本実施形態に係る眼鏡本体2は、眼鏡本体2を装着した状態で、前枠3がずれ落ちようとすると、テンプル4の湾曲部41はずれ上がろうとし、湾曲部41に取り付けられた耳当て部材44が上方へ移動しようとする。そして、耳当て部材44が上方へ移動しようとすると、耳当て部材44の耳当接部43は軸部材45を中心として図2において左回りに回転しようとする。この時、耳当接部43の前端部が耳の裏側を押圧する力が大きくなり、その結果、耳当接部43と耳の裏側との相対的な移動が阻止され、湾曲部41のずれ上がりが阻止される。このようにして、眼鏡本体2のずれ落ちが防止されているため、眼鏡本体2を装着した状態で、装着者の頭部が前方に傾いた状態で振動モータ61が振動しても、眼鏡本体2がぐらつき難く、ずれ落ち難い。
【0043】
また、本実施形態に係る眼鏡本体2は、図2に示すように、絡み防止部材46が湾曲部41の前端部と耳当て部材44の耳当接部43の前端部とを連結するように取り付けられている。こうすることで、眼鏡本体2を外す際に、テンプル4を上方へ持ち上げて、耳当て部材44及び絡み防止部材46が、図2に二点鎖線で示す状態となっても、湾曲部41の前端部と耳当接部43の前端部との間が絡み防止部材46で塞がれているため、髪の毛がX方向から湾曲部41と耳当接部43との取り付け部分(揺動部42)に入り込み難く、これに絡まることが抑制される。また、絡み防止部材46は、可撓性を有しているため、眼鏡本体2のずれ落ち抑制の機能を阻害することもない。
【0044】
(実施形態2)
以下、実施形態1と異なる点について説明し、同様の構成については説明を省略する。図6は、本実施形態に係る居眠り防止眼鏡1Aの外観図であり、(a)は側面図を示し、(b)は平面図を示す。図6(a)及び(b)に示すように、本実施形態に係る居眠り防止眼鏡1Aは、左右一対のレンズ31Aを保持する前枠3Aと、前枠3Aの左右方向両端からそれぞれ後方に延出する左右一対のテンプル本体47A及びテンプル本体47Aから後方に延出し、左右方向内側に湾曲する振動部5Aを具備する左右一対のストレートテンプル4Aとを有する眼鏡本体2Aと、テンプル本体47Aに対する振動部5Aの取付角度を調整する角度調整部8Aとを備えている。
【0045】
ストレートテンプル4Aは、下方に湾曲せず後方に延出されたテンプル、又は下方に若干湾曲して後方に延出されたテンプルである。図6に示すように、本実施形態のストレートテンプル4Aは、下方に若干湾曲して後方に延出されたテンプルである。このストレートテンプル4Aは、テンプル本体47Aと、振動部5Aとを具備している。テンプル本体47Aは、丁番構造36Aを介してヨロイ35Aに回動自在に取り付けられている。かかるテンプル本体47Aは、略直線状に形成され、ヨロイ35Aから後方に延出している。
【0046】
図7は、ストレートテンプル4Aの後端部近傍の居眠り防止眼鏡1Aの拡大側面図である。図7に示すように、テンプル本体47Aの後端側には、角度調整部8Aの第1回転盤81Aがテンプル本体47Aと一体的に形成されている。一方、テンプル本体47Aから後方に延出する振動部5Aの前端側には、角度調整部8Aの第2回転盤82Aが振動部5と一体的に形成されている。テンプル本体47Aと一体的に形成された第1回転盤81Aと、振動部5Aと一体的に形成された第2回転盤82Aとは、回転軸83Aが挿通されて、図7の紙面と垂直方向(眼鏡本体2Aの左右方向)に重なっている。
【0047】
第1回転盤81Aがテンプル本体47Aと一体的に形成され、第2回転盤82Aが振動部5Aと一体的に形成されているため、装着者が、テンプル本体47Aと振動部5Aとを手に持って、眼鏡本体2Aと振動部5Aとに力を加えることで、眼鏡本体2Aに対して回転軸83A周りに振動部5Aを回転(図7に示す矢印R’方向に回転)させることができる。このように振動部5Aを回転させることで、テンプル本体47Aに対する振動部5Aの取付角度を変更することができる。
【0048】
第2回転盤82Aと固定された振動部5Aは、下方に若干湾曲して、第2回転盤82Aから後方に延出し、左右方向内側に湾曲している。このように振動部5Aが左右方向内側に湾曲していることで、眼鏡本体2Aを装着した際に、装着者の側頭部に振動部5Aが押し当たる。このように振動部5Aが側頭部に押し当たることで、ストレートテンプル4Aで眼鏡本体2Aを支持することができる。かかる振動部5Aには、実施形態1の振動部5と同様に振動モータ61Aが備えられ、このように側頭部に押し当てられる振動部5Aに振動モータ61Aが内蔵されていることで、振動モータ61Aの振動が装着者に直接伝達される。
【0049】
本実施形態の眼鏡本体2Aは、振動部5Aの前端部から分岐し、耳の裏側に沿うように湾曲した耳掛部49Aを有している。ストレートテンプル4Aとは別に、このような耳掛部49Aを備えることで、眼鏡本体2Aをストレートテンプル4Aと耳掛部49Aとで支持できるため、振動部5Aが振動しても、眼鏡本体2Aがずれ落ち難い。また、耳掛部49Aの下端部には、軸部材45Aを介して耳当て部材44Aが揺動可能に取り付けられており、耳当て部材44Aによっても眼鏡本体2Aのずれ落ちが止されている。よって、耳掛部49A及び耳当て部材44Aを備えることで、眼鏡本体2Aの装着者の頭部が前方に傾いた状態で振動モータ61Aが振動しても、眼鏡本体2Aは、殆どぐらつかず、ずれ落ち難い。
【0050】
また、耳当て部材44Aは、耳掛部49Aの下端部と軸部材45によって揺動可能に連結される揺動部42Aと、かかる揺動部42Aに連設され耳の裏側に当接可能な耳当接部43Aとを有している。耳当接部43Aの前端部とテンプル本体47Aとは、可撓性の絡み防止部材46Aによって連結されている。このような絡み防止部材46Aを有することで、眼鏡本体2Aを外す際に、ストレートテンプル4Aを上方へ持ち上げて、耳当て部材44A及び絡み防止部材46Aが、図7に二点鎖線で示す状態となっても、耳掛部49Aと耳当接部43Aの前端部との間が絡み防止部材46Aで塞がれているため、髪の毛が耳掛部49Aと耳当接部43Aとの取り付け部分(揺動部42A)に入り込み難く、これに絡まることが抑制されている。
【0051】
本実施形態に係る居眠り防止眼鏡1Aは、起動スイッチ部64Aの突起部65Aをオン位置に移動させ、鼻パッド34Aを鼻に掛け、振動部5Aを側頭部に押し当てると共に、耳当て部材44Aの耳当接部43Aを耳の裏側に掛けて、図7の実線で示すように、耳の裏側で耳当て部材44A及び絡み防止部材46Aを耳掛部49Aに押し当てて眼鏡本体2Aを装着することで使用することができる。このように眼鏡本体2Aを装着しているときに、装着者が居眠りをし、頭部が前方向に傾くと、眼鏡本体2Aが前下がりに傾き、振動部5Aのスイッチ部63Aがオンになる。スイッチ部63Aがオンになると、振動部5Aの振動モータ61Aに電源62Aから電力が供給され、振動モータ61Aが振動する。振動モータ61Aの振動は、振動部5Aから直接眼鏡本体2の装着者の側頭部に伝達される。
【0052】
このように、眼鏡者の側頭部に押し当てられる振動部5Aに振動モータ61Aを内蔵することで、振動モータ61の振動が直接装着者に伝わり、小さな振動でも装着者を目覚めさせることができる。
【0053】
また、本実施形態に係る居眠り防止眼鏡1Aは、テンプル本体47Aに対する振動部5Aの取付角度を調整することができるので、眼鏡本体2Aを装着したときの眼鏡本体2Aの傾きに個人差があっても、装着者に応じて振動部5Aの取付角度を調整することで、個人差の有無に関係なく、居眠り状態を精度良く検知することができる。
【0054】
以下、実施形態1及び2に係る居眠り防止眼鏡1、1Aに適用可能な変形例を示す。実施形態1のケース体70は、眼鏡本体2を装着者が装着した時に、後下がりとなるように筐体6に配置されているが、前下がりとなるように筐体に配置しても良い。前下がりに配置するときは、第1電極及び第2電極は、ケース体の後端部からケース室内に延出させる。かかる変形例においては、眼鏡本体の装着者の頭部が後方に傾くと、球体は、ケース室の後方部に移動して、後方部から延出された第1電極と第2電極とに接触し、スイッチ部がオンとなる。よって、かかる変形例においては、装着者の頭部が後方に傾いたときに、装着者に振動を与えることができる。
【0055】
また、スイッチ部は、眼鏡本体が前下がりに傾いても、後下がりに傾いても、電源から振動モータへの電力の供給をオンする構成にしても良い。図8は、スイッチ部63Bの断面図である。図8に示すように、かかる構成のスイッチ部63Bにおけるケース体70Bは、内部に円弧状に湾曲したケース室71Bを有した形状に形成されている。第1電極72Bは、円弧状に湾曲した細長部材で形成され、ケース体70Bの前端部(図7においては、左側)からケース室71B内に延出され、先端部が、ケース室71Bの後方部(図7においては、右側)に位置している。一方、第2電極73Bは、ケース体70Bの内周面の上面にケース室71Bの前方部から後方部に亘って設けられている。第2電極73Bは、ケース室71Bの前方部と後方部とにおいて、ケース室71Bの下方側に盛り上がっており、球体74Bがケース室71の前方部及び後方部に移動すると、球体74Bと接触するように形成されている。球体74Bは、ケース室71Bにおいて、いずれの位置においても、第1電極72Bと接触することが可能な大きさに形成されている。眼鏡本体が前下がりに傾くと、球体74Bは、ケース室71Bの前方部に移動して、第2電極73Bの前方部側の盛り上がった部分と接触する。また、眼鏡本体が後下がりに傾くと、球体74Bは、ケース室71Bの後方部に移動して、第2電極73Bの後部方側の盛り上がった部分と接触する。かかる構成のスイッチ部63Bにおいては、眼鏡本体が前下がりに傾いても、後下がりに傾いても球体74Bが第2電極73Bと接触し、第1電極72Bと第2電極73Bとが導通する。従って、かかる構成スイッチ部63Bは、眼鏡本体の装着者が居眠りして、頭部が前方向に傾いた場合でも後方向に傾いた場合でも、装着者に振動を与えて目覚めさせることができる。
【0056】
また、スイッチ部は、前後方向のみならず、前後左右を含めた全方向の傾きが検知でき、眼鏡本体が何れの方向に傾いても、電源から振動モータへの電力の供給をオンすることができる構成にしても良い。図9は、このようなことが可能なスイッチ部63Cの概略構成図であり、(a)は、スイッチ部63Cの断面図を示し、(b)はスイッチ部63Cの平面図を示し、(c)は何れかの方向に傾いた状態のスイッチ部63Cの断面図を示す。図9(a)及び(b)に示すように、スイッチ部63Cは、底体75Cと、リング体76Cと、蓋体77Cと、球体74Cとを備える。底体75Cの上面部には、球体74Cが収容される窪み部751Cが中央に形成されている。この上面部は、窪み部751Cより外側の部分が、径外方向に向かうに従い上方に位置する逆円錐状に形成されている。底体75Cは、金属等の導電体で形成され、電源と接続されて、第1電極72Cとして機能する。リング体76Cは、底体75Cの上面部の外周部に載置されている。かかるリング体76Cは、絶縁体で形成されている。蓋体77Cは、円盤状に形成され、リング体76Cの上面に載置されている。蓋体77Cは、金属等の導電体で形成され、振動モータ61と接続されて、第2電極73Cとして機能する。蓋体77Cは絶縁体で形成されたリング体76に載置されているので、蓋体77Cと底体75Cとは絶縁されている。スイッチ部63Cは、このような構成の底体75C、リング体76C、蓋体77Cによって囲まれるケース室71Cを有し、かかるケース室71Cに球体74Cが収容されている。ケース室71Cは、底体75Cの上面部が略逆円錐状に形成されているため、外周部に向かうに従い、上下方向高さが小さくなっている。
【0057】
図9(c)に示すように、眼鏡本体が何れかの方向に傾くと、球体74Cは窪み部751Cから出て、径外方向にケース室71C内を移動する。前記のように、ケース室71Cの上下方向高さは、外周部に向かうに従い小さくなっているので、球体74Cは、ケース室71Cの外周部に移動すると、底体75Cと蓋体77Cとに接触する。これにより、球体74を介して、底体75C(第1電極72C)と蓋体77(第2電極73C)とが導通する。この導通により、電源から振動モータへの電力の供給がオンされて、振動モータが振動する。従って、かかる構成のスイッチ部63Cによれば、眼鏡本体の装着者が居眠りして、頭部が何れの方向に傾いた場合でも、装着者に振動を与えて目覚めさせることができる。
【0058】
また、角度調整部は、図10に示すような構成としてもよい。図10は、角度調整部8Bの断面図である。図10に示すように、角度調整部8Bは、第1回転盤81B及び第2回転盤82Bと座金85Bとの間に介在し、回転軸83Bの軸方向に伸縮可能なスプリング86Bを備えている。例えば、図10に示す角度調整部8を実施形態1の居眠り防止眼鏡1に適用した場合は、眼鏡本体2と振動部5とを、実施形態2の居眠り防止眼鏡1Aに適用した場合は、テンプル本体47Aと振動部5Aとを回転軸83Bの軸方向に離間するように引っ張ると、第1回転盤81Bと第2回転盤82Bとが回転軸83B方向に離間する。これにより、第1回転盤81Bと第2回転盤82Bとの表面に形成された凹凸部の噛み合いが解除される。凹凸部の噛み合いが解除されると、第1回転盤81Bと第2回転盤82Bとは、相対的に回転することが可能となる。また、互いの表面に形成された凹凸部が噛み合うことができる位置で、第1回転盤81Bと第2回転盤82Bとを回転軸83Bの軸方向に離間させる力を解除すると、スプリング86Bによって、第1回転盤81Bと第2回転盤82Bとが互いに他方の表面に押し付けられる。これにより、第1回転盤81Bと第2回転盤82Bとの凹凸部が噛み合って、第1回転盤81Bと第2回転盤82Bとの相対的な回転が不能となる。
【0059】
また、振動部は、スイッチ部に代えて、電源から振動モータへの電力の供給を所定の時間間隔でオンオフするタイムスイッチ部を有しても良い。タイムスイッチ部を有すると、所定の時間間隔で電源から振動モータへの電力の供給がオンオフされる。ここで、所定間隔で電力の供給がオンオンするとは、電力の供給がオンする間隔が、毎回同じである場合も、異なっている場合も含む。このように所定間隔で電力の供給がオンオフするので、振動モータが、所定の時間間隔で振動し、所定の時間間隔で装着者に振動が与えられる。よって、振動部がタイムスイッチ部を有する構成では、眼鏡本体の傾きに関係なく振動モータが振動するので、装着者が居眠りをしていなくても装着者に振動を与えることができ、よって、装着者が居眠りすることを未然に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】図1は実施形態1に係る居眠り防止眼鏡の外観図であり、(a)は側面図を示し、(b)は平面図を示す。
【図2】図2は、テンプルの後端部及び振動部近傍の居眠り防止眼鏡の拡大側面図である。
【図3】図3は、振動部の概略回路図である。
【図4】図4は、スイッチ部の断面図である。
【図5】図5は、図2のA―A断面図である。
【図6】図6は実施形態2に係る居眠り防止眼鏡の外観図であり、(a)は側面図を示し、(b)は平面図を示す。
【図7】図7は、実施形態2に係る居眠り防止眼鏡のテンプルの後端部近傍の拡大側面図である。
【図8】図8は、1つの変形例に係るスイッチ部の断面図である。
【図9】図9は、他の変形例に係るスイッチ部の外観図であり、(a)は、断面図を示し、(b)は平面図を示し、(c)は何れかの方向に傾いた状態のスイッチ部の断面図を示す。
【図10】図10は、変形例に係る居眠り防止眼鏡の角度調整部の断面図である。
【符号の説明】
【0061】
1、1A…居眠り防止眼鏡、2、2A…眼鏡本体、3、3A・・・前枠、4…テンプル、4A・・・ストレートテンプル、44、44A…耳当て部材、46、46A…絡み防止部材、5、5A…振動部、8、8A、8B…角度調整部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
眼鏡本体と、前記眼鏡本体に取り付けられる振動部と、前記眼鏡本体に対する前記振動部の取付角度を調整する角度調整部とを備え、
前記振動部は、
振動モータと、電源と、前記眼鏡本体の傾きを検知する傾きセンサと、前記傾きセンサによって検知された傾きに基づいて、前記電源から前記振動モータへの電力の供給をオンオフするスイッチ部とを有することを特徴とする居眠り防止眼鏡。
【請求項2】
眼鏡本体と、前記眼鏡本体に取り付けられる振動部と、前記眼鏡本体に対する前記振動部の取付角度を調整する角度調整部とを備え、
前記振動部は、
振動モータと、電源と、前記電源から前記振動モータへの電力の供給を所定の時間間隔でオンオフするタイムスイッチ部とを有することを特徴とする居眠り防止眼鏡。
【請求項3】
レンズを保持する前枠と、前記前枠の左右方向両端からそれぞれ後方に延出する左右一対のテンプル本体、及び前記テンプル本体から後方に延出し、左右方向内側に湾曲する振動部を具備する左右一対のテンプルとを有する眼鏡本体と、前記テンプル本体に対する前記振動部の取付角度を調整する角度調整部とを備え、
前記振動部は、
振動モータと、電源と、前記眼鏡本体の傾きを検知する傾きセンサと、前記傾きセンサによって検知された傾きに基づいて、前記電源から前記振動モータへの電力の供給をオンオフするスイッチ部とを有することを特徴とする居眠り防止眼鏡。
【請求項4】
レンズを保持する前枠と、前記前枠の左右方向両端からそれぞれ後方に延出する左右一対のテンプル本体、及び前記テンプル本体から後方に延出し、左右方向内側に湾曲する振動部を具備する左右一対のテンプルとを有する眼鏡本体と、前記テンプル本体に対する前記振動部の取付角度を調整する角度調整部とを備え、
前記振動部は、
振動モータと、電源と、前記電源から前記振動モータへの電力の供給を所定の時間間隔でオンオフするタイムスイッチ部とを有することを特徴とする居眠り防止眼鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2008−102466(P2008−102466A)
【公開日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−300444(P2006−300444)
【出願日】平成18年11月6日(2006.11.6)
【特許番号】特許第3977408号(P3977408)
【特許公報発行日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(594156949)株式会社ビジョンメガネ (46)
【出願人】(503331986)有限会社鷹乃羽 (2)